JP2004138346A - 過熱蒸気調理装置 - Google Patents

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Tomoko Tani
谷  知子
Ikuko Tanaka
田中 郁子
Yoshitaka Kawasaki
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Abstract

【課題】エネルギーロスを減らす過熱蒸気調理装置を提供する。
【解決手段】食品を収納する調理室1と、水を蒸発させるための水受け皿4と後述する過熱手段9から構成される蒸発手段16と、水受け皿4に水を供給するためのタンク5と給水パイプ6とポンプ7とで構成される給水手段17と、蒸発手段16によって発生した水蒸気を調理室1に送り込む流通路18と、調理室1を流通路18によって水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に区分し、水蒸気が送り込まれる側の容積を変化させ得る可動の区分壁13と、蒸発手段16によって発生した水蒸気を過熱する過熱手段9とを備えた過熱蒸気調理装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過熱蒸気調理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
過熱蒸気を利用した加熱調理装置は、過熱蒸気の温度を選択することで、蒸しものや、茹でものの湿式加熱から、焼き物などの乾式加熱まで幅広い加熱調理が行われている。特に、焼き魚などの場合は、柔らかく蒸し焼きに近い状態に焼き上げることが要求されるため、高温の過熱蒸気を用いて加熱調理を行っている。これらの過熱蒸気調理装置では調理物に合わせた温度の過熱蒸気を発生するために、調理室とは別にボイラーなどの蒸気発生機構が併設されており、そこで温度調整された過熱蒸気が調理室内に送られてくる。
【0003】
従って、調理室内に満たされた過熱蒸気は、一定の温度条件に保持された状態となり、その温度に適した調理メニューの加熱が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−184964号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の過熱蒸気調理装置は、調理室の容積に対して食品の容量がわずかしかない場合でも、調理室全体に過熱蒸気を充満させて加熱調理を行っていた。すなわち、調理室全体に過熱蒸気を充満させるために費やす水量と熱量は、常に一定量必要であった。
【0006】
飲食店のような、常に調理室全体に食品を投入するような大量調理においては、調理室内全体に過熱蒸気を満たすのは有効である。しかし、一般家庭のように、大量調理を行うことよりは少量多品種の調理が主である場合、調理室全体に過熱蒸気を充満させたのでは、調理する食品は少量なのに対して、蒸気発生量は過多となり、無駄なエネルギーを消費するという問題があった。
【0007】
また、調理室内はある1つの条件の過熱蒸気雰囲気になるため、例えば200℃の過熱蒸気雰囲気に設定されると、この過熱蒸気雰囲気に適応する調理物のみしか加熱できず、過熱蒸気のない雰囲気で調理したほうが良い食品と同時に加熱調理することは出来なかった。
【0008】
一方、焼き魚やハンバーグなどの強い焼き色が必要な食品を、上記のような過熱蒸気雰囲気で調理すると乾燥空気よりもしっとりとして軟らかい食感で、香りも良くなるが、焼き色が薄くなるという欠点があった。また、焼き色不足を補うために、加熱初期から食品に輻射加熱を行うと、内部が可食温度に到達するときには、食品表面部の乾燥が進み、ぱさつきと焦げが生じてしまい、食感や外観が損なわれるという問題が生じていた。
【0009】
本発明は、上記従来の過熱蒸気調理装置の課題を考慮し、エネルギーロスを減らし、又は少量の多品種を一度に調理でき、又は強い焼き色を形成できる過熱蒸気調理装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、食品を収納する調理室と、水を蒸発させるための蒸発手段と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室に送り込む流通路と、前記調理室を前記流通路によって前記水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に区分し、前記水蒸気が送り込まれる側の容積を変化させ得る可動の区分壁と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室内、又は前記調理室外で過熱する過熱手段とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【0011】
