JP2014208463A - テンターオーブンおよび熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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貴大 高田
博行 麻生
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博行 麻生
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Abstract

【課題】テンターオーブン内のフィルム幅方向とフィルム搬送方向のエアの流れを抑制して、フィルム幅方向の温度ムラを低減し、フィルム幅方向の特性や厚みが均一にする熱可塑性樹脂のフィルムの製造、及びフィルムの昇温に必要なエネルギーの削減や、オリゴマ等の析出物によるフィルム欠点を低減する方法の提供。
【解決手段】エアの噴き出し部1と、テンターオーブン内のエアの吸い込み部2とが、フィルム幅方向に延在するように配置され、フィルム搬送方向に一つ又は複数の室を有するテンターオーブンであって、吸い込み部で吸引回収したエアを、再度所定温度にして噴き出し部へ送るエア循環機構4を有し、前記吸い込み部から吸引回収したエアを所定の温度にするまでの経路内に、エアをテンターオーブンの外部へ排出するためのエア排気機構12と、エアをテンターオーブンの外部から取り入れるためのエア給気機構13とを有するテンターオーブン。
【選択図】図3

Description

本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの製造に適したテンターオーブンおよびこのテンターオーブンを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂フィルムの機械的特性の向上や薄膜化、あるいは寸法安定性確保等を目的として、フィルム製膜工程においてフィルムの延伸を行うことがある。一般的に、熱可塑性樹脂フィルムの延伸方法としては、未延伸のフィルムをフィルム搬送方向に一軸に延伸した後、その一軸延伸フィルムをテンターオーブン内でフィルム幅方向に延伸する逐次二軸延伸法や、未延伸のフィルムをテンターオーブンの中で、フィルム搬送方向とフィルム幅方向とに同時に延伸する同時二軸延伸法がある。
二軸延伸を行う際に用いられるテンターオーブンは、熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向両端部に設置されたクリップによりフィルム両端部を把持し、所定温度に加熱したエアを噴き出し部からフィルム表面に噴き付け、フィルム温度を所定温度に加熱または冷却または保持しながら、フィルムに対して予熱、延伸、熱処理、冷却等の処理を施す装置である。
一般に、熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられるテンターオーブンは、予熱、延伸、熱処理、冷却等の処理工程に対応した一つまたは複数のゾーンで構成されており、ゾーン毎に温度の設定を変更できるように構成されている。また、前記のゾーンは一つの室で構成されることもあるが、フィルム搬送方向に複数の室に区画され、室毎に温度の設定を変更できるように構成されることもある。
熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられるテンターオーブンは、一般的に、噴き出し部と吸い込み部を有し、テンターオーブン内のエアが吸い込み部で吸引回収され、熱交換器で設定温度まで加熱または冷却または保持され、循環ファンによって再度噴き出し部から噴き出されるエア循環機構を有している。エア循環機構により、フィルムに噴き付けるエアを所定温度にすることにより、フィルム温度を所定温度に加熱または冷却または保持することができる。
また、熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられるテンターオーブンには、テンターオーブン内の換気による塵埃度低減やオリゴマ等の昇華物除去を目的に、エア排気機構やエア給気機構が設けられている場合がある。一般的には、エア排気機構は、吸い込み部から吸引回収されたエアを噴き出し部に送るエア循環機構とは分離し、テンターオーブン内のエアをテンターオーブンの外へ排出されるように構成されている。また、エア給気機構は、吸い込み部から吸引回収されたエアを熱交換器で加熱または冷却または保持するまでのエア循環経路内に、テンターオーブン外部からエアを供給されるように構成されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記のテンターオーブンでは、エア排気機構が、吸い込み部から吸引回収されたエアを噴き出し部に送るエア循環機構とは分離して設置されているため、吸い込み部で吸引回収されるエアの流れとは別に、テンターオーブン内にエア排気機構に向かうエアの流れが生じ、フィルムのフィルム幅方向に温度ムラを生じてしまうことがある。この温度ムラの発生原因について、フィルム搬送方向に複数の室に区画され、室毎に温度の設定を変更できるように構成されたテンターオーブンを例に、次に述べる。
