JP2014208841A - 塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒を用いた塗料、言い換えると、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素を含有しない有機溶媒を用いた塗料であって、ポリオレフィン基材に塗膜として塗装した際、優れた付着性を有するとともに、耐傷付き性を向上させる塗料を提供する。
【解決手段】エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒と、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒を用いた塗料、言い換えると、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素を含有しない有機溶媒を用いた塗料に関するものである。
自動車部品などに使用されるポリプロピレン等のポリオレフィン基材には、意匠性の付与や表面保護の目的で塗料による塗装が行われている。この塗料には、前記樹脂基材との付着性を向上させるために、バインダーとして塩素化ポリオレフィン系樹脂が使用される。ここで、この塩素化ポリオレフィン系樹脂は、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素に良好な溶解性を示すことから、塗料には多量の芳香族炭化水素が含まれている。
しかし、近年、特定の有機溶媒の使用および排出については、世界的に規制が厳しくなる傾向にあり、日本も例外ではない。具体的には、日本では、トルエン、キシレン、エチルベンゼンを始めとした芳香族炭化水素等の有機溶媒が室内放出された際の濃度(室内濃度)の指針値が定められている。
上記事情を勘案し、当該指針値が示されている芳香族炭化水素の有機溶媒を含まない塗料の創出・開発が望まれている。
なお、現在、塗料に関して、以下のような様々な技術が存在する。
例えば、特許文献1には、有機溶媒に、アクリル変性塩素化ポリプロピレン等を含むバインダー樹脂と、ウレタン樹脂粒子と、を含有させた塗料が開示されている。
また、特許文献2には、有機溶媒に、塩素化ポリオレフィンと、重合性不飽和二重結合を2つ以上有する単量体の重合体と、を含有させた塗料が開示されている。
また、特許文献3には、多孔質性の樹脂粒子と、アクリル系重合体変性塩素化ポリプロピレンを含む変性塩素化ポリプロピレン樹脂の水性エマルションを混合し、分散させた水性分散液を含有することを特徴とする水系塗料が開示されている。
特開2005−290314号公報 特開2009−298944号公報 特開2005−171160号公報
しかしながら、特許文献1に開示された塗料は、基材に対する付着性および得られる塗膜の耐傷付き性の向上を課題とした技術であり、トルエン等の芳香族炭化水素の有機溶媒を含まないようにするという観点から創出された技術ではない。よって、特許文献1に開示された塗料に含まれる物質および当該物質の含有量は、当然、前記観点(トルエン等の芳香族炭化水素の有機溶媒を含まない)を考慮して決定されていない以上、特許文献1に開示された塗料は、この点に関して十分に対応することができない。これは、特許文献1に開示された塗料が、溶媒としてトルエンを用いていることからも明らかである(特許文献1の段落0032、0040参照)。
特許文献2に開示された塗料は、トルエン等の芳香族炭化水素以外の有機溶媒を用いてワニス化(=顔料を加えず、樹脂を溶剤に溶解すること)しても安定性に問題はないが、顔料や粘度調整剤等を加えて一般的な塗料性状に調整した場合には、相分離や凝集物の発生が起こってしまい、塗装時の可使範囲が極端に狭くなってしまう。
特許文献3に開示された塗料は、そもそも水系塗料であることから、有機溶媒を用いる塗料とは全く分野が異なる。この水系塗料は、水を溶媒として使用するものであることから、トルエン等の芳香族炭化水素の有機溶媒を含まないという点では好ましいが、管理条件(温度・湿度等)が非常に厳しいとともに、塗料の安定性が良くないことから取り扱いが難しく、その結果、塗装の作業性について、有機溶媒を用いる塗料と比較して劣ってしまう。
そこで、本発明は、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒を用いた塗料、言い換えると、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素を含有しない有機溶媒を用いた塗料であって、ポリオレフィン基材に塗膜として塗装した際、優れた付着性を有するとともに、耐傷付き性を向上させる塗料を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る塗料は、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒と、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、を含み、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記脂肪酸アミド(C)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は93.4〜97.5wt%、前記脂肪酸アミド(C)の重量比率は2.5〜6.6wt%であり、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、前記多孔質性の樹脂粒子(B)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は、62.5〜91.0wt%、前記多孔質性の樹脂粒子(B)の重量比率は、9.0〜37.5wt%であり、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)は、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と、アクリル系重合体(a3)と、から構成されるとともに、当該アクリル系重合体(a3)は、前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)にアクリル系単量体(a2)をグラフト重合して得られるグラフト重合鎖であり、前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と前記アクリル系重合体(a3)との合計100wt%に対して、前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)の重量比率は5.0〜15.0wt%、前記アクリル系重合体(a3)の重量比率は85.0〜95.0wt%であり、前記多孔質性の樹脂粒子(B)は、水溶性セルロース水溶液中に、アクリル系単量体および塩素化ポリオレフィン樹脂を分散剤の存在下で重合反応させた樹脂(b1)から得られたものであり、B型粘度計で測定したThixotropic