JP3861069B2 - 加熱装置及び加熱方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱装置及び加熱方法に関し、より詳しくは、グロー放電を利用して被加熱物を加熱する加熱装置及び加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造において、近年のプロセス技術の著しい進歩に比較し、使われてきた加熱方式は、抵抗加熱、高周波誘導加熱、ランプ加熱の3つが主である。3つの加熱方式にはそれぞれ一長一短があるが、これまでの小口径ウエハのバッチ式プロセス装置においては、3つの加熱方式を改良し、又は組み合わせることで種々の問題に対処してきている。
【0003】
ところで、最近では、ウエハサイズが300mmと非常に大きくなり、バッチ式プロセス装置では対応が難しくなってきたため、酸化、拡散、エピタキシャル成長、アニール等のプロセスにおいて、ウエハを一枚ずつ処理する枚葉式が検討され、採用されるようになってきている。このような状況において、上記のプロセスを実施するための枚葉式装置に用いられる加熱装置は以下のような厳しい条件をすべて満たす必要がある。そのような条件として、
(i)1000℃前後の高温が出せること、
(ii)面内温度分布が均一であること、
(iii)高温を必要とするので重金属汚染が無いこと、
(iv)高温処理中にウエハに歪みが加わらないこと、
(v)昇温/降温速度において50℃/min.以上が望めること、
(vi)省電力の向上が望めること
などが挙げられる。
【0004】
これらの条件を満たすべく、従来の3つの加熱方式の改良等や、新たな加熱方式による加熱装置が種々検討されている。特許文献1に記載されている加熱装置はグロー放電を用いた新たな加熱方式による加熱装置の一つである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−22069号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の3つの加熱方式では、以下のような欠点が挙げられる。
【0007】
(a)抵抗加熱方式では、700℃以上のヒータ表面温度を得るためには内部の発熱抵抗線の温度が1000℃を超えるため断線しやすくなり、また絶縁不良の問題が発生し、金属汚染、輻射損失が比較的大きいことなどが挙げられ、
(b)高周波誘導加熱方式では、大型の基板では温度分布が不均一になりやすく、均一化を図るにはダミー発熱部を大きくする必要があり(中心部しか使えない)、電力も大きくなり、電波障害などによりプラズマCVD装置への適用に適していないことなどが挙げられ、
(c)ランプ加熱方式では、基板表面状態により輻射率が変化するため温度分布が不均一であること、高温であればあるほど反射で失われる熱量が大きくなるためエネルギ消費量が大きいことなどが挙げられる。
【0008】
このように、各加熱方式ではいずれも上記(i)乃至(vi)の条件を満たすことが難しく、また技術改良が飽和の状態にあり、更なる改良も期待できない。
【0009】
また、従来のグロー放電を用いた新たな加熱方式による加熱装置では、ガイスラー管のような形状の管からの発熱を利用しているので、エネルギの熱変換効率がよいとは言えないし、枚葉式の半導体製造装置の基板加熱に適していない。
【0010】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、エネルギの熱変換効率が良く、温度分布の均一性が高く、高い温度が得られ、かつ枚葉式の半導体製造装置の基板加熱に適した加熱装置及び加熱方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、請求項1記載の発明は、加熱装置に係り、第1の導電体、及び前記第1の導電体を囲むように設けられた第2の導電体を有し、それらが実質的に外気と遮断された空間を形成する構造体と、前記空間を減圧するために前記構造体に形成された排気口とを備え、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して減圧された前記空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより、昇温する前記第2の導電体を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とし、
請求項2記載の発明は、請求項1記載の加熱装置に係り、前記構造体は、前記第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して前記第1の導電体を前記第2の導電体の外部に引き出す引出し部を有し、該引出し部において前記第1の導電体と前記第2の導電体とを絶縁する絶縁体が設けられていることを特徴とし、
請求項3記載の発明は、請求項2記載の加熱装置に係り、前記空間に面する側の絶縁体の表面に凹凸を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記第2の導電体の表面に被加熱物の載置部を有し、かつ該載置部に吸引孔を設けてなり、前記空間を減圧することにより前記載置部に載置した被加熱物を固定することを特徴とし、
請求項5記載の発明は、加熱装置に係り、第1の導電体と、前記第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して前記第1の導電体を前記第2の導電体の外部に引き出す引出し部を除き、前記第1の導電体を囲むように設けられた第2の導電体と、前記引出し部において前記第1の導電体と第2の導電体とを絶縁する絶縁体とを有し、それらが外気と遮断された空間を形成し、かつ前記空間が予め減圧されている構造体を備え、前記引出し部を通して前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して前記減圧された空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより昇温する前記第2の導電体を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とし、
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記空間に面する第1の導電体の表面に、電子放射の仕事関数の小さい材料が露出してなることを特徴とし、
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記第2の導電体は耐熱性基体からなり、その表面に緻密で、かつ耐熱性を有する膜がコーティングされていることを特徴とし、
請求項8記載の発明は、請求項5乃至7の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記空間内に放電用ガス以外のガスの吸着材を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、加熱装置に係り、第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と第2の導電体を絶縁する絶縁体からなり、それらが外気と遮断された空間を形成する構造体と、前記空間を減圧するために前記構造体に形成された排気口とを備え、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して前記減圧された空間を放電させ、該放電を維持することにより、昇温する前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とし、
請求項10記載の発明は、請求項9記載の加熱装置に係り、前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一の表面に被加熱物の載置部を有し、かつ該載置部に吸引孔を設けてなり、前記空間を減圧することにより、前記載置部に載置した被加熱物を固定することを特徴とし、
請求項11記載の発明は、加熱装置に係り、第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と第2の導電体を絶縁する絶縁体からなり、それらが外気と遮断された空間を形成し、その空間が予め減圧されている構造体を備え、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して前記減圧された空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより、昇温する前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とし、
請求項12記載の発明は、請求項9乃至11の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記第1の導電体及び第2の導電体のうちカソード電極として用いる導電体の、前記空間に面する表面に、電子放射の仕事関数の小さい材料が露出してなることを特徴とし、
請求項13記載の発明は、請求項9乃至12の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記第1の導電体及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一は耐熱性基体からなり、かつその表面に、緻密で、かつ耐熱性を有する膜がコーティングされていることを特徴とし、
請求項14記載の発明は、請求項1又は9の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記空間に放電用ガスを供給するガス供給口を有することを特徴とし、
請求項15記載の発明は、請求項14記載の加熱装置に係り、前記放電用ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一であることを特徴とし、
請求項16記載の発明は、請求項1乃至15の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記減圧された空間の圧力は10Pa乃至1000Paの範囲であることを特徴とし、
請求項17記載の発明は、請求項1乃至16の何れか一に記載の加熱装置に係り、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を供給する電力供給源を有することを特徴とし、
請求項18記載の発明は、請求項17記載の加熱装置に係り、前記被加熱物を加熱する温度を検出し、前記加熱装置に印加する電力を調整することにより、前記被加熱物を加熱する温度を所定の範囲に保持するフィードバック手段を備えていることを特徴とし、
請求項19記載の発明は、加熱方法に係り、第1の導電体を囲むように第2の導電体を形成して、外気と遮断された空間を形成し、該空間を減圧し、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加することにより前記減圧した空間で放電を起こさせて該放電を維持し、前記放電を維持することにより昇温した第2の導電体により被加熱物を加熱することを特徴とし、
請求項20記載の発明は、加熱方法に係り、第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と前記第2の導電体を絶縁する絶縁体により外気と遮断された空間を形成し、該空間を減圧し、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加することにより前記減圧した空間で放電を起こさせて該放電を維持し、前記放電を維持することにより昇温した第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一により被加熱物を加熱することを特徴とし、
請求項21記載の発明は、請求項19又は20の何れか一に記載の加熱方法に係り、前記減圧した空間の圧力は10Pa乃至1000Paの範囲であることを特徴とし、
請求項22記載の発明は、請求項19乃至21の何れか一に記載の加熱方法に係り、前記空間を排気することにより前記空間を減圧することを特徴とし、
請求項23記載の発明は、請求項19乃至21の何れか一に記載の加熱方法に係り、前記空間に放電用ガスを供給しつつ前記空間を排気することにより前記空間を減圧することを特徴とし、
請求項24記載の発明は、請求項23記載の加熱方法に係り、前記放電用ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一であることを特徴としている。
【0014】
以下に、上記構成により奏される作用について説明する。
【0015】
この発明の請求項1に係る第1の加熱装置では、第1の導電体、及び前記第1の導電体を囲むように設けられた第2の導電体を有し、それらが実質的に外気と遮断された空間を形成する構造体とを備え、外気と遮断された空間は予め減圧されておらず、空間を減圧する排気口を有する。また、この加熱装置では、排気口の他に、放電用ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一を、外気と遮断された空間に供給するガス供給口を設けてもよい。
【0016】
第1の加熱装置では、外気(減圧された外気も含む。)と遮断された空間は予め減圧されていないので、単に排気口から外気と遮断された空間を排気し、減圧するか、或いは、ガス供給口から放電用ガスを供給しながら、排気口から外気と遮断された空間を排気し、減圧する。また、排気口とガス供給口は逆にしても良い。次いで、例えば、第1の導電体と第2の導電体の間に第2の導電体の電圧が第1の導電体の電圧よりも高くなるように直流電力を印加して、減圧された空間で放電を起こさせ、空間中のガスを電子とイオンに解離させる。この場合、減圧された空間の圧力を例えば、10Pa乃至1000Paの範囲とすると、減圧された空間中の放電用ガスはグロー放電し、ガス分子の一部は電子とイオンに解離する。そして、その放電を維持する。
【0017】