まず、給気量と排気量が等しい場合における温度ムラの発生原因について説明する。ファンの吸引量と吐出量は等しいため、エア循環機構において、噴き出し部から噴き出されるエアの量は、吸い込み部で吸引回収されるエアとエア給気機構から供給されるエアを合わせた量に等しい。すなわち、吸い込み部で吸引回収されるエアの量は、噴き出し部から噴き出されるエアからエア給気機構から供給される分のエアを差し引いた量となるため、噴き出し部の周辺では、エア給気機構から供給される分のエアが過剰となってしまう。エア排気機構でエア給気機構から供給される分のエアを排気したとしても、テンターオーブン内にエア排気機構に向かうエアの流れが生じ、フィルムのフィルム幅方向に温度ムラを生じてしまうことがある。
また、テンターオーブンは、隣接する室の間が壁で完全に仕切られているわけではなく、隣接する室の間には、少なくともフィルムを通すために設けた開口部があるため、噴き出し部周辺の過剰なエアの一部は、隣接する室へ流出する。この隣接する室へ流出するエアの流れは、噴き出し部からフィルムに噴き付けられるエアがフィルム面に沿って流れることにより生じやすい。また、室内においては、隣接する室に流出した分のエアが不足している状態になり、不足しているエアを補うために、隣接する室からエアの流入が生じる。室の境界を横切ってフィルム搬送方向にエアが流れてしまうと、設定温度の異なる隣接室のエアが噴き出し部からフィルム表面に噴き付けられるエアと混合することとなり、フィルムに温度ムラを生じてしまう。
また、テンターオーブンの室内で排気量が給気量よりも多い場合や、給気を行わずに排気だけを行う場合は、室内で不足しているエアを補うために、隣接室からエアの流入が生じる。テンターオーブンの室内で給気量が排気量よりも多い場合や、排気を行わずに給気だけを行う場合は、室内の過剰なエアを排出するために、隣接室へのエアの流出が生じる。室の境界を横切ってフィルム搬送方向にエアが流れてしまうと、設定温度の異なる隣接室のエアが噴き出し部からフィルム表面に噴き付けられるエアと混合することとなり、フィルムに温度ムラを生じてしまう。
熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向の温度ムラは、厚みムラや特性ムラの原因になり、製品の品質を低下させることにつながる。さらに、熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向の温度ムラは、テンターオーブン内でフィルム破れを誘発し、生産性を低下させることもある。
また、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した際に、フィルムからオリゴマ等の物質が昇華し、その昇華物がフィルム搬送方向のエアの流れにより設定温度の高い室から設定温度の低い室へ流れ込むことで、温度が低下して昇華物が析出し、その析出物がフィルム表面に付着することにより、フィルムの欠点となることもある。
上記の問題に対して、熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向の温度ムラを低減するために、様々な方法が提案されている。たとえば、熱可塑性樹脂フィルムの幅方向端部へのエア噴き出し量をフィルム中央部へのエア噴き出し量よりも多くすることにより、フィルムのフィルム幅方向の温度分布を均一にすることが提案されている(特許文献2および特許文献3参照。)。また、クリップの走行路を覆うカバーの温度を上げることにより、熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向の温度分布を均一にすることが提案されている(特許文献4参照。)。
特開2002−178399号公報 特開平5−96619号公報 特開2000−347036号公報 特開2011−73294号公報
しかしながら、上記の特許文献2および特許文献3に記載の提案は、対流や熱伝導によって生じるエアの温度ムラをエア流れによって意図的に作り出す熱伝達率分布によって調整しようとするものであり、条件を変更するたびに風量分布を変化させる必要があるため、フィルム幅方向の温度分布を均一にするための風量調節が難しく、また、フィルムの幅方向端部へのエア噴き出し量を多くすることから、加熱するために必要な消費エネルギーが増加してしまうという課題がある。また、上記の特許文献4の提案に関しても、温度調整装置によりクリップの走行路を覆うカバーの温度を上げるため、使用するエネルギーが増加してしまうという課題がある。
