JP2014206297A - 排ガスの処理装置 - Google Patents

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Ryo FUJIKI
亮 藤木
一彰 藤森
Kazuaki Fujimori
一彰 藤森
鉄郎 星野
Tetsuro Hoshino
鉄郎 星野
優 森山
Masaru Moriyama
優 森山
丙哲 金
Heitetsu Kin
丙哲 金
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Tetsuo Koike
哲夫 小池
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Abstract

【課題】燃焼室に配置するスクレーパの寿命をより増大させる。
【解決手段】処理装置Aは、一方の端部1a側に排ガスの供給口7を、供給口7から離隔した位置にバーナー8を設けた燃焼室1と、端部1aを貫通して回転可能に配置された軸2cと、該軸に取り付けられた掻き取り部材2aと、を有するスクレーパ2と、端部1aの外側に配置され、軸2cを回転可能に支持すると共に冷却媒体を供給する軸受部材3と、を有し、掻き取り部材2aには略全長にわたって冷却媒体通路11が形成され、軸2cには冷却媒体通路11と連通した冷却媒体供給通路12と該冷却媒体供給通路と連通した冷却媒体供給口12aが形成され、軸受部材には軸を嵌合したとき冷却媒体供給口と対応する部位にリング状の溝16bが形成されており、該溝を介してスクレーパ2に冷却媒体を供給し得るように構成した。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば半導体の製造工程から排出された排ガスを燃焼或いは熱分解させて除害処理するための排ガスの処理装置であって、冷却媒体によって強制的に冷却したスクレーパによって燃焼室に付着した固形物を掻き取るように構成した排ガスの処理装置に関するものである。
例えば、半導体製造工程に於ける特定の工程から、人体に対する毒性の強い有害なガスや、地球環境に悪影響を与えるガスが生成することが知られている。このような有害なガスを大気へ放出する際には、有毒性物質の除去、除害が要求されている。このため、このような排ガスを燃焼或いは分解させた後、大気へ放出することで前記要求を満足させることが出来る排ガスの処理装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載された技術は、上記のような排ガスを一端が閉鎖された筒状の燃焼室に導入し、該燃焼室に配置されたバーナーにより水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の燃料ガスが燃焼するとき生成する高温部で分解し、或いは助燃用空気の作用により燃焼することで除害し、その後、燃焼排ガス搬送通路を通って水スクラバに供給し、該水スクラバで冷却すると共に粉末状の固形物や有害な燃焼副生成ガス等を吸収し、所定の煙道を通して大気に排出するものである。
排ガスの燃焼に伴って、各種排ガスに含まれた固形化成分が粉体になって発生し、一部が燃焼室の内面に付着して残留するという問題が生じる。燃焼室の内面に粉体が付着した場合、燃焼室内の気体の流れが変化して良好な燃焼や分解が行われなくなる虞があるため、付着した粉体を掻き落とすスクレーパを利用することが提案されている(例えば特許文献2参照)。
特許文献2に記載された技術では、スクレーパを回転させることで、燃焼室に付着する紛体の量を略一定に保持することができ、燃焼室内の気体の流れが安定し、排ガスの良好な燃焼、分解を実現することができる。しかし、燃焼室内の温度が高いため、スクレーパの消耗が激しくなり、交換の頻度が多くなるという問題が生じた。
特許文献2に記載されたスクレーパが有する上記問題を解決するために、スクレーパに冷却媒体を流通させて冷却することが提案されている(例えば特許文献3参照)。この技術では、スクレーパに冷却媒体を流通させて端部から放出することで、該スクレーパを冷却することができ、寿命の延長をはかることができる。
特許第2963792号公報 特開2003−343826号公報 特開2006−275307号公報
