JP2015166423A - 蛍光体及びこれを用いた発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線又は紫色光により輝線状の緑色発光成分を放出することが可能な蛍光体を提供する。
【解決手段】本発明の蛍光体は、一般式:
AELnMO
で示される組成を有する。なお、式中、2.5≦h+i+j≦3.5、1≦h≦3.5、0<i≦1、0≦j≦1の範囲を満たす。AEはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Lnは少なくともCe及びTbを含有し、Aはアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Mは少なくともAl又はGaを含有する。そして、Tb3+による輝線状の緑色発光のピーク強度が、Ce3+によるブロードな青緑色発光のピーク強度よりも高い。
【選択図】図6

Description

本発明は、蛍光体及びこれを用いた発光装置に関する。詳細には、本発明は、好ましい照明光を得るために色調制御された蛍光体及びこれを用いた発光装置に関する。
近年、発光ダイオード(LED)を用いた固体照明の産業化に伴い、その用途が多様化している。そのため、従来には無い発光特性を持つ固体照明用の蛍光体が求められている。そして、これまで輝線状の緑色発光成分や赤色発光成分を放つ蛍光体が開発されている。
従来、SrAlOFのSrの一部をCeとNaで置換した蛍光体が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。当該蛍光体は、波長が200nm以上500nm以下の光によって励起され、青〜黄色の光を放出する。そして、当該蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は、蛍光体の組成を変化させることにより450nmから570nmの間で移動することが開示されている。
また、従来、一般式((Sr1−z1−(x+w)Ce(Al1−ySi)O4+y+3(x−w)1−y−3(x−w)を有する系を含んでいる蛍光体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。そして、当該蛍光体は、Ce3+に加えて他の賦活剤イオンをドープできることが記載されている。そのようなイオンとしては、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Tm、Er、Ho、Nd、Bi、Yb、Pb、Yb、Mn、Ag若しくはCu又はこれらの任意の組合せが記載されている。
特開2010−100825号公報
Wanping Chen et al., "Journal of The Electrochemical Society", 2010, vol.157, Issue 5, pp.J159-J163
固体照明の高効率化と高演色化の両立には、紫外光又は可視光により励起可能であり、且つ高効率で輝線状の緑色光成分を含む蛍光を放つ蛍光体が求められる。しかしながら、このような蛍光体は少なく、実用化に至る蛍光体は限られている。また、特許文献1はCe3+に加えて他の賦活剤イオンをドープできることは記載されているが、輝線状の緑色光成分を放出する蛍光体については記載されていない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、紫外線又は紫色光により輝線状の緑色発光成分を放出することが可能な蛍光体及びこれを用いた発光装置を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る蛍光体は、一般式:
AELnMO
で示される組成を有する。なお、式中、2.5≦h+i+j≦3.5、1≦h≦3.5、0<i≦1、0≦j≦1の範囲を満たす。AEはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Lnは少なくともCe及びTbを含有し、Aはアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Mは少なくともAl又はGaを含有する。そして、Tb3+による輝線状の緑色発光のピーク強度が、Ce3+によるブロードな青緑色発光のピーク強度よりも高い。
本発明の第2の態様に係る蛍光体は、第1の態様に係る蛍光体において、AEは、Srと、Sr以外のアルカリ土類金属、Fe、Mn、Zn、Cd、Co及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。Lnは、Ce及びTbと、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Sb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。Aは、Naと、Na以外のアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有する。Mは、Al又はGaと、B、Zn、Si、Ge、In及びPからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有する。
本発明の第3の態様に係る蛍光体は、第1又は第2の態様に係る蛍光体において、AEはSrであり、LnはTb及びCeであり、AはNaであり、MはAl又はGaである。
本発明の第4の態様に係る蛍光体は、第1乃至第3の態様のいずれかに係る蛍光体において、535nm以上555nm以下の波長領域にTb3+に基づく発光ピークを持つ。
本発明の第5の態様に係る蛍光体は、第1乃至第4の態様のいずれかに係る蛍光体において、200nm以上500nm以下の波長領域の光により励起される。
