JP2013136708A - 塗料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒と、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
上記事情を勘案し、当該指針値が示されている芳香族炭化水素の有機溶媒を含まない塗料の創出・開発が望まれている。
例えば、特許文献1には、有機溶媒に、アクリル変性塩素化ポリプロピレン等を含むバインダー樹脂と、ウレタン樹脂粒子と、を含有させた塗料が開示されている。
また、特許文献2には、有機溶媒に、塩素化ポリオレフィンと、重合性不飽和二重結合を2つ以上有する単量体の重合体と、を含有させた塗料が開示されている。
また、特許文献3には、多孔質性の樹脂粒子と、アクリル系重合体変性塩素化ポリプロピレンを含む変性塩素化ポリプロピレン樹脂の水性エマルションを混合し、分散させた水性分散液を含有することを特徴とする水系塗料が開示されている。
そして、本発明に係る塗料は、多孔質性の樹脂粒子(B)を含んでいることから、塗膜を形成させた場合、艶消し効果を得ることができる。
また、本発明に係る塗料は、さらに、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)を含むことが好ましい。
以下、本発明に係る塗料に含まれる物質(各構成物質)について詳細に説明する。
<アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂>
本発明に係る塗料に用いるアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)とは、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と、アクリル系重合体(a3)と、から構成されるものである。そして、当該アクリル系重合体(a3)とは、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)にアクリル系単量体(a2)をグラフト重合して得られるグラフト重合鎖である。
本発明に係る塗料に用いる多孔質性の樹脂粒子(B)とは、球状(または略球状)を呈するとともに、表面に多数の細孔を有する微粒子である。
そして、多孔質性の樹脂粒子(B)は、水溶性セルロース水溶液中において、アクリル系単量体および塩素化ポリオレフィン樹脂を分散剤の存在下で重合反応させた樹脂(b1)から構成されるものであり、当該樹脂(b1)を乾燥し、さらに必要に応じて所定の平均粒子径となるように粒子径調節処理(粉砕、分級等)を施すことにより得られる。
なお、分散剤については、従来公知のものを用いればよく、例えば、アニオン系界面活性剤等である。
加えて、多孔質性の樹脂粒子(B)を塗料に含有させた場合、塗料中に添加すべき珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の艶調整用体質顔料を減量しても、または無添加であっても、艶調整が可能となり、その結果、得られる塗膜の耐傷付き性を向上させることができる。これは塗膜中の艶調整用体質顔料の含有量が少ないほど、耐傷付き性が良好であるという従来の知見に基づくものである。
これは前記のとおり、多孔質性の樹脂粒子(B)を含む塗膜の表面が、その樹脂粒子(B)の多孔質性を反映した細孔を呈する形状となるため、前記の艶調整用体質顔料や非多孔質性の樹脂粒子のみを艶調整材料として用い、同等な艶とした塗膜と比べ、多孔質性の樹脂粒子(B)の含有量を少なくすることができる。その結果、塗膜表面に形成されるミクロレベルの凸部(ラウンド)の存在割合を少なくできる。さらに、多孔質性の樹脂粒子(B)は粒状(または略粒状)を呈することから、当該凸部はなだらかなもの(球面状)となるため、爪や手の甲で塗膜表面を擦っても、爪や皮脂等が削られ難くなる。
本発明に係る塗料に用いる脂肪酸アミド(C)とは、脂肪酸と低級アミンから形成されるアミド化合物であり、好ましくは、炭素数4〜18の飽和脂肪酸アミド、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸アミドおよびこれらの誘導体のうちのそれぞれ単独、もしくは2種以上混合されたものである。
詳細には、脂肪酸アミド(C)は、脂肪酸として、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の炭素数4〜18の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸およびこれらの誘導体のうち、それぞれ単独、もしくは2種類以上混合されたものを用いた脂肪酸アミドである。
脂肪酸アミド(C)を含有することにより塗料溶液の揺変性が発現するが、得られる揺変効果をより確実なものとするために、B型粘度計(Brookfield粘度計)で求めた塗料のThixotropic Index(TI値=塗料温度25℃で回転数6rpmにおける粘度/塗料温度25℃で回転数60rpmにおける粘度)は2.5〜5.0であることが好ましい。TI値が2.5未満であると、塗料溶液が相分離しないための十分な揺変効果を得ることができず、TI値が5.0を超えると、塗装作業性および得られる塗膜の外観が低下するからである。
本発明に係る塗料に用いるポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)とは、球状(または略球状)を呈する微粒子である。なお、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)は、本発明に係る塗料の必須の物質ではないが、後述するような効果を発揮するため、塗料に含有させるのが好ましい。
また、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)は、得られる塗膜の外部滑性を向上させることにより、塗膜の表面を手や爪で擦った後に残る爪および皮脂等の削りカスを極めて少なくすることができ、さらに摩擦跡が非常に残り難く(視認し難く)なる。
本発明に係る塗料に用いる有機溶媒とは、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒、言い換えると、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素を含有しない有機溶媒である。
