JPH09316134A - 水性樹脂組成物及びその製造方法並びに水性塗料 - Google Patents

水性樹脂組成物及びその製造方法並びに水性塗料

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JPH09316134A
JPH09316134A JP9017148A JP1714897A JPH09316134A JP H09316134 A JPH09316134 A JP H09316134A JP 9017148 A JP9017148 A JP 9017148A JP 1714897 A JP1714897 A JP 1714897A JP H09316134 A JPH09316134 A JP H09316134A
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chlorinated polyolefin
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    • C08F255/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of hydrocarbons as defined in group C08F10/00
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    • C08F255/023On to modified polymers, e.g. chlorinated polymers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にポリオレフィン樹脂、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂に対
し、付着性、耐候性、耐水性等に優れた塗膜を形成する
ことのできる水性塗料のバインダーとして有用な水性樹
脂組成物およびその製造方法並びに水性塗料を提供する
こと。 【解決手段】 塩素化率10〜50重量%の塩素化ポリ
オレフィン樹脂粒子を分散含有する水性分散液中の該塩
素化ポリオレフィン樹脂粒子を、重合性単量体で膨潤せ
しめた後、該重合性単量体を重合して得られる重合体で
あって、前記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子/重合性単
量体の比率が5〜50重量%/95〜50重量%である
水性樹脂組成物とこれを用いた水性塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性塗料のバイン
ダーとして有用な水性樹脂組成物とその製造方法並びに
それを用いた水性塗料に関し、更に詳しくは、特にポリ
オレフィン樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体などのポリオレフィン樹脂に対し
て優れた付着性を示すと共に、耐候性、耐水性等の塗膜
特性にも優れた塗膜を形成することのできる水性塗料の
バインダーとして有用な水性樹脂組成物とその製造方法
並びにそれを用いた水性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィン樹脂を基材とする
成形品、シート、フィルム等への塗装には、塩素化ポリ
オレフィンに種々の樹脂をブレンドし、あるいは種々の
樹脂で変性し、これを塗料バインダーとしたものが用い
られている。しかし、これら塩素化ポリオレフィン系樹
脂は、トルエン、キシレン等の有機溶剤にしか溶解しな
いため、得られる塗料も有機溶剤を多量に含有する、い
わゆる有機溶剤系の塗料であり、従って、安全衛生、環
境汚染、危険性等の面で多くの問題を有するものであっ
た。
【0003】そこで、上記有機溶剤系塗料の有する問題
点を改善するため、有機溶剤を含まないポリオレフィン
樹脂用塗料の検討が進められてきており、その一例とし
て、塩素化ポリオレフィン樹脂を水中に分散せしめてエ
マルション化し、これを塗料バインダーとする試みがな
されているが、塩素化ポリオレフィン樹脂のエマルショ
ンは、ポリオレフィン樹脂への付着性に劣る他、水中へ
微粒子状で分散するのが難しく、また製造工程も複雑で
あるといった問題もあって、未だ実用化されるに至って
いない。
【0004】例えば、特開平6−336568号公報に
は、塩素化ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解し、こ
の溶液を水媒体中に強制分散させてエマルション化し、
その後脱溶剤工程を経て水系化物を得る方法が提案され
ている。しかし、この方法では、塩素化ポリオレフィン
樹脂溶液自体の粘性のため、水媒体中へ微粒子状で分散
させるのが難しい他、分散液自体の経時安定性が不十分
であり、形成される塗膜の表面平滑性に劣るなどの欠点
があって、プライマー、ベースコートあるいはシーラー
といった下塗り用塗料としては使用できるものの、トッ
プコート用塗料には適さないという問題があり、また、
塩素化ポリオレフィン樹脂の溶解工程および脱溶剤工程
を必要とするのでコスト上昇を招くという問題もある。
【0005】また、特開平5−209006号公報に
は、塩素化ポリオレフィン樹脂をアクリル系単量体に溶
解後、これを水媒体中に強制分散させ、その後重合工程
を経て水系化物を得る方法が提案されている。しかし、