直流電力を印加した場合、電子は高い電圧を印加した第2の導電体に引き寄せられて衝突し、電子から第2の導電体にエネルギ交換が行われる。一方、イオンは低い電圧を印加した第1の導電体に引き寄せられて衝突し、イオンからその導電体にエネルギ交換が行われる。これにより、第1及び第2の導電体がそれぞれ昇温される。さらに、第1の導電体の温度が、その材料の仕事関数に匹敵する温度を超えると、それ自体から熱電子が発生するようになるため、空間内の電子量は気体の電離のみより発生する電子量を超えるようになる。従って、印加電力を増大させることで、最大限、材料の溶融または構造変化により決まる到達可能な温度まで第1及び第2導電体を容易に昇温することができる。
【0018】
一方、交流電力を印加した場合、第1及び第2の導電体は、ともに電子及びイオンから交互にエネルギを付与されるため、ほぼ同じように、高い温度に昇温される。この場合、熱電子の効果はあまり期待できないが、印加電力を増大させることで、直流印加の場合と同様に、高い基板加熱温度に第1及び第2導電体を容易に昇温することができる。
【0019】
このようにして、昇温した第1及び第2の導電体のうち、表面を外部に曝している第2の導電体を被加熱物を加熱する手段として用いることで、常温より1000℃以上の高い基板加熱温度を容易に得ることができる。
【0020】
また、第2の導電体を被加熱物を加熱する手段として用いているので、その導電体自体を基板の載置部とすることができる。従って、枚葉式の半導体製造装置の基板加熱に適した加熱装置を提供することができる。この場合、基板の載置部の導電体に空間と接続する貫通孔を形成し、基板の載置部に基板を載置して空間内を排気することにより、貫通孔を通して圧力差により基板を固定することが可能である。
【0021】
さらに、別電源からの電力印加による加熱により金属中から電子を発生させるのではなく、即ち熱陰極カソードを用いるのではなく、空間中のガスを放電させて電子及びイオンを発生させているため、2極構成で良く、最小の電極構成で投入電力の100%を熱変換できる。また、それらの電子及びイオンのうち少なくとも何れか一により、被加熱物を加熱する手段である導電体に直接エネルギが与えられるため、エネルギの熱変換効率が良い。従って、省電力化、及び装置の小型化を図ることができる。
【0022】
さらに、第1の導電体と第2の導電体の間の空間に発生する電子及びイオンの衝突によるエネルギ交換を利用しているため、第1及び第2の導電体のうち内部の第1の導電体の形状を調整することにより、放電強度を調整し、電子及びイオンの衝突分布を比較的容易に調整することができる。このため、比較的容易に均一性の高い温度分布が得られる。
【0023】
また、第1の加熱装置を構成する構造体として、第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して第1の導電体を第2の導電体の外部に引き出す引出し部を有し、引出し部において第1の導電体と第2の導電体とを絶縁する絶縁体が設けられているような場合、放電により第1の導電体などからスパッタされた導電粒子が、第1の導電体或いは引出し導体と第2の導電体との間の空間に露出している絶縁体の表面に付着する虞がある。この場合、空間に面する側の絶縁体の表面に凹凸を設けることにより、第1の導電体或いは引出し導体から第2の導電体に至る絶縁体の表面の距離を長くし、堆積物が絶縁物表面上で連続薄膜導体とならないようにすることができる。これにより、その付着物を介して対向する導電体間に生じるリーク電流を抑制することができる。
【0024】
この発明の請求項5に係る第2の加熱装置では、第1の導電体と、第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して第1の導電体を第2の導電体の外部に引き出す引出し部を除き、第1の導電体を囲むように設けられた第2の導電体と、引出し部において第1の導電体と第2の導電体とを絶縁する絶縁体とを有し、それらが外気と遮断された空間を形成し、かつその空間が予め減圧されている構造体を備えている。
【0025】
第2の加熱装置では、第1の加熱装置と異なり、外気と遮断された空間は予め減圧されている。そして、第1の加熱装置と同様に、第1の導電体と第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加して減圧された空間中のガスを放電させ、その放電を維持することにより第1及び第2の導電体を昇温させる。この場合、外気に露出した第2の導電体を被加熱物を加熱する手段として用いる。
【0026】
このようにして、第2の加熱装置でも、第1の加熱装置と同様に、エネルギの熱変換効率を良くし、温度分布の均一性を高くし、基板加熱温度を高くし得る。また、第1の加熱装置と異なり、外気から遮断され、かつ予め減圧された空間を有する構造であるため、所謂携帯用の加熱装置とすることができる。上記第1及び第2の加熱装置において、第1の導電体は、空間に面する表面に電子放射の仕事関数の小さい材料が露出してなる。第1の導電体をカソード電極として用いることにより、放電空間内への電子の供給量を増やし、さらにエネルギの熱変換効率を向上させることができる。即ち、第2の導電体は外気や被加熱物に接しているため、第2の導電体に発生する熱は外気中に放射エネルギーとなって失われたり、被加熱物に伝導したりして失われる。また、第2の導電体と第1の導電体は共に昇温するが、第1の導電体は第2の導電体に囲まれている。このようなことから、第1の導電体の方が第2の導電体よりも温度が高くなる。さらに、イオン衝撃によってカソード電極から2次電子が発生し、電子放出も高温側からの方が起こりやすい。従って、内側の第1の導電体を負極(カソード電極)とすることにより、熱電子放出が起こりやすく、その熱電子により電離が促進されると共に、電子流が多くなり電流が流れやすくなる。このため、より低い電力で、効率よく第2の導電体を昇温させることができるので、エネルギの熱変換効率がよく、また、高いレスポンスが得られることになる。
【0027】
さらに、第2の導電体は耐熱性基体の表面に耐熱性を有し、かつ緻密な膜がコーティングされたものである。ところで、耐熱性基体として例えば黒鉛を用いることができるが、黒鉛は1000℃以上の熱に耐える高温材料であるが、通常の黒鉛はポーラスで放電空間の密閉性が保てない。従って、少なくとも外気に曝された第2の導電体の表面に、耐熱性を有し、かつ緻密な膜である黒鉛膜やSiC膜などをコーティングすることにより、第2の導電体内部の放電空間の密閉性を保持できる。これにより、内部圧力を放電が持続できるような状態に保ちながら、耐熱性の向上を図ったヒータを提供することができる。
【0028】
また、予め減圧され、排気できない空間で放電を起こさせている第2の加熱装置では、特に、空間内に放電用ガス以外のガスの吸着材を設けることにより、放電により導電体などから発生し、空間の真空度を低下させるガスを吸着させて空間の圧力を放電に適した圧力に維持することができる。
【0029】
この発明の請求項8に係る第3の加熱装置は、第1の導電体、第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び第1の導電体と第2の導電体を絶縁する絶縁体を有し、それらが外気と遮断された空間を形成する構造体を備えている。この場合、第1の導電体及び第2の導電体のうち少なくとも基板加熱手段として用いる方を外気に露出させる。
【0030】
外気と遮断された空間は予め減圧されておらず、空間を減圧する排気口を備えている。この加熱装置では、排気口の他に、放電用ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一を、外気と遮断された空間に供給するガス供給口を設けてもよい。
【0031】
そして、第3の加熱装置では、第1の加熱装置と同様に、外気と遮断された空間は予め減圧されていないので、単に排気口から外気と遮断された空間を排気し、減圧するか、或いは、ガス供給口から放電用ガスを供給しながら排気口から外気と遮断された空間を排気し、減圧する。そして、第1の導電体と第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加して減圧された空間中のガスを放電させ、その放電を維持することにより、第1及び第2の導電体が昇温する。第1の導電体及び第2の導電体がともに外気中に露出している場合、第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を、被加熱物を加熱する手段として用いることができる。
【0032】
直流電力を印加した場合、アノードとして用いる導電体に対して電子により、カソードとして用いる導電体に対してイオンによりそれぞれエネルギ交換が行われる。これにより、第1及び第2の導電体がそれぞれ昇温される。一方、交流電力を印加した場合、第1及び第2の導電体は、ともに電子及びイオンから交互にエネルギを付与されるため、ほぼ同じように、高い温度に昇温される。
【0033】
この場合、第1及び第2の導電体は少なくともいずれかが外気に露出しているため、それらの導電体の両方或いは何れか一を被加熱物の加熱手段として用いることで、1000℃以上のより高い基板加熱温度を容易に得ることができる。
【0034】
このようにして、第3の加熱装置では、第1の加熱装置と同様に、エネルギの熱変換効率を良くし、温度分布の均一性を高くし、加熱温度を高くし得る。また、第1の加熱装置と同様に、枚葉式の半導体製造装置の基板加熱に適した加熱装置を提供することができる。
【0035】
この発明の請求項10に係る第4の加熱装置では、上記の第3の加熱装置に対して、外気と遮断された空間が予め減圧されている。
【0036】
第4の加熱装置では、第2の加熱装置と同様に、外気と遮断された空間は予め減圧されているので、そのまま、第1の導電体と第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加して、減圧された空間で放電を起こさせ、その放電を維持する。そして、放電を維持することにより、第1及び第2の導電体が昇温する。従って、第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を、被加熱物を加熱する手段として用いることができる。
【0037】
このようにして、第4の加熱装置によれば、第1の加熱装置と同様に、エネルギの熱変換効率を良くし、温度分布の均一性を高くし、基板加熱温度を高くし得る。また、第2の加熱装置と同様に、外気から遮断され、かつ予め減圧された空間を有する構造であるため、特に、所謂携帯用の加熱装置として有用である。
【0038】
上記第3及び第4の加熱装置において、第1の導電体及び第2の導電体のうちカソード電極として用いる方は、空間に面する表面に電子放射の仕事関数の小さい材料が露出してなる。これにより、上記第1及び第2の加熱装置と同様に、電子の供給を増やすことができるため、さらにエネルギの熱変換効率を向上させることができる。
【0039】
さらに、第1の導電体及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一は耐熱性基体の表面に耐熱性を有し、かつ緻密な膜がコーティングされたものである。従って、第1の導電体及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一が外気に露出している場合でも、上記第1及び第2の加熱装置と同様に、耐熱性の向上を図ることができる上、外部の圧力変化の影響を受けることなく、放電空間の圧力の安定化を図ることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
(i)加熱装置の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る加熱装置の全体の構成を示す側断面図であり、図2は、同じく加熱装置の上面図である。図3(a)はカソード電極の構造を示す図であり、左側の図が上面図であり、右側の図が側断面図である。なお、以下の説明では、直流印加を想定しているため、第1の導電体をカソード電極1と呼び、第2の導電体をアノード電極2と呼んでいるが、交流印加の場合は、カソード電極1及びアノード電極2の名称は適当ではない。
【0042】
加熱装置の全体の構成は、図1に示すように、カソード電極(第1の導電体)1と、カソード電極1を囲むように設けられてその内部に外気と遮断された空間3を形成するアノード電極(第2の導電体)2とを備えている。
【0043】
カソード電極1は、図3(a)に示すような円形状導電板(板状導電体)1aと、円形状導電板1aの裏面に接続された円柱状導電棒(柱状導電体)1bとを備えたきのこ形状を有している。カソード電極1の円柱状導電棒1bの中心部を通る排気管5aが設けられ、排気管5aは、一端で円形状導電板1aを貫通する孔5bを介して円形状導電板1a上部の空間3に開口し、他端が排気口5cに接続されている。排気口5cに真空ポンプなどの排気手段が接続される。
【0044】
なお、カソード電極1として図3(b)に示すようなものを用いてもよい。同図の左側は上面図、右側は側断面図である。このカソード電極1の円形状導電板1aには、少なくとも1つ以上の貫通孔1cが設けられている。貫通孔1cを設けることによって放電強度分布を調整することができる。従って、円形状導電板1a内で貫通孔1cを適当に分布させることにより、放電強度分布を調整し、それを通して円形状導電板1aの外側表面、特に被加熱物の載置部2aの温度分布を調整することができる。さらには、カソード電極1の一部に針状の突起物を設け(たとえばキノコの枝の横)、放電のきっかけを作るための起電電極(図示せず)を工夫することもできる。カソードの鋭い場所に電界が集中することにより、電界放射を起こし易くするためである。
【0045】
