JP2014204738A - 凍結乾燥食品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の凍結乾燥食品の製造方法は、前処理を施した食材を、100℃を超える過熱蒸気で加熱することにより加熱調理し、その後に真空凍結乾燥する。本発明の凍結乾燥食品は、前記の凍結乾燥食品の製造方法により得られた凍結乾燥食品であって、食品の表面は高温加熱され、食品内部に食品の旨味が残存している。この凍結乾燥食品(1)は、湯戻しすると表面の良く熱が入っている層(スキン層)(2)と、内部の普通に加熱された部分(3)が存在する。
【選択図】図1
Description
本発明でいう食材とは、肉類、魚介類、野菜類などがある。肉類としては、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉などがある。魚介類としては、鮭、鱈、鯛、たらこ、明太子などがある。野菜類としては、玉ねぎ、ねぎ、じゃがいも、ごぼう、コーンなどがある。
本発明でいう前処理とは、食材を所定の大きさにカットすること、及び味付け調味を施すことから選ばれる少なくとも一つである。所定の大きさとは、即席食品に好適な凍結乾燥食品の大きさのことであり、好ましい大きさは縦、横、厚さともに2mm以上であり、さらに好ましくは縦、横、厚さ4mm以上である。縦、横については、50mm以下が好ましく、また好ましい厚さの上限は、30mm以下が好ましく、さらに好ましくは20mm以下である。食材の形状は任意である。味付け調味は、しょうゆ、食塩、糖類、みりん、肉エキス、野菜エキス、旨味調味料、食用油脂、加工澱粉、香辛料、色素類、酸化防止剤などの調味料で味付けすることをいう。味付け調味は、食材や目的とする食品によって異なるが、いかなるものであっても良い。
肉類、野菜類、魚介類については、従来から蒸す(蒸し機)、焼く(焼成機)、ゆでる(ボイル機)、揚げる(フライヤー)などの加工調理が施される。しかし、従来の加熱調理には次のような問題があった。
(1)蒸しの場合、大型具材は70〜90℃で約30〜60分の条件が必要であり、生産性は低く、食材の旨味も消失してしまう問題があった。
(2)焼成機の場合は、予め食材を加熱調理しておかないと、焼成工程において焼きの色調が出るまでに時間がかかり、形状が崩れるおそれがあり、商品としての価値が低下する問題があるうえ、食材の旨味も消失してしまう問題があった。
(3)ゆでる工程については、大量の湯が必要になり、とくに野菜の場合は色調を鮮やかにするために、冷水にて冷却工程が必要になるうえ、食材の旨味も消失してしまう問題があった。
(4)フライ商品については、通常のフライヤーにて大量の油を必要とし、凍結乾燥する場合は、フライ後、調味液浸漬の工程にて脱油という工程を通さなければ凍結乾燥された食品が湯復元されない問題があった。
(5)以上加熱手段に比較して、本発明で使用する100℃を超える過熱蒸気は、前記(1)〜(4)の問題はなく、加熱効率が良く、短時間で効率的に食材を加熱でき、同時に殺菌もでき、旨味や香ばしい香りを食材の内部に保持させた状態で加熱調理できる利点がある。同時殺菌はとくに肉類、魚介類に有効である。
食品を乾燥させる手段は、熱風乾燥、風乾、真空凍結乾燥などがあるが、熱風乾燥では食品の旨味は消失してしまう問題がある。また風乾では乾燥に長時間必要であり、空気中の菌やごみが付着する問題がある。これに対して本発明で使用する真空凍結乾燥は、衛生的であり、低温で乾燥できることから食材の本来の旨みが残る利点がある。真空凍結乾燥時の真空度は200パスカル以下が好ましく、さらに好ましくは133パスカル以下であり、より好ましくは106パスカル以下である。真空凍結乾燥時の製品温度は70℃以下が好ましく、さらに好ましくは60℃以下であり、より好ましくは50℃以下である。なお、真空凍結乾燥に先立って、−10〜−45℃の温度で10〜36時間程度凍結処理を行う、いわゆる予備凍結を実施してもよい。凍結乾燥後の水分率は5.0%以下が好ましく、さらに好ましくは3.0%以下である。
本発明で得られる凍結乾燥食品は、通常の湯戻しで食べられるようになる。すなわち、即席麺、即席味噌汁、即席スープなどで使用されているように、高温の湯を加え、数分間浸漬させることで食べられる状態に戻る。もちろん、煮炊きしても戻すことができる。
(実施例1)
(1)味付け調味工程
鶏肉を50mm角にカットし、調味液に混合した。調味液は、醤油、砂糖、みりん、食塩、肉エキス、旨味調味料、オニオンパウダー、食用油脂、酸化防止剤とした。この状態で温度5℃とし、12時間保管した。その後、−30℃で24時間凍結させた。
凍結させた食材を縦、横、厚さともに15mmにダイスカットした。
350℃の過熱蒸気を用いて4分間加熱処理した。その後、トレイに並べた。
食材を−30℃、20時間で凍結し、真空度を106パスカル以下とし、真空凍結乾燥をした。得られた凍結乾燥食品の水分は0.5〜2.0%であった。凍結乾燥食品は所定の重量ごとに包装した。
(5)湯戻し
包装した凍結乾燥食品を開封し、90℃のお湯に入れて3分間保持し、食べられる状態にした。この状態の食品は色艶がよく、肉汁は残っており、食材の持つ本来の食感、旨味、香ばしい香りを保持できていた。この食感や旨味は、従来法では得られない良質のものであった。また、断面を観察したところ、スキン層の厚さは約0.5mmであった。
加熱手段を実施例1の過熱蒸気に換えて、ガス直火を用いて焼成した。工程は表1に示すとおりである。表1には実施例1と対比して示した。得られた凍結乾燥食品を湯戻ししたところ、色艶はなく、肉汁は感じられず、食材の持つ本来の食感と旨味及び香りは失われており、実施例1品に比べると見劣りするものであった。
食材としてポテトフライの例を挙げる。工程と処方は表2に示すとおりである。
食材としてポテトボイル調理の例を挙げる。工程と処方は表3に示すとおりである。
2 良く熱が入っている層(スキン層)
3 普通に加熱された部分
Claims (9)
- 前処理を施した食材を、100℃を超える過熱蒸気で加熱することにより加熱調理し、
その後に真空凍結乾燥することを特徴とする凍結乾燥食品の製造方法。 - 前記過熱蒸気の温度が120℃〜400℃の範囲である請求項1記載の凍結乾燥食品の製造方法。
- 前記過熱蒸気で加熱する時間が1〜10分間である請求項1又は2に記載の凍結乾燥食品の製造方法。
- 前記過熱蒸気で加熱することにより、加熱調理と殺菌処理を同時に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の凍結乾燥食品の製造方法。
- 前記真空凍結乾燥時の真空度が200パスカル以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の凍結乾燥食品の製造方法。
- 前処理が、食材を所定の大きさにカットすること、及び味付け調味を施すことから選ばれる少なくとも一つである請求項1〜5のいずれか1項に記載の凍結乾燥食品の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の凍結乾燥食品の製造方法により得られた凍結乾燥食品であって、
食品の表面は高温に加熱され、食品内部には食品の旨味が残存していることを特徴とする凍結乾燥食品。 - 前記凍結乾燥食品の水分率が5.0%以下である請求項7に記載の凍結乾燥食品。
- 前記凍結乾燥食品を湯戻しすると、表面にスキン層が認められる請求項7又は8に記載の凍結乾燥食品。
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2014
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