JP2014209527A - 複合基板の製造方法および複合基板 - Google Patents

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雅彦 秦
剛規 長田
Takenori Osada
剛規 長田
武継 山本
Taketsugu Yamamoto
武継 山本
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Takeshi Aoki
健志 青木
哲二 安田
Tetsuji Yasuda
哲二 安田
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Tatsuro Maeda
辰郎 前田
栄子 三枝
Eiko Saegusa
栄子 三枝
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秀樹 高木
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Abstract

【課題】結晶成長用基板に形成した半導体結晶層を転写先基板に転写する場合の犠牲層のエッチング速度を高める。
【解決手段】半導体結晶層形成基板の上方に犠牲層および半導体結晶層を順に形成し、犠牲層の一部が露出するように半導体結晶層をエッチングし、半導体結晶層を複数の分割体に分割し、半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、第1表面と第2表面とが接するように、半導体結晶層形成基板と転写先基板とを貼り合わせ、半導体結晶層形成基板および転写先基板を、0.01MPa〜1GPaの圧力範囲で圧着し、犠牲層をエッチングし、半導体結晶層を転写先基板側に残した状態で、転写先基板と半導体結晶層形成基板とを分離する、半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法を提供する。
【選択図】図7

Description

本発明は、複合基板の製造方法および複合基板に関する。
GaAs、InGaAs等のIII−V族化合物半導体は、高い電子移動度を有する。また、Ge、SiGe等のIV族半導体は、高い正孔移動度を有する。よって、III−V族化合物半導体でNチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor、本明細書においては単に「nMOSFET」という場合がある。)を構成し、IV族半導体でPチャネル型のMOSFET(本明細書においては単に「pMOSFET」という場合がある。)を構成すれば、高い性能を備えたCMOSFET(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)が実現できる。非特許文献1には、III−V族化合物半導体をチャネルとするNチャネル型MOSFETとGeをチャネルとするPチャネル型MOSFETが、単一基板に形成されたCMOSFET構造が開示されている。
転写先である単一基板(たとえばシリコン基板)上に、III−V族化合物半導体層およびIV族半導体結晶層というような異種材料を形成する技術として、結晶成長用基板に形成した半導体結晶層を単一基板に転写する技術が知られている。たとえば非特許文献2には、GaAs基板上に犠牲層としてAlAs層を形成し、当該犠牲層(AlAs層)上に形成したGe層を、シリコン基板に転写する技術が開示されている。
特許文献1には、犠牲層のエッチングに長い時間がかかる問題の解決を目的として、第1の基板上に、剥離層を介して設けられた半導体薄膜の上面を第2の基板の第1の面に貼り付け、第1の基板から剥離する工程を含む半導体装置の製造方法が開示されている。当該方法において、第2の基板のダイシング予定領域に、第2の基板を貫通する貫通孔を含むエッチング液通路を設ける。そして、エッチング液通路を通じて供給されるエッチング液によって剥離層を溶解することにより、第1の基板からの半導体薄膜の剥離を行うことが記載されている。
特開2004−363213号公報
S. Takagi, et al., SSE, vol. 51, pp. 526-536, 2007. Y. Bai and E. A. Fitzgerald, ECS Transactions, 33 (6) 927-932 (2010)
III−V族化合物半導体をチャネルとするNチャネル型MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field Effect Transistor、本明細書においては単に「nMISFET」という場合がある。)と、IV族半導体をチャネルとするPチャネル型MISFET(本明細書においては単に「pMISFET」という場合がある。)とを、一つの基板上に形成するには、nMISFET用のIII−V族化合物半導体と、pMISFET用のIV族半導体を単一基板上に形成する技術が必要になる。また、単一基板をLSI(Large Scale Integration)として製造することを考慮すれば、既存製造装置および既存工程の活用が可能なシリコン基板上にnMISFET用のIII−V族化合物半導体結晶層およびpMISFET用のIV族半導体結晶層を形成することが好ましい。
非特許文献2に記載の技術では、犠牲層であるAlAs層をエッチングにより除去し、転写対象の半導体結晶層であるGe層を、結晶成長用基板であるGaAs基板から分離する。しかし、犠牲層は、結晶成長用基板とGe層との間に挟まれて配置されており、結晶成長用基板とGe層の間隙における横方向エッチングにより除去される。このため、犠牲層の層厚が薄い場合には、エッチング液が十分に供給されず、犠牲層の除去に長時間を要する問題がある。この点、特許文献1に記載のように、貫通孔を含むエッチング液通路を第2の基板に設ければ、エッチング液通路を介してエッチング液が供給されるようになる。しかし、転写先基板である第2の基板に貫通孔を設けるには、加工の工数が増え、製造コストが上昇する。また、貫通孔を設けた領域はデバイスを形成する領域には使えないので、集積化に不利に作用する。
本発明の目的は、結晶成長用基板に形成した半導体結晶層を転写先基板に転写する場合の犠牲層のエッチング速度を高める技術を提供することにある。
本発明者らは、半導体結晶層形成基板上に犠牲層および半導体結晶層を形成し、転写先基板に貼りあわせ、犠牲層をエッチングにより溶解して半導体結晶層を転写先基板に転写する実験を繰り返す中で、転写先基板に転写された半導体結晶層に特定の転写不良が発生することがあることを見出した。当該転写不良は、転写された半導体結晶層のパターン中央付近に発生する穴または凹部であり、半導体結晶層を電子デバイスの活性層として使用する際に障害になる可能性がある。また、上述した転写不良の有無に関わらず、半導体結晶層の全体が転写先基板に良好に転写されることが望ましい。さらに、転写先基板に転写された半導体結晶層を電子デバイスの活性層に適用することを考慮すれば、転写された半導体結晶層の品質、たとえば結晶性を良好に維持することが望ましい。
本発明の他の目的は、半導体結晶層の転写先基板への転写を良好にし、上述した転写不良の発生を抑制できる半導体結晶層の転写技術を提供することにある。また、転写した半導体結晶層の結晶性等品質を高く維持できる半導体結晶層の転写技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、半導体結晶層形成基板の上方に犠牲層および半導体結晶層を、犠牲層、半導体結晶層の順に形成するステップと、犠牲層の一部が露出するように半導体結晶層をエッチングし、半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、第1表面と第2表面とが接するように半導体結晶層形成基板と転写先基板とを貼り合わせるステップと、犠牲層をエッチングし、半導体結晶層を転写先基板側に残した状態で、転写先基板と半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、を有する複合基板の製造方法を提供する。
本発明の第2の態様においては、半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、半導体結晶層形成基板の上方に、AlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなる犠牲層を5nm以上100nm以下の厚さで形成し、さらに半導体結晶層を形成するステップと、犠牲層の一部が露出するように半導体結晶層をエッチングし、半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、第1表面と第2表面とが接するように半導体結晶層形成基板と転写先基板とを貼り合わせるステップと、犠牲層を、HCl水溶液をエッチャントとするエッチングにより除去し、半導体結晶層を転写先基板側に残した状態で、転写先基板と半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、を有する複合基板の製造方法を提供する。
本発明の第3の態様においては、半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、半導体結晶層形成基板の上方に、AlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなる犠牲層を形成し、さらに半導体結晶層を形成するステップと、犠牲層の一部が露出するように半導体結晶層をエッチングし、半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、第1表面と第2表面とが接するように半導体結晶層形成基板と転写先基板とを貼り合わせるステップと、犠牲層を、5質量%以上25質量%以下の濃度のHCl水溶液をエッチャントとするエッチングにより除去し、半導体結晶層を転写先基板側に残した状態で、転写先基板と半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、を有する複合基板の製造方法を提供する。
