JP2014205642A - C−sリアーゼ阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】腋臭生成抑制効果の高い、C-Sリアーゼ活性阻害剤、デオドラント剤、腋臭の生成抑制方法の提供。
【解決手段】一般式(1)で表されるカルボニル化合物及びアルコール化合物から選ばれる1種以上の化合物からなるC-Sリアーゼ阻害剤、並びにこれを含有する腋臭生成抑制用組成物及びデオドラント剤、並びに当該C-Sリアーゼ阻害剤を腋に一定量適用する腋臭生成抑制方法〔XはO又はOHを示し、破線はXがOであるときは二重結合を、XがOHであるときは単結合を示す。R1、R1'、R2,R3及びR4は、H、OH、アルキル基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を示し、R1とR4、R2とR3、R3とR4は、隣接C原子と共に環状構造を形成してもよい。ただし、XがOであるときはR1'は存在しない〕。
Figure 2014205642

【選択図】なし

Description

本発明は、C-Sリアーゼ阻害剤に関する。
近年エチケット意識の高まりに伴い、汗や体臭を気にする人が増えている。汗はほぼ全身の各部から分泌されるが、その中でも腋の汗は細菌が繁殖しやすく匂いやすい。そのため、自己や他人の腋臭を気にする人が特に増えてきている。
脇の下から発生するニオイ(腋臭ともいう)は酸っぱくて蒸れたニオイ(汗臭、酸臭などと呼ばれる)とアポクリン臭(「わきが」とも呼ばれる)に大別できる。中でもアポクリン臭は、腋の下に分布するアポクリン汗腺由来の分泌物が原因で発生し、複雑かつ強い臭気であるため、本人又はそばに居る人に特に感知されやすい。そのため、特にアポクリン臭の発生を抑制する素材が強く求められている。
例えば、特許文献1には、アミノ酸β-リアーゼ酵素の活性阻害剤として、特定のアミノ酸化合物を配合したデオドラント剤が開示されている。また、特許文献2には、ユーカリの抽出物に含まれる特定の化合物が、アポクリン臭の原因物質の一つである3-メルカプト-3-メチルヘキサン-1-オールの消失効果を有することが開示されている。
ところで、アポクリン臭は主に、(1)硫黄様で生臭いニオイと、(2)動物的でスパイシーなニオイとから構成されており、それらの主要原因成分が、前者については3-メルカプト-3-メチルヘキサン-1-オールに代表される3位にチオール基を有するアルコール化合物(以下、これらの化合物を3-メルカプトアルコール化合物ともいう)、後者については3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸に代表されるβ-ヒドロキシ酸化合物であることが知られている(特許文献3)。
また、アポクリン臭のうち(1)の硫黄様で生臭いニオイの原因物質である3-メルカプトアルコール化合物の生成能が高い菌として、ヒトの脇の下の皮膚に棲息するスタフィロコッカス・レンタス(Staphylococcus lentus)が知られている(特許文献4)。
そこで、腋臭抑制のため、上記の菌に対する抗菌性の高い物質を使用することが考えられるが、そのような殺菌剤の使用により菌の細胞膜が破壊されると、菌体内の酵素が放出される結果、3-メルカプトアルコール化合物が生成してしまい、結局は腋臭を好適に抑制することができないという問題がある。またバイオフィルムなどが形成されている場合は、抗菌剤が働かない場合もある。
一方、悪臭を香料によって被覆する、いわゆる香料によるマスキングが一般的に良く知られている。しかし悪臭と香料が混ざりあうことで悪臭を放つ場合があり、また特に腋臭のマスキング剤として香料を使用する場合、マスキング効果の持続感を得るためには、腋臭に対するマスキング効果があり、かつ皮膚上に長時間残留する香料を選ぶ必要がある。このため、使用できる香料が限られ、香りの設計の自由度が低いという問題があった。
国際公開第91/05541号パンフレット 特開2010-248120号公報 特開2004-309454号公報 特開2010-252710号公報
かかる実情において本発明者らは、腋臭成分生産菌の殺菌や、腋臭原因成分のマスキングという手段によらず、腋臭を効果的に抑制すべく、スタフィロコッカス・レンタス中に含まれるC-Sリアーゼ酵素の活性を阻害することで、腋臭原因成分の生成を抑制することを着想した。
従って本発明は、腋臭原因成分の生成自体を抑制する効果の高いC-Sリアーゼ活性阻害剤、並びにこれを含有する腋臭生成抑制用組成物及びデオドラント剤を提供すること、並びに上記C-Sリアーゼ活性阻害剤を利用した腋臭生成抑制方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定構造のカルボニル化合物又はアルコール化合物によってC-Sリアーゼの活性が阻害されることを見出した。そして更に、これらのC-Sリアーゼ活性阻害剤によって、実際にヒトの腋窩部に存在する腋臭前駆体からの3-メルカプトアルコール化合物の生成を抑制することができ、デオドラント剤に一定量配合することで、腋臭生成抑制効果を付与できることを見出した。
