JP2014205905A - 導電性材料の製造方法及び導電性材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着剤による銅箔接合によらず、真空設備を用いずに、基材上に、特定の樹脂層を形成して、当該樹脂層上への塗工均一性を確保し、塗布形成した金属微粒子を含有する層を、不均一な導電性膜への変換を行う必要がなく、より簡便、かつ信頼性の高い方法で、絶縁体基材上に充分な密着強度により導電性層が積層されてなる、導電性材料の製造方法を提供する。【解決手段】絶縁性基材1上に、樹脂層形成用組成物を塗布して樹脂層2を形成する工程、樹脂層上にN、S、P又はOを有する化合物で保護されてなる金属微粒子を0.5質量%以上含有する分散液を塗布し、非導電性層3’を形成する工程、非導電性層を有する基材に無電解めっきを行い、導電層4を形成する工程、を有する導電性材料の製造方法であって、樹脂層形成用組成物が、ビニル樹脂と水性媒体を含有する樹脂層形成用組成物である導電性材料を製造する。【選択図】図6

Description

本発明は、プリント配線板用積層基材として好適に用いることができる導電性材料の製造方法に関する。また本発明は、当該製造方法を用いて製造された導電性材料に関する。
プリント配線板用積層基材は、低誘電率の材料と導電性の薄層が積層された構造の材料である。従来、例えば、フレキシブル銅付積層板(FCCL)は、耐熱性高分子フィルムと銅箔とをエポキシ樹脂系の接着剤を用いて接合する方法や、銅箔面上に樹脂の溶液をコートして乾燥させるなどの方法を用いて製造されてきた。
近年では、電子機器の小型化、高速化により、プリント配線基板の高密度化、高性能化が要求されており、この要求に応えるためには、表面が平滑で充分に薄い導電層(銅箔層)を有するプリント配線基板が求められている。
しかしながら、エポキシ樹脂系接着剤を用いる方法では、耐熱性が低く、絶縁信頼性にも劣るという欠点があった。また、前記の銅箔を用いる製造方法では、ロール状に巻かれた銅箔を引き出しながら製造が行われることから、取り扱い上の困難さを伴うため、銅箔を充分薄くすることができず、また、高分子フィルムとの密着性を高めるために、銅箔の表面を粗化することが必要であり、プリント配線板の高密度化、高性能化、即ち、高周波数(GHz帯域)、高伝送速度(数十Gbps)領域での伝送損失を抑えるという要求に充分応えることができていない。
そこで、プリント配線板の高性能化の要求に対して、例えば、接着剤による銅箔の接合によらず高分子フィルム上に銅薄
層を積層した銅薄膜基板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この銅薄膜基板の製造方法は、スパッタリング法を用いて、耐熱性絶縁基材表面に第一層の銅薄膜層を設け、この第一層の上に、電気めっきによる銅厚膜層を形成させるものである。
前記特許文献1に記載の銅薄膜基板は、銅箔層を薄くできることから、プリント配線板の高密度化、高性能化の要求に応えるものであるが、真空設備を必要とするスパッタリングという方法を用いることから、工程が煩雑で高コストであること、設備上、基材サイズが限定されるなどの問題があった。
そこで、製造に真空設備を必要とせず、かつ、接着剤による銅箔の接合を用いず、導電層(銅箔層)を充分薄くすることが可能なプリント配線板用積層基材の製造法として、絶縁性の基材上に金属微粒子を塗布製膜し、加熱焼成することによって金属の導電層を形成させ、これの上に、めっきを行うことによって必要な厚さの導電銅箔層を得る方法が開示されている(例えば、特許文献2〜3参照)。
前記特許文献2では、(1)加熱処理によって互いに融着する、一次粒径が200nm以下の金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を絶縁基板上に塗布し、加熱処理することによって金属薄膜を形成し導電層を形成する工程と、(2)前記金属薄膜上に電解めっきを行って金属膜を形成する工程を含む積層基板の製造方法が開示されている。
また、前記特許文献3には、絶縁性基材上に第1導電層と、その上に形成された第2導電層を有し、前記第1導電層が1−500nmの金属粒子を含む導電性インクの塗布層として構成され、前記第2導電層がめっき層として構成されていることを特徴とするプリント配線板用基板と、その製造方法が開示されている。
これらの方法では、絶縁性基材上に導電性金属層を形成し、電気めっきを行うことにより、真空設備を用いることなく、適切な膜厚の導電膜層を得ることができる点で優れているが、電解めっきを実施するためには、面内均一性が高く、充分な導電性を有する導電性金属膜を形成しておく必要がある。しかしながら、通常、導電性材料に用いられる絶縁性基材の表面は、必ずしも塗工性に優れているとは言えず、しばしば、塗工分散液やインクをはじいて微小な「抜け」ができたり、塗工ムラを生じたりすることがある。この様な「抜け」や「ムラ」があると、充分な導電性を有する均一な導電層を形成することは困難で、後段のめっき工程において、めっき不良や、めっき膜厚が不均一になるなど、実用的な課題が残されている。
また、この様にして形成した導電層の導電性としては、例えば、前記特許文献2に、この目的で用いられる金属薄膜に必要な体積抵抗値として、1×10―4Ωcm以下、より好ましくは、1×10−5Ωcm以下であることが推奨されている。この様な低い抵抗率を示す導電層を形成するためには、絶縁性基材上に「抜け」(基材上で塗液が「はじく」などの理由で、目視、もしくは一般の光学顕微鏡で確認できるレベルの面積で、基材上に塗布材料が存在しない領域が形成されること)や「ムラ」が無く塗工が行われ、塗布された、導電性インクや金属膜前駆体微粒子分散体中に含まれる分散剤、及びその他の有機物を、加熱することにより揮発、分解させて塗布層から除去し、粒子同士が充分融着した状態としなければならない。
しかしながら、これら微小な金属粒子および金属薄膜前駆体粒子の分散液を塗布した塗膜を加熱焼成して導電性膜を形成した場合、粒子間の空隙を完全に埋めることは難しく、内部に多くの空隙を残した金属薄膜となる。また、融着と粒子成長によって膜中の粒子形状が変化し、一部では粒子間が連結しているものの、膜全体としては、被覆密度が低下する現象がしばしば認められる。この結果として充分な導電性が発現せず、めっきが行えない場合や、行えても非常に長時間を要する、また、部分的な非導通部の発生による電気めっき不良、めっきの不均一性が起こるなどの問題があった。また、このように、部分的に被覆密度が低く、空隙が多い金属薄膜では、その空隙部が破壊起点になって、絶縁体基材から導電層が剥離する等の問題があった。
この問題への対策として、前記特許文献3では、絶縁体基材上に形成する第一導電層内の空隙を、無電解金属めっきにより充填することで、導通不良の解消や剥離の原因となる破壊起点の低減を行うことを提案しているが、加熱焼成によって融着させた導電性膜中の空隙は、しばしば、膜内部に孤立空間として存在しており、薬液が浸透しないため、無電解めっき後も空隙のまま存在することがあり、充分な解決法とは言えない。
また、無電解めっき用の触媒としては、通常、パラジウムが用いられているが、触媒金属として高価なパラジウムを用いると、無電解めっき処理工程のコストが大きくなることに加えて、加熱焼成によって形成した導電層の空隙を、パラジウム触媒を用いる無電解めっきにより充填すると、パラジウムが導電層内にランダムに取り込まれた状態となり、後のエッチング工程においてパラジウムの除去が充分に行えず、回路基板特性を低下させる原因となるなどの問題があった。
そこで、パラジウムを用いない、安価な無電解めっき用触媒として、例えば、銀塩を触媒として用いる方法が提供されている(例えば、特許文献4参照)。この方法は、銀塩と界面活性剤とを含有する水溶液に、銀塩に対して2〜4倍モルの還元剤を添加して銀ヒドロゾルを形成し、これを被めっき物と接触させて、銀コロイドを付与して、無電解めっきを行う方法である。しかしながら、この方法では、多量の還元剤が必要であり、生産コストが高く、しかも形成される銀ヒドロゾルの安定性が低く、凝集沈殿が発生しやすいという欠点があった。またこの文献に開示されている方法では、被めっき物として紙や不織布などの繊維組成物、ガラス、セラミックス、及びプラスティックスが例示されてはいるが、実質的には被めっき物として紙や布などの「多孔性材料」のみが用いられ、触媒が被めっき物の多孔構造内に「引っ掛かる」ことを利用して触媒付与を行っており、平滑な表面を有する基材上や、基材全面に均一な触媒付与を行う場合は、前記特許文献4で開示された方法を適用するのは困難である。
また、銀塩0.01〜100mmol/L、陰イオン界面活性剤0.01〜0.5wt.%、及び銀塩に対して0.1〜0.8倍モルの還元剤を含む無電解めっき用触媒液が記載されており(例えば、特許文献5参照)、この触媒液は、銀塩に対して0.1〜0.8倍モルと、前記特許文献4と比較して少ない還元剤量の触媒液で、安定性が良好であるとされている。
これら特許文献4、5に記載の方法では、銀コロイドの希薄分散液中に被めっき物を浸漬し、主として銀コロイドと被めっき物表面の静電的な相互作用によって、銀コロイドを被めっき物表面に付着させ、無電解めっきの触媒として利用するものであり、銀コロイドの付着量は浸漬時間によって制御されることになるが、被めっき物上に付着する触媒濃度が充分でなく、さらに、プリント配線板用積層基材などの大きな面積の基材への適用には、大きな浸漬槽で長時間をかけて行う必要があるため、実用上困難であった。また、このような液中で自然吸着させる方法では、銀コロイドの被めっき物への吸着性が低いために、銀コロイド触媒付与後の水洗工程や無電解めっき中に、被めっき物から触媒物質(銀コロイド)が脱落しやすく、めっき析出が不均一になる、めっき液を汚染することによるめっき浴の分解促進が起こる等の問題があった。これらの文献では、被めっき物上に銀コロイドを塗布して触媒付与する可能性にも言及されているが、開示されている様な低濃度の銀コロイドでは、塗布によって被めっき物上に充分な量の銀コロイドを付与することができず、被めっき物上に均一なめっきを施すことができない、また、開示された銀コロイドを濃縮すると、凝集が起こり、塗布製膜を行うことができないという問題があった。
特開平09−136378号公報 特開2006−305914号公報 特開2010−272837号公報 特開昭64−068478号公報 特開平10−030188号公報
本発明は、上記、従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、接着剤による銅箔接合によらず、真空設備を用いずに、適切な厚さの導電層を有する導電性材料の製造方法を提供することである。より詳しくは、基材上に、特定の化学構造を有する樹脂層を形成して、当該樹脂層上への塗工均一性を確保し、塗布形成した金属微粒子を含有する層を、不均一な導電性膜への変換を行う必要がなく、また、パラジウム触媒による特性低下の心配がない、より簡便、かつ信頼性の高い方法で、絶縁体基材上に充分な密着強度により導電性層が積層されてなる、導電性材料の製造方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、当該製造方法を用いて製造された、プリント配線板用積層基材として好適に用いることができる導電性材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、各種の絶縁性基材上に特定の樹脂層を形成させ、その樹脂層上に、特定の化合物で保護されてなる金、銀、銅、白金を含有する金属微粒子を含有する非導電性の層が、塗布法によって容易に得られること、また、前記非導電性層が優れた無電解めっきの触媒活性を示し、かつ、強い密着性を誘起するめっき膜の足場として機能することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)絶縁性基材(A)上に、樹脂層形成用組成物(b)を塗布して樹脂層(B)を形成する工程、
(2)(1)で得られた樹脂層(B)上に窒素原子、硫黄原子、リン原子又は酸素原子を有する化合物(c1)で保護されてなる金、銀、銅及び白金からなる群から選ばれる1種以上の金属微粒子(c2)を0.5質量%以上含有する分散液(C)を塗布し、非導電性層(D)を形成する工程、
(3)(2)で得られた非導電性層(D)を有する基材に無電解めっきを行い、導電層(E)を形成する工程
を有することを特徴とする導電性材料の製造方法であって、
前記樹脂層形成用組成物(b)が、ビニル樹脂(x)と、水性媒体(y)と、必要に応じて、水溶性樹脂(z1)及び充填材(z2)からなる群より選ばれる1種以上の成分(z)とを含有するものであり、前記ビニル樹脂(x)が水性媒体(y)に分散し、かつ、前記ビニル樹脂(x)の全量に対する前記成分(z)の含有量が0質量%〜15質量%であることを特徴とする導電性材料の製造方法、及び当該方法で得られる導電性材料を提供するものである。
本発明によれば、高密度実装分野で利用しうる、高性能の導電性材料、プリント配線基板用基板、プリント配線板を、真空設備を必要とせず、低コストで製造することができる。
絶縁性基材(A)上に、樹脂層(B)を形成した基材の一形態断面を表す模式図である。 図1の基材上に非導電性層(D)を形成した基材の一形態断面を表す模式図である。 図2の基材上に非導電性層(D)を形成した基材の一形態断面を表す模式図である。 図2の基材に無電解めっきで導電層(E)を形成した導電性材料の一形態断面を表す模式図である。 図3の基材上に無電解めっきで導電層(E)を形成した導電性材料の一形態断面を表す模式図 図4の導電層(E)上に電気めっきで導電層(F)を形成した導電性材料、プリント配線板用積層基材の一形態断面を表す模式図である。 図5の導電層(E)上に電気めっきで導電層(F)を形成した導電性材料、プリント配線板用積層基材の一形態断面を表す模式図である。 実施例2において、ポリイミドフィルム上に作製した樹脂層上に形成した銀粒子膜を150℃で30分焼成した後の膜表面の電子顕微鏡写真である。 表面被覆率算出のために白黒2値化を行った、実施例2において、ポリイミドフィルム上に作製した樹脂層上に形成した銀粒子膜を150℃で30分焼成した後の膜表面の電子顕微鏡写真である(図8の電子顕微鏡写真を白黒2値化)。 実施例1において、樹脂層上に非導電性層を形成した表面の外観写真(A)、及び比較例1において、ポリイミド上に銀微粒子を塗布した表面の外観写真(B)である(スケール単位:cm)。写真(A)の陰影は、塗膜表面が鏡面であることによる写り込み。 実施例22において、ポリイミドフィルム上に作製した樹脂層上に形成した銀粒子膜を270℃で30分焼成した後の膜表面の電子顕微鏡写真である。 表面被覆率算出のために白黒2値化を行った、実施例22において、ポリイミドフィルム上に作製した樹脂層上に形成した銀粒子膜を270℃で30分焼成した後の膜表面の電子顕微鏡写真である(図11の電子顕微鏡写真を白黒2値化)。 比較例6において、ポリイミド上に分散液(c)−3を塗布した表面の外観写真である。
以下に本発明を詳細に説明する。
<絶縁性基材(A)>
本発明において用いる絶縁性基材(A)としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリマーなどのポリエステル樹脂、ポリエステルアミド樹脂、シクロオレフィンポリマー、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスエポキシ、ABS樹脂、ガラス、セラミックスなどの素材を好適に用いることができ、フレキシブル材、リジッド材、リジッドフレキシブル材のいずれの形態にも対応可能である。これら絶縁性基材(A)は、薄いものはフィルムとして、また、厚いものはシートや板として用いることができる。
フレキシブル基板用途には、前記ポリイミド、ポリエステル樹脂のフィルムを用いることができ、ポリイミド樹脂としては、例えば、カプトン(東レ・デュポン)、ユーピレックス(宇部興産)、アピカル(カネカ)、ポミラン(荒川化学)などのフィルムを好適に用いることができる。また、ポリエステル樹脂として、液晶ポリマーのベクスターシリーズ(クラレ)を好適に用いることができる。また、これらのフィルムは、一定の大きさにカットされた状態で用いても良いし、連続したフィルム状態で用いても良い。
これら、本発明において用いる絶縁性基材(A)は、その表裏面を接続する貫通孔を有していても良い。貫通孔は、ドリル、パンチャー、レーザーなど公知慣用の方法によって形成することができる。
本発明で用いる絶縁性基材(A)は、絶縁性基材(A)と樹脂層(B)、さらに後の工程で形成される非導電性層(D)、およびめっき膜との密着性を向上させる目的で、後述する金属微粒子の分散液(C)を塗工する前に、表面処理を行っても良い。絶縁性基材(A)の表面処理方法としては、種々の方法を適宜選択すれば良いが、例えば、UV処理、オゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理などの物理的方法を好適に用いることができる。また、絶縁性基材(A)がポリイミド樹脂である場合には、ポリイミド樹脂の基材表面をアルカリ水溶液で処理する化学的方法を用いても良い。絶縁性基材(A)がポリエステル樹脂の場合には、ポリエステル樹脂の表面をUV処理、コロナ処理、オゾン処理、もしくはプラズマ処理しておくことが好ましい。これらの表面処理方法は、単独で行っても良いし、複数の方法を続けて行っても良い。
<樹脂層形成用組成物(b)>
本発明で用いる樹脂層形成用組成物(b)は、ビニル樹脂(x)と、水性媒体(y)と、必要に応じて水溶性樹脂(z1)及び充填材(z2)からなる群より選ばれる1種以上の成分(z)とを含有するものであって、前記ビニル樹脂(x)が水性媒体(y)に分散し、かつ、前記ビニル樹脂(x)の全量に対する前記成分(z)の含有量が0質量%〜15質量%であることを特徴とするものである。
前記樹脂層形成用組成物(b)に含まれる前記ビニル樹脂(x)は、(メタ)アクリル単量体やオレフィン等の重合性不飽和二重結合を有する単量体を重合して得られるものである。ここで「(メタ)アクリル」の表記は、アクリル及びメタクリルの一方または両方を指すものである。
前記ビニル樹脂(x)としては、重量平均分子量10万以上で、かつ、酸価10〜80であると、後述する、金属微粒子の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒が、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒、水を含まない有機溶媒のいずれであっても、「抜け」や、ムラを生じることがなく、優れた塗布性を容易に示すので好適である。
前記酸価としては、より一層優れた耐湿熱性を付与する観点から、10〜75の範囲であることが好ましく、15〜70の範囲であることがより好ましく、25〜70の範囲であることがさらに好ましく、35〜70の範囲であることが特に好ましい。
前記ビニル樹脂(x)の有する酸価は、ビニル樹脂(x)に良好な水分散性を付与することを目的として導入されうるアニオン性基等の親水性基や、後述する架橋性官能基に由来するものである。具体的には、もっぱらカルボキシル基、スルホン酸基、カルボキシレート基、スルホネート基等のアニオン性基に由来するものであることが好ましく、カルボキシル基またはカルボキシレート基に由来するものであることが好ましい。
前記カルボキシル基やスルホン酸基は、その一部または全部が、水酸化カリウムや水酸化カリウム等の塩基性金属化合物や、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン等の塩基性化合物により中和されることによって、カルボキシレート基やスルホネート基を形成していてもよいが、中和されていなくてもよい。前記金属塩化合物は、通電性を阻害しうる場合があるため、前記有機アミンやアルカノールアミンを使用することが好ましい。
