JP2013222878A - プラズマ熱処理方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラズマを用いて被加熱試料を1200℃以上に加熱する場合であっても、熱効率の悪化を抑制可能なプラズマ熱処理方法を提供する。
【解決手段】プラズマにより被処理体を加熱するプラズマ熱処理方法において、上部電極及び下部電極は炭素を含む電極であり、前記上部電極と前記下部電極との間に生成されたプラズマにより前記上部電極と前記下部電極を予備加熱しながら前記加熱処理室を排気する予備加熱工程(S402)と、その後、前記被処理体を加熱処理する熱処理工程(S405)とを有する。
【選択図】図4
【解決手段】プラズマにより被処理体を加熱するプラズマ熱処理方法において、上部電極及び下部電極は炭素を含む電極であり、前記上部電極と前記下部電極との間に生成されたプラズマにより前記上部電極と前記下部電極を予備加熱しながら前記加熱処理室を排気する予備加熱工程(S402)と、その後、前記被処理体を加熱処理する熱処理工程(S405)とを有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、プラズマ熱処理方法および装置に関する。
近年、パワー半導体デバイスの基板材料として炭化珪素(SiC)等のワイドバンドギャップを有する新材料の導入が期待されている。ワイドバンドギャップ半導体であるSiCは、高絶縁破壊電界、高飽和電子速度、高熱伝導率のように珪素(Si)よりも優れた物理的性質を有している。高絶縁破壊電界材料であることから、素子の薄膜化や高濃度ドープが可能になり、高耐圧かつ低抵抗の素子を作ることが出来る。また、バンドギャップが大きいために熱励起電子を抑制でき、さらに高熱伝導率により放熱能力が高いことから、高温での安定動作が可能になる。従って、SiCパワー半導体デバイスが実現すれば、電力輸送・変換、産業用電力装置及び家電製品など各種の電力・電気機器の大幅な効率向上と高性能化が期待できる。
SiCを基板に用いて各種パワーデバイスを製造する工程は、おおよそSiを基板に用いる場合と同様である。しかし、大きく異なる工程として熱処理工程があげられる。熱処理工程とは、基板の導電性制御を目的に行われる不純物のイオン打ち込み後の活性化アニーリングがその代表である。Siデバイスの場合、活性化アニーリングは800〜1200℃の温度で行われる。一方SiCの場合には、その材料特性から1200〜2000℃の温度が必要となる。
SiC向けのアニール装置として、特許文献1には、高周波により生成された大気圧プラズマによりウエハを加熱する装置が開示されている。
特許文献1に記載の装置により、従来の抵抗加熱炉に比べて熱効率の向上、加熱応答性の向上、炉材消耗品の低コスト化等が見込まれる。そこで、この大気圧プラズマを用いた熱処理装置に関し、長期安定性の観点で検討を行った。その結果、大気圧プラズマを用いてウエハを加熱する方式で1200℃以上の加熱を行う場合、長期安定性の観点から以下の課題のあることが分かった。
特許文献1に開示されているアニール装置は、高周波により平行平板電極間に生成された大気圧プラズマにより加熱を行う。高温処理に耐えるためにグラファイト電極が使用されているが、加熱容器内にHe以外の不純物ガスが含まれていると炭素が主成分の異物(以降、煤)が発生する。発生した煤が、加熱効率向上を目的とした反射鏡表面に付着すると、長期的には反射率が低下することによる処理温度の再現性の低下や所望の温度を実現するために必要な電力が増加するなど、熱効率が悪化する恐れがある。
本発明の目的は、プラズマを用いて被加熱試料を1200℃以上に加熱する場合であっても、熱効率の悪化を抑制可能なプラズマ熱処理方法および装置を提供することにある。
上記目的を達成するための一実施形態として、上部電極と下部電極との間に生成されたプラズマにより被処理体を加熱する加熱処理室を備えたプラズマ熱処理装置を用いたプラズマ熱処理方法において、前記上部電極及び下部電極は炭素を含む電極であり、前記上部電極と前記下部電極との間に生成されたプラズマにより前記上部電極と前記下部電極を予備加熱しながら前記加熱処理室を排気する予備加熱工程と、その後、前記被処理体を加熱処理する熱処理工程と、を有することを特徴とするプラズマ熱処理方法とする。
また、加熱処理室と、前記加熱処理室内部に配置された反射鏡と、前記反射鏡の内側に配置されたグラファイト上部電極及びグラファイト下部電極と、前記下部電極の下方に配置され、被処理体を保持する試料台と、前記上部電極及び前記下部電極の間にプラズマを生成するための電源と、前記上部電極及び前記下部電極の間にガスを導入するガス導入手段と、前記加熱処理室を排気する排気手段と、前記被処理体を加熱する前に、前記上部電極と前記下部電極の間に生成したプラズマにより前記上部電極と前記下部電極とを予備加熱しながら前記加熱処理室を排気する予備加熱機能とを有することを特徴とするプラズマ熱処理装置とする。
本発明によれば、プラズマを用いて被加熱試料を1200℃以上に加熱する場合であっても、熱効率の悪化を抑制可能なプラズマ熱処理方法および装置を提供することができる。