本発明は、一般式(1)で表されるカルボニル化合物及びアルコール化合物から選ばれる1種以上の化合物からなるC-Sリアーゼ阻害剤を提供するものである。
Figure 2014205642
〔式中、Xは酸素原子又は水酸基を示し、破線はXが酸素原子であるときは二重結合を、Xが水酸基であるときは単結合を示す。R1、R1'、R2,R3及びR4は、水素原子、水酸基又は直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルケニルオキシ基を示し、R1とR4、R2とR3、R3とR4は、それぞれ一緒になって隣接する炭素原子と共に環状構造を形成してもよい。ただし、Xが酸素原子であるときはR1'は存在しない。〕
また、上述の構造に含まれないが、ターピネオール、ジヒドロミルセノール、トリシクロデセニルアセテートによってもC-Sリアーゼの活性が阻害されることを見出した。すなわち、本発明ではターピネオール、ジヒドロミルセノール及びトリシクロデセニルアセテートから選ばれる1種以上の化合物からなるC-Sリアーゼ阻害剤を提供するものである。
更に本発明は、上記のC-Sリアーゼ阻害剤を含有する腋臭生成抑制用組成物を提供するものである。
更に本発明は、前記のC-Sリアーゼ阻害剤を含有するデオドラント剤を提供するものである。
更に本発明は、前記のC-Sリアーゼ阻害剤を、腋窩部分に対し0.1μg以上10000μg以下適用する腋臭生成抑制方法を提供するものである。
本発明によれば、腋臭の生成を効果的に抑制することができる。
〔C-Sリアーゼ阻害剤〕
本発明においてC-Sリアーゼ阻害剤とは、これをスタフィロコッカス・レンタス(Staphylococcus lentus)H292株140mgから得られる酵素液を0.5質量%含有する反応液中に0.05質量%添加することによって、酵素活性が60%以上抑制されたことが示されたものをいう。中でも、酵素活性が80%以上阻害されたものがより好ましい。
上記のC-Sリアーゼ阻害剤のスクリーニングに用いるスタフィロコッカス・レンタスの入手方法については特に制限はなく、市販のものであってもよいし、ヒト等の皮膚(好ましくは、ヒトの腋の下)から採取したものでもよい。3-メルカプトアルコール化合物の生成能がより高い菌株を用いるのが好ましく、この点から、スタフィロコッカス・レンタスH292株が好適な例として挙げられる。スタフィロコッカス・レンタスH292株は、2009年2月20日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1-1-1 つくばセンター中央第6)に、受託番号FERM P-21774で寄託されている。
本発明のC-Sリアーゼ阻害剤は、一般式(1)で表されるカルボニル化合物及びアルコール化合物から選ばれる1種以上の化合物からなるものである。
Figure 2014205642
〔式中、Xは酸素原子又は水酸基を示し、破線はXが酸素原子であるときは二重結合を、Xが水酸基であるときは単結合を示す。R1、R1'、R2,R3及びR4は、水素原子、水酸基又は直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルケニルオキシ基を示し、R1とR4、R2とR3、R3とR4は、それぞれ一緒になって隣接する炭素原子と共に環状構造を形成してもよい。ただし、Xが酸素原子であるときはR1'は存在しない。〕
一般式(1)において、R1、R1'、R2,R3及びR4がアルキル基、アルケニル基又はアルケンオキシ基である場合、それらの炭素数は1〜12であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物としては、一般式(1-1)で表されるカルボニル化合物及び一般式(1-2)で表されるアルコール化合物が好ましい。
Figure 2014205642
〔式中、R1、R2,R3及びR4は、水素原子、水酸基又は直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルケニルオキシ基を示し、R1とR4、R2とR3、R3とR4は、それぞれ一緒になって隣接する炭素原子と共に環状構造を形成してもよい。〕
一般式(1-1)において、R1としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基及びアルケニルオキシ基が好ましい。R2としては、水素原子並びに炭素数1〜5のアルキル基及びアルケニル基が好ましい。R3としては、炭素数1〜10のアルキル基及びアルケニル基が好ましい。R4としては、水素原子、水酸基及び炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。また、R1とR4、R2とR3、R3とR4が、隣接する炭素原子と共に環状構造を形成する場合、その環状構造は5又は6員環であることが好ましく、側鎖を有していてもよい。一般式(1-1)で表されるカルボニル化合物は、このような2つの基により形成される環状構造、又は環状のアルキル基若しくはアルケニル基を、分子中に少なくとも一つ有していることが好ましい。