アノード電極2は、図1に示すように、きのこ形状のカソード電極1に沿ってそれを囲むように設けられ、さらにアノード電極2はカソード電極1と適当な間隔を保って対向するように設けられている。そして、カソード電極1の円形状導電板1aの上面上方のアノード電極2の表面が、図2に示すような被加熱物の載置面2aとなっている。被加熱物は載置面2aの上に直に載せてもよいし、絶縁物を介して載せてもよい。通常はアノード電極2を接地して使うことにより、絶縁物を省略することができる。
【0046】
また、カソード電極1のきのこ形状の柄の部分に相当する円柱状導電棒1bと、円柱状導電棒1bと対向するアノード電極2との間の空間に、絶縁体4、例えば、窒化ボロン(BN)、アルミナセラミック、石英などの何れか一を介在させてこの部分では放電が起こらないようにしている。この絶縁体4は電極1、2間の空間3を外気と遮断する機能も有する。この絶縁体4は、図1のように、空間と接する部分と外気と接する部分とに分けて形成してもよいし、一体的に形成されてもよい。さらに、放電により電極1、2などからスパッタされた導電粒子が電極1、2間の空間3に露出している絶縁体4の表面に付着することにより、その付着物を介して対向する電極1、2間に生じるリーク電流を抑制するため、電極1、2間の空間3に露出する絶縁体4の表面に凹凸4aを形成し、アノード電極2の側壁内面(A)からカソード電極1の円柱状導電棒1bの表面(B)に至る絶縁体4の表面の距離を長くし、堆積物が絶縁物表面上で連続薄膜導体とならないようしている。
【0047】
さらに、カソード電極1のきのこ形状の柄の部分に相当する円柱状導電棒1bの表面に対向するアノード電極2の側壁には、電極1、2間の空間3に放電用ガスを供給するガス供給口6が設けられている。ガス供給口6はバリアブルリークバルブ8などを介して放電用ガスの供給源と接続されている。放電用ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一が用いられる。放電用ガスを供給しつつ排気するか、又は放電用ガスを導入せずに単に排気することで、電極1、2間の空間3を、例えばグロー放電に必要な圧力10Pa乃至1000Paの範囲に減圧する。このようにガス供給口6を配置することで、ガス供給口6からカソード電極1に設けられた排気管5aに至るガスの流れを作り、電極からスパッタ現象や昇温によって第1導電体および第2導電体内部から生成するガス、特に放電空間中のガスが酸素を含む空気であり、炭素電極を用いた場合、COやCO2が発生するが、これを流れの中で運び出すことができる。
【0048】
なお、排気口5cとガス供給口6とは位置が逆でも良く、また、2つをカソード電極1だけ、アノード電極2だけ、或いは絶縁体4の部分だけに限定して配置しても良い。また、排気口5cとガス供給口6を共通にしてT字管を用いて、ここで圧力調整してもよい。この場合は、円柱状導電棒1bには排気管を設けず、単なる棒状でもよい。
【0049】
また、カソード電極1の円柱状導電棒1bの表面に対向するアノード電極2の側壁には、電極1、2間の空間3の真空度を測定するためのダイヤフラム(真空)ゲージ9接続用の開口部7が設けられている。
【0050】
また、加熱装置はアノード電極2とカソード電極1との間に直流又は交流の電力を供給する電力供給源10を有する。電力供給源10は、100V乃至1000Vの電圧を印加でき、かつ電圧印加による放電により流れる電流を許容できるような電力供給能力を有する。さらには、アノード電極2の一部に熱計測手段(熱電対温度)を取り付けて温度を測定し、基板加熱温度が一定になるように、供給電源の電流強度を制御するフィードバック回路(図示しない)を設ける。
【0051】
アノード電極2とカソード電極1の間への電力供給源10の接続は、直流の場合は、通常はアノード電極2に電力供給源の正の出力端子を接続し、空間3内部のカソード電極1に負の出力端子を接続する。その理由は、熱電子放射は起こるが、熱イオン放射は起こらないためである。直流電力印加により、アノード電極2とカソード電極1は共に昇温するが、外気に曝されているアノード電極2の方がカソード電極1よりも低温となる傾向がある。これは次のような理由による。即ち、アノード電極2は外気や被加熱物に接しているため、アノード電極2に発生する熱は外気中に放射エネルギーとなって失われたり、被加熱物に伝導したりして失われる。また、アノード電極2とカソード電極1は共に昇温するが、カソード電極はアノード電極2に囲まれている。このようなことから、カソード電極の方がアノード電極2よりも温度が高くなる。さらに、実験によれば、カソード電極1を内外どちらにした場合でも両電極を昇温することは可能であるが、内部の電極を負極(カソード電極)にした方が逆の場合よりも安定して放電が起こる傾向がある。これは以下の理由による。即ち、イオン衝撃によってカソード電極1から2次電子が発生し、加熱装置の内部は外部より高温になるため電子放出も高温側からの方が起こりやすい。従って、内側の電極を負極(カソード電極1)にした方がイオン衝撃による2次電子放射や熱電子放射が起こりやすく、それらの電子により、放電だけの時より、電離が増し、かつ電子流が多くなって電流が流れやすくなるためである。さらに、これにより、内側の電極を負極(カソード電極1)にした方が、より低い電力で、安定した放電を起こすことが可能となる。エネルギの熱変化効率が良い。
【0052】
これに対して、交流の場合は、熱電子の効果はあまり期待できない代わりに、特に制限はない。交流電力印加により、電子及びイオンが交互にアノード電極2及びカソード電極1のそれぞれに衝突するため、アノード電極2とカソード電極1はともに昇温する。この場合にも、カソード電極はアノード電極2に囲まれていることから、カソード電極1の方がアノード電極2よりも温度が高くなる。そして、印加電力を調整することにより、常温以上、数1000℃程度までの非常に広い加熱温度範囲が得られる。
【0053】
このような加熱装置では、カソード電極1として、電子放射の仕事関数の小さい材料、例えば、トリウム入りタングステン、酸化イットリウム焼結体、ランタンボライド結晶、酸化トリウムや酸化イットリウムとカーボンおよび導電性セラミックとの複合体、カーボン単体など自体からなるものを用いる。又は、高融点材料、例えば、チタン、タングステン、タンタル、レニウム、モリブデン、イリジウム、ハフニウムなどの特に放電空間に面した表面に、電子放射の仕事関数の小さい材料、例えば、酸化トリウム、酸化イットリウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化カリウムなどがコーティングされてなるものを用いることが好ましい。
【0054】
これにより、それらのコーティング材の持つ仕事関数に匹敵する温度以上で、カソード電極1から電子の供給を増やしてアノード電極2の昇温を容易にし、さらにエネルギ変換効率を向上させることができる。なお、仕事関数は小さければ小さいほど、より低い昇温温度から熱電子効果が得られ、昇温しやすくなる。しかし、現実には仕事関数の小さい材料ほど、活性化(一度温度を上げること)後、外気や水を含むと死活化し、効果がなくなってしまう。また、イオン衝撃を受ける側にコーティングするので、イオン衝撃でも死活化され、さらにはイオンスパッタでたちまち剥げてしまうので、何が最適かは実際に実験して確かめる必要がある。ただし、電極自体の物質の仕事関数が小さければ、剥げてもその働きは持続できるので、さらにはスパッタにより、よりクリーンな状態が保て、電極自体の材料としてそのような物質を用いることにより、その加熱装置はその効果をより一層発揮することができる。
【0055】
また、カソード電極1の耐熱性材料のうち特にチタンは、塩素系やフッ素系の反応ガスに対する耐腐食性に優れているにもかかわらず、熱伝導が悪いため、基板のヒータ材料として用いられていないが、本発明の実施の形態によれば、高速昇温が可能であり、非常に均一性の高い温度分布を得ることができる。従って、カソード電極1の耐熱性材料としてチタンを用いることで、塩素系やフッ素系の反応ガスに対する耐腐食性に優れ、かつ温度分布の均一性が高い加熱装置を提供することができる。
【0056】
アノード電極2として、耐熱性基体の表面、例えば少なくとも外気に曝された側の表面に耐熱性を有し、かつ緻密な膜がコーティングされたものを用いることが好ましい。耐熱性基体として黒鉛、タングステン、モリブデン、インコネル、及びステンレスなどのうち何れか一を用い、黒鉛膜、SiC膜、窒化ボロン膜、窒化アルミ膜、アルミナ膜などのうち何れか一を用いることができる。これにより、加熱手段であるアノード電極2の耐熱性を増すことができる上、外気に対して放電空間をより完全に密閉することができるため、アノード電極2の外側の圧力変化の影響を受けることなく、放電空間の圧力の安定化を図ることができる。
【0057】
また、絶縁体4としてBN、アルミナセラミック、窒化珪素セラミック、石英など耐熱性を有する材料からなるものが用いられるが、きのこ形状の柄の部分に対応するアノード電極2の材料の肉厚を薄くすることにより、きのこ形状の傘の部分に対応するアノード電極2で発生する熱が絶縁体4の方に伝導しにくくするようにして、絶縁物の温度上昇による絶縁低下を防ぎ絶縁の信頼性を増加させてもよい。或いは、外気側の絶縁体4を例えばフィン状に切削し、これを冷却しても良い。
【0058】
(ii)上記加熱装置を用いた加熱方法
次に、上記加熱装置を用いた加熱方法について図1を参照して説明する。
【0059】
上記加熱装置のアノード電極(第2の導電体)2により囲まれてなる、外気と遮断された電極1、2間の空間3に放電用ガスを導入しつつ、減圧する。そして、電極1、2間の空間3の圧力を10乃至1000Paの範囲に保持する。なお、特に放電用ガスを導入することなく、空気が充満し、大気圧であった電極1、2間の空間3を単に排気することだけで当該空間3の圧力を10乃至1000Paの範囲に保持してもよい。
【0060】
次いで、カソード電極1とアノード電極2の間に直流又は交流の電力を印加する。これにより、減圧した空間3で放電を起こさせ、放電を維持してアノード電極2を昇温させる。電力の印加により放電用ガスが所謂グロー放電し、空間3内の放電用ガスの一部は電子とイオンに解離する。電子は小さくて軽いため、すぐに加速されて次々に気体を電離させ、電子の雪崩現象により空間全体に、かつ一様に放電空間が形成される。カソード電極1の一部に針状の突起物を設けている場合には、電界放射がより起き易くなる。
【0061】
直流電力を印加した場合、電極1、2間に生じる電界により、電子はアノード電極2の方に加速されてアノード電極2に衝突する。一方、イオンは、電子と反対にカソード電極1の方に加速されてカソード電極1に衝突する。このことにより、グロー放電においては、両電極1、2とも温度が上昇する。さらに、カソード電極1の仕事関数に匹敵する温度を超えると、熱電子がカソード電極1表面からどんどん供給されるようになる。熱電子も気体の電離に寄与するため、加熱はより容易になる。いずれにしても、電極1、2に衝突する電子及びイオンが電流となり、放電気体(プラズマ)は一種の抵抗体となるため、得られる温度は、印加する電力により決まり、数十℃乃至数千℃の範囲が可能である。
【0062】
一方、交流電力を印加した場合、電極1、2には、交互に正及び負の電圧が印加されるので、電子及びイオンが交互に衝突することになる。これにより、電極1、2は電子及びイオンからのエネルギ交換が行なわれるため、ほぼ同じように高い温度に昇温される。
【0063】
このようにして昇温したアノード電極2により被加熱物を加熱する。
【0064】
(iii)上記加熱装置を用いた加熱調査
次に、上記加熱装置を用いて種々調査した結果について、図面を参照して説明する。カソード電極1のきのこ形状の傘の部分に相当する円形状導電板として直径250mm、厚さ3mmの導電性円板で、かつ図3(b)に示す形状のものを用いている。アノード電極の直径は280mmで、その肉厚は上面側面下面の全てが均一で5mmである。また、カソード電極1及びアノード電極2の材料として共に等方性黒鉛(カーボン)を用いた。カソード電極1の円形状導電板1aとアノード電極2との間の間隔は、上下を共に8mmとした。BNをはさんだ柄の部分の間隔を5mmとした。
【0065】
調査は、放電気体として空気を用い、空気の放電圧力と放電電圧との関係(図4)、ヘリウムの放電圧力と放電電圧との関係(図5)、空気に関する放電電流と放電電圧の関係(図6)、及び電力印加直後から測定したアノード電極上面の温度の昇温/降温特性(図7)について行なった。
【0066】
なお、本調査は上述のオールカーボン構造の寸法のヒータ(図1の構造)をアルミニウムの減圧容器(図示せず)に入れ、第2電極であるアノード電極のカーボンの外圧による破損を防止するため、その周辺の圧力を500Paの一定減圧外気状態に保って調査実験を行った。
【0067】
まず、空気の放電圧力と放電電圧との関係を調査するため、空間に空気を導入しつつ、空間を排気して、空間の放電圧力をほぼ一定に保ちながら、放電により一旦所定の温度まで昇温する。その温度は図4では540℃、図5では400℃、図6では180℃である。なお、昇温により空間に電極材料からガスが放出されるようになり、このガス放出と排気のバランスにより放電圧力が保たれる。従って、実際は放電を起こす気体は空気だけではないと考えられる。
【0068】
その温度において、放電を安定して持続することができるためのパラメータ(気体の圧力、気体の種類、放電電圧、放電電流)の条件を調査した。即ち、本発明のヒータに投入できる電力は、電圧と電流の積(I×V)で与えられるが、放電を安定に持続させことのできる気体の圧力は、ある範囲に限定され、その範囲は気体の種類さらには電極構造により異なる。そして、放電の開始電圧は高ければ高いほど容易であるが、放電が一旦始まると放電気体の抵抗は極端に小さくなり、放電電流(I)を一定に保った場合、投入電力(I×V)は起動時の数分の1まで落ちる。ヒータ加熱のために準備できる電源のコストは、I×Vの大きさで決まる。装置コストを抑えるためには、電源電圧をなるべく低く抑え、電流を大きくする方が有利である。つまり、起動電圧を低く抑え、電流の大きさを調整することにより、ヒータの温度(投入パワー)をコントロールする方が有利である。このような理由から、最大出力電圧620V,最大出力電流2.1Aの定電圧定電流電源を準備し、図1の装置の調査を行った。即ち、電極1、2の間に直流電力を印加して放電させ、温度が540℃に達した状態で、この電源の最大電流が2.1Aを保持できるような状態にしておき、圧力を変化させたときに安定放電持続電圧が変化する様子を観察した。その結果を図4に示す。なお、上記の定電圧定電流電源はたまたま入手できたものを用いているが、さらに電圧電流供給能力の高い電源が準備できれば、2.1Aでなく、10Aでも可能である。