前記ビニル樹脂(x)は、前記カルボキシル基等を、良好な水分散性や架橋性等を考慮した範囲で有していてもよいが、それらに由来する酸価が10〜80の範囲内となるよう調整することが好ましい。
また、前記ビニル樹脂(x)としては、後述する、金属微粒子(c2)の分散液(C)の良好な塗布性、樹脂層(B)上に非導電性層(D)を形成した状態における耐水性と耐湿熱性とを確保するうえで、10万以上の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、100万以上の重量平均分子量を有するビニル樹脂を使用することが更に好ましい。なお、本発明において、「塗布性が良い」とは、金属微粒子(c2)の分散液(C)を塗布する際、「抜け」やムラの発生が抑制された良好な非導電性層(D)が形成されることを示す。
前記ビニル樹脂(x)の重量平均分子量の上限値としては、特に限定されないが、概ね1000万以下であることが好ましく、500万以下であることが、後述する、金属微粒子(c2)の分散液(C)の塗布性を確保する観点から好ましい。
前記ビニル樹脂(x)の重量平均分子量の測定は、通常、前記ビニル樹脂(x)80mgとテトラヒドロフラン20mlを混合し12時間攪拌したものを測定試料として用い、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC法)によって行うことができる。測定装置としては、東ソー株式会社製高速液体クロマトグラフHLC−8220型、カラムとしては東ソー株式会社製TSKgelGMH XL×4カラム、溶離液としてはテトラヒドロフラン、検出器としてはRI検出器を使用することができる。
しかし、前記ビニル樹脂(x)の分子量が概ね100万を超える場合には、前記GPC法等を用いた一般的な分子量測定方法でビニル樹脂(x)の分子量を測定することが困難な場合がある。
具体的には、重量平均分子量が100万を超えるビニル樹脂(x)80mgをテトラヒドロフラン20mlと混合し12時間攪拌しても、前記ビニル樹脂(x)が完全に溶解しておらず、前記混合液を1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過した場合に、前記メンブレンフィルター上に、ビニル樹脂(x)からなる残渣が確認できる場合がある。
このような残渣は、概ね100万を超える分子量を有するビニル樹脂に由来するものであるため、前記ろ過で得られたろ液を用い、前記GPC法によって分子量を測定しても、適切な重量平均分子量を測定することが困難な場合がある。
そこで、本発明では、前記濾過の結果、前記メンブランフィルター上に残渣が確認できたものについては、重量平均分子量が100万を超えるビニル樹脂であると判断した。
また、前記ビニル樹脂(x)は、後述する水性媒体(y)中に分散しうるものであるが、その一部が水性媒体(y)に溶解しうるものであってもよい。
また、前記ビニル樹脂(x)としては、必要に応じて各種官能基を有していてもよく、前記官能基としては例えばアミド基や、水酸基、グリシジル基、アミノ基、シリル基、アジリジニル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、シクロペンテニル基、アリル基、カルボキシル基、アセトアセチル基等の架橋性官能基が挙げられる。
前記架橋性官能基は、加熱すること等によって架橋反応し、樹脂層内(B)に架橋構造を形成する。これにより、後工程のめっき処理において、めっき薬剤や洗浄剤等の液中に浸漬された場合であっても、樹脂層(B)の溶解や剥離等を引き起こすことなく、高温高湿度環境下で長期間使用された場合であっても、経時的な樹脂層の溶解や白化、支持体からの剥離等を引き起こさないレベルの耐湿熱性や耐久性に優れた樹脂層(B)を形成することができる。更には、分散液(C)中で金属微粒子(c2)を保護している化合物(c1)と反応性を有する組み合わせの場合は、当該金属微粒子(c2)を安定的に樹脂層(B)上に保持することも可能となり、好ましいものである。
また、前記ビニル樹脂(x)としては、後述する、金属微粒子(c2)の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒が、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒、水を含まない有機溶媒のいずれであっても、「抜け」や、ムラを生じることがなく、優れた塗布性を確保する観点から1℃〜70℃のガラス転移温度を有するものを使用することが好ましい。なお、前記ビニル樹脂(x)のガラス転移温度は、主に、該ビニル樹脂(x)の製造に使用するビニル単量体の組成に基づき、計算によって決定される値である。具体的には、後述するビニル単量体の組み合わせで使用することによって、前記所定のガラス転移温度を有するビニル樹脂(x)を得ることができる。
また、前記樹脂層(B)を形成する際の良好な造膜性や、前記絶縁性基材(A)上に、樹脂層形成用組成物(b)を塗布して樹脂層(B)を形成したフィルム状基材をロール等に巻き取って保管等を行う際に、前記樹脂層(B)と、前記樹脂層(B)を形成した基材裏面との経時的な貼りつきを引き起こさないレベルの耐ブロッキング性を付与する観点から、前記ビニル樹脂(x)としては10℃〜40℃のガラス転移温度を有するものを使用することが好ましい。
前記ビニル樹脂(x)は、例えばカルボキシル基等の酸基を有するビニル単量体や、必要に応じてその他のビニル単量体を含むビニル単量体混合物を重合することによって製造することができる。
前記ビニル樹脂(x)の製造に使用可能な酸基を有するビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体や、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸やそれらの塩、アリルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸等のアリル基を有するスルホン酸類またはその塩、(メタ)アクリル酸2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸2−スルホプロピル等の(メタ)アクリレート基を有するスルホン酸類またはその塩、リン酸基を有する「アデカリアソープPP−70」、「PPE−710」(株式会社ADEKA製)等を使用することができ、前記カルボキシル基を有するビニル単量体やその塩を使用することが好ましい。
前記酸基を有するビニル単量体は、最終的に得られるビニル樹脂(x)の酸価を10〜80に調整する範囲で使用することが好ましい。具体的には、前記酸基を有するビニル単量体は、前記ビニル単量体混合物の全量に対して0.2質量%〜15質量%の範囲で使用することが好ましく、1.5質量%〜12質量%の範囲で使用することが好ましく、3.5質量%〜11質量%の範囲で使用することがより好ましく、5質量%を超え11質量%以下の範囲で使用することがさらに好ましい。前記酸基を有するビニル単量体を所定量使用することによって、得られるビニル樹脂(x)に良好な水分散安定性や耐湿熱性等を付与することが容易である。
また、前記酸基を有するビニル単量体、特に前記カルボキシル基を有するビニル単量体を、後述するアミド基を有するビニル単量体と組み合わせ使用する場合には、前記ビニル樹脂(x)の製造に使用するビニル単量体混合物の全量に対して、前記酸基を有するビニル単量体とアミド基を有するビニル単量体との合計の質量割合が、好ましくは5質量%を超え40質量%以下、より好ましくは6質量%以上35質量%以下となる範囲で使用することができる。
前記ビニル樹脂(x)の製造に使用可能なビニル単量体混合物としては、例えば前記酸基を有するビニル単量体以外に、その他のビニル単量体を組み合わせ使用することが好ましい。
前記その他のビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸β−(パーフルオロオクチル)エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することができる。
特にメタクリル酸メチルは、焼成工程等における熱の影響によらず、前記樹脂層(B)と前記絶縁性基材(A)との優れた密着性や、優れた耐湿熱性を付与するうえ好ましく用いることができる。
また、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、前記(メタ)アクリル酸メチルとともに、炭素原子数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを組み合わせ使用することが、後述する、金属微粒子(c2)の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒が、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒、水を含まない有機溶媒のいずれであっても、「抜け」や、ムラを生じることがなく、優れた塗布性を確保する観点から好ましい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素原子数3〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを使用することが、得られる導電性材料における導電部分の細線性を向上する上でより好ましい。更に前記炭素原子数3〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、後述する金属微粒子(c2)の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒によらず優れた塗布性を確保する観点から、(メタ)アクリル酸n−ブチルを使用することが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、前記ビニル単量体混合物の全量に対して30質量%〜95質量%の範囲で使用することが好ましい。特に(メタ)アクリル酸メチルは、前記ビニル単量体混合物の全量に対して0.01質量%〜80質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜80質量%の範囲で使用することがより好ましい。
一方、炭素原子数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、前記ビニル単量体混合物の全量に対して5質量%〜60質量%の範囲で使用することが、後述する金属微粒子の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒によらず、優れた塗布性を確保する観点から好ましい。
また、前記ビニル樹脂(x)の製造に使用可能なその他のビニル単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルスチレン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドンや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートまたはそれらの塩等を使用することができる。
また、前記その他のビニル単量体としては、前記ビニル樹脂(x)に、メチロールアミド基及びアルコキシメチルアミド基からなる群より選ばれる1種以上のアミド基や、前記以外のアミド基、水酸基、グリシジル基、アミノ基、シリル基、アジリジニル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、シクロペンテニル基、アリル基、カルボニル基、アセトアセチル基等の架橋性官能基を導入する観点から、架橋性官能基を有するビニル単量体を使用することができる。
前記架橋性官能基を有するビニル単量体に使用可能なメチロールアミド基及びアルコキシメチルアミド基からなる群より選ばれる1種以上のアミド基を有するビニル単量体としては、例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド等を使用することができる。
なかでも、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドを使用することが、得られる導電性材料において、導電部分の細線性及び耐久性に優れた導電性パターン等を得るうえで好ましい。
前記架橋性官能基を有するビニル単量体としては、前記したもの以外にも、例えば(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するビニル単量体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸グリセロール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド等の水酸基を有するビニル単量体:(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する重合性単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−モノアルキルアミノアルキル、(メタ)アクリル酸N,N−ジアルキルアミノアルキル等のアミノ基を有する重合性単量体;ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩等のシリル基を有する重合性単量体;(メタ)アクリル酸2−アジリジニルエチル等のアジリジニル基を有する重合性単量体;(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネートエチルのフェノール或いはメチルエチルケトオキシム付加物等のイソシアネート基及び/またはブロック化イソシアネート基を有する重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基を有する重合性単量体;(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル等のシクロペンテニル基を有する重合性単量体;(メタ)アクリル酸アリル等のアリル基を有する重合性単量体;アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基を有する重合性単量体等を使用することができる。
前記架橋性官能基を有するビニル単量体としては、前記したとおり、加熱等によって自己架橋反応しうるN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドを単独、または、それらと前記(メタ)アクリルアミドや、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の水酸基を有するビニル単量体とを組み合わせて使用することが好ましい。
また、後述する架橋剤(w)を使用する場合には、架橋剤(w)との架橋点となりうる官能基、例えば水酸基やカルボキシル基を導入するうえで、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルを使用することがより好ましい。前記水酸基を有するビニル単量体を使用することは、後述する架橋剤としてイソシアネート架橋剤を使用する場合に好ましい。
前記架橋性官能基を有するビニル単量体は、前記ビニル単量体混合物の全量に対して0質量%〜50質量%の範囲で使用することができる。なお、前記架橋剤(w)が自己架橋反応する場合には、前記架橋性官能基を有するビニル単量体を使用しなくてもよい。
前記架橋性官能基を有するビニル単量体のうち、前記アミド基を有するビニル単量体は、自己架橋反応性のメチロールアミド基等を導入するうえで、ビニル単量体混合物の全量に対して0.1質量%〜50質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜30質量%の範囲で使用することがより好ましい。また、前記自己架橋反応性のメチロールアミド基と組み合わせて使用するその他のアミド基を有するビニル単量体や、水酸基を有するビニル単量体は、前記ビニル樹脂(x)の製造に使用するビニル単量体の全量に対して0.1質量%〜30質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜20質量%の範囲で使用することがより好ましい。
また、前記架橋性官能基を有するビニル単量体のうち、前記水酸基を有するビニル単量体は、組み合わせ使用する架橋剤(w)の種類等にもよるが、前記ビニル単量体混合物の全量に対して概ね0.05質量%〜50質量%の範囲で使用することが好ましく、0.05質量%〜30質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜10質量%で使用することがより好ましい。
次に、前記ビニル樹脂(x)の製造方法について説明する。
前記ビニル単量体(x)は、前記したビニル単量体混合物を従来から知られている方法で重合することによって製造することができるが、にじみがなく細線性に優れた導電性パターン等を形成可能な樹脂層を形成するうえで、乳化重合法で製造することが好ましい。
前記乳化重合法としては、例えば水と、ビニル単量体混合物と、重合開始剤と、必要に応じて連鎖移動剤や乳化剤や分散安定剤等とを、反応容器中に一括供給、混合して重合する方法や、ビニル単量体混合物を反応容器中に滴下し重合するモノマー滴下法や、ビニル単量体混合物と乳化剤等と水とを予め混合したものを、反応容器中に滴下し重合するプレエマルジョン法等を適用することができる。
前記乳化重合法の反応温度は、使用するビニル単量体や重合開始剤の種類によって異なるが、例えば30℃〜90℃程度、反応時間は例えば1時間〜l0時間程度であることが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物類、過酸化水素等があり、これら過酸化物のみを用いてラジカル重合するか、或いは前記過酸化物と、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等のような還元剤とを併用したレドックス重合開始剤系によっても重合でき、また、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤を使用することも可能であり、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
前記ビニル樹脂(x)の製造に使用可能な乳化剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤等が挙げられ、なかでも陰イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
前記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸ハーフエステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩、等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレンジオール系界面活性剤等を使用することができる。
また、前記陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウム塩等を使用することができる。
また、両性イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル(アミド)ベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド等を使用することができる。
前記乳化剤としては、上記の界面活性剤の他に、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤や、一般的に「反応性乳化剤」と称される重合性不飽和基を分子内に有する乳化剤を使用することもできる。