Index(TI値=塗料温度25℃で回転数6rpmにおける粘度/塗料温度25℃で回転数60rpmにおける粘度)が2.5〜5.0であることを特徴とする。
本発明に係る塗料によれば、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、を含んでいることから、有機溶媒として、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒を使用する場合であっても、言い換えると、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素を含有しない有機溶媒を使用する場合であっても、ポリオレフィン基材に塗膜として塗装した際、優れた付着性を有するとともに、耐傷付き性を向上させることができる。
そして、本発明に係る塗料は、多孔質性の樹脂粒子(B)を含んでいることから、塗膜を形成させた場合、艶消し効果を得ることができる。
また、この塗料によれば、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と、アクリル系重合体(a3)と、の重量比率を所定範囲とすることにより、基材に対する付着性の向上を確実なものとしつつ、得られる塗膜の耐水付着性等の性能についても向上させることができる。
また、この塗料によれば、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と多孔質性の樹脂粒子(B)との重量比率を所定範囲とすることにより、基材に対する付着性の向上を確実なものとしつつ、艶消し効果を十分に得ることができる。
また、この塗料によれば、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と脂肪酸アミド(C)との重量比率を所定範囲とすることにより、塗料の揺変性の効果をより確実なものとすることができる。
また、この塗料によれば、TI値を所定範囲とすることにより、塗料の安定性(貯蔵安定性)を確実なものとするとともに、塗装作業性についても確保することができる。
また、本発明に係る塗料は、前記脂肪酸アミド(C)は、炭素数4〜18の飽和脂肪酸アミド、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸アミドおよびこれらの誘導体のうちのそれぞれ単独、もしくは2種以上混合されたものであることが好ましい。
この塗料によれば、所定の脂肪酸アミド(C)を含有させることにより、塗料の揺変性の効果を確実なものとすることができる。
また、本発明に係る塗料は、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)をさらに含むとともに、前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の平均粒子径は、1.0〜5.0μmであり、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は66.0〜83.0wt%、前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の重量比率は17.0〜34.0wt%であることが好ましい。
この塗料によれば、さらに、所定の平均粒径のポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)を所定量含有させることにより、ポリオレフィン基材に塗膜として塗装した際、外部滑性が向上することで、耐傷付き性が向上する。また、得られる塗膜の表面を手や爪で擦った後に残る爪および皮脂等の削りカスを少なくすることができ、摩擦跡が残り難く(視認し難く)なる。
本発明に係る塗料によれば、有機溶媒として、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒を使用する場合であっても、言い換えると、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素を含有しない有機溶媒を使用する場合であっても、ポリオレフィン基材に塗膜として塗装した際、優れた付着性を有するとともに、耐傷付き性を向上させる塗料を提供することができる。
本発明に係る実施例(試験体)の安定性試験の結果である。
本発明に係る塗料は、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうち1種以上から構成される有機溶媒と、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る塗料は、さらに、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)を含むことが好ましい。
≪本発明に係る塗料に含まれる物質≫
以下、本発明に係る塗料に含まれる物質(各構成物質)について詳細に説明する。
<アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂>
本発明に係る塗料に用いるアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)とは、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と、アクリル系重合体(a3)と、から構成されるものである。そして、当該アクリル系重合体(a3)とは、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)にアクリル系単量体(a2)をグラフト重合して得られるグラフト重合鎖である。
アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)は、ポリオレフィン基材に対する付着性を向上させる。一方、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)のアクリル系重合体(a3)は、得られる塗膜の耐水付着性、耐油性、耐薬品性、耐光性等を向上させる。
塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)のオレフィン重合体は、結晶性のものでも、非結晶性のものでもよいが、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)の塩素含有率は20〜35wt%(塩素化ポリオレフィン樹脂100wt%中)が好ましい。塩素含有率が35wt%を超えると、ポリオレフィン基材に対する付着性が低下し、20wt%未満であると塗料安定性が低下するからである。
アクリル系重合体(a3)を構成するアクリル系単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、o−メトキシフェニルメタクリレート、m−メトキシフェニルメタクリレート、p−メトキシフェニルメタクリレート等のアクリレート類、ヘキサンジオールジメタクリレート、ノナンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等のジアクリレート類、およびアクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、これらはそれぞれ単独、もしくは2種類以上混合して使用することができる。
塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)にアクリル系単量体(a2)をグラフト重合する場合には、重合開始剤として、一般的に使用されている開始剤、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等を使用することができる。
塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)とアクリル系重合体(a3)との重量比率は、(a1)/(a3)=5.0〜15.0wt%/85.0〜95.0wt%(両者の合計を100wt%とした場合)が好ましい。アクリル系重合体(a3)の重量比率が95.0wt%を超えると、ポリオレフィン基材との付着性が低下し、85.0wt%未満であると、得られる塗膜の耐薬品性、耐油性等の性能が低下するからである。
なお、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の塗料全体に対する重量比率については特に限定されないが、塗装作業性や塗料の安定性等を考慮し、15〜40wt%(塗料全体を100wt%とした場合)であることが好ましい。
<多孔質性の樹脂粒子>
本発明に係る塗料に用いる多孔質性の樹脂粒子(B)とは、球状(または略球状)を呈するとともに、表面に多数の細孔を有する微粒子である。
そして、多孔質性の樹脂粒子(B)は、水溶性セルロース水溶液中において、アクリル系単量体および塩素化ポリオレフィン樹脂を分散剤の存在下で重合反応させた樹脂(b1)から構成されるものであり、当該樹脂(b1)を乾燥し、さらに必要に応じて所定の平均粒子径となるように粒子径調節処理(粉砕、分級等)を施すことにより得られる。
なお、分散剤については、従来公知のものを用いればよく、例えば、アニオン系界面活性剤等である。
多孔質性の樹脂粒子(B)を艶調整材料として塗料中に含有させ、塗膜を形成させた場合、大きな艶消し効果が得られる。詳細には、多孔質性の樹脂粒子(B)の表面形状が、通常の懸濁重合で得られる樹脂粒子の表面形状と比べて複雑であり(表面に設けられる細孔模様が複雑であり)、多孔質性の樹脂粒子(B)を含む塗料を用いて塗膜を形成した場合に、当該樹脂粒子(B)と同じ粒子径の非多孔質性粒子を同じ重量比率含んだ塗料を用いて塗膜を形成した場合に比べ、艶の低い外観となる。
加えて、多孔質性の樹脂粒子(B)を塗料に含有させた場合、塗料中に添加すべき珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の艶調整用体質顔料を減量しても、または無添加であっても、艶調整が可能となり、その結果、得られる塗膜の耐傷付き性を向上させることができる。これは塗膜中の艶調整用体質顔料の含有量が少ないほど、耐傷付き性が良好であるという従来の知見に基づくものである。
また、多孔質性の樹脂粒子(B)を艶調整材料として塗料中に含有させた場合、得られる塗膜の表面を手や爪で擦った後に残る爪および皮脂等の削りカスが、前記の艶調整用体質顔料や非多孔質性の樹脂粒子を艶調整材料として使用した場合に比べて少なくなり、摩擦跡が残り難く(視認し難く)なる。
これは前記のとおり、多孔質性の樹脂粒子(B)を含む塗膜の表面が、その樹脂粒子(B)の多孔質性を反映した細孔を呈する形状となるため、前記の艶調整用体質顔料や非多孔質性の樹脂粒子のみを艶調整材料として用い、同等な艶とした塗膜と比べ、多孔質性の樹脂粒子(B)の含有量を少なくすることができる。その結果、塗膜表面に形成されるミクロレベルの凸部(ラウンド)の存在割合を少なくできる。さらに、多孔質性の樹脂粒子(B)は粒状(または略粒状)を呈することから、当該凸部はなだらかなもの(球面状)となるため、爪や手の甲で塗膜表面を擦っても、爪や皮脂等が削られ難くなる。
多孔質性の樹脂粒子(B)の平均粒子径は、好ましくは3〜12μm、さらに好ましくは5〜10μmである。樹脂粒子(B)の平均粒子径が3μm未満であると、十分な艶消し効果を得ることができず、樹脂粒子(B)の平均粒子径が12μmを超えると、塗膜表面に形成されるミクロレベルの凸部(ラウンド)が大きくなり、爪および皮脂等の削り跡が残り易くなる。また、多孔質性の樹脂粒子(B)の有する細孔の幅は、好ましくは0.5μm以上である。多孔質性の樹脂粒子(B)の細孔の幅が0.5μm未満であると、得られる艶消し効果は、珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の艶調整用体質顔料や非多孔質性樹脂粒子を用いた場合とあまり変わらなくなるからである。
アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)との重量比率は、(A)/(B)=62.5〜91.0wt%/9.0〜37.5wt%(両者の合計は100wt%)が好ましい。アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率が91.0wt%を超えると、十分な艶消し効果を得ることができないとともに、傷付き性等の性能の低下を引き起こすからである。一方、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率が62.5wt%未満であると、ポリオレフィン基材との付着性が低下するからである。
<脂肪酸アミド>
本発明に係る塗料に用いる脂肪酸アミド(C)とは、脂肪酸と低級アミンから形成されるアミド化合物であり、好ましくは、炭素数4〜18の飽和脂肪酸アミド、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸アミドおよびこれらの誘導体のうちのそれぞれ単独、もしくは2種以上混合されたものである。
詳細には、脂肪酸アミド(C)は、脂肪酸として、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の炭素数4〜18の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸およびこれらの誘導体のうち、それぞれ単独、もしくは2種類以上混合されたものを用いた脂肪酸アミドである。
脂肪酸アミド(C)は、塗料溶液に安定に膨潤・分散させることにより、塗料中に網目状の構造が形成され、これにより構造粘性が発現し塗料溶液に揺変性を付与することができる。この作用により、本発明に係る塗料は低温および高温の環境に放置しても、塗料液内で相分離および凝集物の発生が起こり難くなる。
アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、脂肪酸アミド(C)との重量比率は、(A)/(C)=93.4〜97.5wt%/2.5〜6.6wt%(両者の合計は100wt%)が好ましい。アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率が97.5wt%を超えると、塗料溶液が十分な揺変効果を得ることができず、93.4wt%未満であると、ポリオレフィン基材との付着性の低下や、得られる塗膜の耐水付着性、耐油性、耐傷付き性等の性能の低下を引き起こすからである。
なお、現在、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、非芳香族炭化水素系有機溶媒に塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解させ、さらにアクリル樹脂をバインダーとして配合するといった検討もなされているが、それぞれのSP値(溶解パラメーター)の差が小さくないため、塗料の安定的な保存が困難である。一方、本発明は、上記のとおり塗料溶液に揺変性を付与することにより、塗料の安定性(貯蔵安定性)を向上させることができることから、このような従来技術に対しても優位性を確保することができる。
(TI値)
脂肪酸アミド(C)を含有することにより塗料溶液の揺変性が発現するが、得られる揺変効果をより確実なものとするために、B型粘度計(Brookfield粘度計)で求めた塗料のThixotropic Index(TI値=塗料温度25℃で回転数6rpmにおける粘度/塗料温度25℃で回転数60rpmにおける粘度)は2.5〜5.0であることが好ましい。TI値が2.5未満であると、塗料溶液が相分離しないための十分な揺変効果を得ることができず、TI値が5.0を超えると、塗装作業性および得られる塗膜の外観が低下するからである。
<ポリメチルシルセスキオキサン微粒子>
本発明に係る塗料に用いるポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)とは、球状(または略球状)を呈する微粒子である。なお、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)は、本発明に係る塗料の必須の物質ではないが、後述するような効果を発揮するため、塗料に含有させるのが好ましい。
ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)は、塗料中に含有させた場合、得られる塗膜表面の耐久性を向上させることができる。これは、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(D)が優れた耐溶剤性、撥水性を有することから、塗膜表面が汚染されにくく、さらに形状が球状の微粒子であることから、塗膜表面に配置した場合、外部滑性が向上し塗膜の耐傷付き性が向上するためである。
また、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)は、得られる塗膜の外部滑性を向上させることにより、塗膜の表面を手や爪で擦った後に残る爪および皮脂等の削りカスを極めて少なくすることができ、さらに摩擦跡が非常に残り難く(視認し難く)なる。
ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の平均粒子径は、好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは1〜3μmである。ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の平均粒子径が1μm未満であると、十分な滑性を得ることができず、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の平均粒子径が5μmより大きいと、塗膜表面のミクロレベルの平滑性がなくなり、爪および皮脂等の削りカス(摩擦跡)が残り易くなる。
アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)とポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の重量比率は、(A)/(D)=66.0〜83.0wt%/17.0〜34.0wt%(両者の合計は100wt%)が好ましい。アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の比率が83.0wt%を超えると、十分な滑性を得ることができないため、得られる塗膜の表面に摩擦跡が残り易くなり、66.0wt%未満であると、ポリオレフィン基材との付着性が低下する。
<有機溶媒>
本発明に係る塗料に用いる有機溶媒とは、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒、言い換えると、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素を含有しない有機溶媒である。
詳細には、本発明に係る塗料に用いる有機溶媒とは、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、n−ブチルアセテート、i−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系有機溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶媒、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール系有機溶媒、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の非芳香族炭化水素系有機溶媒からそれぞれ単独、もしくは2種類以上混合されたものである。
<塗料の塗装対象>
本発明に係る塗料の塗装対象は、難付着性のプラスチック基材であり、特にポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を主成分とするポリオレフィン基材である。
ここで、難付着性のプラスチック基材としては、例えば自動車、電化製品、携帯端末機器等の分野で使用されるプラスチック基材が挙げられ、具体的には、自動車の内装用ポリオレフィン樹脂部品等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
≪本発明に係る塗料の製造方法≫
本発明に係る塗料の製造方法を説明する。
まず、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)にアクリル系単量体(a2)を重合反応させてアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)を作製する。この重合反応における塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)溶液へのアクリル系単量体(a2)の導入(滴下または注入)の際の好ましい反応温度は、50〜100℃であり、好ましい導入(滴下または注入)時間は3〜6時間である。
次に、水溶性セルロース水溶液中、分散剤の存在下で、アクリル系単量体及び塩素化ポリオレフィン樹脂を重合反応して樹脂(b1)を作製する。この重合反応において、アクリル系単量体及び塩素化ポリオレフィン樹脂の好ましい配合重量比率は、アクリル系単量体/塩素化ポリオレフィン樹脂=9/1〜1/9であり、分散剤の好ましい配合重量比率は、水溶液100wt%に対して0.1〜30wt%である。また、この重合反応における好ましい反応温度は50〜70℃、好ましい反応時間は2〜5時間である。
なお、この重合反応において好ましく用いられる分散媒体としては、上記水溶性セルロース水溶液であるが、これに水溶性であるポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを添加してもよい。
その後、重合反応混合物である樹脂(b1)を乾燥し、さらに必要に応じて粉砕・分級等の粒子径調節の処理をすることで多孔質性の樹脂粒子(B)を作製する。
そして、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)を前記有機溶媒に安定的に溶解させたアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂溶液(ワニス)に、前記方法で作製した多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)と、を混合・分散させる。
なお、この混合・分散工程における混合・分散の時間は好ましくは0.5〜1時間である。
このようにして製造された塗料は、ポリオレフィン基材に塗装され、比較的短時間(5〜15分)、低温度(50〜60℃)の強制乾燥条件で乾燥されることにより塗膜として形成されることとなる。
本発明に係る塗料には、必要に応じて、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、テルペン系樹脂等の副樹脂、前述した芳香族炭化水素を含有しない有機溶媒、公知の体質顔料、着色顔料、金属顔料、マイカ粉顔料、染料、光安定剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、消泡剤等を加えることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これにより本発明を限定するものではない。
[使用するアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂の製造方法]
まず、使用するアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂A1〜A4の製造方法について、それぞれ説明する。
(アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂A1)