また、上記の特許文献2から特許文献4の提案は、いずれも隣接室へのエアの流出や、隣接室からのエアの流入を防ぐことができないため、昇華していたオリゴマ等が析出し、その析出物がフィルム表面に付着することによりフィルムの欠点が生じてしまうことや、加熱されたエアの温度低下によってフィルムを所定の温度に加熱できない、もしくはフィルムの温度ムラが生じてしまうという課題がある。
そこで本発明の目的は、熱可塑性樹脂フィルムの温度ムラの低減や、フィルムを所定温度まで加熱するために必要な消費エネルギーの削減や、オリゴマ等の析出物によるフィルムの欠点を低減することを可能とするテンターオーブンを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記のテンターオーブンを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のテンターオーブンは、次の構成を有する。すなわち、
所定温度に加熱されたエアを噴き出す噴き出し部と、テンターオーブン内のエアを吸引回収する吸い込み部とが、フィルム幅方向に延在するように配置され、フィルム搬送方向に一つまたは複数の室を有するテンターオーブンであって、前記吸い込み部で吸引回収されたエアを、再度所定温度にして前記噴き出し部へ送るエア循環機構を有し、前記吸い込み部から吸引回収されたエアを所定の温度にするまでの経路内に、エアをテンターオーブンの外部へ排出するためのエア排気機構と、エアをテンターオーブンの外部から取り入れるためのエア給気機構とを有することを特徴とするテンターオーブン、である。
また、本発明のテンターオーブンの好ましい形態によれば、前記の室内に配置される噴き出し部のフィルム幅方向の長さと吸い込み部のフィルム幅方向の長さとが同じである室を有することである。
上記目的を達成するため、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、次の構成を有する。すなわち、
上記テンターオーブンを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、エア排気機構から排出されるエアの量と、エア給気機構から供給されるエアの量が等しいことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、である。
本発明によれば、吸い込み部から吸引回収したエアを所定の温度にするまでの経路内に、エアをテンターオーブンの外部へ排出するためのエア排気機構と、エアをテンターオーブンの外部から取り入れるためのエア給気機構とを有することにより、テンターオーブン内でエアがフィルム幅方向に流れることを低減し、また、隣接室へのエアの流出や、隣接室からのエアの流入を低減するため、熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に均一に昇温させることができるテンターオーブンが得られる。
そのため、本発明のテンターオーブンを用いることにより、熱可塑性樹脂フィルムのフィルム幅方向の温度ムラが低減し、フィルムの特性や厚みの均一性が良好な熱可塑性樹脂フィルムを製造することが可能となり、フィルムの品質向上やフィルムの破れ低減による生産性向上が可能となる。
また、本発明のテンターオーブンを用いることにより、隣接室へのエアの流出や、隣接室からのエアの流入を低減するため、オリゴマ等の析出によるフィルムの欠点の低減や、循環エアを各室の設定温度まで加熱するために必要なエネルギーの削減が可能となる。
図1は、従来用いられてきたテンターオーブンのフィルム幅方向に垂直な断面図である。 図2は、図1のA−A矢視の断面図である。 図3は、本発明のテンターオーブンのフィルム幅方向に垂直な断面図である。 図4は、テンターオーブン装置の一形態を示す平面図である。 図5は、クリップ把持部からの距離と測定温度の関係を示すグラフである。
次に、本発明のテンターオーブンの望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの製造に好適に用いられるテンターオーブンに関するものであり、本発明のテンターオーブンは、所定の温度にされたエアを噴き出す噴き出し部と、テンターオーブン内のエアを吸引回収する吸い込み部とが、フィルム幅方向に延在するように配置され、フィルム搬送方向に一つまたは複数の室を有している。
ここで、テンターオーブンにおける室とは、テンターオーブンを構成する最小単位のことであり、その多くは、テンターオーブン内のエアを、吸い込み部で吸引回収し、そのエアを、所定温度にして噴き出し部へ送るエア循環機構を有している。
図1は、従来用いられてきたテンターオーブンの断面図である。図2は、図1のA−A矢視の断面図である。図3は、本発明のテンターオーブンの断面図である。
