JP2015221843A - 蛍光体及びこれを用いた発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫色光又は青色光等の短波長可視光を幅広い波長領域に亘って効率よく吸収し輝線状の緑色又は赤色発光成分を放射することが可能な蛍光体及びこれを用いた発光装置を提供する。【解決手段】本発明の蛍光体は、母体化合物と、この母体化合物に含まれる発光中心とを有し、前記母体化合物は、六方晶のBa6Nd2Al4O15型構造を有する。前記発光中心は、Ce3+、Tb3+及びEu3+からなる群より選ばれる少なくとも1種のイオンを含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体及びこれを用いた発光装置に関する。詳細には、本発明は、好ましい照明光を得るために色調制御された蛍光体及びこれを用いた発光装置に関する。
近年、LED(発光ダイオード)照明用の蛍光体には、固体照明の高効率化と高演色化を両立するために、以下のことが求められている。第1に、高効率化の観点から、蛍光体が紫色光又は青色光等の短波長可視光を幅広い波長領域に亘って効率よく吸収することが求められている(第1の要望)。第2に、高演色化の観点から、蛍光体が輝線状の緑色発光成分や赤色発光成分を放射することが求められている(第2の要望)。第3に、LED(発光ダイオード)照明用の蛍光体は、蛍光体が化学的に安定な物質であることが求められている(第3の要望)。さらに、典型的な製造方法である、固相反応で製造が可能であることが好ましい。
従来、固体照明用の蛍光体として、輝線状の緑色発光成分や赤色発光成分を放射する蛍光体が開発されてきた。例えば、輝線状の緑色発光成分を放射する蛍光体としては、(La,Ce)PO:Tb3+、CeMgAl1119:Tb3+等のTb3+付活蛍光体が知られている。また、輝線状の赤色発光成分を放射する蛍光体としては、Y:Eu3+、YS:Eu3+等のEu3+付活蛍光体が広く知られている(非特許文献1)。また、Ce3+からTb3+へのエネルギー伝達を利用して、紫外線を緑色輝線へ波長変換するTb3+付活蛍光体も知られている(特許文献1)。
特公昭59−27787号公報
蛍光体同学会編、「蛍光体ハンドブック」、株式会社オーム社、1987年12月、P10〜13,332 M.Stiebler et al., "physica status solidi (a)", Vol.119, Issue 1 (1990) pp.317-326 M.Nazarov et al., "Moldavian J.Physical ScienCes", Vol.5, N3-4 (2006) pp.366-372 A.A.Setlur, "Electrochemical and Solid-State Letters", 15(6) (2006) J25-J27 J.SokoLnicki, "J.Luminescence", 134(2013) pp.600-606
しかしながら、従来、LED照明用に好適な、上記の第1〜第3の要望を満たす蛍光体は知られていない。すなわち、短波長可視光を幅広い波長領域に亘って効率よく吸収し、輝線状の緑色発光成分や赤色発光成分を放射する化学的に安定な蛍光体は知られていない。具体的には、短波長可視光を幅広い波長領域に亘ってCe3+が効率よく吸収して輝線状の緑色発光成分又は赤色発光成分を高効率で放射する化学的に安定な蛍光体は知られていない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、紫色光又は青色光等の短波長可視光を幅広い波長領域に亘って効率よく吸収し輝線状の緑色又は赤色発光成分を放射することが可能な蛍光体及びこれを用いた発光装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の蛍光体は、母体化合物と、この母体化合物に含まれる発光中心とを有し、前記母体化合物は、六方晶のBaNdAl15型構造を有することを特徴とする。
本発明の蛍光体は、紫色光又は青色光等の短波長可視光を幅広い波長領域に亘って効率よく吸収し、輝線状の緑色発光成分又は輝線状の赤色発光成分を放射する。このため、高効率と高演色性とを両立する照明光を得ることが可能となる。
BaNdAl15型構造を説明する図である。 本発明の実施形態に係る発光装置を説明するための概略図である。 本発明の実施形態に係る半導体発光装置の一例を模式的に示す斜視図である。 (a)は図3におけるA−A線断面図であり、(b)は図3におけるB−B線断面図である。 半導体発光装置における封止部材の形成方法を説明するための図である。 シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターン、及び実施例1〜4に係る蛍光体のXRDパターンを示す図である。 実施例1〜4に係る蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターン、及び実施例5〜7に係る蛍光体のXRDパターンを示す図である。 実施例5〜7に係る蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターン、及び実施例8及び9に係る蛍光体のXRDパターンを示す図である。 実施例8及び9に係る蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。
以下、本実施形態に係る蛍光体及び当該蛍光体を用いた発光装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[蛍光体]
本実施形態に係る蛍光体は、結晶質の化合物を構成する元素の一部を、蛍光を放射するイオンとなり得る元素で部分置換した化合物になっている。結晶質の化合物のうち蛍光を放射するイオンは、「発光中心」と称される。また、結晶質の化合物をのうち発光中心以外の部分は、(珪酸塩)であり、母体化合物や母体結晶と称される。すなわち、本実施形態の蛍光体は、母体化合物と、この母体化合物に含まれる発光中心とを有する結晶質の化合物である。そして、本実施形態の蛍光体は、後述の特定の母体化合物を有する。このため、本実施形態の蛍光体は、その構造及び組成のために、外部刺激、例えば粒子線(α線、β線、電子線)や電磁波(γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線)の照射等によって容易に励起され、蛍光を放射する。