特許文献3に記載した排ガスの処理装置では、スクレーパの内部に冷却媒体を流通させることで、該スクレーパに対し効果的な冷却を実現することができ、その結果、寿命を増加させることができる。しかし、この技術であっても全く問題がないわけではなく、使用期間の増加に伴って変形し破断に至る虞がある。このため、より寿命を向上させたスクレーパを有する排ガスの処理装置の開発が要求されている。
本発明の目的は、燃焼室に配置するスクレーパの寿命をより増大させることができるようにした排ガスの処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る排ガスの処理装置は、排ガスを高温にして燃焼或いは分解して排気する排ガスの処理装置であって、一方の端部を閉鎖した筒体からなり、該一方の端部又は端部側に排ガスの供給口を設けると共に該排ガスの供給口から離隔した位置にバーナーを設け、他方の端部を開口させて排気し得るように構成された燃焼室と、前記燃焼室の一方の端部を貫通して回転可能に配置された軸と、該軸に取り付けられ前記燃焼室の内面に付着した付着物を掻き取る掻き取り部材と、を有するスクレーパと、前記燃焼室の一方の端部の外側に配置され、前記スクレーパの軸を回転可能に支持すると共に冷却媒体を供給する軸受部材と、を有し、前記スクレーパの掻き取り部材には略全長にわたって冷却媒体通路が形成され、且つ前記スクレーパの軸には前記掻き取り部材に形成された冷却媒体通路と連通した冷却媒体供給通路と該冷却媒体供給通路と連通した冷却媒体供給口が形成され、前記軸受部材には前記スクレーパの軸を嵌合したとき、該軸に形成された冷却媒体供給口と対応する部位にリング状の溝が形成されており、該溝を介して前記スクレーパに冷却媒体を供給し得るように構成したものである。
上記排ガスの処理装置に於いて、前記スクレーパの掻き取り部材は前記燃焼室の全長と略等しい長さを有しており、掻き取り部材の全長にわたって形成された冷却媒体通路は該掻き取り部材の自由端が開放されると共に、前記燃焼室に設けたバーナーと対向する位置に冷却媒体を噴射する噴射口が形成されていることが好ましい。
また、上記何れかの排ガスの処理装置に於いて、前記冷却媒体は、空気又は窒素を含む気体であることが好ましい。
本発明に係る排ガスの処理装置(以下単に「処理装置」という)では、燃焼室の一方の端部を貫通して設けた軸に掻き取り部材をとりつけて構成したスクレーパを有しており、軸はリング状に形成された溝を有する軸受部材に回転可能に支持され、掻き取り部材には全長にわたって冷却媒体通路が形成されており、且つ軸には前記冷却媒体通路と連通した冷却媒体供給通路が形成されているため、軸受部材の溝に供給された冷却媒体は、軸から掻き取り部材を通ってスクレーパを冷却することができる。
特に、軸受部材にリング状の溝を形成して該溝に冷却媒体を供給するため、軸の回転が軸受部材の溝に接続したホースや配管に影響を与えることがなく、円滑な冷却媒体の供給を実現することができる。
また、スクレーパの掻き取り部材が燃焼室の全長と略等しい長さを有し、掻き取り部材の全長にわたって形成された冷却媒体通路は該掻き取り部材の自由端が開放されると共に、燃焼室に設けたバーナーと対向する位置に冷却媒体を噴射する噴射口が形成されていることによって、バーナーと対向した最も過酷な部位を効率良く冷却することができる。
また、冷却媒体が空気又は窒素を含む気体であることで、入手がし易く且つ供給の制御が容易となる。
処理装置の全体構成を説明する模式図である。 燃焼室とスクレーパを説明する図である。 スクレーパの構成を説明する図である。 スクレーパの軸受部分の構成を説明する図である。 燃焼室に於けるスクレーパの停止位置を説明する図である。
以下、本発明に係る処理装置について説明する。本発明に係る処理装置は、半導体や液晶パネル等の製造工程から生成するシラン、ジシラン、ジボラン、ホスフィン、アルシンや、三フッ化窒素、フッ化水素、塩化水素、フッ化珪素、塩化珪素など毒性を持つ特殊材料ガス、或いは四フッ化炭素や六フッ化硫黄など地球環境に悪影響を与えるフロンガス等の排ガスを燃焼或いは分解させて除害して排出するものである。