前記反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基及びその塩を有する「ラテムルS−180」(花王株式会社製)、「エレミノールJS−2」、「エレミノールRS−30」(三洋化成工業株式会社製)等;硫酸基及びその塩を有する「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−20」、「アクアロンKH−1025」(第一工業製薬株式会社製)、「アデカリアソープSE−10」、「アデカリアソープSE−20」(株式会社ADEKA製)等;リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」(第一工業製薬株式会社製)等;非イオン性親水基を有する「アクアロンRN−10」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」(第一工業製薬株式会社製)等を使用することができる。
また、前記ビニル樹脂(x)の製造に使用する水性媒体としては、水性媒体(y)として例示するものと同様のものを使用することができる。
また、前記ビニル樹脂(x)の製造に使用可能な連鎖移動剤としては、ラウリルメルカプタン等を使用することができる。前記連鎖移動剤は、後述する金属微粒子(c2)の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒によらず、優れた塗布性を確保する観点から、前記ビニル単量体混合物の全量に対して0質量%〜0.15質量%の範囲で使用することが好ましく、0質量%〜0.08質量%の範囲であることがより好ましい。
前記方法で得られたビニル樹脂(x)は、本発明の樹脂層形成用組成物(b)の全量に対して、10質量%〜60質量%の範囲で含まれることが好ましい。
次に、前記樹脂層形成用組成物(b)の製造に使用する水性媒体(y)について説明する。
前記水性媒体(y)は、前記ビニル樹脂(x)の分散に使用するものであって、水のみを使用してもよいし、或いは、水と水溶性溶剤の混合溶液を使用してもよい。水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N−メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する水溶性溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する水溶性溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する水溶性溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
前記水性媒体(y)は、本発明の樹脂層形成用組成物(b)の全量に対して、40質量%〜90質量%の範囲で含まれることが好ましく、65質量%〜85質量%含まれることがより好ましい。
本発明の樹脂層形成用組成物(b)は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加剤を使用することができ、例えば水溶性樹脂(z1)や充填剤(z2)等の、従来の樹脂層形成用組成物で使用されているものを適宜使用することができる。但し、前記水溶性樹脂(z1)及び充填材(z2)からなる群より選ばれる1種以上の成分(z)は、前記ビニル樹脂(x)の全量に対して0質量%〜15質量%の範囲内であることが、後述する金属微粒子(c2)の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒によらず、優れた塗布性を確保するうえで必須である。
水溶性樹脂に代表されるポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等は、もっぱら水系塗布液に対する塗工性を付与することを目的として使用されている。しかし、前記水系塗布液向けの樹脂層は、溶剤系塗布液への適応性が十分でなく、「抜け」やムラを引き起こして塗布性に問題を生じるのが一般的である。
本発明の樹脂層形成用組成物(b)は、前記ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を使用しない、または最小限の使用量であっても、驚くべきことに水系塗布液及び溶剤系塗布液のいずれにも適用可能で、後述する、金属微粒子(c2)の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒が、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒、水を含まない有機溶媒のいずれを用いた場合であっても優れた塗布性を示す樹脂層を形成することができる。
後述する、金属微粒子(c2)の分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒が、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒、水を含まない有機溶媒のいずれであっても、「抜け」や、ムラを生じることがなく、優れた塗布性を確保することが可能な樹脂層を形成する観点から、前記水溶性樹脂(z1)の含有量は、前記ビニル樹脂(x)の全量に対して0質量%〜15質量%であることが好ましく、0質量%〜10質量%であることがより好ましく、0質量%〜5質量%であることがさらに好ましく、0質量%〜0.5質量%であることが特に好ましい。
また、前記充填材(z2)に代表されるシリカやアルミナ、澱粉や等の成分は、通常、マイクロポーラスタイプの樹脂層を形成する際に多量に用いられる。また、膨潤タイプの樹脂層を形成する際にも樹脂層に耐ブロッキング性を付与する目的で少量使用される場合がある。
また、前記樹脂層(B)中に充填剤(z2)が存在することに起因して、樹脂層(B)の絶縁性基材(A)に対する密着性が低下し、更に樹脂層(B)の透明性や柔軟性も劣る傾向にあるため、例えばフィルムなどのフレキシブル基材への展開ができない場合がある。
本発明の樹脂層形成用組成物(b)は、前記シリカ等の充填材(z2)を使用しないかまたは最小限の使用量であっても、驚くべきことに、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒、水を含まない有機溶媒のいずれを溶媒に用いた金属微粒子の分散液の場合にも、「抜け」や、ムラを生じることがなく、優れた塗布性を確保することが可能な樹脂層を形成することができる。
金属微粒子(c2)の分散溶媒に依存せず、優れた塗布性を確保することが可能な樹脂層を形成する観点から、前記充填材(z2)の含有量は、前記ビニル樹脂(b1)の全量に対して0質量%〜15質量%であることが好ましく、0質量%〜10質量%であることが好ましく、0質量%〜0.5質量%であることが特に好ましい。特にフィルムなどのフレキシブル基板への密着性の低下を防止する観点から、前記充填材等の使用量が前記範囲内であることが好ましい。
また、本発明で用いる樹脂層形成用組成物(b)は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて架橋剤(w)をはじめ、pH調整剤、被膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等公知のものを適宜添加して使用してもよい。
前記架橋剤(w)としては、例えば金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩化合物、イソシアネート化合物等の、概ね25℃〜100℃未満の比較的低温で反応し架橋構造を形成しうる熱架橋剤(w−1)や、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、及び、ブロックイソシアネート化合物からなる群より選ばれる1種以上等の概ね100℃以上の比較的高温で反応し架橋構造を形成しうる熱架橋剤(w−2)や、各種光架橋剤を使用することができる。
前記熱架橋剤(w−1)を含む樹脂層形成用組成物(b)であれば、例えばそれを前記絶縁性基材(A)表面に塗布し、100℃未満の温度に加温して架橋構造を形成することで、高温高湿度環境下で使用した場合であっても、経時的な樹脂層(B)の溶解や白化、前記絶縁性基材(A)からの剥離等を引き起こさないレベルの耐湿熱性や、長期にわたる熱や外力の影響によらず、後の工程で樹脂層(B)上に形成される非導電性層(D)及び導電層(E)の欠落を防止可能な耐久性に優れた導電材料を形成することができる。
また、前記熱架橋剤(w−1)を含む樹脂層形成用組成物(b)を前記絶縁性基材(A)表面に塗布し、比較的低温で乾燥し、次いで、金属微粒子(c2)の分散液(C)を塗布した後に、100℃未満の温度に加温し架橋構造を形成することで、高温高湿度環境下で使用した場合であっても、経時的な樹脂層(B)の溶解や白化、前記絶縁性基材(A)からの剥離等を引き起こさないレベルの耐湿熱性や、長期にわたる熱や外力の影響によらず、樹脂層(B)上に形成された非導電性層(D)や、後工程で形成される導電層(E)が欠落しない、耐久性に優れた導電性材料を形成することができる。
一方、前記熱架橋剤(w−2)を含む樹脂層形成用組成物(b)であれば、例えばそれを絶縁性基材(A)表面に塗布し、常温(25℃)〜概ね100℃未満の低温で乾燥することで、架橋構造を形成していない樹脂層付基材を製造し、次いで、金属微粒子(c2)の分散液(C)を塗布した後に、例えば100℃以上、好ましくは120℃以上の温度で加熱し架橋構造を形成することで、高温高湿度環境下で使用した場合であっても、経時的な樹脂層(B)の溶解や白化、前記絶縁性基材(A)からの剥離等を引き起こさないレベルの耐湿熱性や、長期間にわたる熱や外力等の影響によらず、後の工程で樹脂層(B)上に形成される非導電性層(D)及び導電層(E)の剥離等を引き起こさないレベルの耐久性に優れた導電性材料を得ることができる。
前記熱架橋剤(w−1)に使用可能な金属キレート化合物としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトン配位化合物、アセト酢酸エステル配位化合物等を使用することができ、アルミニウムのアセチルアセトン配位化合物であるアセチルアセトンアルミニウムを使用することが好ましい。
また、前記熱架橋剤(w−1)に使用可能なポリアミン化合物としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等の3級アミンを使用することもできる。
また、前記熱架橋剤(w−1)に使用可能なアジリジン化合物としては、例えば2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等を使用することができる。
また、前記架橋剤(w−1)として使用可能な金属塩化合物としては、例えば硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物等のアルミニウム含有化合物、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン等の水溶性金属塩を使用することができる。
前記熱架橋剤(w−1)に使用可能なイソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタン)トリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のポリイソシアネートや、それらを用いて得られるイソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物や、それらとトリメチロールプロパン等とからなるアダクト体、前記ポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパンなどのポリオールとを反応させて得られるポリイソシアネート基含有ウレタン等を使用することができる。なかでもヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン等とのアダクト体、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン等とのアダクト体、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン等とのアダクト体を使用することが好ましい。
また、前記熱架橋剤(w−2)に使用可能なメラミン化合物としては、例えばヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキレルオキシメチルメラミンあるいはこれらの2種を組み合わせた混合エーテル化メラミン等を使用することができる。なかでも、トリメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンを使用することが好ましい。市販品としては、ベッカミン M−3、APM、J−101(DIC(株)製)等を使用することができる。前記メラミン化合物は、自己架橋反応することによって架橋構造を形成することができる。
前記メラミン化合物を使用する場合には、その自己架橋反応を促進するうえで、有機アミン塩等の触媒を使用してもよい。市販品としては、キャタリスト ACX、376等を使用することができる。前記触媒は、前記メラミン化合物の全量に対して概ね0.01質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
また、前記熱架橋剤(w−2)に使用可能なエポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類;1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノエチル)シクロヘキサン等のポリグリシジルアミン類;多価カルボン酸[蓚酸、アジピン酸、ブタントリカルボン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ベンゼントリカルボン酸等]のポリグリシジルエステル類;;ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物のエチレンオキシド付加物等のビスフェノールA系エポキシ樹脂;フェノールノボラック樹脂、;側鎖にエポキシ基を有する各種ビニル系(共)重合体等を使用することができる。なかでも1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノエチル)シクロヘキサン等のポリグリシジルアミン類、グリセリンジグリシジルエーテル等の脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、を使用することが好ましい。
また、前記エポキシ化合物としては、前記したものの他に例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシランもしくはγ−グリシドキシプロピルトリイソプロぺニルオキシシラン等のグリシジル基含有シラン化合物を使用することもできる。
また、前記熱架橋剤(w−2)に使用可能なオキサゾリン化合物としては、例えば2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等を使用することができる。
また、前記オキサゾリン化合物としては、例えば下記付加重合性オキサゾリンと、必要に応じてその他の単量体とを組み合わせ重合して得られるオキサゾリン基含有重合体を使用することもできる。
前記付加重合性オキサゾリンとしては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を単独または2種以上組み合わせ使用することができる。なかでも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを使用することが、工業的に入手し易いため好ましい。
また、前記熱架橋剤(w−2)に使用可能なカルボジイミド化合物としては、例えばポリ[フェニレンビス(ジメチルメチレン)カルボジイミド]やポリ(メチル−1,3−フェニレンカルボジイミド)等を使用することができる。市販品では、「カルボジライトV−01」、「V−02」、「V−03」、「V−04」、「V−05」、「V−06」(日清紡(株)製)、UCARLINK XL−29SE、XL−29MP(ユニオンカーバイド(株)製)等を使用することができる。
また、前記熱架橋剤(w−2)に使用可能なブロックイソシアネート化合物としては、前記熱架橋剤(w−1)として例示したイソシアネート化合物の有するイソシアネート基の一部または全部が、ブロック化剤によって封止されたものを使用することができる。
前記ブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、2−ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等を使用することができる。
前記ブロックイソシアネート化合物としては、水分散型の市販品としてエラストロン BN−69(第一工業製薬(株)製)等を使用することができる。
前記架橋剤(w)を使用する場合、前記ビニル樹脂(x)として前記架橋剤(w)の有する架橋性官能基と反応しうる基を有するものを使用することが好ましい。具体的には、前記(ブロック)イソシアネート化合物やメラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物を架橋剤(w)として使用するとともに、前記ビニル樹脂(x)として水酸基やカルボキシル基を有するビニル樹脂を使用することが好ましい。
前記架橋剤(w)は、種類等によって異なるものの、通常、前記ビニル樹脂(x)に対して0.01質量%〜60質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜50質量%の範囲で使用することが、樹脂層(B)と絶縁性基材(A)の密着性を向上し、かつ、樹脂層(B)上での金属微粒子(c2)の分散液(C)の塗布性を確保する観点から好ましい。
特に、前記架橋剤(w)としてメラミン化合物は、自己縮合反応しうることから、ビニル樹脂(x)に対して0.1質量%〜30質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、0.5質量%〜5質量%の範囲で使用することがより好ましい。
また、前記架橋剤(w)は、本発明で用いる樹脂層形成用組成物(b)を絶縁性基材(A)表面に塗工又は含浸する前に、予め添加して使用することが好ましい。
また、本発明で用いる樹脂層形成用組成物(b)としては、前記した添加剤の他に、溶剤溶解性または溶剤分散性の熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等を混和して使用することもできる。
前記樹脂層形成用組成物(b)を用いて形成可能な樹脂層(B)は、ビニル樹脂(x)が、後述する、金属微粒子(c2)の分散液(C)を構成する溶媒によって適度に溶解され、前記溶媒を吸収することで、前記金属微粒子(c2)の分散液(C)中に含まれる金属微粒子(c2)を樹脂層(B)表面に効率よく定着することが可能な膨潤タイプであるため、「抜け」やムラのない非導電性層(D)を得ることが可能なものである。また、本発明で用いる樹脂層形成用組成物(b)は、従来知られる多孔質タイプの塗工用インク受容層と比較して透明な樹脂層(B)を形成することが可能である。
前記絶縁性基材(A)表面に、前記樹脂層形成用組成物(b)を塗布する方法としては、樹脂層(B)が適正に形成される限り、特に制限はなく、必要に応じて、種々の印刷・塗工手法を、用いる絶縁性基材(A)の形状、サイズ、剛柔の度合いなどによって適宜選択すれば良く、具体的には、グラビア法、オフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレイコーター法、インクジェット法、ダイ法、スピンコーター法、バーコーター法、ディップコート法等が挙げられる。
