JP2014203642A - 消弧板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度が高く、かつ消弧性能が向上された消弧板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】無機水和物を無機接着剤に分散し無機水和物塗料4が準備される。上記無機水和物塗料4が多孔質セラミック焼結体2内の気孔部3に真空含浸される。
【選択図】図6

Description

本発明は消弧板およびその製造方法に関し、特に、強度および消弧性能の双方を向上させた消弧板およびその製造方法に関する。
回路遮断器または開閉器等において、接点開極時に接点間に発生するアークを消弧する装置として、消弧装置が用いられている。消弧装置には、アークを効率的に消弧する為の消弧板が設けられており、接点間に発生したアークをコイル等で印加した電磁力によって誘導することで、消弧板に接弧させる機構が設けられている。発生したアークが消弧板に接弧した際に、アークが冷却され、電源電圧よりもアーク電圧が高くなることで、アーク電流が抑制され、その結果としてアークが消弧される。消弧板のアーク消弧性能が低下すれば、アーク電流によって遮断器が損傷を受け、大事故を引き起こす恐れがある。そのため、アークの冷却性能が高く、消弧性に優れた消弧板が求められている。
そこで従来の消弧板の材料として、無機繊維と、充填材料と、マトリックス材料とからなる無機繊維強化複合体であり、充填材料として金属酸化膜粉末、金属水酸化物粉末、金属炭化物粉末からなる群から選択された少なくとも1つを含み、マトリックス材料としてアルキルシリケートが用いられた無機繊維強化複合体が提案された(たとえば特許文献1参照)。
また従来、重量構成比で80%以上の酸化アルミニウムと、10%以上の珪石と、2.5〜2.7%の酸化マグネシウムの焼結助剤とを混合したものが焼結された消弧板が提案された(たとえば特許文献2参照)。
特開2001−122654号公報 特開平6−20549号公報
特許文献1の無機繊維強化複合体は金属水酸化物を含有しているため、これを用いた消弧板は、アークに接弧した際に水蒸気が発生し、アークを冷却し消弧する性能に優れる。しかし特許文献1の無機繊維強化複合体は、消弧板を構成する無機物が160℃以上180℃以下の低温で押し固められて成形されているため、機械的強度に乏しいという欠点がある。遮断器の接点開閉時には、消弧板に大きな機械的衝撃が加わるため、特許文献1の無機繊維強化複合体を用いた消弧板は、接点開閉時の機械的衝撃により破損する可能性がある。また特許文献2の消弧板は、酸化アルミニウムなどのセラミックが1400℃以上1600℃以下の高温で焼結されているため、機械的強度は優れているが、アークを冷却する性能を有する金属水酸化物が含まれていないため、消弧性能に劣る可能性がある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、機械的強度が高く、かつ消弧性能が向上された消弧板およびその製造方法を提供することである。
この発明に係る消弧板の製造方法においては、無機水和物を無機接着剤に分散し無機水和物塗料が準備される。上記無機水和物塗料が多孔質セラミック焼結体内の気孔部に真空含浸される。
この発明に係る消弧板は、5ppm/℃以下の熱膨張率を有する多孔質セラミック焼結体と、多孔質セラミック焼結体の気孔部に含浸された無機水和物とを備える。多孔質セラミック焼結体のうち気孔部が占める割合は20%以上50%以下である。
この発明の消弧板およびその製造方法によれば、機械的強度が高く、かつ消弧性能が向上された消弧板およびその製造方法を提供することができる。
実施の形態1の消弧板の第1例を示す概略図である。 図1のII−II線に沿う部分における概略断面図である。 実施の形態1の消弧板の第2例を示す概略図である。 図3のIV−IV線に沿う部分における概略断面図である。 無機水和物塗料を準備する工程を示す概略図である。 無機水和物塗料を多孔質セラミック焼結体の気孔部に真空含浸する工程を示す概略図である。 無機水和物塗料が多孔質セラミック焼結体の気孔部に真空含浸された後の消弧板の態様を示す概略図である。 消弧板の気孔率と、消弧板のアーク電圧および機械的強度との関係を示すグラフである。
まず図1〜図4を用いて、この発明の消弧板について説明する。図1を参照して、この発明の消弧板1は、多孔質セラミック焼結体2と、気孔部3と、無機水和物塗料4とを有している。図1および図2を参照して、多孔質セラミック焼結体2はその表面および内部に多数の気孔部3を有している。図2においては気孔部3のうち、多孔質セラミック焼結体2の外表面に形成されるディンプル状の気孔部3を表面気孔部3Aとし、多孔質セラミック焼結体2の外表面を含まない内部に形成される気孔部3を内部気孔部3Bとしている。