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた2リットルの丸底四つ口フラスコに、塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、ハードレンDX−523P、塩素含有量23wt%、Mw100,000)を40g、メチルシクロヘキサンを80g、メチルエチルケトンを80g仕込んだ後、撹拌を行いながらフラスコ内の温度を60℃に保ち塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解した。そして、フラスコ内の温度を80℃に上昇しこれを保ちながら、メチルメタクリレート252g、シクロヘキシルメタクリレート18g、t−ブチルアクリレート68.4g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート18g、メタクリル酸3.6g、ベンゾイルパーオキサイド10gからなる単量体混合物を4時間にわたり滴下し、さらに温度を90℃に上げて3時間撹拌を続けた後、メチルシクロヘキサン100g、メチルエチルケトン490gを加え攪拌を行い、冷却してアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A1)溶液(固形分:34.8wt%、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分重量比率:10wt%)を得た。
(アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂A2)
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた2リットルの丸底四つ口フラスコに、塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、ハードレンDX−523P、塩素含有量23wt%、Mw100,000)を31g、メチルシクロヘキサンを135g、メチルエチルケトンを135g仕込んだ後、撹拌を行いながらフラスコ内の温度を60℃に保ち塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解した。そして、フラスコ内の温度を80℃に上昇しこれを保ちながら、メチルメタクリレート147g、シクロヘキシルメタクリレート11g、t−ブチルアクリレート39.9g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート10g、メタクリル酸2.1g、ベンゾイルパーオキサイド6.7gからなる単量体混合物を4時間にわたり滴下し、さらに温度を90℃に上げて3時間撹拌を続けた後、メチルシクロヘキサン35g、メチルエチルケトン104.7gを加え攪拌を行い、冷却してアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A2)溶液(固形分:34.8wt%、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分重量比率:15wt%)を得た。
(アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂A3)
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた2リットルの丸底四つ口フラスコに、塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、ハードレンDX−523P、塩素含有量23wt%、Mw100,000)を15.8g、メチルシクロヘキサンを90g、メチルエチルケトンを90g仕込んだ後、撹拌を行いながらフラスコ内の温度を60℃に保ち塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解した。そして、フラスコ内の温度を80℃に上昇しこれを保ちながら、メチルメタクリレート266g、シクロヘキシルメタクリレート19g、t−ブチルアクリレート72.2g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート19g、メタクリル酸3.8g、ベンゾイルパーオキサイド11gからなる単量体混合物を4時間にわたり滴下し、さらに温度を90℃に上げて3時間撹拌を続けた後、メチルシクロヘキサン90g、メチルエチルケトン468gを加え攪拌を行い、冷却してアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A3)溶液(固形分:34.8wt%、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分重量比率:4wt%)を得た。
(アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂A4)
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた2リットルの丸底四つ口フラスコに、塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、ハードレンDX−523P、塩素含有量23wt%、Mw100,000)を52.5g、メチルシクロヘキサンを135g、メチルエチルケトンを135g仕込んだ後、撹拌を行いながらフラスコ内の温度を60℃に保ち塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解した。そして、フラスコ内の温度を80℃に上昇しこれを保ちながら、メチルメタクリレート147g、シクロヘキシルメタクリレート11g、t−ブチルアクリレート39.9g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート10g、メタクリル酸2.1g、ベンゾイルパーオキサイド6gからなる単量体混合物を4時間にわたり滴下し、さらに温度を90℃に上げて3時間撹拌を続けた後、メチルエチルケトン184.2gを加え攪拌を行い、冷却してアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A4)溶液(固形分:34.8wt%、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分重量比率:20wt%)を得た。