また、フィルム、シート又は板状の前記絶縁性基材(A)の両面に、前記樹脂層形成用組成物(b)を塗布する方法としては、樹脂層(B)が両面に適正に形成される限り、特に制限は無く、前記の種々の印刷・塗工手法を適宜選択すれば良く、両面を同時に形成しても良いし、片面を塗工した後、もう一面の塗工を行っても良い。
フィルム、シート又は板状の前記絶縁性基材(A)が表裏を接続する貫通孔を有する場合、貫通孔の内壁面に前記樹脂層(B)を形成する方法としては、特に制限はなく、前記の種々の印刷・塗工手法を用いて、前記樹脂層形成用組成物(b)を塗布すれば、貫通孔の内壁面に前記樹脂層形成用組成物(b)が浸透することによって、前記樹脂層(B)を好適に形成することができる。
また、本発明において、樹脂層(B)は、絶縁性基材全面に形成されても良いし、適宜、目的に応じてパターン状に形成されていても良い。このようなパターン状の樹脂層(B)を得る方法としては、前記の種々の塗布方式のいずれかを用いて、基材上に直接パターン状の樹脂層(B)を形成すれば良い。この様に、パターン状の樹脂層(B)を形成しておくと、後述する金属微粒子の分散液(C)を塗布した際、絶縁積基材(A)と樹脂層(B)の濡れ性の違いによって、樹脂層(B)上のみに金属微粒子からなる非導電性層(D)を形成することも可能である。
また、樹脂層形成用組成物(b)を塗布した後、塗布膜を乾燥する方法は、特に限定されるものではないが、前記絶縁性基材(A)が、枚葉のフィルム、シート、板の場合には、塗工場所での自然乾燥の他、送風、定温乾燥器などの乾燥器内で行うことができる。また、前記絶縁性基材(A)がロールシートの場合には、前記印刷・塗布工程に続けて、設置された非加熱または加熱空間内でロールシートを連続的に移動させることにより、乾燥を行うことができる。
乾燥温度としては、樹脂層形成用組成物(b)を構成する前記水性媒体(y)を揮発させることが可能で、かつ支持体に悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよい。具体的には、前記熱架橋剤(w−1)を使用する場合には、概ね25℃〜100℃未満の温度で乾燥することが好ましく、熱架橋剤(w−2)を使用する場合には、概ね100℃以上、好ましくは120℃〜300℃程度の温度であることが好ましい。一方、前記熱架橋剤(w−2)を使用し、かつ、後述する金属微粒子(c2)の分散液(C)を塗布した後に架橋構造を形成しようとする場合には、常温(25℃)〜100℃程度の比較的低温で乾燥し、分散液(C)を塗布前においては架橋構造を形成しないよう調整することが好ましい。
前記絶縁性基材(A)表面に形成される樹脂層(B)の層厚としては、基材の種類、厚さによって調整すれば良く、後述する金属微粒子(c2)の分散体(C)中に含まれる溶媒量を勘案し、また、前記絶縁性基材(A)の各種特性を維持する観点から、乾燥後の膜厚が5μm以下であることが望ましく、より好ましくは2μm以下にすることが好ましい。さらに、前記絶縁性基材(A)が50μm以下の厚さのフィルム状基材の場合には、1μm以下であることが好ましく、より好ましくは、500nm以下にすることが好ましい。特に、高速、高周波対応の導電性材料の製造に用いる場合には、100nm以下の厚さにすることが好ましい。
<金属微粒子(c2)の分散液(C)>
本発明における非導電性層(D)を形成するために塗布される分散液(C)に含有される金属微粒子(c2)は、前記絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上で、無電解めっき用の触媒として機能するものであり、金、銀、銅、白金の粒子、および、これらの金属の合金、コア−シェル型粒子、例えば、金−銀コアシェル、金−銅コアシェル、銀−銅コアシェル粒子や、これらの金属粒子の異方性複合粒子などである。本発明においては、前記金属微粒子(c2)は一種のみを用いても良いし、複数種を混合したものを用いても良い。工業的入手のし易さ、コストの観点から、金属種としては銀、および銅の粒子を用いることが好ましい。また、金属微粒子(c2)の表面に酸化被膜や硫化被膜が存在しても、無電解めっき触媒として機能する程度であれば差し支えない。
前記金属微粒子(c2)の形状としては、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上に塗布可能で、安定な分散液(C)が得られる限り、特に制限は無く、球状、レンズ状、多面体状、平板状、ロッド状、ワイヤー状など、種々の形状の金属微粒子を単独で、もしくは複数種が混合したものを、目的に応じて適宜選択して用いることができる。
前記、金属微粒子(c2)の大きさは、電子顕微鏡による粒子形状の観察を行い、観察形状が円や多面体状である場合には、その直径が1〜200nmであることが好ましく、分散液(C)中での金属微粒子の分散性、安定性の観点から、2〜100nmのものを用いるのが、より好ましい。さらに、無電解めっきで、より緻密で均一な導電層(E)を効率よく形成できる観点から5〜50nmの金属微粒子であることが特に好ましい。
金属微粒子(c2)の電子顕微鏡における観察像がレンズ状、ロッド状、ワイヤー状など、短軸、長軸に対して対称な形状を有する場合には、その短径が1〜200nm、より好ましくは、2〜100nm、さらに好ましくは5〜50nmであることが好ましい。分散液(C)中に分散される金属微粒子(c2)の粒径分布は、単分散で揃っていても良く、また、前記の好ましい粒径範囲の粒径を有する粒子の混合物であっても良い。
本発明に用いる分散液(C)は、前記金属微粒子(c2)が各種の分散媒中に分散されてなるものであり、前記金属微粒子(c2)が、分散媒中で凝集、融合、沈殿することなく、長期間の分散安定性を保つことが必要であるため、金属微粒子(c2)の表面は、有機化合物の保護剤によって保護されている。また、前記金属微粒子(c2)は、その分散液(C)を、前記絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上に塗布することにより、非導電性層(D)を形成し、これが無電解めっき用触媒として機能するが、めっき処理は、液中で行われるため、めっき処理液中で該非導電性層(D)が剥離しないことが必要であり、前記、金属微粒子(c2)の保護剤が、前記絶縁性基材(A)に形成された樹脂層(B)と非導電性層(D)の密着性を高める機能を有していることが好ましい。
このような観点から、本発明では、金属微粒子(c2)を保護する化合物(c1)として、窒素原子、硫黄原子、リン原子又は酸素原子を有する化合物(c1)を用いることを必須とし、分散させる金属微粒子、用いる分散溶媒の種類、及び金属微粒子を塗布する樹脂層(B)など、金属微粒子(c2)の分散液(C)の使用目的に応じて適宜選択することができる。これらの特定の原子は、単独で化合物(c1)に含まれていてもよいが、前述の機能を効率よく発現できる観点からは、異なる原子を1分子中に2種以上有していることが好ましい。
保護剤として用いる化合物(c1)に、このような異種原子を含ませるためには、例えば、アミノ基(−NH)、カルボキシ基(−COOH)、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、リン酸基(HPO−)、4級アンモニウム基(−NRR’R”4 )、4級ホスホニウム基、シアノ基(−CN)、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)、ジスルフィド基(−S−S−)などの官能基として含ませることができる。これらの官能基は、一分子中に単独で、あるいは複数種を有していてもよく、また、保護剤としては単独の化合物(c1)を用いても、このような官能基を有する化合物(c1)の複数種を同時に用いてもよい。
前記化合物(c1)として具体的には、低分子量の化合物として例えば、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノイソプロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−メチルアミノエタノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノール、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、シュウ酸、酒石酸、フタル酸、メタクリル酸、クエン酸、アクリル酸、安息香酸、コール酸、エチレンジアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、トリメチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルジメチルアミン、ブチルエタノールアミンアミン、チオコリンブロミド、アリルチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、L−システイン、スルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
また、高分子量の化合物としては例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリピロール、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレンなどの高分子単位を、分子中に一種、もしくは複数種有する高分子を好適に利用でき、これらの高分子単位を複数種有する場合には、それぞれの高分子単位が、直接、もしくは、アミド結合、エステル結合、エーテル基(−O−)やチオエーテル基(−S−)を介して結合されているものを用いることができる。さらに、これら高分子の末端の一部が、アミノ基(−NH)、カルボキシ基(−COOH)、カルボン酸エステル(−COOR:Rはメチル、エチル、プロピルから選ばれる)、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)などで置換されていても良く、高分子の末端に、−OP(O)(OH)で表されるリン酸エステル基や、−SR(Rは、炭素数1〜18のアルキル基、ベンゼン環上に置換基を有していても良いフェニル基、又は、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアラルキルオキシ基、ベンゼン環上に置換基を有していても良いフェニルオキシ基、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、炭素数1〜18の1価若しくは多価のアルキルカルボニルオキシ基及び炭素数1〜18の1価若しくは多価のアルコキシカルボニル基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を有する炭素数1〜8のアルキル基である。)で表される官能基を有するものを好適に用いることができる。これらの高分子は、単独、もしくは複数種を混合して同時に用いることができる。
これらの中でも、分散液(C)の分散安定性、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上での非導電性層(D)の製膜性、密着性の観点から、前記化合物(c1)の数平均分子量としては1,000〜50,000の範囲のものを用いることが好ましく、また、その構造としては、ポリエチレンイミンブロックとポリエチレングリコールブロックを有する化合物(P1)、(メタ)アクリル系の重合体(P2)、さらにチオエーテル基(スルフィド結合)を含む特定構造の有機化合物(P3)を特に好適に用いることができる。
前記ポリエチレンイミンブロックとポリエチレングリコールブロックを有する化合物(P1)は、例えば、市販されているポリエチレングリコールの末端水酸基を活性基に誘導し、これと市販のポリエチレンイミンとを化学結合させることにより得ることができ、数平均分子量が500〜50,000のポリエチレンイミン中のアミノ基に数平均分子量が500〜5,000のポリエチレングリコールが結合してなる化合物を、特に好適に用いることができる。本発明で用いる化合物(P1)は、ポリエチレンイミンブロックとポリエチレングリコールブロックの特定構造を有するものであれば良く、さらにその他の構造が導入されたものであっても良い。
また、本発明に好適に用いることができる、前記(メタ)アクリル系重合体(P2)としては、ポリエチレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート系マクロモノマーと、−OP(O)(OH)で表されるリン酸エステル残基を有する(メタ)アクリレート系モノマーとを、−SR(Rは前記と同じ)で表される官能基を有する連鎖移動剤の存在下で重合させて得られる(メタ)アクリル系重合体を挙げることができる(例えば、特許第4697356号参照)。
さらに本発明で好適に用いることができる、前記チオエーテル基(スルフィド結合)を含む特定構造の有機化合物(P3)としては、下記一般式(1)
X−(OCHCHR−O−CH−CH(OH)−CH−S−Z (1)
〔式(1)中、XはC〜Cのアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、nは2〜100の繰り返し数を示す整数であって、Rは繰り返し単位ごとに独立し、同一であっても異なっていても良く、ZはC〜C12のアルキル基、アリル基、アリール基、アリールアルキル基、−R−OH、−R−NHR、又は−R−COR(但し、RはC〜Cのアルキレン鎖であり、Rは水素原子、C〜Cのアシル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、又は芳香環上にC〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基を置換基を有していても良いベンジルオキシカルボニル基であり、Rはヒドロキシ基、C〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基である。)で表される基である。〕
で表されるチオエーテル含有有機化合物(P3)を好適に用いることができる(例えば、特許第4784847号参照)。
本発明で用いられる前記化合物(c1)は、金属微粒子(c2)の製造時に添加されていても良いし、金属微粒子(c2)を製造した後に添加しても良い。また、分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる溶媒としては、金属微粒子(c2)を安定に分散させることが可能で、金属微粒子(c2)を分散させた状態で、前記絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)への濡れ性が良く、前記樹脂層(B)上に液膜を形成可能な溶媒であれば、特に制限はなく、種々の溶媒を用いることができ、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒、水を含まない有機溶媒のいずれであっても良い。
前記、水と混合可能な水溶性の溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールやその他のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ブチルジエチレングリコールアセタートなどの等のグリコールエーテル類をあげることができ、これらの溶媒を単独、もしくは複数を混合して用いることができる。
また、分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる前記有機溶媒としては、前記の水と混合可能な水溶性の溶媒、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールやその他のエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ブチルジエチレングリコールアセタートなどの等のグリコールエーテル類をあげることができ、これらの溶媒を単独、もしくは複数を混合したものを、水を混合せずに用いれば良い。この場合、吸湿などによって水を若干含有することがあるが、水との混合を企図したものでないので、本発明においては水を含まない有機溶媒として取り扱う。
また、分散液(C)において、金属微粒子(c2)を分散させる前記有機溶媒としては、水と混合しない有機溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、トリメチルペンタン等の長鎖アルカンや、シクロヘキサン、シクロブタン、シクロオクタン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオールなどのアルコールを挙げることができ、これらの溶媒を単独、もしくは複数を混合したものを用いても良い。
本発明で用いる分散液(C)の製造法としては、特に制限はなく、種々の方法を用いて製造することが可能であり、例えば、低真空ガス中蒸発法などの気相法を用いて製造した金属微粒子を、溶媒中に分散させても良いし、液相で金属化合物を還元して直接金属微粒子の分散液を調製しても良い。気相、液相法とも、適宜、必要に応じて、溶媒交換や溶媒添加により、製造時の分散液と塗布時の分散液の溶剤組成を変更することが可能である。気相、液相法のうち、分散液の安定性や製造工程の簡便さから、液相法を特に好適に用いることができる。
前記液相法での分散液(C)の製造法としては、液相中、前記化合物(c1)の存在下で金属化合物を還元する方法を好適に用いることができ、特開2008−037884号公報、特開2008−037949号公報、特開2008−03818号公報、特開2010−007124号公報に記載の方法を用いて製造することができる。例えば、前述のポリエチレンイミンブロックとポリエチレングリコールブロックを有する化合物(P1)を水性媒体に溶解又は分散させた後、ここに金属化合物を添加し、必要に応じて錯化剤を併用して均一な分散体とした後、或いは錯化剤と同時に、還元剤を混合することによって、還元された金属がナノ粒子(ナノメートルオーダーの大きさを有する微粒子)となると同時に前記化合物(P1)で保護された金属微粒子の水性分散体を得ることができる。
また、本発明で用いる液相法での分散液(C)の製造法としては、例えば、特許4697356号公報に記載の方法、前記(メタ)アクリル系重合体(P2)保護剤の存在下で金属化合物を還元する方法を好適に用いることができる。
また、本発明で用いる液相法での分散液(C)の製造法としては、前記チオエーテル基(スルフィド結合)を含む特定構造の有機化合物(P3)保護剤の存在下で金属化合物を還元する方法を好適に用いることができ、前記のチオエーテル含有有機化合物(P3)の存在下で、金属化合物を溶媒と混合する工程と、金属化合物を還元する工程を経て、金属微粒子の分散液(C)を得ることができる。
さらに、本発明で用いる金属微粒子(c2)の一形態は、銀コア−銅シェルのコア−シェル型粒子であるが、この金属微粒子の分散液(C)の製造法としては、銀のナノ粒子と、前記のチオエーテル含有有機化合物(P3)と、酸化銅(I)及び/又は酸化銅(II)と溶媒を混合する工程と、還元剤を用いて酸化銅を還元することで銀ナノ粒子の周りに銅のシェルを生成させる工程を経て、銀コア−銅シェルのコアシェル粒子の分散液(C)を得ることができる。本方法において用いる銀ナノ粒子は、市販の銀ナノ粒子を用いても良いし、前記の金属微粒子の分散液の製造方法を用いて得た銀ナノ粒子を用いても良い。
本発明においては、これらの方法で得られた金属微粒子の水性分散体をそのまま、或いは、余剰の錯化剤、還元剤、又は原料として用いた銀化合物に含まれた対イオン等を限外ろ過法や沈殿法、遠心分離、減圧蒸留、減圧乾燥等の各種精製法を単独或いは2種以上を組み合わせて行う精製工程を経たものや、これを更に濃度(不揮発分)や分散媒を変更したものなどを用いても良い。