図1に示すように、噴き出し部1は、ゾーン入口6からゾーン出口7の方向に亘って(フィルム搬送方向に)複数設置されている。フィルム5を、ゾーン入口6からゾーン出口7に向かって搬送し、噴き出し部1から噴き出されるエアによってフィルム5を加熱または冷却する。
ここで、テンターオーブンにおけるゾーンとは、予熱、延伸、熱処理、冷却等の処理工程に対応した区間のことであり、各処理工程におけるゾーンは、一般に、それぞれ予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱処理ゾーン、冷却ゾーン等と呼ばれる。
また、各ゾーンは、1つの室で構成されることもあるが、一般には、フィルムの入口からフィルムの出口に亘って(フィルム搬送方向に)複数の室に区画され、室毎に温度の設定を変更できるように構成されていても良い。
また、図2に示すように、フィルムの上部に配置された噴き出し部1の上側と、フィルムの下部に配置された噴き出し部1の下側には、吸い込み部2を有し、テンターオーブン内のエアは吸い込み部2で吸引回収され、熱交換器3で設定温度まで加熱され、循環ファン4によって、再度噴き出し部1から噴き出されるエアの循環機構を有している。ただし、吸い込み部2が配置される位置は、本構成に限定されるものではなく、フィルムの上部と下部のそれぞれに、フィルム幅方向に延在するように配置されていれば良い。
さらに、図2に示すように、フィルム5の幅方向両端部には、フィルム5を把持するためのクリップ8とクリップの走行路であるクリップレール9、そして、これらを保護するクリップレールカバー10が設置されている。
テンターオーブン内の換気による塵埃度低減やオリゴマ等の昇華物除去を目的に、テンターオーブンには、エア排気機構12やエア給気機構13を設ける場合がある。エア排気機構12は、一般的に、図2に示すように、吸い込み部2から吸引回収したエアを噴き出し部1に送るエア循環機構とは分離し、テンターオーブン内のエアをテンターオーブンの外へ排出するように構成されている。エア給気機構13は、一般的に、吸い込み部2から吸引回収したエアを熱交換器3で加熱するまでのエア循環経路内に、テンターオーブンの外部からエアを供給するように構成されている。
しかしながら、上記のテンターオーブンでは、エア排気機構12が、吸い込み部2から吸引回収されたエアを噴き出し部1に送るエア循環機構とは分離して設置されているため、吸い込み部2で吸引回収されるエアの流れとは別に、テンターオーブン内にエア排気機構12に向かうエアの流れが生じ、フィルム5のフィルム幅方向に温度ムラを生じてしまうことがある。この温度ムラの発生原因について、フィルム搬送方向に複数の室に区画され、室毎に温度の設定を変更できるように構成されたテンターオーブンを例に、次に述べる。
まず、給気量と排気量が等しい場合における温度ムラの発生原因について説明する。ファンによって吸引されるエアの量と吐出されるエアの量は等しいため、エア循環機構において、噴き出し部1から噴き出されるエアの量は、吸い込み部2で吸引回収されるエアとエア給気機構13から供給されたエアを合わせた量に等しい。すなわち、噴き出し部1の周辺では、エア給気機構13から供給される分のエアが過剰となってしまう。テンターオーブンは、隣接する室の間が壁で完全に仕切られているわけではなく、隣接する室の間には、少なくともフィルム5を通すために設けた開口部があるため、噴き出し部1周辺の過剰なエアの一部は、隣接する室へ流出する。この、隣接する室へ流出するエアの流れは、噴き出し部1からフィルム5に噴き付けられるエアがフィルム面に沿って流れることにより生じやすい。また、室内においては、隣接する室に流出した分のエアが不足している状態になり、不足しているエアを補うために、隣接する室からエアの流入が生じる。室の境界を横切ってフィルム搬送方向にエアが流れてしまうと、設定温度の異なる隣接室のエアが噴き出し部1からフィルム表面に噴き付けられるエアと混合することとなり、フィルム5に温度ムラを生じてしまう。
また、テンターオーブンの室内で排気量が給気量よりも多い場合や、給気を行わずに排気だけを行う場合は、室内で不足しているエアを補うために、隣接室からエアの流入が生じる。テンターオーブンの室内で給気量が排気量よりも多い場合や、排気を行わずに給気だけを行う場合は、室内の過剰なエアを排出するために、隣接室へのエアの流出が生じる。室の境界を横切ってフィルム搬送方向にエアが流れてしまうと、設定温度の異なる隣接室のエアが噴き出し部1からフィルム表面に噴き付けられるエアと混合することとなり、フィルム5に温度ムラを生じてしまう。
フィルム5のフィルム幅方向の温度ムラは、厚みムラや特性ムラの原因になり、製品の品質を低下させる。また、フィルム5のフィルム幅方向の温度ムラは、テンターオーブン内でフィルム破れを誘発し、生産性を低下させることもある。