本発明の第6の態様に係る発光装置は、第1乃至第5の態様のいずれかに係る蛍光体を備える。
本発明の第7の態様に係る発光装置は、第6の態様に係る発光装置において、蛍光体が350nm以上500nm未満の範囲内に強度最大値を持つ短波長可視光によって励起する。
本発明の第8の態様に係る発光装置は、第7の態様に係る発光装置において、短波長可視光を放つ固体発光素子をさらに備える。
本発明の蛍光体は、350nm以上500nm未満の短波長可視光で励起可能であって、さらに視認性が良好な緑色光を放出し得る。また、視感度が高い535nm以上555nm以下の範囲内に発光成分が集中するため、当該蛍光体を発光装置に用いた場合、装置の発光効率を向上させることが可能となる。
本発明の実施形態に係る発光装置を説明するための概略図である。 本発明の実施形態に係る半導体発光装置の一例を模式的に示す斜視図である。 (a)は図2におけるA−A線断面図であり、(b)は図2におけるB−B線断面図である。 半導体発光装置における封止部材の形成方法を説明するための図である。 実施例及び比較例に係る蛍光体のXRDパターンを示す図である。 実施例及び比較例に係る蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 固体発光素子としての青色LED、実施例2又は比較例1の蛍光体、及び赤色蛍光体を用いて、相関色温度が5000Kの三波長形の白色系出力光を放つようにした場合をシミュレーションした分光分布を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る蛍光体及び当該蛍光体を用いた発光装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[蛍光体]
一般に蛍光体は、結晶質の化合物を構成する元素の一部を、蛍光を放つイオンとなり得る元素で部分置換した化合物を指す。このような特性を持つイオンは、通常「発光中心」と呼ばれる。そして、本実施形態の蛍光体は、当該結晶質の化合物としての母体に、発光中心としてのイオンが導入されている。これにより、当該蛍光体は、外部刺激、例えば粒子線(α線、β線、電子線)や電磁波(γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線)の照射などによって容易に励起され、蛍光を放つことが可能となる。
そして、本実施形態に係る蛍光体は、一般式(1)で示される組成を有している。
AELnMOF (1)
式中、2.5≦h+i+j≦3.5、1≦h≦3.5、0<i≦1、0≦j≦1の範囲を満たす。また、AEはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Lnは少なくともセリウム(Ce)及びテルビウム(Tb)を含有する。さらに、Aはアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Mは少なくともアルミニウム(Al)又はガリウム(Ga)を含有する。なお、式中、2.9≦h+i+j≦3.1、2≦h≦2.9、0.01≦i≦0.5、0.01≦j≦0.5の範囲であることがより好ましい。
本実施形態に係る蛍光体は、換言すれば、SrAlOFを母体結晶として、ストロンチウム(Sr)の一部を少なくともCe及びTbで置換した蛍光体である。そのため、本実施形態の蛍光体は、発光中心として、セリウムイオン(Ce3+)とテルビウムイオン(Tb3+)とを含有している。そして、当該蛍光体の発光スペクトルは、図6に示す特徴的な形状を有している。本実施形態の蛍光体が図6に示す特徴的なスペクトルを示すメカニズムについて説明する。
一般に、Ce3+付活蛍光体は吸収した光を長波長の光に変換し、その変換光は幅の広い分光分布を持つことが知られている。それに対して、Tb3+付活蛍光体は吸収した光を長波長の光に変換するが、その変換光は535nm以上555nm未満に強度最大値を持ち、複数の輝線からなることが知られている。
また、Ce3+とTb3+の両方を付活した蛍光体では、共鳴伝達と呼ばれるメカニズムによって、Ce3+が吸収したエネルギーの少なくとも一部がTb3+へ移動することも知られている。共鳴伝達によるエネルギー移動が生じるためには、通常、Ce3+の発光スペクトルとTb3+の吸収スペクトルが重なっている必要がある。そして、従来より、このCe3+からTb3+へのエネルギー伝達を利用して、ランプ用の緑色蛍光体が開発されている(例えば、(La,Ce,Tb)PO、(Ce,Tb)MgAl1119、(Gd,Ce,Tb)MgB10)。ただし、当該ランプ用の緑色蛍光体の場合、励起スペクトルのピークは254nm付近にあり、Ce3+の発光成分のピークは450nm未満の波長域に位置する。
一方で、Ce3+からTb3+への共鳴伝達については、Ce3+が波長450nm以上490nm以下の青色乃至青緑色光を放つときであっても、Ce3+の発光スペクトルとTb3+の吸収スペクトルの重なりを持つことができる。そのため、原理的にCe3+からTb3+へのエネルギー伝達が可能である。つまり、450nm以上500nm以下の範囲に発光成分を持つCe3+付活蛍光体にTb3+を共付活した場合であっても、Ce3+の発光スペクトルとTb3+の吸収スペクトルが重なりを持つため、Ce3+からTb3+への共鳴伝達が生じることになる。さらに、Tb3+の濃度が高い場合には、Tb3+とCe3+の間のイオン間距離が近くなるため、Ce3+が吸収したエネルギーの殆ど全てがTb3+に移動し、Tb3+に起因する線状の発光が主体として現れる。また、Tb3+の濃度が低い場合であっても、Ce3+が吸収したエネルギーの多くがTb3+に移動する。そのため、Ce3+に起因し、470nm以上530nm以下の範囲にピークを有するブロードな発光成分と、Tb3+に起因し、535nm以上555nm以下の範囲にピークを有する輝線状の発光成分とが認められるようになる。なお、本発明の蛍光体が他のメカニズムにより上述のような発光スペクトルを示していたとしても、本発明の技術的範囲は何ら影響を受けることはない。