(母体化合物)
本実施形態の蛍光体の母体化合物は、六方晶のBaNdAl15型構造を有する。図1は、BaNdAl15型構造を説明する図である。図1に示すように、BaNdAl15型構造の母体化合物10は、AlO八面体構造部11と、AlO四面体構造部12と、Baサイト13と、Ndサイト14とを有する六方晶系の結晶構造を有する。なお、BaNdAl15型構造の母体化合物において、Oの組成はO15に限られずO15に近い値、例えば、O15〜16とすることができる。
BaNdAl15型構造の母体化合物において、AlO四面体構造部及びAlO八面体構造部は、Alの一部がMg、Sc等で置換されていてもよい。また、BaNdAl15型構造の母体化合物において、Baサイトには、Baが入る。
BaNdAl15型構造の母体化合物において、Ndサイトには、3価の元素及び2価の元素から選ばれる1種以上の元素が入る。Ndサイトに入る3価の元素としては、例えば、希土類元素、In、Ta、Bi、Sb及びPbからなる群より選択される1種以上の元素が挙げられる。ここで、希土類元素としては、例えば、La、Sc、Y、Pr、Pm、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群より選択される1種以上の元素が挙げられる。Ndサイトに入る2価の元素としては、例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd及びHgからなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられる。
BaNdAl15型構造の母体化合物において、Ndサイトには、上記の3価の元素及び2価の元素から選ばれる1種以上の元素が、イオン価数やイオン半径に応じて適宜入る。また、本実施形態の蛍光体のBaNdAl15型構造の母体化合物において、Baは、Baサイトに加えNdサイトにも入ることがある。
BaNdAl15型構造の母体化合物は、アルカリ土類金属元素と、希土類元素と、アルミニウムと、酸素とを含む結晶格子を有する。また、上記母体化合物は酸化物であることが好ましい。
上記母体化合物に含まれるアルカリ土類金属元素としては、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられる。なお、これらの元素のうちMg、Ca及びSrは、Ndサイトに入る2価の元素である。また、Baは、Baサイト及び必要によりNdサイトに入る元素である。BaNdAl15型構造の母体化合物がBaサイトを有するため、上記母体化合物のアルカリ土類金属元素はBaを含む。
上記母体化合物に含まれる希土類元素としては、La、Sc、Y、Pr、Pm、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が挙げられる。上記母体化合物の希土類元素はLaを含むことが好ましい。
BaNdAl15型構造の母体化合物は、Baと、Laと、Alと、Oと、を含む結晶格子を有することが好ましい。
BaNdAl15型構造の具体的な母体化合物としては、例えば、以下の(A1)〜(A13)の母体化合物が挙げられる。
(A1):BaLa(Al0.7Mg0.3)O
(A2):BaLaAlScO15
(A3):BaLaAl2.8Mg1.215.4
(A4):BaLaAlMgO15.5
(A5):Ba(La0.99Al2.8Mg1.215.4
(A6):Ba(La0.49Al2.8Mg1.215.4
(A7):Ba(La0.48Al2.8Mg1.215.4
(A8):Ba(La0.45Al2.8Mg1.215.4
(A9):Ba(La0.99AlMgO15.5
(A10):Ba(La0.74AlMgO15.5
(A11):Ba(La0.48AlMgO15.5
(A12):Ba(La0.99AlScO15
(A13):Ba(La0.74AlScO15
(発光中心)
本実施形態の蛍光体の発光中心は、Ce3+、Tb3+及びEu3+からなる群より選ばれる少なくとも1種のイオンを含む。ここで、発光中心であるCe3+、Tb3+及びEu3+の作用について説明する。
<Ce3+
本実施形態の蛍光体において、Ce3+は、吸収した光を幅の広い分光分布を持つ長波長の光に変換する。本実施形態の蛍光体において、Ce3+は、400nm以上430nm未満の波長範囲内の短波長可視光を吸収する。このため、本実施形態の蛍光体の発光中心がCe3+を含むと、蛍光体はCe3+が光吸収イオンとなって短波長可視光を吸収する。なお、Ce3+が短波長可視光を吸収する作用は、蛍光体がCe3+以外の発光中心、例えばTb3+やEu3+を含む場合でも同様である。また、本実施形態の蛍光体の発光中心がCe3+を含む場合、励起スペクトルの最大値は、通常、380nm以上460nm未満の波長範囲内にある。さらに、本実施形態の蛍光体の発光中心がCe3+を含む場合、Ce3+が波長450nm以上500nm以下の青乃至青緑色光を放射する。例えば、この放射光は、480nm付近にピークを有するブロードな青緑色発光になる。
<Tb3+及びEu3+
本実施形態の蛍光体において、Tb3+及びEu3+は、それぞれ、吸収した光を複数の輝線からなる長波長の光に変換する。例えば、Tb3+は、複数の輝線を有し、特に、発光スペクトルにおける540nm以上560nm未満の波長領域に強度最大値となる輝線を有する。また、Eu3+は、複数の輝線を有し、特に発光スペクトルにおける580nm以上650nm未満の波長領域に強度最大値となる輝線を有する。このように、発光中心であるCe3+、Tb3+及びEu3+は、単独で含まれる場合は上記の特性を示す。
本実施形態の蛍光体では、Tb3+はCe3+とともに含まれることが好ましい。すなわち、本実施形態の蛍光体の発光中心は、Ce3+とTb3+を含むことが好ましい。また、Eu3+は、Ce3+及びTb3+とともに含まれることが好ましい。すなわち、本実施形態の蛍光体の発光中心は、Ce3+とTb3+とEu3+を含むことが好ましい。このように、本実施形態の蛍光体が、発光中心として、Ce3+とTb3+を含むこと、又はCe3+とTb3+とEu3+を含むことが好ましい理由を以下に説明する。
<Ce3+とTb3+を含む場合>