プラズマ熱処理装置では熱効率向上の観点から熱処理中は処理室を密閉するため、また雰囲気ガスを流すにしても微量であるため、煤等が発生すると処理室内に充満し内壁へ付着するものと思われる。そこで、本発明者等は、煤等の発生の有無について処理室を密閉状態として長時間の熱処理を行った。その結果、微量ではあるが煤の反射鏡への付着が認められた。微量とは言え長期安定性の観点から対策が必要と考え、その原因を検討した。その結果、煤の発生はグラファイト電極へ吸着したガス(H2やH2O等)が主原因であると推定された。即ち、これらのガスがグラファイトと結合してメタンとなりプラズマ中でカーボンクラスタを生成、高温処理のため密閉状態、或いは略密閉状態(微量ガス流量)の処理室内を浮遊し、反射鏡を含む処理室内部に煤が付着したものと考えられる。本発明は上記知見に基づいて生まれたものであり、プラズマを用いて被加熱試料の高温加熱処理を行う前にグラファイト電極を予備加熱し、予めグラファイト電極に吸着したガスを離脱させ、その後グラファイト電極を大気に曝すことなく高温熱処理が可能となる構成とした。これにより、被加熱試料を1200℃以上に加熱する場合であっても、熱効率の悪化を抑制できるプラズマ熱処理方法および処理温度の再現性に優れた熱処理装置を提供することができる。なお、グラファイト電極の予備加熱は、放電が大気圧に比べて比較的安定である低ガス圧で行い、グラファイト電極から放出された吸着ガスを熱処理装置外に排出させることが好ましい。
以下実施例により詳細に説明する。
以下実施例により詳細に説明する。
本発明の第1の実施例について図1〜図5を用いて説明する。図1は本実施例に係るプラズマ熱処理装置の基本構成図である。本プラズマ熱処理装置は、上部電極102と下部電極103との間に発生するプラズマを用いて加熱された下部電極103により間接的に、被加熱試料(被処理体)101を加熱する加熱処理室100を具備する。
加熱処理室100は、上部電極102と、上部電極102と対向して配置された加熱板である下部電極103と、被加熱試料101を支持する支持ピン106を有する試料台104と、輻射熱を反射させる反射鏡120と、プラズマ生成用の高周波電力を上部電極102に供給する高周波電源111と、加熱処理室100内にガスを供給するガス導入手段113と、加熱処理室100内の圧力を調整する真空バルブ116とを備える。符号117は被加熱試料の搬送口をしめす。なお、各図において同一符号は同一構成要素を示す。
被加熱試料101は、試料台104の支持ピン106上に支持され、下部電極103の下方に近接している。また、下部電極103は、反射鏡120で保持されており、被加熱試料101及び、試料台104とは接触していない。本実施例では、被加熱試料101として、4インチ(φ100mm)のSiC基板を用いた。上部電極102および試料台104の直径及び厚さは、それぞれ、120mm、5mmとした。
下部電極については図2を用いて説明する。図1のAA’断面の上面図を図2に示す。下部電極103は、上部電極102と直径が同じ円板状の部材103Aと、上記の円板状の部材103Aと反射鏡120を接続する等間隔に配置された4本の梁103Bとを備える。下部電極103の厚さは2mmとした。尚、上記の梁103Bの数と断面積と厚さは、下部電極103の強度と下部電極103から反射鏡120への放熱を考慮して決めればよい。また、下部電極103は、被加熱試料101の側面を覆い、内筒形状を有する部材を上部電極102と対向する面の反対側に有している。
下部電極103は、図2に示すように梁を有する構造であるため、プラズマにより加熱された下部電極103の熱が反射鏡120に伝熱することを抑制できるため、熱効率の高い加熱板として機能する。尚、上部電極102と下部電極103の間に生成されたプラズマは、梁と梁の間の空間から、真空バルブ116側に拡散するが、被加熱試料101を上記の内筒形状を有する部材により覆われているため、被加熱試料101がプラズマに曝されることはない。
また、上部電極102、下部電極103、試料台104および支持ピン106は、グラファイト基材の表面にSiCを化学的気相成長法(以下、CVD法と称する)により堆積させたものを用いた。
また、上部電極102、下部電極103、試料台104および支持ピン106は、グラファイト基材の表面にSiCを化学的気相成長法(以下、CVD法と称する)により堆積させたものを用いた。
また、下部電極103と上部電極102とのギャップ108は、0.8mmとした。なお、被加熱試料101は0.5mm〜0.8mm程度の厚さを備え、また、上部電極102と下部電極103のそれぞれの対向する側の円周角部はテーパーあるいはラウンド状に加工されている。これは、上部電極102と下部電極103のそれぞれの角部での電界集中によるプラズマ局在を抑制するためである。
試料台104は、シャフト107を介して上下機構105と接続しており、上下機構105を動作させることで、被加熱試料101の受け渡しや、被加熱試料101を下部電極103に近接させることが可能となる。なお、詳細は後述で説明する。また、シャフト107には、アルミナ材を用いた。
上部電極102には、上部給電線110を介して高周波電源111からの高周波電力が供給される。本実施例では、高周波電源111の周波数として13.56MHzを用いた。下部電極103は、反射鏡120と梁を介して導通している。さらに下部電極103は、反射鏡120を介して接地されている。上部給電線110も上部電極102および下部電極103の構成材料であるグラファイトで形成されている。
高周波電源111と上部電極102の間には、マッチング回路112(なお、図1のM.Bは、Matching Boxの略である。)が配置されており、高周波電源111からの高周波電力を効率良く上部電極102と下部電極103間に形成されるプラズマに供給する構成となっている。