Figure 2014205642
〔式中、R1、R1'、R2,R3及びR4は、水素原子又は直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基若しくはアルケニル基を示す。〕
一般式(1-2)において、R1としては、水素原子並びに炭素数1〜12のアルキル基及びアルケニル基が好ましい。R1'としては、水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。R2及びR3としては、水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。R4としては、水素原子並びに炭素数1〜5のアルキル基及びアルケニル基が好ましい。R1、R1'、R2,R3及びR4が、アルキル基又はアルケニル基である場合、鎖状であることが好ましい。
本発明において前記の条件を満たすC-Sリアーゼ阻害作用を有することが確認された一般式(1-1)で表されるカルボニル化合物としては、シスジャスモン、ヌートカトン、α-イオノン、β-イオノン、α-メチルイオノン、γ-メチルイオノン、α-ダマスコン、ベンズアルデヒド、β-ダマセノン、サリチル酸シス-3-ヘキセニルが挙げられる。また、本発明において前記の条件を満たすC-Sリアーゼ阻害作用を有することが確認された一般式(1-2)で表されるアルコール化合物としては、リナロール、ネロリドール、ゲラニオール、トランス-2-ヘキセノールが挙げられる。
また、上述の構造に含まれないが、ターピネオール、ジヒドロミルセノール、トリシクロデセニルアセテートについても、前記の条件を満たすC-Sリアーゼ阻害作用を示すことが確認された。
本発明において、以上のC-Sリアーゼ阻害剤は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて腋臭生成抑制用組成物に含有させることができる。また本発明のC-Sリアーゼ阻害剤又は腋臭生成抑制用組成物を、デオドラント剤に有効量配合することにより、腋臭原因成分の生成を抑制し、高い防臭効果を発揮することができる。
〔腋臭生成抑制用組成物〕
本発明の腋臭生成抑制用組成物における前記C-Sリアーゼ阻害剤の含有量は、使用時、すなわち腋窩部への適用時において、C-Sリアーゼ阻害剤の濃度が0.0001質量%以上、更には0.001質量%以上、更には0.01質量%以上、また、1質量%以下、更には0.3質量%以下、更には0.1質量%以下となるようにすることが好ましい。
本発明の腋臭生成抑制用組成物には、微生物の細胞内にC-Sリアーゼ阻害剤が浸透しやすくなり、また細胞内酵素にも効果が出る等の併用効果を有する観点から界面活性剤を配合することが好ましい。本発明で使用される界面活性剤は、上記のような効果を有するものであればよく、具体的には、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤を挙げることができるが、少なくとも非イオン界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明の腋臭生成抑制用組成物には、更に溶剤を配合することもできる。使用する溶剤は化粧料に配合できるものであればどのようなものでも良く、例えば水や水溶性の有機溶媒が挙げられる。メルカプトアルコールに対する消臭効果をより高める観点から、トリエチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-2,4-ブタンジオール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ポリエチレングリコールが好ましい。
本発明の腋臭生成抑制用組成物は、その他化粧料に通常に用いられる各種成分、例えば油分、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、増粘剤、色素類、香料等のほか、消臭基剤、保湿剤、柔軟剤、角質保護剤、薬効剤、酸化防止剤、金属塩及び金属イオン類等の成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意に配合して製剤化することができる。
〔デオドラント剤〕