本発明に係る処理装置は、一方の端部側に排ガスの供給口を設けると共に該排ガスの供給口から離隔した位置にバーナーを設け、他方の端部を開口させた燃焼室と、該燃焼室の内面に付着した付着物を掻き取る掻き取り部材を有するスクレーパと、スクレーパの軸を回転可能に支持すると共に冷却媒体を供給する軸受部材と、を有して構成される。このため、燃焼室に供給された排ガスを燃焼させ、或いは分解させた燃焼ガスを排気することが可能である。
スクレーパの掻き取り部材には略全長にわたって冷却媒体通路が形成されており、且つスクレーパの軸には掻き取り部材に形成された冷却媒体通路と連通した冷却媒体供給通路と該冷却媒体供給通路と連通した冷却媒体供給口が形成されている。また、軸受部材にはスクレーパの軸を嵌合したとき、該軸に形成された冷却媒体供給口と対応する部位にリング状の溝が形成されており、該溝を介してスクレーパに冷却媒体を供給し得るように構成されている。このため、スクレーパの軸及び掻き取り部材を冷却媒体によって冷却することが可能となり、交換頻度を軽減することが可能である。
燃焼室は、供給された排ガスを、バーナーの火炎によって燃焼或いは分解させ、生成した燃焼排ガスを排気するものである。このため、燃焼室の形状や容量、或いは燃焼室の姿勢は限定するものではなく、処理すべき排ガスの種類や量、及び処理装置の構成等の条件に対応させて適宜設計される。同様にバーナーの数や燃料ガスの性質も特に限定するものではなく、処理すべき排ガスの種類や量に対応させて適宜設定される。
特に、処理すべき排ガスに三フッ化窒素などが含まれている場合、処理温度を高温にすることが必要となり、燃焼室を高温に耐え得るような構造とすることが必要となる。このため、燃焼室の内周面に耐火材を敷設することによって、該燃焼室に充分な耐高温性を発揮させることが好ましい。耐火材の材料としては、特に限定するものではなく、高い耐火性を有すると共に良好な成形性を有するものであることが好ましい。
排ガスは半導体の製造設備や液晶パネルの製造設備から発生するものであり、該排ガスには多くの珪素成分が含まれ、燃焼室に於ける燃焼、分解に伴って酸化珪素としての固形物となる。この酸化珪素は生成した段階では微小な粉末からなる粉塵(以下「粉塵」という)であり、落下して滞留したときに強固な塊状になる。
燃焼排ガスに含まれる粉塵は燃焼室の内面に塊状に付着するものもあり、燃焼排ガスと共に排出されるものもある。特に、燃焼室の内面に塊状に付着した粉塵は該燃焼室内の気体の流れを阻害して良好な燃焼や分解に支障を来す虞があるため、燃焼室の内面に付着した粉塵の塊を掻き落とすためのスクレーパが設けられる。
スクレーパは、掻き落とし部材が燃焼室の内面に沿って周方向に移動し、この移動過程で内面に付着した粉塵の塊を掻き落とす。このため、スクレーパとしては前記機能を有するものであれば利用することが可能であり、内面に付着している粉塵の塊を掻き落とすのに充分な強度を有するものであれば良い。
燃焼室に供給される排ガスが熱分解温度の高い四フッ化炭素や六フッ化硫黄等を含むような場合、燃焼室内が高温となることから、スクレーパを構成する掻き落とし部材に、熱影響と付着した粉塵による損傷が生じる虞がある。このため、掻き落とし部材は耐熱性と高温域に於ける高い強度を有することが好ましい。
スクレーパを構成する軸には、冷却媒体供給口が形成されると共に該冷却媒体供給口から掻き落とし部材の冷却媒体通路に至る冷却媒体供給通路が形成されている。また、軸受部材には、軸の冷却媒体供給口に対応する位置にリング状の溝が形成されている。このため、軸受部材の溝に冷却媒体を供給すると、この冷却媒体は軸に形成された冷却媒体供給口、冷却媒体供給通路を介して冷却媒体通路に流通し、掻き落とし部材を冷却することが可能である。
冷却媒体としては特に限定するものではなく、スクレーパを効率的に冷却し得るものであれば利用することが可能である。このような冷却媒体として、空気や窒素ガス等の気体、或いは水や液体窒素等の液体を選択的に利用することが可能であるが、取扱いの容易さを考慮すると、エアコンプレッサによって供給することが可能な空気や、ボンベにより供給することが可能な窒素ガスであることが好ましい。