本発明の第4の態様においては、半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、半導体結晶層形成基板の上方に犠牲層および半導体結晶層を、犠牲層、半導体結晶層の順に形成するステップと、犠牲層の一部が露出するように半導体結晶層をエッチングし、半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、第1表面と第2表面とが接するように半導体結晶層形成基板と転写先基板とを貼り合わせるステップと、犠牲層をエッチングし、半導体結晶層を転写先基板側に残した状態で、転写先基板と半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、を有し、複数の分割体のうち1以上の分割体の平面形状が、分割体の平面形状の外形を示す辺縁の各点から当該点における法線方向へ等速度に縮小し消滅すると仮定した場合に、縮小し消滅する直前の図形が単一の点ではなく、単一の線、複数の線または複数の点となる平面形状である複合基板の製造方法を提供する。分割体の平面形状が、平行な2本の線分と、当該2本の線分のそれぞれの端点の間を結ぶ2本の線とで囲まれた平面形状であってもよく、端点の間を結ぶ線として、直線、曲線または折れ線を例示することができる。分割体の平面形状として、長方形状を例示することができる。なお、線c上の1点Pにおいてcに接線tが引けるとき、Pを通りtに垂直な直線を、Pにおけるcの法線(normal)という。
第1から第4の態様において、貼り合わせるステップの後に、半導体結晶層形成基板および転写先基板を、0.01MPa〜1GPaの圧力範囲で圧着するステップ、をさらに有してもよい。
本発明の第5の態様においては、半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、半導体結晶層形成基板の上方に犠牲層および半導体結晶層を、犠牲層、半導体結晶層の順に形成するステップと、犠牲層の一部が露出するように半導体結晶層をエッチングし、半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、第1表面と第2表面とが接するように半導体結晶層形成基板と転写先基板とを0.01MPa〜1GPaの圧力範囲で圧着するステップと、犠牲層をエッチングし、半導体結晶層を転写先基板側に残した状態で、転写先基板と半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、を有する複合基板の製造方法を提供する。
本発明の第1から第5の態様において、犠牲層および半導体結晶層を形成するステップの後、分割するステップの前に、半導体結晶層の上方に、無機物からなる接着層を形成するステップをさらに有してもよく、この場合、分割するステップにおいて、犠牲層の一部が露出するように接着層および半導体結晶層をエッチングし、接着層および半導体結晶層を複数の分割体に分割する。分割するステップの後、半導体結晶層形成基板と転写先基板とを貼り合わせるステップの前に、第1表面および第2表面から選択された1以上の表面に、第1表面と第2表面との接合界面における接着性を強化する接着性強化処理を施すステップ、をさらに有してもよい。
転写先基板と半導体結晶層形成基板とを分離するステップにおける犠牲層のエッチングは、半導体結晶層形成基板および転写先基板の全部または一部をエッチング液に浸漬して行なってもよい。あるいは、転写先基板と半導体結晶層形成基板とを貼り合わせることまたは圧着することで、隣接する分割体の間に形成された溝部の内壁と転写先基板の表面とで空洞が形成され、転写先基板と半導体結晶層形成基板とを分離するステップにおける犠牲層のエッチングは、空洞の一端にエッチング液を滴下して開始してもよい。この場合、空洞の内部がエッチング液で満たされた後、転写先基板および半導体結晶層形成基板の全体を、エッチング液に浸漬してエッチングを進行してもよい。または、空洞の一端にエッチング液を供給し続けてエッチングを進行してもよい。この場合、エッチングの進行途中において、空洞の内部の一部または全部を乾燥するステップを1回以上有してもよい。
本発明の他の態様においては、転写先基板と、転写先基板上に転写法により形成された半導体結晶層とを有する複合基板であって、半導体結晶層が、複数の分割体を有し、複数の分割体のうち1以上の分割体の平面形状が、分割体の辺縁の点から当該点における法線方向へ等速度に縮小し消滅すると仮定した場合に、縮小し消滅する直前の図形が単一の点ではなく、単一の線、複数の線または複数の点となる平面形状である複合基板を提供する。分割体の平面形状として、長方形状を例示することができる。
本発明の他の態様においては、転写先基板と、転写先基板上に転写法により形成された半導体結晶層とを有する複合基板であって、半導体結晶層が、複数の分割体を有し、複数の分割体のうち1以上の分割体が圧縮歪みまたは引張歪みを有する複合基板を提供する。分割体の平面形状として、長方形状を例示することができる。
実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 分割体108の平面形状の例を示した平面図である。 分割体108の平面形状の例を示した平面図である。 実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態2の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態2の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態2の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 実施形態2の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。 転写GaAs層のPL分光強度を示す。 転写GaAs層の複数点におけるPL分光強度のピーク波長と半値幅の分布を示す。 AFMにより観察した転写GaAs層の表面を示す。 転写Ge層のラマン分光強度を示す。 実施例11の分割体108および溝110の平面形状を示す平面図である。 実施例12の分割体108および溝110の平面形状を示す平面図である。
(実施形態1)
図1〜図10は、実施形態1の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図または平面図である。本実施形態の製造方法は、まず、図1に示すように、半導体結晶層形成基板102の上に犠牲層104および半導体結晶層106を、犠牲層104、半導体結晶層106の順に形成する。
半導体結晶層形成基板102は、高品位な半導体結晶層106を形成するための基板である。好ましい半導体結晶層形成基板102の材料は、半導体結晶層106の材料、形成方法等に依存する。一般に、半導体結晶層形成基板102は、形成しようとする半導体結晶層106と格子整合または擬格子整合する材料からなることが望ましい。たとえば、半導体結晶層106としてGaAs層またはGe層をエピタキシャル成長法により形成する場合、半導体結晶層形成基板102は、GaAs単結晶基板が好ましく、InP、サファイア、Ge、または、SiCの単結晶基板が選択可能である。半導体結晶層形成基板102がGaAs単結晶基板である場合、半導体結晶層106が形成される面方位として(100)面または(111)面が挙げられる。
犠牲層104は、半導体結晶層形成基板102と半導体結晶層106とを分離するための層である。犠牲層104がエッチングにより除去されることで、半導体結晶層形成基板102と半導体結晶層106とが分離する。犠牲層104のエッチングに際し、半導体結晶層形成基板102および半導体結晶層106の少なくとも一部がエッチングされずに残る必要がある。このため、犠牲層104のエッチング速度は、半導体結晶層形成基板102および半導体結晶層106のエッチング速度より大きい必要があり、好ましくは数倍以上大きい。半導体結晶層形成基板102としてGaAs単結晶基板が、半導体結晶層106としてGaAs層が選択される場合、犠牲層104はAlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなる層が好ましく、さらにAlAs層が好ましい。犠牲層104として、InAlAs層、InGaP層、InAlP層、InGaAlP層、または、AlSb層を選択することもできる。犠牲層104の厚さが大きくなると、半導体結晶層106の結晶性が低下する傾向にあるから、犠牲層104の厚さは、犠牲層としての機能が確保できる限り薄いことが好ましい。犠牲層104の厚さは、0.1nm〜10μmの範囲で選択できる。
犠牲層104がAlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなる場合、犠牲層104は、HCl水溶液をエッチャントとするエッチングにより除去することができ、この場合、犠牲層104の厚さは、5nm以上100nm以下とすることが好ましい。
犠牲層104を厚く形成すれば、後に説明する犠牲層104のエッチングによる除去工程において、エッチング液の供給が速やかになり、犠牲層104の除去に要する時間も短縮できると予想される。しかし、犠牲層104の層厚が大きいと、犠牲層104がエッチャントにより溶解される反応によって発生する物質のガスの発生量が多くなり、エッチングの障害になる場合がある。たとえば、犠牲層104がAlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなりエッチャントがHCl水溶液である場合、砒化水素等のガスの発生量が多くなり、エッチングの障害になる場合がある。また層厚の大きい犠牲層104は、犠牲層104上に形成する半導体結晶層106の結晶性を低下させる場合もある。しかしながら、犠牲層104がAlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなりエッチャントがHCl水溶液である場合、犠牲層104の厚さを5nm以上100nm以下とすることで、犠牲層104の除去に要する時間を短くしつつ、ガスの発生量を実用的に問題のない程度に抑制することができる。
犠牲層104は、エピタキシャル成長法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法またはALD(Atomic Layer Deposition)法により形成することができる。エピタキシャル成長法として、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)法を利用することができる。犠牲層104をMOCVD法で形成する場合、ソースガスとして、TMGa(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、AsH(アルシン)、PH(ホスフィン)等を用いることができる。キャリアガスには水素を用いることができる。ソースガスの複数の水素原子基の一部を塩素原子または炭化水素基で置換した化合物を用いることもできる。反応温度は、300℃から900℃の範囲で、好ましくは400〜800℃の範囲内で適宜選択することができる。ソースガス供給量や反応時間を適宜選択することで犠牲層104の厚さを制御することができる。
半導体結晶層106は、後に説明する転写先基板に転写される転写対象層である。半導体結晶層106は、半導体デバイスの活性層等に利用される。半導体結晶層106が半導体結晶層形成基板102上にエピタキシャル成長法等により形成されることで、半導体結晶層106の結晶性が高品位に実現される。更に、半導体結晶層106が転写先基板に転写されることで、転写先基板との格子整合等を考慮すること無く、高品位の半導体結晶層106を任意の転写先基板上に形成することが可能になる。