気孔部3の少なくとも一部を充填するように無機水和物塗料4が含浸されている。無機水和物塗料4は、無機接着剤に無機水和物を分散させたものである。無機水和物塗料4は、多孔質セラミック焼結体2の表面気孔部3Aに含浸することにより表面気孔部3Aの少なくとも一部を充填するように配置されている。なお内部気孔部3Bは、たとえば図2の内部気孔部3Cのように表面気孔部3Aと直結していたり、多孔質セラミック焼結体2の表面から内部気孔部3Bに達する焼結体の隙間や巣などを有している場合には、表面気孔部3Aと同様に無機水和物塗料4が充填されている。ここでは表面気孔部3Aに加え、上記の内部気孔部3Cおよび焼結体2の表面からの隙間などにより無機水和物塗料4が含浸され得る内部気孔部3Bも含めて気孔部3と定義する。また気孔部3とは多孔質セラミック焼結体2の焼結セラミックが存在しない領域の総称であり、多孔質セラミック焼結体2の表面または内部の空隙の部分のみならず、無機水和物塗料4が含浸された領域を含むものとする。
多孔質セラミック焼結体2の気孔部3の存在態様は、図1および図2に示すように気孔部3が泡状に分散していてもよいし、図3および図4の消弧板1が示すように気孔部3がいわゆるハニカム状に形成されたハニカム気孔部3Dを有していてもよい。ここでハニカム状とは、多孔質セラミック焼結体2の一の表面から一の表面に対向する他の表面まで柱状に延在する気孔部3が複数並ぶ態様を意味する。上記一の表面および他の表面においてハニカム気孔部3Dが開放されているため、ハニカム気孔部3Dは表面気孔部3Aと同様に無機水和物塗料4を含浸し得る。
上記のように多孔質セラミック焼結体2の気孔部3に無機水和物塗料4が含浸された構成を有する消弧板1は、アークに接弧した際に無機水和物から発生する水蒸気によって、アークを冷却し、アークを消弧することができる。消弧板1の消弧性能を向上させるためには、セラミック焼結体2が一定値以上の気孔率(多孔質セラミック焼結体2全体の体積(気孔部3を含む)に対して(無機水和物塗料4を含浸可能な)気孔部3が占める体積の割合)を有することが必要となる。セラミック焼結体2が一定値以上の気孔率を有すれば、気孔部3に無機水和物塗料4を含浸可能な容量が増加するため、当該消弧板1に含まれる無機水和物による消弧性能が向上する。
一方、消弧板1の機械的強度は、多孔質セラミック焼結体2の気孔率に依存する。つまり気孔率が一定値以上に大きくなれば、多孔質セラミック焼結体2の焼結セラミックが存在する領域の体積割合が小さくなるため、消弧板1の機械的強度が著しく低下する。
したがって、消弧板1の消弧性能と機械的強度とを両立させるためには、多孔質セラミック焼結体2の気孔率が所望の数値範囲となるように制御することが重要となる。多孔質セラミック焼結体2の気孔率を制御する方法としては以下のものが知られている。多孔質セラミック焼結体2を形成するためのセラミック粉末原料の粒度を変化させる方法、成形体の成形圧力を変化させる方法、多孔質セラミック焼結体2の焼結温度を変化させる方法、有機物などの高温で消失する添加物を混合し、多孔質セラミック焼結体2の焼結時に空隙を発生させる方法などがある。
この発明の消弧板1は、多孔質セラミック焼結体2の気孔率が20%以上50%以下であることが好ましい。気孔率が20%未満であると、上記のように気孔部3が少ないために無機水和物塗料4の含有量が少なくなってしまう。このため消弧板1のアーク接弧時の水蒸気発生量が少量となり、アークを冷却する効果が弱くなるため、消弧性能が向上しない。一方、多孔質セラミック焼結体2の気孔率が50%を超えれば、多孔質セラミック焼結体2中の焼結セラミックの割合が少なくなる。その結果、多孔質セラミック焼結体2の機械的強度が著しく低下するため、これを消弧板1として使用した場合、遮断器の接点開極時の機械的衝撃によって、消弧板1が破損してしまう可能性がある。以上より、消弧性能と機械的強度とを両立させるためには、消弧板1に含まれる気孔率を20%以上50%以下とすることが好ましい。
無機水和物塗料4を含む消弧板1に含まれる多孔質セラミック焼結体2の気孔率は、消弧板1の断面写真から算出することができる。消弧板1の(たとえば図2および図4に示すような)断面写真が、SEM(Scanning Electron Microscope)でたとえば100倍以上500倍以下の任意の倍率で撮影される。上記のように気孔率とは(少なくとも一部に無機水和物塗料4が充填可能な)気孔部3が占める体積の割合で示される。このことを利用して、撮影されたSEMの断面写真の画像解析により、(気孔部3を含む)多孔質セラミック焼結体2全体の面積に対する気孔部3の面積の割合を算出することにより消弧板1の気孔率が求められる。なお単一の消弧板1に対して複数(たとえば5枚)の異なる個所の断面写真が撮影され、それぞれの断面写真に対して同様に気孔率を求めてそれらの平均値を算出することにより消弧板1の気孔率を求めることがより好ましい。