この方法も上記同様、塩素化ポリオレフィン樹脂の溶液
を分散せしめることからなっているので、水中への微粒
子分散が難しいという問題がある。また、塩素化ポリオ
レフィン樹脂は、その塩素化率が低い程一般にアクリル
系単量体への溶解性が低下すると共に、重合により生成
するアクリル系重合体との相溶性も低下するようになる
ので、水媒体中に分散された液滴中で塩素化ポリオレフ
ィン樹脂とアクリル系単量体とが分離し、場合によって
はアクリル系単量体が重合過程で層分離し、生成する粒
子の表層を覆うようになるので、ポリオレフィン樹脂に
対する付着性を著しく低下させる他、個々の粒子内での
塩素化ポリオレフィン樹脂とアクリル系重合体の混合状
態が不均一となり、アクリル系重合体による変性効果が
充分に得られないという問題がある。
【0006】特に最近、プラスチックの「リサイクル使
用への適正化」及び「オゾン層破壊防止」といった観点
から、表面処理の施されていないポリオレフィン樹脂系
基材に1コートで塗布できる塗料の必要性が高まってき
ており、そのための塗料バインダーとして塩素化率25
%以下の超低塩素化率のポリオレフィン樹脂が注目され
ていが、このような低塩素化ポリオレフィン樹脂は、
(メタ)アクリル系単量体には殆ど溶解しないため、上
記特開平5−209006号公報記載の方法で水系化物
を得るのは極めて困難である。
【0007】さらに、特開平7−300570号公報に
は、塩素化ポリオレフィン樹脂を、水に対する溶解度1
8.5%以下の有機溶剤に溶解した後水媒体中に強制分
散させてエマルション化し、これにアクリルモノマーの
プレエマルションを加えた後重合して水系化物を得る方
法が提案されている。しかし、この方法においては、塩
素化率50〜71重量%の高塩素化ポリオレフィン樹脂
を用いているため、ポリオレフィン樹脂基材に対する付
着性は全く発現されず、コンクリート系基材のための特
定用途にしか適用できないという問題がある。また、ア
クリルモノマーのプレエマルション粒子が、塩素化ポリ
オレフィン樹脂のエマルション粒子と充分に混合一体化
することなく単独重合体を形成することがあり、得られ
る樹脂組成は、塩素化ポリオレフィン樹脂エマルション
とアクリル重合体エマルションの単純ブレンドに過ぎな
いものとなるので、ポリオレフィン樹脂に対する付着性
はさらに低下する他、アクリル重合体による変性効果も
それ程大きくなく、さらには異種エマルションの混在に
より、塗料化した場合の貯蔵安定性が悪くなるという問
題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来提
案されている塩素化ポリオレフィン樹脂をバインダーと
する水性塗料の有する問題点、すなわち、ポリオレフィ
ン樹脂に対して良好な付着性が得られない、塩素化ポリ
オレフィン樹脂を水媒体中へ微粒子状で分散させるのが
難しいため、トップコート用塗料に要求されるような平
滑性に優れた塗膜表面の形成が難しい、塩素化ポリオレ
フィン樹脂の変性効果が発現し難いといった問題点の解
消された水性塗料のバインダーとして有用な樹脂組成物
およびこれを用いた塗料の提供、および、そのような水
性樹脂組成物を複雑な工程を必要とすることなく容易に
得る方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の水性樹脂組成物
は、塩素化率10〜50重量%の塩素化ポリオレフィン
樹脂粒子を分散含有する水性分散液中の該塩素化ポリオ
レフィン樹脂粒子を、重合性単量体で膨潤せしめた後、
該重合性単量体を重合して得られる重合体であって、前
記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子/重合性単量体の比率
が5〜50重量%/95〜50重量%であることを特徴
としており、あるいは、塩素化率10〜50重量%の塩
素化ポリオレフィン樹脂粒子を分散含有する水性分散液
中の該塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を、第1の重合性
単量体で膨潤せしめた後、該第1の重合性単量体を重合
して変性樹脂粒子とし、さらに該変性樹脂粒子を第2の
重合性単量体で膨潤させた後、該第2の重合性単量体を
重合して得られる重合体であって、前記塩素化ポリオレ
フィン樹脂粒子/第1および第2の重合性単量体の合計
の比率が5〜50重量%/95〜50重量%であること
を特徴としている。また本発明の水性樹脂組成物の製造
方法は、塩素化率10〜50重量%の塩素化ポリオレフ
ィン樹脂粒子を分散含有する水性分散液中に、該塩素化
ポリオレフィン樹脂粒子を膨潤させることのできる重合
性単量体を、塩素化ポリオレフィン樹脂/重合性単量体
の比率が5〜50重量%/95〜50重量%の範囲で加
え、次いで前記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を前記重
合性単量体で膨潤せしめた後、該塩素化ポリオレフィン
樹脂粒子に膨潤吸収された重合性単量体を重合せしめる
ことを特徴としており、あるいは塩素化率10〜50重
量%の塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を分散含有する水
性分散液中に、該塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を膨潤
させることのできる第1の重合性単量体を加えて前記塩