上述のように、本実施形態の蛍光体は、Ce3+とTb3+とを共付活剤として含有している。そして、Ce3+は発光中心として作用するだけでなく、Tb3+の増感剤としても作用し、輝線状の緑色成分を持つTb3+の発光強度を増すことができる。また、Ce3+は、無機酸化物の結晶格子中に存在する場合、短波長可視光を吸収する機能も持つ。そのため、本実施形態の蛍光体では、Ce3+とTb3+を共存させることにより、短波長可視光をCe3+が吸収し、Ce3+が吸収した光エネルギーを効率よくTb3+に移動させるため、短波長可視光を輝線状の緑色光へ波長変換することが可能となる。
そのため、本実施形態の蛍光体は、Tb3+による輝線状の緑色発光のピーク強度が、Ce3+によるブロードな青緑色発光のピーク強度よりも高い。つまり、Tb3+による535nm以上555nm以下の波長領域のピーク強度が、Ce3+による470nm以上530nm以下の波長領域のピーク強度よりも高い。その結果、本実施形態の蛍光体は、視認性が良好な緑色光を放出することが可能となる。ここで、本明細書において、「ブロードな発光」とは、当該発光に対応する発光スペクトルの半値幅(FWHM)が50〜150nmであることを意味する。また、輝線状の発光とは、当該発光に対応する発光スペクトルの半値幅(FWHM)が10〜30nmであることを意味する。
上述のように、本実施形態の蛍光体は、一般式:AELnMOFで表される組成を有している。そして、AEはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Lnは少なくともCe及びTbを含有し、Aはアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Mは少なくともAl又はGaを含有する。そして、当該一般式におけるOは酸素を表し、Fはフッ素を表す。そのため、本実施形態の蛍光体がこれらの元素を含有していれば、本発明の効果を損なわず、さらに当該蛍光体の結晶構造を維持できる範囲で他の元素を含有していても構わない。
本実施形態の蛍光体において、AEはアルカリ土類金属を含有しているが、その中でもストロンチウム(Sr)を含有していることが好ましい。さらに、AEは、Srと、Sr以外のアルカリ土類金属、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、コバルト(Co)及び銅(Cu)からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有していてもよい。つまり、AEは、二価のイオンと成り得る元素で部分置換することが可能である。なお、Sr以外のアルカリ土類金属としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びバリウム(Ba)を挙げることができる。アルカリ土類金属は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本実施形態の蛍光体において、Lnはセリウム(Ce)及びテルビウム(Tb)を含有している。また、Ce及びTbの他に、希土類元素や三価のイオンと成り得る元素を含有していてもよい。具体的には、Lnは、Ce及びTbと、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Sb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有していてもよい。
本実施形態の蛍光体において、Aはアルカリ金属を含有している。つまり、AはNa等の一価のイオンとなり得る元素を含有する。Aは、Sr2+等の二価のイオンをTb3+やCe3+等の三価のイオンで置換する際に電荷補償剤として機能する。Aを含有することにより、結晶のイオン的な中性度を保つことができる。この結果、発光中心イオンを高い濃度で添加可能となり、且つ結晶性も良好となるので、高性能の蛍光体となり得る。
なお、本実施形態に係る蛍光体において、Aは必ずしも含有されていなくてもよい。また、Aは、ナトリウム(Na)に特に限定されず、Na以外の一価のイオンとなり得る元素を含有していてもよい。一価のイオンとなり得る元素としてはアルカリ金属を含有しうる。アルカリ金属としては、Na以外ではリチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)が挙げられる。アルカリ金属は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本実施形態の蛍光体において、Mはアルミニウム(Al)又はガリウム(Ga)を含有している。Al及びGaは、蛍光体結晶の骨格を成す元素である。そのため、Al及びGaはその他の骨格を成す元素と部分置換してもよい。具体的には、Mは、Al又はGaと、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)及びリン(P)からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有してもよい。
本実施形態の蛍光体において、AEはSrであり、LnはTb及びCeであり、AはNaであり、MはAl又はGaであることがより好ましい。これらの元素を使用することにより、図6に示すような、紫色光により励起し、輝線状の緑色発光を示す特徴的な発光スペクトルを得ることが可能となる。
例えば、本実施形態に係る蛍光体は、(Sr0.92Ce0.02Tb0.02Na0.04AlOFで表される組成を有する。このとき、一般式(1)において、AEはSrであり、LnはCe及びTbであり、AはNaであり、MはAlである。そして、h+i+j=3、h=2.76、i=0.12、j=0.12である。