加熱処理室100内の上部電極102、下部電極103および試料台104は、反射鏡120で囲まれる構造となっている。反射鏡120は、金属基材の内壁面を光学研磨し、研磨面に金をメッキあるいは蒸着することで構成される。また、反射鏡120の金属基材には、冷媒流路122が形成されており、冷却水を流すことにより反射鏡120の温度が一定に保てる構造となっている。反射鏡120を備えることにより、上部電極102、下部電極103及び試料台104からの輻射熱が反射されるため、熱効率を高めることができるが、本発明の必須の構成というわけではない。
また上部電極102および試料台104と反射鏡120との間には、保護石英板123が配置されている。保護石英板123は、1200℃以上の高温になる上部電極102、下部電極103および試料台104からの放出物(グラファイトの昇華等)による反射鏡120面の汚れ防止と、反射鏡120からの被加熱試料101に混入する可能性がある汚染の防止機能を有する。
上部電極102と下部電極103が配置される加熱処理室100内には、ガス導入手段113およびガス導入ノズル131によりガスを10気圧まで導入できる構造となっている。導入するガスの圧力は、圧力検出手段114によりモニタされる。また、加熱処理室100は、排気口115および真空バルブ116に接続される真空ポンプによりガス排気可能となっている。ガス導入ノズル131の先端は、上部電極102と下部電極103との間の高さに配置することが望ましい。ガス導入ノズル131の先端は先細形状となっており、電極間に勢い良くガスを吹き付けることが可能な構造となっている。ガス導入ノズル131の位置は可変になっており、予備加熱の際には上部電極102の側面までの距離を10mmまで近づけて処理した。その際、上部電極102とガス導入ノズル131との間の放電を避けるため、ガス導入ノズル131には絶縁体を使用することが望ましい。本実施例では、ガス導入ノズル131にアルミナを用いた。また、上部電極102と下部電極103との間の高さに内部排気口130があり、上下電極間から内部排気口130までのコンダクタンスを低減することで、効率良く電極間のガスを排気することが出来る。これにより、それぞれの電極から放出された煤も加熱処理室内に停滞することなく速やかに排出される。
図1に示すように、上部電極102のプラズマに接触する表面の反対側、下部電極103および被加熱試料101の側面を覆う内筒形状を有する部材の外側および、試料台104の下面側には、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109が配置される。高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109を備えることにより、上部電極102、下部電極103、試料台104からの輻射熱が低減されるため、熱効率を高めることができる。
なお、処理温度が低い場合には、これらを必ずしも備える必要はない。高温処理の場合には、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109と反射鏡120のいずれか一方を備えることにより、あるいはその両方を備えることにより所定の温度に加熱することができる。下部電極103または試料台104の温度は、放射温度計118により計測される。本実施例では、上部電極102、下部電極103および試料台104に施された高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109に、グラファイト基材にTaC(炭化タンタル)をコーティングした板材を用いた。また、ガス導入ノズル131は、下部電極103の梁上方に配置することで、導入したガスが下部電極103の下側へのガス流れを抑制し、上部電極102と下部電極103の間に効率良くガスを流すことが可能である。尚、内部排気口130は、ガス導入ノズル131に対向する位置に配置することで、上下電極間のガスの置換を容易にしている。
次に、加熱処理の再現性を低下させる煤の発生想定メカニズムについて図3を用いて説明する。グラファイト電極の交換や消耗部品の交換、処理室内の清掃等により大気暴露されたグラファイト電極や加熱容器の表面には大気中に含まれる水分(H2O)が吸着している。いま、プラズマ124によりグラファイト電極102、103および加熱容器の側壁を加熱すると、吸着していた水分が気相中に放出される。この水分(H2O)がプラズマにより分解されると水素原子(H)および酸素原子(O)が発生する。プラズマ中で活性になった水素原子は、グラファイト電極表面の炭素(C)と結合し、炭化水素化合物(例えば、CH4)として、気相中に放出される。この炭化水素化合物は、プラズマ中で炭素(C)と水素(H)に分解さる。いま、加熱効率を高めるために基本的には加熱処理中のガス流量はゼロとしているため、生成された炭素(C)同士が結合し、煤が形成される。また、水素(H)は、排気されること無く加熱容器内に留まり続けることから、再びグラファイト電極と反応し、炭化水素ガスとなることを繰り返すことになる。