素化ポリオレフィン樹脂粒子を前記重合性単量体で膨潤
せしめた後、該塩素化ポリオレフィン樹脂粒子に膨潤吸
収された重合性単量体を重合せしめて変性樹脂粒子を得
た後、該変性樹脂粒子を膨潤させることのできる第2の
重合性単量体を、塩素化ポリオレフィン樹脂/第1と第
2の重合性単量体の合計の比率が5〜50重量%/95
〜50重量%の範囲となるように加え、前記変性樹脂粒
子を前記第2の重合性単量体で膨潤せしめた後、該変性
樹脂粒子に膨潤吸収された重合性単量体を重合せしめる
ことを特徴としている。前記塩素化ポリオレフィン樹脂
粒子の塩素化率を、15〜25重量%としてもよい。ま
た本発明の水性塗料は、前記構成の水性樹脂組成物を用
いたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】上記構成からなる本発明水性樹脂
組成物は、塩素化ポリオレフィン樹脂粒子が重合性単量
体によって膨潤された状態で水媒体中に分散されている
ことが重要であり、次いでこの膨潤により塩素化ポリオ
レフィン樹脂粒子内に吸収された重合性単量体を重合
し、かくして得られた樹脂粒子(以下、変性樹脂粒子と
いう)を含有する水性分散液であることを大きな特徴と
している。
【0011】上記構成の変性樹脂粒子は、塩素化ポリオ
レフィン樹脂粒子内に吸収された重合性単量体が重合に
よって体積収縮し、この体積収縮ににともなって塩素化
ポリオレフィン樹脂骨格が表面層に露出した粒子構造と
なると考えられ、従って、このような粒子構造の変性樹
脂粒子によって形成される塗膜は、ポリオレフィン樹脂
基材への良好な付着性が確保される。また、粒子自体の
塩素化ポリオレフィン樹脂と重合性単量体に由来する重
合体の混合状態も均一性の高いものとなるので、重合性
単量体に基づく変性効果も充分に発現され、形成される
塗膜も耐候性、耐水性等の塗膜特性に優れた複合塗膜と
することができる。
【0012】特に、本発明においては、水性樹脂組成物
を得る方法として、塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を重
合性単量体に溶解させるのではなく膨潤せしめる手法を
採用しているので、塩素化ポリオレフィン樹脂の重合性
単量体による溶解性に何ら制約される必要がなく、従っ
て、ポリオレフィン樹脂基材に対して良好な付着性を示
すとされている低塩素化率の塩素化ポリオレフィン樹脂
の使用が可能となる利点があり、この利点は、バインダ
ーないし塗料中の塩素化ポリオレフィン樹脂の配合量を
少なくすることも可能となるので、経済性にも優れてい
る。
【0013】また、本発明の水性樹脂組成物において
は、塩素化ポリオレフィン樹脂粒子の粒子径が、膨潤の
ために該樹脂粒子内に吸収される重合性単量体の体積以
上には大きくならないので、出発物質となる塩素化ポリ
オレフィン樹脂粒子として粒子径の小さいものを用いれ
ば、得られる変性樹脂粒子もそれに応じた微小粒子とす
ることができ、これによって形成される塗膜表面は、ト
ップコート用塗料としても好適な平滑面とすることがで
きる。
【0014】さらに、本発明の水性樹脂組成物は、そこ
に分散含有する変性樹脂粒子のそれぞれが略同一組成で
あるので、変性のために2種類の異なるエマルションを
単純にブレンドしただけのものと異なり、粒子凝集物等
の粒子会合体の起こり難い、塗料の安定性に優れた組成
物とすることができる。
【0015】本発明において使用される塩素化ポリオレ
フィン樹脂粒子は、微粒子状で水媒体中に分散されてな
るもので、特に該粒子が固体状で水媒体中に分散されて
いるのが好ましい。また、この塩素化ポリオレフィン樹
脂は、ポリオレフィン樹脂に対する良好な付着性を付与
するための成分であるので、その塩素化率が10〜50
重量%の範囲であることが重要で、特に15〜25重量
%の範囲であるのが好ましい。塩素化率が10重量%未
満では重合性単量体によって膨潤させるのが困難とな
り、50重量%を超えると、粒子が重合性単量体に溶解
し易くなり、またポリオレフィン樹脂に対する付着性が
悪くなるので好ましくない。
【0016】この塩素化ポリオレフィン樹脂粒子の粒子
径については特に限定するものではないが、重合性単量
体による膨潤のさせ易さ、塗布造膜後の塗膜の平滑性等
を考慮すると、150nm以下であるのが好ましく、特
に50〜100nmの範囲であるのが好ましい。粒子径
が150nmを超えると、形成される塗膜の表面が平滑
性に劣るようになりトップコート用塗料として適さなく
なる他、塗料の貯蔵安定性が悪くなる。
【0017】上記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を構成
する塩素化ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチ
レン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ペン
テン等のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合
体、あるいはこれらα−オレフィンと他の単量体との共
重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−ブ
タジエン、エチレン−アクリル酸エステル等の共重合
体)等を、塩素化率10〜50重量%となるように塩素
化してなるものである。一例としては、塩素化ポリエチ