また、第2の本発明は、食品を収納する調理室と、水を蒸発させるための蒸発手段と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室に送り込む流通路と、前記調理室を前記流通路によって前記水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に区分する区分壁と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室内、又は前記調理室外で過熱する過熱手段と、前記水蒸気が送り込まれない側を加熱する加熱手段とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【0012】
また、第3の本発明は、前記加熱手段が前記区分壁に設けられた加熱手段である第2の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0013】
また、第4の本発明は、食品を収納する調理室と、水を蒸発させるための蒸発手段と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室内に送り込む流通路と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室内、又は前記調理室外で過熱する過熱手段と、前記調理室に収納した食品の載置部との距離が相対的に変化させ得る構造の加熱手段とを備えた過熱蒸気調理装置である。
【0014】
また、第5の本発明は、前記調理室を前記流通路によって前記水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に区分し、前記流通路を備えた側の前記調理室の容積を変化させ得る可動の区分壁を更に備え、前記加熱手段が前記区分壁に設けられた加熱手段である第4の本発明の過熱蒸気調理装置である。
【0015】
【実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における過熱蒸気調理装置の概略縦断面図である。図に示すように、本実施の形態1の過熱蒸気調理装置は、調理室1を備えている。調理室1の1つの側面には、食品を搬入、搬出するための扉2が備えられている。調理室1の底面には、食品を置くための載置台3が設置されている。
【0017】
また、調理室1の外部には、水を蒸発させるための水受け皿4が設置されている。水を貯めるタンク5も設置されており、タンク5から水受け皿4の上部に水を導くための給水パイプ6が設置されている。タンク5上部の給水パイプ6には、水をタンク5からくみ上げ、水受け皿4に供給するためのポンプ7が設置されている。
【0018】
また、本実施の形態1の過熱蒸気調理装置は、水受け皿4と調理室1を内包した筐体8を有している。筐体8と調理室1の間には、水受け皿4によって発生した水蒸気を過熱蒸気にするためのシーズヒータからなる手段(以下、過熱手段という)9が備えられている。調理室1の底面には、過熱蒸気を調理室1内に導くための流通口10が設けられている。
【0019】
更に、筐体8と調理室1の間には、過熱蒸気を流通口10を通して調理室1内に、圧送供給するためのモータ駆動のファンからなる気流循環手段11が調理室1の底面外部近傍に設置されている。調理室1内には、調理室1の側面に皿固定手段12が備えられている。
【0020】
ここで、図2に扉2方向からの過熱蒸気調理装置の概略縦断面図を示す。図に示すように、皿固定手段12は、円柱形状で、調理室1の側面に垂直に固定され、また底面と垂直に上下2本備えられている。さらに、対向する側面にも同様に上下に2本固定されている。区分壁13に施された窪み13bに皿固定手段12を嵌め込んで、区分壁13を固定する。ここで、区分壁13は、上方より見て長方形の皿形状をしており、その全ての縁13aが、板状部分に対して垂直に同方向に曲げられている。また、区分壁13は、調理室1の3方の側面と扉2に、縁13aが密着できる大きさを有している。さらに、区分壁13の扉2との密着部分を含まない対向する縁13aには、窪み13bを有しており、窪み13bは、縁13aが曲げられている方向と反対の平面に設けられており調理室1の側面に対向して備えられている皿固定手段12に嵌る形状をしている。また、筐体8には、余剰の気流を流出させるための排気口14が備えられている。
【0021】
