JP2016199696A - 蛍光体及び発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度消光特性が優れた、Ce3+付活ガーネット蛍光体及びこれを用いた発光装置を提供する。【解決手段】本発明の蛍光体は、フッ素を含むガーネット結晶構造の母体結晶の一部が、Ce3+で置換された結晶構造を有し、励起スペクトルが、波長380nm以上460nm未満の波長領域内にCe3+の電子エネルギー遷移に由来する励起ピークを有し、発光スペクトルが、波長450nm以上500nm未満の波長領域内にありかつCe3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、波長535nm以上560nm未満の波長領域内にありかつTb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、及び波長580nm以上650nm未満の波長領域内にありかつEu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、から選ばれる少なくとも一つの発光ピークを有する。【選択図】図6
Description
本発明は、ガーネット結晶構造を有し、少なくともCe3+で付活された特定の蛍光体、及びこの蛍光体を用いた発光装置に関する。
従来、ガーネット結晶構造を有し、少なくともCe3+で付活された蛍光体(以後、Ce3+付活ガーネット蛍光体と記す。)が知られている。この蛍光体としては、特許文献1〜3、非特許文献1に記載されるように、例えば、Y3Al2(AlO4)3:Ce3+、Lu3Al2(AlO4)3:Ce3+、Y3Ga2(AlO4)3:Ce3+、Y3Sc2(AlO4)3:Ce3+、(Y,Gd)3Al2(AlO4)3:Ce3+、Y3Mg2(AlO4)(SiO4)2:Ce3+、Ca2YZr2(AlO4)3:Ce3+、Ca2YZr2(AlO4)3:Ce3+,Tb3+、Ca2TbZr2(AlO4)3:Ce3+、Ca2TbZr2(AlO4)3:Ce3+,Eu3+等が知られている。これらの蛍光体は、LED照明用等に利用されたり利用が検討されたりしている。
また、従来、これらのCe3+付活ガーネット蛍光体について、発光色を制御するために、Ce3+付活ガーネット蛍光体の結晶格子の一部にフッ素を含ませることが知られている。
しかしながら、Ce3+付活ガーネット蛍光体は、一般的に温度消光が大きいという課題があった。例えば、Ce3+付活ガーネット蛍光体のうち、450nm以上500nm未満の比較的短波長の波長領域内に発光ピークを有する青味がかった光、例えば青緑色光を放射する特定組成の蛍光体は、温度消光が大きい。また、当該青味がかった光を放射するCe3+を介して、蛍光体が吸収した光エネルギーを他の発光中心、例えば、Tb3+、Eu3+、Mn2+等、へ伝達させて、当該他の発光中心が発光する発光原理を持つ特定組成の蛍光体は、温度消光が大きい。なお、温度消光とは、蛍光体の温度が上昇すると、発光強度が下がる現象である。このため、Ce3+付活ガーネット蛍光体は、一般的に、高効率発光が求められる発光装置用、例えば照明装置や表示装置用の蛍光体として適さなかった。
ここで、青味がかった光を放射するCe3+付活ガーネット蛍光体が一般的に温度消光が大きいことは、以下に示すようなこの種の蛍光体の発光原理上の事情によるものと考えられる。すなわち、一般的に、Ce3+による発光波長が短波長になるほど、Ce3+の基底準位と励起準位のエネルギー差が大きくなる。このエネルギー差の拡大のため、発光中心であるCe3+の励起準位の形成に寄与する電子が、大きな熱エネルギーによって、蛍光体の母体であるガーネット化合物の伝導帯へも励起されやすくなり、この結果電子が結晶の格子振動に寄与しやすくなる。このように、青味がかった光を放射するCe3+付活ガーネット蛍光体では、電子が、Ce3+の発光遷移を経ることなく、エネルギー緩和するため、温度消光が大きくなると考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。本発明は、温度消光特性が優れた、Ce3+付活ガーネット蛍光体及びこれを用いた発光装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る蛍光体は、フッ素を含むガーネット結晶構造の母体結晶の一部が、Ce3+で置換された結晶構造を有する。本発明の態様に係る蛍光体は、励起スペクトルが、波長380nm以上460nm未満の波長領域内にCe3+の電子エネルギー遷移に由来する励起ピークを有する。本発明の態様に係る蛍光体は、発光スペクトルが、波長450nm以上500nm未満の波長領域内にある。本発明の態様に係る蛍光体は、Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、及びEu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、から選ばれる少なくとも一つの発光ピークを有する。ここで、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークは、波長535nm以上560nm未満の波長領域内にある。また、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークは、波長580nm以上650nm未満の波長領域内にある。
本発明の蛍光体は、温度消光特性に優れる。
以下、本実施形態に係る蛍光体、及びこの蛍光体を用いた発光装置について、図面を参照して説明する。
[蛍光体]
蛍光体は、一般的に、結晶質の化合物(母体結晶)を構成する元素の一部が、蛍光を放射するイオンとなり得る元素(発光中心)で置換された構造を有する。
本実施形態に係る蛍光体は、フッ素を含むガーネット結晶構造の母体結晶の一部が、発光中心であるCe3+で置換された結晶構造を有する。
蛍光体は、一般的に、結晶質の化合物(母体結晶)を構成する元素の一部が、蛍光を放射するイオンとなり得る元素(発光中心)で置換された構造を有する。
本実施形態に係る蛍光体は、フッ素を含むガーネット結晶構造の母体結晶の一部が、発光中心であるCe3+で置換された結晶構造を有する。
(母体結晶)
本実施形態に係る蛍光体の母体結晶は、フッ素を含むガーネット結晶構造を有する。この母体結晶は、ガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子の一部が、フッ素で置換されたものである。なお、ガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子中に存在するフッ素は、フッ化物イオンとして存在することもある。
