JP2014204107A - 熱処理装置 - Google Patents

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賢稔 三宅
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裕通 川崎
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Katanobu Yokogawa
賢悦 横川
崇 植村
Takashi Uemura
崇 植村
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Abstract

【課題】熱電子放出量を抑制したまま、炭化珪素からの珪素抜けを防止し、安定したプラズマ放電が可能な熱処理装置を提供する。【解決手段】被加熱試料101を加熱する処理室100と、加熱処理室100内に配置され平板状の上部電極102と、上部電極102と対向し上部電極102との間にプラズマを生成する平板状の下部電極103と、処理室100内にガスを供給するガス供給手段113とを備えた熱処理装置において、上部電極102および下部電極103は炭化珪素を母材とし、炭素膜109で覆われている。【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマを用いた熱処理装置に関する。
近年、パワー半導体デバイスの基板材料として炭化珪素(SiC)等のワイドバンドギャップを有する新材料の導入が期待されている。ワイドバンドギャップ半導体であるSiCは、高絶縁破壊電界、高飽和電子速度、高熱伝導率のように珪素(Si)よりも優れた物理的性質を有している。高絶縁破壊電界材料であることから、素子の薄膜化や高濃度ドープが可能になり、高耐圧かつ低抵抗の素子を作ることが出来る。また、バンドギャップが大きいために熱励起電子を抑制でき、さらに高熱伝導率により放熱能力が高いことから、高温での安定動作が可能になる。従って、SiCパワー半導体デバイスが実現すれば、電力輸送・変換、産業用電力装置及び家電製品など各種の電力・電気機器の大幅な効率向上と高性能化が期待できる。
SiCを基板に用いて各種パワーデバイスを製造する工程は、おおよそSiを基板に用いる場合と同様である。しかし、大きく異なる工程として熱処理工程があげられる。熱処理工程とは、基板の導電性制御を目的に行われる不純物のイオン打ち込み後の活性化アニーリングがその代表である。Siデバイスの場合、活性化アニーリングは800〜1200℃の温度で行われる。一方SiCの場合には、その材料特性から1200〜2000℃の温度が必要となる。
SiC向けのアニール装置として、特許文献1には、高周波により生成されたプラズマによりウエハを加熱する装置が開示されている。
特開2012−059872号公報
特許文献1に記載の装置により、従来の抵抗加熱炉に比べて熱効率の向上、加熱応答性の向上、炉材消耗品の低コスト化等が見込まれる。そこで、このプラズマを用いた熱処理装置に関し、安定性の観点で検討を行った。特許文献1に開示されているアニール装置は、高周波により平行平板電極間に生成されたプラズマにより加熱を行う。本アニール装置では放電電極として、耐熱性があり、仕事関数が大きく熱電子放出量を抑制できるグラファイトが母材として用いられている。熱電子放出量を抑制することによりアーク放電への遷移を抑制することができる。グラファイトを母材とした場合、加熱によりガスが放出され放電が不安定となる。また、高温とするために処理室内に反射鏡を配置した場合には、グラファイトからのガスに起因する煤による汚れにより反射率が低下する。その対策として、試料処理の前に不活性ガスを流しながらグラファイト母材を加熱してグラファイト母材に吸着されていたガスを放出させる、所謂ガス出しが行われる。ガス出しにより、試料加熱時のグラファイト母材から放出されるガスは低減されて煤の量を低減することがきる。しかしながら、発明者等が更に詳細に検討した結果、ガス出しだけでは煤の発生を完全に防止することが困難であること、一度煤が発生すると真空を破って反射鏡をクリーニングし、再度ガス出しのやり直しが必要となることが判った。そこで、グラファイトに代えてSiCを母材とすることを検討した。SiCを放電電極として使用した場合、被処理体としてSiCを処理する際には電極材料が汚染源となることは無い。また、SiCの融点は2730℃であることから、SiC活性化に必要となる1200〜2000℃において十分に耐熱性を持った材料である。さらに、熱電子放出量を支配する仕事関数も比較的大きく、高温時における熱電子放出量を抑制出来ると考えられる。しかしながら、SiCを放電電極に使用すると、高温加熱時においてSiC表面からSiが離脱することにより、放電電極の劣化、離脱したSiの付着、放電不安定性の発生が懸念される。