これら液相法での金属微粒子の分散液(C)の製造法に用いることができる金属化合物としては、前記の本発明で用いられる金属微粒子(c2)を形成する元素、即ち、金、銀、銅、白金の塩や酸化物を用いることが出来るが、溶解性の点から、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、アセチルアセトナート等が好例として挙げられる。中でも硝酸塩または酢酸塩が好ましい。ただし、不溶性の化合物であっても錯化剤としてアンモニア、アミン化合物、ヒドラジン類、ヒドロキシルアミン類のように金属イオンに配位して溶解性のある錯化合物を形成できる場合には、金属酸化物のような不溶性化合物も使用することができる。
例えば金属元素が金、白金族の場合は、テトラクロロ金酸、テトラクロロ白金酸等を用いることが出来る。また金属種が銅の場合は、Cu(OAc)、Cu(NO、CuCl、Cu(HCOO)、Cu(CHCOO)、Cu(CHCHCOO)、CuCO、CuSO、CCuOのほか、カルボン酸塩を加熱して得られる塩基性塩、例えばCu(OAc)・CuOも同様に用いることができる。金属種が銀の場合は、硝酸銀、酸化銀、酢酸銀、塩化銀、硫化銀などを用いることができるが、水溶液として取り扱う場合には硝酸銀が、その溶解度の点で好ましい。
本発明で用いる分散液(C)中の金属微粒子(c2)の含有濃度としては、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上に、該分散液を塗布することによって、非導電性層(D)を形成することを必須とする観点より、当該分散液(C)中において、金属微粒子(c2)を0.5質量%以上で含有することが好ましい。即ち、希薄すぎると、前記樹脂層(B)上での金属微粒子(c2)の分布が疎になりすぎて膜にならず、非導電性層(D)を形成することが難しいことがある。一方、濃厚すぎると、非導電性層(D)上に塗布された金属微粒子(c2)の積層数が多くなりすぎて、焼成により導電性層となり、強い密着性を示すめっき膜の足場としての機能が充分発揮できないことが起こることがある。このような観点から、本発明で用いる分散液(C)中の金属微粒子(c2)の含有濃度としては、0.5質量%以上であることが好ましく、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.7〜15質量%、さらに、塗工製膜性の観点から1〜10質量%であることが好ましい。
本発明で用いる分散液(C)には、塗布製膜性改善を主な目的として、種々の表面張力調整剤、レベリング剤を必要に応じて添加して使用することができる。これら表面張力調整剤、レベリング剤の添加量は、分散液(C)に対し、有効成分で好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは有効成分で0.5質量%以下含有することができる。
<分散液(C)の塗布>
本発明において、前記絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上に、前記分散液(C)を塗布する方法としては、非導電性層(D)が良好に形成される限り、特に制限は無く、種々の印刷・塗工手法を、用いる絶縁性基材(A)の形状、サイズ、剛柔の度合いなどによって適宜選択すれば良く、具体的には、グラビア法、オフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレイコーター法、インクジェット法、ダイ法、スピンコーター法、バーコーター法、ディップコート法等が挙げられる。
フィルム、シート又は板状の前記絶縁性基材(A)の両面に形成された樹脂層(B)上に、前記分散液(C)を塗布する方法としては、非導電性層(D)が良好に形成される限り、特に制限は無く、前記の種々の印刷・塗工手法を適宜選択すれば良く、両面を同時に形成しても良いし、片面を塗工した後、もう一面の塗工を行っても良い。
フィルム、シート又は板状の前記絶縁性基材(A)が表裏を接続する貫通孔を有する場合、前記樹脂層(B)が形成された貫通孔の内壁面上に非導電性層(D)を形成する方法としては、特に制限はなく、前記の種々の印刷・塗工手法を用いて、前記分散液(C)を塗布すれば、貫通孔に前記分散液(C)が浸透することによって、前記樹脂層(B)が形成された貫通孔内壁面上に、非導電性層(D)を好適に形成することができる。
金属微粒子(c2)の分散液(C)を前記樹脂層(B)上に塗布した後、塗布膜の乾燥を経て非導電性層(D)が形成される。塗布膜の乾燥は、室温で行っても良いし、加熱乾燥を行っても良い。この時、前述のように樹脂層(B)中で架橋反応が起こるように企図した加熱であってもよい。また、乾燥時に送風を行っても良いし、特別に送風を行わなくても良い。送風には、熱風を送風しても良いし、室温で送風するだけでも良い。また、乾燥は、大気中で行っても良いし、窒素、アルゴンなどの置換雰囲気、もしくは気流下で行っても良く、真空下で行っても良い。また、爆発下限濃度未満の水素雰囲気下で行っても良い。
塗布膜の乾燥は、前記絶縁性基材(A)が、枚葉のフィルム、シート、板の場合には、塗工場所での自然乾燥の他、送風、定温乾燥器などの乾燥器内で行うことができる。また、前記絶縁性基材(A)がロールシートの場合には、前記印刷・塗布工程に続けて、設置された非加熱または加熱空間内でロールシートを連続的に移動させることにより、乾燥を行うことができる。
<非導電性層(D)>
本発明において、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上に、金属微粒子(c2)の分散液(C)を塗布してなる非導電性層(D)は、前記化合物(c1)で保護されてなる金属微粒子(c2)が前記樹脂層(B)上に、ほぼ均一に配置されてなるものであり、部分的な金属微粒子(c2)同士の接触が存在する場合もあるが、層としては導電性を示さないものを言う。本発明において、金属微粒子(c2)が均一に配置されてなる層が導電性を示さない、即ち非導電性であるとは、低抵抗率計を用いて、膜の抵抗値の測定ができないレベルであることを言い、例えば、三菱化学アナリテック社製、ロレスタシリーズの抵抗率計では、オーバーレンジ(四端子法で測定した該層の抵抗が9.999×10Ω以上)、もしくはオーバーロード(端子間に90Vの電圧をかけても定電流測定不能)の表示を確認すればよい。
本発明で用いる、前記樹脂層(B)上に形成された非導電性層(D)は、適宜、必要に応じて、後工程の無電解めっき前に加熱処理を行っても良い。加熱処理によって、非導電性層(D)と樹脂層(B)の密着性を向上させることができたり、また樹脂層(B)中、あるいは、樹脂層(B)と化合物(c1)間で架橋反応が進行したりする。また、プリント配線板の使用時には、例えば、はんだ付けなどの高温プロセスを経る可能性があり、保護剤である化合物(c1)、必要により添加された表面調整剤や、レベリング剤、分散溶媒などが、該高温プロセスにおいて、急激な揮発、もしくは分解気化すると、問題となるので、製造時に予め加熱処理を行うことによって、このような成分を除去しておくことが推奨される。
加熱処理は、前記樹脂層(B)上に非導電性層(D)が形成された基材を、種々の加熱方法によって処理すれば良く、電気炉、マッフル炉、真空炉、雰囲気炉、光照射加熱装置、赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置、電子線加熱装置などの一種、もしくは複数の加熱装置を併用して行うことができる。また、加熱処理は、必要に応じて、大気中、真空中、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、及び爆発下限濃度未満の水素雰囲気下で行うことができる。また、樹脂層(B)を形成した後に非導電性層(D)が形成される、前記絶縁性基材(A)が枚葉のフィルム、シート、板の場合には前記加熱処理装置の器内で行っても良いし、ロールシート状の場合には、電気加熱、光加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱される空間内にシートを連続的に移動させることにより行うことができる。
また、本発明において、非導電性層(D)の加熱処理は、樹脂層(B)上に分散液(C)を塗布した後の乾燥と同時に行っても良いし、乾燥と加熱処理を別途行っても良い。また、非導電性層(D)の加熱処理が、前記樹脂層(B)に架橋構造を形成するため、あるいは、樹脂層(B)中の架橋性官能基と化合物(c1)間の架橋構造を形成するための加熱処理を兼ねていても良いし、前記樹脂層(B)の架橋構造を形成するための加熱処理と別途行っても良い。
本発明において、非導電性層(D)の加熱処理温度や熱処理時間は、使用目的や使用する絶縁性基材(A)の素材の耐熱温度に応じて適宜選択すれば良く、特に制限はないが、例えば、絶縁性基材(A)がポリイミド樹脂であれば400℃以下、好ましくは300℃以下、ポリエチレンテレフタレートでは150℃以下、ポリエチレンナフタレートでは200℃以下、液晶ポリマーでは380℃以下、紙フェノール、紙エポキシでは130℃以下、ガラスエポキシでは150℃以下、ABS樹脂では100℃以下で熱処理を行うのが好ましい。
また、前記樹脂層(B)の架橋構造形成と同時に非導電性層(D)の熱処理を行う場合には、前記、樹脂層(B)の架橋構造形成に適した条件を用いれば良い。
本発明において行われる、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上の非導電性層(D)の加熱処理は、前記の様に、金属微粒子(c2)と樹脂層(B)の密着性向上や高温プロセスで揮発・分解気化する成分を除去することを目的とするのであって、前記金属微粒子(c1)が相互に密着、融着して導電性を発現することを企図するものではなく、加熱処理後も非導電性を保持していることを特徴とする。
本発明で用いる、前記絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上の非導電性層(D)は、前記金属微粒子(c2)が前記樹脂層(B)上に配置されたものであり、厚み方向への金属微粒子(c2)の積層数が多すぎると、前記の加熱処理によって金属微粒子(c2)が互いに融着した接合部が多く形成され、膜全体で不均一な融着構造を形成し、導電性を示す膜となりやすい。この様な不均一な融着構造を有する導電性膜は、膜中に空隙を多数含むため、機械的強度に劣り、この機械的強度に劣る膜が、樹脂層(B)と後のめっき工程で形成される金属膜との間に存在することによって、めっき膜が容易に基材から剥離してしまうことがある。また、このような不均一な融着構造を有する膜を用いて無電解めっきを行った場合、膜上部の空隙は充填できても、融着構造内部、及び下部の空隙をめっき金属によって充分に埋めることは困難で、膜の機械的強度を改善することは難しい。このような観点から、前記樹脂層(B)上に配置される、前記金属微粒子(c2)の積層数は5層以下であることが望ましく、3層以下であることがより好ましい。金属微粒子(c2)の樹脂層(B)上への積層数は、共焦点顕微鏡、干渉型顕微鏡、表面形状測定装置などによる非導電性層(D)の膜厚測定や、電子顕微鏡による非導電性層(D)の表面、断面観察を行うことで確認が可能である。
また、本発明で用いる、前記樹脂層(B)上に形成された非導電性層(D)は、前記樹脂層(B)が、前記金属微粒子(c2)により被覆されてなるものであり、後のめっき工程でめっき触媒、およびめっきのシード、足場層として機能するものである。樹脂層(B)表面での前記金属微粒子(c2)による表面被覆率が低すぎると、析出した金属結晶間の距離が離れすぎて、結晶相互の接着が起こらないため、めっき被膜を形成することが困難である。一方、金属微粒子(c2)による樹脂層(B)表面の被覆率が高くなり、基材表面での金属微粒子(c2)の積層数が多くなると、前記加熱処理によって金属微粒子(c2)間の接合が起こり、空隙の多い不均一な融着構造が形成されて導電性膜となる。このような不均一融着構造の導電性膜が形成されると、前記の様に膜内部に独立した空隙が多数形成されるために、機械的強度に劣り、後の工程で形成されるめっき金属膜が、実用的な剥離強度を保持できなくなる。金属微粒子(c2)による表面被覆率が適切であれば、析出しためっき金属結晶間の接続が良好で被膜を形成しやすく、また金属微粒子(c2)間の空隙にめっき金属が充分浸透することによってアンカー効果が生じ、剥離強度が向上する。このような観点から、樹脂層(B)表面の前記金属微粒子(c2)による表面被覆率は、50%以上90%以下(面積比)であることが好ましく、後の工程のめっき性、めっき皮膜の絶縁性基材からの剥離強度保持の観点から、70%以上90%以下であることがより好ましい。
本発明において、前記樹脂層(B)上の前記金属微粒子(c2)による表面被覆率は、高分解能の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、非導電性層(D)の表面観察を行い、観察画像上の金属微粒子(c2)画像の占有割合を算出することで評価できる。本発明で用いる金属微粒子(c2)のサイズから、表面被覆率の評価には、5万倍程度の観察倍率を用いることが推奨される。
本発明において、前記樹脂層(B)上に形成される非導電性層(D)は、基材表面全面に形成されていても良いし、基材表面の一部に形成されていても良く、例えば導電回路パターン状の非導電性層(D)を形成してもよい。
この様なパターン状の非導電性層(D)を得る方法としては、前記の種々の塗布方式のいずれかを用いて、樹脂層(B)上に直接パターン状の非導電性層(D)を形成しても良いし、第三工程である無電解めっき処理の前に、回路パターンのパターニングを行っても良い。パターニングの方法としては、例えば、レーザー照射により、アブレーション現象を誘起して不要部を除去する方法が挙げられる。この目的に用いられるレーザーとしては、UVレーザー、可視光レーザー、近赤外、赤外光レーザーのいずれの波長のレーザーを用いても良い。また、前記の様に、パターン状の樹脂層(B)を形成している場合には、絶縁性基材(A)上と樹脂層(B)上での濡れ性の違いによって、自発的に、樹脂層(B)上のみに選択的に金属微粒子が存在することによって、パターン状の非導電性層(D)を形成する場合もある。
<無電解めっき工程>
本発明の工程(3)は、工程(1)、(2)を経て得られた、樹脂層(B)上に非導電性層(D)を設けた基材上に、導電層(E)を形成する工程であり、前記樹脂層(B)上に形成された非導電性層(D)を無電解めっきの触媒層及びシード層として用い、無電解めっきを行うことで実施される。
無電解めっき工程は、クリーナー工程、水洗工程、触媒活性化工程、水洗工程、を経て無電解めっきを行うことが好ましい。めっき金属の種類に特に制限はないが、導電性と工業上の利用性から、無電解銅めっきを行うことが好ましい。この無電解銅めっきには、文献などに記載の無電解銅めっき液の組成で建浴を行って使用しても良いし、市販の無電解めっき用試薬を用いても良い。市販の無電解めっき試薬は、厚付け、薄付け、選択析出など各種用途のものが販売されているので、目的に応じて適宜選択すれば良く、例えば、奥野製薬工業株式会社製のOICカッパー、OPCカッパーを特に好適に用いることができる。
本発明の工程(3)において無電解めっきにより形成される導電層(E)は、特に制限はないが、表面抵抗率が1000Ω/□以下であることが好ましく、さらに、第四工程によって電気めっきを実施する場合には、表面抵抗率として、10Ω/□以下であることが好ましい。第四工程の電気めっきによる金属導電層(F)形成の効率を考慮すると、1Ω(D)」/以下であることがより好ましい。また、無電解めっきにより形成される導電層(E)の厚さは製造の作業効率の観点から、1500nm以下であることが好ましい。
<電気めっき工程>
本発明においては、前述の無電解めっき工程により、表面に導電層(E)を有する導電性材料を得ることができるが、より導電性を高めたり、導電性層の膜厚を増大させたりすることを目的として、更に工程(4)として電気めっきを行ってもよい。この時電界めっきにより形成される金属種には特に制限は無いが、導電性や安定性の観点から、銅、ニッケル、金などが好ましく、特に、抵抗値の低さと工業的利用性の観点から銅が好ましい。
電気めっき工程としては、特に制限はなく、種々の電気めっき方法を用いれば良いが、例えば、工程(3)で得られた導電層(E)表面の脱脂、及び/又は、酸化層除去を行った後、めっき液中に浸漬して通電することによってめっき層を形成することができる。
電気めっきによって得られる金属導電層(F)の厚みには、特に制限はなく、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、第三工程の無電解めっきにより形成される導電層(E)と合わせて、200nm以上30μm以下であることが好ましく、導電性および使用時の回路パターニング性の観点から400nm以上20μm以下であることがより好ましい。
前記の3工程を経て製造される導電性材料は、前記絶縁性基材(A)上に樹脂層(B)を形成し、この上に金属微粒子(c2)よりなる非導電性層(D)を有し、さらに、この上に導電層(E)が積層されてなるものであり、また、4工程より得られる導電性材料は、前記絶縁性基材(A)上に樹脂層(B)を形成し、この上に金属微粒子(c2)よりなる非導電性層(D)を有し、さらに、この上に導電層(E)と金属導電層(F)とが積層されてなるものである。本発明の導電性材料において、金属微粒子(c2)の金属種とその上に形成される導電層(E)、もしくは、導電層(E)及び金属導電層(F)を形成する金属種の全てが同じ金属であっても良いし、それぞれ異なる金属種であっても良い。例えば、本発明の導電性材料の一つの形態は、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)の上の非導電性層(D)が銀微粒子からなり、その上に形成される導電層(E)が銅からなるものである。また、他の形態として、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)の上の非導電性層(D)が銅微粒子からなり、その上に形成される導電層(E)及び金属導電性(F)も銅からなるものを挙げることができる。さらに、他の形態としては、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)の上の非導電性層(D)が銀をコア、銅をシェルとするコア−シェル粒子からなり、その上に形成される導電層(E)及び金属導電層(F)が銅からなるものを挙げることができる。
なお、本発明の導電性材料においては、絶縁性基材(A)上に形成された樹脂層(B)上の金属微粒子(c2)よりなる非導電性層(D)は、導電層(E)が形成された後では、導電層(F)の形成によって金属微粒子(c2)間の空隙が充填されることにより、樹脂層(B)上の実質的に独立した非導電性層(D)として存在しなくても良い。
本発明の導電性材料の構成について模式図を図1〜図8で示した。このような導電性材料は、絶縁性基材(A)と導電層との密着性に優れる点により、特に細線加工が必要なプリント配線板用の積層基材として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断わりがない限り「%」は「質量%」を表わす。
本発明にて用いた機器類は下記の通りである。
H−NMR:日本電子株式会社製、AL300、300Hz
TEM観察:日本電子株式会社製、JEM−2200FS
SEM観察:日立製作所製、超高分解能電界放射型走査電子顕微鏡 S−800、もしくはキーエンス社製、VE−9800
TGA測定:SIIナノテクノロジー株式会社製、TG/DTA6300
プラズモン吸収スペクトル:株式会社日立製作所製、UV−3500
動的光散乱粒径測定装置:大塚電子株式会社製、FPAR−1000
表面抵抗値測定:三菱化学株式会社製、低抵抗率計ロレスタEP(4端子法)
[酸価の測定法]