半導体結晶層106として、III−V族化合物半導体からなる結晶層、IV族半導体からなる結晶層もしくはII−VI族化合物半導体からなる結晶層、または、これら結晶層を複数積層した積層体が挙げられる。III−V族化合物半導体として、AlGaIn1−u―vAsSb1−m−n−q(0≦u≦1、0≦v≦1、0≦m≦1、0≦n≦1、0≦q≦1)が挙げられる。例えば、GaAs、InGa1−yAs(0<y<1)、InPまたはGaSbが挙げられる。IV族半導体として、GeまたはGeSi1−x(0<x<1)が挙げられる。II−VI族化合物半導体として、ZnO、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSeまたはCdTe等が挙げられる。IV族半導体がGeSi1−xである場合、GeSi1−xのGe組成比xは、0.9以上であることが好ましい。Ge組成比xを0.9以上とすることにより、Geに近い半導体特性を得ることができる。半導体結晶層106として、上記の結晶層または積層体を用いることにより、半導体結晶層106を高移動度な電界効果トランジスタ、特に高移動度な相補型電界効果トランジスタの活性層に用いることが可能になる。
半導体結晶層106の厚さは、0.1nm〜500μmの範囲で適宜選択することができる。半導体結晶層106の厚さは、0.1nm以上1μm未満であることが好ましい。半導体結晶層106の厚さを1μm未満とすることにより、さらに好ましくは200nm未満とすることにより、特に好ましくは20nm未満とすることにより、たとえば極薄ボディMISFET等の高性能トランジスタの製造に適した複合基板に用いることができる。
半導体結晶層106は、エピタキシャル成長法、ALD法により形成することができる。エピタキシャル成長法として、MOCVD法、MBE法を利用することができる。半導体結晶層106がIII−V族化合物半導体からなり、MOCVD法で形成する場合、ソースガスとして、TMGa(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMIn(トリメチルインジウム)、AsH(アルシン)、PH(ホスフィン)等を用いることができる。半導体結晶層106がIV族化合物半導体からなり、CVD法で形成する場合、ソースガスとして、GeH(ゲルマン)、SiH(シラン)またはSi(ジシラン)等を用いることができる。キャリアガスには水素を用いることができる。ソースガスの複数の水素原子基の一部を塩素原子または炭化水素基で置換した化合物を用いることもできる。反応温度は、300℃から900℃の範囲で、好ましくは400〜800℃の範囲内で適宜選択することができる。ソースガス供給量や反応時間を適宜選択することで半導体結晶層106の厚さを制御することができる。
次に、図2に示すように、犠牲層104の一部を露出するように半導体結晶層106をエッチングし、半導体結晶層106を複数の分割体108に分割する。このエッチングにより分割体108と隣接する分割体108との間に溝110が形成される。ここで、「犠牲層104の一部を露出するように」とは、溝110が形成されるエッチング領域において、犠牲層104が実質的に露出していると言える以下のような場合を含む。すなわち、溝110の底部において犠牲層104が完全にエッチングされ、溝110の底部に半導体結晶層形成基板102が露出され、犠牲層104の断面が溝110の側面の一部として露出されるような場合。半導体結晶層形成基板102に溝110が掘り込まれ、犠牲層104の断面が溝110の側面の一部として露出されるような場合。溝110が形成される領域において犠牲層104の途中までエッチングされ、溝110の底面に犠牲層104が露出されるような場合。溝110の底部の一部に半導体結晶層106が残存し、溝110の底部において犠牲層104が一部露出しているような場合。あるいは、溝110の底部全体に極薄い半導体結晶層106が残存するものの、残存する半導体結晶層106の厚さはエッチング液が浸透する程度に薄く、実質的に犠牲層104が露出していると言える場合。
溝110を形成するエッチングには、ドライ方式またはウェット方式の何れのエッチング方式も採用できる。ドライエッチングの場合、エッチングガスには、SF、CH4−x(x=1〜4の整数)等のハロゲンガスが利用できる。ウェットエッチングの場合、エッチング液として、HCl、HF、リン酸、クエン酸、過酸化水素水、アンモニア、水酸化ナトリウムの水溶液が利用できる。エッチングのマスクには、エッチング選択比を有する適当な有機物または無機物が利用でき、マスクをパターニングすることにより、溝110のパターンを任意に形成できる。なお、溝110を形成するエッチングにおいて、半導体結晶層形成基板102をエッチングストッパに利用することが可能であるが、半導体結晶層形成基板102を再利用することを考慮すれば、犠牲層104の表面または途中でエッチングを停止することが望ましい。半導体結晶層106が薄い場合、たとえば半導体結晶層106の厚さが2μm以下である場合、半導体結晶層形成基板102まで溝110を掘り込むことが望ましい場合もある。
溝110を形成することにより、犠牲層104のエッチングにおいて、エッチング液が溝110から供給される。溝110を多く形成することで、犠牲層104のエッチングが必要な距離(すなわち、溝110から、最も離れた犠牲層104の部分までの距離)を短くし、犠牲層104の除去に必要な時間を短縮できる。なお、溝110の平面パターンは、任意の形状であってもよい。つまり溝110のパターンによって分離される半導体結晶層106の平面形状は、短冊状、4角形、方形等の他、任意の形状であってもよい。
溝110のパターンによって分離される半導体結晶層106の平面形状(分割体108の平面形状)は、分割体108の辺縁の点から当該点における法線方向へ等速度に当該平面形状が縮小し消滅すると仮定した場合に、縮小し消滅する直前の図形が単一の点ではなく、単一の線、複数の線または複数の点となる平面形状であることが好ましい。また、当該仮定において、平面形状の縮小は、各点において同時に開始する。ここで、辺縁とは、平面形状の外形を示す線を指す。また、平面形状は、各層の積層方向とは垂直な面における形状を指す。また、平面形状の縮小および消滅の仮定とは、半導体結晶層106を実際に縮小および消滅させるのではなく、平面形状の形を定義すべく、仮想的に平面形状を縮小および消滅させる操作を指す。本例では、当該操作によって平面形状が消滅する直前の形状を用いて、縮小させる前の平面形状(すなわち、実際の半導体結晶層106の平面形状)を定義している。分割体108の好ましい平面形状として、平行な2本の線分と、当該2本の線分のそれぞれの端点間を結ぶ2本の線とで囲まれた平面の形状を挙げることができる。但し、半導体結晶層106の平面形状は、正円および正n角形(nは3以上の整数)以外の形状である。例えば、当該4本の線のうち、少なくとも一つの線の長さは、他の線の長さと異なってよい。また、半導体結晶層106の平面形状の辺のうち、最も長い長辺は、最も短い短辺に対して、2倍以上大きくてよく、4倍以上大きくてよく、10倍以上大きくてもよい。また、端点間を結ぶ線として、直線、曲線または折れ線を挙げることができる。図3(a)は、互いに平行な2本の線分の端点を直線で結んだ平面形状の例を示す。図3(b)は、互いに平行な2本の線分の端点を曲線で結んだ平面形状の例を示す。図3(c)は、互いに平行な2本の線分の端点を折れ線で結んだ平面形状の例を示す。端点を結ぶ2本の線が何れも直線であって、平行な2本の線分と端点を結ぶ直線とが垂直な関係にある場合、平面形状は長方形になる。平面形状が長方形である場合、図4(a)の矢印に示すように等速度に分割体の平面形状が縮小すると、破線で示す縮小された分割体の平面形状は、消滅直前には直線になる。細長いライン形状の分割体108を繰り返して配置するラインアンドスペースパターンの場合や、図4(b)に示すような角が曲線に置き換えられた長方形状(rounded rectangle)も、図4(a)の長方形と同様に消滅直前の図形は直線になる。図4(c)に示すようなI型の場合、消滅直前の平面形状は2点に集約される。図4(d)に示すようなT型あるいは図4(e)に示すようなガルウイング型の場合、消滅直前の平面形状は直線の組み合わせあるいは曲線となる。
犠牲層104のエッチング工程においては、ガス状の生成物により、半導体結晶層106は半導体結晶層形成基板102から離れる方向に力を受けていると考えられる。そして、犠牲層104が全て溶解される直前において犠牲層104の残りが単一の点に集中されると、当該犠牲層104の残存部分の一点に力が集中される。このような状況では比較的大きな力で半導体結晶層106と半導体結晶層形成基板102が分離されると考えられ、分離時の衝撃によって半導体結晶層106がダメージを受ける。これが転写された半導体結晶層106のパターン中央付近に発生する穴または凹部の原因であると推察される。しかし、分割体108の平面形状を図3または図4に示すような形状とすることで、犠牲層104の残存部分を一点ではなく、複数点または直線とすることができ、半導体結晶層106が半導体結晶層形成基板102から分離される時の衝撃を緩和することができる。これにより転写された半導体結晶層106の平面形状のパターン中央付近の穴または凹部の発生を抑制でき、転写不良を少なくすることができる。
次に、図5に示すように、転写先基板120と半導体結晶層106との接着性を強化する接着性強化処理を転写先基板120の表面および半導体結晶層106の表面に施す。ここで、半導体結晶層形成基板102上の、溝110以外の部分の半導体結晶層106の表面は、半導体結晶層形成基板102に形成された層の表面である「第1表面112」の一例である。また、転写先基板120の表面は、転写先基板120または転写先基板120に形成された層の表面である「第2表面122」の一例である。第1表面112および第2表面122は、転写先基板120と、半導体結晶層形成基板102とを貼り合わせた場合に互いに接する。
接着性強化処理は、転写先基板120の表面(第2表面122)または半導体結晶層106の表面(第1表面112)の何れか一方にだけ施してもよい。接着性強化処理として、イオンビーム生成器130によるイオンビーム活性化を例示することができる。照射するイオンは、たとえばアルゴンイオンである。接着性強化処理として、プラズマ活性化を施してもよい。プラズマ活性化として、酸素プラズマ処理を例示することができる。接着性強化処理により、転写先基板120と半導体結晶層106との接着性を強化することができる。なお、接着性強化処理は、必須ではない。接着性強化処理に代えて、転写先基板120上に、接着層を予め形成しておいても良い。