本実施形態に係る蛍光体の母体結晶は、フッ素を含むガーネット結晶構造を有する。この母体結晶は、ガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子の一部が、フッ素で置換されたものである。なお、ガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子中に存在するフッ素は、フッ化物イオンとして存在することもある。
フッ素で置換される前のガーネット結晶構造を有する化合物としては、特に限定されず、公知のガーネット結晶構造を有する化合物が用いられる。しかし、この公知のガーネット結晶構造のうちでも、AlO4四面体を含む結晶構造を有する化合物を用いると、温度消光特性が優れたCe3+付活ガーネット蛍光体を得やすいため好ましい。ここで、「温度消光特性が優れた」とは、温度消光が小さいことを意味する。なお、AlO4四面体を含む結晶構造を有する化合物は、通常、AlO4四面体を[AlO4]5−の形態で含む。
本実施形態に係る蛍光体の母体結晶は、上記のように、ガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子の一部がフッ素で置換されたものである。この母体結晶としては、例えば、ガーネット結晶構造を有する酸フッ化物が用いられる。
このガーネット結晶構造を有する酸フッ化物は、ガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子の一部をフッ素で置換するだけで製造できるため、製造が容易である。このため、本実施形態に係る蛍光体の母体結晶としてガーネット結晶構造を有する酸フッ化物を用いると、本実施形態に係る蛍光体の製造が容易かつ低コストになる。
本実施形態に係る蛍光体は、母体結晶がフッ素を含むことにより、温度消光特性がよい。すなわち、蛍光体が高温下で使用されても発光強度が低下しにくい。なお、母体結晶がフッ素を含むことにより、フッ素を含まない場合に比較して蛍光体の温度消光特性がよくなるメカニズムは不明である。しかし、母体結晶のフッ素含有により蛍光体の温度消光特性がよくなるメカニズムは、以下のとおりであると推測される。すなわち、電気陰性度が最も大きい元素であるフッ素が母体結晶中に導入されると、母体結晶中の結合のイオン結合性が高まることにより、バンドギャップが大きくなると考えられる。このバンドギャップの拡大により、発光中心であるCe3+の励起準位の形成に寄与する電子の、熱エネルギーによる伝導帯への励起が抑制されるため、蛍光体の温度消光特性がよくなると推測される。
なお、上記酸フッ化物のうち、AlO4四面体を含むガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子の一部がフッ素で置換されたものであると、温度消光特性が優れたCe3+付活ガーネット蛍光体を得やすいため好ましい。なお、このAlO4四面体を含むガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子の一部がフッ素で置換されたものにおける、フッ素の置換部位は、特に限定されない。
また、母体結晶は、AlO4四面体を構成する原子の一部がフッ素で置換されたものであるとより好ましい。このように、母体結晶が、特にAlO4四面体を構成する原子の一部がフッ素で置換されたものであると、より温度消光特性が優れたCe3+付活ガーネット蛍光体を得やすいためより好ましい。
上記のAlO4四面体を含むガーネット結晶構造を有する化合物の結晶格子の一部がフッ素で置換された母体結晶としては、例えば、下記式(1)で表される組成式を有するものが用いられる。
M2LnZr2(AlO4)3―xF5x (1)
式中、前記Mはアルカリ土類金属であり、Lnは希土類である。
M2LnZr2(AlO4)3―xF5x (1)
式中、前記Mはアルカリ土類金属であり、Lnは希土類である。
アルカリ土類金属Mとしては、例えば、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される少なくとも1種の元素が用いられる。このうち、アルカリ土類金属Mは、Caを含むことが好ましい。また、アルカリ土類金属Mは、その主体がCaであることがより好ましい。ここで、アルカリ土類金属Mの主体がCaであるとは、Mを構成する元素のモル数の過半数がCaであることを意味する。
希土類Lnとしては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される少なくとも1種の元素が用いられる。また、希土類Lnは、好ましくは、Ceと、Y、La、Eu、Gd、Tb、及びLuからなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含む。さらに、希土類Lnは、より好ましくは、Ceと、Y、Eu、Tb、及びLuからなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含む。
(発光中心)
本実施形態に係る蛍光体は、上記母体結晶の一部が、発光中心であるCe3+で置換された結晶構造を有する。上記母体結晶の一部がCe3+で置換されてなる蛍光体の結晶構造は、Ce3+で置換する前の結晶構造であるガーネット結晶構造を保持している。なお、本実施形態に係る蛍光体は、Ce3+に加えて、Ce3+以外の発光中心を含んでいてもよい。Ce3+以外の発光中心としては、例えば、Tb3+及びEu3+が用いられる。
本実施形態に係る蛍光体は、上記母体結晶の一部が、発光中心であるCe3+で置換された結晶構造を有する。上記母体結晶の一部がCe3+で置換されてなる蛍光体の結晶構造は、Ce3+で置換する前の結晶構造であるガーネット結晶構造を保持している。なお、本実施形態に係る蛍光体は、Ce3+に加えて、Ce3+以外の発光中心を含んでいてもよい。Ce3+以外の発光中心としては、例えば、Tb3+及びEu3+が用いられる。
本実施形態に係る蛍光体において、発光中心であるCe3+の前記Lnに占める原子割合をaとすると、通常、0<a≦0.1である。また、本実施形態に係る蛍光体が、Ce3+以外の発光中心を含む場合、Ce3+以外の発光中心のLnに占める原子割合をbとすると、通常、0<a+b≦1である。
(励起スペクトル)