本発明のデオドラント剤における前記C-Sリアーゼ阻害剤の含有量は、デオドラント剤の形態によって異なり、一律に規定することはできないが、例えば、スティックやパウダータイプのデオドラント剤の場合、0.0001質量%以上、更には0.001質量%以上、更には0.01質量%以上、また、1質量%以下、更には0.3質量%以下、更には0.1質量%以下が好ましい。また、例えば、ローションタイプ(ロールオンタイプ、噴射剤を含まないナチュラルスプレー(スプレー式ボトル)タイプ、含浸シートタイプなど)のデオドラント剤の場合、0.00005質量%以上、更には0.0005質量%以上、更には0.005質量%以上、また、0.5質量%以下、更には0.15質量%以下、更には0.05質量%以下が好ましい。さらに、例えば、噴射剤入りのスプレータイプのデオドラント剤の場合、0.00001質量%以上、更には0.0001質量%以上、更には0.001質量%以上、また、0.1質量%以下、更には0.03質量%以下、更には0.01質量%以下が好ましい。
(香料)
本発明のデオドラント剤には、本発明のC-Sリアーゼ阻害剤以外に、任意の香料を配合することもできる。具体的には、『香料と調香の基礎知識』(中島基貴編著,産業図書株式会社,1995年6月21日初版)、『合成香料−化学と商品知識』(印藤元一著、化学工業日報社、2005年3月25日 増補改訂版)、『Perfume and Flavor Chemicals」(ステファン・アークテンダー著、自費出版、1969年)に記載されている香料を使用することができる。
(水、有機溶剤)
更に、本発明のC-Sリアーゼ阻害剤をデオドラント剤に配合する場合、媒体として、水と共に、水溶性の有機溶剤を組み合わせて用いることがより好ましい。
上記の水溶性の有機溶剤の例としては、
エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブチルアルコール等のアルコール類;
エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;
エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
メルカプトアルコールに対する消臭効果をより高める観点から、トリエチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ポリエチレングリコールが好ましい。
(他の成分)
本発明のデオドラント剤は、制汗剤、殺菌剤、他の消臭剤等を含有することができる。制汗剤としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、アルミニウムヒドロキシクロライド、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム、α-ナフトールジスルホン酸アルミニウム、過ホウ酸ナトリウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、ジルコニウムクロロハイドレート、硫酸アルミニウムカリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム、酸化亜鉛が挙げられ、なかでも、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛が好ましい。
制汗剤は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、本発明のデオドラント剤中の含有量は、0.1質量%以上、更には1質量%以上が好ましく、また、30質量%以下、更には15質量%以下が好ましい。
殺菌剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、3,4,4-トリクロロカルバニリド、トリエチルシトレート、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、フェノール、ソルビン酸、サリチル酸、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンイソプロピルメチルフェノール、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ等が挙げられる。これらは2種以上を使用してもよい。好ましくは、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールである。殺菌剤の含有量は、前記デオドラント組成物全体に対し、デオドラント効果の点から、0.01質量%以上、更には0.1質量%以上が好ましく、また、1質量%以下、更には0.5質量%以下が好ましい。
他の消臭剤としては、例えば、酸化亜鉛、活性炭等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
本発明のデオドラント剤には、上記した成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲において、化粧料に用いられる他の成分、例えば、冷感剤、粉末成分、水溶性成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤等を必要に応じて適宜含有させることができる。