図4にプラズマ加熱処理のフローチャートを示す。処理開始(S401)後、最初に、本実施例で説明したプラズマ加熱処理装置の予備加熱(S402)を行い、グラファイト電極や加熱容器の内壁等に吸着した不純物ガス(水分等のHe以外のガス)を離脱させ、排気する。測定により得られる不純物ガス放出量と事前に設定した所定量とを比較し(S403)、不純物ガスが放出され続ける場合(NOの場合)は、不純物ガスが所定の量に減少するまでプラズマ加熱装置の予備加熱を続ける。不純物ガスが所定の量以下に減少したら(YESの場合)、予備加熱を終了し、予め予備加熱された被加熱試料をプラズマ加熱処理装置に搬入する(S404)。その後、被加熱試料の活性化のための高温熱処理(活性化アニーリング処理)を行い(S405)、被加熱試料を搬出(S406)して終了(S407)となる。なお、ステップS402の予備加熱はグロー放電によるプラズマを用いた。予備加熱の温度としては700℃〜1000℃を用いることができる。予備加熱では温度を所定の温度以上とすればよく、温度一定の制御でも、入力電力一定の制御でもよい。また、ステップ405の高温熱処理は、加熱処理室は密閉状態、或いは略密閉状態(微量ガス流量)で行う。但し、1200℃以下の熱処理の場合には密閉状態にしなくてもよい。本実施例では、予め予備加熱された被加熱試料をプラズマ加熱処理した例で説明したが、予め予備加熱されていない被加熱試料をプラズマ加熱処理装置に搬入してプラズマ加熱処理装置で被加熱試料を予備加熱しても良い。または、被加熱試料の予備加熱無しでプラズマ加熱処理を行っても良い。また、上記説明では、プラズマによるグラファイト電極の予備加熱後に被加熱試料をプラズマ熱処理装置内に搬入したが、グラファイト電極への吸着ガスが少ないことが見込まれる場合には、プラズマによるグラファイト電極の予備加熱前に被加熱試料をプラズマ熱処理装置内に搬入することもできる。
次に、被加熱試料101を1200℃以上の高温に加熱処理する前に行うグラファイト電極の予備加熱処理(S402)の基本動作例について図1と図5を用いて説明する。まず、加熱処理室100内のHeガスを排気口115より排気し、高真空状態とする。十分排気が終了した段階で、ガス導入手段113よりガスを導入し、加熱処理室100内を0.1気圧に制御する(制御部は図示せず)。尚、ガスは封じ切りにせず、ガス導入手段113およびガス導入ノズル131により大流量のガスを流すと同時に、排気口115より排気することで、上部電極102と下部電極103の間にガス流れを生じさせるのと同時に、加熱処理室100内のガスを効率良く置換できるようにした。本実施例では、加熱処理室100内に導入したガスにHeを用いた。加熱処理室100内のガス圧力が安定した時点で、高周波電源111からの高周波電力をマッチング回路112および電力導入端子119を介して上部電極102に供給し、ギャップ108内にプラズマを生成することにより、上部電極102および下部電極103の加熱を行う。高周波電力のエネルギーは、プラズマ内の電子に吸収され、さらにその電子の衝突により原料ガスの原子あるは分子が加熱される。また電離によって生じたイオンは、上部電極102および下部電極103のプラズマに接触する表面のシースに発生する電位差で加速され、原料ガスと衝突しながら上部電極102および下部電極103に入射する。この衝突過程により、上部電極102と下部電極103の間に充填されたガスの温度や上部電極102および下部電極103表面の温度を上昇させることができる。
特に、本実施例のような大気圧付近では、イオンがシースを通過する際に原料ガスと頻繁に衝突することになるので、上部電極102と下部電極103の間に充填された原料ガスを効率的に加熱できると考える。この結果、これらの電極温度は上昇する。これらの電極温度が上昇すると熱輻射等による損失が増大し、やがてこれらの電極への入熱とこれらの電極からの熱損失がバランスし、これらの電極温度はほぼ飽和してくる。本実施例では、これらの電極の予備加熱を主な目的としており、これらの電極温度の到達温度が1000℃となるように設定した。これらの電極温度の上昇に伴い、これらの電極に吸着したガスがこれらの電極から離脱する。また、本実施例ではこれらの電極材料にはグラファイトを用いているが、グラファイト内部に吸蔵されている水素ガスは700℃をピークに放出される。従って、これらの電極温度を1000℃にすることにより、これらの電極に吸着したガスやグラファイト内部に吸蔵されている水素ガスやメタンをはじめとする炭化水素ガスを離脱させることが可能になる(図5の不純物ガス参照)。尚、これらの電極から放出された不純物ガスが、上部電極102および下部電極103との間に留まり続けると放電の不安定性や煤の発生を引き起こす原因となる。本実施例では、ガス導入ノズル131および内部排気口130により、これら電極間のガスを積極的にHeガスに置換しているため、不純物ガスは上部電極102および下部電極103との間から排出され、放電が不安定になることはない。
以上より、プラズマによる上部電極と下部電極の予備加熱において、放電の不安定性や煤の発生を引き起こすことなく、これらの電極に吸着あるいは吸蔵されている不純物ガスを除去することが出来る。
被加熱試料を加熱処理している際の下部電極103または試料台104の温度は、放射温度計118により計測され、この計測値を用いて制御装置121により所定の温度になるように高周波電源111の出力が制御されるため、高精度な被加熱試料101の温度制御が可能となる。本実施例では、投入する高周波電力を最大20kWとした。
上部電極102、下部電極103、試料台104(被加熱試料101を含む)の温度を効率良く上昇させるには、上部給電線110の伝熱、Heガス雰囲気を介する伝熱および高温域からの輻射(赤外光から可視光域)の抑制が必要となる。特に高温状態では、輻射による放熱の影響が非常に大きく、輻射損失の低減が加熱効率の向上に必須となる。尚、輻射損失は、絶対温度の四乗に比例して輻射量が増加する。