【0069】
図4の縦軸は線形目盛で表した放電電圧(V)を示し、横軸は線形目盛で表した空気の放電圧力(Pa)を示す。
【0070】
図4に示すように、気体の圧力を徐々に低くしてやると、放電持続電圧はどんどん高くなり、投入できる電力を大きくできる。この理由は、内部の圧力が低くなると、電子が気体に衝突するまでの平均距離が増し、この間に電子はより加速されるためである。30Pa位になると調査のために準備した電源装置の最大電圧に達し、フルパワーの電力投入ができる。しかし、これ以下の圧力では、放電は不安定になり、一旦放電が停止してしまうと、再起動が難しくなることが分かった。また逆に300Pa以上の圧力でも放電は不安定になった。これに対して、100Paから300Paの間では、圧力が多少変化しても、起動は非常に容易で、常に370〜380Vで安定して電流を流すことができた。このように、本実施形態の加熱装置では600Vの起動電圧が必要であるが、放電維持電圧は400Vでよい。例えば、放電維持電源とは別に起動用電源として小電流の起動専用電源を準備し、メインの電源である放電維持電源として400Vの定電流電源を準備すればよい。なお、定電圧電源では放電で起動するとたちまち電圧が下がるのでこの装置の電源として適さない。
【0071】
また、放電のガス種として最も放電が起こりにくいヘリウムガスを用いて上記と同じ調査を行った。その結果を図5に示す。図5は、上記加熱装置を用いてヘリウムの放電圧力と放電電圧との関係を調査した結果について示すグラフである。縦軸は線形目盛で表した放電電圧(V)を示し、横軸は線形目盛で表したヘリウムの放電圧力(Pa)を示す。
【0072】
この場合は、準備すべきメインの定電流電源は、300Vの出力が可能なものであればよいことが分かる。逆に、安定な圧力は300Pa〜700Paと高く、減圧を容易に行なえる。しかし、安定領域の圧力範囲における放電電圧は240V〜280Vと空気に比べて低く、空気と同じ電力(I×V)を投入するためには、電圧の低い分、電流を大きくしなければならなくなることが分かった。
【0073】
次に、放電ガスは空気で、圧力を63Paに維持したままで、投入した電流に対して、必要な電圧がどのように変化するかを調べた。図6は、投入電流をどんどん高めて行ったときの電圧の上昇の様子を示す。図6の縦軸は線形目盛で表した放電電圧(V)を示し、横軸は線形目盛で表した放電電流(A)を示す。
【0074】
図6に示すように、図1の装置では、1.5Aまでは電流と電圧はほぼ比例関係にあり、通常の抵抗体として扱うことができることが分かる。放電電流が凡そ2Aに達すると、電圧の上昇は飽和に達し、これ以上では電圧の上昇は小さくなる。その電圧値は起動電圧(600V)内に治まっている。このように、600V以下の電源で相当に高い加熱温度が得られ、かつ600V以上の電源を用いるとコスト高になるため、可能な限り600V以下の電圧範囲を用いることが望ましい。この場合、投入電力を増大(より高い温度)するには、電流を制御するようにする。
【0075】
このように、電流を制御するだけで投入電力(温度)をコントロールすることができる。即ち、温度のフィードバック制御は、この電源の電流制御によって行うことができる。放電気体が空気の場合も、ヘリウムの場合も、気体の圧力が低い方が放電電圧を高くできるので、投入電力を大きくできることは図4と図5の調査から明らかである。しかし、その分、起動電圧がより高くなり、そして放電が停止ししやすくなることが分かった。
【0076】
次に、加熱装置としての基本特性であるヒータの上面温度を調査するため、放電空間に空気を導入しつつ空間を排気して、空間の圧力を73乃至81Paの範囲で一定に保つ。そして、最初に、放電電圧608V、放電電流2.1Aに保って、準備した電源の最大電力を投入した状態での昇温特性を調べた。その後、放電電流を低下させて、降温特性、及び放電維持電圧について調査した。なお、100Pa〜200Paの圧力にした方が放電はより安定であるが、準備した電源装置の最大能力に近い条件で実験するために、このような中途半端な圧力になった。さらに、図4では600Vの放電電圧を維持出来る空気圧力が30Paであるのに対して、図6、図7ではその圧力が異なっているのは、放電特有の不安定性のためである。逆に言えば、このように圧力に幅があっても、電流制御さえしっかりやれば、投入電力(温度)を精度良く制御できることを示している。
【0077】
その結果を図7に示す。図7の縦軸は線形目盛で表したアノード電極2上面の温度(℃)を示し、横軸は線形目盛で表した経過時間(min.)を示す。グラフ中、○印は図2の導電性円形状平板の中心の周りの円周260mmφ上の4点で測定した温度であり、●印は図2の導電性円形状平板の中心の周りの円周50mmφ内の5点で測定した温度である。
【0078】
まず、加熱装置を室温(20℃)に保ち、内部の放電空間を約80Paまで減圧した状態で、電源スイッチを入れて電流2.1Aとし、放電を開始する。電源電圧は608Vを示した。このとき、加熱装置として約50℃/minの昇温特性を得ることができた。直径280mmと大きく、かつ電極2の両側が黒鉛で輻射率(熱放射)が大きいにもかかわらず、2.1A×608V=〜1.3kW程度の投入電力でこのような大きな昇温速度が得られたことは驚異的であるといえる。
【0079】
次いで、温度490℃に達した状態で、温度を一定に保ったときの特性モード調査を続いて行った。加熱装置をアルミ真空容器に入れた本調査の状態では、480℃を維持するのに必要な電流は約1.4Aであった。このとき電圧は524Vまで下がったので、この温度を維持する電力は1.4A×524V=〜0.73kWとなり、従来のヒータと比べて省電力化を図ることができる。
【0080】
次に、電源を完全にオフにすると、加熱装置は速やかに温度降下し、途中400℃まで下がった状態において、再び電源のスイッチを入れた。放電は速やかに起動し、この400℃を維持するに必要な電力は0.96A×472V=〜0.45kWであった。その後は電源を完全に切って、放置した。それ以降は、降温の様子を示す。
【0081】
第1の実施形態の加熱装置では、図7に示すように、電極1と電極2の間の空間に一様に広がる放電電流によって加熱されるため、図2の▲1▼〜▲5▼で示す、電極2上面の中心、及びその周囲中央部の同周円上での温度のばらつきは490℃の昇温状態でもわずか1〜2℃(0.2〜0.4%)であった。また、図2の▲6▼〜▲9▼で示す、電極1の真上付近のヒータ上面外周4点での温度のばらつきも1〜2℃であり、非常に均一な温度分布が得られた。ただし、この電極2上面の外周部分では側面から外部に放射される熱が大きいため、中央部に比べて多少温度が低くなっている。即ち、図7の○印と●印を比較して分かるように、外周部では中心部に比べて約10℃温度が低かった。一方、図3の(a)の場合は偏差は30℃もあった。従って、中央部の電極1の部分を孔で抜くか(または金網)で作ることによって、周辺部分の温度を上昇させて、均一化し得ることを確認することができた。また、電極2上面の温度が昇降温に非常に良く追従していることが分かる。
【0082】
以上のように、本発明の実施の形態の加熱装置によれば、カソード電極1の形状を調整することにより、面内温度分布を数%以下に抑え、かつ昇温レート50℃/minの高速昇温が可能で、各点の温度追従性が非常に良い。600V程度の電圧の電源を準備して電流制御をするだけで、目的の温度に加熱物を昇降温することができる。例えば、600V、10A程度の電源を用いれば、アノード電極2を1000℃以上に昇温することも可能である。
【0083】
また、図示していないが、本調査とは別の方法で、カソード電極(第1の導電体)1を直径100mmのモリブデン薄肉円板で作り、アノード電極(第2の導電体)2を直径120mm、高さ20mm(電極1、2の間隔は上下とも4mm)の同じくモリブデンで製作し、放電用ガスとしてヘリウムを用いた調査では、わずか800V×0.8Aの電流投入で1000℃の昇温を得ることができた。
【0084】
以上のように、この発明の第1の実施の形態によれば、カソード電極1を囲むように設けられ、外気中に露出したアノード電極2を、被加熱物を加熱する手段として用いている。従って、アノード電極2の上面を基板の載置面2aとすることができ、このため、枚葉式の半導体製造装置の基板加熱に適した加熱装置を提供することができる。
【0085】
また、カソード電極1とアノード電極2の間に直流電力を印加して放電用ガスをグロー放電させることにより、放電用ガスから解離した電子の衝突によりアノード電極2を昇温することができる。さらに、カソード電極1の温度が、その材料の仕事関数に匹敵する温度を超えると、それ自体から熱電子が発生するようになるため、放電空間内の総電子量は気体の電離だけで発生する電子量以上に増える。これにより、電離が促進され、かつ放電電流が増す。従って、印加電力を増やすことで、材料の溶融により決まる到達可能な温度まで第1及び第2導電体を容易に、かつ効率よく昇温することができる。
【0086】
また、加熱により金属中から電子を発生させるのではなく、減圧された空間内の放電用ガスなどをグロー放電させて電子を発生させているため、グロー放電を起こさせる電圧を兼ね備えた電源を準備し、放電電流をコントロールするだけでアノード電極2を昇温することができ、また、アノード電極2に直接エネルギを付与している。このため、エネルギの熱変換効率が良く、断線や絶縁不良の様な問題の発生がない略抵抗体として、従って、省電力化、及び装置の小型化を図ることができる。
【0087】
また、カソード電極1とアノード電極2の間の放電用ガスをグロー放電させて、それにより発生する電子の衝突によるエネルギ交換を利用しているため、カソード電極1の導電性円形状平板1aに貫通孔1cなどを設けてその形状を調整することにより、放電強度分布を調整することができる。これにより、電子の衝突分布を比較的容易に調整することができるため、比較的容易に均一性の高い温度分布が得られる。従って、大型の基板に適用することも可能となる。
【0088】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0089】
第2の実施の形態の加熱装置は、図1の加熱装置に対してさらに構成が付加されたものである。詳しくは、図8に示すように、カソード電極1のきのこ形状の傘の部分に相当する円形状導電板1aに対して裏面下方のアノード電極2から上面上方のアノード電極2に至る貫通孔2cが設けられている。貫通孔2cの側面はアノード電極2と同じ材料の筒状の仕切り壁2bにより覆われており、この仕切り壁2bにより電極1、2間の空間3の気密性が保たれている。アノード電極2の上面に載置された被加熱物12を持ち上げるリフトピン11をその貫通孔2cに挿入することができるようになっている。
【0090】
また、上記筒状の仕切り壁2bはまた、カソード電極1の貫通孔1dを通して設けられている。貫通孔2cの仕切り壁2bと仕切り壁2b周囲のカソード電極1との間で異常放電が起きないように、貫通孔1dの大きさが決められ、貫通孔2cの仕切り壁2bとカソード電極1との間に適当な間隔が保持されている。
【0091】
以上のように、第2の実施の形態によれば、貫通孔2cにリフトピン11を挿入し、必要なときにリフトピン11を押し上げることにより、アノード電極2上の載置面2aに真空吸着や静電吸着などにより固定したウエハなどの被加熱物12を容易に取り外すことが可能となる。
【0092】
また、貫通孔2cの仕切り壁2bは、カソード電極1上下のアノード電極2の支持体としても機能し、加熱物が大気圧状態の高い圧力で用いられた場合、または一辺が1メートル以上の方形状の大きな液晶加熱基盤ヒータの場合など、ヒータ中央のへこみを防止し(大気中では1平方センチメートル当たり約一気圧の圧力がかかる)、アノード電極2の強度の向上を図る一石二鳥の効果が期待できる。
【0093】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の第3の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0094】
第3の実施の形態の加熱装置は、図1の加熱装置に対してさらに構成が付加されたものである。詳しくは、図9に示すように、カソード電極1のきのこ形状の傘の部分に相当する円形状導電板1aの周縁部に、アノード電極2の側壁に沿って、かつ適当な間隔を保ってアノード電極2の側壁と対向するようにカソード電極1の一部となる板状導電体1eが設けられている。
【0095】
この構成は、面内温度分布をより一層均一にすることに有効である。即ち、電極1の側面の表面積を増して放電強度を強化し、ヒータの周辺部の側面からの放射によって失われる熱を補償するとともに、さらに孔1cのパターンの組み合わせによって放電強度分布を調整して、面内温度分布をより一層均一にすることができる。
【0096】
このような構成によれば、第1の実施の形態の場合と同様な効果が得られる他に、図1のアノード電極2側面も高温にできるので、リフレクタが不要となる。以下に、その理由を説明する。一般の平板型ヒータでは抵抗発熱体が中心にあり、上と下を金属またはセラミックではさむ、または包むような構造になっている。このため、発熱表面は最も温度の高い発熱体から発生する熱を、それを包んでいる物質を介して輻射、熱伝導、輻射のいずれかにより最表面に伝える。ヒータの熱は全ての表面から放射されるので、ヒータにとっては全ての面が冷却表面になる。これを防ぐ方法として、従来のヒータでは、裏面に低輻射率のモリブデンなどからなるドーナツ型薄肉板を5〜20枚積層したリフレクタにより放熱を抑える必要があった。このため、ヒータの構造が複雑で、また、このリフレクタの熱容量が大きいため、高速の昇降温が難しかった。