本発明の目的は、熱電子放出量を抑制したまま、炭化珪素からの珪素抜けを防止し、安定したプラズマ放電が可能な熱処理装置を提供することにある。
前記目的を達成するための一実施形態として、被加熱試料を加熱する処理室と、
前記処理室内に配置され平板状の第一の電極(上部電極)と、
前記第一の電極と対向し前記第一の電極との間にプラズマを生成する平板状の第二の電極(下部電極)と、
前記第一の電極または前記第二の電極に高周波電力を供給する高周波電源と、
前記処理室内にガスを供給するガス供給手段とを備え、
前記第一の電極および前記第二の電極は、第一の材料(炭化珪素)からなり、
前記第一の材料は、前記第二の材料(カーボン)によって全面を覆われた高融点の材料であり、
前記第二の材料は、前記第一の材料に比較して仕事関数が大きい高融点の材料であることを特徴とする熱処理装置とする。
本発明によれば、熱電子放出量を抑制したまま、炭化珪素からの珪素抜けを防止し、安定したプラズマ放電が可能な熱処理装置を提供することができる。
本発明の実施例に係るプラズマ熱処理装置の基本構成図である。 図1に示すプラズマ熱処理装置の加熱処理室におけるAA’断面からみた上面図である。 本発明の実施例に係るプラズマ熱処理装置の放電電極の断面図を示す。
本発明者等は、電極材料にSiCを使用し、高温加熱処理を行った。その結果、電極温度が1500℃程度になると、SiC電極表面からSiが離脱し、電極の劣化や離脱したSiが他の部位に付着することがわかった。そこで、更にSiC母材からのSi抜けを防止する方法について検討した結果、高融点材料であるSiCを母材とする放電電極をSiCより仕事関数が大きい高融点材料である炭素膜で被覆することにより、SiC表面からのSiの離脱を抑制できることがわかった。炭素膜は、耐熱性が高く、また仕事関数も比較的大きいことから熱電子放出量も抑制することが出来る。これらの対策により、放電電極の母材にSiCを使用する場合であっても、電極の劣化や離脱したSiの再付着を回避することが出来、また熱電子放出によるアーク放電への遷移を抑制できる熱処理装置を提供することが可能になる。
以下実施例により詳細に説明する。
本発明の実施例について図1〜図3を用いて説明する。図1はプラズマを用いた本実施例に係る熱処理装置の基本構成図である。本熱処理装置は、上部電極102と下部電極103との間に発生するプラズマを用いて加熱された下部電極103により間接的に、被加熱試料(被処理体)101を加熱する加熱処理室100を具備する。
加熱処理室100は、上部電極102と、上部電極102と対向して配置された加熱板である下部電極103と、被加熱試料101を支持する支持ピン106を有する試料台104と、輻射熱を反射させる反射鏡120と、プラズマ生成用の高周波電力を上部電極102に供給する高周波電源111と、加熱処理室100内にガスを供給するガス導入手段113と、加熱処理室100内の圧力を調整する真空バルブ116とを備える。符号117は被加熱試料の搬送口を示す。なお、プラズマ生成用の高周波電力を下部電極に供給することもできる。各図において同一符号は同一構成要素を示す。
被加熱試料101は、試料台104の支持ピン106上に支持され、下部電極103の下方に近接している。また、下部電極103は、反射鏡120で保持されており、被加熱試料101及び、試料台104とは接触していない。本実施例では、被加熱試料101として、4インチ(φ100mm)のSiC基板を用いた。上部電極102および試料台104の直径及び厚さは、それぞれ、120mm、5mmとした。
下部電極については図2を用いて説明する。図1のAA’断面の上面図を図2に示す。下部電極103は、円板状の部材103Aと、前記の円板状の部材103Aと反射鏡120を接続する等間隔に配置された4本の梁103Bとを備える。下部電極103の厚さは2mmとした。尚、前記の梁103Bの数と断面積と厚さは、下部電極103の強度と下部電極103から反射鏡120への放熱を考慮して決めればよい。また、下部電極103は、被加熱試料101の上部に設けられている。被加熱試料101の側面まで覆う構造ではないため、下部電極103の表面積を小さくでき下部電極からの放熱を低減することができる。なお、被加熱試料101の側面を覆うように、内筒形状を有する部材を下部電極103の下側(上部電極102と対向する面の反対側)に配置してもよい。この場合、円筒形状を有する部材を含めた下部電極からの放熱は多くなるが、被加熱試料からの放熱を低減することができる。