本実施形態に係る蛍光体は、励起スペクトルが、通常、波長380nm以上460nm未満、好ましくは、波長400nm以上455nm未満の波長領域内にCe3+の電子エネルギー遷移に由来する励起ピークを有する。Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する励起ピークは、上記のように波長380nm以上460nm未満等の短波長可視域にあるとともに、励起ピーク自体がブロードになっている。このため、本実施形態に係る蛍光体は、短波長可視域に発光ピークを有する光を効率よく吸収して、より長波長の光に効率よく波長変換することが可能になる。励起光が上記短波長可視域にある短波長可視光は、公知の短波長可視光を放射する、LED等の固体発光素子を用いることにより得られる。
本実施形態に係る蛍光体は、励起スペクトルが、通常、波長380nm以上460nm未満、好ましくは、波長400nm以上455nm未満の波長領域内にCe3+の電子エネルギー遷移に由来する励起ピークを有する。Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する励起ピークは、上記のように波長380nm以上460nm未満等の短波長可視域にあるとともに、励起ピーク自体がブロードになっている。このため、本実施形態に係る蛍光体は、短波長可視域に発光ピークを有する光を効率よく吸収して、より長波長の光に効率よく波長変換することが可能になる。励起光が上記短波長可視域にある短波長可視光は、公知の短波長可視光を放射する、LED等の固体発光素子を用いることにより得られる。
(発光スペクトル)
本実施形態に係る蛍光体は、励起スペクトルが上記波長領域内にある光で励起されると、励起光をより長波長の光に波長変換する。本実施形態に係る蛍光体が上記励起光を波長変換する場合、特定の発光ピークを有する光を放射する。特定の発光ピークとは、Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、及びEu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、から選ばれる少なくとも一つの発光ピークである。
本実施形態に係る蛍光体は、励起スペクトルが上記波長領域内にある光で励起されると、励起光をより長波長の光に波長変換する。本実施形態に係る蛍光体が上記励起光を波長変換する場合、特定の発光ピークを有する光を放射する。特定の発光ピークとは、Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、及びEu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、から選ばれる少なくとも一つの発光ピークである。
[Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク]
Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークとは、発光中心として少なくともCe3+を含むCe3+付活蛍光体の発光スペクトルに含まれる発光ピークのうち、Ce3+が発光に関与する発光ピークを意味する。具体的には、Ce3+に由来する発光ピークとは、Ce3+固有の発光ピークと、Ce3+を含む複数種類の発光中心に基づく複数個の発光成分から形成される複合形状の発光ピーク中におけるCe3+の発光成分のピークと、の両方を含む意味である。例えば、発光中心としてCe3+のみを含むCe3+付活蛍光体では、発光スペクトルの特定波長領域内にCe3+固有の発光ピーク(A)が現れる。一方、Ce3+とTb3+等のCe3+以外の発光中心とが共存するCe3+付活蛍光体では、発光スペクトルに、Ce3+の発光成分のピーク(B1)と他の発光中心の発光成分のピーク(B2)とを併せ持つ複合形状の発光ピークが現れる。なお、複合形状の発光ピーク中のCe3+の発光成分のピーク(B1)は、Ce3+固有の発光ピーク(A)の特定波長領域内又はその近傍に現れる。本明細書で定義するCe3+に由来する発光ピークとは、Ce3+固有の発光ピーク(A)とCe3+の発光成分のピーク(B1)とを含む概念である。
Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークとは、発光中心として少なくともCe3+を含むCe3+付活蛍光体の発光スペクトルに含まれる発光ピークのうち、Ce3+が発光に関与する発光ピークを意味する。具体的には、Ce3+に由来する発光ピークとは、Ce3+固有の発光ピークと、Ce3+を含む複数種類の発光中心に基づく複数個の発光成分から形成される複合形状の発光ピーク中におけるCe3+の発光成分のピークと、の両方を含む意味である。例えば、発光中心としてCe3+のみを含むCe3+付活蛍光体では、発光スペクトルの特定波長領域内にCe3+固有の発光ピーク(A)が現れる。一方、Ce3+とTb3+等のCe3+以外の発光中心とが共存するCe3+付活蛍光体では、発光スペクトルに、Ce3+の発光成分のピーク(B1)と他の発光中心の発光成分のピーク(B2)とを併せ持つ複合形状の発光ピークが現れる。なお、複合形状の発光ピーク中のCe3+の発光成分のピーク(B1)は、Ce3+固有の発光ピーク(A)の特定波長領域内又はその近傍に現れる。本明細書で定義するCe3+に由来する発光ピークとは、Ce3+固有の発光ピーク(A)とCe3+の発光成分のピーク(B1)とを含む概念である。
なお、複合形状の発光ピーク中の他の発光中心の発光成分のピーク(B2)は、他の発光中心がTb3+である場合、Tb3+の発光成分のピークという。なお、以下に説明するTb3+又はEu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークは、上記のCe3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークにおいて、Ce3+をTb3+やEu3+に読み変えたものと同様の意味である。
本実施形態に係る蛍光体では、Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークは、波長450nm以上500nm未満の波長領域内にある。この発光ピークを有する光は、青〜青緑色光となる。Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有する光が青〜青緑色光であることにより、緑色光及び赤色光と合わせることで、白色光を容易に作り出すことができる。緑色光や赤色光としては、例えば、後述のTb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有する緑色光や、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有する赤色光が用いられる。なお、波長450nm以上500nm未満の波長領域内にCe3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有する蛍光体は、結晶格子中に他の発光中心であるTb3+を含ませたときにも、Ce3+からTb3+への効率よいエネルギー伝達が生じる。この場合、蛍光体から放射される光は、通常、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを持つ輝線状の緑色光となる。