Ce3+とTb3+の両方を付活した蛍光体では、エネルギー伝達と呼ばれるメカニズムによって、Ce3+が吸収したエネルギーの少なくとも一部がTb3+へ移動する。このCe3+からTb3+へのエネルギー伝達で、Tb3+に電子エネルギー遷移が生じることにより、本実施形態の蛍光体は、Tb3+に起因する線状の緑色輝線を放射することが可能になる。なお、上記のようにCe3+は短波長可視光を吸収する光吸収イオンとしても作用する。このため、上記蛍光体は、短波長可視光をCe3+が吸収し、Ce3+が吸収した光エネルギーを効率よくTb3+に移動させる作用を有する。この結果、上記蛍光体は、短波長可視光を輝線状の緑色光へ波長変換することが可能になる。
なお、エネルギー伝達が生じるためには、Ce3+の発光スペクトルとTb3+の吸収スペクトルとが重なっている必要がある。これに対し、本実施形態の蛍光体は、Ce3+の発光スペクトルとTb3+の吸収スペクトルとは重なっているため、Ce3+からTb3+へのエネルギー伝達が十分に生じ、線状の緑色輝線を放射することが可能である。
なお、Tb3+の濃度が高い場合は、Tb3+とCe3+の間のイオン間距離が近くなるため、Ce3+が吸収したエネルギーの殆ど全てがTb3+に移動する。このため、本実施形態の蛍光体では、Tb3+に起因する線状の発光が主に現れるようになる。
一方、Tb3+の濃度が低い場合は、Ce3+が吸収したエネルギーの多くがTb3+に移動する。このため、本実施形態の蛍光体では、Ce3+に起因する450nm以上500nmにピークを有するブロードな発光成分と、Tb3+に起因する540nm以上560nm未満の線状の発光成分との両方が現れるようになる。
本実施形態の蛍光体は、発光中心がTb3+を含み、このTb3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分を放射するものであると、Tb3+に起因する線状の緑色輝線を放射することが可能になるため好ましい。なお、本実施形態の蛍光体がTb3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分を放射する場合は、本実施形態の蛍光体には、通常、Tb3+の電子エネルギー遷移を起こすためのCe3+も含まれる。この場合、本実施形態の蛍光体は、発光中心としてCe3+とTb3+とを少なくとも含み、Ce3+からTb3+へのエネルギー伝達によって、Ce3+及びTb3+が発光するものとなる。
また、蛍光体が放射する蛍光中、前記Tb3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分の発光強度が最大になると、Tb3+に起因する線状の緑色輝線を強く放射することが可能になるため好ましい。
<Ce3+とTb3+とEu3+を含む場合>
また、Ce3+とTb3+とEu3+を付活した蛍光体は、エネルギー伝達によって、Ce3+が吸収したエネルギーの少なくとも一部がTb3+へ移動し、さらにTb3+からEu3+へとエネルギーが移動する。すなわち、Ce3+とTb3+とEu3+を付活した蛍光体では、Ce3+からTb3+へエネルギー伝達が生じ、Tb3+からEu3+へもエネルギー伝達が生じる。
これらのエネルギー伝達で、Tb3+及びEu3+に電子エネルギー遷移が生じることにより、本実施形態の蛍光体は、比較的強度が小さいCe3+のブロードな青緑色の発光成分に、Tb3+及びEu3+の発光成分が重畳して発現する。具体的には、本実施形態の蛍光体は、450nm以上500nm未満にピークを有し比較的強度が小さいCe3+のブロードな青緑色の発光成分に、Tb3+及びEu3+の発光成分が重畳して発現する。この結果、本実施形態の蛍光体は、Ce3+のブロードな青緑色の発光成分に加え、少なくともTb3+に起因する輝線状の緑色の蛍光成分とEu3+に起因する輝線状の赤色の蛍光成分とを放射することが可能となる。より具体的には、当該蛍光体は、540nm以上560nm未満及び600nm以上630nm未満の波長領域に、輝線状の発光ピークを有する特徴的な発光スペクトルを示すものとなる。
このため、Ce3+とTb3+とEu3+を付活した本実施形態の蛍光体では、Ce3+は発光中心として作用するだけでなく、Tb3+の増感剤としても作用し、かつ、Tb3+は発光中心として作用するだけでなく、Eu3+の増感剤としても作用する。また、上記のようにCe3+は短波長可視光を吸収する光吸収イオンとしても作用する。このため、上記蛍光体は、短波長可視光をCe3+が吸収し、Ce3+が吸収した光エネルギーを効率よくTb3+及びEu3+に移動させる作用を有する。この結果、上記蛍光体は、短波長可視光を輝線状の緑色光及び輝線状の赤色光へ波長変換するため、高効率と高演色性とを両立する照明光を得ることが可能になる。
なお、通常、Tb3+の発光スペクトルとEu3+の吸収スペクトルとの重なりが小さいため、Tb3+からEu3+へのエネルギー伝達の確率は低い。本実施形態の蛍光体でこのエネルギー伝達の確率を高くするには、Tb3+とEu3+の距離が短くなるようにするため、蛍光体中におけるいずれか一方の元素の含有量を高めることが好ましい。
本実施形態の蛍光体は、発光中心がEu3+を含み、このEu3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分を放射するものであると、Eu3+に起因する線状の赤色輝線を放射することが可能になるため好ましい。なお、本実施形態の蛍光体がEu3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分を放射する場合は、本実施形態の蛍光体には、通常、Eu3+の電子エネルギー遷移を起こすためのCe3+及びTb3+も含まれる。この場合、本実施形態の蛍光体は、発光中心としてCe3+とTb3+とEu3+を少なくとも含み、Ce3+からTb3+へのエネルギー伝達、及びTb3+からEu3+へのエネルギー伝達によって、Ce3+、Tb3+及びEu3+が発光するものとなる。
また、蛍光体が放射する蛍光中、前記Eu3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分の発光強度が最大になると、Eu3+に起因する線状の赤色輝線を強く放射することが可能になるため好ましい。
本実施形態の蛍光体は、発光中心がTb3+とEu3+を含み、Tb3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分と、Eu3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分を放射するものとすることができる。この蛍光体によれば、Tb3+に起因する線状の緑色輝線と、Eu3+に起因する線状の赤色輝線とを放射することが可能になるため好ましい。