転写先基板120は、半導体結晶層106が転写される先の基板である。転写先基板120は、半導体結晶層106を活性層として利用する電子デバイスが最終的に配置されるターゲット基板であってもよく、半導体結晶層106がターゲット基板に転写されるまでの中間状態における、仮置き基板であってもよい。転写先基板120は、無機物からなる。転写先基板120として、シリコン基板、SOI(Silicon on Insulator)基板、ガラス基板、サファイア基板、SiC基板、AlN基板を例示することができる。他に、転写先基板120は、セラミックス基板等の絶縁体基板、金属等の導電体基板であっても良い。転写先基板120にシリコン基板またはSOI基板を用いる場合、既存のシリコンプロセスで用いられる製造装置が利用でき、既知のシリコンプロセスにおける知見を利用して、研究開発および製造の効率を高めることができる。
転写先基板120が、シリコン基板等、容易には曲がらない硬い基板である場合、転写する半導体結晶層106が機械的振動等から保護され、半導体結晶層106の結晶品質を高く保つことができる。
次に、図6に示すように、転写先基板120の表面(第2表面122)と半導体結晶層形成基板102の半導体結晶層106の表面(第1表面112)とを向かい合わせ、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを貼り合わせる。貼り合わせにおいて、第1表面112である半導体結晶層106の表面と、第2表面122である転写先基板120の表面とが接合されるように、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを貼り合わせる。接着性強化処理を行う場合、貼り合わせは室温で行うことができる。
次に、図7に示すように、転写先基板120および半導体結晶層形成基板102に荷重Fを印加し、転写先基板120を半導体結晶層形成基板102に圧着する。圧着により接着強度を向上させることができる。圧着時または圧着後に熱処理を行ってもよい。熱処理温度として50〜600℃が好ましく、さらに好ましくは100℃〜400℃がよい。荷重Fは、0.01MPa〜1GPaの範囲で適宜選択できる。当該圧着により、溝110の内壁と転写先基板120の表面とによって空洞140が形成される。なお、接着層を用いて転写先基板120と半導体結晶層形成基板102を接着する場合、圧着は必要ではない。また、接着層を用いない場合であっても圧着は必須ではない。
図6および図7を用いた上記説明では、貼りあわせの工程と圧着の工程を別々の工程として説明したが、転写先基板120の表面(第2表面122)と半導体結晶層形成基板102の半導体結晶層106の表面(第1表面112)とを向かい合わせ、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを貼り合わせると同時に0.01MPa〜1GPaの圧力範囲で圧着してもよい。貼り合わせたときから所定の圧力に達するときまでの時間は、実際には厳密に0にすることはできないので、ここでいう「同時に」とは、貼り合わせと圧着とを2つのステップとして区別できず、1つのステップとして把握できる程度に、「同時に」という趣旨である。
半導体結晶層106が形成された半導体結晶層形成基板102と転写先基板120とを貼りあわせた後に圧力を加えて圧着すると、あるいは、半導体結晶層形成基板102と転写先基板120を向かい合わせ、貼り合わせると同時に圧着すると、一般に半導体結晶層106が転写先基板120に良好に接着され、半導体結晶層106の転写先基板120への転写が良好になると予測される。一方、圧力を加え過ぎると、半導体結晶層106に無用な荷重がかかり、半導体結晶層106の結晶性を低下させる等の不都合が生じる場合がある。なお、転写先基板120としてシリコン結晶のような硬い基板を用い、貼り合わせまたは圧着時の圧力を調整することで、半導体結晶層106(分割体108)に圧縮歪みまたは引張歪みを与えることができる。これにより、半導体結晶層106を歪みデバイスの活性層に利用することが可能になる。
次に、図8に示すように、空洞140にエッチング液142を供給する。空洞140にエッチング液142を供給する方法として、毛細管現象によりエッチング液142を空洞140内に供給する方法、空洞140の一端をエッチング液142に浸漬し、他端からエッチング液142を吸引することで強制的にエッチング液142を空洞140内に供給する方法、空洞140の一端が開放され他端が閉塞されている場合に、転写先基板120および半導体結晶層形成基板102を減圧状態に置き、空洞140の開放されている一端をエッチング液142に浸漬した後、転写先基板120および半導体結晶層形成基板102を大気圧状態にすることで、強制的にエッチング液142を空洞140内に供給する方法、を挙げることができる。
毛細管現象によりエッチング液142を空洞140内に供給する方法の具体例として、空洞140の一端にエッチング液142を滴下する方法を挙げることができる。毛細管現象を利用してエッチング液142を空洞140内に供給するには、空洞140の他端は開放されている必要がある。空洞140の一端にエッチング液142を滴下して空洞140内のエッチング液142を供給する場合、エッチング液142を簡便かつ確実に空洞140内に供給することができる。当該エッチングは、空洞140の一端にエッチング液142を滴下することで開始される。なお、空洞140の内部がエッチング液142で満たされた後、転写先基板120および半導体結晶層形成基板102の全体を、エッチング液142で満たしたエッチング槽に浸漬してエッチングを進行することができる。あるいは、空洞140の一端にエッチング液142を供給し続けてエッチングを進行することができる。空洞140の一端にエッチング液142を滴下により供給し続ける場合、使用するエッチング液142の量はごく微量で済むため、エッチング液142の削減が可能となり、コストの低減およびエッチング液142の廃棄に伴う環境負荷の低減を図ることができる。
転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを貼り合わせる前に、溝110の内部を親水化してもよい。溝110の内部を親水化することで、エッチング液の空洞140内への供給がスムーズになる。溝110の内部を親水化する方法として、溝110の内部をHClガスで暴露する方法、溝110の内部に親水化イオン(たとえば水素イオン)をイオン注入する方法等を例示することができる。
次に、図9に示すように、空洞140に供給されたエッチング液142により、犠牲層104をエッチングする。犠牲層104は、選択的にエッチングすることができる。ここで「選択的にエッチングする」とは、犠牲層104と同様にエッチング液に晒される他の部材、たとえば半導体結晶層106も犠牲層104と同様にエッチングされるものの、犠牲層104のエッチング速度が他の部材のエッチング速度より高くなるようエッチング液の材料その他の条件を選択し、実質的に犠牲層104だけを「選択的に」エッチングすることをいう。犠牲層104がAlAs層である場合、エッチング液142として、HCl、HF、リン酸、クエン酸、過酸化水素水、アンモニア、水酸化ナトリウムの水溶液または水を例示することができる。エッチング中の温度は、10〜90℃の範囲で制御することが好ましい。エッチング時間は、1分〜200時間の範囲で適宜制御することができる。
犠牲層104がAlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなる場合、犠牲層104は、HCl水溶液をエッチャントとするエッチングにより除去することができ、この場合、HCl水溶液の濃度は、5質量%以上25質量%以下とすることが好ましい。犠牲層をエッチングする際のエッチング液のエッチャント濃度が低いとエッチング時間が長くなり好ましくなく、一方、エッチャント濃度が高いと、エッチングにより生成される物質の生成速度が大きくなり、エッチングの障害を大きくする場合がある。
犠牲層104をエッチングする間、エッチング液142で満たされた空洞140内に超音波を印加しつつ犠牲層104をエッチングすることができる。超音波の印加により、エッチング速度を増すことができる。また、エッチング処理中に紫外線を照射したり、エッチング液を撹拌したりしてもよい。なお、ここではエッチング液142による犠牲層104のエッチングの例を説明したが、犠牲層104は、ドライ方式によりエッチングすることも可能である。
以上のようにして、犠牲層104がエッチングにより除去されると、図10に示すように、半導体結晶層106を転写先基板120側に残した状態で、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とが分離する。これにより、半導体結晶層106が転写先基板120に転写され、転写先基板120上に半導体結晶層106を有する複合基板が製造される。
実施形態1の複合基板の製造方法によれば、接着性強化処理を施してから、半導体結晶層形成基板102と転写先基板120とを圧着するので、半導体結晶層106が、確実に転写先基板120に転写される。また、溝110を形成するので、空洞140が形成され、犠牲層104のエッチングの際に、空洞140を経由してエッチング液が供給される。よって、転写先基板120が非可撓性の硬い基板の場合であっても、犠牲層104が迅速にエッチングされ除去される。このため、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを速やかに分離することができ、製造のスループットを向上することができる。
(実施形態2)
図11〜図14は、実施形態2の複合基板の製造方法を工程順に示した断面図である。本実施形態2では、半導体結晶層106と転写先基板120との間に接着層160を形成する場合の例を説明する。すなわち、半導体結晶層106および転写先基板120の少なくとも一方の表面に接着層160を形成してから、半導体結晶層106および転写先基板120を貼り合わせる例を説明する。実施形態2の製造方法は、多くの場合に実施形態1の製造方法と共通するので、主に異なる部分について説明し、共通する部分の説明は省略する。
図11に示すように、犠牲層104および半導体結晶層106を形成した後、半導体結晶層106の上に接着層160を形成する。接着層160は、半導体結晶層106と転写先基板120との接着性を高める層であり、無機物からなる。接着層160が無機物であるため、後の工程に数百℃程度の高温工程があっても、安定的に取り扱うことが可能になる利点がある。また、接着層160が無機物であるため、後に作成されるデバイスの絶縁層等に流用して、プロセスを簡略化することが可能になる。
接着層160として、Al、AlN、Ta、ZrO、HfO、SiO(例えばSiO)、SiN(例えばSi)およびSiOのうちの少なくとも1からなる層、またはこれらの中から選ばれた少なくとも2層の積層を例示することができる。この場合、接着層160は、ALD法、熱酸化法、蒸着法、CVD法、スパッタ法により形成することができる。接着層160の厚さは、0.1nm〜100μmの範囲とすることができる。