(剤型)
本発明のデオドラント剤の剤型としては、特に制限は無く、エアゾール系、溶液系、可溶化系、乳化系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等が挙げられる。製品形態としては、例えば、化粧水、ミストタイプ、エアゾールタイプ、ロールオンタイプ、スティックタイプ、ボディーペーパーなどとすることができる。中でもロールオンタイプ、スティックタイプの剤型が好ましい。
(pH)
本発明のデオドラント剤のpHは、肌への適用の観点から3〜5に調整することが好ましく、更に制汗剤を含有させることを考慮すると、pH3〜4とすることが好ましい。なお、デオドラント剤が水−油二層系、水−油−粉末三層系の場合には、水層のpHを測定する。
〔腋臭の生成抑制方法〕
本発明のC-Sリアーゼ阻害剤は、体表面、特に腋窩に塗布することで、腋臭のうち、硫黄様のニオイである3-メルカプトアルコール由来のニオイの発生を効果的に抑制することができる。
C-Sリアーゼ阻害剤は、腋窩に対し0.1μg以上、更には1μg以上、また、10000μg以下、更には3000μg以下適用するのが好ましい。また、C-Sリアーゼ阻害剤は、腋窩部の汗に対して0.01ppm以上、更には0.1ppm以上、更には1ppm以上、また、100000ppm以下、更には10000ppm以下、更には1000ppm以下となるように体表面に塗布するのが好ましい。
具体的には、例えばC-Sリアーゼ阻害剤を含有するデオドラント剤を適用する場合、C-Sリアーゼ阻害剤の適用量として、腋窩に0.1μg以上、更には1μg以上、また、10000μg以下、更には3000μg以下となるように塗布するのが好ましい。
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
<1>
一般式(1)で表されるカルボニル化合物及びアルコール化合物から選ばれる1種以上の化合物からなるC-Sリアーゼ阻害剤。
Figure 2014205642
〔式中、Xは酸素原子又は水酸基を示し、破線はXが酸素原子であるときは二重結合を、Xが水酸基であるときは単結合を示す。R1、R1'、R2,R3及びR4は、水素原子、水酸基又は直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルケニルオキシ基を示し、R1とR4、R2とR3、R3とR4は、それぞれ一緒になって隣接する炭素原子と共に環状構造を形成してもよい。ただし、Xが酸素原子であるときはR1'は存在しない。〕
<2>
一般式(1)で表される化合物が、好ましくはシス−ジャスモン、ヌートカトン、β-イオノン、α-ダマスコン、ベンズアルデヒド、α-イオノン、α-メチルイオノン、γ-メチルイオノン、β-ダマセノン、サリチル酸シス-3-ヘキセニル、リナロール、ネロリドール、ゲラニオール及びトランス-2-ヘキセノールから選ばれるものである<1>に記載のC-Sリアーゼ阻害剤。
<3>
<1>又は<2>に記載のC-Sリアーゼ阻害剤を含有する腋臭生成抑制用組成物。
<4>
使用時におけるC-Sリアーゼ阻害剤の濃度が、好ましくは0.0001質量%以上、更に好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である<3>に記載の腋臭生成抑制用組成物。
<5>
好ましくは、更に界面活性剤、より好ましくは非イオン界面活性剤を含有する<3>又は<4>に記載の腋臭生成抑制用組成物。
<6>
好ましくは、更に溶剤、より好ましくはトリエチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-2,4-ブタンジオール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、及びポリエチレングリコールから選ばれる1又は2以上の溶剤を含有する<3>〜<5>のいずれかに記載の腋臭生成抑制用組成物
<7>
<1>又は<2>に記載のC-Sリアーゼ阻害剤を含有するデオドラント剤。
<8>
スティック又はパウダータイプであって、C-Sリアーゼ阻害剤の含有量が、好ましくは0.0001質量%以上、更に好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である<7>に記載のデオドラント剤。
<9>
ローションタイプであって、C-Sリアーゼ阻害剤の含有量が、好ましくは0.00005質量%以上、更に好ましくは0.0005質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上であり、また、好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.15質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下である<7>に記載のデオドラント剤。