なお、本実施形態に係る蛍光体の発光スペクトルは、Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを波長500nm以上600nm未満の波長領域内に有さないことが好ましい。この波長領域内にCe3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有する蛍光体は、結晶格子中に他の発光中心であるTb3+を含ませても、Ce3+からTb3+への効率よいエネルギー伝達が生じないためである。これは5D4励起準位として知られる、Tb3+励起準位の最低のエネルギーレベルが約21×103cm−1(波長換算値:476nm)のレベルにあり、500nm以上の波長が持つエネルギーよりも高いからである。
[Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク]
Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークは、波長535nm以上560nm未満の波長領域内にある。この発光ピークを有する光は、緑色光となる。なお、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する光は輝線状であり、緑色の波長領域の中でも視感度の高い540〜560nmの波長範囲内に光成分が集中するものとなる。緑色光は視感効率が高いため、緑色光として、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する輝線状の緑色光を利用することにより、省エネルギー化が可能になる。このため、本実施形態に係る蛍光体の発光スペクトルが、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有すると、省エネルギー化が可能になるため好ましい。
Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークは、波長535nm以上560nm未満の波長領域内にある。この発光ピークを有する光は、緑色光となる。なお、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する光は輝線状であり、緑色の波長領域の中でも視感度の高い540〜560nmの波長範囲内に光成分が集中するものとなる。緑色光は視感効率が高いため、緑色光として、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する輝線状の緑色光を利用することにより、省エネルギー化が可能になる。このため、本実施形態に係る蛍光体の発光スペクトルが、Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有すると、省エネルギー化が可能になるため好ましい。
[Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク]
Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークは、波長580nm以上650nm未満の波長領域内にある。この発光ピークを有する光は、赤色光となる。なお、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する光も輝線状であり、赤色の波長領域の中でも視感度の高い600〜635nmの波長範囲内に光成分が集中するものとなる。赤色光は視感効率が高いため、赤色光として、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する輝線状の赤色光を利用することにより、省エネルギー化が可能になる。このため、本実施形態に係る蛍光体の発光スペクトルが、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有すると、省エネルギー化が可能になるため好ましい。
Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークは、波長580nm以上650nm未満の波長領域内にある。この発光ピークを有する光は、赤色光となる。なお、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する光も輝線状であり、赤色の波長領域の中でも視感度の高い600〜635nmの波長範囲内に光成分が集中するものとなる。赤色光は視感効率が高いため、赤色光として、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する輝線状の赤色光を利用することにより、省エネルギー化が可能になる。このため、本実施形態に係る蛍光体の発光スペクトルが、Eu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有すると、省エネルギー化が可能になるため好ましい。
本実施形態に係る蛍光体は、公知の方法により、製造することができる。なお、本実施形態に係る蛍光体は、多様な組成を取り得るガーネット化合物である。このため、結晶を構成する物質、例えば金属イオンの含有量等を適宜調整することにより、蛍光体としての特性の制御が容易である。
[発光装置]
本実施形態に係る発光装置は、本実施形態に係る蛍光体を備えるものである。本実施形態に係る発光装置は、通常、本実施形態に係る蛍光体を含む波長変換体と、本実施形態に係る蛍光体に励起光を照射する発光素子とを備える。発光素子としては、例えば、LED等の固体発光素子が用いられる。発光装置は、波長380nm以上460nm未満の波長領域内で発光スペクトルの強度最大値を示す短波長可視光を放射する発光素子を備えることが好ましい。発光素子が、本実施形態に係る蛍光体への励起光として、上記短波長可視光を放射すると、本実施形態に係る蛍光体が、光を効率よく吸収して、より長波長の光に効率よく波長変換することが可能になる。また、発光素子は、固体発光素子であると、公知のものを用いることができるとともに、発光装置の製造が容易であるため好ましい。