本実施形態の蛍光体は、発光中心がCe3+とTb3+とEu3+を含み、Ce3+からTb3+、及び、Tb3+からEu3+へのエネルギー伝達によって、Eu3+が発光するものであると、次の点で好ましい。すなわち、短波長可視光をCe3+が吸収し、Ce3+が吸収した光エネルギーをEu3+に移して、Eu3+に起因する線状の赤色輝線を強く放射することが可能になるため好ましい。
(蛍光体の具体例)
上記BaNdAl15型構造の母体化合物が発光中心を含んでなる蛍光体としては、例えば、以下の(B1)〜(B18)の蛍光体が挙げられる。
(B1):BaLa(Al0.7Mg0.3)O:Ce3+,Tb3+
(B2):BaLa(Al0.7Mg0.3)O:Ce3+,Tb3+,Eu3+
(B3):BaLaAlScO15:Ce3+,Tb3+
(B4):BaLaAl2.8Mg1.215.4:Ce3+
(B5):BaLaAl2.8Mg1.215.4:Ce3+,Tb3+
(B6):BaLaAl2.8Mg1.215.4:Ce3+,Tb3+,Eu3+
(B7):BaLaAlMgO15.5:Ce3+
(B8):BaLaAlMgO15.5:Ce3+,Tb3+
(B9):BaLaAlMgO15.5:Ce3+,Tb3+,Eu3+
(B10):Ba(La0.99Ce0.01Al2.8Mg1.215.4
(B11):Ba(La0.49Tb0.5Ce0.01Al2.8Mg1.215.4
(B12):Ba(La0.48Tb0.5Ce0.01Eu0.01Al2.8Mg1.215.4
(B13):Ba(La0.45Tb0.5Ce0.01Eu0.04Al2.8Mg1.215.4
(B14):Ba(La0.99Ce0.01AlMgO15.5
(B15):Ba(La0.74Tb0.25Ce0.01AlMgO15.5
(B16):Ba(La0.48Tb0.5Ce0.01Eu0.01AlMgO15.5
(B17):Ba(La0.99Ce0.01AlScO15
(B18):Ba(La0.74Tb0.25Ce0.01AlScO15
[発光装置]
次に、本実施形態に係る発光装置を説明する。本実施形態の発光装置は、上記蛍光体を備えることを特徴とする。本実施形態の発光装置では、上記蛍光体と当該蛍光体を励起する励起源とを組み合わせることによって、効果的に色調制御された蛍光を出力することが可能となる。
なお、本実施形態の発光装置は、発光する機能を備えた電子装置を広く包含するものであり、何らかの光を発する電子装置であれば特に限定されるものではない。つまり、本実施形態の発光装置は、少なくとも本実施形態の蛍光体を利用しており、さらに当該蛍光体が放射する蛍光を少なくとも出力光として利用する発光装置である。
より詳細に説明すると、本実施形態の発光装置は、前記蛍光体と当該蛍光体を励起する励起源とを組み合わせている。そして、前記蛍光体は、励起源が放射するエネルギーを吸収し、吸収したエネルギーを色調制御された蛍光に変換するものである。なお、励起源は、蛍光体の励起特性に合わせて、放電装置、電子銃、固体発光素子等から適宜選択すればよい。
従来、蛍光体を利用する発光装置は数多くあり、例えば蛍光灯や電子管、プラズマディスプレイパネル(PDP)、白色LED、さらには蛍光体を利用する検出装置等がこれに該当する。広義には、蛍光体を利用する照明光源及び照明装置並びに表示装置等も発光装置であり、レーザーダイオードを備えるプロジェクターやLEDバックライトを備える液晶ディスプレイ等も発光装置とみなされる。ここで本実施形態の発光装置は、蛍光体が放射する蛍光の種別によって分類できるため、この分類について説明する。
電子装置に利用される蛍光現象は、学術的に幾つかに区分されており、フォトルミネッセンス、カソードルミネッセンス、エレクトロルミネッセンス等の用語で区別されている。「フォトルミネッセンス(photoluminescence)」とは、蛍光体に電磁波を照射したときに蛍光体が放射する蛍光をいう。なお、「電磁波」という用語は、X線、紫外線、可視光及び赤外線等を総称して指す。「カソードルミネッセンス(cathodeluminescence)」とは、蛍光体に電子線を照射したときに蛍光体が放射する蛍光をいう。また、エレクトロルミネッセンス(electroluminescence)とは、蛍光体に電子を注入したり電界をかけたりしたときに放射する蛍光をいう。原理的にフォトルミネッセンスに近い蛍光として、サーモルミネッセンス(thermoluminescence)という用語もあるが、これは蛍光体に熱を加えたときに蛍光体が放射する蛍光をいう。また、原理的にカソードルミネッセンスに近い蛍光として、ラジオルミネッセンス(radioluminescence)という用語もあるが、これは蛍光体に放射線を照射したときに蛍光体が放射する蛍光をいう。
先に説明したように、本実施形態の発光装置は、上述の蛍光体が放射する蛍光を少なくとも出力光として利用するものである。そして、ここでいう蛍光は少なくとも上述のように区分することができるため、当該蛍光は、上記ルミネッセンスから選ばれる少なくとも一つの蛍光現象として置き換えることができる。
なお、蛍光体のフォトルミネッセンスを出力光として利用する発光装置の典型例としては、X線イメージインテンシファイア、蛍光灯、白色LED、蛍光体とレーザーダイオードを利用する半導体レーザープロジェクター及びPDPが挙げられる。また、カソードルミネッセンスを出力光とする発光装置の典型例としては、電子管、蛍光表示管及びフィールドエミッションディスプレイ(FED)が挙げられる。さらに、エレクトロルミネッセンスを出力光とする発光装置の典型例としては、無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(無機EL)、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)及び有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)が挙げられる。