さらに、過熱手段9や気流循環手段11やポンプ7を動作制御するための制御部15が備えられている。
【0022】
以上のような構成をした過熱蒸気調理装置を用いた調理方法について以下に説明する。
【0023】
はじめに、制御部15に備えられた調理開始ボタン(詳細図示していない)を選択すると、信号が発せられ、過熱手段9及び気流循環手段11が作動し、調理室1内は選択された所定の温度(100℃以上)に予熱される。
【0024】
次に、予熱終了後、食品を調理室1に投入し、投入した食品の高さに合わせて、区分壁13を皿固定手段12の上か下の対に適切に嵌め込む。この時、この区分壁13の縁13aが調理室1の3方の側面に密着し、扉2に残りの縁13aが密着した状態となり、調理室1は、水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側の2つの空間に区切られる。
【0025】
次に、区分壁13投入後、再度調理開始ボタンを選択すると、ポンプ7に通電され、タンク5の水が水受け皿4に供給される。同時に、過熱手段9および気流循環手段11も作動する。予熱温度と等しく昇温されていた水受け皿4に供給された水は、気化熱を受けて水蒸気となる。この水蒸気は、更に過熱手段9からの過熱をうけて、100℃以上の過熱蒸気となり、気流循環手段11によって、流通口10を経由して調理室1内に圧送供給される。
【0026】
さらに、ポンプ7による水供給を継続すると、区分壁13で区切られた流通口10を備えた側の空間内は、気化して加熱膨張した水蒸気によって大部分が占められ、予熱時に存在していた空気は排出され、100℃以上に加温昇温された水蒸気の過熱蒸気で満たされた状態となる。この過熱蒸気で満たされた空間内で、食品の調理が行われる。
【0027】
ここで、区分壁13で区切られた食品が置かれている空間に過熱蒸気を充満させるのに必要な水と蒸気発生のための熱量は、区分壁13によって区切らない場合よりも少なくて済む。例えば、この調理室1全体を30Lとして200℃の過熱蒸気で満たす場合について必要水量と蒸気発生のための熱量を計算すると次のようになる。
【0028】
水1molは18gで22.4L(0℃、1気圧の標準状態で)の水蒸気になることから、30Lの調理室1に200℃の過熱蒸気を充満させるために必要な水量は、25℃の水を使用した時で13.9gとなる。さらに200℃の過熱蒸気発生に費やす熱量は、水の蒸発潜熱と25℃の水が200℃に温度上昇する顕熱の総和で求められる。潜熱は水の蒸発潜熱が2260kJ/kgであることから、13.9gの水の潜熱を計算すると31.41kJとなる。一方、顕熱は10.19kJで、これらの潜熱と顕熱の和は41.60kJとなり、30Lの調理室1内を200℃の過熱蒸気で充満させるには、計算上13.9gの水と41.60kJの熱エネルギーが必要となる。
【0029】
しかし、本実施の形態1では、区分壁13を調理室1壁面で密着するように配置することで、食品の高さ形状に合わせた最低必要限度の調理室1の容積内に過熱蒸気が循環することになり、調理室1内に過熱蒸気を充満させるのに必要な水量が少なくなり、過熱蒸気にするための熱量も削減することが可能となる。
【0030】
たとえば、上記30Lの調理室1内を2分割するように区分壁13を調理室1壁面と密着するように配置すると、その調理室1内の容積は半分の15Lとなり、調理室1内を過熱蒸気で充満させるのに必要な水量は6.95g、熱量20.8kJとなり両者とも約半減し、省エネルギーな過熱蒸気調理装置が可能となる。
【0031】
このように、加熱する食品の高さ形状に合わせて区分壁13を調理室1に密着配設することによって、調理に使用する空間のみに過熱蒸気を充満させればよく、過熱蒸気で充満させる容積が減り、その結果、過熱蒸気にするための水供給量、熱供給量を削減でき、省エネルギーな過熱蒸気を利用した加熱調理装置が実現できる。
【0032】
なお、本発明の可動の区分壁は、本実施の形態1では、調理室1の対向する側面に設けられた各々2つの皿固定手段12により移動可能な区分壁13に相当するが、皿固定手段12は3つ以上設けても良く、また本実施の形態1のような構成に限らず調理室1壁面に支えとなるフックのようなものを用いて、その取り付け位置の高さを選択できるようにしておき、区分壁13を任意の高さに固定しても良く、また区分壁13は皿形状でなくてもよく、要するに、調理室1壁面と密着できて、水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に区分でき、前記水蒸気が送り込まれる側の容積を変化させ得る可動の区分壁であればよい。
【0033】