消弧板1の気孔率をA、撮影された断面写真における(無機水和物塗料4を充填可能な)気孔部3の(無機水和物塗料4を含まない)空隙の部分の面積をB、気孔部3のうち無機水和物塗料4で充填された部分の面積をC、(気孔部3を含む)多孔質セラミック焼結体2全体の面積をDとする。このとき
A=(B+C)/D
の関係が成り立つ。複数(たとえば5枚)の異なる個所のそれぞれ断面写真に対して算出されたAの平均値が0.20以上0.50以下であれば、上記のように多孔質セラミック焼結体2の気孔率が20%以上50%以下であると推定することができる。
次に、多孔質セラミック焼結体2の熱膨張率は5ppm/℃以下であることが好ましい。消弧板1がアークに接弧すると、数ミリ秒以下の極短い時間ではあるが、消弧板1は数千℃の高温となる。そのため、仮に消弧板1の熱膨張率が5ppm/℃を超える高い値であれば、接弧の際の熱衝撃により消弧板1に割れなどの損傷が発生する可能性がある。したがって、このような損傷を抑制する観点から、消弧板1に用いられる多孔質セラミック焼結体2は、熱膨張率が比較的低い5ppm/℃以下であり、かつ絶縁性のセラミック材料であることが好ましい。以上より多孔質セラミック焼結体2を構成する絶縁性のセラミック材料としては、コージェライト、ジルコン、β−スポジュメン、チタン酸アルミなどが用いられることが好ましい。
無機水和物塗料4に含まれる無機水和物としては、IIA族元素、IIIB族元素、IVB族元素、遷移金属元素、希土類元素の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。この中でも特に、ホウ酸、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸化亜鉛、水酸化ランタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ガリウム、水酸化ストロンチウムからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。このようにすれば、室温付近では無機水和物塗料4に含まれる無機水和物からの水の分離が起こらず、アークに接弧した際の高温時のみにアークの消弧のために無機水和物から水を脱離させるようにすることができる。
次に図5〜図8を用いて、この発明の消弧板の製造方法について説明する。まず図5に示すように、たとえばビーカ11内にて、無機接着剤に無機水和物を分散させた無機水和物塗料4が準備される。具体的には無機水和物が、たとえば珪酸ナトリウムのようないわゆる水ガラスと、水と、硬化剤とが混合された無機接着剤内に投入され、撹拌機12によりこれらが攪拌され混合される。以上により粘性のある無機水和物塗料4が形成される。
なおここで無機水和物塗料4を形成するために用いられる無機水和物は、上記のように、ホウ酸、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸化亜鉛、水酸化ランタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ガリウム、水酸化ストロンチウムからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
次に図6に示すように、図5において準備された無機水和物塗料4を入れたビーカ11内に多孔質セラミック焼結体2が投入される。ここで投入される多孔質セラミック焼結体2は、5ppm/℃以下の熱膨張率を有し、多孔質セラミック焼結体2全体の体積(気孔部3を含む)に対して(無機水和物塗料4を含浸可能な)気孔部3が占める体積の割合(気孔率)が20%以上50%以下である。
ここでの多孔質セラミック焼結体2および無機水和物塗料4を入れたビーカ11が真空装置13内にセットされ、真空装置13内が真空状態とされる。この真空状態の下で、多孔質セラミック焼結体2の気孔部3内に無機水和物塗料4が含浸される(いわゆる真空含浸)。
無機水和物塗料4が含浸されたセラミック焼結体2を真空装置13およびビーカ11から取り出し、室温でたとえば約24時間乾燥させる。このようにすれば無機水和物塗料4中の水分が揮発する。このため図7に示すように、無機水和物塗料4の体積は、水分がなくなる分だけ収縮し、気孔部3内には収縮後塗料部3Eと空隙部5とが含まれる状態になる。収縮後塗料部3Eとは水分が揮発した後の無機水和物塗料4の本体に相当する部分であり、空隙部5とは水分の揮発により(無機水和物塗料4の体積が減少したことに伴い)空隙となった部分である。なお図7は、消弧板1を外側から見た概略図であり、気孔部3などはすべて多孔質セラミック焼結体2の外表面に形成されたものである。