<10>
噴射剤入りのスプレータイプであって、C-Sリアーゼ阻害剤の含有量が、好ましくは0.00001質量%以上、更に好ましくは0.0001質量%以上、更に好ましくは0.001%以上であり、また、好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下である<7>に記載のデオドラント剤。
<11>
好ましくは、更に溶剤、より好ましくはトリエチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-2,4-ブタンジオール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、及びポリエチレングリコールから選ばれる1又は2以上の溶剤を含有する<7>〜<10>のいずれかに記載のデオドラント剤
<12>
<1>又は<2>に記載のC-Sリアーゼ阻害剤を、腋窩部分に対し、好ましくは0.1μg以上、更に好ましくは1μg以上となるように、また、好ましくは10000μg以下、更に好ましくは3000μg以下となるように適用する腋臭生成抑制方法。
参考例1;腋臭前駆体の分解生成物の確認
2-アミノ-7-ヒドロキシ-5-メチル-5-プロピル-4-チア-1-ヘプタン酸水溶液(0.2μM)0.05mL、後述する方法により得られるスタフィロコッカス・レンタス由来の酵素抽出液0.1mL、ピリドキサルリン酸(1mM水溶液)0.05mL、0.5質量%リン酸カリウム緩衝液(50mM、pH8.1)0.2mLを蒸留水に加え、1.25mLとし、37℃になるよう加温し、20時間静置した。放置後のサンプルは、3-メルカプト-3-メチルヘキサン-1-オール由来の悪臭が確認された。また、サンプルを分析し、2-アミノ-7-ヒドロキシ-5-メチル-5-プロピル-4-チア-1-ヘプタン酸の含有量が低減すると共に、ピルビン酸が生成することを確認した。
このことから、基質である2-アミノ-7-ヒドロキシ-5-メチル-5-プロピル-4-チアヘプタン酸がスタフィロコッカス・レンタス由来の酵素により分解され、ピルビン酸と3-メルカプト-3-メチルヘキサン-1-オールを生成することが確認できた。すなわち、基質を分解している酵素がC-Sリアーゼであることが確認できた。以後、評価に使用する基質として、2-アミノ-7-ヒドロキシ-5-メチル-5-プロピル-4-チア-1-ヘプタン酸に代え、C-Sリアーゼの基質としてよく知られているベンジルシステインを使うこととした。
実施例1 各種化合物のモデル評価系におけるC-Sリアーゼ阻害効果の測定
<酵素抽出液の調製>
SCD液体培地200mLにスタフィロコッカス・レンタスH292株を植菌し、35℃で16時間培養した。遠心分離によって菌体を沈め上澄み液を廃棄した。生理食塩水を加えて混合した後、再び遠心分離によって菌体を沈め上澄み液を廃棄する操作(菌体の洗浄)を2回行い、菌体140mgを得た。0.1Mリン酸カリウム緩衝液(KPB;pH7.2)0.7mLを加えた後、マイクロビーズを加えて攪拌し(1800rpm, 10分×2回)、菌体膜を破壊した。再び遠心分離した後、不溶物を取り除き、得られた液体(約1mL)を取り出し、純水で10倍(w/w)希釈したものを酵素抽出液として次の実験に用いた。
<各種素材の評価>
ベンジルシステイン(10mM水溶液)20μLと、評価対象となる化合物(評価サンプル)の1質量%DPG溶液10μLとを混合し、30℃になるよう加温した。
一方、スタフィロコッカス・レンタスH292酵素抽出液10μL、ピリドキサルリン酸(1mM水溶液)10μL、0.5質量%ホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)20μLを蒸留水に加え、170μLとし、30℃になるよう加温した。
これら2種類の液の混合液0.2mLを30℃で20時間静置した。トリクロロ酢酸5μLを加えた後、炭酸アンモニウム水60μLで中和した。試料に含まれるピルビン酸をLC-MS/MSにより下記条件で定量した。
LC-MS/MS条件
カラム:Inertsil ODS-3, 5μm, 2.1mmID, 25cm
展開液:水(80%)メタノール(20%)混合液(2mM酢酸アンモニウム)
また、対照(ブランク)として、評価サンプルを加えることなく、以下の試験をした際のピルビン酸の生成量を定量した。
すなわち、ベンジルシステイン(10mM水溶液)20μLと、DPG10μLとを混合し、30℃になるよう加温した。一方、スタフィロコッカス・レンタスH292酵素抽出液10μL、ピリドキサルリン酸(1mM水溶液)10μL、0.5質量%ホウ酸緩衝液(50mM、pH8.5)20μLを蒸留水に加え170μLとし、30℃になるよう加温した。これら2種類の液の混合液0.2mLを30℃で20時間静置した。トリクロロ酢酸5μLを加えた後、炭酸アンモニウム水60μLで中和した。試料に含まれるピルビン酸をLC-MS/MSにより上記条件で定量した。
