JP2014204028A - テクスチャ形成方法、太陽電池の製造方法及び太陽電池 - Google Patents
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Description
つまり、太陽電池用基板のテクスチャ形成工程では異方性エッチング処理工程に加え、その前後に基板洗浄処理を連続的に実施するプロセスが一般的である。
しかしながら、この方法を用いると、エッチング前後における基板洗浄を十分に行うことができず、太陽電池の特性を低下させてしまうという問題があった。また、キャリアが仕切り板を持つため、キャリアに収納できる基板の枚数が少なくなってしまい生産性が低下してしまう問題もあった。
〔1〕 シリコン基板を収納した基板キャリアをエッチング処理液に浸漬して該シリコン基板表面にテクスチャを形成するテクスチャ形成方法であって、上記基板キャリアは、シリコン基板の配列方向に直交する方向に沿って配置されてシリコン基板の両端部を保持する両側板とこれら両側板間を連結する連結板とを有し、内部に互いに隣接し、裏面が対向する2枚一組のシリコン基板を並列配置して収納する上下端部が開放され上下方向に液体が流通可能な収納部と、シリコン基板の上方に配置され収納部からのシリコン基板の浮き上がりを押さえる押さえ板部を有する基板浮き押さえ部材とを備え、上記収納部は両側板に上記2枚一組のシリコン基板を組ごとに保持する保持溝を有し、上記基板浮き押さえ部材の押さえ板部は収納部から浮き上がったシリコン基板と接触する部分に上記2枚一組のシリコン基板の上端部が挿入される押さえ溝を有しており、上記基板キャリアをエッチング処理液に浸漬したときには、収納部内でエッチング反応により浮き上がったシリコン基板の上端部が2枚一組のシリコン基板の組ごとに上記押さえ溝に挿入され、この組ごとに2枚のシリコン基板の対向する裏面同士が該2枚のシリコン基板の間でエッチング処理液が流通しないように近接又は密着すると共に、隣接する2枚一組のシリコン基板の組同士がエッチング処理液が流通可能に離間した状態となってエッチング処理を行うことを特徴とするテクスチャ形成方法。
〔2〕 上記押さえ溝は、溝の上底部側に行くほど溝幅が狭くなることを特徴とする〔1〕記載のテクスチャ形成方法。
〔3〕 上記収納部は、各シリコン基板の下端部を保持する保持溝が形成された保持部材を備えることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載のテクスチャ形成方法。
〔4〕 上記基板キャリアを洗浄液に浸漬し、シリコン基板それぞれの下端部が保持部材の保持溝に挿入されて該シリコン基板が互いに洗浄液が流通可能に離間した状態となって基板洗浄処理を行うことを特徴とする〔3〕記載のテクスチャ形成方法。
〔5〕 上記基板洗浄処理を上記エッチング処理前及び/又は処理後に行うことを特徴とする〔4〕記載のテクスチャ形成方法。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のテクスチャ形成方法を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
〔7〕 〔6〕記載の太陽電池の製造方法により製造した太陽電池。
また、本発明の太陽電池の製造方法によれば、本発明のテクスチャ形成方法により得られた基板を用いて、太陽電池を作製することで、裏面の表面再結合速度を極めて小さくすることが可能となり、変換効率の高い太陽電池を作製することができる。
図5に示すように、半導体インゴットをスライスして半導体基板(シリコン基板)を切り出した後に、つぎの工程を順番に行う。
(工程1:スライス後の洗浄)まずこのシリコン基板を洗剤洗浄等やRCA洗浄等の洗浄処理を行うことにより、基板表面に付着しているスラリーやワイヤーソーの砥粒、更には自然酸化膜や有機物の除去を行う。
(工程2:ダメージ層エッチング)次に、前記シリコン基板をエッチングして、前記スライスにより生じた基板表面のダメージ層の除去を行う。
(工程3:異方性エッチング)次いで、アルカリ性水溶液に前記シリコン基板を浸漬することにより、異方性エッチングを行い、表面にテクスチャ構造を形成する。
(工程4:エッチング後の洗浄)その後、前記異方性エッチング処理液の残液を除去し、その後の高温熱処理時におけるシリコン基板への不純物汚染を極力減らすために、更にRCA洗浄等といった洗浄処理(エッチング後の洗浄)を実施する。
(工程5:乾燥)そして、基板を乾燥することで太陽電池用基板を得る。
本発明で用いる基板キャリアは、図6に示すように、シリコン基板11の配列方向に直交する方向に沿って配置されてシリコン基板11の両端部を保持する両側板13bとこれら両側板13b間を連結する連結板13cとを有し、内部に互いに隣接し、裏面が対向する2枚一組のシリコン基板11を並列配置して収納する上下端部が開放され上下方向に液体が流通可能な収納部13と、シリコン基板11の上方に配置され収納部13からのシリコン基板の浮き上がりを押さえる押さえ板部22を有する基板浮き押さえ部材20とを備える。
次に、切り出したシリコン基板を図6に示す基板キャリアに収納する。