また、調理室1側面に、底面と垂直に、調理室1側面を貫通しない溝を設けることにより、皿固定手段12に固定されている区分壁13は、溝に沿って上下駆動可能な構成としてもよい。さらに、区分壁13は調理室1の側面とパッキン等で密着を保ちがら移動可能な構成になっている。この場合、区分壁13の取り外しや取り付けなどの煩雑な作業をすることなく、区分壁13を食品の高さ形状に合わせて任意の高さに固定するのが容易となる。
【0034】
なお、実際には、水蒸気が送り込まれる側への水蒸気供給が常に計算値(容積と温度から求められる理論値)よりも過剰量で実行され、余剰分が排出される形態で運転されるため、厳密に区分壁13を調理室1に密着させる必要はなく、余剰水蒸気の流出路となりつつ、外部からの空気流入を抑制できる構成を満足させれば十分である。
【0035】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2の過熱蒸気調理装置の概略縦断面図である。基本的な構成は、実施の形態1と同じであるが、区分壁に加熱手段を内蔵した点が異なるため、この相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一番号を付与している。
【0036】
図に示すように、区分壁13内に加熱手段20が内蔵されている。また、区分壁13は、皿固定手段12によって調理室1内に固定され、水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に調理室1を区分し、調理室1の壁面と密着している。また、区分壁13の上面には、食品を載置するための載置台3が設置されている。
【0037】
以上のような構成を有する過熱蒸気調理装置の操作と作用について以下に説明する。
【0038】
調理開始ボタン(図示していない)を選択後、調理室1底部の外部近傍に設置された過熱手段9と区分壁13に内蔵された加熱手段20によって調理室1内は選択された所定の温度(100℃以上)に予熱される。この時、区分壁13で区切られた、水蒸気が送り込まれない側の調理室1の空間は、区分壁13に内蔵されている加熱手段20によって予熱される。また、水蒸気が送り込まれる側の空間は、加熱手段20によって予熱され、又過熱手段9によって加熱された気流が気流循環手段11によって流れ込むことで予熱される。
【0039】
次に、区分壁13で区切られた2つの空間の予熱が終了した後、種類の異なる2種の食品を2つの空間の載置台3に、別々に載置する。
【0040】
更に、食品投入後、再度調理開始ボタンを選択すると、制御部15からの信号をもとにポンプ7に通電され、タンク5の水が水受け皿4に供給される。同時に、過熱手段9と気流循環手段11及び加熱手段20も作動する。
【0041】
次に、水受け皿4に供給された水が水蒸気となって、更に、過熱手段9によって100℃以上に設定された気流温度に過熱され、過熱蒸気となって、水蒸気が送り込まれる側の空間に循環してくる。続いて、ポンプ7による水供給を継続すると、前記空間は、気化して加熱膨張した水蒸気によって大部分が占められ、予熱時に存在していた空気は排出され、100℃以上に加熱昇温された水蒸気の過熱蒸気で充満された状態となる。
【0042】
一方、水蒸気が送り込まれない側の空間は、区分壁13が調理室1と密着しているため、水蒸気を含む気流が循環しない構造となっており、乾燥空気で満たされた状態となる。
【0043】
このように、区分壁13によって調理室1を区切ることで、乾燥空気と過熱蒸気の2つの異なる気流雰囲気を作ることが出来る。また、調理室1の底面外部近傍に設置された過熱手段9と、区分壁13に内蔵された加熱手段20を制御することによって、過熱蒸気と乾燥空気の温度も調整でき、2分割された調理室1の温度が異なって、様々な調理物を一度に加熱調理することが可能となる。
【0044】
例えば、乾燥空気を200℃、過熱蒸気を120℃に設定した場合、200℃の乾燥空気が満たされている調理室1の空間では、グラタンなどのオーブン調理が適している食品を入れ、120℃の過熱蒸気雰囲気である調理室1の空間では、冷凍シューマイなどの蒸し物を入れる。高温の乾燥空気では、食品の水分を乾燥することが出来るので、オーブン調理が向いている。反対に120℃の過熱蒸気では、食品に水分を付加することが出来るので、蒸し調理に適しており、それぞれの調理物を最適な状態に仕上げることが出来る。
【0045】
このように、調理室1を区分壁13で区切ることでできた2つの空間内の気流温度および水蒸気量を異なるようにすることで、2種類の異なる調理物を一度に加熱することが出来る。
【0046】