下部電極103は、図2に示すように梁103Bを有する構造であるため、円板状の下部電極周辺部全周が反射鏡120に直接接触する場合に比べてプラズマにより加熱された下部電極103の熱が反射鏡120に伝熱することを抑制できるため、熱効率の高い加熱板として機能する。尚、上部電極102と下部電極103の間に生成されたプラズマは、梁と梁の間の空間から、真空バルブ116側に拡散するが、上部電極102よりも下部電極103が大きく被加熱試料101の上に庇が形成されているため、被加熱試料101がプラズマに曝されることはない。
また、上部電極102、下部電極103および支持ピン106は、SiC基材の表面に化学気相成長法(CVD法)により形成した炭素膜を被覆したものを用いた。また、試料台104は、グラファイト基材を用いた。なお、SiC基材を覆うCVD法で形成した炭素膜は水素を含み、その厚さは、SiC基材を構成する元素の析出を抑制する厚さ以上、炭素膜に含まれる水素の総析出量が許容値以下となる厚さ以下、とすることが望ましい。
また、下部電極103と上部電極102とのギャップ108は、0.8mmとした。なお、被加熱試料101は0.5mm〜0.8mm程度の厚さを備え、また、上部電極102と下部電極103のそれぞれの対向する側の円周角部はテーパーあるいはラウンド状に加工されている。これは、上部電極102と下部電極103のそれぞれの角部での電界集中によるプラズマ局在を抑制するためである。
試料台104は、シャフト107を介して上下機構105と接続しており、上下機構105を動作させることで、被加熱試料101の受け渡しや、被加熱試料101を下部電極103に近接させることが可能となる。なお、詳細は後述する。また、シャフト107には、アルミナ材を用いた。
上部電極102には、上部給電線110を介して高周波電源111からの高周波電力が供給される。本実施例では、高周波電源111の周波数として13.56MHzを用いた。下部電極103は、反射鏡120と梁を介して導通している。さらに下部電極103は、反射鏡120を介して接地されている。上部給電線110も上部電極102および下部電極103の構成材料であるSiC基材からなり、炭素膜で被覆されている。
高周波電源111と上部電極102の間には、マッチング回路112(なお、図1のM.Bは、Matching Boxの略である。)が配置されており、高周波電源111からの高周波電力を効率良く上部電極102と下部電極103間に形成されるプラズマに供給する構成となっている。
加熱処理室100内の上部電極102、下部電極103および試料台104は、反射鏡120で囲まれる構造となっている。反射鏡120は、金属基材の内壁面を光学研磨し、研磨面に金をメッキあるいは蒸着することで構成される。また、反射鏡120の金属基材には、冷媒流路122が形成されており、冷却水を流すことにより反射鏡120の温度が一定に保てる構造となっている。反射鏡120を備えることにより、上部電極102、下部電極103及び試料台104からの輻射熱が反射されるため、熱効率を高めることができるが、本発明の必須の構成というわけではない。
また上部電極102および試料台104と反射鏡120との間には、保護石英板123が配置されている。
上部電極102と下部電極103が配置される加熱処理室100内には、ガス導入手段113およびガス導入ノズル131によりガスを10気圧まで導入できる構造となっている。導入するガスの圧力は、圧力検出手段114によりモニタされる。また、加熱処理室100は、排気口115および真空バルブ116に接続される真空ポンプによりガス排気可能となっている。ガス導入ノズル131の先端は、上部電極102と下部電極103との間の高さに配置することが望ましい。ガス導入ノズル131の先端は先細形状となっており、電極間に勢い良くガスを吹き付けることが可能な構造となっている。ガス導入ノズル131の位置は可変になっている。また、上部電極102とガス導入ノズル131との間の放電を避けるため、ガス導入ノズル131には絶縁体を使用することが望ましい。本実施例では、ガス導入ノズル131にアルミナを用いた。また、上部電極102と下部電極103との間の高さに内部排気口130があり、上下電極間から内部排気口130までのコンダクタンスを低減することで、効率良く電極間のガスを排気することが出来る。これにより、それぞれの電極から放出された不純ガスも加熱処理室内に停滞することなく速やかに排出される。また、ガス導入ノズル131は、下部電極103の梁上方に配置することで、導入したガスが下部電極103の下側へのガス流れを抑制し、上部電極102と下部電極103の間に効率良くガスを流すことが可能である。尚、内部排気口130は、ガス導入ノズル131に対向する位置に配置することで、上下電極間のガスの置換を容易にしている。