また、本実施形態に係る蛍光体は、例えば(Sr0.8Ce0.02Tb0.08Na0.1AlOFで表される組成を有する。このとき、一般式(1)において、AEはSrであり、LnはCe及びTbであり、AはNaであり、MはAlである。そして、h+i+j=3、h=2.4、i=0.3、j=0.3である。
さらに本実施形態の蛍光体の発光スペクトルにおいて、535nm以上555nm以下の波長領域にTb3+に基づく発光ピークを持つことが好ましい。つまり、535nm以上555nm以下の波長範囲内における発光ピークは、当該発光スペクトルの最大強度となる。そのため、視認性が良好な緑色光を放出することができる。また、視感度の高い535nm以上555nm以下の範囲内に発光成分が集中するため、当該蛍光体を発光装置に用いた場合、装置の発光効率を向上させることが可能となる。
上述のように、Ce3+は、無機酸化物の結晶格子中に存在する場合、紫外線又は紫外光を吸収する機能を有する。そのため、本実施形態の蛍光体は、200nm以上500nm以下の波長領域の光により励起されることが好ましい。この場合、紫外線又は紫外光を放つ固体発光素子、例えば発光ダイオードチップ(LEDチップ)と組み合わせることによって、照明光源を構成できるようになる。
さらに、本実施形態の蛍光体は、350nm以上500nm未満の範囲内に強度最大値を持つ短波長可視光によって励起することが好ましい。この場合、既存の紫外光を放つ固体発光素子を利用できるので、発光装置の製造が比較的容易となる。
本実施形態に係る蛍光体は、一般式(1)で示される組成を有している。
AELnMOF (1)
式(1)中、2.5≦h+i+j≦3.5、1≦h≦3.5、0<i≦1、0≦j≦1の範囲を満たす。また、AEはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Lnは少なくともCe及びTbを含有し、さらにAはアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Mは少なくともAl又はGaを含有する。そして、Tb3+による輝線状の緑色発光のピーク強度が、Ce3+によるブロードな青緑色発光のピーク強度よりも高い。
本実施形態に係る蛍光体は、少なくともCeとTbを含有するため、紫外光又は可視光で励起され、Tb3+に基づく輝線状の緑色蛍光成分を含む蛍光を放つことが可能となる。このように、当該蛍光体は、紫外光又は可視光を輝線状の緑色光へ波長変換することができるので、高効率と高演色性とを両立する照明光を得ることが可能となる。
本実施形態の蛍光体は、公知の手法により製造することが可能である。具体的には、従来のイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)と同様に、公知の固相反応を用いて合成することができる。
まず、普遍的なセラミックス原料粉末である希土類酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩、Alなどを準備する。次に、所望の無機酸化物の化学量論的組成又はこれに近い組成となるように原料粉末を調合し、乳鉢やボールミルなどを用いて十分に混合する。その後、アルミナるつぼなどの焼成容器を用いて、電気炉などにより混合原料を焼成することで、本実施形態の蛍光体を調製することができる。なお、混合原料を焼成する際には、大気中又は弱還元雰囲気下、1300〜1600℃の焼成温度にて数時間加熱することが好ましい。
なお、本実施形態の蛍光体は、水、有機溶剤、樹脂などの溶媒や水ガラスなどと適宜混合して、スラリー状、ペースト状、ゾル状、ゲル状としたものとして利用することができる。
[発光装置]
次に、本発明の実施形態に係る発光装置を説明する。本実施形態の発光装置は、上記蛍光体を備えることを特徴とする。上述のように、本実施形態の蛍光体は、少なくとも輝線状の緑色光成分を含む蛍光を放出する。このため、本実施形態の発光装置では、上記蛍光体と当該蛍光体を励起する励起源とを組み合わせることによって、効果的に色調制御された蛍光を出力することが可能となる。
なお、本実施形態の発光装置は、発光する機能を備えた電子装置を広く包含するものであり、何らかの光を発する電子装置であれば特に限定されるものではない。つまり、本実施形態の発光装置は、少なくとも本実施形態の蛍光体を利用しており、さらに当該蛍光体が放つ蛍光を少なくとも出力光として利用する発光装置である。
より詳細に説明すると、本実施形態の発光装置は、前記蛍光体と当該蛍光体を励起する励起源とを組み合わせている。そして、前記蛍光体は、励起源が放つエネルギーを吸収し、吸収したエネルギーを色調制御された蛍光に変換するものである。なお、励起源は、蛍光体の励起特性に合わせて、放電装置、電子銃、固体発光素子などから適宜選択すればよい。
従来より、蛍光体を利用する発光装置は数多くあり、例えば蛍光灯や電子管、プラズマディスプレイパネル(PDP)、白色LED、さらには蛍光体を利用する検出装置などがこれに該当する。広義には、蛍光体を利用する照明光源及び照明装置並びに表示装置なども発光装置であり、レーザーダイオードを備えるプロジェクターやLEDバックライトを備える液晶ディスプレイなども発光装置とみなされる。ここで本実施形態の発光装置は、蛍光体が放つ蛍光の種別によって分類できるため、この分類について説明する。