切り出したシリコン基板に付着したワイヤーソーの砥粒や研磨剤を除去するための洗浄を行う(スライス後の洗浄)。この洗浄は、用いる研磨剤によるが、溶媒として水を用いた揺動洗浄、シャワー洗浄、超音波洗浄等とすることができる。この際、洗浄効果を一層上げるために必要に応じて界面活性剤等を数質量%加えることが好ましい。
更に、基板に形成されている自然酸化膜や有機物を除去するための洗浄を行う。前記目的を達成する洗浄方法としては例えばRCA洗浄が挙げられる。具体的には、過酸化水素水とアンモニアを混合した混合液による洗浄(SC−1洗浄)と過酸化水素水と塩酸を混合した混合液による洗浄(SC−2洗浄)を行うことであり、目的に応じてSC−1洗浄とSC−2洗浄間やSC−2洗浄の後に数質量%程度のフッ化水素酸に浸漬させてもよく、更にはSC−1洗浄、SC−2洗浄どちらか一方の処理のみを行ってもよい。
SC−1洗浄の場合、薬液の混合比は純水1に対して、25質量%アンモニア水溶液の体積で、0.01〜0.25、30質量%過酸化水素水の体積で0.01〜0.25であることが好ましく、また、液温は60〜90℃であることが好ましい。
SC−2洗浄の場合、薬液の混合比は純水1に対して、35質量%塩酸水溶液の体積で、0.01〜0.25、30質量%過酸化水素水の体積で0.01〜0.25であることが好ましく、また、液温は60〜90℃であることが好ましい。
エッチング処理前にこれらの表面洗浄処理工程を行うことにより、次工程のダメージエッチング及び異方性エッチングを面内均一かつ安定的に行うことができる。
面内均一性の高い異方性エッチングを行うためには、60〜80℃に加熱した濃度数質量%の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム水溶液にシリコン基板を10〜30分間程度浸漬するのが好ましく、数質量%の2−プロパノールを混合すると更に好ましい。
前記ダメージ層エッチングと異方性エッチング処理はそれぞれを分けて行う必要はなく、図6に示すシリコン基板11を収納した基板キャリアを用いてダメージ層エッチングと異方性エッチングを単一の処理槽にて同時に行っても構わない。
上記拡散処理後、拡散で形成されたリンガラス及びボロンガラスを数質量%のフッ酸水溶液に中に数分浸漬して除去する。
その他、必要に応じて、太陽電池の受光面から裏面に続いている拡散層を、機械的方法やレーザーなどにより分離してもよい。
本発明の有効性を確認するため、本発明のテクスチャ形成方法及び太陽電池の製造方法を用いて実際に太陽電池を作製した。
まず、実施例1として、ホウ素ドープ(100)p型シリコン単結晶インゴットをスライスして、厚さ200μmのシリコン基板(比抵抗0.5Ω・cm、150mm擬似四角形のアズカットウエハ。以下、基板という。)を20枚用意し、図6に示す基板キャリアに充填した。この基板キャリアの収納部13はPPS樹脂製であり、基板浮き押さえ部材20の骨格はステンレス製の金属棒の表面がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングされたものであり、押さえ溝22mを有する押さえ板部22はPTFE成型品である。押さえ溝22mは図8(a)に示す形状とした。
また、比較例1として、上記と同じ基板20枚を、図2に示す基板キャリアに充填した。この基板キャリアの収納部13もPPS樹脂製であり、基板浮き押さえ部材90の骨格もステンレス製の金属棒の表面がPTFEでコーティングされたものであり、押さえ板部92もPTFE成型品である。押さえ板部92のシリコン基板と接触する面は押さえ溝のない平坦な面とした。
まず、純水の体積1に対して、界面活性剤としてエクセムライトD−400(共栄社化学株式会社製)を体積で0.1添加した処理液に基板キャリアを5分間浸漬し、スライスによって基板表面に付着したスラリーやワイヤーソーの砥粒の洗浄除去を行った。更に、25質量%アンモニア水溶液と30質量%過酸化水素水と純水が、それぞれ体積比で1:1:10になるように混合し、70℃に加熱したアルカリ性水溶液に5分間浸漬し、基板表面の有機物の洗浄除去を行った。以上の洗浄処理では、実施例1、比較例1共に、基板それぞれが離間した状態で処理された。
次に、70℃に加熱した24質量%水酸化カリウム水溶液に4分間浸漬することにより基板表面のダメージ層を除去した。
この際、比較例1の基板キャリアを用いて処理された基板は、隣り合う基板同士は密着することなく離間した状態で処理されたのに対し、実施例1の基板キャリアを用いて処理された基板は、2枚一組のシリコン基板の組ごとに基板同士が密着し、組同士では離間した状態でダメージ層エッチング処理されていた。
その後、80℃に加熱した2質量%水酸化カリウム水溶液に2−プロパノールを混合した異方性エッチング液に10分間浸漬し、基板表面にテクスチャを形成した。
このテクスチャ処理時においても、比較例1の基板キャリアを用いて処理された基板は、隣り合う基板同士は密着することなく離間した状態で処理されたのに対し、実施例1の基板キャリアを用いて処理された基板は、2枚の基板の組ごとに基板同士が密着し、組同士では離間した状態で異方性エッチング処理されていた。