レン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン−
エチレン共重合体、塩素化ポリエチレン−酢酸ビニル共
重合体等であり、これらはそれぞれ単独でもしくは2種
以上混合して用いることができる。
【0018】塩素化ポリオレフィン樹脂粒子の水性分散
液は、上記塩素化ポリオレフィン樹脂を粉砕によって微
粉化したものを直接水中に分散させる方法、水中で温度
を上げて塩素化ポリオレフィン樹脂を溶融し、高速攪拌
下で分散させる方法、塩素化ポリオレフィン樹脂をトル
エン等の有機溶媒に10〜50重量%となるように溶解
し、これをホモミキサー等により水中に攪拌混合して乳
濁液とし、次いで脱溶剤工程を経て有機溶剤を除去する
方法等によって製造することができる。なおその際、分
散を容易にするなどの目的で、必要ならば分散媒体中に
分散安定剤ないし乳化剤を存在させておいてもよく、ま
た、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノメチルエーテルなどの親水性有機溶
媒を存在させておいても良い。なお、この場合、分散時
に用いた有機溶媒等は、適宜の方法(例えば減圧蒸留
等)で除去するのが好ましいが、危険でない程度であれ
ば粒子中ないし分散媒体中に有機溶媒が少量残存してい
てもよい。
【0019】また、塩素化ポリオレフィン樹脂粒子の水
性分散液は、上記方法によって製造される他、塩素化ポ
リオレフィン樹脂にカルボキシル基や酸無水物を導入し
た変性塩素化ポリオレフィンは、中和によって安定性に
優れた水性分散体が得られるので、このような分散液も
好ましく使用できる。このような塩素化ポリオレフィン
樹脂の水性分散液ないしエマルションの例としては、米
国イーストマン・コダック社から販売されている不飽和
有機酸変性塩素化ポリプロピレンをエマルション化した
「CP−347W」などがあり、これらエマルションは
本発明において好ましく使用できる。
【0020】本発明に用いることのできる重合性単量体
は、水媒体中に分散した塩素化ポリオレフィン樹脂粒子
を膨潤させ易いものであれば特に限定することなく使用
可能であり、その一例としては、n−ブチル(メタ)ア
クリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t
ert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシク
ロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニ
ル(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体、バーサ
テイック酸ビニル単量体(例えば、シェル化学社製「ベ
オバ9または10」)およびスチレン、ビニルトルエン
等であり、これら単量体はそれぞれ単独でもしくは2種
以上を混合して用いることができる。
【0021】特に、上記に例示した重合性単量体の中で
も、ポリオレフィン系樹脂素材に対する付着性、塗膜の
耐久性、塗料化した場合の貯蔵安定性等の観点から炭素
原子数が4個以上で、好ましくは脂環構造の炭化水素基
を側鎖に持つ(メタ)アクリレート系単量体ないしは該
(メタ)アクリレート系単量体50重量%以上含有する
単量体混合物であるのが好ましく、該単量体混合物にお
いて、(メタ)アクリレート系単量体が50重量%より
少ないと、特に無処理ポリプロピレン樹脂基材に対して
付着性に優れているとされている塩素化率が25%以下
のポリプロピレン樹脂粒子を膨潤させることが難しく、
その結果、重合過程で粗粒子生成の多い水性組成物しか
得られず、そのポリプロピレン系樹脂基材に対する付着
性も不充分なものになるという欠点が生じるようにな
る。
【0022】なお、アクリル系単量体の中でも(メタ)
アクリレート等の酸成分を含有するものは、分散安定性
を阻害することがあるので好ましくなく、また、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
iso−プロピル(メタ)アクリレート等の炭素原子数
3個以下のアルキル(メタ)アクリレート系単量体、お
よび2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメ
チルアミノ(メタ)アクリレートなどの分子内に極性基
を持つアクリル系単量体は、塩素化ポリオレフィン樹脂
粒子を膨潤させ難い単量体に属するので、これらの単量
体を用いる場合は、上記膨潤させ易い単量体と適宜混合
して使用するのが好ましい。
【0023】上記重合性単量体は、塩素化ポリオレフィ
ン樹脂粒子/重合性単量体の比率で5〜50重量%/9
5〜50重量%の範囲、好ましくは15〜30重量%/
85〜70重量%の範囲で用いられる。この比率におい
て塩素化ポリオレフィン樹脂粒子が5重量%より少ない
と、ポリオレフィン基材への付着性に劣るようになり、
50重量%を超えると形成される塗膜の耐油性および耐
候性等の塗膜特性を低下させるようになるので好ましく
ない。
【0024】本発明の水性樹脂組成物は、塩素化ポリオ
レフィン樹脂粒子を分散含有する水性分散液中に、上記
重合性単量体を加え、次いで、膨潤によって塩素化ポリ
オレフィン樹脂粒子内に吸収された重合性単量体を重合
することによって製造される。製造方法の一例を以下に
説明する。
【0025】塩素化ポリオレフィン樹脂粒子の膨潤は、
該塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を含有する水性分散液
中に、上記重合性単量体を加え、時間の経過と共に該単
量体を塩素化ポリオレフィン樹脂粒子に吸収させること
によって行うことができる。この膨潤においては、樹脂
粒子のガラス転移温度以上の液温領域で、分散液を攪拌
しながら単量体を滴下させることにより、粒子同士の凝
集による粗粒子を生成させることなく重合性単量体を迅
速に吸収させることが好ましい。但し加温する場合、塩
素化ポリオレフィン樹脂の軟化点以上の温度になると分
散粒子が熱溶融して液滴となり、この液滴中で塩素化ポ
リオレフィン樹脂と重合性単量体が分離するようになる
ので、加温条件としては塩素化ポリオレフィン樹脂の軟
化点以下、好ましくは50〜80℃で1〜5時間とする
のが好ましい。膨潤が不完全であると塩素化ポリオレフ
ィン樹脂粒子の重合性単量体による変性が粒子表層部の
みで行なわれたり、膨潤に関与しなかった重合性単量体
のみの単独重合体粒子が生成し、ポリオレフィン樹脂へ
の付着性や耐候性などの塗膜特性を悪くするので、特に
膨潤は充分に行なうのが好ましい。
【0026】上記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子内に吸
収された重合性単量体の重合においては、重合反応を効
率よく進めるために重合開始剤が用いられる。重合開始
剤としては、上記重合反応が水媒体中で行なわれるの
で、通常の乳化重合によく用いられる水溶性の重合開始
剤を慣用量で用いるのが好ましい。使用できる重合開始
剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム、過酸化水素、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉
草酸)のような水溶性の重合開始剤であり、これらは単
独であるいは2種以上混合して用いることができる。ま
た、レドックス系開始剤も使用可能であり、その一例と
しては、前記の水溶性重合開始剤と還元剤(例えば、亜
硫酸塩、亜硫酸水素塩、コバルト、鉄、銅などの低次の
イオン価の塩)の組み合わせからなるものが挙げられ
る。
【0027】重合条件は、使用する重合性単量体および
重合開始剤の種類により一概に特定できないが、重合温
度は通常20〜100℃、好ましくは50〜80℃であ
り、重合時間は一般に1〜5時間程度である。なお、重
合を充分におこなうために、重合による発熱のピークが
終了した後さらに1〜2時間引続き重合を継続させるの
が好ましい。また、重合を速やかに進行させるために、
重合系内の雰囲気を窒素ガスのような不活性ガスで置換
しておくのが好ましい。
【0028】なお、上記重合反応に際しては、重合性単
量体で膨潤した塩素化ポリオレフィン樹脂粒子が重合反
応中に凝集したり融着するのを避けるために、必要なら
ば反応系内に分散剤を加えても良い。分散剤の例として
は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩等の水溶
性高分子化合物およびりん酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム、カルシウムハイドロオキシアパタイト等の難水溶性
微粉末状の無機化合物である。
【0029】また、必要ならば反応系内に各種の界面活
性剤を含有させておいても良いが、これらの添加時期
は、モノマーによる膨潤工程終了後で、重合工程開始直
前が望ましい。用いることのできる界面活性剤として
は、非反応性界面活性剤ないし反応性界面活性剤であ
り、非反応性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ソルブ
タンアルキルエステル、ポリグリセリンエステル等のノ
ニオン型界面活性剤、および、アルキル硫酸エステル
塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、スルホコハク酸
エステル塩、アビエチン酸塩等のアニオン型界面活性剤
等が挙げられ、また、反応性界面活性剤の例としては、
一般的に反応性乳化剤として各種市販されているもの、
例えば、花王(株)社製の商品名;ラテムルS−180
A、旭電化(株)社製の商品名;アデカリアソープSE
−10N、第一工業製薬(株)社製の商品名;アクアロ
ンHS−10および同RN−20、三洋化成(株)社製
の商品名;エレミノールJS−2等が挙げられる。これ
ら界面活性剤は、それぞれ単独でもしくは2種以上の混
合で使用でき、その使用量は、重合性単量体100重量
部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重
量部である。
【0030】なお、本発明の水性樹脂組成物に含有する
変性樹脂粒子は、上記のように重合性単量体による塩素
化ポリオレフィン樹脂粒子の膨潤、次いで重合性単量体
の重合の各工程を経て製造されるが、このようにして得
られた変性樹脂粒子を重合性単量体で再び膨潤させしか
る後重合する、いわゆる二段階膨潤によって製造しても
良い。この二段階膨潤による方法では、塩素化ポリオレ
フィン粒子に比べて重合性単量体の配合割合が多かった
り、重合時に大きな発熱を伴うような場合には発熱が分
散できるので有利であり、また重合性単量体のみの単独
重合体粒子の生成を抑制できる点でも有利である。さら
には一段階目の膨潤と二段階目の膨潤の際に、それぞれ