以下、図面を参考に本実施形態の発光装置を説明する。図2は、本実施形態の発光装置の概略を示す。図2(a)及び図2(b)において、励起源1は、本実施形態の蛍光体2を励起するための一次光を生成する光源である。励起源1は、α線、β線、電子線等の粒子線や、γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光(特に紫色光の短波長可視光)等の電磁波を放射する放射装置を用いることができる。また励起源1としては、各種の放射線発生装置や電子ビーム放射装置、放電光発生装置、固体発光素子、固体発光装置等も用いることができる。励起源1の代表的なものとしては、電子銃、X線管球、希ガス放電装置、水銀放電装置、発光ダイオード、半導体レーザーを含むレーザー光発生装置、無機又は有機のエレクトロルミネッセンス素子等が挙げられる。
また、図2(a)及び図2(b)において、出力光4は、励起源1が放射する励起線又は励起光3によって励起された蛍光体2が放射する蛍光である。そして出力光4は、発光装置において照明光や表示光として利用されるものである。
図2(a)では、励起線又は励起光3を蛍光体2に照射する方向に、蛍光体2からの出力光4が放出される構造の発光装置を示す。なお、図2(a)に示す発光装置としては、白色LED光源や蛍光ランプ、電子管等が挙げられる。一方、図2(b)では、励起線又は励起光3を蛍光体2に照射する方向とは逆の方向に、蛍光体2からの出力光4が放出される構造の発光装置を示す。図2(b)に示す発光装置としては、プラズマディスプレイ装置や反射板付き蛍光体ホイールを利用する光源装置、プロジェクター等が挙げられる。
本実施形態の発光装置の具体例として好ましいものは、例えば、蛍光体を利用して構成した半導体発光装置、照明光源、照明装置、照明システム;LEDバックライト付き液晶パネル等のバックライトを有する液晶表示装置である。また、本実施形態の発光装置の具体例として好ましいものは、例えば、LEDプロジェクター、レーザープロジェクター等のプロジェクターを含む表示装置である。そして、本実施形態の発光装置は、380nm以上420nm未満の範囲内に強度最大値を持つ短波長可視光によって蛍光体を励起する構造を有することが好ましい。
さらに当該発光装置は、短波長可視光を放射する固体発光素子をさらに備えることが好ましい。励起源として固体発光素子を用いることにより、衝撃に強い全固体の発光装置、例えば固体照明を実現することが可能となる。この固体発光素子を備える発光装置は、固体発光素子が放射する一次光によって蛍光体を励起することが好ましい。また、固体発光素子が放射する一次光には、380nm以上460nm未満の波長範囲内に発光ピークを有することが好ましい。さらに、固体発光素子を備える発光装置は、蛍光体が蛍光を放射し、この蛍光を出力光として利用することが好ましい。また、前記出力光は、前記380nm以上460nm未満の波長範囲内に発光ピークを有する一次光と、前記蛍光体が放射する蛍光とを含むことが好ましい。さらに、出力光が、前記特定波長範囲内に発光ピークを有する一次光と、前記蛍光体が放射する蛍光とを含む発光装置は、2500K以上20000K以下の範囲内に位置する、いずれかの相関色温度を持つ出力光を放射する機能を有することが好ましい。
以下、本実施形態の半導体発光装置の具体例を詳細に説明する。図3に示すように、本実施形態の半導体発光装置100は、基板110、複数のLED(発光素子)120、及び複数の封止部材130を備える。基板110は、例えば、セラミック基板や熱伝導樹脂等からなる絶縁層とアルミ板等からなる金属層との二層構造を有する。基板110は略方形の板状であって、基板110の短手方向(X軸方向)の幅W1が12〜30mmであり、長手方向(Y軸方向)の幅W2が12〜30mmである。
図4(a)及び(b)に示すように、LED120は、例えばGaN系のLEDであって、平面視形状が略長方形である。そしてLED120は、短手方向(X軸方向)の幅W3が0.3〜1.0mm、長手方向(Y軸方向)の幅W4が0.3〜1.0mm、厚み(Z軸方向の幅)が0.08〜0.30mmである。
そしてLED120は、基板110の長手方向(Y軸方向)とLED120の素子列の配列方向とが一致するように配置されている。LED120は、一列に並んだ複数のLED120ごと素子列を構成しており、それら素子列が基板110の短手方向(X軸方向)に沿って複数列並べて実装されている。具体的には、例えば、25個のLED120が5列5行でマトリックス状に実装されている。すなわち、1つの素子列は5個のLEDで構成され、そのような素子列が5行並べて実装されている。
各素子列では、LED120が長手方向(Y軸方向)に直線状に配列されている。このようにLED120を直線状に配列することによって、それらLED120を封止する封止部材130も直線状に形成することができる。
図4(b)に示すように、各素子列は、それぞれ長尺状の封止部材130によって個別に封止されている。そして、1つの素子列とその素子列を封止する1つの封止部材130とによって、1つの発光部101を構成している。したがって、半導体発光装置100は5つの発光部101を備えていることになる。
封止部材130は、蛍光体を含有した透光性の樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン・エポキシのハイブリッド樹脂、ユリア樹脂等を用いることができる。また、蛍光体としては、本実施形態の蛍光体を用いることができる。ただ、蛍光体としては、本実施形態の蛍光体のみならず、例えば、Eu2+、Ce3+、Tb3+、Mn2+の少なくともいずれかで付活した酸化物や酸ハロゲン化物等の酸化物系蛍光体も用いることができる。また、蛍光体としては、Eu2+、Ce3+、Tb3+、Mn2+の少なくともいずれかで付活した窒化物や酸窒化物等の窒化物系蛍光体、又は硫化物や酸硫化物等の硫化物系蛍光体も用いることができる。