多孔質セラミック焼結体2の気孔部3内には、気孔部3内のほぼ全体を充填するように無機水和物塗料4が含浸されるが、無機水和物塗料4中に含まれる水などの希釈媒体が全量揮発すれば、最終的に収縮後塗料部3Eの体積は元々充填された無機水和物塗料4の体積の約50%となる。
なお多孔質セラミック焼結体2の熱膨張率および気孔率は、無機水和物塗料4の含浸の前後において変化はない。したがって元の多孔質セラミック焼結体2の気孔率が20%以上50%以下であれば含浸後の消弧板1の気孔率は20%以上50%以下である。以上の製造方法により形成された消弧板1は、機械的強度と消弧性能との双方が向上されたものである。このことを以下の実施例を用いて説明する。
以下の表1に、消弧板1のサンプルの形成に用いられた多孔質セラミック焼結体2の種類を示している。
Figure 2014203642
表1に示す各サンプルの多孔質セラミック焼結体2は、無機水和物塗料4の含浸前のものである。このため表1中の気孔率は、無機水和物塗料4を含浸可能な気孔部3(図1参照)の空隙部の、多孔質セラミック焼結体2の全体(気孔部3を含む)に対する体積割合である。また無機水和物塗料4の含浸前の多孔質セラミック焼結体2の気孔率は、水銀圧入式ポロシメータによって測定されている。
以下の表2に、消弧板1のサンプルの形成に用いられた無機水和物塗料4に含まれる無機水和物の種類を示している。表2に示すように、各サンプルの無機水和物塗料4に含まれる無機水和物は、IIA族元素、IIIB族元素、IVB族元素、遷移金属元素、希土類元素の水和物からなる群から選択されるいずれか1つである。
Figure 2014203642
上記のように無機接着剤が準備され、当該無機接着剤に無機水和物が分散することにより無機水和物塗料4が形成される。無機接着剤として、珪酸ナトリウムの結合材を用いた。具体的には、JIS K1408に記載のJIS3号珪酸ナトリウム(二酸化珪素30%および酸化ナトリウム10%)と、水と、硬化剤としての酸化マグネシウム(MgO)粉末とが、それらの重量比が60:120:1.2となるように混合された。さらに図5に示すように上記の無機接着剤に表2の無機水和物塗料4が混合され、撹拌機12で3時間撹拌混合された。
Figure 2014203642
上記の表3に示すように、上記の無機接着剤に分散混合させる無機水和物のサンプルの種類(表2参照)および、上記無機水和物を含む無機水和物塗料4が含浸される多孔質セラミック焼結体2のサンプルの種類(表1参照)に応じて、形成される消弧板1のサンプルがこの発明の条件下で形成された本発明用サンプルA1〜A14と、この発明の条件外で形成された比較用サンプルB1〜B5とに分けられる。具体的には、表1中の気孔率および熱膨張率の数値に下線を施したものは上記のこの発明の条件となる数値範囲外の条件となっており、このように条件から外れたサンプルA、E、F、G、Hを用いて形成された消弧板1のサンプルB1〜B5は、この発明の条件に対する比較用のサンプルとなっている。
各サンプルA1〜A14、B1〜B5は、表3に示す多孔質セラミック焼結体2に表3に示す無機水和物を含む無機水和物塗料4を真空含浸させた後、これを24時間室温下で放置し、さらにその後200℃で2時間加熱処理することにより形成された。この処理により、多孔質セラミック焼結体2に含浸された無機接着剤は硬化され、無機水和物塗料4中の水分は揮発し、図7に示すような収縮後塗料部3Eと空隙部5とが形成される。
表3に示すアーク電圧は、アーク遮断試験機を用いて、交流電圧600V、交流電流10kA以下の条件下で測定された。表3において、各サンプルA2〜A14、B1〜B5のアーク電圧の測定結果は、サンプルA1の消弧板1について得られたアーク電圧を基準(1.00)とするアーク電圧の相対値として示されている。具体的には各サンプルA2〜A14、B1〜B5のアーク電圧の測定結果は、サンプルA2〜A14、B1〜B5のアーク電圧の絶対値をサンプルA1のアーク電圧の絶対値で除した値として表3中に示されている。
各サンプルA2〜A14、B1〜B5の機械的強度は、オートグラフを用いて支点間距離40mmで多孔質セラミック焼結体2の3点曲げ強度として測定された。表3において、各サンプルA2〜A14、B1〜B5の測定結果は、サンプルA1の消弧板1について得られた3点曲げ強度を基準(1.00)とする3点曲げ強度の相対値として(上記のアーク電圧と同様に)算出された値が示されている。
さらに表3中には、アーク遮断試験機を用いたアーク電圧の測定後の各サンプルA1〜A14、B1〜B5の、アーク発生時の熱衝撃による割れの有無を目視で評価した結果が示されている。表3中の「アーク試験後の割れ」の欄には、上記の割れが存在しない場合を○、割れが存在する場合を×で示している。