異なった重合性単量体を用いることができ、塩素化ポリ
オレフィン樹脂に対して多様性のある変性がおこなえる
ので好ましい。
【0031】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、そのま
までもクリヤーワニスとして使用可能であるが、さらな
る塗膜性能、例えば、造膜性、塗膜硬度、耐候性、柔軟
性等の改質を目的として、ポリオレフィン基材に対する
付着性を阻害しない範囲で、塗料業界で慣用されている
種々の塗料用添加剤や他の樹脂エマルションの混合使用
による変性を行なうことができる。具体的には、酸化チ
タン、フタロシアニンブルー等の有機あるいは無機の着
色材ないし顔料、アルミペースト等の光輝材、セロソル
ブ類、例えばジプロピレングリコールモノブチルエーテ
ル等の造膜助剤、消泡剤、たれ止め剤、紫外線吸収剤な
どである。特に、アクリル系樹脂エマルションの混合使
用により、塗膜の耐候性、耐水性、塗膜硬度、柔軟性等
の塗膜性能を高めることができるので好ましい。
【0032】さらに、本発明の水性塗料用樹脂組成物に
は、感圧接着剤の分野において良く使用されている粘着
付与剤、例えば、ロジン、ダンマル、重合ロジン、水添
ロジン、エステルロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、
ポリテルペン系樹脂、石油系樹脂、シクロペンタジエン
系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、クマロン
インデン系樹脂等の水系分散液を必要に応じて適宜添加
することができ、これにより塗膜の乾燥性やポリオレフ
ィン樹脂に対する付着性が改善できる。添加量として
は、樹脂組成物の固形分100重量部に対し5〜100
重量部が好ましく、特に10〜50重量部が好ましい。
【0033】本発明の水性塗料用樹脂組成物を使用して
の塗料化は、公知の方法によっておこなうことができ
る。一例としては、本発明の水性塗料用樹脂組成物に、
必要に応じて上記種々の塗料用添加剤(着色剤ないし顔
料、造膜助剤、消泡剤、たれ止め剤、紫外線吸収剤
等)、他の樹脂エマルション、粘着付与剤、水等を加
え、均一に混合することによっておこなうことができ
る。
【0034】上記で得られた塗料は、ポリプロピレン樹
脂を始めとする種々のポリオレフィン系樹脂基材に好適
に用いることができるが、これら基材に限定するもので
はなく、例えば、その他のプラスチック、木材、金属等
にも塗装することができる。塗装方法に特別な制限はな
く、刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬塗りなど各種公知の
方法が採用できる。塗装後の塗膜乾燥は、常温でおこな
っても良いが、30〜120℃、好ましくは60〜90
℃で乾燥するのが好ましい。しかし、適用基材がプラス
チックの場合の乾燥温度は、該適用基材の耐熱温度以上
でおこなうのは好ましくなく、例えば適用基材がポリプ
ロピレン系樹脂の場合、85℃以下、好ましくは80℃
で30分程度の乾燥条件で付着性に優れた塗膜を形成す
ることができる。
【0035】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、以下は一例であって本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。なお。以下の実施例中の各成分
の配合組成は、特に断わりのないかぎり重量部で示し
た。
【0036】(実施例1)水性樹脂組成物(a)の製造例 冷却器、温度計、攪拌機および重合性単量体滴下装置を
備えた1リットルフラスコに、塩素化ポリオレフィン樹
脂エマルション〔米国イーストマンコダック社製、CP
−347W(塩素化率20%、樹脂固形分20%)〕3
50gおよび蒸留水410gを仕込んだ後、フラスコ内
を窒素ガスで置換した。次いでフラスコ内容物の温度を
65℃に保持しつつ、攪拌下、イソブチルメタクリート
(以下、i−BMAという)95g、シクロヘキシルメ
タクリート(以下、CHMAという)52g、シクロヘ
キシルアクリート(以下、CHAという)42gおよび
スチレン21gからなる単量体混合物を1時間にわたっ
て滴下し、その後さらに同温度で1時間攪拌を続け、塩
素化ポリプロピレン樹脂粒子を膨潤せしめた。
【0037】以上で得られたフラスコ内の水性分散液
に、反応性乳化剤〔花王(株)社製、ラテムルS−18
0A〕5gおよび重合開始剤(過硫酸アンモニウム)1
gを含有する水溶液30gを加え、フラスコ内温を77
℃に上げて単量体混合物の重合を開始した。重合反応
は、反応に伴う発熱が終了した後さらに同温度で60分
間保持し、さらに90℃で1.5時間保持することによ
っておこない、その後冷却して水性樹脂組成物(a)を
得た。得られた組成物の樹脂濃度(固形分)は28重量
%で、含有する変性樹脂粒子の塩素化ポリオレフィン樹
脂/重合性単量体比(以下、Cl-PP/単量体比とい
う)は25部/75部であった。
【0038】塗料の調製 イオン交換水11.8部、増粘剤(サンノプコ社製のS
Nシックナー612/同613/水=1部/2部/3部
の混合液)1.5部、造膜助剤(ダウケミカル社製、ダ
ワノールDPnB)6.7部の混合液を高速ディゾルバ
ー攪拌下で、上記で得た水性樹脂組成物80部(樹脂固
形分換算で22.4部)を加え充分混合した後、さらに
消泡剤(共栄社油脂化学社製、アクアレン825)0.