ビニル樹脂の酸価は、ビニル樹脂の製造に使用したビニル単量体の全量に対する酸基含有ビニル単量体の使用量に基づいて算出した計算値であり、〔酸基含有ビニル単量体が有する酸基の物質量(モル)/ビニル単量体の全質量〕×56100によって求めた値である。具体的には、合成例1でいえば、カルボキシル基を1個有するメタクリル酸(分子量86.09)7質量部に対して、ビニル単量体の全量が100質量部であるから、〔{(7/86.09)×1}/100〕×56100=46と算出できる。
[重量平均分子量の測定法]
前記ビニル樹脂80mgとテトラヒドロフラン20mlを混合し12時間攪拌したものを測定試料として用い、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC法)によって測定した。測定装置;東ソー(株)製高速液体クロマトグラフHLC−8220型、カラム;東ソー(株)製TSKgelGMH XL×4カラム、溶離液;テトラヒドロフラン、検出器;RI検出器。
なお、前記ビニル樹脂80mgとテトラヒドロフラン20mlとを混合し12時間攪拌しても、前記ビニル樹脂が完全に溶解せず、前記混合液を1μmのメンブランフィルターを用いてろ過した場合に、前記メンブランフィルター上に、ビニル樹脂からなる残渣が目視で確認できたものについては、重量平均分子量が100万を超えるものであると判断した。
[ゲル分率の算出方法]
常温(23℃)で乾燥し、次いで70℃で加熱して形成された樹脂層のゲル分率は、以下の方法により算出した。
厚紙で囲いをしたポリプロピレンフィルム上に乾燥後の膜厚が100μmとなるように樹脂層形成用組成物(b)を流し入れ、温度23℃及び湿度65%の状況下で、24時間乾燥し、次いで70℃で3分間加熱処理することによって樹脂層を形成した。得られた樹脂層を前記ポリプロピレンフィルムから剥離し縦3cm及び横3cmの大きさに切り取ったものを試験片とした。前記試験片1の質量(X)を測定した後、前記試験片1を25℃に調整した50mlのメチルエチルケトンに24時間浸漬した。
前記浸漬により、メチルエチルケトンに溶解しなかった試験片1の残渣(不溶解分)を300メッシュの金網で濾過した。
前記で得た残渣を108℃で1時間、乾燥したものの質量(Y)を測定した。
次いで、前記質量(X)及び(Y)の値を用い、[(Y)/(X)]×100の式に基づいてゲル分率を算出した。
また、「150℃で加熱処理を行った樹脂層のゲル分率」は、下記の方法によって算出した。
厚紙で囲いをしたポリプロピレンフィルム上に乾燥後の膜厚が100μmとなるように樹脂層形成用組成物を流し入れ、温度23℃及び湿度65%の状況下で24時間乾燥し、次いで、150℃で30分間加熱乾燥することによって樹脂層を形成した。得られた樹脂層を前記ポリプロピレンフィルムから剥離し縦3cm及び横3cmの大きさに切り取ったものを試験片2とした。前記試験片2の質量(X’)を測定した後、前記試験片2を25℃に調整した50mlのメチルエチルケトンに24時間浸漬した。
前記浸漬により、メチルエチルケトンに溶解しなかった試験片2の残渣(不溶解分)を300メッシュの金網で濾過した。
前記で得た残渣を108℃で1時間、乾燥したものの質量(Y’)を測定した。
次いで、前記質量(X’)及び(Y’)の値を用い、[(Y’)/(X’)]×100の式に基づいてゲル分率を算出した。
[表面被覆率の測定法]
基材表面の金属微粒子による表面被覆率は、日立製作所製、超高分解能電界放射型走査電子顕微鏡 S−800を用いて分散液を塗布、乾燥後の表面を倍率5万倍で観察し、観察画像を白黒画像に二値化した後、画像表面全体の面積に対する金属微粒子の占有面積を計算することで算出した。
[剥離強度試験]
A&D株式会社製 テンシロン万能試験機 RTC−1210A:めっき皮膜を1cmの短冊状に、基材から剥離し、180℃方向の引っ張り強度を求めることで剥離強度を測定した。
〔樹脂層形成用組成物(b)の製造〕
合成例1 樹脂層形成用組成物(b−1)の製造
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水350質量部、ラテムルE−118B(花王(株)製:有効成分25質量%)4質量部を入れ、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。
撹拌下、反応容器中にメタクリル酸メチル55.0質量部、アクリル酸n−ブチル38.0質量部、メタクリル酸7.0質量部からなるビニル単量体混合物と、反応性乳化剤であるアクアロンKH−1025(第一工業製薬株式会社製:有効成分25質量%)4質量部と脱イオン水15質量部とを混合して得られたモノマープレエマルジョンの一部(5質量部)を添加し、続いて過硫酸カリウム0.1質量部を添加し、反応容器内温度を70℃に保ちながら60分間で重合させた。
次いで、反応容器内の温度を70℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン(114質量部)と、過硫酸カリウムの水溶液(有効成分1.0質量%)30質量部とを、各々別の滴下漏斗を使用して、180分間かけて滴下した。滴下終了後、同温度にて60分間撹拌した。
前記反応容器内の温度を40℃に冷却し、ついで、不揮発分が20.0質量%になるように脱イオン水を使用した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、本発明で使用する樹脂層形成用組成物(b−1)を得た。
合成例2〜6 樹脂層形成用組成物(b−2〜6)の製造
ビニル単量体混合物の組成を下記表1に記載の組成にそれぞれ変更すること以外は、合成例1記載の方法と同様の方法で、不揮発分20質量%の樹脂層形成用組成物(b−2)〜(b−6)を調製した。
合成例7 樹脂層形成用組成物(b−7)の製造
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水350質量部、ラテムルE−118B(花王株式会社製:有効成分25質量%)4質量部を入れ、窒素を吹き込みながら70℃まで昇温した。
撹拌下、反応容器中にメタクリル酸メチル55.0質量部、アクリル酸n−ブチル38.0質量部、メタクリル酸7.0質量部からなるビニル単量体混合物とアクアロンKH−1025(第一工業製薬株式会社製:有効成分25質量%)4質量部と脱イオン水15質量部とを混合して得られたモノマープレエマルジョンの一部(5質量部)を添加し、続いて過硫酸カリウム0.1質量部を添加し、反応容器内温度を70℃に保ちながら60分間で重合させた。
次いで、反応容器内の温度を70℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン(114質量部)と、過硫酸カリウムの水溶液(有効成分1.0質量%)30質量部とを、各々別の滴下漏斗を使用して、180分間かけて滴下した。滴下終了後、同温度にて60分間撹拌した。
前記反応容器内の温度を40℃に冷却し、ついで、不揮発分が20.0質量%になるように脱イオン水を使用した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、本発明で使用する樹脂層形成用組成物(b−7)を得た。
表1中の略称の説明
MMA:メタクリル酸メチル
NBMAM:N−n−ブトキシメチルアクリルアミド
BA :アクリル酸n−ブチル
MAA:メタクリル酸
AM :アクリルアミド
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
L−SH:ラウリルメルカプタン
架橋剤1:メラミン系化合物[ベッカミン M−3(DIC株式会社製)、トリメトキシメチルメラミン]
参考例1 樹脂層(B)の架橋性確認
合成例2〜7に記載の樹脂形成用組成物(b)を用いた場合には、樹脂層(B)形成後、150℃で30分間乾燥するか、もしくは、70℃で乾燥したものを、さらに150℃で30分間熱処理を行うことによって、樹脂層に架橋構造が形成された。架橋構造が形成されたか否かは、前記ゲル分率の算出方法に記載の通り、「常温(23℃)で乾燥し、その後70℃で加熱した樹脂層のゲル分率」と、「更に150℃で加熱処理された樹脂層のゲル分率」とに基づいて判断した。すなわち、150℃で加熱した樹脂層のゲル分率が、常温乾燥した後、70℃で加熱して得た樹脂層のゲル分率(未架橋状態)と比較して25質量%以上増加したものを、高温加熱により架橋構造が形成されたと判断した(表2)。
〔金属微粒子の分散液の製造〕
<ポリエチレンイミンブロックとポリエチレングリコールブロックを有する化合物(P1)の合成>
合成例8〔ポリエチレングリコール(PEG)−分岐ポリエチレンイミン(PEI)構造を有する化合物(P1−1)の合成〕
8−1[トシル化ポリエチレングリコールの合成]
クロロホルム150mlに片末端メトキシ化ポリエチレングリコール(以下、PEGM)〔数平均分子量(Mn)5000〕(アルドリッチ社製)150g〔30mmol〕とピリジン24g(300mmol)とを混合した溶液と、トシルクロライド29g(150mmol)とクロロホルム30mlとを均一に混合した溶液をそれぞれ調製した。
PEGMとピリジンの混合溶液を20℃で攪拌しながら、ここにトシルクロライドのトルエン溶液を滴下した。滴下終了後、40℃で2時間反応させた。反応終了後、クロロホルム150mlを加えて希釈し、5%HCl水溶液250ml(340mmol)で洗浄後、飽和食塩水と水で洗浄した。得られたクロロホルム溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、エバポレータで溶媒を留去し、さらに乾燥した。収率は100%であった。H−NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い(2.4ppm:トシル基中のメチル基、3.3ppm:PEGM末端のメチル基、3.6ppm:PEGのEG鎖、7.3〜7.8ppm:トシル基中のベンゼン環)、トシル化ポリエチレングリコールであることを確認した。
8−2[PEG−分岐PEI構造を有する化合物の合成]
上記8−1で得られたトシル化ポリエチレングリコール23.2g(4.5mmol)と、分岐状ポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製、エポミン SP200)15.0g(1.5mmol)をジメチルアセトアミド(以下、DMA)180mlに溶解後、炭酸カリウム0.12gを加え、窒素雰囲気下、100℃で6時間反応させた。反応終了後、固形残渣を除去し、酢酸エチル150mlとヘキサン450mlの混合溶媒を加え、沈殿物を得た。該沈殿物をクロロホルム100mlに溶解し、再度酢酸エチル150mlとヘキサン450mlの混合溶媒を加えて再沈させた。これをろ過し、減圧下で乾燥した。H−NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い(2.3〜2.7ppm:分岐PEIのエチレン、3.3ppm:PEG末端のメチル基、3.6ppm:PEGのEG鎖)、PEG−分岐PEI構造を有する化合物(P1−1)であることを確認した。収率は99%であった。
合成例9〔PEG−分岐PEI−ビスフェノールA型エポキシ樹脂構造を有する化合物(P1−2)の合成〕
9−1[エポキシ樹脂の変性]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 EPICLON AM−040−P(DIC株式会社製)37.4g(20mmol)、4−フェニルフェノール2.72g(16mmol)をDMA100mlに溶解後、65%酢酸エチルトリフェニルホスホニウムエタノール溶液0.52mlを加え、窒素雰囲気下、120℃で6時間反応させた。放冷後、多量の水中に滴下し、得られた沈殿物をさらに多量の水で洗浄した。再沈精製物をろ過後減圧乾燥し、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。得られた生成物の収率は100%であった。
H−NMR測定を行いエポキシ基の積分比を考察した結果、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1分子にエポキシ環は0.95個残っており、得られた変性エポキシ樹脂は、ビスフェノールA骨格を有する単官能性のエポキシ樹脂であることを確認した。
9−2[PEG−分岐PEI−ビスフェノールA型エポキシ樹脂構造を有する化合物(P1−2)の合成]
合成例8で得られたPEG−分岐PEI構造を有する化合物(P1−1)20g(0.8mmol)をメタノール150mlに溶解した溶液に、上記エポキシ樹脂の変性で得られたビスフェノールA型の単官能性エポキシ樹脂4.9g(2.4mmol)をアセトン50mlに溶解した溶液を、窒素雰囲気下で滴下後、50℃で2時間攪拌することで反応を行った。反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、さらに減圧乾燥することにより、PEG−分岐状PEI−ビスフェノールA型エポキシ樹脂構造を有する化合物(P1−2)を得た。収率は100%であった。
<(メタ)アクリル系重合体(P2)の合成>
合成例10〔メトキシカルボニルエチルチオ基およびリン酸エステル残基を含有する(メタ)アクリル系重合体(P2−1)の合成〕
温度計、攪拌機および還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、メチルエチルケトン(以下、MEK)32部およびエタノール32部を仕込んで、窒素気流中、攪拌しながら80℃に昇温した。次に、ホスホオキシエチルメタクリレート20部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(分子量1,000)80部、メルカプトプロピオン酸メチル4.1部、MEK80部からなる混合物、および重合開始剤「2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔和光純薬株式会社製品V−65〕0.5部、MEK5部からなる混合物をそれぞれ2時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「日油パーブチル(登録商標)O」〔日油株式会社製〕0.3部を2回添加し、80℃で12時間攪拌した。得られた樹脂溶液に水を加え転相乳化し、減圧脱溶剤した後、水を加えて濃度を調整すると、不揮発物含量76.8%の(メタ)アクリル系重合体の水溶液が得られた。該樹脂のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定された重量平均分子量はポリスチレン換算で4,300、酸価は97.5mgKOH/gであった。
合成例11〔2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチルチオ基およびリン酸エステル残基を含有する(メタ)アクリル系重合体(P2−2)の合成〕
合成例10のメルカプトプロピオン酸メチル4.1部のかわりに、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル11.2部とし、他は合成例10と同様に操作し、不揮発物含量73.2%の(メタ)アクリル系重合体(P2−2)の水溶液を得た。該重合体の重量平均分子量は4,100、酸価は98.1mgKOH/gであった。
<チオエーテル基(スルフィド結合)を含む有機化合物(P3)の合成>
合成例12
〔ポリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(ポリエチレングリコール鎖の分子量2000)〕
1000gの脱水トルエン中に、カリウムt−ブトキシド(100.8g,0.8983mol)を加えて攪拌し、この混合物にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量2000,600g)のトルエン(2000g)溶液を、室温で3時間かけて滴下した。このまま室温で2時間攪拌した後、40℃に昇温して更に2時間攪拌した。この混合物に同温度でエピクロルヒドリン(168g,1.82mol)を滴下し、40℃で5.5時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して得られた残渣にクロロホルムを加えて再び溶かし、これを水で5回洗浄した。クロロホルム層に乾燥アルミナを加えて脱色し、アルミナを濾過し、濾液を濃縮した。濃縮残渣をトルエン/n−ヘキサンにより再沈殿精製し、生じた固体を集めて減圧乾燥すると、標題化合物が507.0g得られた(収率82%)。
H−NMR(重クロロホルム):δ=3.9−3.4(m,ポリエチレングリコール鎖他),3.43(dd,1H,J=6.0,5.7Hz,−オキシラン環隣接メチレン水素のうちのひとつ),3.38(s,3H,PEG末端メトキシ基),3.16(m,1H,オキシラン環メチン水素),2.79(m,1H,オキシラン環末端メチレン水素),2.61(m,1H,オキシラン環末端メチレン水素).
[メチル−3−(3−(メトキシ(ポリエトキシ)エトキシ)−2−ヒドロキシプロルスルファニル)プロピオナート
(ポリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(ポリエチレングリコール鎖の分子量2000)への3−メルカプトプロピオン酸メチルの付加化合物)の合成]
前記で得られたポリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(メトキシポリエチレングリコールの分子量2000,1.00g)に、3−メルカプトプロピオン酸メチル(221mg,1.84mmol)および1mol/Lテトラブチルアンモニウムフルオリド/テトラヒドロフラン溶液(100μL,0.10mmol)を加えた後昇温し、70〜75℃で1時間攪拌した。冷却後、この混合物に水20mLと酢酸エチル20mLを加えて良く攪拌し、静置分液した。その後、更に水層を酢酸エチル(20mL)で2回洗浄した。水層に硫酸ナトリウムを加えると、油状物が析出したので、これを塩化メチレン(20mL×3回)で抽出した。塩化メチレン層を集めて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮乾固すると0.94gの標題チオエーテル含有有機化合物(P3−1)が得られた(収率約89%)。H−NMRから、特段の精製が不要な純度であった。
H−NMR(重クロロホルム):δ=3.9−3.4(m,ポリエチレングリコール鎖他),3.70(s,3H,エステルメチル基),3.38(s,3H,PEG末端メトキシ基),2.84(t,2H,J=7.2Hz,チオール化合物側S隣接メチレン基),2.70(dd,1H,J=5.4,13.5Hz,ポリエーテル化合物側S隣接メチレン基),2.64(t,2H,J=7.2Hz,エステルカルボニル基α位メチレン水素),2.62(dd,1H,J=7.5,13.5Hz,ポリエーテル化合物側S隣接メチレン基),2.34(br,1H,OH).
合成例13
[エチル 3−(メトキシ(ポリエトキシ)エトキシ)−2−ヒドロキシプロピルスルファニルアセタート
(ポリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(ポリエチレングリコール鎖の分子量2000)へのメルカプト酢酸エチルの付加化合物)の合成]
合成例12の3−メルカプトプロピオン酸メチル(221mg,1.84mmol)のかわりにメルカプト酢酸エチル(174mg,1.45mmol)とし、他は合成例13と同様にしておこなうと、1.04gの標題チオエーテル含有有機化合物(P3−2)が得られた(収率約98%)。
H−NMR(重クロロホルム):δ=4.19(q,2H,J=6.9Hz,エチルエステルO隣接メチレン水素),3.9−3.4(m,ポリエチレングリコール鎖他),3.38(s,3H,PEG末端メトキシ基),3.30(s,2H,−SCHCO−),2.82(dd,1H,J=5.1,13.8Hz,ポリエーテル化合物側S隣接メチレン基),2.64(dd,1H,J=7.5,13.8Hz,ポリエーテル化合物側S隣接メチレン基),2.58(br,1H,OH),1.29(t、3H,J=6.9Hz,エチルエステルメチル水素).