さらに、フィルム搬送方向のエアの流れが生じることにより、噴き出し部1から噴き出すエアに、隣接室の低温のエアが混入し、吸い込み部2から吸引回収されるエアの温度が低下するため、エアを所定の温度に再加熱するためのエネルギーが増加する。また、フィルム5を加熱した際に発生するオリゴマ等の昇華物が、フィルム搬送方向のエアの流れにより設定温度の高い室から設定温度の低い室へ流れ込み、冷却されることにより析出し、その析出物がフィルム5表面に付着することによりフィルムの欠点となることもある。
そこで、フィルム5のフィルム幅方向の温度ムラを抑制する方法として、本発明では、図3に示すように、吸い込み部2で吸引回収されたエアを、再度所定温度にして噴き出し部1へ送るエア循環機構を有し、前記吸い込み部2から吸引回収されたエアを所定の温度にするまでの経路内に、エアをテンターオーブンの外部へ排出するためのエア排気機構12と、エアをテンターオーブンの外部から取り入れるためのエア給気機構13とを設置する。さらには、エア排気機構12から排出されるエアの量と、エア給気機構13から供給されるエアの量を等しくすることが好ましい。これにより、エア排気機構12とエア給気機構13を用いてテンターオーブン内の換気を行っても、テンターオーブン内には噴き出し部1から供給されるエア量と、吸い込み部2から排出されるエア量が等しくなり、フィルム搬送方向とフィルム幅方向のエア流れを低減することができるため、フィルム5の温度ムラを低減することが可能となる。また、循環エアを各室の設定温度まで加熱するために必要なエネルギーの削減や、オリゴマ等の析出によるフィルム5の欠点を低減することができる。
また、本発明のテンターオーブンは、室内に配置される噴き出し部1のフィルム幅方向の長さと吸い込み部2のフィルム幅方向の長さとが、同じである室を有することが好ましい。より詳細には、噴き出し部1から噴き出すエアが吸い込み部2で吸引回収されるまでに、エアがフィルム幅方向に流れることを抑制するために、室ごとに噴き出し部1と吸い込み部2のフィルム幅方向の長さが同じであり、かつ、噴き出し部1と吸い込み部2のフィルム幅方向の位置が同じであることが好ましい。
一般に熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を口金から冷却ドラム上に押し出すことにより未延伸フィルムを得て、必要に応じてその得られた未延伸フィルムをフィルム搬送方向に延伸して一軸延伸フィルムとする。そして、前記未延伸フィルムをテンターオーブン中でフィルム搬送方向とフィルム幅方向とに同時に延伸する方法(同時二軸延伸法)や、前記一軸延伸フィルムをテンターオーブン中でフィルム幅方向に延伸する方法(逐次二軸延伸法)により、二軸延伸した熱可塑性樹脂フィルムを得ることが広く行われている。
そして、このような製造過程で用いられるテンターオーブンとして、本発明のテンターオーブンを好適に用いることができる。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂を口金から冷却ドラム上に押し出して得られる未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムを、前述の本発明のテンターオーブンに導入して処理することを特徴とする。
このような本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法および製造装置(テンターオーブン)により、得られる熱可塑性樹脂フィルムは、その幅方向の特性や厚みの均一性が向上し、また熱可塑性樹脂フィルムを所定温度まで加熱するために必要な消費エネルギーを削減し、オリゴマ等の析出物によるフィルムの欠点を低減することも可能であるため、好ましい製造方法となる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法および製造装置(テンターオーブン)により、フィルムの品質の改善や、工程安定化、消費エネルギーの削減を図ることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが,本発明は必ずしも以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート樹脂のペレットを減圧乾燥した後、押し出し機により溶融して、口金から冷却ドラム上に押し出して未延伸のフィルムを得た。得られた未延伸フィルムを加熱されたロール群および赤外線ヒーターで加熱し、その後、周速差のあるロール群で走行方向に3.2倍延伸して、一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムをテンターオーブンに導入し、幅1,100mmのフィルムを3.5倍に横に延伸して、2軸延伸フィルムを得た。テンターオーブンは図4に示すように予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーン、冷却ゾーンから構成した。各ゾーンは複数の室からなり、予熱ゾーンは2室、延伸ゾーンは4室、熱固定ゾーンは4室、ならびに冷却ゾーンは2室とした。それぞれのゾーンの室は高さ3m、フィルム搬送方向の長さを3mとした。