次に、図12に示すように、犠牲層104の一部を露出するように接着層160および半導体結晶層106をエッチングする。これにより溝110を形成する。溝110の形成については、実施形態1と同様である。さらに、図13に示すように、転写先基板120の表面と、溝110以外の部分の接着層160の表面とが接合されるように、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを貼り合わせる。ここで、溝110以外の部分の接着層160の表面は、半導体結晶層形成基板102に形成された層の表面であって転写先基板120または転写先基板120に形成された層に接することとなる「第1表面112」の一例である。転写先基板120の表面は、転写先基板120または転写先基板120に形成された層の表面であって第1表面112に接することとなる「第2表面122」の一例である。貼り合わせにおいて、第1表面112である接着層160の表面と、第2表面122である転写先基板120の表面とが接合されるように、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを貼り合わせる。貼り合わせについては、実施形態1と同様である。
なお、溝110を形成した後、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを貼り合わせる前に、転写先基板120と接着層160との接着性を強化する接着性強化処理を転写先基板120の表面および接着層160の表面から選択された1以上の表面に施すことは、実施形態1と同様である。貼り合わせにおいて、転写先基板120および半導体結晶層形成基板102を、0.01MPa〜1GPaの圧力範囲で圧着できる点も、実施形態1と同様である。
その後、犠牲層104をエッチングすることで、図14に示すように、接着層160および半導体結晶層106を転写先基板120側に残した状態で、転写先基板120と半導体結晶層形成基板102とを分離する。分離の方法は、実施形態1と同様である。これにより、接着層160および半導体結晶層106が転写先基板120に転写され、転写先基板120上に接着層160および半導体結晶層106を有する複合基板が製造される。なお、犠牲層104をドライ方式によりエッチングしても良いことは実施形態1と同様である。
上記した実施形態2の複合基板の製造方法によれば、接着層160を有するので、転写先基板120と半導体結晶層106との接着がより確実になる。接着層160が無機物であるので、後の工程に熱的制限を受けない利点がある。
実施形態1または実施形態2の複合基板を用いて、転写先基板120上の半導体結晶層106を、さらに第2の転写先基板に転写しても良い。この場合、接着層160は、半導体結晶層106を第2の転写先基板に転写する際の犠牲層に用いることができる。また、第2の転写先基板と半導体結晶層106との間には、接着層を形成してもよい。
半導体結晶層形成基板102上に犠牲層104および半導体結晶層106を形成した後、半導体結晶層形成基板102と転写先基板120とを貼り合わせる前に、半導体結晶層106の一部を活性領域とする電子デバイスを、半導体結晶層106に形成してもよい。この場合、半導体結晶層106は、そこに電子デバイスを有した状態で転写されることとなる。半導体結晶層106は、転写の度に表裏が逆転するので、当該方法を用いれば、半導体結晶層106の表裏両面に電子デバイスを作成することができる。
なお、半導体結晶層106の平面形状に、図3または図4に示すような特徴を有する場合、転写された半導体結晶層106を有する複合基板として本件発明を把握することもできる。すなわち、転写先基板120と、転写先基板120上に転写法により形成された半導体結晶層106とを有する複合基板であって、半導体結晶層106が、複数の分割体108を有し、複数の分割体108のうち1以上の分割体108の平面形状が、分割体108の辺縁の点から当該点における法線方向へ等速度に縮小し消滅すると仮定した場合に、縮小し消滅する直前の図形が単一の点ではなく、単一の線、複数の線または複数の点となる平面形状である複合基板として発明を把握することができる。
(実施例1)
本実施例1では、上述した実施形態2の製造方法により、ダイサイズのGaAs結晶層をSi基板上に形成する例を説明する。半導体結晶層形成基板102として4インチのGaAs基板を、犠牲層104としてAlAs結晶層を、半導体結晶層106としてGaAs結晶層を、接着層160としてAl層を用いた。転写先基板120として4インチのSi基板を用いた。
GaAs基板の全面に、AlAs結晶層およびGaAs結晶層を、低圧MOCVD法によるエピタキシャル結晶成長法を用いて、順次形成した。AlAs結晶層およびGaAs結晶層の厚さは、各々150nmおよび1.0μmとした。さらにALD法によりAl層を形成した。
犠牲層104であるAlAs結晶層の一部が露出するようにAl層およびGaAs結晶層をエッチングし、Al層およびGaAs結晶層を複数の分割体108に分割した。分割体108の大きさと溝の幅は、表1に示すように4通りとした。分割体108の形成は以下の通りである。表1に示す分割体108の大きさおよび溝の幅を有する4通りのマスクパターンを用い、ポジ型レジストを用いてAl層上にレジストマスクを形成した。当該レジストマスクをマスクとして、Al層を10%フッ酸溶液によりエッチングした後、水洗し、引き続きGaAs結晶層をクエン酸系エッチャントによりエッチングし、Al層およびGaAs結晶層の分割体108を形成した。当該エッチングでは、AlAs層に至るまでGaAs結晶層をエッチングした。
次に、半導体結晶層形成基板102である4インチGaAs基板と転写先基板120である4インチSi基板の表面を、イオンビーム活性化することで接着性強化処理を施した。イオンビーム活性化は、真空中でのArイオンビームの照射とした。その後、4インチGaAs基板と4インチSi基板との表面同士を貼り合わせ、さらに100000Nの荷重を加えて圧着を行い(圧力:12.3MPa)、貼り合わせ基板を得た。圧着は常温で行った。この貼り合わせにより、Al層およびGaAs結晶層へのエッチングにより形成された溝110の内壁と、転写先基板120であるSi基板の表面とによって空洞140が形成された。
次に、犠牲層104であるAlAs結晶層をエッチングすることで、半導体結晶層106であるGaAs結晶層を転写先基板120である4インチSi基板に残した状態で、4インチSi基板と4インチGaAs基板とを分離した。AlAs結晶層のエッチングは、貼り合わせ基板の側面を、23℃、HCl濃度が25質量%のエッチング液(25%塩化水素水溶液)に浸漬させ、空洞140内に毛細管現象によりエッチング液を供給し、そのまま放置した。これにより犠牲層104であるAlAs結晶層のエッチングが進行し、4インチSi基板と4インチGaAs基板とが分離され、転写先基板120である4インチSi基板上に半導体結晶層106であるGaAs結晶層を有する複合基板が得られた。
実施例1により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「低」であり、剥離までの時間は「長」であった。ここで、歩留まりが「低」とは「転写後の結晶を顕微鏡観察したときに、単位区画内に欠陥が認められない割合が10%以上30%未満」であることをいい、「中」とは「上述した割合が30%以上90%未満」であることをいい、「高」とは「上述した割合が90%以上」であることをいう。また、剥離までの時間が「長」とは「3日を超える」ことをいい、「中」とは「1日を超え3日以下」であることをいい、「短」とは「1日以下」であることをいう。以下の実施例において同様である。
(実施例2)
圧着するときの荷重を50000Nにしたこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を製造した(圧力:6.17MPa)。この場合も実施例1の場合と同様に正常に複合基板が製造できた。実施例2により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「低」であり、剥離までの時間は「長」であった。
(実施例3)
転写先基板を8インチのSi基板にしたこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を製造した(荷重 100000N、圧力:12.3MPa)。この場合も実施例1の場合と同様に正常に複合基板が製造できた。実施例3により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「低」であり、剥離までの時間は「長」であった。
(実施例4)
本実施例4では、上述した実施形態1の製造方法により、ダイサイズのGaAs結晶層をSi基板上に形成する例を説明する。半導体結晶層形成基板102として6インチのGaAs基板を、犠牲層104としてAlAs結晶層を、半導体結晶層106としてGaAs結晶層を用いた。転写先基板120として12インチのSi基板を用いた。
GaAs基板の全面に、AlAs結晶層およびGaAs結晶層を、低圧MOCVD法によるエピタキシャル結晶成長法を用いて、順次形成した。AlAs結晶層およびGaAs結晶層の厚さは、各々150nmおよび1.0μmとした。
犠牲層104であるAlAs結晶層の一部が露出するようにGaAs結晶層をエッチングし、GaAs結晶層を複数の分割体108に分割した。分割体108の大きさと溝の幅は、表2に示す通りとした。分割体108の形成は以下の通りである。表2に示す分割体108の大きさおよび溝の幅を有するマスクパターンを用い、ポジ型レジストを用いてGaAs結晶層上にレジストマスクを形成した。当該レジストマスクをマスクとして、GaAs結晶層をリン酸系エッチャントによりエッチングし、GaAs結晶層の分割体108を形成した。当該エッチングでは、半導体結晶層形成基板102である6インチGaAs基板に至るまでエッチングした。
次に、半導体結晶層形成基板102である6インチGaAs基板と転写先基板120である12インチSi基板の表面を、イオンビーム活性化することで接着性強化処理を施した。イオンビーム活性化は、真空中でのArイオンビームの照射とした。その後、6インチGaAs基板と12インチSi基板との表面同士を貼り合わせ、さらに200000Nの荷重を加えて圧着を行い(圧力:11.0MPa)、貼り合わせ基板を得た。圧着は常温で行った。この貼り合わせにより、GaAs結晶層へのエッチングにより形成された溝110の内壁と、転写先基板120であるSi基板の表面とによって空洞140が形成された。