<金属微粒子(c2)の分散体(C)の製造>
合成例14
上記合成例8で得られた化合物(P1−1)0.592gを含む水溶液138.8gに酸化銀10.0gを加えて25℃で30分間攪拌した。引き続き、ジメチルエタノールアミン46.0gを攪拌しながら徐々に加えたところ、反応溶液は黒赤色に変わり、若干発熱したが、そのまま放置して25℃で30分間攪拌した。その後、10%アスコルビン酸水溶液15.2gを攪拌しながら徐々に加えた。その温度を保ちしながらさらに20時間攪拌を続けて、黒赤色の分散体を得た。
上記で得られた反応終了後の分散液にイソプロピルアルコール200mlとヘキサン200mlの混合溶剤を加えて2分間攪拌した後、3000rpmで5分間遠心濃縮を行った。上澄みを除去した後、沈殿物にイソプロピルアルコール50mlとヘキサン50mlの混合溶剤を加えて2分間攪拌した後、3000rpmで5分間遠心濃縮を行った。上澄みを除去した後、沈殿物にさらに水20gを加えて2分間攪拌して、減圧下有機溶剤を除去して銀粒子の水性分散体(C−1)を得た。
得られた分散体(C−1)をサンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。また、TEM観察より球形の銀ナノ粒子(平均粒子径17.5nm)が確認された。TG−DTAを用いて、固体中の銀含有率を測定した結果、97.2%を示した。このことから、本合成法によって得られる分散体中の不揮発分中の化合物(P1−1)含有量は2.8%と見積もることができる。
合成例15
上記合成例9で得た化合物(P1−2)20mg(エチレンイミンユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液(1)と、硝酸銀0.16g(0.97mmol)を水1.30gに溶かした溶液(2)、クエン酸ナトリウム0.12g(0.48mmol)を水0.25gに溶かした溶液(3)をそれぞれ調製した。25℃で攪拌しながら、溶液(1)に溶液(2)を加え、続いて溶液(3)を加えた。分散液は次第に焦げ茶色へと変化した。7日間攪拌後、透析により精製し、水分散液(C−2)を得た。
得られた水分散液(C−2)1部をサンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。また、TEM観察より、20nm以下の銀ナノ粒子であることを確認した。
得られた水分散液(C−2)の溶媒を留去後、TGA測定により銀含有量を測定した結果、83%であった。また得られた水分散液は2ヶ月後も凝集、沈殿等は認められることはなく、保存安定性に優れていることを確認した。
合成例16
85%N,N−ジエチルヒドロキシルアミン463g(4.41mol)、上記合成例10で得られた(メタ)アクリル系重合体(P2−1、不揮発物23.0g相当)、および水1250gからなる還元剤溶液を調製した。別に、不揮発物11.5g相当の合成例7で得られた(メタ)アクリル系重合体(P2−1)を水333gに溶解し、これに硝酸銀500g(2.94mol)を水833gに溶かした溶液を加えて、よく攪拌した。この混合物に前記の還元剤溶液を室温(25℃)で2時間かけて滴下した。得られた反応混合物をメンブレンフィルター(細孔径0.45マイクロメートル)で濾過し、濾液を中空糸型限外濾過モジュール(ダイセン・メンブレン・システムズ社製MOLSEPモジュールFB−02型、分画分子量15万)中を循環させ、流出する濾液の量に対応する量の水を随時添加して精製した。濾液の電導度が100μS/cm以下になったことを確認した後、注水を中止して濃縮した。濃縮物を回収すると、不揮発物含量36.7%の銀ナノ粒子分散液(分散媒体は水:C−3)が得られた(742.9g)。動的光散乱法による銀粒子の平均粒子径は39nm、TEM像からは10−40nmと見積もられた。不揮発物中の銀含有量を、熱重量分析により測定したところ94.8w/w%であった(収率81%)。
合成例17
85%N,N−ジエチルヒドロキシルアミン5.56g(53.0mmol)、上記合成例11で得られた(メタ)アクリル系重合体(P2−2,不揮発物106mg相当)、および水15gからなる還元剤溶液を調製した。別に、不揮発物106mg相当の合成例21で得られた(メタ)アクリル系重合体(P2−2)を水5gに溶解し、これに硝酸銀6.00g(35.3mmol)を水10gに溶かした溶液を加えて、よく攪拌した。この混合物に前記の還元剤溶液を室温(25℃)で2時間かけて滴下した。得られた反応混合物をメンブレンフィルター(細孔径0.45マイクロメートル)で濾過し、濾液を中空糸型限外濾過モジュール(ダイセン・メンブレン・システムズ社製MOLSEPモジュールHIT−1型、分画分子量15万)中を循環させ、流出する濾液の量に対応する量の水を随時添加して精製した。濾液の電導度が100μS/cm以下になったことを確認した後、注水を中止して濃縮した。濃縮物を回収すると、不揮発物含量約30%の銀ナノ粒子の水分散液(C−4)が得られた。この銀ナノ粒子の粒径は、TEM像から10−40nmと見積もられた。
合成例18
合成例10で得た(メタ)アクリル系重合体(P2−1、固形分に換算して2.00g)を水40mLに溶解し、酢酸銅水和物10.0g(50.09mmol)を水500mLに溶解したものを加えた。これに穏やかに発泡が起こるよう80%ヒドラジン水溶液10g(約160mmol)を約2時間かけて滴下し、発泡が止むまで更に室温で1時間攪拌すると、赤褐色の溶液が得られた。
これを限外濾過モジュール(ダイセン・メンブレン・システムズ社製、分画分子量15万、1個)に通し、更に限外濾過ユニットから約1Lの滲出液がでるまで、窒素バブリングにより脱気した精製水を通過させて精製した。脱気水の供給を止め、濃縮すると15gの水分散液(C−5)が得られた(固形分約20w/w%)。この分散液一滴をエタノール(50mL)に溶解して紫外可視吸収スペクトルを測定すると、600nm付近にプラズモン共鳴に由来する吸収がみられ、銅ナノ粒子の生成を確認した。この銅ナノ粒子の粒径は、TEM像から30−80nmと見積もられた。
合成例19
酢酸銅(II)一水和物(3.00g、15.0mmol)、上記合成例12で得たチオエーテル含有有機化合物(P3−1、0.451g)およびエチレングリコール(10mL)からなる混合物に、窒素を50mL/分の流量で吹き込みながら加熱し、125℃で2時間通気攪拌して脱気した。この混合物を室温に戻し、ヒドラジン水和物(1.50g、30.0mmol)を水7mLで希釈した溶液を、シリンジポンプを用いてゆっくり滴下した。このとき、初期の還元反応に伴う窒素の発生により、激しく発泡するので注意を要した。約1/4量を2時間かけてゆっくり滴下し、ここで一端滴下を停止し、2時間攪拌して発泡が沈静化するのを確認した後、残量を更に1時間かけて滴下した。得られた褐色の溶液を60℃に昇温して、さらに2時間攪拌し、還元反応を終結させた。このとき、赤褐色の反応溶液を少量、経時的に採取し、0.1%ヒドラジン水和物添加の脱気精製水で希釈して、直ちに紫外可視吸収スペクトルを取得すると、570〜580nmにピークが観測された。これは、ナノサイズの還元銅が示すプラズモン共鳴吸収に由来する吸収であり、これによりナノ銅粒子の生成が確認できた。
(水分散体の調製)
つづいて、この反応混合物をダイセン・メンブレン・システムズ社製中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm、分画分子量15万)中に循環させ、滲出する濾液と同量の0.1%ヒドラジン水和物水溶液を加えながら、限外濾過モジュールからの濾液が約500mLとなるまで循環させて精製した。0.1%ヒドラジン水和物水溶液の供給を止め、そのまま限外濾過法により濃縮すると、2.85gの有機化合物とナノ銅粒子との複合体の水分散体(C−6)が得られた。分散体中の不揮発物含量は16%、不揮発物中の金属含量は95%であった。得られた銅粒子を電子顕微鏡で観察すると20〜60nm程度の微粒子であることが判明した。また、このとき動的光散乱法により測定した平均粒子径は108nmであった。分散体の広角X線回折からは、還元銅であることが確認できた。
合成例20
合成例12のチオエーテル含有有機化合物(P3−1)の代わりに、合成例13のチオエーテル含有有機化合物(P3−2)を用いた以外は、合成例31と同様に行い、分散液(C−7)を調製した。反応混合物の一部をとり、紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、ナノ銅粒子表面プラズモン共鳴由来の吸収極大が570〜600nmの間に観測されることを確認した。
合成例21
酸化銅(I)(5.4g、37.5mmol)、上記合成例12で得たチオエーテル含有有機化合物(P3−1、2.254g)、上記合成例16で得られた銀ナノ粒子分散液(C−3、粒径10−40nm、銀3.0ミリグラム原子、水溶媒)、エタノール80mlと水20mlからなる混合物に、窒素を50mL/分の流量で吹き込みながら、40℃まで加熱した。この混合物に、さらにヒドラジン1水和物(7.5g、150mmol)を加えた。40℃に保持したまま2時間攪拌し還元反応を終結させた。
つづいて、この反応混合物をダイセン・メンブレン・システムズ社製中空糸型限外濾過膜モジュール(HIT−1−FUS1582、145cm、分画分子量15万)中に循環させ、窒素バブリングを行った0.1%ヒドラジン水溶液を、滲出する濾液と同量加えながら限外濾過モジュールからの濾液が約500mLとなるまで循環させて精製した。0.1%ヒドラジン水溶液の供給を止め、濃縮して27.9gの銀コア銅シェルナノ粒子分散液(C−8)を得た。分散液中の不揮発物含量は15%、不揮発物中の金属含量は95%であった。得られた粒子を電子顕微鏡で観察すると40〜80nm程度の微粒子であることが判明した。また、分散体の広角X線回折から、銀と還元銅との混合物であることが確認できた。また、TEM写真及びTEM−EDS測定から銀コア銅シェル粒子であることがわかった。また得られた赤褐色の溶液を少量採取し、エチレングリコールで希釈して、紫外可視吸収スペクトルを取得すると、ナノサイズの還元銅が示す565〜580nmのプラズモン共鳴吸収のピークが観測された。また、エチレングリコール希釈液を1時間経過後に紫外可視吸収スペクトルを取得しても、プラズモン共鳴吸収のピークは減少しないことから、耐酸化性が良好であることがわかった。
合成例22〜24
合成例21において、エタノール80mlと水20mlからなる混合物を下表の混合溶媒に変更した以外は、合成例21と同様にして銀コア銅シェルナノ粒子分散体(C−9〜11)を作製した。得られた粒子を電子顕微鏡で観察すると40〜80nm程度の微粒子であることが判明した。また、分散体の広角X線回折から、銀と還元銅との混合物であることが確認できた。
比較合成例1
特許文献4の実施例1に基づき、硝酸銀(I)50μmolを純水94mlに溶解し、この溶液を激しく攪拌しながら、この溶液にステアリルメチルアンモニウムクロライド10mgを含む水溶液1ml、及び水素化ホウ素ナトリウム200μmolを含む水溶液5mlを順次注入したところ、液色が黄褐色透明に変化し、銀ヒドロゾル100mlが得られた。
比較合成例2
特許文献5の実施例2に基づき、硫酸銀10mmolを純水800mlに溶解し、この溶液中にポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸500mgを含む水溶液100mlを均一となるように撹拌しながら添加した。ついで、この溶液にジメチルアミンボラン5mmolを含む水溶液50mlを均一となるように激しく攪拌しながら添加した。溶液色が赤褐色に急変したところで、硝酸パラジウムを0.02mmol含む水溶液50mlを添加した。その結果、均一で赤褐色透明な銀微粒子分散液1000mlが得られた。
実施例1
(絶縁性基材上への樹脂層の形成)
合成例1で得た樹脂層形成用組成物(b−1)を、乾燥膜厚が100nmとなるように、ポリイミドフィルム(カプトンEN150−C、38μm厚、東レ・デュポン製)上に塗布(バーコート)し、熱風乾燥器を用いて70℃で3分間乾燥することによって、ポリイミドフィルム上に樹脂層(B)を形成し、このフィルムを、さらに150℃で30分間熱処理した。
(樹脂層上への非導電性層の形成)
合成例14で作製した銀粒子の水分散体にエタノールを加えて、銀濃度3%、水/エタノール(1/1(w/w))の銀粒子分散液とした。この分散液を、0番のK101バー(ウェット膜厚4μm)を用い、K−コントロールコーター(K101、RKプリントコートインスツルメント社製)の速度目盛り4(塗工速度10.66m/min.)で、ポリイミドフィルム上に形成された、前記架橋構造を形成した樹脂層上に塗布(バーコート)した。このフィルムを室温で乾燥させた後、このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀粒子によるポリイミド表面の被覆率は約90%であった。銀塗膜表面の抵抗を測定したところ、10Ω以上の抵抗のため測定不能で、樹脂層上に形成された銀粒子による膜が非導電性の膜であることを確認した。
(無電解銅めっき工程)
上記、樹脂層上に銀粒子を塗布したフィルムをめっき用の試験片とし、奥野製薬工業株式会社製の無電解めっき試薬を用いて無電解めっきを行った。無電解銅めっきの工程は、脱脂、水洗、活性化、水洗、無電解めっき、水洗の作業工程を経ることにより行った。水洗は2分間の流水水洗とした。
1.脱脂:脱脂剤(ICPクリーナーSC、奥野製薬工業株式会社製)を用いて、40℃の処理液中に5分間浸漬した。
2.活性化:25℃の硫酸水溶液(約6%)に2分間浸漬した。
3.無電解めっき:無電解銅めっき液(OICカッパー、奥野製薬工業株式会社製)を用いて、pH12.5のめっき液中に55℃で20分間浸漬した。
無電解銅めっき液から取り出した試験片は、銀粒子の塗布側表面全体が薄赤色となり、銅の無電解めっきが良好に進行したことが確認できた。試験片は、水洗、風乾の後、100℃で60分間のベーキングを行った。無電解めっきにより形成された銅膜の表面抵抗値は、0.04Ω/□であり、絶縁性基材である38μm厚のポリイミドフィルム上に形成した樹脂層上に銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)によるテープ剥離試験の結果、剥離が認められず、密着性も良好であった。
実施例2
(絶縁性基材上への樹脂層の形成)
150℃で30分間の熱処理を行わない以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に樹脂層を形成した。
(樹脂層上への非導電性層の形成)
実施例1と同様にして、銀濃度3%の分散液を、前記ポリイミドフィルム上に形成された、熱処理を行っていない樹脂層上に塗布(バーコート)した。このフィルムを150℃で30分間乾燥させた後、このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀粒子によるポリイミド表面の被覆率は約90%であった。銀塗膜表面の抵抗を測定したところ、10Ω以上の抵抗のため測定不能で、樹脂層上に形成された銀粒子による膜が非導電性の膜であることを確認した。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、無電解銅めっきを行ったところ、無電解めっきにより形成された銅膜の表面抵抗値は、0.04Ω/□であり、絶縁性基材である38μm厚のポリイミドフィルム上に形成した樹脂層上に銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
実施例3、4
実施例1、2において、用いる銀粒子の分散体を、合成例14で作製した銀粒子の水分散体(C−1)から、合成例15で得られた水分散体(C−2)に変更した以外は、実施例1、2と同様にして、銀粒子の非導電性層をポリイミドフィルム上に形成した樹脂層上に、塗布形成して、実施例1と同様にして無電解銅めっきを行ったところ、いずれの実施例においても、良好な銅めっき膜が形成され、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に、表面抵抗率が約0.04Ω/□程度の銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、無電解銅めっきを行ったところ、無電解めっきにより形成された銅膜の表面抵抗値は、0.04Ω/□であり、絶縁性基材である38μm厚のポリイミドフィルム上に形成した樹脂層上に銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
比較例1
(フィルム上への非導電性層の形成)
実施例1において、ポリイミド上に樹脂層を形成しない以外は、実施例1と同様にして銀濃度3%の分散液をポリイミド上に塗布したところ、銀微粒子の塗布膜は、フィルム表面で分散液のハジキが起こり、塗工面に斑模様が生じて、フィルム表面に、目視で金属微粒子の存在しない領域が多数認められた(図8)。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、無電解銅めっき処理を行ったところ、金属微粒子の存在しない領域で、めっき膜が析出せず、また、めっき処理中に、めっき析出部が剥離する現象が見られた。
比較例2
実施例2において、樹脂層上に塗工する銀粒子分散液の濃度を3%から、20%に変えた以外は、実施例2と同様にして、ポリイミドフィルム上に形成された樹脂層上に銀粒子からなる膜を形成した。このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀粒子によるポリイミド表面の被覆率は100%で、断面観察から、膜中の銀粒子の積層数は10〜12程度となっていた。この膜は、テスターでも導通が確認でき、導電性膜となっていることがわかった。
(無電解銅めっき工程)
実施例2と同様にして、無電解銅めっき処理を行ったところ、無電解めっきにより形成された銅膜の表面抵抗値は、0.06Ω/□であり、絶縁性基材である38μm厚のポリイミドフィルム上に形成した樹脂層上に銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができたが、このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験により、部分的な剥離が認められた。剥離面を観察すると、銀層が破壊して剥離していることがわかった。剥離面を観察すると、銀粒子間が融着してできた空隙内で銅が充分析出できていないことがわかった。
比較例3
実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に樹脂層を形成した。このフィルムを比較製造例1で作製した銀粒子分散液中に10分間浸漬して、樹脂層表面に銀コロイドを吸着させ、このフィルムを室温で乾燥させた後、180℃で30分間焼成した。このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀粒子によるポリイミド表面の被覆率は10%であった。
(無電解銅めっき工程)
この試験片を、実施例1と同様にして無電解めっき工程を行ったところ、無電解銅めっき工程での銅の析出は斑様の不均一な析出で全表面積の40%程度であった。
比較例4
比較製造例1で作製した銀ヒドロゾルから、エバポレータで水を除去し0.5%まで濃縮した。この時すでに銀コロイドは凝集しており、均一な分散液ではなかった。この濃縮液を用いて実施例1と同様にして、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に塗布したところ、均一な塗膜を得ることはできなかった。その後、実施例1と同様にして無電解めっき工程を行おうとしたが、全面積の30%程度に、光沢の無い不均一な銅めっき析出が起こった。
比較例5
実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に樹脂層を形成した。比較製造例2で作製した銀粒子分散液中に樹脂層を形成したポリイミドフィルムを10分間浸漬して、樹脂層表面に銀コロイドを吸着させ、このフィルムを室温で乾燥させた後、180℃で30分間焼成した。このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀粒子によるポリイミド表面の被覆率は15%であった。
(無電解銅めっき工程)
このフィルムを、実施例1と同様にして無電解めっき工程を行ったところ、無電解銅めっき工程での銅の析出は斑様の不均一な析出で全表面積の40%程度であった。
比較例6
比較製造例2で作製した銀粒子分散液から、エバポレータで水を除去し、1%まで濃縮した。この時、すでに銀コロイドは凝集しており、均一な分散液ではなかった。この濃縮液を実施例1と同様にして、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に塗布したところ、均一な塗膜を得ることはできなかった。
この銀コロイド吸着ポリイミドフィルムを、実施例1と同様にして無電解めっき工程を行ったところ、銅の析出は斑様の不均一な析出で全表面積の50%程度であった。
実施例5〜10
(絶縁性基材上への樹脂層の形成)
樹脂層形成用組成物(b−1)を、合成例2〜7で得られる樹脂層形成用組成物(b−2)〜(b−7)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム上に樹脂層(B)を形成し、このフィルムを、さらに150℃で30分間熱処理することによって、樹脂層(B)中に架橋構造を形成した。
(樹脂層上への非導電性層の形成)
このようにして得られた、前記ポリイミドフィルム上に形成された樹脂層上に、実施例1と同様にして、銀濃度3%の分散液を塗布(バーコート)した。このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀粒子によるポリイミド表面の被覆率は85〜90%であった。銀塗膜表面の抵抗を測定したところ、いずれの場合にも10Ω以上の抵抗のため測定不能で、樹脂層上に形成された銀粒子による膜が非導電性の膜であることを確認した。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、無電解銅めっき処理を行ったところ、いずれの場合にも良好な銅めっき膜が形成され、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に、表面抵抗率が約0.04Ω/□程度の銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
実施例11〜16
(絶縁性基材上への樹脂層の形成)
樹脂層形成用組成物(b−1)を、合成例2〜7で得られる樹脂層形成用組成物(b−2)〜(b−7)に変更した以外は、実施例2と同様にして、ポリイミドフィルム上に樹脂層(B)を形成した。
(樹脂層上への非導電性層の形成)
実施例1と同様にして、銀濃度3%の分散液を、前記ポリイミドフィルム上に形成された、熱処理を行っていない樹脂層上に塗布(バーコート)した。このフィルムを150℃で30分間乾燥させた後、このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀粒子によるポリイミド表面の被覆率は約80〜85%であった。銀塗膜表面の抵抗を測定したところ、10Ω以上の抵抗のため測定不能で、樹脂層上に形成された銀粒子による膜が非導電性の膜であることを確認した。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、無電解銅めっき処理を行ったところ、いずれの試験片においても、良好な銅めっき膜が形成され、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に、表面抵抗率が約0.04Ω/□程度の銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