フィルムの搬送速度は、25m/minとした。フィルムに噴き付けられるエア温度は各ゾーンで設定され、その設定温度は予熱ゾーンが100℃、延伸ゾーンが130℃、熱固定ゾーンのフィルム搬送方向から数えて1室目が200℃、熱固定ゾーンのその他の室が220℃、冷却ゾーンが100℃とした。また、各ゾーンの噴出風速は、予熱ゾーンが噴出風速25m/s、延伸ゾーンが噴出風速18m/s、熱固定ゾーンが噴出風速18m/s、冷却ゾーンが噴出風速12m/sとした。
熱固定ゾーンの各室は図3に示すようなエアの循環経路とした。すなわち吸い込み部2から吸引回収したエアの一部を、排気ファン14を用いてエア排気機構12から外部へ排出し、残りのエアと、エア給気機構13を通して外部から取り入れたエアとを、循環ファン4を用いて噴き出し部1から噴き出す構成とした。
また熱固定ゾーンにおいて、エア排気機構12から外部へ排出するエアの量を24m (N)/min、エア給気機構13を通して外部から取り入れるエアの量を24m (N)/min、循環ファン4を用いて噴き出し部1から噴き出すエアの量を240m (N)/minとした。ここで、m (N)/minはノルマルm/minを表す(以下、同様)。
熱固定ゾーンのフィルム搬送方向から数えて第2室において、図3に示すように幅方向に5点の計測点15でエア温度を計測した。計測点15の位置は、図3に示すようにクリップ把持部11aと11b間の幅3,800mmに対してクリップ把持部11aから50mm、400mm、700mm、1,300mm、1,900mmとした。
上記の設定で計測した結果を、表1および図5に示す。フィルム幅方向の温度差は2.9℃であった。なお、ここで言う温度差とは計測点15で計測した温度の最大値と最小値の差である。
Figure 2014208463
(比較例1)
熱固定ゾーンの各室は図2に示すようにエアの循環経路とした。すなわちエア排気機構12でエアが吸引されるように設置した。そして、熱固定ゾーンにおいて吸い込み部2から吸引回収したエアの一部と、エア給気機構13を通して外部から取り入れたエアとを、循環ファン4を用いて噴き出し部1から噴き出す構成とし、また排気ファン14を用いて各室のエアを、排気ファン14を用いてエア排気機構12から外部へ排出する構成とした。このとき、エア排気機構12から外部へ排出するエアの量を24m (N)/min、エア給気機構13を通して外部から取り入れるエアの量を24m (N)/min、循環ファン4を用いて噴き出し部1から噴き出すエアの量を240m (N)/minとした。この構成の変更と給排気エアの流量設定以外は実施例1と同様にした。その結果は表1と図5に示す通りとなり、温度差は7.0℃であった。
1:噴き出し部
2:吸い込み部
3:熱交換器
4:循環ファン
5:フィルム
6:ゾーン入口
7:ゾーン出口
8:クリップ
9:クリップレール
10:クリップレールカバー
11a、11b:クリップ把持部
12:エア排気機構
13:エア給気機構
14:排気ファン
15:計測点

Claims (3)

  1. 所定の温度にされたエアを噴き出す噴き出し部と、テンターオーブン内のエアを吸引回収する吸い込み部とが、フィルム幅方向に延在するように配置され、フィルム搬送方向に一つまたは複数の室を有するテンターオーブンであって、前記吸い込み部で吸引回収されたエアを、再度所定温度にして前記噴き出し部へ送るエア循環機構を有し、前記吸い込み部から吸引回収されたエアを所定の温度にするまでの経路内に、エアをテンターオーブンの外部へ排出するためのエア排気機構と、エアをテンターオーブンの外部から取り入れるためのエア給気機構とを有することを特徴とするテンターオーブン。
  2. 室内に配置される噴き出し部のフィルム幅方向の長さと吸い込み部のフィルム幅方向の長さとが、同じである室を有することを特徴とする請求項1に記載のテンターオーブン。
  3. 請求項1または2に記載のテンターオーブンを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、エア排気機構から排出されるエアの量と、エア給気機構から供給されるエアの量が等しいこと特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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CN108790132A (zh) * 2018-07-12 2018-11-13 浙江和顺塑业有限公司 一种聚酯薄膜生产过程中的横拉保温箱

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