また、区分壁13が、実施の形態1のように可動する構造にしてもよい。この場合、調理する食品の量に合わせて、水蒸気が送り込まれる側、送り込まれない側の容積を変化させることが出来る。
【0047】
なお、本発明の水蒸気が送り込まれない側を加熱する加熱手段は、区分壁13に設けられた加熱手段20に相当するが、加熱手段20は、区分壁13に設けられていなくてもよく、水蒸気が送り込まれない側の空間の底面、側面、上面に設けられていてもよく、また、区分壁と、前記空間の上面や側面など、複数設けられていてもよく、要するに、水蒸気が送り込まれない側を加熱する加熱手段でありさえすればよい。
【0048】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3の過熱蒸気調理装置の概略縦断面図である。
【0049】
基本的な構成は、実施の形態2と同じであるが、皿固定手段12が上下駆動する点が異なっており、この相違点を中心に以下に説明をする。なお、実施の形態2と同一の構成要素には同一番号を付与している。
【0050】
図に示すように、本実施の形態3の過熱蒸気調理装置は、調理室1の側面に底面と垂直に、スリット21が、調理室1の底面から上面まで設けられている。また、皿固定手段12に設けられた駆動モータ(図示していない)によって、皿固定手段12に接合された、加熱手段20を内蔵した区分壁13が、スリット21に沿って上下駆動する。
【0051】
以上のような構成を有する過熱蒸気調理装置の操作と作用について以下に説明する。
【0052】
調理開始ボタンを選択後、調理室1の底面外部近傍に設置された過熱手段9と区分壁13に内蔵された加熱手段20によって調理室1は選択された所定の温度(100℃以上)に予熱される。
【0053】
次に、予熱終了後、食品を調理室1に投入し、再度調理開始ボタンを選択すると、制御部15からの信号をもとにポンプ7に通電され、タンク5の水が水受け皿4に供給される。同時に、加熱手段20と過熱手段9および気流循環手段11も作動する。
【0054】
次に、水受け皿4に供給された水は水蒸気になり、100℃以上に設定された気流温度に加熱されることで、過熱蒸気となって、気流循環手段11によって、流通口10を経由して調理室1内に供給される。
【0055】
さらに、ポンプ7による水供給を継続すると、調理室1内は気化して加熱膨張した水蒸気によって大部分が占められ、予熱時に存在していた空気は排出され、調理室1内は、100℃以上の過熱蒸気で充満された状態となる。
【0056】
次に、加熱調理の途中で加熱手段20を内蔵した区分壁13を食品に近づけて、過熱蒸気による食品加熱の効果を維持しつつ、強い焼き色を形成させる。
【0057】
例えば、サバなどの焼き魚を加熱調理する場合、加熱の初期は、皿固定手段12は、スリット21の最上位置に固定されており、加熱手段20と食品であるサバとの距離が最も遠い状態となる。そして、加熱の後半で、加熱手段20を内蔵している区分壁13を食品に近づける。
【0058】
上述したように、加熱の初期は、食品と加熱手段20との距離が長くなり、食品は加熱手段20からの輻射熱よりも循環気流である過熱蒸気の凝縮や伝導熱を受けやすくなる。ここで、過熱蒸気による加熱によって、肉や魚などは素早く表面のたんぱく質が凝固して内部の旨味が閉じ込められ、内部まで急速に加熱される。そして、加熱の後半に加熱手段20内蔵の区分壁13を食品に近づけることで、輻射熱による加熱ができ、食品表面は急激に温度上昇して焼き色が形成される。
【0059】
このように、加熱手段20内蔵の区分壁13を上下に駆動して食品との距離を近づけることで、焼き色が重要となる食品に強い焼き色が形成できる。また、反対に焼き色をつけたくない場合は、食品と区分壁13の距離を遠ざけることによって、良好な仕上がりを実現できる。
【0060】
なお、本発明の載置部は、載置台3に相当し、本発明の調理室1に収納した食品の載置部との距離が相対的に変化させ得る構造の加熱手段は、本実施の形態3では、スリット21による可動の区分壁13に内蔵されている加熱手段20に相当するが、区分壁13を備えずに加熱手段20だけを備えて、加熱手段20が上下に可動する構造でもよく、また加熱手段20の位置が一定で食品の載置台3が上下可動する構造でも良く、要するに調理室に収納した食品の載置部との距離が相対的に変化させ得る構造の加熱手段でありさえすればよい。
【0061】
なお、本発明の蒸発手段は、過熱手段9の予熱によって加温された水受け皿4に相当するが、水受け皿4自体にヒータを設けていてもよく、要するに水の蒸発手段でありさえすればよい。
【0062】
また、本発明の給水手段は、タンク5とポンプ7と給水パイプ6から構成されるが、上記構成である必要はなく、水受け皿4に水を供給出来さえすればよい。