次に、犠牲層104であるAlAs結晶層をエッチングすることで、半導体結晶層106であるGaAs結晶層を転写先基板120である12インチSi基板に残した状態で、12インチSi基板と6インチGaAs基板とを分離した。AlAs結晶層のエッチングは、貼り合わせ基板の側面を、23℃、HCl濃度が25質量%のエッチング液(25%塩化水素水溶液)に浸漬させ、空洞140内に毛細管現象によりエッチング液を供給し、そのまま放置した。これにより犠牲層104であるAlAs結晶層のエッチングが進行し、12インチSi基板と6インチGaAs基板とが分離され、転写先基板120である12インチSi基板上に半導体結晶層106であるGaAs結晶層を有する複合基板が得られた。実施例4により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「低」であり、剥離までの時間は「長」であった。
(実施例5)
半導体結晶層形成基板102として6インチのGaAs基板を用い、転写先基板120として4インチのガラス基板を用い、圧着するときの荷重を100000Nとした(圧力:12.3MPa)こと以外は、実施例4と同様にして、複合基板を製造した。この場合も実施例4の場合と同様に正常に複合基板が製造できた。実施例5により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「低」であり、剥離までの時間は「中」であった。
(実施例6)
転写先基板120として4インチの石英基板を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、複合基板を製造した(圧力:12.3MPa)。この場合も実施例5の場合と同様に正常に複合基板が製造できた。実施例6により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「低」であり、剥離までの時間は「中」であった。
(実施例7)
半導体結晶層形成基板102として6インチGaAs基板を用い、半導体結晶層106としてGe結晶層を用いたこと以外は実施例4と同様にして、複合基板を製造した(荷重200000N、圧力:11.0MPa)。この場合も実施例4の場合と同様に正常に複合基板が製造できた。実施例7により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「低」であり、剥離までの時間は「長」であった。
(実施例8)
HCl濃度を10質量%とし、犠牲層104であるAlAs層の厚さを変化させた以外は、実施例1と同様にして複合基板を製造した(荷重100000N、圧力:12.3MPa)。AlAs層の厚さを5nm、7nm、10nmおよび20nmと変化させて複合基板を製造したところ、正常に複合基板が製造できた。
AlAs層の厚さを5nmとした場合のGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「中」であり、剥離までの時間は「中」であった。AlAs層の厚さを7nmとした場合のGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「中」であり、剥離までの時間は「短」であった。AlAs層の厚さを10nmおよび20nmとした場合のGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「中」であり、剥離までの時間は「短」であった。この結果、AlAs層の厚さには、7nm程度に最適値が存在することがわかる。
(実施例9)
AlAs層の厚さを20nmとし、HCl濃度を変化させた以外は、実施例1と同様にして複合基板を製造した(荷重100000N、圧力:12.3MPa)。HCl濃度を5質量%、10質量%と変化させて複合基板を製造したところ、正常に複合基板が製造できた。
HCl濃度を5質量%および10質量%とした場合のGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「中」であり、剥離までの時間は「短」であった。実施例1の結果と考え合わせれば、HCl濃度は5〜10質量%が適切であると推定できる。
(実施例10)
分割体108の平面形状を、300μmの線幅と200μmの溝幅で敷き詰めた、いわゆるラインアンドスペースパターン(以下ライン(線部分)とスペース(溝部分)の幅を加味して「300/200μmLSパターン」と称する。)とし、AlAs層の厚さを7nmとした以外は、実施例1と同様にして複合基板を製造した(荷重 100000N、圧力:12.3MPa)。正常に複合基板が製造できた。実施例10により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。他の実施例の結果と比較して、実施例10の結果は良好である。このような良好な結果は、分割体108の平面形状によるものと思われる。
図15は、実施例10の転写したGaAs層(ELO GaAs)をPL(Photoluminescence)分光分析した結果を示すグラフである。比較のため、転写する前のGaAs層(As grown)を示す。転写の前後でPL分光による結晶評価にほとんど変化がないことがわかる。
図16は、実施例10の転写したGaAs層を複数点(25点)についてPL分光により評価した結果を示す。発光中心波長(wavelength)とそのときの半値幅(FWHM)を分散分布図にプロットしたグラフで結晶性の分布を評価した。図示するとおり、結晶性にほとんど分布は見られない。
図17は、実施例10の転写したGaAs層(ELO GaAs)表面をAFM(Atomic Force Microscope)により観察した図である。基板のオフ角に基づくステップが明瞭に観察されている。転写後においても成長直後とほぼ同じ表面状態が保持されており、デバイス作成に十分な表面が得られているといえる。
図18は、上述したGaAs層と同様に作成した転写Ge層(ELO Ge)をラマン分光分析により結晶性を評価した結果である。比較のため、転写前のサンプル(As grown)およびバルクGe(Ge Bulk)の結果を同時に示す。図示するように、転写Ge層の結晶性は、転写前はもとより、バルク結晶と比較してもほとんと相違がないほど良好である。
上記した実施の形態および実施例では、半導体結晶層106が最終的に転写される基板について特に言及していないが、当該基板は、シリコンウェハ等の半導体基板、SOI基板または絶縁体基板上に半導体層が形成された基板であってよい。当該半導体基板、SOI層または半導体層に予めトランジスタ等電子デバイスが形成されていてもよい。つまり、すでに電子デバイスが形成された基板上に、上記した方法を用いて半導体結晶層106を転写により形成できる。これにより、材料組成等が大きく異なる半導体デバイスをモノリシックに形成することができるようになる。特に、半導体結晶層106に電子デバイスを予め形成した後に、上述したような予め電子デバイスが形成された基板上に転写により半導体結晶層106を形成すると、製造プロセスが大きく異なる異種材料からなる電子デバイスを容易にモノリシックに形成することができるようになる。
(実施例11)
本実施例11では、上述した実施形態1の製造方法により、半導体結晶層形成基板102として4インチGaAs基板を用い、分割体108の形状として、図19に示すような、300/200μmLSパターンを用いた例を説明する。犠牲層104としてAlAs結晶層を、半導体結晶層106としてGaAs結晶層を用いた。転写先基板120として4インチのSi基板を用いた。
4インチGaAs基板の全面に、AlAs結晶層およびGaAs結晶層を、低圧MOCVD法によるエピタキシャル結晶成長法を用いて、順次形成した。AlAs結晶層およびGaAs結晶層の厚さは、各々7nmおよび1.0μmとした。
犠牲層104であるAlAs結晶層の一部が露出するようにGaAs結晶層をエッチングし、GaAs結晶層を複数の分割体108に分割した。隣接する分割体108との間には溝110が形成された。分割体108の平面形状は、300/200μmLSパターンとした。分割体108の形成は以下の通りである。分割体108の大きさおよび溝110の幅を有するマスクパターン(300/200μmLSパターン)を用い、ポジ型レジストを用いてGaAs結晶層上にレジストマスクを形成した。当該レジストマスクをマスクとして、GaAs結晶層をリン酸系エッチャントによりエッチングし、GaAs結晶層の分割体108を形成した。当該エッチングでは、半導体結晶層形成基板102である4インチGaAs基板に至るまでエッチングした。
次に、半導体結晶層形成基板102である4インチGaAs基板と転写先基板120である4インチSi基板の表面を、イオンビーム活性化することで接着性強化処理を施した。イオンビーム活性化は、真空中でのArイオンビームの照射とした。その後、GaAs基板と4インチSi基板との表面同士を貼り合わせ、さらに100000Nの荷重を加えて圧着を行い(圧力:12.3MPa)、貼り合わせ基板を得た。圧着は常温で行った。この貼り合わせにより、GaAs結晶層へのエッチングにより形成された溝110の内壁と、転写先基板120であるSi基板の表面とによって空洞140が形成された。
次に、犠牲層104であるAlAs結晶層をエッチングすることで、半導体結晶層106であるGaAs結晶層を転写先基板120である4インチSi基板に残した状態で、4インチSi基板と4インチGaAs基板とを分離した。
AlAs結晶層のエッチングは、貼り合わせ基板の側面を、23℃、HCl濃度が10質量%のエッチング液(10%塩化水素水溶液)に浸漬させ、空洞140内に毛細管現象によりエッチング液を供給し、そのまま放置した。これにより犠牲層104であるAlAs結晶層のエッチングが進行し、4インチSi基板と4インチGaAs基板とが分離され、転写先基板120である4インチSi基板上に半導体結晶層106であるGaAs結晶層を有する複合基板が得られた。
実施例11により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。
(実施例12)
本実施例12では、半導体結晶層形成基板102として1辺が60mmの正方形GaAs基板を用い、分割体108の平面形状として、図20に示すような、300/200μmLSパターンを用いた例を説明する。犠牲層104としてAlAs結晶層を、半導体結晶層106としてGaAs結晶層を用いた。転写先基板120として4インチのSi基板を用いた。
GaAs基板の全面に、AlAs結晶層およびGaAs結晶層を、低圧MOCVD法によるエピタキシャル結晶成長法を用いて、順次形成した。AlAs結晶層およびGaAs結晶層の厚さは、各々7nmおよび1.0μmとした。
犠牲層104であるAlAs結晶層の一部が露出するようにGaAs結晶層をエッチングし、GaAs結晶層を複数の分割体108に分割した。分割体108の平面形状は、300/200μmLSパターンとした。分割体108の形成は以下の通りである。分割体108の大きさおよび溝の幅を有するマスクパターン(300/200μmLSパターン)を用い、ポジ型レジストを用いてGaAs結晶層上にレジストマスクを形成した。当該レジストマスクをマスクとして、GaAs結晶層をリン酸系エッチャントによりエッチングし、GaAs結晶層の分割体108を形成した。当該エッチングでは、半導体結晶層形成基板102である正方形GaAs基板に至るまでエッチングした。