輻射損失抑制のため、本実施例では上述したように、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109を上部電極102、下部電極103および試料台104に配置した。高融点かつ低輻射率の材料にはTaCを用いた。TaCの輻射率は、0.05から0.1程度であり、輻射に伴う赤外線を90%程度の反射率で反射する。よって、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109により上部電極102、下部電極103、試料台104からの輻射損失が抑制され、被加熱試料101を高い熱効率で加熱することができる。
TaCは、直接プラズマに曝されない状態で配置されており、TaまたはTaCに含まれる不純物が加熱処理中に被加熱試料101に混入しないようになっている。また、TaCで構成される高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109の熱容量は極めて小さいことから、加熱部の熱容量増加を最小限に留められる。このため、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109を配置することによる昇温速度および降温速度の低下もほとんどない。
また、加熱源としてのプラズマをグロー放電域のプラズマとすることで、上部電極102と下部電極103間に均一に広がったプラズマを形成できる。この均一で平面的なプラズマを熱源として上部電極102および下部電極103を均一に加熱することが可能となる。
本実施例では、上部電極102と下部電極103のギャップ108を0.8mmとしたが、0.1mmから2mmの範囲でも同様な効果がある。0.1mmより狭いギャップの場合も放電は可能であるが、上部電極102と下部電極103との間の平行度を維持するのに高精度な機能が必要となる。また、上部電極102および下部電極103表面の変質(荒れ等)がプラズマに影響するようになるため、好ましくない。一方ギャップ108が2mmを超える場合は、プラズマの着火性低下やギャップ間からの輻射損失増大が問題となり好ましくない。
本実施例では、ガス導入手段113およびガス導入ノズル131によりガスを供給し、また、ガス導入ノズル131の先端を電極間に向けることで、上部電極102と下部電極103との間にガスの流れを発生させたが、上部給電線110および高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109および上部電極102の内部を空洞とし、この空洞を使ってガスを供給することで上部電極102の中心部よりガスを噴出する構造であっても、上部電極102と下部電極103との間において電極中心部から外周に向かってガス流れを作り、効率良くガスの入れ替えが可能になることは言うまでも無い。さらに、供給するガス流量を増加し、ガス流速を上げることでガスの置換を図ることが出来るのは勿論である。
本実施例では、プラズマ生成するための加熱処理室100内の圧力を0.1気圧としたが、10気圧以下において同様の動作が可能である。特に、0.01気圧以上0.1気圧以下のガス圧力が好適である。0.001気圧以下になるとシース部分でのイオンの衝突頻度が低下し、大きなエネルギーを持つイオンが電極に入射するようになり、電極表面がスパッタされる等の懸念がある。また、本実施例で想定している様に上部電極102と下部電極103のギャップ108の範囲が0.1mmから2mmの場合、パッシェンの法則からガス圧力が0.01気圧以下では放電維持電圧が上昇するため望ましくない。一方、10気圧以上になると、異常放電(不安定なプラズマや上部電極と下部電極間以外での放電)が発生するリスクが高くなるため望ましくない。また、本実施例では、ガス流量を変化させることでガス圧力を制御したが、ガス排気量を変化させることでガス圧力を調整しても同様の効果が得られる。尚、ガス流量およびガス排気量を同時に変化させることにより、圧力制御しても良いのは勿論である。
本実施例では、プラズマ生成用の原料ガスにHeガスを用いたが、他に、Ar、Xe、Kr等の不活性ガスを主原料としたガスを用いても同様の効果があることは言うまでもない。本実施例で用いたHeガスは、大気圧近辺でのプラズマ着火性や安定性に優れるが、ガスの熱伝導率が高く、ガス雰囲気を介した伝熱による熱損失が比較的多い。一方、Ar、Xe、Krガス等の質量の大きいガスは、熱伝導率が低いため、熱効率の観点ではHeガスより有利である。
本実施例では、上部電極102、下部電極103および試料台104に施す高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109に、グラファイト基材にTaC(炭化タンタル)をコーティングしたものを用いたが、他に、WC(炭化タングステン)、MoC(炭化モリブデン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)を用いても同様な効果がある。
本実施例では、上部電極102、下部電極103および試料台104のプラズマに接触する表面の反対側をCVD法による炭化シリコンをコーティングしたグラファイトを用いたが、他に、グラファイト単体、グラファイトに熱分解炭素をコーティングした部材、グラファイト表面をガラス化処理した部材、およびSiC(焼結体、多結晶、単結晶)を用いても同様な効果がある。上部電極102および下部電極103の基材となるグラファイトやその表面に施されるコーティングは、被加熱試料101への汚染防止の観点から高純度なものが望ましいのは言うまでもない。
また、本実施例では、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109にTaCを用いたが、同様に他の高融点(使用温度に耐える融点)かつ低輻射率な材料でも同様な効果がある。例えば、Ta(タンタル)単体、Mo(モリブデン)、W(タングステン)またはWC(炭化タングステン)等でも同様な効果がある。