【0097】
これに対して、本発明のヒータは全ての面(上面、側面、下面)が発熱体であるため(板の厚さ分は熱伝導ですが)、上面から側面を伝わって下面に逃げる熱量が小さい。即ち、ヒータの周辺温度が下がり難い。従って、ダミーヒータ部(温度の低い部分)を極小にすることができ、リフレクタも不要になる。これにより、高速昇降温が容易で、かつリフレクタにより消費される熱を低減でき、従って省エネが達成できることになる。
【0098】
(第4の実施の形態)
図10は、本発明の第4の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0099】
この実施の形態に係る加熱装置においては、図10に示すように、カソード電極(第1の導電体)21を囲むようにアノード電極(第2の導電体)22が設けられていることは第1の実施の形態の加熱装置と同じであるが、第1の実施の形態の加熱装置とは電極21、22の形状が異なる。
【0100】
即ち、カソード電極21は、上方に開口した凹状の容器状導電体21a、および容器状導電体21aの底部裏面に接続された円柱状導電棒(柱状導電体)21bを有し、アノード電極22はカソード電極21と類似の形状を有する。カソード電極21の容器状導電体21aの凹部に対応するアノード電極22の凹部25が被加熱物26の収納部となっている。
【0101】
その他の構成に関しては、カソード電極21の円柱状導電棒21bの中心部に排気管24aが設けられ、排気管24aは容器状導電体21aを貫通する孔24bを介して、一端でカソード電極21の凹部の底部に形成された電極21、22間の空間23に開口し、他端が排気手段に接続される排気口に接続されている。なお、この加熱装置のカソード電極21の円柱状導電棒21bを含む下側部分は、図10には図示されていないが、図1の加熱装置のカソード電極1の円柱状導電棒1bを含む下側部分と同様な構成を有している。
【0102】
また、カソード電極21の容器状導電体21aには、図10には図示されていないが、第1の実施の形態と同様に、放電分布を調整する少なくとも1つ以上の貫通孔が設けられている。
【0103】
この実施の形態の加熱装置は、加熱手段が容器形状を有するので、アノード電極22の凹部25内に被加熱物26を収納し、その被加熱物26を加熱して溶融させる場合に適している。
【0104】
また、この実施の形態の加熱装置においては、電極21、22の形状を除き、第1の実施の形態の加熱装置と同様な構造を有しているので、第1の実施の形態の加熱装置と同様な作用、効果を得ることができる。
【0105】
(第5の実施の形態)
図11は、本発明の第5の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0106】
半導体工業の枚葉式処理装置に備えられたヒータのほとんどは、ヒータの基板載置面が上向きになるように設置され、ウエハは基板載置面に直接その裏面を当てて置かれることが多い。このため、反応室内の内壁などに付着した反応生成物が温度の昇降時に剥がれてウエハ表面に落ち、歩留まりを悪くする虞がある。本発明の第5の実施の形態に係る加熱装置ではこの問題の解決に有効である。
【0107】
その加熱装置は、図11に示すように、図1に類似した構造を有するが、図1の加熱装置に対してアノード電極2の基板載置面2aに内部の放電空間3に達する多数の貫通孔(吸引孔)13を有している。また、アノード電極2の基板載置面2aが下向きになるように加熱装置が逆さまに取り付けられている。なお、図11中、他の符号は、図1と同じ符号で示すものは図1と同じものを示す。
【0108】
なお、上記加熱装置では、アノード電極2の基板載置面2aに内部の放電空間3に達する多数の貫通孔(吸引孔)13を有しているが、アノード電極2の基板載置面2aに対応する部分を多孔質焼結体で形成してもよい。多孔質焼結体として、金属材料や非金属材料を用いることができる。金属材料として、タングステンやモリブデンの焼結金属を用い、これを、同質材料で形成したアノード電極2の基板載置面に対応する部分に電子ビーム溶接などで溶接する。また、非金属材料として多孔質黒鉛材を用い、これを、表面にカーボン膜を被覆した黒鉛材、又は多孔質黒鉛にフェノールを含浸させて焼結したガラス状コートカーボンなどの密封性の高い黒鉛材で形成したアノード電極2の基板載置面に対応する部分に黒鉛接着剤(フェノール)により接着し、焼結する。特に、後者の場合、完全な非金属構成で、かつ完全な密着性を保持してウエハを下向きに取り付けることができるので、金属汚染の全くない理想的な加熱ヒータを提供することができる。また、基板載置面に多数の貫通孔を開けた場合には、放電により発生した電子の一部が貫通孔を通過してウエハに当たり、ウエハにダメージを耐える虞があるが、多孔質導電材を用いた場合は、電子のウエハ側への通過はなくなるので、そのような虞はない。
【0109】
次に、CVD装置に備えられたこの実施形態の加熱装置を用いて、加熱装置の動作を以下に説明する。
【0110】
まず、反応室内に設置された加熱装置内部の放電空間3を排気し、減圧していくと同時に基板載置面2aにウエハ(基板)12を近づける。ウエハ12は吸引孔13により吸引されて基板載置面2aに吸着し、圧力差により基板載置面2aに固定される。これにより吸引孔13が塞がれるため、放電空間3は急激に真空度が上がっていく。言い換えれば、圧力が下がっていく。続いて、キャリアガス(水素、アルゴン、窒素など)を反応室内に導入しつつ、反応室内を排気し、一定の圧力(通常は、数100Paから1000Pa)を維持する。反応物質はまだ流さない。これに連動させて、加熱装置の放電空間3に接続された真空ポンプのコンダクタンスを調整し、放電に最も適した圧力にする。この場合、真空ポンプのコンダクタンスは、吸引孔13とウエハ12の間から漏れてくるキャリアガスも勘案して調整する。気体によってその圧力は異なるが、窒素の場合、同じく30〜300Paに維持する。
【0111】
次いで、電極1、2に、例えば直流電力を印加して放電を起こさせ、放電を維持することにより加熱装置を昇温する。このように、ウエハ12を吸着し、固定した状態で、ウエハ12を加熱することが可能になる。目的の温度に達したならば、キャリアガスに反応物質を混入し、ウエハ12上に膜を形成する。
【0112】
このようにして、所定の温度に加熱したウエハ12上にCVD膜を堆積させることができる。
【0113】
なお、成膜の代わりにアニール処理を行なう場合は、加熱装置にウエハ12を載置し、適当な不活性ガスを数100Paから大気圧までの範囲でチャンバ内に導入し、ウエハ12を吸引して固定する。その後、吸引孔13とウエハ12の間から漏れてくる不活性ガスを勘案して加熱装置に繋がる真空ポンプのコンダクタンスを調整し、放電空間を放電に最も適した圧力にする。ついで、放電空間で放電を起こし、放電を維持することによりウエハ12を加熱する。
【0114】
以上のように、本発明の第5の実施の形態に係る加熱装置によれば、ウエハ12の基板載置面2aへの密着性が非常に良いため、熱損失が少なく、ウエハ12面内温度分布の均一性がよく、このため基板載置面2aの温度とウエハ12温度とがよく一致する加熱装置を提供することが可能になる。
【0115】
なお、加熱装置の基板載置面2aが上向きになるように加熱装置が設置される場合にも、この加熱装置を適用することができることは言うまでもない。例えば、加熱装置の基板載置面2aが上向きになるように加熱装置が設置されるときに、上記真空チャックを備えていない場合、ウエハ12と基板載置面2aとの密着性が確保できないため、たとえ加熱装置の面内温度分布が均一であってもウエハ12の周辺部はどうしても温度が低くなる虞がある。これを改善するため、わざわざ加熱装置の面内温度部分布を不均一にするなどの必要がある。
【0116】
一方、このような密着性向上のための機構として、上記真空チャックの他に静電チャックがあるが、静電チャックでは昇温の限界が300℃と非常に低い。
【0117】
これに対して、この実施の形態に係る加熱装置では、1000℃以上の基板加熱を行なうことができ、かつ優れた密着性を確保できるために熱損失が少なく、面内温度分布の均一性がよい。従って、加熱装置の基板載置面2aが上向きになるように設置される加熱装置に適用しても、この実施の形態に係る加熱装置は有用である。
【0118】
(第6及び第7の実施の形態)
図12は、本発明の第6の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0119】
第6の実施の形態の加熱装置は、図12に示すように、導電性円形状平板からなる第1の電極(第1の導電体)31と、第1の電極31と適当な間隔をおいて対向する導電性円形状平板からなる第2の電極(第2の導電体)32と、第1の電極31と第2の電極32の間の空間34の周辺部に形成された絶縁体33とにより構成されている。第1の電極31と第2の電極32と絶縁体33とにより囲まれた内部に外気と遮断された空間34が形成されており、その空間34が予め減圧されている。減圧された空間34は、空間を外気と遮断する前の構造体を別の減圧真空装置に組み立て前に挿入し、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素、水素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一の雰囲気中で減圧し、所定の圧力が得られた後に、封入して作製される。又は、外気と遮断する前の空間34の一部に予めガス吸収体を挿入させておき、封入後において、このガス吸収体からガスを噴出させたり、また逆に吸収させて、放電に適した圧力を維持出来るようにしても良い。
【0120】
さらに、第1の実施の形態と異なり、第1及び第2の電極31、32ともに片面は外気中に露出しているので、第1の電極31及び第2の電極32のうち、両方或いは何れか一を加熱手段として用いことができる。この場合、第1の電極31及び第2の電極32のうち、両方或いは何れか一の外部表面が被加熱物の載置部35とすることができる。
第1の電極31及び第2の電極32のうち、カソード電極として用いる方は、電子放射の仕事関数の小さい材料自体からなるか、又は高融点材料の表面、少なくとも空間に面した表面に電子放射の仕事関数の小さい材料をコーティングしてなるものを用いる。一方、アノード電極として用いる方は、黒鉛の表面、少なくとも外気に曝される側の表面に黒鉛膜又はSiC膜がコーティングされたものを用いる。交流電力を印加する場合、第1の電極31及び第2の電極32の材料として、適宜上記の電極の材料を選択して用いる。また、絶縁体33の材料として、例えば、窒化ボロン(BN)、アルミナ、石英を用いる。
【0121】
次に、上記加熱装置を用いて加熱する方法について説明する。
【0122】
まず、電力供給源に接続された電極端子を有する電力供給装置に対して、加熱装置の第1の電極31及び第2の電極32が当該電極端子に接触するように加熱装置を電力供給装置にセットする。
【0123】
次いで、この加熱装置の第1の電極31と第2の電極32の間に放電を維持可能な程度の電力を印加する。印加する電力として直流電力でも交流電力でも用いることができるが、直流電力を用いる場合、第1の電極31、第2の電極32への電力供給源の正及び負の出力端子の接続は、何れでもよい。これにより、減圧された空間34中のガスを放電させ、かつ放電を維持して第1の電極31及び第2の電極32を昇温させる。
【0124】
直流電力印加の場合、放電により解離した電子及びイオンによるエネルギ交換により電極31、32が昇温する。一方、交流電力印加の場合、第1の電極31と第2の電極32には正及び負の電圧が交互に印加されるので、第1の電極31と第2の電極32はともに電子及びイオンの衝突を受けて、同じように昇温する。
【0125】
このようにして昇温した第1の電極31及び第2の電極32のうち少なくとも何れか一により被加熱物を加熱する。
【0126】
上記の第6の実施の形態の加熱装置によれば、加熱装置を電力供給装置にセットし、電力供給源から電力を供給するだけで、第1の電極31及び第2の電極32のうち少なくとも何れか一により加熱することができる。従って、特に、400〜500℃程度までの携帯用の簡易な加熱装置に適している。
【0127】
そのほか、第6の実施の形態の加熱装置によれば、第1の実施の形態と同様に減圧された空間34中のガスを放電させ、放電を維持することにより、第1の電極31及び第2の電極32のうち少なくとも何れか一を昇温させている。従って、第1の実施の形態と同様な作用、効果を有する。
【0128】
なお、上記した図12の加熱装置の構成に対して、図13に示す様な構造も可能である。図13は、本発明の第7の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0129】
その実施の形態の加熱装置は、図12に示すような、平板状の上下電極31、32を有する箱状の加熱装置の構成に対して、図13に示すように、上側の電極(第1の導電体)32aを側面下部まで延在させ(逆凹状)、上側の電極32aの両側面下部にわたる幅を有する板状の絶縁体33aを設けている。上側の電極32aと絶縁体33aにより形成された空間34aが外気と遮断された空間となる。下側の電極(第2の導電体)31aは上側の電極32aと接触しないように絶縁体33a上、空間34a内部に置かれている。下側の電極31aは絶縁体33aに接触していてもよいし、離れていてもよい。さらに、下側の電極31aの一部である棒状の電極31cが平板状の電極31b裏面から絶縁体33aの切除部を通して、かつ空間が外気と遮断されるように外部に引き出されている。
【0130】
第7の実施の形態では、第6の実施の形態とほぼ同様な構成を有するため、第6の実施の形態と同様な作用、効果を有する。
【0131】
(第8の実施の形態)
図14は、本発明の第8の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0132】