以下、本実施例に係る処理装置の全体構成について図1を用いて簡単に説明する。図に於いて、処理装置Aは、一方の端部側から供給された排ガスを分解、燃焼させる燃焼室1と、燃焼室1の内面に付着した粉塵を掻き落とすスクレーパ2と、スクレーパ2を回転可能に支持する軸受部材3と、燃焼室1から排出された燃焼ガスを排気する燃焼排ガス通路4と、夫々所定位置に配置された燃焼室1、燃焼排ガス通路4を一体化して納める筐体5と、を有して構成されている。
燃焼室1は、図示しない半導体の製造設備や液晶パネルの製造設備から排出された除害すべき排ガスを燃焼させ、或いは熱分解させて無害化するものであり、一方側の端部1aは閉鎖され、他方の端部1bは開口して燃焼排ガス通路4に連結されている。燃焼室1は円筒状の筒体を横方向に設置した形状を有しており、内周面には全面にわたって耐火材が敷設されている。しかし、燃焼室1の設置方向は本実施例のような横方向にのみ限定するものではなく、縦方向に設置して燃焼排ガスの流れの方向が上方から下方となるものであっても良い。
燃焼室1の端部1a側には処理すべき排ガスが供給される排ガス供給配管7が接続されている。しかし、排ガス供給配管7の燃焼室1の端部1a側に於ける位置は限定するものではなく、閉塞された端部1aを貫通するように接続されていても良く、本実施例のように、端部1aから離隔した位置に接続されていても良い。
バーナー8は燃焼室1に対する排ガス供給配管7の接続位置よりも端部1b側(排ガスの供給方向下流側)に設けられており、燃料ガス供給配管8aが接続されている。燃焼室1に設けるバーナー8の数は限定するものではなく、1又は複数であって良い。特に、複数のバーナー8を設ける場合、所定数のバーナー8を同一円周上に配置するか、燃焼室1の軸方向にずらして配置するかも限定するものではない。燃焼室1に設けるべきバーナー8の数や配置位置等は、除害すべき排ガスの性質(例えば、排ガスを除害するのに必要な温度)に対応させて適宜設定することが必要である。
本実施例では、図5に示すように、燃焼室1の円周上に5つのバーナー8を配置している。各バーナー8は燃焼室1の中心を指向することなく、夫々が異なる角度で燃焼室1の周壁1cに配置されている。このため、バーナー8による火炎は、燃焼室1の内部で渦巻状に形成される。
燃焼室1の端部1bに接続された燃焼排ガス通路4は縦方向の煙道を構成している。燃焼排ガス4の下端4aは筐体5内で開口し、上端4bは図示しない水スクラバ及び吸引装置に接続されている。そして、吸引装置を作動させるのに伴って、燃焼排ガス通路4には負圧が作用し、燃焼室1の内部及び筐体5の内部を吸引し得るように構成されている。
燃焼室1には後述するように構成されたスクレーパ2が配置されており、該スクレーパ2は駆動装置6によって駆動され、燃焼室1の周壁1cの内面に付着した粉塵を掻き落としている。駆動装置6は、モータ6aと、モータ6aの回転を伝動するチェーン6bと、スクレーパ2の軸2cに取り付けられチェーン6bと噛合するスプロケットホイール6cと、を有して構成されている。
また、スクレーパ2を常時駆動するか完結的に駆動するかは限定するものではなく、燃焼室1に付着する粉塵の量等の条件に対応させて適宜設定することが好ましい。
筐体5は気密性を有する箱体として構成されており、所定位置(本実施例では天井)に空気を取り入れるための吸引口5aが形成されている。また、筐体5には、燃焼室1、排ガス供給配管7、燃焼排ガス通路4、駆動装置6及び図示しない必要な機器類が配置されており、夫々安定した状態で支持されている。
尚、図に於いて、9aは燃焼室1に於けるバーナー8と端部1bの間に配置された温度センサであり、燃焼室1の内部温度を検出して図示しない表示部に表示している。また、9bは排ガス供給配管7に配置された温度センサであり、該排ガス供給配管7の内部温度を検出して図示しない表示部に表示している。また、9cは燃焼排ガス通路4に配置された温度センサであり、該燃焼排ガス通路4の内部温度を検出して図示しない表示部に表示している。
次にスクレーパ2と軸受部材3の構成について図2〜図5により説明する。スクレーパ2は、燃焼室1が円筒状に形成されることから、周壁1cの内面に沿って回転し、該回転に伴って付着した粉塵を掻き落とすように構成されている
スクレーパ2は、燃焼室1の長さと略等しい長さを持った掻き取り部材2aと、掻き取り部材2aの一方側の端部に接続された支持部材2bと、支持部材2bの所定位置に接続されスクレーパ2の回転中心となる軸2cと、支持部材2bに沿って取り付けられた補強部材2dとを有して構成されている。