詳細には、本発明に係る塗料に用いる有機溶媒とは、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、n−ブチルアセテート、i−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系有機溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶媒、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール系有機溶媒、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の非芳香族炭化水素系有機溶媒からそれぞれ単独、もしくは2種類以上混合されたものである。
本発明に係る塗料の塗装対象は、難付着性のプラスチック基材であり、特にポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を主成分とするポリオレフィン基材である。
ここで、難付着性のプラスチック基材としては、例えば自動車、電化製品、携帯端末機器等の分野で使用されるプラスチック基材が挙げられ、具体的には、自動車の内装用ポリオレフィン樹脂部品等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る塗料の製造方法を説明する。
まず、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)にアクリル系単量体(a2)を重合反応させてアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)を作製する。この重合反応における塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)溶液へのアクリル系単量体(a2)の導入(滴下または注入)の際の好ましい反応温度は、50〜100℃であり、好ましい導入(滴下または注入)時間は3〜6時間である。
なお、この重合反応において好ましく用いられる分散媒体としては、上記水溶性セルロース水溶液であるが、これに水溶性であるポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを添加してもよい。
その後、重合反応混合物である樹脂(b1)を乾燥し、さらに必要に応じて粉砕・分級等の粒子径調節の処理をすることで多孔質性の樹脂粒子(B)を作製する。
なお、この混合・分散工程における混合・分散の時間は好ましくは0.5〜1時間である。
このようにして製造された塗料は、ポリオレフィン基材に塗装され、比較的短時間(5〜15分)、低温度(50〜60℃)の強制乾燥条件で乾燥されることにより塗膜として形成されることとなる。
まず、使用するアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂A1〜A4の製造方法について、それぞれ説明する。
(アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂A1)
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた2リットルの丸底四つ口フラスコに、塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、ハードレンDX−523P、塩素含有量23wt%、Mw100,000)を40g、メチルシクロヘキサンを80g、メチルエチルケトンを80g仕込んだ後、撹拌を行いながらフラスコ内の温度を60℃に保ち塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解した。そして、フラスコ内の温度を80℃に上昇しこれを保ちながら、メチルメタクリレート252g、シクロヘキシルメタクリレート18g、t−ブチルアクリレート68.4g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート18g、メタクリル酸3.6g、ベンゾイルパーオキサイド10gからなる単量体混合物を4時間にわたり滴下し、さらに温度を90℃に上げて3時間撹拌を続けた後、メチルシクロヘキサン100g、メチルエチルケトン490gを加え攪拌を行い、冷却してアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A1)溶液(固形分:34.8wt%、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分重量比率:10wt%)を得た。
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた2リットルの丸底四つ口フラスコに、塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、ハードレンDX−523P、塩素含有量23wt%、Mw100,000)を31g、メチルシクロヘキサンを135g、メチルエチルケトンを135g仕込んだ後、撹拌を行いながらフラスコ内の温度を60℃に保ち塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解した。そして、フラスコ内の温度を80℃に上昇しこれを保ちながら、メチルメタクリレート147g、シクロヘキシルメタクリレート11g、t−ブチルアクリレート39.9g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート10g、メタクリル酸2.1g、ベンゾイルパーオキサイド6.7gからなる単量体混合物を4時間にわたり滴下し、さらに温度を90℃に上げて3時間撹拌を続けた後、メチルシクロヘキサン35g、メチルエチルケトン104.7gを加え攪拌を行い、冷却してアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A2)溶液(固形分:34.8wt%、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分重量比率:15wt%)を得た。