次に、多孔質性の樹脂粒子B1の製造方法について説明する。
[多孔質性の樹脂粒子B1の製造方法]
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた1リットルの丸底四つ口フラスコに、水溶性セルロース(信越化学製、メトローズ60SH50)2.5%水溶液800gとアニオン系分散剤(日本乳化剤製、ニューコール707SF)0.2g仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガスで置換した。強く撹拌を行いながら、イソブチルメタクリレート75g、エチレングリコールジメタクリレート30g、塩素化ポリオレフィン樹脂(東洋化成製、ハードレンB−13)25g(固形分:30wt%)、過酸化物溶液(化薬アクゾ製、トリゴノックス23−C70)3gからなるアクリルモノマー、ポリオレフィン系ポリマー、過酸化物の混合物を30分かけて滴下した。滴下終了後フラスコ内を強力に撹拌しながら温度を60℃に上げて6時間温度を一定に保った後、冷却してフラスコ内容物を取り出し、十分に水洗を行った。得られた粒子を乾燥し粉砕を行った後、さらに分級して平均粒子径8μmの樹脂粒子(B1)を得た。
次に、試験体1〜17(塗料)の製造方法について説明する。
[試験体の製造方法]
前記製造方法で得られたアクリル変性ポリオレフィン樹脂溶液144g(不揮発分:50g、種類は表1を参照)と、多孔質性の樹脂粒子(種類および使用量は表1を参照)と、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(ガンツ化成社製、SI−020:使用量は表1を参照)と、表面調整剤(ビックケミー社製、BYK−375)1gと、を攪拌機を用いて混合し、これにメチルシクロヘキサン10g、n−ブチルアセテート20g、脂肪酸アミド(伊藤製油社製、TS−823[固形分20w%]:使用量は表1を参照)と、をホモディスパー(攪拌条件5,000rpm×30分)を用いて別容器で作成したペーストを攪拌しながら加えた。さらに、塗装後の塗膜光沢が60°反射においてグロス値1.5になるまで体質顔料(エボニック社製、TS−100)を加えて攪拌を行い、さらにB型粘度計で求めたTI値(塗料温度25℃で回転数6rpmにおける粘度/塗料温度25℃で回転数60rpmにおける粘度)が表2、3、4に示す値になるまでn−ブチルアセテートを加えて攪拌を行い塗料を得た。
なお、表1中の「非多孔性」とは、非多孔性の樹脂粒子(ガンツ化成社製、ガンツパールGM−0801)のことである。また、表1中の「−」の記載は、該当物質の使用量が0gであることを示す。そして、表1中の使用量とは、溶媒を含まない量である。
[評価用試験板の作製]
前記製造方法により得られた試験体1〜17(塗料)を、希釈溶剤(オリジン電気社製、エコネットシンナー#9505)でB型粘度計の測定値で20mPa・s(60rpm、25℃)になるように希釈調整し、表面未処理ポリプロピレン系樹脂素材(新神戸電機製、PP−N−AN)に乾燥膜厚20μmになるようにスプレー塗装を行った。スプレー終了後、恒温槽により60℃で5分間強制乾燥を行った後、25℃、55%RHの条件に48時間放置したものを評価用試験板とし、下記項目の試験を行った。
[試験項目と試験方法]
(付着性試験)
前記の評価用試験板の表面を、1mm×1mm×100個の碁盤目状にカットし、セロハンテープ剥離試験後の残存碁盤目数から評価を行った。評価基準は、100個の碁盤目が残存している場合を極めて良好(○)、76〜99個の碁盤目が残存している場合を良好(△)、残存碁盤目数が75個以下の場合を不良(×)と評価した。
(耐水付着性試験)
前記の評価用試験板を50℃温水中に48時間浸漬後、その表面を1mm×1mm×100個の碁盤目状にカットし、セロハンテープ剥離試験後の残存碁盤目数から評価を行った。なお、評価基準は付着性試験と同様である。
(耐油性試験)
前記の評価用試験板の表面(塗膜上)にエンジンオイルを0.2ml滴下し、80℃×3時間放置した後に拭き取り、塗膜の外観を調べた。評価基準は、塗膜膨潤およびエンジンオイル跡がない場合を極めて良好(○)、エンジンオイル跡はあるが、塗膜膨潤がない場合を良好(△)、塗膜膨潤があるとともに、エンジンオイル跡もある場合を不良(×)と評価した。
(耐傷付き性試験)
前記の評価用試験板の表面(塗膜上)に1平方センチメートルあたり100gの荷重をかけた100〜150μmのガラスビーズを敷き、10cm/秒の速度で塗膜上(10cm)を5往復した後の光沢保持率を測定して評価した。評価基準は、光沢保持率が100〜110%の場合を極めて良好(○)、光沢保持率が110%を超えて120%未満の場合を良好(△)、光沢保持率が120%以上の場合を不良(×)と評価した。
(耐跡残り性試験)
前記の評価用試験板(No.7、8、16、17)の表面(塗膜上)に1平方センチメートルあたり50gの荷重をかけた消しゴム(トンボ鉛筆社製、SAND ERASER 512N)で10cm/秒の速度で塗膜上(10cm)を5往復した後の消しゴムのカスの跡残りの程度により評価した。評価基準は、目視により塗膜表面を確認した際に、跡残りのない場合を極めて良好(○)、線状の跡残りのある場合(面状の跡残りはない)を良好(△)、面状の跡残りのある場合を不良(×)と評価した。
(安定性試験)
前記の試験体(塗料)を約100ml、ガラス瓶に移し密閉した後、40℃雰囲気の条件に7日間放置したものを評価用塗料とし、相分離および沈殿物が発生していないか確認を行った。評価基準は、相分離、沈殿物ともにない場合を極めて良好(○)、相分離はあるが沈殿物はない場合を良好(△)、相分離、沈殿物ともにある場合を不良(×)と評価した。
各試験結果を表2、3、4および図1に示す。
試験体1〜11、14、15については、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、を含むことから、付着性、耐傷付き性のいずれについても、極めて良好(○)または良好(△)という評価となった。