スクレーパ2は、掻き取り部材2aが燃焼室1の内部に配置されると共に、軸2cが燃焼室1の閉塞された端部1aを貫通して配置され、軸受部材3に回転可能に支持されている。また、軸2cの軸受部材3から突出した端部にはスプロケットホイール6cが取り付けられている。そして、軸2cにスプロケットホイール6c、チェーン6bを介してモータ6aの回転が伝達されることで、掻き取り部材2aが燃焼室1の周壁1cの内面に沿って回転し得るように構成されている。
掻き取り部材2aには長手方向の全長にわたって冷却媒体通路11が形成されており、該冷却媒体通路11は支持部材2bにも連続して形成されている。この冷却媒体通路11は、掻き取り部材2aの自由端(支持部材2bとは反対側の端部)に開口11aが形成されている。また、スクレーパ2を燃焼室1に設置したとき、掻き取り部材2aに於けるバーナー8と対向する位置には、冷却媒体通路11と連通する複数の噴射口11bが形成されている。
このため、冷却媒体通路11に供給された冷却媒体は該冷却媒体通路11を流通する過程で掻き取り部材2aを冷却し、開口11aから燃焼排ガス通路4に放出されてバーナー8からの輻射を軽減し、同時に噴射口11bから燃焼室1の内部に放出される。
前述したように掻き取り部材2aは燃焼室1の壁面1cに付着した粉塵を掻き落とす機能を有する。特に、掻き取り部材2aは高温に曝された状態で動作し、且つ壁面1cに対し強固に固まった状態で付着した粉塵を掻き落とすため、高い曲げ強度を有することが必要となる。
このため、本実施例に於いて、掻き取り部材2aは断面が四角形に形成されており、冷却媒体通路11は扁平な四角形に形成されている。この掻き取り部材2aは、厚さの異なる2種類のバー材2a1、2a2を長手方向に溶接することによって構成されている。即ち、薄いバー材2a1の一方の面に長手方向の溝を形成して他方の面から該溝に連通する複数の噴射口11bを形成し、該バー材2a1を燃焼室1の中心側に、厚いバー材2a2を燃焼室1の壁面1c側に配置して両者を接合して溶接することで、掻き取り部材2aを構成している。そして、バー材2a1に形成した溝によって、冷却媒体通路11が形成されている。
特に、掻き取り部材2aは高温となる燃焼室1に配置された状態で回転するため、補強部材2dによる補強がされていない自由端側が、燃焼室1の周壁1c側に変形するような虞がある。このため、掻き取り部材2aのバー材2a2の周壁1cと対向する面は、自由端から補強部材2dにかけて斜面2eが形成されている。斜面2eの傾斜角度は、掻き取り部材2aを構成する材質や、燃焼室1に想定された温度等の条件に対応させて適宜設定することが好ましい。
スクレーパ2を構成する軸2cには、掻き取り部材2a、支持部材2bに形成された冷却媒体通路11と連通する冷却媒体供給路12が形成されている。また、軸2cの所定位置には、該軸2cを太さ方向に貫通して冷却媒体供給路12と連通する冷却媒体供給口12aが形成されている。従って、冷却媒体供給口12aは冷却媒体供給路12を介して冷却媒体通路11と連通し、供給された冷却媒体を軸2c、支持部材2b、掻き取り部材2aを通して開口11a、噴射口11bから放出することが可能となる。
また、軸2cには掻き取り部材2aと同じ方向にキー溝2fが形成されており、該キー溝2fに嵌合させたキー13を介してスプロケットホイール6cが取り付けられている。
軸受部材3は、スクレーパ2を構成する軸2cを回転可能に支持すると共に、該軸2cを介して冷却媒体を供給する機能を有する。このため、軸受部材3は、燃焼室1に設けたブラケット15に取り付けられ軸2cを遊嵌する孔16aが形成されたハウジング16と、ハウジング16の孔16aの両端に対応する部位に配置され軸2cを嵌合して回転可能に支持する軸受3aと、を有して構成されている。
ハウジング16には、孔16aにスクレーパ2の軸2cを嵌合したとき、該軸2cに形成された冷却媒体供給口12aと対応する位置にリング状の溝16bが形成されおり、該溝16bを挟んで両側にOリング17が配置されている。また、ハウジング16の溝16bと対応する位置には冷却媒体供給用の配管18(図1参照)が取り付けられており、該配管18が溝16bと連通して冷却媒体を供給し得るように構成されている。