次に、半導体結晶層形成基板102である正方形GaAs基板と転写先基板120である4インチSi基板の表面を、イオンビーム活性化することで接着性強化処理を施した。イオンビーム活性化は、真空中でのArイオンビームの照射とした。その後、GaAs基板と4インチSi基板との表面同士を貼り合わせ、さらに100000Nの荷重を加えて圧着を行い(圧力:27.8MPa)、貼り合わせ基板を得た。圧着は常温で行った。この貼り合わせにより、GaAs結晶層へのエッチングにより形成された溝110の内壁と、転写先基板120であるSi基板の表面とによって空洞140が形成された。
次に、犠牲層104であるAlAs結晶層をエッチングすることで、半導体結晶層106であるGaAs結晶層を転写先基板120である4インチSi基板に残した状態で、4インチSi基板と正方形GaAs基板とを分離した。AlAs結晶層のエッチングは、貼り合わせ基板の側面を、23℃、HCl濃度が10質量%のエッチング液(10%塩化水素水溶液)に浸漬させ、空洞140内に毛細管現象によりエッチング液を供給し、そのまま放置した。これにより犠牲層104であるAlAs結晶層のエッチングが進行し、4インチSi基板と正方形GaAs基板とが分離され、転写先基板120である4インチSi基板上に半導体結晶層106であるGaAs結晶層を有する複合基板が得られた。実施例12により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。
(実施例13)
本実施例13では、半導体結晶層形成基板102として1辺が60mmの正方形GaAs基板を5枚用い、転写先基板120として12インチのSi基板を用い、接着時の荷重を100000N(圧力:5.56MPa)とした以外は、実施例12と同様に複合基板を作成した。実施例13により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。
(実施例14)
本実施例14では、半導体結晶層形成基板102として1辺が60mmの正方形GaAs基板を用い、転写先基板120として4インチの石英基板を用いた例を説明する。犠牲層104としてAlAs結晶層を、半導体結晶層106としてGaAs結晶層を用いた。
4インチGaAs基板の全面に、AlAs結晶層およびGaAs結晶層を、低圧MOCVD法によるエピタキシャル結晶成長法を用いて、順次形成した。AlAs結晶層およびGaAs結晶層の厚さは、各々7nmおよび1.0μmとした。
犠牲層104であるAlAs結晶層の一部が露出するようにGaAs結晶層をエッチングし、GaAs結晶層を複数の分割体108に分割した。分割体108の平面形状は、300/200μmLSパターンとした。分割体108の形成は以下の通りである。分割体108の大きさおよび溝の幅を有するマスクパターン(300/200μmLSパターン)を用い、ポジ型レジストを用いてGaAs結晶層上にレジストマスクを形成した。当該レジストマスクをマスクとして、GaAs結晶層をリン酸系エッチャントによりエッチングし、GaAs結晶層の分割体108を形成した。当該エッチングでは、半導体結晶層形成基板102である正方形GaAs基板に至るまでエッチングした。
次にマスクとしてのレジストをつけたまま、エッチングが終了した上述した4インチ基板を、ヘキカイ(僻開)して、半導体結晶層形成基板102である1辺が60mmの正方形GaAs基板にする。
次に、半導体結晶層形成基板102である正方形GaAs基板と転写先基板120である4インチ石英基板の表面を、イオンビーム活性化することで接着性強化処理を施した。イオンビーム活性化は、真空中でのArイオンビームの照射とした。その後、GaAs基板と4インチ石英基板との表面同士を貼り合わせ、さらに10000Nの荷重を加えて圧着を行い(圧力:27.8MPa)、貼り合わせ基板を得た。圧着は常温で行った。この貼り合わせにより、GaAs結晶層へのエッチングにより形成された溝110の内壁と、転写先基板120である石英基板の表面とによって空洞140が形成された。
次に、犠牲層104であるAlAs結晶層をエッチングすることで、半導体結晶層106であるGaAs結晶層を転写先基板120である4インチ石英基板に残した状態で、4インチSi基板と正方形GaAs基板とを分離した。
AlAs結晶層のエッチングは、貼り合わせ基板の正方形GaAs基板の溝部の開口(空洞140の開口)をもつ1側面の1箇所に、23℃、HCl濃度が10質量%のエッチング液(10%塩化水素水溶液)を10μL付着させことで、空洞140内に毛細管現象によりエッチング液を供給した。エッチング液は当該1側面全体に浸透しつつ、空洞全体に浸透する。空洞140の全体にエッチング液を給液した後、貼り合わせた積層体をエッチング液の中に浸漬し、そのまま放置した。これにより犠牲層104であるAlAs結晶層のエッチングが進行し、4インチSi基板と正方形GaAs基板とが分離され、転写先基板120である4インチSi基板上に半導体結晶層106であるGaAs結晶層を有する複合基板が得られた。
実施例14により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。
(実施例15)
エッチング液の給液方法以外は、実施例14と同様にして、複合基板を製造した。エッチング液の給液方法としては、貼り合わせ基板の正方形GaAs基板の溝部の開口(空洞140の開口)をもつ1側面の1箇所に、23℃、HCl濃度が10質量%のエッチング液(10%塩化水素水溶液)をマイクロピペッターを用いて10μL付着させことで、空洞140内に毛細管現象によりエッチング液を供給した。エッチング液は当該1側面全体に浸透しつつ、空洞全体に浸透する。空洞140の全体にエッチング液を給液した後、エッチング終了まで、マイクロピペッターを用いてエッチング液の供給を継続させた。これにより犠牲層104であるAlAs結晶層のエッチングが進行し、4インチSi基板と正方形GaAs基板とが分離され、転写先基板120である4インチSi基板上に半導体結晶層106であるGaAs結晶層を有する複合基板が得られた。
実施例15により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。
(実施例16)
エッチング液の給液方法以外は、実施例14と同様にして、複合基板を製造した。エッチング液の給液方法としては、貼り合わせ基板の正方形GaAs基板の溝部の開口(空洞140の開口)をもつ1側面の1箇所に、23℃、HCl濃度が10質量%のエッチング液(10%塩化水素水溶液)をマイクロピペッターを用いて10μL付着させことで、空洞140内に毛細管現象によりエッチング液を供給した。エッチング液は当該1側面全体に浸透しつつ、空洞全体に浸透する。空洞140の全体にエッチング液を給液した後、空洞140内が乾燥するまで放置する。エッチング終了まで、マイクロピペッターを用いてエッチング液の供給と空洞内の乾燥の工程を繰り返しを継続させた。これにより犠牲層104であるAlAs結晶層のエッチングが進行し、4インチSi基板と正方形GaAs基板とが分離され、転写先基板120である4インチSi基板上に半導体結晶層106であるGaAs結晶層を有する複合基板が得られた。
実施例16により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。
(実施例17)
半導体結晶層形成基板102である貼り合わせ基板の側面の一部にグリースを付着させこと以外は、実施例11と同様にして、複合基板を製造した。側面にグリースを付着することで、エッチング液が側面から空洞140の内部に浸透することが抑制される。毛細管現象により空洞140の内部にエッチング液を充填しようとする場合、側面からのエッチング液の浸透があると、毛細管現象が阻害され、空洞140の内部にエッチング液が十分に充填されない場合がある。しかし、本実施例17によれば、基板側面にグリースを付着させることで側面からのエッチング液の浸透が抑制され、空洞140内部にエッチング液が確実に充填される。なお、ここではグリースを例示しているが、側面からのエッチング液の浸透を抑制できるものであれば、グリースに限らず、他の物質を用いることが可能である。
実施例17により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは実施例17より高く、かつ剥離までの時間がより短くなった。
(実施例18)
半導体結晶層として厚み400nmのGe結晶層を用いたこと以外は、実施例11と同様にして、複合基板を製造した。実施例18により作成されたGe結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、かつ剥離までの時間は「短」であった。
(実施例19)
半導体結晶層として厚み10nmのGaAs結晶層を用いたこと以外は、実施例11と同様にして、複合基板を製造した。実施例19により作成されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、かつ剥離までの時間は「短」であった。
(実施例20)
圧着時の荷重を8448N(圧力:1.04MPa)とした以外は、実施例11と同様にして、複合基板を製造した。実施例20により作製されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。
(実施例21)
圧着時の荷重を236N(圧力:29.1kPa)とした以外は、実施例11と同様にして、複合基板を製造した。実施例21により作製されたGaAs結晶層(半導体結晶層106)の歩留まりは「高」であり、剥離までの時間は「短」であった。
(実施例22)
実施例8おけるAlAs層の厚さを7nmとした場合の複合基板を、転写先基板120をシリコン基板とした場合とパイレックス(登録商標)ガラスとした場合の2通りについて作成した。各々の複合基板について、転写前後のGaAs結晶層(半導体結晶層106)をX線回折により評価したところ、転写先基板120がパイレックス(登録商標)ガラスの場合、転写前の格子面間隔dが5.65286Åであり、転写後のdが5.65283Åであったのに対し、転写先基板120がシリコン基板である場合、転写前の格子面間隔dが5.65286Åであり、転写後のdが5.65259Åであった。転写先基板120がパイレックス(登録商標)ガラスである場合、転写の前後で格子面間隔の変化はほとんど見られないが、転写先基板120がシリコン基板である場合、GaAs結晶層(半導体結晶層106)の厚み方向格子定数が転写後に小さくなり、面方向に引張歪が生じていることがわかる。このような格子定数の相違(面方向の歪の有無)は基板の硬さに起因するものと推察され、シリコンのような硬い基板の利用と貼り合わせの際の荷重の大きさの制御によって、GaAs結晶層(半導体結晶層106)の歪を制御することが可能になると思われる。当該歪制御の手法により、本実施例の複合基板の歪トランジスタ等への応用が期待できると考えられる。