本実施例では、加熱処理室100内に導入したガスにHeを用いた。加熱処理室100内のガス圧力が安定した時点で、高周波電源111からの高周波電力をマッチング回路112および電力導入端子119を介して上部電極102に供給し、ギャップ108内にプラズマを生成することにより、上部電極102および下部電極103の加熱を行う。高周波電力のエネルギーは、プラズマ内の電子に吸収され、さらにその電子の衝突により原料ガスの原子あるは分子が加熱される。また電離によって生じたイオンは、上部電極102および下部電極103のプラズマに接触する表面のシースに発生する電位差で加速され、原料ガスと衝突しながら上部電極102および下部電極103に入射する。この衝突過程により、上部電極102と下部電極103の間に充填されたガスの温度や上部電極102および下部電極103表面の温度を上昇させることができる。
特に、本実施例のような大気圧付近では、イオンがシースを通過する際に原料ガスと頻繁に衝突することになるので、上部電極102と下部電極103の間に充填された原料ガスを効率的に加熱できると考える。この結果、これらの電極温度は上昇する。これらの電極温度が上昇すると熱輻射等による損失が増大し、やがてこれらの電極への入熱とこれらの電極からの熱損失がバランスし、これらの電極温度はほぼ飽和してくる。
図3に上部電極102および下部電極103の断面図を示す。前記上部電極102の材料にはSiCを用いた。被加熱試料101がSiCである場合には、電極本体の材料が汚染源となることは無い。また、SiCは非常に緻密な構造であり、SiCバルク内に不純ガスを吸着することや、加熱時に不純ガスを放出する恐れも無い。また、SiCの表面には高融点(使用温度に耐える融点)である炭素膜109を被覆した。前記炭素膜109の厚さは、ここでは5μmとした。SiC表面に炭素膜109を被覆することで、高温加熱時においてもSiC表面からのSiの離脱を抑制することが出来る。また、炭素膜109の仕事関数は一般的に大きく、高温時の熱電子放出量を抑制することが出来る。この理由は先にも述べたように、アーク放電への遷移は電極の温度上昇に伴う熱電子放出が大きく関係する。グロー放電は電極からの2次電子放出で維持されるが、電極表面からの熱電子放出量が2次電子放出量を上回ると放電が不安定となりアーク放電に遷移する。電極からの熱電子放出量は、式(1)に示すリチャードソン・ダッシュマンの式で表せられ、電極表面に被覆した炭素膜109の温度と仕事関数で決まる。
Figure 2014204107
ここで、式(1)中のIthは単位面積あたりの熱電子放出量、mは電子の質量、kはボルツマン定数、eは素電荷、hはプランク定数、Tは電極の絶対温度、φは電極材料の仕事関数を示す。従って、同じ温度であっても仕事関数の大きい電極材料を用いることにより、熱電子放出量を抑制することが出来る。
また、炭素膜109には結合状態によって種々の膜が存在するが、グラファイト(sp2結合)、ダイヤモンドライクカーボン(sp2+sp3結合)、ダイヤモンド(sp3結合)のいずれにおいても同様の効果がある。但し、ダイヤモンド(sp3結合)の場合、バンドギャップは5.47eVと非常に大きいものの負性電気陰性度を持つために、ダイヤモンドの仕事関数は一般的にグラファイトほど大きく無い。従って、炭素膜の中でも仕事関数が大きいとされるグラファイト(4.7−5.0eV)を用いることが望ましい。
以上、上部電極102の電極構成について述べたが、下部電極103を構成する円板状の部材103Aと、前記の円板状の部材103Aと反射鏡120を接続する等間隔に配置された4本の梁103Bにおいても、上部電極102と同様にして、電極本体の材料にSiCを用い、電極表面を炭素膜で被覆することが望ましい。