従って、上記の如く構成された軸受部材3では、スクレーパ2の軸2cを軸受3a、ハウジング16の孔16aに嵌合させると共に、キー13を介してスプロケットホイール6cを取り付けたとき、溝16bに冷却媒体供給口12aが開口する。この状態で配管18からハウジング16の溝16bに冷却媒体を供給すると、供給された冷却媒体はスクレーパ2の軸2cに形成された冷却媒体供給口12aを介して冷却媒体供給路12に供給される。特に、軸2cと孔16aとの間隙はOリング17によってシールされるため、溝16bに供給された冷却媒体の漏洩を防ぐことが可能である。
尚、冷却媒体としてどのようなものを使用するかは限定するものではないが、本実施例では、加圧空気を利用している。このため、配管18は図示しない圧力調整器を介してエアコンプレッサに接続されている。
また、駆動装置6のモータ6aを駆動したとき、該モータ6aの回転がチェーン6b、スプロケットホイール6cを介してスクレーパ2の軸2cに伝えられ、該スクレーパ2を回転させることが可能である。このとき、ハウジング16が燃焼室1に設けたブラケット15に強固に固定されているため、スクレーパ2の安定した回転を実現することが可能である。
処理装置Aの稼働中、スクレーパ2を常時回転させる場合、掻き取り部材2aはバーナー8の火炎を横断するようになり、火炎の影響を集中して受けることはない。しかし、スクレーパ2を間欠的な停止、回転を繰り返すように運転する場合、掻き取り部材2aの停止位置によってはバーナー8の火炎が直接作用して集中した影響を受ける虞がある。
このため、スクレーパ2の停止位置を、掻き取り部材2aがバーナー8に対向することのない位置に設定することが好ましい。
本実施例では、燃焼室1に配置されたバーナー8の位置を考慮して、スクレーパ2の軸2cに形成されたキー溝2fと軸2cに取り付けた掻き取り部材2aとがなす角を設定している。そして、キー溝2f(キー13)が特定の回転位置に到達したことを認識してモータ6aを停止させることで、掻き取り部材2aをバーナー8と対向することのない位置で停止させるように構成している。
例えば、図5に示すように、燃焼室1に5つのバーナー8が配置されており、バーナー8の火炎による影響の最も少ない位置が水平軸から右下に15度の位置である場合、スクレーパ2の軸2cに形成されたキー溝2fに対し、軸2c側からみて掻き取り部材2aを右75度に設定してスクレーパ2を構成する。そして、軸受部材3に支持された軸2cのキー溝2fが真下にある状態を、スクレーパ2の停止位置とすることで、掻き取り部材2aに対するバーナー8による火炎の影響を最小限に抑えることが可能である。
スクレーパ2の軸2cに形成されたキー溝2fが真下にあることを検出する手段は特に限定するものではなく、キー溝2fに取り付けたキー13と接触して信号を発生するリミットスイッチを含む接触センサ、キー13と接触することなく該キー13を検出して信号を発生する近接スイッチや光電管スイッチを含む非接触センサ等のセンサを選択的に用いることが可能である。また、スクレーパ2の回転を検出する対象は必ずしもキー13である必要はなく、軸2cの回転が同期して伝えられるものであれば良い。
また、上記センサとカウンタ及び駆動装置6の作動を開始させるスイッチとを組み合わせることで、1サイクル当たりのスクレーパ2の回転数を設定することも可能である。そして、スイッチを操作してスクレーパ2の回転を開始させ、この回転が予め設定された数に到達したとき、掻き取り部材2aがバーナー8による影響を最も少なく受ける位置にある状態でスクレーパ2を停止させることが可能である。
次に、上記の如く構成された処理装置Aによる排ガスの除害操作について簡単に説明する。先ず、燃焼排ガス通路4に接続された吸引装置を作動させる。吸引装置の作動開始に伴って、燃焼排ガス通路4、燃焼室1、筐体5に負圧が作用し、図1に示すように、筐体5の吸引口5aから空気が吸引されて矢印a方向に流れ、燃焼排ガス通路4の下端4aから矢印c方向に流れる。