102…半導体結晶層形成基板、104…犠牲層、106…半導体結晶層、108…分割体、110…溝、112…第1表面、120…転写先基板、122…第2表面、130…イオンビーム生成器、140…空洞、142…エッチング液、160…接着層。

Claims (18)

  1. 半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、
    半導体結晶層形成基板の上方に犠牲層および前記半導体結晶層を、前記犠牲層、前記半導体結晶層の順に形成するステップと、
    前記犠牲層の一部が露出するように前記半導体結晶層をエッチングし、前記半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、
    前記半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または前記転写先基板に形成された層の表面である第2表面とを向かい合わせ、前記第1表面と前記第2表面とが接するように前記半導体結晶層形成基板と前記転写先基板とを貼り合わせるステップと、
    前記犠牲層をエッチングし、前記半導体結晶層を前記転写先基板側に残した状態で、前記転写先基板と前記半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、
    を有する複合基板の製造方法。
  2. 半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、
    半導体結晶層形成基板の上方に、AlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなる犠牲層を5nm以上100nm以下の厚さで形成し、さらに前記半導体結晶層を形成するステップと、
    前記犠牲層の一部が露出するように前記半導体結晶層をエッチングし、前記半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、
    前記半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または前記転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、前記第1表面と前記第2表面とが接するように前記半導体結晶層形成基板と前記転写先基板とを貼り合わせるステップと、
    前記犠牲層を、HCl水溶液をエッチャントとするエッチングにより除去し、前記半導体結晶層を前記転写先基板側に残した状態で、前記転写先基板と前記半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、
    を有する複合基板の製造方法。
  3. 半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、
    半導体結晶層形成基板の上方に、AlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなる犠牲層を形成し、さらに前記半導体結晶層を形成するステップと、
    前記犠牲層の一部が露出するように前記半導体結晶層をエッチングし、前記半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、
    前記半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または前記転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、前記第1表面と前記第2表面とが接するように前記半導体結晶層形成基板と前記転写先基板とを貼り合わせるステップと、
    前記犠牲層を、5質量%以上25質量%以下の濃度のHCl水溶液をエッチャントとするエッチングにより除去し、前記半導体結晶層を前記転写先基板側に残した状態で、前記転写先基板と前記半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、
    を有する複合基板の製造方法。
  4. 半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、
    半導体結晶層形成基板の上方に犠牲層および前記半導体結晶層を、前記犠牲層、前記半導体結晶層の順に形成するステップと、
    前記犠牲層の一部が露出するように前記半導体結晶層をエッチングし、前記半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、
    前記半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または前記転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、前記第1表面と前記第2表面とが接するように前記半導体結晶層形成基板と前記転写先基板とを貼り合わせるステップと、
    前記犠牲層をエッチングし、前記半導体結晶層を前記転写先基板側に残した状態で、前記転写先基板と前記半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、
    を有し、
    前記複数の分割体のうち1以上の分割体の平面形状が、前記分割体の平面形状の外形を示す辺縁の各点から前記点における法線方向へ等速度に縮小し消滅すると仮定した場合に、縮小し消滅する直前の図形が単一の点ではなく、単一の線、複数の線または複数の点となる平面形状である
    複合基板の製造方法。
  5. 前記分割体の平面形状が、平行な2本の線分と、当該2本の線分のそれぞれの端点の間を結ぶ2本の線とで囲まれた平面形状であり、前記端点の間を結ぶ前記線が、直線、曲線または折れ線である
    請求項4に記載の複合基板の製造方法。
  6. 前記分割体の平面形状が、長方形状である
    請求項5に記載の複合基板の製造方法。
  7. 前記貼り合わせるステップの後に、前記半導体結晶層形成基板および前記転写先基板を、0.01MPa〜1GPaの圧力範囲で圧着するステップ、
    をさらに有する請求項1から請求項6の何れか一項に記載の複合基板の製造方法。
  8. 半導体結晶層を備えた複合基板の製造方法であって、
    半導体結晶層形成基板の上方に犠牲層および前記半導体結晶層を、前記犠牲層、前記半導体結晶層の順に形成するステップと、
    前記犠牲層の一部が露出するように前記半導体結晶層をエッチングし、前記半導体結晶層を複数の分割体に分割するステップと、
    前記半導体結晶層形成基板に形成された層の表面である第1表面と、無機物からなる転写先基板または前記転写先基板に形成された層の表面である第2表面と、を向かい合わせ、前記第1表面と前記第2表面とが接するように前記半導体結晶層形成基板と前記転写先基板とを0.01MPa〜1GPaの圧力範囲で圧着するステップと、
    前記犠牲層をエッチングし、前記半導体結晶層を前記転写先基板側に残した状態で、前記転写先基板と前記半導体結晶層形成基板とを分離するステップと、
    を有する複合基板の製造方法。
  9. 前記犠牲層および前記半導体結晶層を形成するステップの後、前記分割するステップの前に、前記半導体結晶層の上方に、無機物からなる接着層を形成するステップをさらに有し、
    前記分割するステップにおいて、前記犠牲層の一部が露出するように前記接着層および前記半導体結晶層をエッチングし、前記接着層および前記半導体結晶層を複数の分割体に分割する
    請求項1から請求項8の何れか一項に記載の複合基板の製造方法。
  10. 前記分割するステップの後、前記半導体結晶層形成基板と前記転写先基板とを貼り合わせるステップの前に、前記第1表面および前記第2表面から選択された1以上の表面に、前記第1表面と前記第2表面との接合界面における接着性を強化する接着性強化処理を施すステップ、をさらに有する
    請求項1から請求項9の何れか一項に記載の複合基板の製造方法。
  11. 前記転写先基板と前記半導体結晶層形成基板とを分離するステップにおける前記犠牲層のエッチングは、前記半導体結晶層形成基板および前記転写先基板の全部または一部をエッチング液に浸漬して行う、
    請求項1から請求項10の何れか一項に記載の複合基板の製造方法。
  12. 前記転写先基板と前記半導体結晶層形成基板とを貼り合わせることまたは圧着することで、隣接する前記分割体の間に形成された溝部の内壁と前記転写先基板の表面とで空洞が形成され、
    前記転写先基板と前記半導体結晶層形成基板とを分離するステップにおける前記犠牲層のエッチングは、前記空洞の一端にエッチング液を滴下して開始する
    請求項1から請求項10の何れか一項に記載の複合基板の製造方法。
  13. 前記空洞の内部が前記エッチング液で満たされた後、前記転写先基板および前記半導体結晶層形成基板の全体を、前記エッチング液に浸漬してエッチングを進行する
    請求項12に記載の複合基板の製造方法。
  14. 前記空洞の一端に前記エッチング液を供給し続けてエッチングを進行する
    請求項12に記載の複合基板の製造方法。
  15. 前記エッチングの進行途中において、前記空洞の内部の一部または全部を乾燥するステップを1回以上有する
    請求項14に記載の複合基板の製造方法。
  16. 転写先基板と、前記転写先基板上に転写法により形成された半導体結晶層とを有する複合基板であって、
    前記半導体結晶層が、複数の分割体を有し、
    前記複数の分割体のうち1以上の分割体の平面形状が、前記分割体の平面形状の外形を示す辺縁の各点から前記点における法線方向へ等速度に縮小し消滅すると仮定した場合に、縮小し消滅する直前の図形が単一の点ではなく、単一の線、複数の線または複数の点となる平面形状である
    複合基板。
  17. 転写先基板と、前記転写先基板上に転写法により形成された半導体結晶層とを有する複合基板であって、
    前記半導体結晶層が、複数の分割体を有し、
    前記複数の分割体のうち1以上の分割体が、圧縮歪みまたは引張歪みを有する
    複合基板。
  18. 前記分割体の平面形状が、長方形状である
    請求項16または請求項17に記載の複合基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022196241A1 (ja) * 2021-03-15 2022-09-22 国立研究開発法人産業技術総合研究所 炭化ケイ素を備える複合体とその製造方法

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