第8の実施の形態の加熱装置は、図14に示すように、導電性円形状平板41a、及び導電性円形状平板41aの裏面に接続された円柱状導電棒41bからなるカソード電極(第1の導電体)41と、カソード電極41を囲むように設けられたアノード電極(第2の導電体)42とを有している。アノード電極42は適当な間隔を保ってカソード電極41と対向するように設けられている。さらに、外部からカソード電極41に電力供給源を接続するため、アノード電極42の一部が切除され、その切除部から窒化ボロン(BN)からなる絶縁体43を介してその円柱状導電棒41bの端部が外部に引き出されている。アノード電極42とアノード電極42の切除部の絶縁体43とで囲まれた内部は、外気と遮断された空間44を形成し、かつその空間44が第6の実施の形態と同様にして減圧されている。
【0133】
この実施の形態の加熱装置では、アノード電極42を加熱手段として用い、アノード電極42の上部表面が被加熱物の載置面45となっている。
【0134】
なお、空間が予め減圧され、排気が不可能な場合、放電によりガスはカソード電極41にたたき込まれるか、または別の所に吸着され(不活性ガスならばこれはないが)、徐々に減ってくる。即ち、放電に必要な圧力範囲から外れてくる。これを避けるには不活性ガスを用いるのがよい。また、放電用ガスとして不活性ガスを用いても、温度が高くなると、電極材料などからガス(多分、水素、一酸化炭素、二酸化炭素など)が発生して圧力が高くなり、放電に最適な圧力範囲から外れてくる恐れがある。これを避けるには、温度の上がらない空間、たとえば絶縁体4近傍に別に枝間を付けて、放電ガス(不活性ガス)以外のガスを吸着するような、バリウム金属や非蒸発型ゲッター剤(吸着材)を封じ込んでもよい。
【0135】
この実施の形態の加熱装置により被加熱物を加熱するには、まず、第6の実施の形態の場合と同様に、電力供給源に接続された電極端子を有する電力供給装置に対して、加熱装置のカソード電極41及びアノード電極42が当該電極端子に接触するように加熱装置を電力供給装置にセットする。
【0136】
次いで、第1の実施の形態と同様にして、カソード電極41とアノード電極42の間に放電を維持可能な直流又は交流の電力を印加する。直流電力を印加する場合、アノード電極42の方がカソード電極41よりも電位が高くなるようにする。このようにして、減圧された空間44を放電させ、放電を維持することによりアノード電極42を昇温させる。これにより、アノード電極42上の被加熱物を加熱することができる。
【0137】
この第8の実施の形態の加熱装置も、第6の実施の形態の場合と同様に、加熱装置を電力供給装置にセットし、電力供給源から電力を供給するだけで、カソード電極41及びアノード電極42のうち何れか一による加熱が可能である。従って、特に、携帯用の簡易な加熱装置に適している。
【0138】
そのほか、排気口やガス供給口を有しないことを除き、第1の実施の形態と同様に、減圧された空間44中のガスを放電させ、放電を維持することにより、アノード電極42を昇温させている。従って、第1の実施の形態と同様な作用、効果を有する。
【0139】
(第9の実施の形態)
図15は、本発明の第9の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0140】
この実施の形態の加熱装置は、図15に示すように、第1の電極(第1の導電体)51及び第2の電極(第2の導電体)22の片面がともに外気中に露出していることは第6の実施の形態の加熱装置と同じであるが、第6の実施の形態の加熱装置とは電極51、52の形状が異なる。
【0141】
即ち、第1の電極(第1の導電体)51及び第2の電極(第2の導電体)52は上方に開口した凹状の容器状導電体からなる。第2の電極52の凹部55開口端の側部に位置する第1の電極51と第2の電極52の間の空間54に、窒化ボロン(BN)、アルミナ、石英、高耐熱性ガラスからなる絶縁体53が形成されている。第1の電極51と第2の電極52と絶縁体53とにより囲まれた内部は外気と遮断された空間54となっており、その空間54は第6の実施の形態と同様にして減圧されている。
【0142】
この実施の形態の加熱装置では、第2の電極52を加熱手段として用い、第2の電極52の凹部55が被加熱物の収納部となっている。
【0143】
この実施の形態の加熱装置により、被加熱物を加熱するには、まず、第6の実施の形態と同様にして、電力供給源に接続された電極端子を有する電力供給装置に対して、加熱装置の第1及び第2の電極51、52が当該電極端子に接触するように加熱装置を電力供給装置にセットする。この加熱装置においては印加する電力として直流電力でも交流電力でも用いることができるが、第2の電極52の凹部55に被加熱物を収納するので、直流電力を印加する場合には、特に第2の電極52がより高い温度に昇温するように、第2の電極52に正電圧がかかるようにセットする。
【0144】
次いで、第6の実施の形態と同様にして、第1の電極51と第2の電極52の間に直流又は交流の電力を印加して減圧された空間を放電させ、放電を維持することにより、第2の電極52を昇温させる。これにより、第2の電極52の凹部55内の被加熱物を加熱することができる。
【0145】
この第9の実施の形態の加熱装置も、第6の実施の形態の場合と同様に、加熱装置を電力供給装置にセットし、電力供給源から電力を供給するだけで、第2の電極52による加熱が可能である。従って、特に、液体を加熱するための、或いは固体を溶融するための携帯用の簡易な加熱装置に適している。尚、この場合は感電防止のために51の表面には、絶縁膜を施すこともできる。
【0146】
そのほか、この第9の実施の形態の加熱装置では、電極51、52の形状を除き、第6の実施の形態の場合と同様な構造を有しているので、第6の実施の形態の加熱装置と同様な効果を得ることができる。
【0147】
(第10の実施の形態)
図16は、本発明の第10の実施の形態の加熱装置の構成について示す側断面図である。
【0148】
この実施の形態の加熱装置は、図16に示すように、カソード電極(第1の導電体)61を囲むようにアノード電極(第2の導電体)62が設けられていることは第6の実施の形態の加熱装置と同じであるが、第6の実施の形態の加熱装置とは電極61、62の形状が異なる。
【0149】
即ち、カソード電極61は、上方に開口した凹状の容器状導電体61a、および容器状導電体61aの底部裏面に接続された円柱状導電棒(柱状導電体)61bを有し、アノード電極62はカソード電極61と類似の形状を有する。カソード電極61の容器状導電体61aの凹部に対応するアノード電極62の凹部65が被加熱物の収納部となっている。
【0150】
さらに、外部からカソード電極61に電力供給源を接続するため、アノード電極62の一部が切除され、その切除部から、窒化ボロン(BN)アルミナ、石英、高耐熱性ガラスの絶縁体63を介してその円柱状導電棒61bの端部が外部に引き出されている。アノード電極62とアノード電極62の切除部の絶縁体63とで囲まれた内部は、外気と遮断された空間64を形成し、かつその空間64が、第5の実施の形態と同様にして減圧されている。
【0151】
この実施の形態の加熱装置では、アノード電極62を加熱手段として用い、アノード電極62の凹部65に被加熱物を収納するようになっている。
【0152】
この実施の形態の加熱装置により、被加熱物を加熱するには、第5の実施の形態と同様に、まず、電力供給源に接続された電極端子を有する電力供給装置に対して、加熱装置のカソード電極61及びアノード電極62が当該電極端子に接触するように加熱装置を電力供給装置にセットする。
【0153】
次いで、カソード電極61とアノード電極62の間に放電を維持可能な直流又は交流の電力を印加する。直流電力を印加する場合、アノード電極62の方がカソード電極61よりも電位が高くなるようにする。このようにして、減圧された空間を放電させ、放電を維持することによりアノード電極62を昇温させる。これにより、アノード電極62の凹部65内の被加熱物を加熱することができる。
【0154】
この第10の実施の形態の加熱装置も、第5の実施の形態の場合と同様に、加熱装置を電力供給装置にセットし、電力供給源から電力を供給するだけで、アノード電極62による加熱が可能である。従って、特に、液体を加熱するための、或いは固体を溶融するための携帯用の簡易な加熱装置に適している。
【0155】
そのほか、この第10の実施の形態の加熱装置では、排気口やガス供給口を有しないことを除き、第4の実施の形態と同様に、減圧された空間64中のガスを放電させ、放電を維持することにより、アノード電極62を昇温させている。従って、第4の実施の形態と同様な作用、効果を有する。
【0156】
(第11の実施の形態)
図17(a)は、本発明の第11の実施の形態の加熱装置について示す上面図である。同図(b)は、同じく側断面図である。
【0157】
図17(a)、(b)に示すように、放電空間の内部であって、カソード電極を構成する円形状導電板(板状導電体)1fの周囲を囲むようにアノード電極2が設けられていることは図1の第1の実施の形態と同様であるが、そのアノード電極2と円形状導電板1fの間で、円形状導電板1fの周囲を囲むようにカソード電極を構成するドーナツ状導電板(板状導電体)1gが設けられていることが図1の第1の実施の形態と異なる。
【0158】
この場合、円形状導電板1fとドーナツ状導電板1gは、これらを囲むアノード電極2の外にそれぞれ円柱状導電棒(柱状導電体)1h、1iを介して相互に独立に引き出されている。円形状導電板1fとアノード電極2の間、及びドーナツ状導電板1gとアノード電極2の間にそれぞれ別々の電源10a、10bが接続される。そして、ドーナツ状導電板1gと接続する円柱状導電棒1iの引出し部にも、円柱状導電棒1hの引出し部と同様に絶縁体4により空間3を外気と遮断している。円形状導電板1fと接続する円柱状導電棒1hのみに一端が排気口5cとなり、他端が放電空間3に開口している排気管5aが設けられている。場合により、ドーナツ状導電板1gと接続する円柱状導電棒1iにも端部が排気口となり、多端が放電空間に開口している排気管を設けてもよい。
【0159】
なお、図17(a)、(b)中、図1と同じ符号で示すものは、図1と同じものを示す。
【0160】
さらに、円形状導電板1fとドーナツ状導電板1gを仕切るため、図8に示すような支柱となる仕切り壁2bを設けてもよい。
【0161】
上記第11の実施の形態によれば、円形状導電板1fとドーナツ状導電板1gにそれぞれ別々の電源10a、10bを独立に接続することができるため、放電電流を独立に制御することができる。所謂ゾーンヒーティングを行なうことができる。これにより、アノード電極2の表面の内外での温度不均一を補正しながら、昇温、温度維持、降温を制御することができる。
【0162】
また、図18は、本発明の第11の実施の形態の他の加熱装置について示す上面図である。図17(b)では、基板載置部が円形状の加熱装置にこの実施の形態の構造を適用しているが、図18では、基板載置部が方形状の加熱装置に適用している。
【0163】
図18の加熱装置では、図17(a)に示す円形状導電板1fの代わりに、方形状導電板1jを用い、円形状導電板1fの周囲を囲む円形のドーナツ状導電板1gの代わりに、方形状導電板1jに対応させて方形のドーナツ状導電板1kを用いている。さらに、方形状導電板1j及びドーナツ状導電板1kを囲むアノード電極2dも、それらの形状にあわせて、四角い箱状を有する。
【0164】
図18の加熱装置では、基板載置部は方形状を有するので、特に、方形状の大型基板、例えば液晶表示装置のTFT基板などの大型基板の加熱を伴う処理に適している。
【0165】
以上、実施の形態によりこの発明を詳細に説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0166】
例えば、上記実施の形態では、カソード電極又は第1の電極(第1の導電体)1、21、31、31a、41、51、61の形状を平板状、逆凹状或いは容器状とし、その形状にあわせてアノード電極又は第2の電極(第2の導電体)2、22、32、32a、42、52、62を設けているが、カソード電極又は第1の電極、及びアノード電極又は第2の電極の形状はこれに限られない。一例として、アノード電極又は第2の電極(第2の導電体)が内部が放電空間となった球状であり、カソード電極又は第1の電極(第1の導電体)が球の中心にある小球状であるような構造でもよい。この場合、外部の電源と接続するため、小球に接続する棒状の引出し電極によりアノード電極と接触しないように、かつ球内の放電空間が外気と遮断されるようにカソード端子を球外に引き出すことができる。
【0167】
また、カソード電極又は第1の電極(第1の導電体)1、21、31、31a、41、51、61とアノード電極又は第2の電極(第2の導電体)2、22、32、32a、42、52、62の間隔に関し、実施の形態に具体的に記載した間隔に限られない。カソード電極又は第1の電極(第1の導電体)とアノード電極又は第2の電極(第2の導電体)の間に電力を印加した場合にその間でグロー放電が起こるような間隔であればよい。
【0168】
また、図12及び図15の加熱装置は、外気と遮断された空間に対する排気口やガス供給口を備えていないが、第1の電極31、51と第2の電極32、52の間の外気と遮断された空間34、54を排気する排気口やその空間に放電ガスを導入するガス供給口を設けてもよい。この場合、排気口等に接続される排気管等が導電体である場合、排気管等は第1の電極31、51及び第2の電極32、52とそれぞれ絶縁されていてもよいし、第1の電極31、51と第2の電極32、52とが接触しないように第1の電極31、51及び第2の電極32、52のうち何れか一と接続されていてもよい。
【0169】
上記発明の詳細な説明により開示した発明の構成を付記として以下にまとめる。
【0170】