また、高温時には、上部給電線110からも被加熱試料101への汚染が影響する場合もある。よって、本実施例では上部給電線110も上部電極102および下部電極103と同様なグラファイトを用いた。また、上部電極102の熱は、上部給電線110を伝熱し損失となる。よって上部給電線110からの伝熱を必要最小限に留める必要がある。
よって、グラファイトで形成される上部給電線110の断面積は、なるべく小さくし、長さを長くする必要がある。しかし、上部給電線110の断面積を極端に小さくし、長さも長くしすぎると上部給電線110での高周波電力損失が大きくなり、被加熱試料101の加熱高率の低下を招く。このため、本実施例では、以上の観点からグラファイトで形成される上部給電線110の断面積を12mm2、長さを40mmとした。同様な効果は、上部給電線110の断面積が5mm2〜30mm2、上部給電線110の長さが30mm〜100mmの範囲でも得られる。
さらに、試料台104の熱は、シャフト107を伝熱し損失となる。よって、シャフト107からの伝熱も上記の上部給電線110同様に必要最小限に留める必要がある。よって、アルミナ材で形成されるシャフト107の断面積は、なるべく小さくし、長さを長くする必要がある。本実施例では、強度等を考慮し、アルミナ材で形成されるシャフト107の断面積および長さは、上記の上部給電線110と同様とした。
本実施例では、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109で上部電極102、下部電極103、および試料台104からの輻射損失を低減させるとともに反射鏡120によって輻射光を上部電極102、下部電極103、および試料台104に戻すことにより加熱効率の向上が得られた。しかし、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109のみを上部電極102、下部電極103、および試料台104に施した場合でも加熱効率の向上を期待できるのは勿論である。同様に、反射鏡120のみを設置した場合でも、加熱効率の向上を期待できる。さらに、保護石英板123は、汚染防止の効果を期待するために設置しているものであり、保護石英板123を使用しなくても、十分な加熱効率を得ることができる。
本実施例では、上述したように加熱効率に影響を及ぼす、上部電極102、下部電極103および試料台104からの放熱は、(1)輻射、(2)ガス雰囲気の伝熱、(3)上部給電線110およびシャフト107からの伝熱が主である。1200℃以上で加熱処理を行う場合、これらの中で最も放熱の主要因は、(1)の輻射である。(1)の輻射の抑制のために、上部電極102、下部電極103および試料台104のプラズマに接触する表面の反対側に、高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング109を設けた。また、(3)の上部給電線110およびシャフト107からの放熱は、上述した通り、上部給電線110およびシャフト107の断面積と長さを最適化することによって、最小限に抑制した。
また、(2)のガス雰囲気の伝熱に関しては、ガスの伝熱距離を最適化することにより抑制した。ここで、ガスの伝熱距離とは、高温部であるそれぞれの上部電極102、下部電極103および試料台104から低温部であるシールド(保護石英板123)または低温部である加熱処理室100壁までの距離のことである。大気圧付近のHeガス雰囲気では、Heガスの熱伝導率が高いため、比較的ガスの伝熱による放熱が高くなる。よって、本実施例では、上部電極102および試料台104からシールド(保護石英板123)または加熱処理室100の壁までの距離をそれぞれ30mm以上確保する構造とした。ガスの伝熱距離が長い方が放熱抑制には有利であるが、ガスの伝熱距離が長すぎると加熱領域に対する加熱処理室100の大きさが大きくなり好ましくない。ガスの伝熱距離を30mm以上とすることにより、加熱処理室100の大きさを抑制しつつ、ガス雰囲気の伝熱による放熱も抑制できる。もちろん熱伝導率の低いAr、Xe、Krガス等を用いることにより、さらにガス雰囲気の伝熱による放熱を抑制することが可能となることは言うまでもない。
本実施例では、プラズマ生成用の高周波電源111に13.56MHzの高周波電源を用いたが、これは、13.56MHzが工業周波数であるために低コストで電源が入手でき、かつ電磁波漏洩基準も低いので装置コストが低減できるためである。しかし、原理的には、他の周波数でも同様な原理で加熱処理ができることは言うまでもない。特に、1MHz以上100MHz以下の周波数が好適である。1MHzより低い周波数になると加熱処理に必要な電力を供給する際の高周波電圧が高くなり、異常放電(不安定なプラズマや上部電極と下部電極間以外での放電)を生じ、安定なプラズマ生成が難しくなる。また、100MHzを超える周波数では、上部電極102と下部電極103のギャップ108間のインピーダンスが低く、プラズマ生成に必要な電圧が得にくくなるため望ましくない。
次に、予備加熱が終了した後のガス導入ノズル131の位置について説明する。予備加熱が終了した後、ガス導入ノズル131を上部電極102から引き離し、加熱処理室100の側面付近まで退避させる。これにより、次に行う高温加熱処理において、加熱の不均一性やガス導入ノズル131と上部電極102または下部電極103との異常放電を防ぐことが出来る。