本実施形態に係る発光装置は、本実施形態に係る蛍光体を備えるものである。本実施形態に係る発光装置は、通常、本実施形態に係る蛍光体を含む波長変換体と、本実施形態に係る蛍光体に励起光を照射する発光素子とを備える。発光素子としては、例えば、LED等の固体発光素子が用いられる。発光装置は、波長380nm以上460nm未満の波長領域内で発光スペクトルの強度最大値を示す短波長可視光を放射する発光素子を備えることが好ましい。発光素子が、本実施形態に係る蛍光体への励起光として、上記短波長可視光を放射すると、本実施形態に係る蛍光体が、光を効率よく吸収して、より長波長の光に効率よく波長変換することが可能になる。また、発光素子は、固体発光素子であると、公知のものを用いることができるとともに、発光装置の製造が容易であるため好ましい。
なお、本実施形態に係る発光装置は、基本的には、発光する機能を備えた電子装置を広く包含するものであり、何らかの光を発する電子装置であれば特に限定されるものではない。すなわち、本実施形態に係る発光装置とは、少なくとも本実施形態に係る蛍光体を利用しており、さらに当該蛍光体が放射する蛍光を少なくとも出力光として利用する発光装置である。
より詳細に説明すると、本実施形態に係る発光装置は、本実施形態に係る蛍光体と当該蛍光体を励起する励起源とを組み合わせている。ここで、本実施形態に係る蛍光体は、励起源が放射するエネルギーを吸収し、吸収したエネルギーを色調制御された蛍光に変換するものである。なお、励起源は、蛍光体の励起特性に合わせて、放電装置、電子銃、固体発光素子等から適宜選択すればよい。本実施形態の蛍光体は、380nm以上460nm未満の波長範囲内に励起ピークを持つ蛍光体であるので、好ましい励起源は、前記した固体発光素子である。
以下、図面を参考に本実施形態に係る発光装置を説明する。図1は、本実施形態に係る発光装置の概略を示す図である。図1(A)及び図1(B)において、励起源1は、本実施形態に係る蛍光体2を励起するための一次光を生成する光源である。励起源1としては、α線、β線、電子線等の粒子線や、γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光、特に紫色光の短波長可視光等の電磁波を放射する放射装置を用いることができる。なお、励起源1としては、各種の放射線発生装置や電子ビーム放射装置、放電光発生装置、固体発光素子、固体発光装置等も用いることができる。励起源1の代表的なものとしては、電子銃、X線管球、希ガス放電装置、水銀放電装置、発光ダイオード、半導体レーザーを含むレーザー光発生装置、無機又は有機のエレクトロルミネッセンス素子等が挙げられる。
また、図1(A)及び図1(B)において、出力光4は、励起源1が放射する励起線又は励起光3によって励起された蛍光体2が放射する蛍光である。出力光4は、発光装置において照明光や表示光として利用されるものである。
図1(A)では、励起線又は励起光3を蛍光体2に照射する方向に、蛍光体2からの出力光4が放出される構造の発光装置を示す。なお、図1(A)に示す発光装置としては、例えば、白色LED光源が挙げられる。一方、図1(B)では、励起線又は励起光3を蛍光体2に照射する方向とは逆の方向に、蛍光体2からの出力光4が放出される構造の発光装置を示す。図1(B)に示す発光装置としては、例えば、反射板付き蛍光体ホイールを利用する光源装置やプロジェクターが用いられる。
本実施形態に係る発光装置の具体例としては、半導体発光装置、照明光源、照明装置、LEDバックライト付き液晶パネル、LEDプロジェクター、レーザープロジェクターが挙げられる。また、本実施形態に係る発光装置は、380nm以上460nm未満の範囲内に強度最大値を持つ短波長可視光によって蛍光体を励起する構造を有することが好ましい。当該発光装置は、短波長可視光を放射する固体発光素子をさらに備えることが好ましい。励起源として固体発光素子を用いることにより、衝撃に強い全固体の発光装置、例えば固体照明を実現することが可能になる。
以下、本実施形態に係る半導体発光装置の具体例を詳細に説明する。図2に示すように、本実施形態に係る半導体発光装置100は、基板110、複数のLED(発光素子)120、及び複数の封止部材130を備える。基板110は、例えば、セラミック基板や熱伝導樹脂等からなる絶縁層とアルミ板等からなる金属層との二層構造を有する。基板110は略方形の板状体である。基板110は、短手方向(X軸方向)の幅W1が12〜30mmであり、長手方向(Y軸方向)の幅W2が12〜30mmである。
図3(A)及び(B)に示すように、LED120は、例えばGaN系のLEDであって、平面視形状が略長方形である。LED120は、短手方向(X軸方向)の幅W3が0.3〜1.0mm、長手方向(Y軸方向)の幅W4が0.3〜1.0mm、厚み(Z軸方向の幅)が0.08〜0.30mmである。
LED120は、基板110の長手方向(Y軸方向)とLED120の素子列の配列方向とが一致するように配置されている。LED120は、一列に並んだ複数のLED120ごと素子列を構成しており、これらの素子列が基板110の短手方向(X軸方向)に沿って複数列並べて実装されている。具体的には、25個のLED120が5列5行でマトリックス状に実装されている。すなわち、1つの素子列は5個のLEDで構成され、この素子列が5行並べて実装されている。
各素子列では、LED120が長手方向(Y軸方向)に直線状に配列されている。このようにLED120を直線状に配列することにより、LED120を封止する封止部材130が直線状に形成される。
図3(B)に示すように、各素子列は、それぞれ長尺状の封止部材130によって個別に封止されている。1つの素子列とその素子列を封止する1つの封止部材130とは、1つの発光部101を構成している。半導体発光装置100は5つの発光部101を備えている。
封止部材130は、蛍光体を含有した透光性の樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン・エポキシのハイブリッド樹脂、ユリア樹脂等を用いることができる。また、蛍光体としては、本実施形態に係る蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体としては、本実施形態に係る蛍光体のみならず、例えば、Eu2+、Ce3+、Tb3+、Mn2+の少なくともいずれかで付活した酸化物や酸ハロゲン化物等の酸化物系蛍光体も用いることができる。また、蛍光体としては、Eu2+、Ce3+、Tb3+、Mn2+の少なくともいずれかで付活した窒化物や酸窒化物等の窒化物系蛍光体、又は硫化物や酸硫化物等の硫化物系蛍光体も用いることができる。