電子装置に利用される蛍光現象は、学術的に幾つかに区分されており、フォトルミネッセンス、カソードルミネッセンス、エレクトロルミネッセンスなどの用語で区別されている。「フォトルミネッセンス(photoluminescence)」とは、蛍光体に電磁波を照射したときに蛍光体が放つ蛍光をいう。なお、「電磁波」という用語は、X線、紫外線、可視光及び赤外線などを総称して指す。「カソードルミネッセンス(cathodeluminescence)」とは、蛍光体に電子線を照射したときに蛍光体が放つ蛍光をいう。また、エレクトロルミネッセンス(electroluminescence)とは、蛍光体に電子を注入したり電界をかけたりしたときに放つ蛍光をいう。原理的にフォトルミネッセンスに近い蛍光として、サーモルミネッセンス(thermoluminescence)という用語もあるが、これは蛍光体に熱を加えたときに蛍光体が放つ蛍光をいう。また、原理的にカソードルミネッセンスに近い蛍光として、ラジオルミネッセンス(radioluminescence)という用語もあるが、これは蛍光体に放射線を照射したときに蛍光体が放つ蛍光をいう。
先に説明したように、本実施形態の発光装置は、上述の蛍光体が放つ蛍光を少なくとも出力光として利用するものである。そして、ここでいう蛍光は少なくとも上述のように区分することができるため、当該蛍光は、上記ルミネッセンスから選ばれる少なくとも一つの蛍光現象として置き換えることができる。
なお、蛍光体のフォトルミネッセンスを出力光として利用する発光装置の典型例としては、X線イメージインテンシファイア、蛍光灯、白色LED、蛍光体とレーザーダイオードを利用する半導体レーザープロジェクター及びPDPが挙げられる。また、カソードルミネッセンスを出力光とする発光装置の典型例としては、電子管、蛍光表示管及びフィールドエミッションディスプレイ(FED)が挙げられる。さらに、エレクトロルミネッセンスを出力光とする発光装置の典型例としては、無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(無機EL)、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)及び有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)が挙げられる。
以下、図面を参考に本実施形態の発光装置を説明する。図1は、本実施形態に係る発光装置の概略を示す。図1(a)及び図1(b)において、励起源1は、本実施形態の蛍光体2を励起するための一次光を生成する光源である。励起源1は、α線、β線、電子線などの粒子線や、γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光(特に紫色光の短波長可視光)などの電磁波を放つ放射装置を用いることができる。また励起源1としては、各種の放射線発生装置や電子ビーム放射装置、放電光発生装置、固体発光素子、固体発光装置なども用いることができる。励起源1の代表的なものとしては、電子銃、X線管球、希ガス放電装置、水銀放電装置、発光ダイオード、半導体レーザーを含むレーザー光発生装置、無機又は有機のエレクトロルミネッセンス素子などが挙げられる。
また、図1(a)及び図1(b)において、出力光4は、励起源1が放つ励起線又は励起光3によって励起された蛍光体2が放つ蛍光である。そして出力光4は、発光装置において照明光や表示光として利用されるものである。
図1(a)では、励起線又は励起光3を蛍光体2に照射する方向に、蛍光体2からの出力光4が放出される構造の発光装置を示す。なお、図1(a)に示す発光装置としては、白色LED光源や蛍光ランプ、電子管などが挙げられる。一方、図1(b)では、励起線又は励起光3を蛍光体2に照射する方向とは逆の方向に、蛍光体2からの出力光4が放出される構造の発光装置を示す。図1(b)に示す発光装置としては、プラズマディスプレイ装置や反射板付き蛍光体ホイールを利用する光源装置、プロジェクターなどが挙げられる。
本実施形態の発光装置の具体例として好ましいものは、蛍光体を利用して構成した半導体発光装置、照明光源、照明装置、LEDバックライト付き液晶パネル、LEDプロジェクター、レーザープロジェクターなどである。そして、本実施形態の発光装置は、380nm以上420nm未満の範囲内に強度最大値を持つ短波長可視光によって蛍光体を励起する構造を有することが好ましい。さらに当該発光装置は、短波長可視光を放つ固体発光素子をさらに備えることが好ましい。励起源として固体発光素子を用いることにより、衝撃に強い全固体の発光装置、例えば固体照明を実現することが可能となる。
以下、本実施形態に係る半導体発光装置の具体例を詳細に説明する。図2に示すように、本実施形態に係る半導体発光装置100は、基板110、複数のLED(発光素子)120、及び複数の封止部材130を備える。基板110は、例えば、セラミック基板や熱伝導樹脂などからなる絶縁層とアルミ板などからなる金属層との二層構造を有する。基板110は略方形の板状であって、基板110の短手方向(X軸方向)の幅W1が12〜30mmであり、長手方向(Y軸方向)の幅W2が12〜30mmである。
図3(a)及び(b)に示すように、LED120は、例えばGaN系のLEDであって、平面視形状が略長方形である。そしてLED120は、短手方向(X軸方向)の幅W3が0.3〜1.0mm、長手方向(Y軸方向)の幅W4が0.3〜1.0mm、厚み(Z軸方向の幅)が0.08〜0.30mmである。
そしてLED120は、基板110の長手方向(Y軸方向)とLED120の素子列の配列方向とが一致するように配置されている。LED120は、一列に並んだ複数のLED120ごと素子列を構成しており、それら素子列が基板110の短手方向(X軸方向)に沿って複数列並べて実装されている。具体的には、例えば、25個のLED120が5列5行でマトリックス状に実装されている。すなわち、1つの素子列は5個のLEDで構成され、そのような素子列が5行並べて実装されている。