また、配管18からハウジング16の溝16bに冷却媒体となる加圧空気を供給すると、供給された加圧空気は溝16bからスクレーパ2の軸2cに形成された冷却媒体供給口12a、冷却媒体供給路12を介して掻き取り部材2aに形成された冷却媒体通路11に流れ、一部は噴射口11bから燃焼室1の内部に噴射され、他は開口11aから燃焼排ガス通路4に放出される。そして、スクレーパ2の掻き取り部材2a、支持部材2bは冷却媒体通路11を流れる加圧空気によって冷却される。
更に、燃料ガス供給配管8aからバーナー8に燃料ガスを供給して点火し、火炎を形成する。このとき、スクレーパ2が停止していても、掻き取り部材2aはバーナー8から受ける影響が最も少ない位置にあり、且つ加圧空気によって冷却されているため、消耗を軽減することが可能となる。
排ガスは、排ガス供給配管7から矢印b方向に流れて燃焼室1に供給される。燃焼室1に供給された排ガスは、バーナー8の火炎によって燃焼或いは分解されて燃焼排ガスとなり、燃焼排ガス通路4に吸引されて下端4aから流れ込んだ空気と混合して冷却され、矢印c方向に流れた後、大気に放出される。
排ガスに含まれた粉塵成分は、排ガスが燃焼室1内で燃焼、分解する過程で多くが落下する。落下した粉塵はスクレーパ2の掻き取り部材2aによって燃焼室1の周壁1cから掻き取られ、燃焼排ガス通路4に流れ込んで矢印c方向に排出される。
処理装置Aの稼働時間が増加し、スクレーパ2の掻き取り部材2aの温度が上昇して自由端側が燃焼室1の周壁1c方向に向けて変形しても、予め斜面2eが形成されているため、周壁1cに接触することがない。
本発明に係る排ガスの処理装置は、半導体の製造工程から排出される排ガスや、液晶パネルの製造工程から排出される排ガスを除害する際に利用して有利である。
A 処理装置
1 燃焼室
1a、1b 端部
1c 周壁
2 スクレーパ
2a 掻き取り部材
2a1、2a2 バー材
2b 支持部材
2c 軸
2d 補強部材
2e 斜面
2f キー溝
3 軸受部材
3a 軸受
4 燃焼排ガス通路
4a 下端
4b 上端
5 筐体
5a 吸引口
6 駆動装置
6a モータ
6b チェーン
6c スプロケットホイール
7 排ガス供給配管
8 バーナー
8a 燃料ガス供給配管
9a〜9c 温度センサ
11 冷却媒体通路
11a 開口
11b 噴射口
12 冷却媒体供給路
12a 冷却媒体供給口
13 キー
15 ブラケット
16 ハウジング
16a 孔
16b 溝
17 Oリング
18 配管

Claims (3)

  1. 排ガスを高温にして燃焼或いは分解して排気する排ガスの処理装置であって、
    一方の端部を閉鎖した筒体からなり、該一方の端部又は端部側に排ガスの供給口を設けると共に該排ガスの供給口から離隔した位置にバーナーを設け、他方の端部を開口させて排気し得るように構成された燃焼室と、
    前記燃焼室の一方の端部を貫通して回転可能に配置された軸と、該軸に取り付けられ前記燃焼室の内面に付着した付着物を掻き取る掻き取り部材と、を有するスクレーパと、
    前記燃焼室の一方の端部の外側に配置され、前記スクレーパの軸を回転可能に支持すると共に冷却媒体を供給する軸受部材と、を有し、
    前記スクレーパの掻き取り部材には略全長にわたって冷却媒体通路が形成され、且つ前記スクレーパの軸には前記掻き取り部材に形成された冷却媒体通路と連通した冷却媒体供給通路と該冷却媒体供給通路と連通した冷却媒体供給口が形成され、
    前記軸受部材には前記スクレーパの軸を嵌合したとき、該軸に形成された冷却媒体供給口と対応する部位にリング状の溝が形成されており、該溝を介して前記スクレーパに冷却媒体を供給し得るように構成したことを特徴とする排ガスの処理装置。
  2. 前記スクレーパの掻き取り部材は前記燃焼室の全長と略等しい長さを有しており、掻き取り部材の全長にわたって形成された冷却媒体通路は該掻き取り部材の自由端が開放されると共に、前記燃焼室に設けたバーナーと対向する位置に冷却媒体を噴射する噴射口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載した排ガスの処理装置。
  3. 前記冷却媒体は、空気又は窒素を含む気体であることを特徴とする請求項1又は2に記載した排ガスの処理装置。
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