1部を加えて塗料を調製した。
【0039】塗料の評価 上記で得られた塗料を、No.4フォードカップで30
〜35秒になるよう粘度調整した後、厚さ3mmの表面
処理の無いポリプロピレン樹脂板(宇部興産社製、UB
E−J−109G)に、乾燥塗膜厚20〜25μmとな
るようにスプレー塗装し、80℃で30分間乾燥後、2
0℃×60%RHの雰囲気下に48時間放置した後試験
板とし、下記の試験方法で塗膜の試験を行ない、試験結
果を表2に示した。
【0040】(1)付着性:試験板上の塗膜を貫通して
素地面に達する切り傷を、1mm間隔で100個の碁盤
目ができるようにつけ、この碁盤目の上にセロハン粘着
テープを貼り、テープを180度の方向に引剥した後の
塗膜の付着状態を目視によって評価する。評価基準は、 ○;剥がれが全くなく100個の碁盤目が残存している △;51〜99個の碁盤目が残存している ×;碁盤目の残存が50個以下 (2)耐水性:試験板を40℃の温水に240時間浸漬
した後、20℃で1時間コンディショニング後、上記
(1)と同様の方法および評価基準で付着性を評価し
た。 (3)貯蔵安定性:上記の粘度調整された塗料80g
を、容量100ccの容器に入れて密封し、50℃の雰
囲気下に1週間放置し、その粘度変化を下記の評価基準
で評価した。 ○;わずかに増粘(粘度40秒以下) △;増粘(粘度40秒以上) ×;流動性なし
【0041】(実施例2、3、および比較例1、2)水性樹脂組成物(b)〜(e)の製造例 上記実施例1の水性樹脂組成物(a)の製造例において
用いた各成分を、下記表1の組成に変えた以外は実施例
1と全く同様の方法で水性樹脂組成物(b)〜(e)を
製造した。得られたそれぞれの水性樹脂組成物のCl−
PP/単量体比を合わせて表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】塗料の調製及び塗料の評価 上記で得たそれぞれの水性樹脂組成物を用い、実施例1
の塗料の調製法と全く同様の処方で塗料を調製し〔水性
樹脂組成物(b)を用いたものを実施例2、水性樹脂組
成物(c)を実施例3、水性樹脂組成物(d)を比較例
1、水性樹脂組成物(e)を比較例2〕、次いで実施例
1の塗料の評価法と同様にして評価し、評価結果を後記
表2に示した。
【0044】(比較例3)アクリル樹脂エマルションの製造例 実施例1と同様の1リットルフラスコに、蒸留水69
3.3g、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)1.3g
及び反応性乳化剤〔花王(株)社製、ラテムルS−18
0A〕7.3gを仕込み、攪拌下、i−BMA138
g、CHMA76.7g、CHA61.3gおよびスチ
レン30.7gからなる単量体混合物を添加し、フラス
コ内温を77℃に上げて単量体混合物の重合を開始し
た。重合反応は、反応に伴う発熱が終了した後さらに同
温度で60分間保持し、次いで、90℃で1.5時間保
持することによっておこない、その後冷却してアクリル
系樹脂エマルションを得た。
【0045】塗料の調製及び塗料の評価 上記で得たアクリル系樹脂エマルション655.6部及
び実施例1で用いた塩素化ポリオレフィン樹脂エマルシ
ョン350部を充分混合し、アクリル系樹脂エマルショ
ンと塩素化ポリオレフィン樹脂エマルションの単純ブレ
ンドからなる水性樹脂組成物(f)を調製した。このよ
うにして得られた水性樹脂組成物について、実施例1と
全く同様にして塗料を調製し、次いで評価した。評価結
果を後記表2に示した。
【0046】(比較例4)水性樹脂組成物(g)の製造例 2リットルの攪拌機付き4つ口フラスコに、i−BMA
212.9g、CHMA118.2g、CHA94.6
g、スチレン47.3g、オリゴマー〔東亜合成化学工
業社製、AW−6S(50%トルエン溶液)〕220g
及び塩素化ポリプロピレン樹脂〔イーストマンケミカル
社製、CP343−3(塩素化率30重量%、50%キ
シレン溶液)〕400gを加え、80℃で全体が均一と
なるよう混合溶解した後含有するトルエン及びキシレン
を減圧下で留去し、室温になるまで冷却してメタクリル
酸17gを加え、さらに重合開始剤(日本油脂社製、ナ
イパーBO)11g及びt−ドデシルメルカプタン0.
7gを加え、均一な単量体溶液(A)を得た。別に、蒸
留水1300gにポリビニールアルコール(クラレ社
製、ポバール217 ZZ)54g、ヒドロキシプロピ
ルセルロース(日本曹達社製、HPC−SL)8g、ア
ニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオコール−
P)15g及びノニオン界面活性剤(第一工業製薬社
製、ノイゲンEA−190)33gを加え、均一に混合
して水溶液(B)を得た。このようにして得た単量体溶
液(A)及び水溶液(B)を適宜の容器に入れ、ホモジ
ナイザー(2000rpm)で30分間均一に分散せし
めた後、#400SUS製金網で瀘過してプレエマルシ
ョンとした。
【0047】滴下装置を備えた2リットル4つ口フラス
コに蒸留水200gを仕込み、フラスコ内を窒素置換し
た後、フラスコ内温を63℃に昇温し、攪拌下、滴下装
置より上記で得たプレエマルションを3時間かけて滴下
しつつ反応し、滴下終了後さらに63℃で7時間熟成し
た。得られたエマルションを#400SUS製金網で瀘
過し、水性樹脂組成物(g)とした(樹脂固形分37.