一方、試験体12については、多孔質性の樹脂粒子(B)を含有せず、試験体13については、非多孔性の樹脂粒子を含有していたことから、耐傷付き性が不良(×)という結果となった。
なお、試験体1〜11、14、15のなかでも、試験体1〜8については、(A)中の(a1)(a3)の重量比率、(B)の重量比率、(C)の重量比率、TI値について、本発明の規定する範囲内であったため、付着性、耐傷付き性だけでなく、耐水付着性、耐油性、安定性の全ての試験で、極めて良好(○)という結果となった。
また、その中でも、試験体7、8については、さらに、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)を本発明の規定する範囲内で含有していたため、前記試験だけでなく跡残り性についても、極めて良好(○)という結果となった。
試験体9については、(A)中の(a1)の重量比率が本発明の規定する下限値未満であったことから、付着性が良好(△)という評価にとどまるとともに、耐水付着性が不良(×)という結果となった。
試験体10については、(A)中の(a1)の重量比率が本発明の規定する上限値を超えていたことから、耐油性が良好(△)という評価にとどまるという結果となった。
試験体11〜13については、(B)の重量比率が本発明の規定する下限値未満であった(含有しなかった)または上限値を超えていたことから、前記試験のうち1つ以上について、良好(△)という評価にとどまる、または、不良(×)という結果となった。
試験体14については、(C)の重量比率が本発明の規定する下限値未満であるとともに、TI値が本発明の規定する下限値未満であったため、安定性が不良(×)という結果となった。この結果は、図1からも明らかである。
試験体15については、(C)の重量比率が本発明の規定する上限値を超えていたことから、耐水付着性、耐油性、および耐傷付き性が良好(△)という評価にとどまるという結果となった。
試験体16については、(D)の重量比率が本発明の規定する上限値を超えていたことから、付着性および耐水付着性が不良(×)という結果となった。
試験体17については、(D)の重量比率が本発明の規定する下限値未満であったことから、跡残り性が良好(△)という評価にとどまるという結果となった。

Claims (3)

  1. エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒と、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、を含み、
    前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記脂肪酸アミド(C)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は93.4〜97.5wt%、前記脂肪酸アミド(C)の重量比率は2.5〜6.6wt%であり、
    前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、前記多孔質性の樹脂粒子(B)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は、62.5〜91.0wt%、前記多孔質性の樹脂粒子(B)の重量比率は、9.0〜37.5wt%であり、
    前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)は、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と、アクリル系重合体(a3)と、から構成されるとともに、当該アクリル系重合体(a3)は、前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)にアクリル系単量体(a2)をグラフト重合して得られるグラフト重合鎖であり、
    前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と前記アクリル系重合体(a3)との合計100wt%に対して、前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)の重量比率は5.0〜15.0wt%、前記アクリル系重合体(a3)の重量比率は85.0〜95.0wt%であり、
    前記多孔質性の樹脂粒子(B)は、水溶性セルロース水溶液中に、アクリル系単量体および塩素化ポリオレフィン樹脂を分散剤の存在下で重合反応させた樹脂(b1)から得られたものであり、
    B型粘度計で測定したThixotropic Index(TI値=塗料温度25℃で回転数6rpmにおける粘度/塗料温度25℃で回転数60rpmにおける粘度)が2.5〜5.0であることを特徴とする塗料。
  2. 前記脂肪酸アミド(C)は、炭素数4〜18の飽和脂肪酸アミド、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸アミドおよびこれらの誘導体のうちのそれぞれ単独、もしくは2種以上混合されたものであることを特徴とする請求項1に記載の塗料。
  3. ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)をさらに含むとともに、
    前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の平均粒子径は、1.0〜5.0μmであり、
    前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は66.0〜83.0wt%、前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の重量比率は17.0〜34.0wt%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗料。
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