図1に示すプラズマ熱処理装置を用い、図4に示すフローに従ってグラファイト電極の予備加熱および被加熱試料の熱処理を行ったところ、加熱効率向上を目的とした反射鏡表面への煤の付着や反射鏡の反射率の低下、処理温度の再現性の低下、所望の温度を実現するために必要な電力が増加等々は認められず、熱効率が悪化長期に亘って熱効率の変動が抑制された。又、放電の不安定性も認められなかった。
以上、本実施例によれば、上部電極及び下部電極の予備加熱を行うことにより、プラズマを用いて被加熱試料を1200℃以上に加熱する場合であっても、熱効率の悪化を抑制可能なプラズマ熱処理方法および装置を提供することができる。
以上、本実施例によれば、上部電極及び下部電極の予備加熱を行うことにより、プラズマを用いて被加熱試料を1200℃以上に加熱する場合であっても、熱効率の悪化を抑制可能なプラズマ熱処理方法および装置を提供することができる。
本発明の第2の実施例について図6を用いて説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。図6は本実施例に係るプラズマ熱処理方法におけるグラファイト電極の予備加熱ステップを説明するための処理シーケンスである。
図6に示す処理シーケンスと実施例1の図5で示したものとの違いは、処理圧力を変化させた点にある。本実施例で用いたプラズマ熱処理装置の基本構成は実施例1の図1に示したものと同一のため、図1と図6を用いて説明する。まず、実施例1と同様に、加熱処理室100内のHeガスを排気口115より排気し、高真空状態とする。十分排気が終了した段階で、ガス導入手段113よりガスを導入し、加熱処理室100内を0.1気圧に制御する。本実施例では、加熱処理室100内に導入したガスにHeを用いた。加熱処理室100内のガス圧力が安定した時点で、高周波電源111からの高周波電力をマッチング回路112および電力導入端子119を介して上部電極102に供給し(時刻tA1)、ギャップ108内にプラズマを生成することにより、上部電極102および下部電極103の加熱を行う。次に、時刻tA2において、供給するガス流量を減少し、処理圧力を低下させる。この結果、それぞれの電極から放出された不純物ガスは、圧力の低下に伴い加熱処理室100から排出される。一方、ガス流量を低減し続け、ガス圧力が真空に近付くとパッシェンの法則より放電維持電圧は上昇し、放電の維持が困難になる。そこで、再びガス導入ノズル131よりHeガスを導入し、ガス圧力を上昇させる(時刻tA3)。本実施例では、ガス圧力が0.01気圧まで低下した時点で、Heガスを導入し、ガス圧力が0.1気圧にまで上昇させた。その後、Heガス流量を低下させ、再び処理圧力を減少させることにより放出された不純物ガスを排気し、さらに時刻tA4において再びHeガスを供給する。Heガスの供給量を制御することで、加熱処理室100の内部における圧力の増加と減少を繰り返すことにより、不純物ガスを効果的に排気することが出来る。本方式は、上部電極102と下部電極103の間のガスの置換が十分に行われない場合においても、不純物ガスを確実に排気することが可能である。
次に、この様な処理を行っても僅かに煤が発生する恐れがある。そこで時刻tAnにおいて、大流量のガスを一定時間流すことにより、加熱容器内に大きなガス流れの状態を作る。このガス流れにより、加熱容器内に付着あるいは浮遊する煤を強制的に除去することが出来る。時刻tB1において、再びガス流量を低減し、煤に成長するまでの段階の不純物ガスの除去を目的とした予備加熱処理を行う。本予備加熱を行うことにより、不純物ガスおよび煤を除去することが可能になる。なお、ガス供給量の制御方法は図6の方法に限らない。例えば、それぞれの電極温度が上昇した時点で先に大流量のガスを供給してもよい。また、上記処理は、図示していない制御部により実行される。
本実施例では、ガス圧力を0.1気圧から0.01気圧の間で変化させたが、10気圧までガス圧力を高めても問題ない。しかし、実施例1と同様に、0.01気圧以上0.1気圧以下のガス圧力が好適である。また、本実施例では、ガス流量を変化させることでガス圧力を制御したが、ガス排気量を変化させることでガス圧力を調整しても同様の効果が得られる。尚、ガス流量およびガス排気量を同時に変化させることにより、圧力制御しても良いのは勿論である。
本実施例では、ガス圧力の増加と減少のタイミングは、加熱処理室100の内部のガス圧力をモニタすることにより行ったが、このサイクルは、上部電極102と下部電極103との間に不純物ガスによる放電不安定性の発生や煤状のクラスターが生成される時間よりも短くすることが好ましい。
本実施例では、高周波電力の出力を一定として処理したが、ガス圧力の変動に合わせて高周波電力の出力を変化させても良い。
本実施例では、プラズマ生成用の原料ガスにHeガスを用いたが、他に、Ar、Xe、Kr等の不活性ガスを主原料としたガスを用いても同様の効果があることは言うまでもない。本実施例で用いたHeガスは、大気圧近辺でのプラズマ着火性や安定性に優れるが、ガスの熱伝導率が高く、ガス雰囲気を介した伝熱による熱損失が比較的多い。一方、Ar、Xe、Krガス等の質量の大きいガスは、熱伝導率が低いため、熱効率の観点ではHeガスより有利である。
図1に示すプラズマ熱処理装置を用い、図4に示すフローに従ってグラファイト電極の予備加熱および被加熱試料の熱処理を行ったところ、加熱効率向上を目的とした反射鏡表面への煤の付着や反射鏡の反射率の低下、処理温度の再現性の低下、所望の温度を実現するために必要な電力が増加等々は認められず、長期に亘って熱効率の変動が抑制された。又、放電の不安定性も認められなかった。