各素子列では、LED120が長手方向(Y軸方向)に直線状に配列されている。このようにLED120を直線状に配列することによって、それらLED120を封止する封止部材130も直線状に形成することができる。
図3(b)に示すように、各素子列は、それぞれ長尺状の封止部材130によって個別に封止されている。そして、1つの素子列とその素子列を封止する1つの封止部材130とによって、1つの発光部101を構成している。したがって、半導体発光装置100は5つの発光部101を備えていることになる。
封止部材130は、蛍光体を含有した透光性の樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン・エポキシのハイブリッド樹脂、ユリア樹脂などを用いることができる。また、蛍光体としては、本実施形態の蛍光体を用いることができる。ただ、蛍光体としては、本実施形態の蛍光体のみならず、例えば、Eu2+、Ce3+、Tb3+、Mn2+の少なくともいずれかで付活した酸化物や酸ハロゲン化物などの酸化物系蛍光体も用いることができる。また、蛍光体としては、Eu2+、Ce3+、Tb3+、Mn2+の少なくともいずれかで付活した窒化物や酸窒化物などの窒化物系蛍光体、又は硫化物や酸硫化物などの硫化物系蛍光体も用いることができる。
具体的には、青色蛍光体として、BaMgAl1017:Eu2+、CaMgSi:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、Sr10(POCl:Eu2+などが挙げられる。緑青又は青緑色蛍光体として、SrSiCl:Eu2+、SrAl1424:Eu2+、BaAl13:Eu2+、BaSiO:Eu2+が挙げられる。さらに緑青又は青緑色蛍光体として、BaZrSi:Eu2+、CaYZr(AlO:Ce3+、CaYHf(AlO:Ce3+、CaYZr(AlO:Ce3+,Tb3+が挙げられる。緑色蛍光体として、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+,Mn2+が挙げられる。さらに緑色蛍光体として、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、CeMgAl1119:Mn2+、YAl(AlO:Ce3+、LuAl(AlO:Ce3+が挙げられる。また、緑色蛍光体として、YGa(AlO:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Ce3+、β−Si:Eu2+、SrSi:Eu2+が挙げられる。緑色蛍光体として、BaSi12:Eu2+、SrSi13Al21:Eu2+、YTbSiC:Ce3+、SrGa:Eu2+が挙げられる。緑色蛍光体として、CaLaZr(AlO:Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+,Pr3+が挙げられる。緑色蛍光体として、ZnSiO:Mn2+、MgGa:Mn2+が挙げられる。緑色蛍光体として、LaPO:Ce3+,Tb3+、YSiO:Ce3+,CeMgAl1119:Tb3+、GdMgB10:Ce3+,Tb3+が挙げられる。黄又は橙色蛍光体として、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、(Y,Gd)Al12:Ce3+、α−Ca−SiAlON:Eu2+が挙げられる。黄又は橙色蛍光体として、YSiC:Ce3+、LaSi11:Ce3+、YMgAl(AlO(SiO):Ce3+が挙げられる。赤色蛍光体としては、SrSi:Eu2+、CaAlSiN:Eu2+、SrAlSi:Eu2+、CaS:Eu2+、LaS:Eu3+、YMg(AlO)(SiO:Ce3+が挙げられる。また、赤色蛍光体として、Y:Eu3+、YS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、YVO:Eu3+が挙げられる。赤色蛍光体として、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、KSiF:Mn4+、GdMgB10:Ce3+,Mn2+が挙げられる。
図3に示すように、封止部材130は、短手方向(X軸方向)の幅W5が0.8〜3.0mm、長手方向(Y軸方向)の幅W6が3.0〜40.0mmであることが好ましい。また、LED120を含めた最大厚み(Z軸方向の幅)T1が0.4〜1.5mm、LED120を含めない最大厚みT2が0.2〜1.3mmであることが好ましい。封止信頼性を確保するためには、封止部材130の幅W5はLED120の幅W3に対して2〜7倍であることが好ましい。
封止部材130の短手方向に沿った断面の形状は図3(a)に示すように、略半楕円形である。また、封止部材130の長手方向の両端部131,132は、R形状になっている。具体的には、両端部131,132の形状は、図2に示すように、平面視における形状が略半円形であり、図3(b)に示すように、長手方向に沿った断面の形状が約90°の中心角を有する略扇形である。封止部材130の両端部131,132がこのようにR形状になっている場合は、それら両端部131,132において応力集中が生じ難いと共に、LED120の出射光を封止部材130の外部に取り出し易い。
各LED120は、基板110にフェイスアップ実装される。そして基板110に形成された配線パターン140によって、LED120に電力が供給する図示しない点灯回路ユニットと電気的に接続されている。配線パターン140は、一対の給電用のランド141,142と、各LED120に対応する位置に配置された複数のボンディング用のランド143とを有する。