被加熱試料を加熱処理している際の下部電極103または試料台104の温度は、放射温度計118により計測され、この計測値を用いて制御装置121により所定の温度になるように高周波電源111の出力が制御されるため、高精度な被加熱試料101の温度制御が可能となる。本実施例では、投入する高周波電力を最大20kWとした。
上部電極102、下部電極103、試料台104(被加熱試料101を含む)の温度を効率良く上昇させるには、上部給電線110の伝熱、Heガス雰囲気を介する伝熱および高温域からの輻射(赤外光から可視光域)の抑制が必要となる。特に高温状態では、輻射による放熱の影響が非常に大きく、輻射損失の低減が加熱効率の向上に必須となる。尚、輻射損失は、絶対温度の四乗に比例して輻射量が増加する。
本実施例では、上部電極102と下部電極103のギャップ108を0.8mmとしたが、0.1mmから2mmの範囲でも同様な効果がある。0.1mmより狭いギャップの場合も放電は可能であるが、上部電極102と下部電極103との間の平行度を維持するのに高精度な機能が必要となる。また、上部電極102および下部電極103表面の変質(荒れ等)がプラズマに影響するようになるため、好ましくない。一方ギャップ108が2mmを超える場合は、プラズマの着火性低下やギャップ間からの輻射損失増大が問題となり好ましくない。
本実施例では、プラズマを生成するための加熱処理室100内の圧力を0.1気圧としたが、10気圧以下において同様の動作が可能である。特に、0.01気圧以上0.1気圧以下のガス圧力が好適である。0.001気圧以下になるとシース部分でのイオンの衝突頻度が低下し、大きなエネルギーを持つイオンが電極に入射するようになり、電極表面がスパッタされる等の懸念がある。また、本実施例で想定している様に上部電極102と下部電極103のギャップ108の範囲が0.1mmから2mmの場合、パッシェンの法則からガス圧力が0.01気圧以下では放電維持電圧が上昇するため望ましくない。一方、10気圧以上になると、異常放電(不安定なプラズマや上部電極と下部電極間以外での放電)が発生するリスクが高くなるため望ましくない。また、本実施例では、ガス流量を変化させることでガス圧力を制御したが、ガス排気量を変化させることでガス圧力を調整しても同様の効果が得られる。尚、ガス流量およびガス排気量を同時に変化させることにより、圧力制御しても良いのは勿論である。
本実施例では、プラズマ生成用の原料ガスにHeガスを用いたが、他に、Ar、Xe、Kr等の不活性ガスを主原料としたガスを用いても同様の効果があることは言うまでもない。本実施例で用いたHeガスは、大気圧近辺でのプラズマ着火性や安定性に優れるが、ガスの熱伝導率が高く、ガス雰囲気を介した伝熱による熱損失が比較的多い。一方、Ar、Xe、Krガス等の質量の大きいガスは、熱伝導率が低いため、熱効率の観点ではHeガスより有利である。
また、上部電極102および下部電極103の基材となるSiCやその表面を被覆する炭素膜109は、被加熱試料101への汚染防止の観点から高純度なものが望ましいのは言うまでもない。
また、高温時には上部給電線110からも被加熱試料101への汚染が影響する場合もある。よって、本実施例では上部給電線110も上部電極102および下部電極103と同様にSiCを母材とし、表面を炭素膜109で被覆した。また、上部電極102の熱は、上部給電線110を伝熱し損失となる。よって上部給電線110からの伝熱を必要最小限に留める必要がある。よって、グラファイトで形成される上部給電線110の断面積は、なるべく小さくし、長さを長くする必要がある。しかし、上部給電線110の断面積を極端に小さくし、長さも長くしすぎると上部給電線110での高周波電力損失が大きくなり、被加熱試料101の加熱効率の低下を招く。このため、本実施例では、以上の観点から上部給電線110の断面積を12mm、長さを40mmとした。同様な効果は、上部給電線110の断面積が5mm〜30mm、上部給電線110の長さが30mm〜100mmの範囲でも得られる。
さらに、試料台104の熱は、シャフト107を伝熱し損失となる。よって、シャフト107からの伝熱も前記の上部給電線110同様に必要最小限に留める必要がある。よって、アルミナ材で形成されるシャフト107の断面積は、なるべく小さくし、長さを長くする必要がある。本実施例では、強度等を考慮し、アルミナ材で形成されるシャフト107の断面積および長さは、前記の上部給電線110と同様とした。