以上、本実施例によれば、上部電極及び下部電極の予備加熱を行うことにより、プラズマを用いて被加熱試料を1200℃以上に加熱する場合であっても、熱効率の悪化を抑制可能なプラズマ熱処理方法および装置を提供することができる。また、上部電極と下部電極の予備加熱時にガス圧力やガス流量を変化させることにより効果的に煤を排出することができる。
以上、本実施例によれば、上部電極及び下部電極の予備加熱を行うことにより、プラズマを用いて被加熱試料を1200℃以上に加熱する場合であっても、熱効率の悪化を抑制可能なプラズマ熱処理方法および装置を提供することができる。また、上部電極と下部電極の予備加熱時にガス圧力やガス流量を変化させることにより効果的に煤を排出することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
100…加熱処理室、101…被加熱試料(被処理体)、102…上部電極、103…下部電極、103A…円板状の部材、103B…梁、104…試料台、105…上下機構、106…支持ピン、107…シャフト、108…ギャップ、109…高融点かつ低輻射率の板材または高融点かつ低輻射率のコーティング、110…上部給電線、111…高周波電源、112…マッチング回路、113…ガス導入手段、114…圧力検出手段、115…排気口、116…真空バルブ、117…搬送口、118…放射温度計、119…電力導入端子、120…反射鏡、121…制御装置、122…冷媒流路、123…保護石英板(シールド)、124…プラズマ、130…内部排気口、131…ガス導入ノズル。
Claims (13)
- 上部電極と下部電極との間に生成されたプラズマにより被処理体を加熱する加熱処理室を備えたプラズマ熱処理装置を用いたプラズマ熱処理方法において、
前記上部電極及び下部電極は炭素を含む電極であり、
前記上部電極と前記下部電極との間に生成されたプラズマにより前記上部電極と前記下部電極を予備加熱しながら前記加熱処理室を排気する予備加熱工程と、その後、
前記被処理体を加熱処理する熱処理工程と、を有することを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項1記載のプラズマ熱処理方法において、
前記予備加熱工程における前記プラズマの生成は、前記加熱処理室にガスを供給しながら行うことを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項2記載のプラズマ熱処理方法において、
前記ガスは、希ガスであることを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項1記載のプラズマ熱処理方法において、
前記熱処理工程は、前記プラズマにより加熱された前記下部電極により前記被処理体を間接的に加熱する工程であることを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項1記載のプラズマ熱処理方法において、
前記熱処理工程は、前記予備加熱工程終了後、前記被処理体を前記被処理室に搬入して実施されることを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項1記載のプラズマ熱処理方法において、
前記予備加熱工程は、700〜1000℃の温度範囲で実施されることを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項1記載のプラズマ熱処理方法において、
前記予備加熱工程におけるプラズマは、グロー放電で生成されたものであることを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項2記載のプラズマ熱処理方法において、
前記予備加熱工程は、前記ガスの流量を変えながら実施することを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項2記載のプラズマ熱処理方法において、
前記予備加熱工程は、前記加熱処理室の圧力を変えながら実施することを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 請求項2記載のプラズマ熱処理方法において、
前記熱処理工程は、前記加熱処理室を密閉状態で実施することを特徴とするプラズマ熱処理方法。 - 加熱処理室と、
前記加熱処理室内部に配置された反射鏡と、
前記反射鏡の内側に配置されたグラファイト上部電極及びグラファイト下部電極と、
前記下部電極の下方に配置され、被処理体を保持する試料台と、
前記上部電極及び前記下部電極の間にプラズマを生成するための電源と、
前記上部電極及び前記下部電極の間にガスを導入するガス導入手段と、
前記加熱処理室を排気する排気手段と、
前記被処理体を加熱する前に、前記上部電極と前記下部電極の間に生成したプラズマにより前記上部電極と前記下部電極とを予備加熱しながら前記加熱処理室を排気する予備加熱機能とを有することを特徴とするプラズマ熱処理装置。 - 請求項11記載のプラズマ熱処理装置において、
前記下部電極の下部には、前記試料台に保持される試料の側壁を覆うための内筒形状を有する部材が設けられていることを特徴とするプラズマ熱処理装置。 - 請求項11記載のプラズマ熱処理装置において、
前記ガス導入手段は可動式であり、予備加熱時に前記ガス導入手段のガス導入先端部は、前記上部電極及び前記下部電極との間の高さに配置されるものであることを特徴とするプラズマ熱処理装置。
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