具体的には、青色蛍光体として、BaMgAl10O17:Eu2+、CaMgSi2O6:Eu2+、Ba3MgSi2O8:Eu2+、Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+等が挙げられる。緑青又は青緑色蛍光体として、Sr4Si3O8Cl4:Eu2+、Sr4Al14O24:Eu2+、BaAl8O13:Eu2+、Ba2SiO4:Eu2+が挙げられる。さらに緑青又は青緑色蛍光体として、BaZrSi3O9:Eu2+、Ca2YZr2(AlO4)3:Ce3+、Ca2YHf2(AlO4)3:Ce3+、Ca2YZr2(AlO4)3:Ce3+,Tb3+が挙げられる。緑色蛍光体として、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+、Ca8Mg(SiO4)4Cl2:Eu2+、Ca8Mg(SiO4)4Cl2:Eu2+,Mn2+が挙げられる。さらに緑色蛍光体として、BaMgAl10O17:Eu2+,Mn2+、CeMgAl11O19:Mn2+、Y3Al2(AlO4)3:Ce3+、Lu3Al2(AlO4)3:Ce3+が挙げられる。また、緑色蛍光体として、Y3Ga2(AlO4)3:Ce3+、Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、CaSc2O4:Ce3+、β−Si3N4:Eu2+、SrSi2O2N2:Eu2+が挙げられる。緑色蛍光体として、Ba3Si6O12N2:Eu2+、Sr3Si13Al3O2N21:Eu2+、YTbSi4N6C:Ce3+、SrGa2S4:Eu2+が挙げられる。緑色蛍光体として、Ca2LaZr2(AlO4)3:Ce3+、Ca2TbZr2(AlO4)3:Ce3+、Ca2TbZr2(AlO4)3:Ce3+,Pr3+が挙げられる。緑色蛍光体として、Zn2SiO4:Mn2+、MgGa2O4:Mn2+が挙げられる。緑色蛍光体として、LaPO4:Ce3+,Tb3+、Y2SiO4:Ce3+,CeMgAl11O19:Tb3+、GdMgB5O10:Ce3+,Tb3+が挙げられる。黄又は橙色蛍光体として、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、(Y,Gd)3Al5O12:Ce3+、α−Ca−SiAlON:Eu2+が挙げられる。黄又は橙色蛍光体として、Y2Si4N6C:Ce3+、La3Si6N11:Ce3+、Y3MgAl(AlO4)2(SiO4):Ce3+が挙げられる。赤色蛍光体としては、Sr2Si5N8:Eu2+、CaAlSiN3:Eu2+、SrAlSi4N7:Eu2+、CaS:Eu2+、La2O2S:Eu3+、Y3Mg2(AlO4)(SiO4)2:Ce3+が挙げられる。また、赤色蛍光体として、Y2O3:Eu3+、Y2O2S:Eu3+、Y(P,V)O4:Eu3+、YVO4:Eu3+が挙げられる。赤色蛍光体として、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn4+、K2SiF6:Mn4+、GdMgB5O10:Ce3+,Mn2+が挙げられる。
図3に示すように、封止部材130は、短手方向(X軸方向)の幅W5が0.8〜3.0mm、長手方向(Y軸方向)の幅W6が3.0〜40.0mmであることが好ましい。また、LED120を含めた最大厚み(Z軸方向の幅)T1が0.4〜1.5mm、LED120を含めない最大厚みT2が0.2〜1.3mmであることが好ましい。封止信頼性を確保するためには、封止部材130の幅W5はLED120の幅W3に対して2〜7倍であることが好ましい。
封止部材130の短手方向に沿った断面の形状は図3(A)に示すように、略半楕円形である。また、封止部材130の長手方向の両端部131,132は、R形状になっている。具体的には、両端部131,132の形状は、図2に示すように、平面視における形状が略半円形であり、図3(B)に示すように、長手方向に沿った断面の形状が約90°の中心角を有する略扇形である。封止部材130の両端部131,132がこのようにR形状になっている場合は、両端部131,132において応力集中が生じ難いと共に、LED120の出射光を封止部材130の外部に取り出し易い。
各LED120は、基板110にフェイスアップ実装される。また、基板110に形成された配線パターン140によって、LED120に電力が供給する図示しない点灯回路ユニットと電気的に接続されている。配線パターン140は、一対の給電用のランド141,142と、各LED120に対応する位置に配置された複数のボンディング用のランド143とを有する。
図3に示すように、LED120は、例えば、ワイヤボンディングによりワイヤ(例えば、金ワイヤ)150を介してランド143と電気的に接続されている。ワイヤ150の一方の端部151はLED120と接合され、他方の端部152はランド143と接合されている。各ワイヤ150は、それぞれ接続対象である発光素子の属する素子列に沿って配置されている。さらに各ワイヤ150の両端部151,152も素子列に沿って配置されている。各ワイヤ150は、LED120やランド143と共に封止部材130により封止されているため劣化し難く、また絶縁されていて安全性も高い。なお、LED120の基板110への実装方法は、上記のようなフェイスアップ実装に限定されず、フリップチップ実装であってもよい。
LED120は、図2に示すように、同じ素子列に属する5個のLED120が直列接続され、5つの素子列が並列接続されている。なお、LED120の接続形態はこれに限定されず、素子列に関係なくどのように接続されていてもよい。ランド141,142には、図示しない点灯回路ユニットの一対のリード線が接続される。これらのリード線を介して点灯回路ユニットから各LED120に電力が供給され、各LED120が発光する。
封止部材130は、以下のような手順で形成することができる。はじめに、図2に示すように、一列に並んだ複数のLED120からなる素子列がX軸方向に複数列並べて実装された基板110を用意する。次に図4に示すように、基板110に、例えばディスペンサ160を用いて、素子列に沿って樹脂ペースト135をライン状に塗布する。その後、塗布後の樹脂ペースト135を固化させることによって、素子列ごとに個別に封止部材130を形成することができる。
本実施形態の半導体発光装置は、照明光源用や液晶ディスプレイのバックライト用、表示装置用の光源等広く利用可能である。上述のように、本実施形態に係る蛍光体は、視認性が良好な光を放射し得る。このため、当該蛍光体を照明光源等に用いると、高演色性かつ高効率の照明光源や、高輝度画面の広色域表示が可能な表示装置を提供することができる。