本実施例では、プラズマ生成用の高周波電源111に13.56MHzの高周波電源を用いたが、これは、13.56MHzが工業周波数であるために低コストで電源が入手でき、かつ電磁波漏洩基準も低いので装置コストが低減できるためである。しかし、原理的には、他の周波数でも同様な原理で加熱処理ができることは言うまでもない。特に、1MHz以上100MHz以下の周波数が好適である。1MHzより低い周波数になると加熱処理に必要な電力を供給する際の高周波電圧が高くなり、異常放電(不安定なプラズマや上部電極と下部電極間以外での放電)を生じ、安定なプラズマ生成が難しくなる。また、100MHzを超える周波数では、上部電極102と下部電極103のギャップ108間のインピーダンスが低く、プラズマ生成に必要な電圧が得にくくなるため望ましくない。
以上より、プラズマを用いて被加熱試料を加熱する場合において、電極表面の劣化や不純ガス等の離脱を最小限にするだけでなく、熱電子放出によるアーク放電への遷移を抑制することができ、安定した放電が可能な熱処理装置を提供することができる。
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100…加熱処理室、101…被加熱試料(被処理体)、102…上部電極、103…下部電極、103A…円板状の部材、103B…梁、104…試料台、105…上下機構、106…支持ピン、107…シャフト、108…ギャップ、109…炭素膜、110…上部給電線、111…高周波電源、112…マッチング回路、113…ガス導入手段、114…圧力検出手段、115…排気口、116…真空バルブ、117…搬送口、118…放射温度計、119…電力導入端子、120…反射鏡、121…制御装置、122…冷媒流路、123…保護石英板(シールド)、130…内部排気口、131…ガス導入ノズル。

Claims (10)

  1. 被加熱試料を加熱する処理室と、
    前記処理室内に配置され平板状の第一の電極と、
    前記第一の電極と対向し前記第一の電極との間にプラズマを生成する平板状の第二の電極と、
    前記第一の電極または前記第二の電極に高周波電力を供給する高周波電源と、
    前記処理室内にガスを供給するガス供給手段とを備え、
    前記第一の電極および前記第二の電極は、第一の材料からなり、
    前記第一の材料は、前記第二の材料によって覆われた高融点の材料であり、
    前記第二の材料は、前記第一の材料に比較して仕事関数が大きい高融点の材料であることを特徴とする熱処理装置。
  2. 請求項1に記載の熱処理装置において、
    前記第二の材料は、前記第一の材料より高融点の材料であることを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項1に記載の熱処理装置において、
    前記第二の材料は水素を含み、その厚さは、前記第一の材料を構成する元素の析出を抑制する厚さ以上、前記第二の材料に含まれる水素の総析出量が許容値以下となる厚さ以下、であることを特徴とする熱処理装置。
  4. 請求項1に記載の熱処理装置において、
    前記第一の材料は、炭化ケイ素であり、
    前記第二の材料は、カーボンであることを特徴とする熱処理装置。
  5. 請求項4に記載の熱処理装置において、
    前記カーボンの組成は、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン、ダイヤモンドの中の一つであることを特徴とする熱処理装置。
  6. 請求項4に記載の熱処理装置において、
    さらに前記第二の電極の下方に配置され前記被加熱試料を載置する試料台とを備え、
    前記高周波電源は、前記第一の電極に高周波電力を供給し、
    前記カーボンの組成は、グラファイトであることを特徴とする熱処理装置。
  7. 請求項1に記載の熱処理装置において、
    前記第二の電極は、前記第一の電極よりも大きいことを特徴とする熱処理装置。
  8. 請求項1に記載の熱処理装置において、
    前記処理室の内部には、前記第一の電極および前記第二の電極を取り囲むように反射鏡が配置されていることを特徴とする熱処理装置。
  9. 請求項8に記載の熱処理装置において、
    前記第二の電極は、梁により前記反射鏡に保持されていることを特徴とする熱処理装置。
  10. 請求項9に記載の熱処理装置において、
    前記梁は炭化珪素を母材とし、カーボン膜でおおわれていることを特徴とする熱処理装置。
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