これは、比較例1の方法で処理された基板はダメージ層エッチング処理及び異方性エッチング処理時、隣り合う基板同士が密着することなく離間した状態で処理され、基板の表面及び裏面ともに均一な処理が施されて両面にテクスチャが形成されたのに対し、実施例1の方法で処理された基板は、2枚一組の基板の組ごとに基板同士が密着し、隣接する2枚一組の基板の組同士が離間した状態となって、基板の表面と裏面とでエッチング液の流速が異なる処理が施されたためである。即ち、実施例1の方法では表面と裏面とでエッチング液の流速が異なることによりエッチングレートが異なり、エッチング液の流速が早い片面(密着した2枚の基板における外側の面)では(111)面を主面とするテクスチャ形状が形成されたのに対し、エッチング液の流速が遅い片面(密着した2枚の基板における互いに密着した面)では(100)面を主面とする比較的平坦な面が形成されたためである。
次に、裏面にBBr3を用いた気相拡散法によりBSF層を形成した。ここでも表面への拡散を防ぐため、表面同士を重ね合わせ、2枚1組で拡散ボートに並べて処理し、BBr3雰囲気中で950℃にて30分間高温処理することで、裏面にp型BSF層を形成した。
拡散後、拡散で形成されたリン及びボロンガラスを2質量%のフッ酸水溶液に4分間浸漬させることで除去した。
その後、プラズマCVD装置を用いて基板の表面及び裏面に80nm程度のSiNx膜を堆積させ、表面に反射防止膜、裏面に表面保護膜を形成した。
次に、裏電極としてAg電極ペーストを櫛形パターン状にスクリーン印刷し乾燥した。次いで、表面にもAg電極ペーストを櫛形パターン状にスクリーン印刷し乾燥した。最後に780℃の空気雰囲気下で焼成し太陽電池を作製した。
これは、比較例1では表面及び裏面ともに(111)面を主面とする基板を用いて太陽電池を作製したのに対し、実施例では表面は(111)面であるが、裏面が表面再結合速度の極めて小さい(100)面を主面とする基板を用い太陽電池を作製したためである。
11 シリコン基板
13 収納部
13a 保持穴
13b 両側板
13c 連結板
14、14´ 基板保持溝
15 支持棒
16 導入管
17 底板
20、90 基板浮き押さえ部材
21a、21b、21c、21d、91a、91b、91c、91d 骨格辺
22、92 押さえ板部
22m 押さえ溝
23a、23b、23c、23d、93a、93b、93c、93d 突起
81 基板キャリア
82 仕切り板
Claims (7)
- シリコン基板を収納した基板キャリアをエッチング処理液に浸漬して該シリコン基板表面にテクスチャを形成するテクスチャ形成方法であって、上記基板キャリアは、シリコン基板の配列方向に直交する方向に沿って配置されてシリコン基板の両端部を保持する両側板とこれら両側板間を連結する連結板とを有し、内部に互いに隣接し、裏面が対向する2枚一組のシリコン基板を並列配置して収納する上下端部が開放され上下方向に液体が流通可能な収納部と、シリコン基板の上方に配置され収納部からのシリコン基板の浮き上がりを押さえる押さえ板部を有する基板浮き押さえ部材とを備え、上記収納部は両側板に上記2枚一組のシリコン基板を組ごとに保持する保持溝を有し、上記基板浮き押さえ部材の押さえ板部は収納部から浮き上がったシリコン基板と接触する部分に上記2枚一組のシリコン基板の上端部が挿入される押さえ溝を有しており、上記基板キャリアをエッチング処理液に浸漬したときには、収納部内でエッチング反応により浮き上がったシリコン基板の上端部が2枚一組のシリコン基板の組ごとに上記押さえ溝に挿入され、この組ごとに2枚のシリコン基板の対向する裏面同士が該2枚のシリコン基板の間でエッチング処理液が流通しないように近接又は密着すると共に、隣接する2枚一組のシリコン基板の組同士がエッチング処理液が流通可能に離間した状態となってエッチング処理を行うことを特徴とするテクスチャ形成方法。
- 上記押さえ溝は、溝の上底部側に行くほど溝幅が狭くなることを特徴とする請求項1記載のテクスチャ形成方法。
- 上記収納部は、各シリコン基板の下端部を保持する保持溝が形成された保持部材を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のテクスチャ形成方法。
- 上記基板キャリアを洗浄液に浸漬し、シリコン基板それぞれの下端部が保持部材の保持溝に挿入されて該シリコン基板が互いに洗浄液が流通可能に離間した状態となって基板洗浄処理を行うことを特徴とする請求項3記載のテクスチャ形成方法。
- 上記基板洗浄処理を上記エッチング処理前及び/又は処理後に行うことを特徴とする請求項4記載のテクスチャ形成方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のテクスチャ形成方法を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
- 請求項6記載の太陽電池の製造方法により製造した太陽電池。
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