図3に示すように、LED120は、例えば、ワイヤボンディングによりワイヤ(例えば、金ワイヤ)150を介してランド143と電気的に接続されている。ワイヤ150の一方の端部151はLED120と接合され、他方の端部152はランド143と接合されている。各ワイヤ150は、それぞれ接続対象である発光素子の属する素子列に沿って配置されている。さらに各ワイヤ150の両端部151,152も素子列に沿って配置されている。各ワイヤ150は、LED120やランド143と共に封止部材130により封止されているため劣化し難く、また絶縁されていて安全性も高い。なお、LED120の基板110への実装方法は、上記のようなフェイスアップ実装に限定されず、フリップチップ実装であってもよい。
LED120は、図2に示すように、同じ素子列に属する5個のLED120が直列接続され、5つの素子列が並列接続されている。なお、LED120の接続形態はこれに限定されず、素子列に関係なくどのように接続されていてもよい。ランド141,142には、図示しない点灯回路ユニットの一対のリード線が接続され、それらリード線を介して点灯回路ユニットから各LED120に電力が供給され、これにより各LED120が発光する。
封止部材130は、以下のような手順で形成することができる。まず、図2に示すように、一列に並んだ複数のLED120からなる素子列がX軸方向に複数列並べて実装された基板110を用意する。次に図4に示すように、基板110に、例えばディスペンサ160を用いて、素子列に沿って樹脂ペースト135をライン状に塗布する。その後、塗布後の樹脂ペースト135を固化させることによって、素子列ごとに個別に封止部材130を形成する。
本実施形態の半導体発光装置は、照明光源用や液晶ディスプレイのバックライト用、表示装置用の光源など広く利用可能である。つまり上述のように、本実施形態の蛍光体は、視認性が良好な光を放ち得る。そのため、当該蛍光体を照明光源等に用いた場合、高演色性かつ高効率の照明光源や、高輝度画面の広色域表示が可能な表示装置を提供することができる。
このような照明光源としては、本実施形態の半導体発光装置と、当該半導体発光装置を動作させる点灯回路と、口金など照明器具との接続部品とを組み合わせて構成することができる。また、必要に応じて照明器具を組み合わせれば、照明装置や照明システムを構成することにもなる。
このように、本実施形態の発光装置は、視感度や視認性の面で良好な特性を有するため、上述の半導体発光装置や光源装置以外にも広く利用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
固相反応を利用する調製手法を用いて、実施例及び比較例の蛍光体を合成し、その特性を評価した。なお、本実施例及び比較例では、以下の化合物粉末を原料として使用した。
炭酸ストロンチウム(SrCO):純度99.9%、和光純薬工業株式会社製
酸化テルビウム(Tb):純度99.9%、信越化学工業株式会社製
酸化セリウム(CeO):純度99.9%、信越化学工業株式会社製
炭酸ナトリウム(NaCO):純度99%、和光純薬工業株式会社製
酸化アルミニウム(θ-Al):純度99.995%、住友化学株式会社製
フッ化アンモニウム(NHF):純度97%、和光純薬工業株式会社製
[試料の調製]
まず、原料粉末としてのSrCO、Tb、CeO、NaCO、Al、NHFを表1に示す割合で秤量した。次に、ボールミルを用いて、これらの原料を適量の溶媒と共に混合し、1時間攪拌した。そして混合後の原料を容器に移し、乾燥機を用いて150℃で2時間乾燥させた。乾燥後の混合原料を乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、焼成原料とした。その後、焼成原料をアルミナるつぼに移し、管状電気炉を用いて1100℃の弱還元雰囲気中で2時間焼成した。なお、弱還元雰囲気は、窒素96%と水素4%との混合ガス雰囲気とし、混合ガス流量を100cc/minとした。
Figure 2015166423
このようにして、組成式が(Sr0.92Ce0.02Tb0.02Na0.04AlOFで表される実施例1の化合物、及び組成式が(Sr0.8Ce0.02Tb0.08Na0.1AlOFで表される実施例2の化合物を調製した。さらに、(Sr0.96Ce0.02Na0.02AlOFで表される比較例の化合物を調製した。なお、実施例1は少量のTbを含有し、実施例2は多量のTbを含有する例である。また、比較例1は、Tbを含有しない例である。そして、得られた実施例及び比較例の化合物を使用し、以下の評価を行った。
[結晶構造解析]
実施例及び比較例の化合物の結晶構造解析を行った。図5は、実施例及び比較例の化合物のX線回折(XRD)パターンを示す。なお、XRDパターンは、X線回折装置(製品名:MultiFlex、株式会社リガク製)を用いて評価した。図5では、実施例及び比較例の化合物のXRDパターンと、PDF(Power Diffraction Files)に登録されているSrAlOFのパターンとを示す。
図5より、実施例1及び2のXRDパターンは、SrAlOFのパターンと形状面での特徴が一致している。すなわち実施例の化合物のXRDパターンは、回折ピークの強度比がSrAlOFと異なっているものの、回折ピークの数に過不足がない。そのため、実施例の化合物は、SrAlOFと同一の結晶構造を有する化合物が主相であることが確認された。
[発光特性評価]
実施例及び比較例の化合物の励起特性と発光特性を、分光蛍光光度計(FP−6500(製品名:日本分光株式会社製)と、瞬間マルチ測光システム(QE−1100:大塚電子株式会社製)とを併用して評価した。なお、測定精度を高める目的で、発光スペクトルの測定には瞬間マルチ測光システムを利用し、励起スペクトルの測定には分光蛍光光度計を利用した。そして、発光スペクトル測定時の励起波長は400nmとし、励起スペクトル測定時のモニタ波長については発光ピーク波長、つまり543nmとした。