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた2リットルの丸底四つ口フラスコに、塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、ハードレンDX−523P、塩素含有量23wt%、Mw100,000)を15.8g、メチルシクロヘキサンを90g、メチルエチルケトンを90g仕込んだ後、撹拌を行いながらフラスコ内の温度を60℃に保ち塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解した。そして、フラスコ内の温度を80℃に上昇しこれを保ちながら、メチルメタクリレート266g、シクロヘキシルメタクリレート19g、t−ブチルアクリレート72.2g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート19g、メタクリル酸3.8g、ベンゾイルパーオキサイド11gからなる単量体混合物を4時間にわたり滴下し、さらに温度を90℃に上げて3時間撹拌を続けた後、メチルシクロヘキサン90g、メチルエチルケトン468gを加え攪拌を行い、冷却してアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A3)溶液(固形分:34.8wt%、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分重量比率:4wt%)を得た。
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた2リットルの丸底四つ口フラスコに、塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製、ハードレンDX−523P、塩素含有量23wt%、Mw100,000)を52.5g、メチルシクロヘキサンを135g、メチルエチルケトンを135g仕込んだ後、撹拌を行いながらフラスコ内の温度を60℃に保ち塩素化ポリオレフィン樹脂を溶解した。そして、フラスコ内の温度を80℃に上昇しこれを保ちながら、メチルメタクリレート147g、シクロヘキシルメタクリレート11g、t−ブチルアクリレート39.9g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート10g、メタクリル酸2.1g、ベンゾイルパーオキサイド6gからなる単量体混合物を4時間にわたり滴下し、さらに温度を90℃に上げて3時間撹拌を続けた後、メチルエチルケトン184.2gを加え攪拌を行い、冷却してアクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A4)溶液(固形分:34.8wt%、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂中の塩素化ポリオレフィン樹脂の固形分重量比率:20wt%)を得た。
[多孔質性の樹脂粒子B1の製造方法]
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置を備えた1リットルの丸底四つ口フラスコに、水溶性セルロース(信越化学製、メトローズ60SH50)2.5%水溶液800gとアニオン系分散剤(日本乳化剤製、ニューコール707SF)0.2g仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガスで置換した。強く撹拌を行いながら、イソブチルメタクリレート75g、エチレングリコールジメタクリレート30g、塩素化ポリオレフィン樹脂(東洋化成製、ハードレンB−13)25g(固形分:30wt%)、過酸化物溶液(化薬アクゾ製、トリゴノックス23−C70)3gからなるアクリルモノマー、ポリオレフィン系ポリマー、過酸化物の混合物を30分かけて滴下した。滴下終了後フラスコ内を強力に撹拌しながら温度を60℃に上げて6時間温度を一定に保った後、冷却してフラスコ内容物を取り出し、十分に水洗を行った。得られた粒子を乾燥し粉砕を行った後、さらに分級して平均粒子径8μmの樹脂粒子(B1)を得た。
[試験体の製造方法]
前記製造方法で得られたアクリル変性ポリオレフィン樹脂溶液144g(不揮発分:50g、種類は表1を参照)と、多孔質性の樹脂粒子(種類および使用量は表1を参照)と、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(ガンツ化成社製、SI−020:使用量は表1を参照)と、表面調整剤(ビックケミー社製、BYK−375)1gと、を攪拌機を用いて混合し、これにメチルシクロヘキサン10g、n−ブチルアセテート20g、脂肪酸アミド(伊藤製油社製、TS−823[固形分20w%]:使用量は表1を参照)と、をホモディスパー(攪拌条件5,000rpm×30分)を用いて別容器で作成したペーストを攪拌しながら加えた。さらに、塗装後の塗膜光沢が60°反射においてグロス値1.5になるまで体質顔料(エボニック社製、TS−100)を加えて攪拌を行い、さらにB型粘度計で求めたTI値(塗料温度25℃で回転数6rpmにおける粘度/塗料温度25℃で回転数60rpmにおける粘度)が表2、3、4に示す値になるまでn−ブチルアセテートを加えて攪拌を行い塗料を得た。
なお、表1中の「非多孔性」とは、非多孔性の樹脂粒子(ガンツ化成社製、ガンツパールGM−0801)のことである。また、表1中の「−」の記載は、該当物質の使用量が0gであることを示す。そして、表1中の使用量とは、溶媒を含まない量である。
前記製造方法により得られた試験体1〜17(塗料)を、希釈溶剤(オリジン電気社製、エコネットシンナー#9505)でB型粘度計の測定値で20mPa・s(60rpm、25℃)になるように希釈調整し、表面未処理ポリプロピレン系樹脂素材(新神戸電機製、PP−N−AN)に乾燥膜厚20μmになるようにスプレー塗装を行った。スプレー終了後、恒温槽により60℃で5分間強制乾燥を行った後、25℃、55%RHの条件に48時間放置したものを評価用試験板とし、下記項目の試験を行った。
(付着性試験)
前記の評価用試験板の表面を、1mm×1mm×100個の碁盤目状にカットし、セロハンテープ剥離試験後の残存碁盤目数から評価を行った。評価基準は、100個の碁盤目が残存している場合を極めて良好(○)、76〜99個の碁盤目が残存している場合を良好(△)、残存碁盤目数が75個以下の場合を不良(×)と評価した。
前記の評価用試験板を50℃温水中に48時間浸漬後、その表面を1mm×1mm×100個の碁盤目状にカットし、セロハンテープ剥離試験後の残存碁盤目数から評価を行った。なお、評価基準は付着性試験と同様である。
前記の評価用試験板の表面(塗膜上)にエンジンオイルを0.2ml滴下し、80℃×3時間放置した後に拭き取り、塗膜の外観を調べた。評価基準は、塗膜膨潤およびエンジンオイル跡がない場合を極めて良好(○)、エンジンオイル跡はあるが、塗膜膨潤がない場合を良好(△)、塗膜膨潤があるとともに、エンジンオイル跡もある場合を不良(×)と評価した。
前記の評価用試験板の表面(塗膜上)に1平方センチメートルあたり100gの荷重をかけた100〜150μmのガラスビーズを敷き、10cm/秒の速度で塗膜上(10cm)を5往復した後の光沢保持率を測定して評価した。評価基準は、光沢保持率が100〜110%の場合を極めて良好(○)、光沢保持率が110%を超えて120%未満の場合を良好(△)、光沢保持率が120%以上の場合を不良(×)と評価した。