(付記1)第1の導電体、及び前記第1の導電体を囲むように設けられた第2の導電体を有し、それらが実質的に外気と遮断された空間を形成する構造体と、前記空間を減圧するために前記構造体に形成された排気口とを備え、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して減圧された前記空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより、昇温する前記第2の導電体を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とする加熱装置。
【0171】
(付記2)前記構造体は、前記第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して前記第1の導電体を前記第2の導電体の外部に引き出す引出し部を有することを特徴とする付記1記載の加熱装置。
【0172】
(付記3)前記第1の導電体は複数に分離して設けられ、かつ前記構造体は、前記分離した各々の第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して前記分離した各々の第1の導電体を前記第2の導電体の外部に、相互に独立に、引き出す引出し部を有することを特徴とする付記1又は2の何れか一に記載の加熱装置。
【0173】
(付記4)前記引出し部における前記第1の導電体と前記第2の導電体の間の隙間が前記排気口となっていることを特徴とする付記2又は3の何れか一に記載の加熱装置。
【0174】
(付記5)前記引出し部において前記第1の導電体と前記第2の導電体とを絶縁する絶縁体が設けられていることを特徴とする付記2又は3の何れか一に記載の加熱装置。
【0175】
(付記6)前記空間に面する側の絶縁体の表面に凹凸を設けたことを特徴とする請求項5記載の加熱装置。
【0176】
(付記7)前記第1の導電体は前記引出し部から前記空間に至る貫通孔を有し、前記貫通孔の引出し部側の開口端が前記排気口となっていることを特徴とする付記2乃至6の何れか一に記載の加熱装置。
【0177】
(付記8)前記絶縁体に前記排気口が設けられていることを特徴とする付記2乃至6の何れか一に記載の加熱装置。
【0178】
(付記9)前記第2の導電体は吸引孔を設けた被加熱物の載置部を有し、前記空間を減圧することにより前記載置部に載置した被加熱物を固定することを特徴とする付記1乃至8の何れか一に記載の加熱装置。
【0179】
(付記10)前記吸引孔を設けた被加熱物の載置部は、前記第2の導電体に貫通孔を設けてなり、或いは前記第2の導電体に多孔質焼結体をはめ込んでなることを特徴とする付記9記載の加熱装置。
【0180】
(付記11)第1の導電体と、前記第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して前記第1の導電体を前記第2の導電体の外部に引き出す引出し部を除き、前記第1の導電体を囲むように設けられた第2の導電体と、前記引出し部において前記第1の導電体と第2の導電体とを絶縁する絶縁体とを有し、それらが外気と遮断された空間を形成し、かつその空間が予め減圧されている構造体を備え、前記引出し部を介して前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して前記減圧された空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより昇温する前記第2の導電体を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とする加熱装置。
【0181】
(付記12)前記空間に面する第1の導電体の表面に、電子放射の仕事関数の小さい材料が露出してなることを特徴とする付記1乃至11の何れか一に記載の加熱装置。
【0182】
(付記13)前記第2の導電体は耐熱性基体からなり、その表面に緻密で、かつ耐熱性を有する膜がコーティングされていることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一に記載の加熱装置。
【0183】
(付記14)前記空間内に放電用ガス以外のガスの吸着材を設けたことを特徴とする請求項11乃至13の何れか一に記載の加熱装置。
【0184】
(付記15)第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と第2の導電体を絶縁する絶縁体からなり、それらが外気と遮断された空間を形成する構造体と、前記空間を減圧するために前記構造体に形成された排気口とを備え、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して減圧された前記空間を放電させ、該放電を維持することにより、昇温する前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とする加熱装置。
【0185】
(付記16)前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一の表面に被加熱物の載置部を有し、かつ該載置部に吸引孔を設けてなり、前記空間を減圧することにより、前記載置部に載置した被加熱物を固定することを特徴とする付記15記載の加熱装置。
【0186】
(付記17)前記吸引孔を有する載置部は、前記第2の導電体に貫通孔を設けてなり、或いは第2の導電体に多孔質焼結体をはめ込んでなることを特徴とする付記16記載の加熱装置。
【0187】
(付記18)第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と第2の導電体を絶縁する絶縁体を有し、それらが外気と遮断された空間を形成し、その空間が予め減圧されている構造体を備え、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して前記減圧された空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより昇温する前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とする加熱装置。
【0188】
(付記19)前記第1の導電体及び第2の導電体のうちカソード電極として用いる導電体の、前記空間に面する表面に、電子放射の仕事関数の小さい材料が露出してなることを特徴とする付記15乃至18の何れか一に記載の加熱装置。
【0189】
(付記20)前記第1の導電体及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一は耐熱性基体からなり、かつその表面に、緻密で、かつ耐熱性を有する膜がコーティングされていることを特徴とする付記15乃至19の何れか一に記載の加熱装置
(付記21)前記構造体は、前記空間に放電用ガスを供給するガス供給口を有することを特徴とする付記1又は15の何れか一に記載の加熱装置。
【0190】
(付記22)前記放電用ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一であることを特徴とする付記21記載の加熱装置。
【0191】
(付記23)前記減圧された空間の圧力は10Pa乃至1000Paの範囲であることを特徴とする付記1乃至22の何れか一に記載の加熱装置。
【0192】
(付記24)前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を供給する電力供給源を有することを特徴とする付記1乃至23の何れか一に記載の加熱装置。
【0193】
(付記25)前記被加熱物を加熱する温度を検出し、前記加熱装置に印加する電力を調整することにより、前記被加熱物を加熱する温度を所定の範囲に保持するフィードバック手段を備えていることを特徴とする付記24記載の加熱装置。
【0194】
(付記26)第1の導電体を囲むように第2の導電体を形成して、外気と遮断された空間を形成し、該空間を減圧し、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加することにより前記減圧した空間で放電を起こさせて該放電を維持し、前記放電を維持することにより昇温した第2の導電体により被加熱物を加熱することを特徴とする加熱方法。
【0195】
(付記27)第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と前記第2の導電体を絶縁する絶縁体により外気と遮断された空間を形成し、該空間を減圧し、前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加することにより前記減圧した空間で放電を起こさせて該放電を維持し、前記放電を維持することにより昇温した第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一により被加熱物を加熱することを特徴とする加熱方法。
【0196】
(付記28)前記減圧した空間の圧力は10Pa乃至1000Paの範囲であることを特徴とする付記26又は27の何れか一に記載の加熱方法。
【0197】
(付記29)前記空間を排気することにより前記空間を減圧することを特徴とする付記26乃至28の何れか一に記載の加熱方法。
【0198】
(付記30)前記空間に放電用ガスを供給しつつ前記空間を排気することにより前記空間を減圧することを特徴とする付記26乃至28の何れか一に記載の加熱方法。
【0199】
(付記31)前記放電用ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一であることを特徴とする付記30記載の加熱方法。
【0200】
(付記32)前記第1の導電体は、板状導電体と、該板状導電体の裏面に接続された柱状導電体とからなるきのこ形状を有し、前記第2の導電体は前記第1の導電体と所定の間隔を保持しつつ、前記きのこ形状に沿ってそれを囲むように設けられていることを特徴とする付記1乃至14の何れか一に記載の加熱装置。
【0201】
(付記33)前記第1の導電体の板状導電体には、少なくとも1つ以上の貫通孔が設けられていることを特徴とする付記32記載の加熱装置。
【0202】
(付記34)前記第1の導電体の板状導電体の周縁部に、前記第2の導電体の側壁に沿ってかつ前記第2の導電体の側壁と対向するように前記第1の導電体の一部となる板状導電体が設けられていることを特徴とする付記32又は33の何れか一に記載の加熱装置。
【0203】
(付記35)前記第1の導電体の板状導電体の上面上方の前記第2の導電体の表面が前記被加熱物の載置部となっていることを特徴とする付記32乃至33の何れか一に記載の加熱装置。
【0204】
(付記36)前記第1の導電体の板状導電体に対して裏面下方の第2の導電体から上面上方の第2の導電体に至るパイプ状の貫通孔が設けられ、該貫通孔に前記第2の導電体の被加熱体の載置部に載置された前記被加熱物を持ち上げるリフトピンを挿入することができるようになっていることを特徴とする付記35記載の加熱装置。
【0205】
(付記37)前記第1の導電体は上方に開口した容器状導電体と該容器状導電体の底部裏面に接続された柱状導電体とを有し、前記第2の導電体は前記第1の導電体と所定の間隔を保持しつつ、前記容器状導電体に沿って前記第1の導電体を囲むように設けられていることを特徴とする付記1又は11の何れか一に記載の加熱装置。
【0206】
(付記38)前記第1の導電体の容器状導電体には、少なくとも1つ以上の貫通孔が設けられていることを特徴とする付記37記載の加熱装置。
【0207】
(付記39)前記第1の導電体の柱状導電体の中心部に排気管が設けられ、該排気管は前記容器状導電体を貫通する孔を介して前記空間に開口していることを特徴とする付記37又は38の何れか一に記載の加熱装置。
【0208】
(付記40)前記第1の導電体の容器状導電体の凹部に対応する前記第2の導電体の凹部が前記被加熱物の収納部となっていることを特徴とする付記37乃至39の何れか一に記載の加熱装置。
【0209】
【発明の効果】
以上のように、この発明の第1の加熱装置では、第1の導電体を囲むように設けられてその内部に外気と遮断された空間を形成する第2の導電体とを備えている。第2の導電体内の空間は減圧されておらず、空間を減圧する排気口を備えている。さらに、排気口の他に、放電用ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一を、外気と遮断された空間に供給するガス供給口を設けてもよい。
【0210】
第1の加熱装置では、第2の導電体内の空間は当初減圧されていないため、ガス供給口から放電用ガスを供給しながら、或いは単に、排気口から外気と遮断された空間を排気し、減圧した後、第1の導電体と第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加して減圧された空間内でガスを放電させ、その放電を維持する。放電を維持することにより第1及び第2の導電体が昇温する。さらに、カソード電極として用いる導電体の物質の仕事関数に匹敵する温度を超えると、自動的に熱電子が飛び出すようになり、放電電流との相乗効果によりアノード電極の融点近くまでの高温の昇温が可能になる。
【0211】
従って、外気に露出した第2の導電体を加熱手段として用いることで、1000℃以上の高い温度での基板加熱が可能となる。また、第2の導電体を基板の載置部とすることができ、従って、枚葉式の半導体製造装置の基板加熱に適した加熱装置を提供することができる。
【0212】
また、主として空間中でガスを放電させて電子及びイオンを発生させているため2極構成でよく、最小の電極構成で投入電力の100%を熱変換できる。また、被加熱物を加熱する手段である第2の導電体にはその電子又はイオンにより直接エネルギが与えられるため、エネルギの熱変換効率が良い。これにより、省電力化、及び装置の小型化を図ることができる。
【0213】
さらに、第1の導電体と第2の導電体の間の空間に発生する電子及びイオンの衝突によるエネルギ交換を利用しているため、第1及び第2の導電体の形状を調整することにより、放電強度分布を調整し、電子の衝突分布を比較的容易に調整することができる。このため、均一性の高い温度分布を比較的容易に得ることができる。
【0214】