具体的には、青色蛍光体として、BaMgAl1017:Eu2+、CaMgSi:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、Sr10(POCl:Eu2+等が挙げられる。緑青又は青緑色蛍光体として、SrSiCl:Eu2+、SrAl1424:Eu2+、BaAl13:Eu2+、BaSiO:Eu2+が挙げられる。さらに緑青又は青緑色蛍光体として、BaZrSi:Eu2+、CaYZr(AlO:Ce3+、CaYHf(AlO:Ce3+、CaYZr(AlO:Ce3+,Tb3+が挙げられる。緑色蛍光体として、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+、CaMg(SiOCl:Eu2+,Mn2+が挙げられる。さらに緑色蛍光体として、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、CeMgAl1119:Mn2+、YAl(AlO:Ce3+、LuAl(AlO:Ce3+が挙げられる。また、緑色蛍光体として、YGa(AlO:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Ce3+、β−Si:Eu2+、SrSi:Eu2+が挙げられる。緑色蛍光体として、BaSi12:Eu2+、SrSi13Al1:Eu2+、YTbSiC:Ce3+、SrGa:Eu2+が挙げられる。緑色蛍光体として、CaLaZr(AlO:Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+、CaTbZr(AlO:Ce3+,Pr3+が挙げられる。緑色蛍光体として、ZnSiO:Mn2+、MgGa:Mn2+が挙げられる。緑色蛍光体として、LaPO:Ce3+,Tb3+、YSiO:Ce3+,CeMgAl1119:Tb3+、GdMgB10:Ce3+,Tb3+が挙げられる。黄又は橙色蛍光体として、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、(Y,Gd)Al12:Ce3+、α−Ca−SiAlON:Eu2+が挙げられる。黄又は橙色蛍光体として、YSiC:Ce3+、LaSi11:Ce3+、YMgAl(AlO(SiO):Ce3+が挙げられる。赤色蛍光体としては、SrSi:Eu2+、CaAlSiN:Eu2+、SrAlSi:Eu2+、CaS:Eu2+、LaS:Eu3+、YMg(AlO)(SiO:Ce3+が挙げられる。また、赤色蛍光体として、Y:Eu3+、YS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、YVO:Eu3+が挙げられる。赤色蛍光体として、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+、KSiF:Mn4+、GdMgB10:Ce3+,Mn2+が挙げられる。
図4に示すように、封止部材130は、短手方向(X軸方向)の幅W5が0.8〜3.0mm、長手方向(Y軸方向)の幅W6が3.0〜40.0mmであることが好ましい。また、LED120を含めた最大厚み(Z軸方向の幅)T1が0.4〜1.5mm、LED120を含めない最大厚みT2が0.2〜1.3mmであることが好ましい。封止信頼性を確保するためには、封止部材130の幅W5はLED120の幅W3に対して2〜7倍であることが好ましい。
封止部材130の短手方向に沿った断面の形状は図4(a)に示すように、略半楕円形である。また、封止部材130の長手方向の両端部131,132は、R形状になっている。具体的には、両端部131,132の形状は、図3に示すように、平面視における形状が略半円形であり、図4(b)に示すように、長手方向に沿った断面の形状が約90°の中心角を有する略扇形である。封止部材130の両端部131,132がこのようにR形状になっている場合は、それら両端部131,132において応力集中が生じ難いと共に、LED120の出射光を封止部材130の外部に取り出し易い。
各LED120は、基板110にフェイスアップ実装される。そして基板110に形成された配線パターン140によって、LED120に電力が供給する図示しない点灯回路ユニットと電気的に接続されている。配線パターン140は、一対の給電用のランド141,142と、各LED120に対応する位置に配置された複数のボンディング用のランド143とを有する。
図4に示すように、LED120は、例えば、ワイヤボンディングによりワイヤ(例えば、金ワイヤ)150を介してランド143と電気的に接続されている。ワイヤ150の一方の端部151はLED120と接合され、他方の端部152はランド143と接合されている。各ワイヤ150は、それぞれ接続対象である発光素子の属する素子列に沿って配置されている。さらに各ワイヤ150の両端部151,152も素子列に沿って配置されている。各ワイヤ150は、LED120やランド143と共に封止部材130により封止されているため劣化し難く、また絶縁されていて安全性も高い。なお、LED120の基板110への実装方法は、上記のようなフェイスアップ実装に限定されず、フリップチップ実装であってもよい。
LED120は、図3に示すように、同じ素子列に属する5個のLED120が直列接続され、5つの素子列が並列接続されている。なお、LED120の接続形態はこれに限定されず、素子列に関係なくどのように接続されていてもよい。ランド141,142には、図示しない点灯回路ユニットの一対のリード線が接続され、それらリード線を介して点灯回路ユニットから各LED120に電力が供給され、これにより各LED120が発光する。
封止部材130は、以下のような手順で形成することができる。まず、図3に示すように、一列に並んだ複数のLED120からなる素子列がX軸方向に複数列並べて実装された基板110を用意する。次に図5に示すように、基板110に、例えばディスペンサ160を用いて、素子列に沿って樹脂ペースト135をライン状に塗布する。その後、塗布後の樹脂ペースト135を固化させることによって、素子列ごとに個別に封止部材130を形成する。
本実施形態の半導体発光装置は、照明光源用や液晶ディスプレイのバックライト用、表示装置用の光源等に広く利用可能である。つまり上述のように、本実施形態の蛍光体は、視認性が良好な光を放ち得る。そのため、当該蛍光体を照明光源等に用いた場合、高演色性かつ高効率の照明光源や、高輝度画面の広色域表示が可能な表示装置を提供することができる。
このような照明光源としては、本実施形態の半導体発光装置と、当該半導体発光装置を動作させる点灯回路と、口金等の照明器具との接続部品とを組み合わせて構成することができる。また、必要に応じて照明器具を組み合わせれば、照明装置や照明システムを構成することにもなる。
このように、本実施形態の発光装置は、視感度や視認性の面で良好な特性を有するため、上述の半導体発光装置や光源装置以外にも広く利用することができる。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
固相反応を利用する調製手法を用いて、実施例の蛍光体を合成し、その特性を評価した。なお、本実施例では、以下の化合物粉末を原料として使用した。