上記照明光源は、本実施形態の半導体発光装置と、当該半導体発光装置を動作させる点灯回路と、口金等照明器具との接続部品とを組み合わせることにより、構成することができる。また、必要に応じて照明器具を組み合わせれば、照明装置や照明システムを構成することができる。
(効果)
本実施形態に係る発光装置は、視感度や視認性の面で良好な特性を有するため、上述の半導体発光装置や光源装置以外にも広く利用することができる。
本実施形態に係る発光装置は、視感度や視認性の面で良好な特性を有するため、上述の半導体発光装置や光源装置以外にも広く利用することができる。
また、本実施形態に係る発光装置は、温度消光特性に優れる蛍光体を用いるため、温度消光特性に優れる。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
固相反応によって、以下に示す実施例1及び2並びに比較例1の蛍光体のサンプルを合成し、その特性を評価した。
実施例1:Ca2(Y0.98Ce0.02)Zr2(AlO4)2.9F0.5
実施例2:Ca2(Y0.98Ce0.02)Zr2(AlO4)2.7F1.5
比較例1:Ca2(Y0.98Ce0.02)Zr2(AlO4)3
実施例1は相対的に少量のフッ素を含む化合物であり、実施例2は相対的に多量のフッ素を含む化合物である。また、比較例1はフッ素を含まない既知の化合物である。実施例1及び2並びに比較例1を合成する際には、以下の化合物粉末を原料として用いた。
実施例1:Ca2(Y0.98Ce0.02)Zr2(AlO4)2.9F0.5
実施例2:Ca2(Y0.98Ce0.02)Zr2(AlO4)2.7F1.5
比較例1:Ca2(Y0.98Ce0.02)Zr2(AlO4)3
実施例1は相対的に少量のフッ素を含む化合物であり、実施例2は相対的に多量のフッ素を含む化合物である。また、比較例1はフッ素を含まない既知の化合物である。実施例1及び2並びに比較例1を合成する際には、以下の化合物粉末を原料として用いた。
炭酸カルシウム(CaCO3):純度2N5、関東化学株式会社製
酸化イットリウム(Y2O3):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化セリウム(CeO2):純度4N、信越化学工業株式会社製
酸化ジルコニウム(ZrO2):純度3N、関東科学株式会社製
酸化アルミニウム(θ−Al2O3):純度4N5、住友化学株式会社製
フッ化アルミニウム(AlF3):純度3N、株式会社高純度化学研究所製
酸化イットリウム(Y2O3):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化セリウム(CeO2):純度4N、信越化学工業株式会社製
酸化ジルコニウム(ZrO2):純度3N、関東科学株式会社製
酸化アルミニウム(θ−Al2O3):純度4N5、住友化学株式会社製
フッ化アルミニウム(AlF3):純度3N、株式会社高純度化学研究所製
また、反応促進剤として、以下の化合物粉末を用いた。
フッ化アルミニウム(AlF3):純度3N、株式会社高純度化学研究所製
炭酸カリウム(K2CO3):純度2N5、関東化学株式会社製
フッ化アルミニウム(AlF3):純度3N、株式会社高純度化学研究所製
炭酸カリウム(K2CO3):純度2N5、関東化学株式会社製
上記酸化アルミニウムは原料同士の反応性を高める目的で用いたものである。酸化アルミニウムとしては住友化学株式会社製のAKP−G008を用いた。
[実施例1及び2、並びに比較例1]
はじめに、表1に示す割合で、各原料及び反応促進剤を秤量した。次に、ボールミルを用いて、これらの原料及び反応促進剤を適量の純水と共に、十分に湿式混合した。さらに、混合後の原料を容器に移し、乾燥機を用いて120℃で一晩乾燥させた。乾燥後の混合原料を乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、焼成原料とした。その後、焼成原料を蓋付きのアルミナるつぼに移し、電気炉を用いて、1600℃の大気中もしくは還元ガス(96%N2+4%H2)中で2時間焼成した。このようにして、実施例1及び2並びに比較例1の化合物を調製した。
はじめに、表1に示す割合で、各原料及び反応促進剤を秤量した。次に、ボールミルを用いて、これらの原料及び反応促進剤を適量の純水と共に、十分に湿式混合した。さらに、混合後の原料を容器に移し、乾燥機を用いて120℃で一晩乾燥させた。乾燥後の混合原料を乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、焼成原料とした。その後、焼成原料を蓋付きのアルミナるつぼに移し、電気炉を用いて、1600℃の大気中もしくは還元ガス(96%N2+4%H2)中で2時間焼成した。このようにして、実施例1及び2並びに比較例1の化合物を調製した。
次に、得られた化合物の結晶構造解析を行った。図4は、実施例1及び2並びに比較例1のX線回折(XRD)パターンを示す。なお、XRDパターンは、X線回折装置(製品名:MultiFlex、株式会社リガク製)を用いて評価した。
図5は、実施例1及び2並びに比較例1の蛍光体のX線回折結果を示すグラフである。図5には、Al5Y3O12のパターンも示す。図5より、実施例1及び2並びに比較例1のXRDパターンは、Al5Y3O12のパターンと、形状面での特徴が一致していることが分かった。すなわち、実施例1及び2並びに比較例1の化合物のXRDパターンは、Al5Y3O12に対して、回折ピークの強度比が異なっているものの、回折ピークの数に過不足がないことが分かった。また、実施例1及び2並びに比較例1のXRDパターンの形状は、Al5Y3O12のXRDパターンにおける各々の回折ピークが、全体的に低角側に移動した形状となっていることが分かった。なお、図45では、回折ピークの対応関係を矢印で示した。
実施例1及び2並びに比較例1とAl5Y3O12とのXRDパターンの一致より、実施例1及び2並びに比較例1の化合物が、Al5Y3O12、すなわちY3Al2(AlO4)3と同じ柘榴石の結晶構造を有する化合物であることを示すことが分かった。
なお、実施例1及び2の化合物に紫外線(波長365nm)を照射したところ、いずれも明るい青緑色の蛍光が目視観察された。
[発光特性評価]
実施例1及び2並びに比較例1の化合物の励起特性と発光特性を、分光蛍光光度計(FP−6500(製品名:日本分光株式会社製)と、瞬間マルチ測光システム(QE−1100:大塚電子株式会社製)とを併用して評価した。なお、測定精度を高める目的で、発光スペクトルの測定には瞬間マルチ測光システムを用い、励起スペクトルの測定には分光蛍光光度計を用いた。発光スペクトル測定時の励起波長は420nmとし、励起スペクトル測定時のモニタ波長は470nmとした。