図6では、実施例及び比較例の化合物の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。図6に示すように、比較例1の化合物では、発光中心としてのTbを含有していないため、青緑色成分を主に放出する。しかし、実施例1及び2の化合物では、当該青緑色発光に加え輝線状の緑色発光成分が重畳している。そして、実施例1及び実施例2より、Tb量が多くなるにつれ、Ce3+由来の500nm付近のブロードな発光成分が減り、545nm付近のTb3+由来の輝線状の緑色発光成分が増していることが分かる。また、蛍光体中におけるTbの含有量(モル数)がCeの含有量以上の場合には、Tb3+による輝線状の緑色発光のピーク強度が、Ce3+によるブロードな青緑色発光のピーク強度よりも高くなることが分かる。また、実施例1及び2の化合物は、紫外線及び可視光によって励起され、Tb3+由来の輝線状の緑色発光を示した。
さらに、図6に示すように、実施例1及び2の励起スペクトルはCe3+によるブロードな励起帯を有し、さらに励起帯は350nm以上500nm以下の範囲内にピークを有している。また、発光スペクトルは、発光ピーク波長が470nm以上530nm以下のブロードな蛍光成分と、発光ピーク波長が535nm以上555nm以下の輝線状の蛍光成分とを有している。そして、535nm以上555nm以下の波長範囲内における発光ピークは、当該発光スペクトルの最大強度となっている。これに対し、Tbを含有していない比較例1の発光スペクトルは、発光ピーク波長が535nm以上555nm以下の線状の蛍光成分を有していないことが分かる。
[シミュレーションによる分光分布評価]
次に、実施例2及び比較例の化合物を用いて、得られる分光分布のシミュレーションを行った。具体的には、固体発光素子としてInGaN青色LEDを用い、さらに実施例2又は比較例1の化合物、及び赤色蛍光体を用いて、相関色温度5000Kの三波長形の白色系出力光を放つようにした場合のシミュレーションを行った。なお、InGaN青色LEDは、出力ピーク波長が450nmである。また、赤色蛍光体は、三菱化学株式会社製の窒化物蛍光体(Ca,Sr)AlSiN:Eu(SCASN)を用いた。図7には、上記シミュレーションにより得られた分光分布の結果を示す。
図7に示すように、実施例2の蛍光体を用いた場合、545nm付近に分光分布の極大値が存在する。つまり、視感度が高い540nmから570nmの間に極大値を有しており、この領域に発光成分が集中している。そのため、比較例1の蛍光体を用いた分光分布に対し、実施例2の蛍光体を用いた分光分布は、器具効率(発光効率)を約15%向上させることができる。
以上、本発明を実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
2 蛍光体

Claims (8)

  1. 一般式:
    AELnMO
    (式中、2.5≦h+i+j≦3.5、1≦h≦3.5、0<i≦1、0≦j≦1の範囲を満たし、AEはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Lnは少なくともCe及びTbを含有し、Aはアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、Mは少なくともAl又はGaを含有する)で示される組成を有し、
    Tb3+による輝線状の緑色発光のピーク強度が、Ce3+によるブロードな青緑色発光のピーク強度よりも高いことを特徴とする蛍光体。
  2. 前記AEは、Srと、Sr以外のアルカリ土類金属、Fe、Mn、Zn、Cd、Co及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、
    前記Lnは、Ce及びTbと、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Sb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有し、
    前記Aは、Naと、Na以外のアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つの元素を含有し、
    前記Mは、Al又はGaと、B、Zn、Si、Ge、In及びPからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素とを含有することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記AEはSrであり、前記LnはTb及びCeであり、前記AはNaであり、前記MはAl又はGaであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光体。
  4. 535nm以上555nm以下の波長領域にTb3+に基づく発光ピークを持つことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光体。
  5. 200nm以上500nm以下の波長領域の光により励起されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蛍光体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
  7. 前記蛍光体は、350nm以上500nm未満の範囲内に強度最大値を持つ短波長可視光によって励起することを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
  8. 前記短波長可視光を放つ固体発光素子をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
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