炭酸バリウム(BaCO):純度3N、和光純薬工業株式会社製
酸化ランタン(La):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化セリウム(CeO):純度4N、信越化学工業株式会社製
酸化テルビウム(Tb):純度4N、信越化学工業株式会社製
酸化ユーロピウム(Eu):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化アルミニウム(θ−Al):純度4N5、住友化学株式会社製
酸化マグネシウム(MgO):純度4N、関東化学工業株式会社製
酸化スカンジウム(Sc):純度3N、日本エアロジル株式会社製
[実施例1〜4]
(試料の調製)
実施例1〜4は、基本組成(仕込み組成)をBaLaAl2.8Mg1.215.4として蛍光体を作製したものである。はじめに、表1に示す割合で各原料を秤量した。次に、ボールミルを用いて、これらの原料を適量の溶媒と共に混合し、1時間攪拌した。そして混合後の原料を容器に移し、乾燥機を用いて150℃で2時間乾燥させた。乾燥後の混合原料を乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、焼成原料とした。その後、焼成原料を焼成容器であるアルミナるつぼに移し、管状電気炉を用いて1450℃の弱還元雰囲気中で2時間焼成した。なお、弱還元雰囲気は、アルゴン95%と水素5%との混合ガス雰囲気とし、混合ガス流量を100ml/minとした。
Figure 2015221843
このようにして、表1に示す組成の化合物(実施例1〜4)を調製した。得られた化合物を用いて、以下の評価を行った。
(結晶構造解析)
実施例の化合物について、X線回折法(XRD)を用いて結晶構造解析を行った。図6は、シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターン、及び実施例1〜4に係る蛍光体のXRDパターンを示す図である。なお、XRDパターンは、X線回折装置(製品名:MultiFlex、株式会社リガク製)を用いて評価した。
図6より、実施例1〜4のXRDパターンは、シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターンと同様の形状を示していることが分かった。このようなXRDパターンの一致から、実施例1〜4の化合物がBaNdAl15と同じ結晶構造を有する化合物であることが分かった。
(発光特性評価)
実施例の化合物の励起特性と発光特性を、分光蛍光光度計(FP−6500(製品名:日本分光株式会社製)と、瞬間マルチ測光システム(QE−1100:大塚電子株式会社製)とを併用して評価した。なお、測定精度を高める目的で、発光スペクトルの測定には瞬間マルチ測光システムを利用し、励起スペクトルの測定には分光蛍光光度計を利用した。そして、発光スペクトル測定時の励起波長は357nmとし、励起スペクトル測定時のモニタ波長については発光ピーク波長、つまり543nm及び612nmとした。
図7に、実施例1〜4の化合物の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。図中、破線のグラフは励起スペクトルを示し、実線のグラフは発光スペクトルを示す。
実施例1は発光イオンとしてCe3+のみをドープした化合物である。図7より、実施例1は、410nm付近に励起ピークを示し、515nm付近にピークを有するブロードな緑色発光を示すことが分かった。
実施例2は発光イオンとしてCe3+とTb3+をドープした化合物である。図7より、実施例2は、410nm付近に励起ピークを示し、Tb3+に由来する546nm付近にピークを有するシャープな緑色発光を示すことが分かった。これらの結果は、Ce3+が吸収した励起エネルギーがTb3+に伝達され、Tb3+が発光することを意味する。
実施例3は発光イオンとしてCe3+、Tb3+及びEu3+をドープした化合物である。図7より、実施例3は、410nmに励起ピークを示し、Tb3+に由来する546nm付近にピークを有するシャープな緑色発光とEu3+に由来する620nm付近にピークを有するシャープな赤色発光とを示すことが分かった。これらの結果は、Ce3+が吸収した励起エネルギーがTb3+に伝達され、さらにそのエネルギーの一部がEu3+に伝達され、Tb3+とEu3+の両方が発光することを意味する。
実施例4は発光イオンとしてCe3+、Tb3+及びEu3+をドープした化合物であり、実施例3よりも多くのEu3+を含む実験例である。図7より、実施例4は、410nmに励起ピークを示し、Eu3+に由来する620nm付近にピークを有するシャープな赤色発光を示すことが分かった。また、図7より、実施例4は、Tb3+に由来する546nm付近の緑色発光のピークが赤色発光に比べて相対的に低い強度であることが確認できた。これにより、実施例4はEu3+を多く含むことから、Ce3+からTb3+を経由してEu3+にエネルギー移動を示す過程でTb3+からEu3+へのエネルギー伝達確率が高まるため、Eu3+による赤色発光が主ピークとして観測されたと推察される。
[実施例5〜7]
実施例5〜7は、基本組成(仕込み組成)をBaLaAlMgO15.5として蛍光体を作製したものである。具体的には、表1に示す割合で各原料を秤量した以外は実施例1と同様にして、表1に示す組成の化合物(実施例5〜7)を調製した。得られた化合物を用い、実施例1と同様にして、結晶構造解析及び発光特性評価を行った。
(結晶構造解析)
図8は、シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターン、及び実施例5〜7に係る蛍光体のXRDパターンを示す図である。図8より、実施例5〜7のXRDパターンは、シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターンと同様の形状を示していることが分かった。このようなXRDパターンの一致から、実施例5〜7の化合物がBaNdAl15と同じ結晶構造を有する化合物であることが分かった。
(発光特性評価)
図9に、実施例5〜7の化合物の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。図中、破線のグラフは励起スペクトルを示し、実線のグラフは発光スペクトルを示す。