実施例1及び2並びに比較例1の化合物の励起特性と発光特性を、分光蛍光光度計(FP−6500(製品名:日本分光株式会社製)と、瞬間マルチ測光システム(QE−1100:大塚電子株式会社製)とを併用して評価した。なお、測定精度を高める目的で、発光スペクトルの測定には瞬間マルチ測光システムを用い、励起スペクトルの測定には分光蛍光光度計を用いた。発光スペクトル測定時の励起波長は420nmとし、励起スペクトル測定時のモニタ波長は470nmとした。
図6は、実施例1及び2並びに比較例1の化合物の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。図6より、実施例1及び2並びに比較例1の化合物の励起スペクトルは、420nm付近にCe3+の電子エネルギー遷移に由来する励起ピークを有することが分かった。また、実施例1及び2並びに比較例1の化合物の発光スペクトルは、470nm付近にCe3+の電子エネルギー遷移に由来するブロードな蛍光成分を有することが分かった。
[温度特性評価]
蛍光体の温度特性は、蛍光体の量子効率の温度依存性を測定することによって評価した。蛍光体の量子効率の測定は、大塚電子株式会社製量子効率測定システムQE-1100を用いて行った。測定及び解析の条件は以下の通りとした。
励起波長:420nm
積算回数:30回
露光時間:オート
測定温度範囲:30℃〜200℃
測定温度ステップ:10℃
励起光波長範囲:±20nm
蛍光波長範囲:440nm〜800nm
蛍光体の温度特性は、蛍光体の量子効率の温度依存性を測定することによって評価した。蛍光体の量子効率の測定は、大塚電子株式会社製量子効率測定システムQE-1100を用いて行った。測定及び解析の条件は以下の通りとした。
励起波長:420nm
積算回数:30回
露光時間:オート
測定温度範囲:30℃〜200℃
測定温度ステップ:10℃
励起光波長範囲:±20nm
蛍光波長範囲:440nm〜800nm
図7は実施例1及び比較例1の化合物の30℃での内部量子効率に対する内部量子効率維持率を示すグラフである。図7より、実施例1及び比較例1の化合物の内部量子効率維持率が温度依存性を示すことが分かった。また、図7より、実施例1の化合物は比較例1の化合物に比べて高温時の内部量子効率の低下が小さいことが分かった。これは実施例1の化合物が比較例1の化合物よりも良好な温度特性を有していることを意味する。
また、図8は実施例2及び比較例1の化合物の30℃での内部量子効率に対する内部量子効率維持率を示すグラフである。図8より、実施例2及び比較例1の化合物の内部量子効率維持率が温度依存性を示すことが分かった。また、図8より、実施例2の化合物は実施例1の化合物と同様に比較例1の化合物よりも良好な温度特性を有していることが分かった。
以上、実施例に沿って本実施形態の内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
100 発光装置(半導体発光装置)
120 LED(発光素子)
120 LED(発光素子)
Claims (10)
- フッ素を含むガーネット結晶構造の母体結晶の一部が、Ce3+で置換された結晶構造を有し、
励起スペクトルが、波長380nm以上460nm未満の波長領域内にCe3+の電子エネルギー遷移に由来する励起ピークを有し、
発光スペクトルが、波長450nm以上500nm未満の波長領域内にありかつCe3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、波長535nm以上560nm未満の波長領域内にありかつTb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、及び波長580nm以上650nm未満の波長領域内にありかつEu3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピーク、から選ばれる少なくとも一つの発光ピークを有することを特徴とする蛍光体。 - 前記発光スペクトルは、前記Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを波長500nm以上600nm未満の波長領域内に有さないことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
- 前記発光スペクトルは、前記Tb3+の電子エネルギー遷移に由来する発光ピークを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 前記母体結晶が酸フッ化物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 前記母体結晶は、AlO4四面体を含む結晶構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 前記母体結晶は、前記AlO4四面体を構成する原子の一部がフッ素で置換されたものであることを特徴とする請求項5に記載の蛍光体。
- 前記母体結晶は、下記式(1)で表される組成式を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光体。
M2LnZr2(AlO4)3―xF5x (1)
(式中、前記Mはアルカリ土類金属であり、Lnは希土類である。) - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
- 波長380nm以上460nm未満の波長領域内で発光スペクトルの強度最大値を示す短波長可視光を放射する発光素子を備えることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
- 前記発光素子は、固体発光素子であることを特徴とする請求項9に記載の発光装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110857388A (zh) * | 2018-08-23 | 2020-03-03 | 有研稀土新材料股份有限公司 | 一种近红外发光材料以及含该发光材料的发光装置 |
-
2015
- 2015-04-13 JP JP2015081407A patent/JP2016199696A/ja active Pending
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