前記の評価用試験板(No.7、8、16、17)の表面(塗膜上)に1平方センチメートルあたり50gの荷重をかけた消しゴム(トンボ鉛筆社製、SAND ERASER 512N)で10cm/秒の速度で塗膜上(10cm)を5往復した後の消しゴムのカスの跡残りの程度により評価した。評価基準は、目視により塗膜表面を確認した際に、跡残りのない場合を極めて良好(○)、線状の跡残りのある場合(面状の跡残りはない)を良好(△)、面状の跡残りのある場合を不良(×)と評価した。
前記の試験体(塗料)を約100ml、ガラス瓶に移し密閉した後、40℃雰囲気の条件に7日間放置したものを評価用塗料とし、相分離および沈殿物が発生していないか確認を行った。評価基準は、相分離、沈殿物ともにない場合を極めて良好(○)、相分離はあるが沈殿物はない場合を良好(△)、相分離、沈殿物ともにある場合を不良(×)と評価した。
各試験結果を表2、3、4および図1に示す。
一方、試験体12については、多孔質性の樹脂粒子(B)を含有せず、試験体13については、非多孔性の樹脂粒子を含有していたことから、耐傷付き性が不良(×)という結果となった。
また、その中でも、試験体7、8については、さらに、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)を本発明の規定する範囲内で含有していたため、前記試験だけでなく跡残り性についても、極めて良好(○)という結果となった。
試験体10については、(A)中の(a1)の重量比率が本発明の規定する上限値を超えていたことから、耐油性が良好(△)という評価にとどまるという結果となった。
試験体15については、(C)の重量比率が本発明の規定する上限値を超えていたことから、耐水付着性、耐油性、および耐傷付き性が良好(△)という評価にとどまるという結果となった。
試験体17については、(D)の重量比率が本発明の規定する下限値未満であったことから、跡残り性が良好(△)という評価にとどまるという結果となった。
Claims (7)
- エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、および非芳香族炭化水素系有機溶媒のうちの1種以上から構成される有機溶媒と、アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、多孔質性の樹脂粒子(B)と、脂肪酸アミド(C)と、を含むことを特徴とする塗料。
- 前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)は、塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と、アクリル系重合体(a3)と、から構成されるとともに、当該アクリル系重合体(a3)は、前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)にアクリル系単量体(a2)をグラフト重合して得られるグラフト重合鎖であって、
前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)と前記アクリル系重合体(a3)との合計100wt%に対して、前記塩素化ポリオレフィン樹脂(a1)の重量比率は5.0〜15.0wt%、前記アクリル系重合体(a3)の重量比率は85.0〜95.0wt%であり、
前記多孔質性の樹脂粒子(B)は、水溶性セルロース水溶液中に、アクリル系単量体および塩素化ポリオレフィン樹脂を分散剤の存在下で重合反応させた樹脂(b1)から得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の塗料。 - 前記脂肪酸アミド(C)は、炭素数4〜18の飽和脂肪酸アミド、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸アミドおよびこれらの誘導体のうちのそれぞれ単独、もしくは2種以上混合されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗料。
- 前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記多孔質性の樹脂粒子(B)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は62.5〜91.0wt%、前記多孔質性の樹脂粒子(B)の重量比率は9.0〜37.5wt%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の塗料。
- 前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記脂肪酸アミド(C)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は93.4〜97.5wt%、前記脂肪酸アミド(C)の重量比率は2.5〜6.6wt%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の塗料。
- B型粘度計で測定したThixotropic Index(TI値=塗料温度25℃で回転数6rpmにおける粘度/塗料温度25℃で回転数60rpmにおける粘度)が2.5〜5.0であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の塗料。
- ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)をさらに含むとともに、
前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の平均粒子径は、1.0〜5.0μmであり、
前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)との合計100wt%に対して、前記アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の重量比率は66.0〜83.0wt%、前記ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(D)の重量比率は17.0〜34.0wt%であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の塗料。
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