下記式に従って、ブランクで得られたピルビン酸量を100%とし、評価サンプルを加えたことで減少したピルビン酸量の割合をC-Sリアーゼ阻害率とした。この結果を表1に示す。
Figure 2014205642
Figure 2014205642
表1に示すように、ゲラニオールと構造が似ているが、β位に二重結合がない化合物であるL-シトロネロールにはC-Sリアーゼ阻害効果は見られなかった。同様に、リナロールと骨格構造が類似しているが、二重結合を含まない化合物であるテトラハイドロリナロールにもC-Sリアーゼ阻害効果はみられなかった。これらの結果から、特定の類似した分子構造を有するグループにおいて、β位に二重結合を有しないカルボニル化合物及びアルコール化合物は、抑臭効果がなく、β位に二重結合のあるカルボニル化合物及びアルコール化合物には、C-Sリアーゼ阻害効果があるものと推測される。
また、本試験において、試験液中での基質に対する評価サンプルの量はモル比で2〜3倍程度であり、評価サンプルが発生するS化合物由来の臭気をマスキングする効果はないか、あるいは弱いと推測されるにもかかわらず、抑臭効果があった。これは腋臭前駆体の分解を抑制したためであると推測される。
実施例2 特定香料のモデル評価系におけるC-Sリアーゼ阻害効果の測定
ターピネオール、ジヒドロミルセノール、トリシクロデセニルアセテートについても実施例1と同様の手法でC-Sリアーゼ阻害率を測定した。この結果を表2に示す。
Figure 2014205642
処方例1 スティックタイプのデオドラント剤
以下の処方に従い、スティックタイプのデオドラント剤に、香料として実施例1でC-Sリアーゼ阻害率が60%以上であった化合物を配合することでC-Sリアーゼの活性を阻害し、腋臭の生成を抑制することができる。
Figure 2014205642
処方例2 ローションタイプ(ロールオン)のデオドラント剤
以下の処方に従い、ロールオンタイプのデオドラント剤に、香料として実施例1で阻害率が60%以上であった香料を配合することで、C-Sリアーゼの活性を阻害し、腋臭の生成を抑制することができる。
Figure 2014205642
処方例3 ローションタイプ(ナチュラルスプレー)のデオドラント剤
以下の処方に従い、ローションタイプのデオドラント剤に、香料として実施例1で阻害率が60%以上であった香料を配合することで、C-Sリアーゼの活性を阻害し、腋臭の生成を抑制することができる。この溶液はそのままローションとして使用することができる。
Figure 2014205642

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表されるカルボニル化合物及びアルコール化合物から選ばれる1種以上の化合物からなるC-Sリアーゼ阻害剤。
    Figure 2014205642
    〔式中、Xは酸素原子又は水酸基を示し、破線はXが酸素原子であるときは二重結合を、Xが水酸基であるときは単結合を示す。R1、R1'、R2,R3及びR4は、水素原子、水酸基又は直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、アルケニル基若しくはアルケニルオキシ基を示し、R1とR4、R2とR3、R3とR4は、それぞれ一緒になって隣接する炭素原子と共に環状構造を形成してもよい。ただし、Xが酸素原子であるときはR1'は存在しない。〕
  2. 一般式(1)で表される化合物が、シス−ジャスモン、ヌートカトン、β-イオノン、α-ダマスコン、ベンズアルデヒド、α-イオノン、α-メチルイオノン、γ-メチルイオノン、β-ダマセノン、サリチル酸シス-3-ヘキセニル、リナロール、ネロリドール、ゲラニオール及びトランス-2-ヘキセノールから選ばれるものである請求項1に記載のC-Sリアーゼ阻害剤。
  3. ターピネオール、ジヒドロミルセノール及びトリシクロデセニルアセテートから選ばれる1種以上の化合物からなるC-Sリアーゼ阻害剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のC-Sリアーゼ阻害剤を含有する腋臭生成抑制用組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のC-Sリアーゼ阻害剤を含有するデオドラント剤。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のC-Sリアーゼ阻害剤を、腋窩部分に対し0.1μg以上10000μg以下適用する腋臭生成抑制方法。
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