実施例5は発光イオンとしてCe3+のみをドープした化合物である。図9より、実施例5は実施例1と同様に、410nm付近に励起ピークを示し、515nm付近にピークを有するブロードな緑色発光を示すことが分かった。
実施例6は発光イオンとしてCe3+とTb3+をドープした化合物である。図9より、実施例6は実施例2と同様に、410nm付近に励起ピークを示し、Tb3+に由来する546nm付近にピークを有するシャープな緑色発光を示すことが分かった。これらの結果は、Ce3+が吸収した励起エネルギーがTb3+に伝達され、Tb3+が発光することを意味する。
実施例7は発光イオンとしてCe3+、Tb3+及びEu3+をドープした化合物である。図9より、実施例7は実施例3と同様に、410nmに励起ピークを示し、Tb3+に由来する546nm付近にピークを有するシャープな緑色発光とEu3+に由来する620nm付近にピークを有するシャープな赤色発光とを示すことが分かった。これらの結果は、Ce3+が吸収した励起エネルギーがTb3+に伝達され、さらにそのエネルギーの一部がEu3+に伝達され、Tb3+とEu3+の両方が発光することを意味する。
なお、実施例5〜7では、実施例7よりもEu3+を多く含む実験例はない。しかし、実施例1〜4の結果に鑑みれば、実施例7よりもEu3+を多く含む実験例を作製した場合に、Tb3+からEu3+へのエネルギー伝達確率が高まり、Eu3+によるピークを主体とする赤色発光を示すことは容易に想像できる。
[実施例8及び9]
実施例8及び9は、基本組成(仕込み組成)をBaLaAlScO15として蛍光体を作製したものである。具体的には、表1に示す割合で各原料を秤量した以外は実施例1と同様にして、表1に示す組成の化合物(実施例8及び9)を調製した。得られた化合物を用い、実施例1と同様にして、結晶構造解析及び発光特性評価を行った。
(結晶構造解析)
図10は、シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターン、及び実施例8及び9に係る蛍光体のXRDパターンを示す図である。図10より、実施例8及び9のXRDパターンは、シミュレーションにより作成したBaNdAl15のXRDパターンが低角側にシフトしたXRDパターンを示した。このことから、実施例8〜9の化合物はBaNdAl15と同型の結晶構造であることが分かった。
(発光特性評価)
図11に、実施例8及び9の化合物の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。図中、破線のグラフは励起スペクトルを示し、実線のグラフは発光スペクトルを示す。
実施例8はCe3+のみをドープした化合物である。図11より、実施例8は、400nm付近に励起ピークを示し、480nm付近にピークを有するブロードな青緑色発光を示すことが分かった。
実施例9は発光イオンとしてCe3+とTb3+をドープした化合物である。図11より、実施例9は、400nm付近に励起ピークを示し、Tb3+に由来する546nm付近にピークを有するシャープな緑色発光を示すことが分かった。これらの結果は、Ce3+が吸収した励起エネルギーがTb3+に伝達され、Tb3+が発光することを意味する。
なお、実施例8及び9では、実施例9よりもEu3+を多く含む実験例はない。しかし、実施例1〜4の結果に鑑みれば、実施例9よりもEu3+を多く含む実験例を作製した場合に、Tb3+からEu3+へのエネルギー伝達確率が高まり、Eu3+によるピークを主体とする赤色発光を示すことは容易に想像できる。
以上、本実施形態を実施例によって説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
2 蛍光体

Claims (15)

  1. 母体化合物と、この母体化合物に含まれる発光中心とを有し、
    前記母体化合物は、六方晶のBaNdAl15型構造を有することを特徴とする蛍光体。
  2. 前記発光中心は、Ce3+、Tb3+及びEu3+からなる群より選ばれる少なくとも1種のイオンを含むことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記発光中心は、Ce3+とTb3+を含むことを特徴とする請求項2に記載の蛍光体。
  4. 前記発光中心は、Ce3+とTb3+とEu3+を含むことを特徴とする請求項3に記載の蛍光体。
  5. 前記母体化合物は、アルカリ土類金属元素と、希土類元素と、アルミニウムと、酸素とを含む結晶格子を有することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  6. 前記アルカリ土類金属元素はBaを含むことを特徴とする請求項5に記載の蛍光体。
  7. 前記希土類元素はLaを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の蛍光体。
  8. 前記母体化合物は酸化物であることを特徴とする請求項5に記載の蛍光体。
  9. 前記母体化合物は、Baと、Laと、Alと、Oと、を含む結晶格子を有することを特徴とする請求項5に記載の蛍光体。
  10. 400nm以上430nm未満の波長範囲内の可視光を吸収することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  11. 前記発光中心はCe3+を含み、このCe3+が光吸収イオンとなって前記波長範囲内の可視光を吸収することを特徴とする請求項10に記載の蛍光体。
  12. 励起スペクトルの最大値が380nm以上460nm未満の波長範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  13. 前記発光中心はTb3+を含み、このTb3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分を放射することを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  14. 蛍光体が放射する蛍光中、前記Tb3+の電子エネルギー遷移に基づく発光成分の発光強度が最大になることを特徴とする請求項13に記載の蛍光体。
  15. 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の蛍光体を備えることを特徴とする発光装置。
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