この発明の第2の加熱装置では、第1の加熱装置に対して、排気口を備えず、外気と遮断された空間は予め減圧されている。第1の導電体と第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加して減圧された空間中のガスを放電させ、放電を維持することにより第1及び第2の導電体が昇温する。このうち、外気に露出した第2の導電体を加熱手段として用いることで、エネルギの熱変換効率を良くし、温度分布の均一性を高くし、加熱温度を高くし得る。さらに、外気と遮断された空間が予め減圧されているため、特に所謂携帯に適した加熱装置を得ることができる。
【0215】
また、本発明の第3の加熱装置では、第1の導電体、第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び第1のとを電体と第2の導電体を絶縁する絶縁体を有し、それらが外気と遮断された空間を形成する構造体を備えている。構造体内の空間は減圧されておらず、空間を減圧する排気口を備えている。さらに、第3の加熱装置では、排気口の他に、放電用ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一を、外気と遮断された空間に供給するガス供給口を設けてもよい。
【0216】
第3の加熱装置では、構造体内の空間は減圧されておらず、第2の加熱装置のように、外気と遮断された空間を減圧した後、第1の導電体と第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加して、減圧された空間中のガスを放電させ、その放電を維持することにより第1及び第2の導電体を昇温させる。従って、第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を加熱手段として用いることで、第1の加熱装置と同様に、エネルギの熱変換効率を良くし、温度分布の均一性を高くし、かつ加熱温度を高くし得る。また、第1及び第2の導電体はいずれも外気に露出しているため、第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を基板の載置部とすることができ、従って、枚葉式の半導体製造装置の基板加熱に適した加熱装置を提供することができる。
【0217】
この発明の第4の加熱装置によれば、第3の加熱装置に対して、外気と遮断された空間は予め減圧されており、第1の導電体と第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加して減圧された空間中に残留するガスを放電させ、放電を維持する。そして放電を維持することにより第1及び第2の導電体を昇温させる。従って、第3の加熱装置と同様に、第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を被加熱物を加熱する手段として用いることで、エネルギの熱変換効率を良くし、温度分布の均一性を高くし、かつ加熱温度を高くし得る。また、第2の加熱装置と同様に、外気と遮断された空間が予め減圧されているため、特に所謂携帯に適した加熱装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態である加熱装置の基板の載置面について示す上面図である。
【図3】(a)、(b)の左側の図は、本発明の第1の実施の形態である加熱装置のカソード電極の構成について示す上面図であり、(a)、(b)の右側の図は断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態である加熱装置を用いて行なった加熱調査結果を示すグラフ(その1)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態である加熱装置を用いて行なった加熱調査結果を示すグラフ(その2)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態である加熱装置を用いて行なった加熱調査結果を示すグラフ(その3)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態である加熱装置を用いて行なった加熱調査結果を示すグラフ(その4)である。
【図8】本発明の第2の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図14】本発明の第8の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図15】本発明の第9の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図16】本発明の第10の実施の形態である加熱装置の全体の構成について示す側断面図である。
【図17】(a)は本発明の第11の実施の形態である加熱装置の構成について示す上面図であり、(b)は側断面図である。
【図18】本発明の第11の実施の形態である他の加熱装置の構成について示す上面図である。
【符号の説明】
1、21、41、61 カソード電極(第1の導電体)
1a、1f、41a 円形状導電板(板状導電体)
1b、1h、1i、21b、41b、61b 円柱状導電棒(柱状導電体)
1c、1d、2c、5b 貫通孔
1e 板状導電体
1g 円形のドーナツ状導電体(板状導電体)
1j 方形状導電板(板状導電体)
1k 方形のドーナツ状導電体(板状導電体)
2、22、42、62 アノード電極(第2の導電体)
2a、35、45 被加熱物の載置面
2b 仕切り壁
3、23、34、34a、44、54、64 空間
4、33、33a、43、53、63 絶縁体
4a 凹凸
5a、24a 排気管
5c 排気口
6 ガス供給口
10 電力供給源
11 リフトピン
12、26 被加熱物
13 吸引孔(貫通孔)
21a、61a 容器状導電体
25、55、65 被加熱物の収納部(凹部)
31、31a、51 第1の電極(第1の導電体)
31b 平板状の電極
31c 棒状の電極
32、32a、52 第2の電極(第2の導電体)
Claims (24)
- 第1の導電体、及び前記第1の導電体を囲むように設けられた第2の導電体を有し、それらが実質的に外気と遮断された空間を形成する構造体と、前記空間を減圧するために前記構造体に形成された排気口とを備え、
前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して減圧された前記空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより、昇温する前記第2の導電体を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とする加熱装置。 - 前記構造体は、前記第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して前記第1の導電体を前記第2の導電体の外部に引き出す引出し部を有し、該引出し部において前記第1の導電体と前記第2の導電体とを絶縁する絶縁体が設けられていることを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
- 前記空間に面する側の絶縁体の表面に凹凸を設けたことを特徴とする請求項2記載の加熱装置。
- 前記第2の導電体の表面に被加熱物の載置部を有し、かつ該載置部に吸引孔を設けてなり、前記空間を減圧することにより前記載置部に載置した被加熱物を固定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の加熱装置。
- 第1の導電体と、前記第1の導電体自体、或いは引出し導体を介して前記第1の導電体を前記第2の導電体の外部に引き出す引出し部を除き、前記第1の導電体を囲むように設けられた第2の導電体と、前記引出し部において前記第1の導電体と第2の導電体とを絶縁する絶縁体とを有し、それらが外気と遮断された空間を形成し、かつ前記空間が予め減圧されている構造体を備え、
前記引出し部を通して前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して前記減圧された空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより昇温する前記第2の導電体を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とする加熱装置。 - 前記空間に面する第1の導電体の表面に、電子放射の仕事関数の小さい材料が露出してなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の加熱装置。
- 前記第2の導電体は耐熱性基体からなり、その表面に緻密で、かつ耐熱性を有する膜がコーティングされていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載の加熱装置。
- 前記空間内に放電用ガス以外のガスの吸着材を設けたことを特徴とする請求項5乃至7の何れか一に記載の加熱装置。
- 第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と第2の導電体を絶縁する絶縁体からなり、それらが外気と遮断された空間を形成する構造体と、前記空間を減圧するために前記構造体に形成された排気口とを備え、
前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して減圧された前記空間を放電させ、該放電を維持することにより昇温する前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とする加熱装置。 - 前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一の表面に被加熱物の載置部を有し、かつ該載置部に吸引孔を設けてなり、前記空間を減圧することにより、前記載置部に載置した被加熱物を固定することを特徴とする請求項9記載の加熱装置。
- 第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と第2の導電体を絶縁する絶縁体からなり、それらが外気と遮断された空間を形成し、その空間が予め減圧されている構造体を備え、
前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に電力を印加して前記減圧された空間で放電を起こさせ、該放電を維持することにより昇温する前記第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一を、被加熱物を加熱する手段として用いることを特徴とする加熱装置。 - 前記第1の導電体及び第2の導電体のうちカソード電極として用いる導電体の、前記空間に面する表面に、電子放射の仕事関数の小さい材料が露出してなることを特徴とする請求項9乃至11の何れか一に記載の加熱装置。
- 前記第1の導電体及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一は耐熱性基体からなり、かつその表面に、緻密で、かつ耐熱性を有する膜がコーティングされていることを特徴とする請求項9乃至12の何れか一に記載の加熱装置。
- 前記空間に放電用ガスを供給するガス供給口を有することを特徴とする請求項1又は9の何れか一に記載の加熱装置。
- 前記放電用ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一であることを特徴とする請求項14記載の加熱装置。
- 前記減圧された空間の圧力は10Pa乃至1000Paの範囲であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一に記載の加熱装置。
- 前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を供給する電力供給源を有することを特徴とする請求項1乃至16の何れか一に記載の加熱装置。
- 前記被加熱物を加熱する温度を検出し、前記加熱装置に印加する電力を調整することにより、前記被加熱物を加熱する温度を所定の範囲に保持するフィードバック手段を備えていることを特徴とする請求項17記載の加熱装置。
- 第1の導電体を囲むように第2の導電体を形成して、外気と遮断された空間を形成し、
該空間を減圧し、
前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加することにより前記減圧した空間で放電を起こさせて該放電を維持し、
前記放電を維持することにより昇温した第2の導電体により被加熱物を加熱することを特徴とする加熱方法。 - 第1の導電体、前記第1の導電体に向い合う第2の導電体、及び前記第1の導電体と前記第2の導電体を絶縁する絶縁体により外気と遮断された空間を形成し、
該空間を減圧し、
前記第1の導電体と前記第2の導電体の間に直流又は交流の電力を印加することにより前記減圧した空間で放電を起こさせて該放電を維持し、
前記放電を維持することにより昇温した第1及び第2の導電体のうち少なくとも何れか一により被加熱物を加熱することを特徴とする加熱方法。 - 前記減圧した空間の圧力は10Pa乃至1000Paの範囲であることを特徴とする請求項19又は20の何れか一に記載の加熱方法。
- 前記空間を排気することにより前記空間を減圧することを特徴とする請求項19乃至21の何れか一に記載の加熱方法。
- 前記空間に放電用ガスを供給しつつ前記空間を排気することにより前記空間を減圧することを特徴とする請求項19乃至21の何れか一に記載の加熱方法。
- 前記放電用ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、水素、窒素、二酸化炭素又は空気のうち少なくとも何れか一であることを特徴とする請求項23記載の加熱方法。
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