【0063】
また、本発明の過熱手段は、底面外部に配置されており、水受け皿4で生成された水蒸気は、過熱手段9によって過熱蒸気となった後に、気流循環手段11の動作で調理室1内へ送入される。ここで、過熱手段9は必ずしも調理室1の外部に設置する必要はなく、水蒸気が送り込まれる側の調理室1内に配置され、送入された比較的低温の水蒸気が、循環する間に加温昇温し、過熱蒸気となる方法をとってもよい。
【0064】
さらに、過熱手段9が流通口10近傍の調理室1内に密着設置され、水蒸気が流通口10を通過する間に温められる方法をとってもよく、要するに、水蒸気を過熱する過熱手段でありさえすればよい。
【0065】
なお、本発明の流通路は、調理室1の底面に貫通穿設された流通口10に相当するが、調理室1の側面の底面近傍に貫通穿設されていてもよく、要するに調理室に水蒸気を送り込む流通路であればよい。
【0066】
また、本実施の形態1、2及び3では、水受け皿4によって発生した水蒸気を調理室1内に圧送供給するために気流循環手段11を備えているが、気流循環手段11を備えずに、上昇気流を利用し調理室1内に水蒸気を送り込む方法をとってもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、省エネルギーな過熱蒸気を利用した過熱蒸気調理装置を提供することが出来る。
【0068】
また、2種類の異なる調理物を一度に加熱することが出来る。
【0069】
また、過熱蒸気による調理効果を維持しつつ、焼き色が重要となる食品に強い焼き色が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における過熱蒸気調理装置の概略縦断面図。
【図2】本発明の実施の形態1における過熱蒸気調理装置の扉2方向からの概略縦断面図。
【図3】本発明の実施の形態2における過熱蒸気調理装置の概略縦断面図。
【図4】本発明の実施の形態3における過熱蒸気調理装置の概略縦断面図。
【符号の説明】
1調理室
2扉
3載置台
4水受け皿
5タンク
6給水パイプ
7ポンプ
8筐体
9過熱手段
10流通口
11気流循環手段
12皿固定手段
13区分壁
13a縁
13b窪み
14排気口
15制御部
16蒸発手段
17給水手段
18流通路
19載置部

Claims (5)

  1. 食品を収納する調理室と、水を蒸発させるための蒸発手段と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室に送り込む流通路と、前記調理室を前記流通路によって前記水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に区分し、前記水蒸気が送り込まれる側の容積を変化させ得る可動の区分壁と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室内、又は前記調理室外で過熱する過熱手段とを備えた過熱蒸気調理装置。
  2. 食品を収納する調理室と、水を蒸発させるための蒸発手段と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室に送り込む流通路と、前記調理室を前記流通路によって前記水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に区分する区分壁と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室内、又は前記調理室外で過熱する過熱手段と、前記水蒸気が送り込まれない側を加熱する加熱手段とを備えた過熱蒸気調理装置。
  3. 前記加熱手段が前記区分壁に設けられた加熱手段である請求項2記載の過熱蒸気調理装置。
  4. 食品を収納する調理室と、水を蒸発させるための蒸発手段と、前記蒸発手段に水を供給するための給水手段と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室内に送り込む流通路と、前記蒸発手段によって発生した水蒸気を前記調理室内、又は前記調理室外で過熱する過熱手段と、前記調理室に収納した食品の載置部との距離が相対的に変化させ得る構造の加熱手段とを備えた過熱蒸気調理装置。
  5. 前記調理室を前記流通路によって前記水蒸気が送り込まれる側と送り込まれない側に区分し、前記流通路を備えた側の前記調理室の容積を変化させ得る可動の区分壁を更に備え、前記加熱手段が前記区分壁に設けられた加熱手段である請求項4記載の過熱蒸気調理装置。
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