5重量%)。
【0048】塗料の調製及び塗料の評価 上記の水性樹脂組成物(g)の樹脂固形分が22.4重
量%となるように蒸留水で稀釈した後、実施例1の塗料
の調製法と全く同様の処方で塗料を調製し、次いで実施
例1の塗料の評価法と同様にして評価した。評価結果を
下記表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】上記表2の結果から明らかなように、本発
明に係る水性樹脂組成物を用いた水性塗料は、実施例1
〜3の評価結果が示すように、表面処理の施されていな
いポリプロピレン基材に対しても良好な付着性を示すと
共に、耐水性及び貯蔵安定性においても優れた特性を有
するものであった。これに対し、塩素化ポリプロピレン
樹脂/重合性単量体比が本発明の範囲を外れる水性樹脂
組成物(d)および(e)を用いた比較例1及び2の塗
料は、特に耐水性、貯蔵安定性に劣るものであり、塩素
化ポリプロピレン樹脂エマルションとアクリル系樹脂エ
マルションを単純ブレンドしたのみの比較例3の塗料
は、ポリプロピレン基材に対する付着性はおろか耐水
性、貯蔵安定性にも劣るものであり、また、塩素化ポリ
プロピレン樹脂をアクリル系単量体に溶解し、これをエ
マルション重合する手法によって得られた従来技術の水
性樹脂組成物(g)を用いた比較例4の塗料は、無処理
ポリプロピレン基材に対する良好な付着性が得られず、
また耐水性にも劣り、塗料の貯蔵安定性についても実用
上充分な性能にいたらないものであった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水性樹脂
組成物は、塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を分散含有す
る分散液中で、該分散粒子を重合性単量体によって膨潤
せしめ、膨潤によって粒子中に吸収された重合性単量体
を重合して得られた重合体粒子を含有する分散液であ
り、このように塩素化ポリオレフィン樹脂を重合性単量
体に溶解させるのではなく膨潤させることによって得ら
れるものであるので、ポリオレフィン基材に対して付着
性が良いがアクリル系単量体には溶解性を示さないとい
う性質を有する低塩素化率の塩素化ポリオレフィン樹脂
の使用が可能となり、これを用いた水性塗料は、ポリオ
レフィン系基材への付着性に優れたものとなる。また、
本発明水性樹脂組成物は、そこに分散含有する樹脂粒子
が、微粒子状であるので、これを用いた水性塗料におい
ては、形成される塗膜の平滑性に優れ、さらに、この分
散樹脂粒子のそれぞれが重合性単量体によって均一に複
合化された粒子であるので、塗料化した場合の貯蔵安定
性に優れていることは勿論、これによって得られる塗膜
も均一性の高い複合化塗膜を形成するので、優れた耐水
性が得られる他、塗膜特性の改善にも極めて有効であ
る。
【0052】また、本発明の水性樹脂組成物の製造方法
は、塩素化ポリオレフィン樹脂を重合性単量体に溶解さ
せるのではなく膨潤させるだけの極めて簡単な方法であ
るので、塩素化ポリオレフィン樹脂の重合性単量体によ
る溶解性を何ら考慮する必要がない点、及び煩雑な溶解
工程及びそれに付随する種々の工程が省略できる点で優
れている。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素化率10〜50重量%の塩素化ポリ
    オレフィン樹脂粒子を分散含有する水性分散液中の該塩
    素化ポリオレフィン樹脂粒子を、重合性単量体で膨潤せ
    しめた後、該重合性単量体を重合して得られる重合体で
    あって、前記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子/重合性単
    量体の比率が5〜50重量%/95〜50重量%である
    ことを特徴とする水性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 塩素化率10〜50重量%の塩素化ポリ
    オレフィン樹脂粒子を分散含有する水性分散液中の該塩
    素化ポリオレフィン樹脂粒子を、第1の重合性単量体で
    膨潤せしめた後、該第1の重合性単量体を重合して変性
    樹脂粒子とし、さらに該変性樹脂粒子を第2の重合性単
    量体で膨潤させた後、該第2の重合性単量体を重合して
    得られる重合体であって、前記塩素化ポリオレフィン樹
    脂粒子/第1および第2の重合性単量体の合計の比率が
    5〜50重量%/95〜50重量%であることを特徴と
    する水性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子の塩
    素化率が、15〜25重量%である請求項1または2記
    載の水性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 塩素化率10〜50重量%の塩素化ポリ
    オレフィン樹脂粒子を分散含有する水性分散液中に、該
    塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を膨潤させることのでき
    る重合性単量体を、塩素化ポリオレフィン樹脂/重合性
    単量体の比率が5〜50重量%/95〜50重量%の範
    囲で加え、次いで前記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を
    前記重合性単量体で膨潤せしめた後、該塩素化ポリオレ
    フィン樹脂粒子に膨潤吸収された重合性単量体を重合せ
    しめることを特徴とする水性樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 塩素化率10〜50重量%の塩素化ポリ
    オレフィン樹脂粒子を分散含有する水性分散液中に、該
    塩素化ポリオレフィン樹脂粒子を膨潤させることのでき
    る第1の重合性単量体を加えて前記塩素化ポリオレフィ
    ン樹脂粒子を前記重合性単量体で膨潤せしめた後、該塩
    素化ポリオレフィン樹脂粒子に膨潤吸収された重合性単
    量体を重合せしめて変性樹脂粒子を得た後、該変性樹脂
    粒子を膨潤させることのできる第2の重合性単量体を、
    塩素化ポリオレフィン樹脂/第1と第2の重合性単量体
    の合計の比率が5〜50重量%/95〜50重量%の範
    囲となるように加え、前記変性樹脂粒子を前記第2の重
    合性単量体で膨潤せしめた後、該変性樹脂粒子に膨潤吸
    収された重合性単量体を重合せしめることを特徴とする
    水性樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記塩素化ポリオレフィン樹脂粒子の塩
    素化率が、15〜25重量%である請求項4または5記
    載の水性樹脂組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし3のいずれか1項記載の
    水性樹脂組成物を用いたことを特徴とする水性塗料。
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