以上の凡例をもとに表3を参照して、サンプルA1〜A14のように熱膨張率が5ppm/℃以下であり気孔率が20%以上50%以下である多孔質セラミック焼結体のサンプルB〜D(表1参照)を用いて形成された消弧板は、いずれもアーク電圧が高く0.93以上1.07以下の相対値を示している。つまりこれらの消弧板は消弧性能が向上していることが分かる。またサンプルA1〜A14の消弧板はいずれも機械的強度が0.84以上1.02以下の相対値であり比較的高いため、いずれも機械的強度が向上していることが分かる。
これらに対してサンプルB1のように気孔率が20%未満の多孔質セラミック焼結体を用いて形成された消弧板は、アーク電圧が0.62とサンプルA1〜A14に比べて低く、消弧性能が向上していない。またサンプルB2、B3のように気孔率が50%を超える多孔質セラミック焼結体を用いて形成された消弧板は、機械的強度がそれぞれ0.40および0.35とサンプルA1〜A14に比べて非常に低く、機械的強度が向上していないことがわかる。さらにサンプルB4、B5のように熱膨張率が5ppm/℃を超える多孔質セラミック焼結体を用いて形成された消弧板は、接弧の際の熱衝撃により、消弧板内の領域間に生じる温度差に起因して生じる熱応力が大きいために、アーク試験後に割れが発生していることがわかる。
以上の結果から、無機水和物塗料4の含浸の前後にかかわらず、多孔質セラミック焼結体2は5ppm/℃以下の熱膨張率を有し、多孔質セラミック焼結体2のうち気孔部3が占める体積の割合は20%以上50%以下であることが好ましいことがわかる。
図8を参照して、横軸は無機水和物塗料4の含浸後の消弧板における焼結セラミックが存在しない気孔部3の体積割合(%)を上記のSEM写真から求めた値を示している。この値は無機水和物塗料4の含浸前の多孔質セラミック焼結体2中の気孔部3の体積割合(表1に示す各多孔質セラミック焼結体の気孔率)に等しい。また縦軸は表3に示す消弧板のアーク電圧および機械的強度の(サンプルA1の値を1.00としたときの)相対値を示している。図8のグラフより、多孔質セラミック焼結体2の気孔率と消弧板1のアーク電圧および機械的強度との間には密接な関係があることがわかる。
以上より、無機水和物塗料4を、熱膨張率および気孔率3の体積割合が適正な範囲にある多孔質セラミック焼結体2(の気孔部3)に真空含浸することにより、消弧性能と機械的強度との双方が両立した消弧板1を提供できることがわかった。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 消弧板、2 多孔質セラミック焼結体、3 気孔部、3A 表面気孔部、3B,3C 内部気孔部、3D ハニカム気孔部、3E 収縮後塗料部、4 無機水和物塗料、5 空隙部、11 ビーカ、12 撹拌機、13 真空装置。

Claims (5)

  1. 無機水和物を無機接着剤に分散し無機水和物塗料を準備する工程と、
    前記無機水和物塗料を多孔質セラミック焼結体の気孔部に真空含浸する工程とを備える、消弧板の製造方法。
  2. 前記多孔質セラミック焼結体は5ppm/℃以下の熱膨張率を有し、前記多孔質セラミック焼結体のうち前記気孔部が占める体積の割合は20%以上50%以下である、請求項1に記載の消弧板の製造方法。
  3. 前記無機水和物塗料は、ホウ酸、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸化亜鉛、水酸化ランタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ガリウム、水酸化ストロンチウムからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の消弧板の製造方法。
  4. 5ppm/℃以下の熱膨張率を有する多孔質セラミック焼結体と、
    前記多孔質セラミック焼結体の気孔部に含浸された無機水和物塗料とを備え、
    前記多孔質セラミック焼結体のうち前記気孔部が占める体積の割合は20%以上50%以下である、消弧板。
  5. 前記無機水和物塗料は、ホウ酸、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸化亜鉛、水酸化ランタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ガリウム、水酸化ストロンチウムからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項4に記載の消弧板。
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