実施例17、18
実施例5、11において、用いる銀粒子の分散体を、合成例14で作製した銀粒子の水分散体(C−1)から、合成例15で得られた水分散体(C−2)に変更した以外は、実施例5、11と同様にして、銀粒子の非導電性層をポリイミドフィルム上に形成した樹脂層上に形成して、実施例1と同様にして無電解銅めっきを行ったところ、いずれの実施例においても、良好な銅めっき膜が形成され、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に、表面抵抗率が約0.04Ω/□程度の銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
実施例19〜22
(絶縁性基材上への樹脂層の形成)
樹脂層形成用組成物(b−1)を、合成例2で得られる樹脂層形成用組成物(b−2)に変更した以外は、実施例2と同様にして、ポリイミド上に樹脂層を形成した。
(樹脂層上への非導電性層の形成)
実施例2と同様にして、銀濃度3%の分散液を、前記ポリイミドフィルム上に形成された熱処理を行っていない樹脂層上に塗布(バーコート)した。このフィルムを表8に記載の温度で30分間乾燥を行い、樹脂層中に架橋構造を形成させた。乾燥させた後、このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀粒子によるポリイミド表面の被覆率は下表に示す様に約65−87%であった。銀塗膜表面の抵抗を測定したところ、10Ω以上の抵抗のため測定不能で、樹脂層上に形成された銀粒子による膜が非導電性の膜であることを確認した。
表8:*対応する写真を、図11、12に示す。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、各試験片に対して無電解銅めっき処理を行ったところ、いずれの試験片においても、良好な銅めっき膜が形成され、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に、表面抵抗率が約0.04Ω/□程度の銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
実施例23〜34
(絶縁性基材上への樹脂層の形成)
実施例1、8と同様にして、ポリイミド上に、表9に示す樹脂層を形成した。
(樹脂層上への非導電性層の形成)
金属微粒子の分散液を(C−1)から、表9に記載の分散液に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂層上に3%の金属微粒子分散液を塗布(バーコート)した。このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子によるポリイミド表面の被覆率は約80〜90%であった。銀塗膜表面の抵抗を測定したところ、10Ω以上の抵抗のため測定不能で、樹脂層上に形成された銀粒子による膜が非導電性の膜であることを確認した。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、表9に記載した各試験片に対して無電解銅めっき処理を行ったところ、いずれの試験片においても、良好な銅めっき膜が形成され、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に、表面抵抗率が約0.04Ω/□程度の銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
比較例7
(フィルム上への非導電性層の形成)
実施例23〜34において、ポリイミドフィルム上に樹脂層を形成しない以外は、それぞれ実施例と同様にして、金属微粒子の分散液をポリイミドフィルム上に塗布したところ、いずれの場合もフィルム表面で分散液のハジキが起こり、塗工面に斑模様が生じて、フィルム表面に、目視で金属微粒子の存在しない領域が多数認められた。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、無電解銅めっき処理を行ったところ、金属微粒子の存在しない領域で、めっき膜が析出せず、また、めっき処理中に、めっき析出部が剥離する現象が見られた。
実施例35〜46
(絶縁性基材上への樹脂層の形成)
実施例2、6と同様にして、ポリイミド上に下表10の樹脂層を形成した。
(樹脂層上への非導電性層の形成)
金属微粒子の分散液を(C―1)から、表10に記載の分散液に変更した以外は、実施例2、6と同様にして、樹脂層上に3%の金属微粒子分散液を塗布(バーコート)した後、150℃で30分間の乾燥を行った。このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子によるポリイミド表面の被覆率は約70〜85%であった。銀塗膜表面の抵抗を測定したところ、10Ω以上の抵抗のため測定不能で、樹脂層上に形成された銀粒子による膜が非導電性の膜であることを確認した。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、表10に記載した各試験片に対して無電解銅めっき処理を行ったところ、いずれの試験片においても、良好な銅めっき膜が形成され、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に、表面抵抗率が約0.04Ω/□程度の銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
実施例47〜50
実施例1〜4で得られた、ポリイミドフィルム上に形成した樹脂層上に、銅の導電層を有する導電性材料を用いて、電気(硫酸銅)めっきを行った。硫酸銅めっきは、定法に基づき、脱脂、水洗、酸洗、水洗、硫酸銅めっき、水洗、防錆処理、水洗の工程を経ることにより行った。
1.脱脂:脱脂剤(DP320クリーナー、奥野製薬工業株式会社製)を用いて、45℃の処理液中に5分間浸漬した。
2.酸洗:25℃の硫酸水溶液(約5%)に1分間浸漬した。
3.硫酸銅めっき:トップルチナSF−M(奥野製薬工業株式会社製)を添加した硫酸銅めっき液を用い、23℃、2.5A/dmの条件で29分浸漬した。
4.防錆処理:防錆剤(トップリンスCU−5、奥野製薬工業株式会社製)を用い、25℃で1分間浸漬した。
4種の試験片は、いずれも電気めっき工程で剥離などを起こさず、良好な耐薬品性を示した。電気めっきを行った試験片は、水洗の後、水分を拭き取った後に熱風乾燥を行い、120℃で60分間のベーキングを行った。電気めっき後にポリイミドフィルム上に形成された銅層の平均膜厚は約15〜16μmであり、38μm厚のポリイミドフィルム上に、樹脂層を介して約16μm厚の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。形成された銅の剥離強度はいずれも7〜9N/cm程度であり、良好な密着強度を示した。
実施例51〜62
実施例47において、実施例1で得られた導電性材料を用いる代わりに、下表11に示す実施例5〜16で得られた導電性材料を用いて、実施例47と同様にして電気めっきを行った。樹脂層上に形成された銅層の平均膜厚は15〜16μmであり、38μm厚のポリイミドフィルム上に、樹脂層を介して約16μm厚の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。ポリイミドフィルム上に樹脂層を介して形成された銅の剥離強度は、7〜10N/cm程度で、良好な密着強度を示した。
実施例63〜68
(絶縁性基材上への樹脂層の形成)
実施例2、6と同様にして、ポリイミド上に下表12の樹脂層を形成した。
(樹脂層上への非導電性層の形成)
金属微粒子の分散液を(C―1)から、表12に記載の、溶媒組成の異なる分散液に変更した以外は、実施例2、6と同様にして、樹脂層上に3%の金属微粒子分散液を塗布(バーコート)した後、150℃で30分間の乾燥を行った。このフィルムの表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子によるポリイミド表面の被覆率は約65−90%であった。銀塗膜表面の抵抗を測定したところ、10Ω以上の抵抗のため測定不能で、樹脂層上に形成された銀粒子による膜が非導電性の膜であることを確認した。
(無電解銅めっき工程)
実施例1と同様にして、表12に記載した各試験片に対して無電解銅めっき処理を行ったところ、いずれの試験片においても、良好な銅めっき膜が形成され、樹脂層を形成したポリイミドフィルム上に、表面抵抗率が約0.04Ω/□程度の銅の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。このようにして形成された銅の導電層は、セロハンテープ(ニチバン製)剥離試験による密着性も良好であった。
(電気めっき工程)
実施例47において、実施例1で得られた導電性材料を用いる代わりに、表12に記載の実施例63〜68で得られた試験片を用いて、実施例47と同様に電気めっきを行った。樹脂層上に形成された銅層の平均膜厚は15〜16μmであり、38μm厚のポリイミドフィルム上に、樹脂層を介して約16μm厚の導電性層を有する導電性材料を作製することができた。ポリイミドフィルム上に樹脂層を介して形成された銅の剥離強度は、全て8〜10N/cmの範囲を示し、良好な密着強度を示した。
実施例69
実施例8、実施例14において、絶縁性基材をカプトンEN150−Cから、下表のポリイミドフィルムに変更した以外は、実施例8、実施例14と同様にして、樹脂層を形成したフィルム上に銀粒子を塗布し、銀粒子からなる非導電性層を形成した後、実施例8、14と同様にして無電解めっきを行ったところ、いずれの場合にも、表面抵抗率が0.04〜0.05Ω/□の銅の導電性層をフィルム上に形成することができた。セロハンテープ(ニチバン製)によるテープ剥離試験を行った結果、銅層は剥離せず、充分な密着性を有する膜が形成されていることを確認した。
これらの導電性材料を用い、実施例57、58と同様にして電気(硫酸銅)めっきを行った。電気めっき後にポリイミドフィルム上に形成された銅層の平均膜厚は16μmであった。ポリイミドフィルム上に形成された銅の剥離強度は、それぞれ8〜9N/cm、9〜10N/cm程度であり、充分な剥離強度が得られた。
実施例70
実施例8、14において、絶縁性基材をカプトンEN150−Cから、日光化成社製エポキシガラス積層板(厚さ3mm)に変更した以外は、実施例8、14と同様にして、エポキシガラス積層板上に樹脂層を形成し、銀粒子の分散液を塗布して、銀粒子を含有する非導電性層を形成した後、実施例8、14と同様にして無電解めっきを行ったところ、いずれの場合にも、表面抵抗率が0.04〜0.05Ω/□の銅の導電性層をエポキシガラス積層板上に形成することができた。セロハンテープ(ニチバン製)によるテープ剥離試験を行った結果、銅層は剥離せず、充分な密着性を有する銅膜が形成されていることを確認した。この導電性材料を用い、実施例47と同様にして電気(硫酸銅)めっきを行ったところ、電気めっき後にエポキシガラス積層板上に形成された銅層の平均膜厚は16μmであった。
実施例71
実施例8、14において、絶縁性基材をカプトンEN150−Cから、クラレベクスターCT−Zに変更した以外は、実施例8、実施例14と同様にして、樹脂層を形成したフィルム上に、銀粒子の分散液を塗布し、銀粒子を含有する非導電性層を形成した後、実施例8、14と同様にして無電解めっきを行ったところ、いずれの場合にも、表面抵抗率が0.04〜0.05Ω/□の銅の導電性層をベクスターCT−Zフィルム上に形成することができた。
実施例72
ポリイミドフィルム(カプトンEN150−C、38μm厚、東レ・デュポン製)上に、ヤマハファインテック社製フィルムパンチャーF602を用いて150μmφの貫通孔を形成した以外は、実施例8、14と同様にして、両表面および貫通孔内壁に樹脂層を形成し、さらにポリイミドフィルムの上に(樹脂層が形成された両表面および貫通孔内壁ともに)、銀粒子の分散液を塗布して銀の非導電性層を形成した後、無電解銅めっき処理を行った。
このようにして形成された銅の導電層は、両面ともに、セロハンテープ(ニチバン製)によるテープ剥離試験の結果、剥離が認められず、密着性も良好であった。表裏両面に電気テスターのプローブを接触させると、通電が確認でき、貫通孔を通して、表裏両面が接続されたことが確認された。
1 絶縁性基材(A)
2 樹脂層(B)
3 非導電性層(D)
3‘ 非導電性層(D)(非導電性層(D)の空隙部分が無電解銅めっきによって埋められ、全体としては、導電層となるが、その中の元々非導電性層だった部分。)
4 無電解めっきによる導電層(E)
5 電解めっきによる導電層(F)

Claims (28)

  1. (1)絶縁性基材(A)上に、樹脂層形成用組成物(b)を塗布して樹脂層(B)を形成する工程、
    (2)(1)で得られた樹脂層(B)上に窒素原子、硫黄原子、リン原子又は酸素原子を有する化合物(c1)で保護されてなる金、銀、銅及び白金からなる群から選ばれる1種以上の金属微粒子(c2)を0.5質量%以上含有する分散液(C)を塗布し、非導電性層(D)を形成する工程、
    (3)(2)で得られた非導電性層(D)を有する基材に無電解めっきを行い、導電層(E)を形成する工程
    を有する導電性材料の製造方法であって、
    前記樹脂層形成用組成物(b)が、ビニル樹脂(x)と、水性媒体(y)と、必要に応じて、水溶性樹脂(z1)及び充填材(z2)からなる群より選ばれる1種以上の成分(z)とを含有するものであり、前記ビニル樹脂(x)が水性媒体(y)に分散し、かつ、前記ビニル樹脂(x)の全量に対する前記成分(z)の含有量が0質量%〜15質量%であることを特徴とする導電性材料の製造方法。
  2. 前記ビニル樹脂(x)が、重量平均分子量10万以上で、かつ酸価が10〜80である請求項1に記載の導電性材料の製造方法。
  3. 更に
    (4)(3)で得られた導電層(E)を有する基材に電気めっきを行い導電層(E)上に金属導電層(F)を形成する工程、
    を有する請求項1又は2に記載の導電性材料の製造方法。
  4. 絶縁性基材(A)上に、樹脂層形成用組成物(b)を塗布し、樹脂層形成用組成物(b)が架橋反応しない条件で乾燥することによって、樹脂層(B)を形成し、次いで、前記樹脂層(B)の表面に、前記分散液(C)を塗布した後、加熱することによって、非導電性層(D)の下地層である、樹脂層(B)に架橋構造を形成する請求項1〜3の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  5. 絶縁性基材(A)上に、樹脂層形成用組成物(b)を塗布し、加熱することによって樹脂層(B)に架橋構造を形成させた後、前記分散液(C)を塗布して、非導電性層(D)を形成する請求項1〜3の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  6. 絶縁性基材(A)が、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー又はガラスエポキシ樹脂を成形してなる基材である請求項1〜5の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  7. 絶縁性基材(A)が、フィルム、シート又は板状の基材であることを特徴とする請求項6に記載の導電性材料の製造方法。
  8. フィルム、シート又は板状の絶縁性基材(A)が、その表裏を接続する貫通孔を有することを特徴とする請求項7に記載の導電性材料の製造方法。
  9. 前記ビニル樹脂(x)がビニル単量体混合物を重合して得られるものであって、前記ビニル単量体混合物が、前記ビニル単量体混合物の全量に対して酸基を有するビニル単量体を0.2質量%〜15質量%含有するものである請求項1〜8の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  10. 前記ビニル樹脂(x)がビニル単量体混合物を重合して得られるものであって、前記ビニル単量体混合物が、前記ビニル単量体混合物の全量に対して酸基を有するビニル単量体を0.2質量%〜15質量%、メタクリル酸メチルを0.01質量%〜80質量%、及び、炭素原子数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを5質量%〜60質量%含有するものである請求項1〜9の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  11. 前記ビニル樹脂(x)が、架橋性官能基を有するものである請求項1〜10の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  12. 前記架橋性官能基が、メチロールアミド基及びアルコキシメチルアミド基からなる群より選ばれる1種以上の熱架橋性官能基である請求項11記載の導電性材料の製造方法。
  13. 前記樹脂層形成用組成物(b)が、更に、架橋剤(w)を含有するものであって、前記架橋剤(w)が、100℃以上に加熱することによって架橋反応しうるものである請求項1〜10の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  14. 前記架橋剤(w)が、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、及び、イソシアネート化合物からなる群より選ばれる1種以上の熱架橋剤である請求項13記載の導電性材料の製造方法。
  15. 前記化合物(c1)の数平均分子量が3,000〜50,000の範囲の化合物である請求項1〜14の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  16. 前記化合物(c1)が、1分子中に窒素原子、硫黄原子、リン原子、又は酸素原子の2種以上の原子を含むものである請求項1〜15の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  17. 前記化合物(c1)が、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、リン酸基、4級アンモニウム基、4級ホスホニウム基、シアノ基、エーテル基、チオエーテル基又はジスルフィド基を有する化合物である請求項1〜15の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  18. 前記化合物(c1)が、ポリエチレンイミンブロックとポリエチレングリコールブロックを有する化合物(P1)、
    ポリエチレングリコール鎖を有する(メタ)アクリレート系マクロモノマーと、−OP(O)(OH)で表されるリン酸エステル残基を有する(メタ)アクリレート系モノマーとを、−SR(Rは、炭素数1〜18のアルキル基、ベンゼン環上に置換基を有していても良いフェニル基、又は、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のアラルキルオキシ基、ベンゼン環上に置換基を有していても良いフェニルオキシ基、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、炭素数1〜18の1価若しくは多価のアルキルカルボニルオキシ基及び炭素数1〜18の1価若しくは多価のアルコキシカルボニル基からなる群から選ばれる1つ以上の官能基を有する炭素数1〜8のアルキル基である。)で表される官能基を有する連鎖移動剤の存在下で重合させて得られる(メタ)アクリル系重合体(P2)、又は
    下記一般式(1)
    X−(OCHCHR−O−CH−CH(OH)−CH−S−Z (1)
    〔式(1)中、XはC〜Cのアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、nは2〜100の繰り返し数を示す整数であって、Rは繰り返し単位ごとに独立し、同一であっても異なっていても良く、ZはC〜C12のアルキル基、アリル基、アリール基、アリールアルキル基、−R−OH、−R−NHR、又は−R−COR(但し、RはC〜Cのアルキレン鎖であり、Rは水素原子、C〜Cのアシル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、又は芳香環上にC〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基を置換基を有していても良いベンジルオキシカルボニル基であり、Rはヒドロキシ基、C〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基である。)で表される基である。〕
    で表されるチオエーテル含有有機化合物(P3)
    である請求項1〜15の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  19. 前記金属微粒子(c2)の平均粒子径が1〜200nmの範囲である請求項1〜18の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  20. 前記分散液(C)における金属微粒子(c2)の含有率が0.5〜20質量%の範囲である請求項1〜19の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  21. 前記非導電性層(D)が、絶縁性基材(A)表面に形成された樹脂層(B)上における金属微粒子(c2)の被覆率が20〜90面積%の範囲で形成されている層である請求項1〜20の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  22. 前記非導電性層(D)が、絶縁性基材(A)表面に形成された樹脂層(B)上に、金属微粒子(c1)が5層以下の層数で積層されてなる金属粒子層である請求項1〜20の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  23. 前記非導電性層(D)の抵抗値が10Ω以上である請求項1〜22の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  24. 前記非導電性層(D)が、フィルム、シート又は板状の絶縁性基材(A)の両面に形成された樹脂層(B)上に形成されることを特徴とする請求項1〜23の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  25. 前記非導電性層(D)が、フィルム、シート又は板状の絶縁性基材(A)の両面、および、表裏を接続する貫通孔内壁上に形成された樹脂層(B)上に形成されることを特徴とする請求項8〜23の何れか1項記載の導電性材料の製造方法。
  26. 請求項1〜25の何れか1項記載の製造方法で得られることを特徴とする導電性材料。
  27. 請求項25に記載の製造方法によって得られ、表裏両面が導通していることを特徴とする導電性材料。
  28. プリント配線板用積層基材である請求項26又は27に記載の導電性材料。
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