JP2014201455A - 黒鉛材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
焼成工程、黒鉛化工程などの加熱工程において、昇温パターンを変えることによってサイクルタイムを短縮できる製造方法を提供する。
【解決手段】
炭素系骨材と、炭素系バインダとからなる前駆体を加熱する加熱工程からなる黒鉛材料の製造方法において、加熱工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することからなる。
【効果】
加熱工程における昇温速度を早くすることができるので、加熱工程のサイクルタイムを短縮することができる。
【選択図】 図1
焼成工程、黒鉛化工程などの加熱工程において、昇温パターンを変えることによってサイクルタイムを短縮できる製造方法を提供する。
【解決手段】
炭素系骨材と、炭素系バインダとからなる前駆体を加熱する加熱工程からなる黒鉛材料の製造方法において、加熱工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することからなる。
【効果】
加熱工程における昇温速度を早くすることができるので、加熱工程のサイクルタイムを短縮することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、黒鉛材料の製造方法に関する。
黒鉛材料は、耐熱性が高く、セラミック材料としては比較的大きなサイズが得られることが特徴である。特に高温の不活性雰囲気で使用するホットプレス、単結晶引き上げ装置、各種高温の加熱炉、熱処理炉などの装置の高強度の内部部材などと幅広く利用されている。
このような黒鉛材料の一つである等方性黒鉛材は、一般的に下記の(1)〜(5)の工程に従って製造されることが知られている。
(1)ピッチと、コークス粉の混練体を得る混練工程
(2)混練体を粉砕し、成形原料を得る粉砕工程
(3)粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程
(4)成形体を加熱することにより、揮発分を除去し焼成体を得る焼成工程
(5)焼成体を焼成工程よりも高い温度で熱処理し、黒鉛化する黒鉛化工程
等方性黒鉛材は、成形原料を細かく粉砕し、CIP(Cold Isostatic Press)成形装置を用いて、等方的に加圧することにより高強度の素材が得られることが特徴である。近年、大型のCIP成形装置が製造されるようになり、高強度で大きな黒鉛材料が得られるようになった。
(1)ピッチと、コークス粉の混練体を得る混練工程
(2)混練体を粉砕し、成形原料を得る粉砕工程
(3)粉砕原料を成形し成形体を得る成形工程
(4)成形体を加熱することにより、揮発分を除去し焼成体を得る焼成工程
(5)焼成体を焼成工程よりも高い温度で熱処理し、黒鉛化する黒鉛化工程
等方性黒鉛材は、成形原料を細かく粉砕し、CIP(Cold Isostatic Press)成形装置を用いて、等方的に加圧することにより高強度の素材が得られることが特徴である。近年、大型のCIP成形装置が製造されるようになり、高強度で大きな黒鉛材料が得られるようになった。
CIP成形装置が大型化したことによって大きな黒鉛材料が得られるようになったが、黒鉛材料が大きくなったために、焼成工程、黒鉛化工程などの加熱工程に要する時間が長くなる。このため、生産開始から完成までのリードタイムが長くなるという問題があった。
特許文献1では、生産開始から完成までのリードタイムを短縮するために、焼成サイクルタイムを短縮し、さらに焼成時のエネルギ損失が小さく、生産性の高い炭素材料焼成方法として、フィラー(骨材)とバインダを捏合して成型した被処理用炭素材料素材成型体を、処理容器内に配置した、スリットが形成された断熱部材で覆う工程と、不活性ガスを該処理容器に流通しながら、該スリットを介して、マイクロ波を該被処理用炭素材料素材成型体に照射する工程と、を有することを特徴とする炭素材料の焼成方法が提案されている。
しかしながら、前記のマイクロ波を利用した焼成方法には、次の問題がある。
被処理用炭素材料素材成型体(成形体)を加熱すると分解ガスが発生する。分解ガスはタール状の物質を含んでおり、焼成炉内の至る所に付着する。例えば、導波管、導波管先端の耐熱ガラス板、断熱箱などに付着し炭素化する。炭素化したタール状の物質は、マイクロ波を吸収したり、断熱箱の断熱性を低下させる。また、測温のために炉内に熱電対などの導体を入れると、スパークや異常発熱の原因となる。このためマイクロ波を利用した焼成炉では、放射温度計などに測温方法が限定される。焼成炉内で発生する多量の分解ガスは、光を遮るので放射温度計での測温にも支障をきたす。このため、マイクロ波を利用した焼成方法では、解決しなければならない課題が多いことがわかった。
被処理用炭素材料素材成型体(成形体)を加熱すると分解ガスが発生する。分解ガスはタール状の物質を含んでおり、焼成炉内の至る所に付着する。例えば、導波管、導波管先端の耐熱ガラス板、断熱箱などに付着し炭素化する。炭素化したタール状の物質は、マイクロ波を吸収したり、断熱箱の断熱性を低下させる。また、測温のために炉内に熱電対などの導体を入れると、スパークや異常発熱の原因となる。このためマイクロ波を利用した焼成炉では、放射温度計などに測温方法が限定される。焼成炉内で発生する多量の分解ガスは、光を遮るので放射温度計での測温にも支障をきたす。このため、マイクロ波を利用した焼成方法では、解決しなければならない課題が多いことがわかった。
このため、工業的に製造するためには、従来の可燃ガス、石油などを用いたバーナー式加熱炉、アチェソンをはじめとした従来の焼成炉及び黒鉛化炉を用いて、炉を変えることなくサイクルタイムを短縮する方が現実的である。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、焼成工程、黒鉛化工程などの加熱工程において、昇温パターンを変えることによってサイクルタイムを短縮できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、焼成工程、黒鉛化工程などの加熱工程において、昇温パターンを変えることによってサイクルタイムを短縮できる製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明の解決手段は、炭素系骨材と、炭素系バインダと、からなる前駆体を加熱する加熱工程からなる黒鉛材料の製造方法において、
該加熱工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することからなる。
該加熱工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することからなる。
本発明によれば、前駆体は、熱処理温度と熱伝導率との間に正の相関を有している。このため昇温ステップで前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ前駆体表面の熱伝導率を高くすることによって効率良く前駆体内部に熱を伝えることができる。
また、炭素系バインダは粘結性を有し、成形から加熱工程にかけて継続して骨材を結びつけることができる。このため、昇温ステップで前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ、表面に熱歪みがかかっても、炭素系バインダは粘結性を有しているので結合力が強く、割れにくくすることができる。
また、炭素系バインダは粘結性を有し、成形から加熱工程にかけて継続して骨材を結びつけることができる。このため、昇温ステップで前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ、表面に熱歪みがかかっても、炭素系バインダは粘結性を有しているので結合力が強く、割れにくくすることができる。
また、本発明の黒鉛材料の製造方法は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することを特徴とする。複数の組合せステップが繰り返し行われることによって、前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ速やかに昇温させる段階が、加熱工程の低温域から高温域にかけて偏ることなく分散して行うことができるので、効率良く加熱することができる。
このため、加熱工程における昇温速度を早くすることができるので、加熱工程のサイクルタイムを短縮することができる。
このため、加熱工程における昇温速度を早くすることができるので、加熱工程のサイクルタイムを短縮することができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法は、炭素系骨材と、炭素系バインダと、からなる前駆体を加熱する加熱工程からなる黒鉛材料の製造方法において、該加熱工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することからなる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程には、焼成工程、黒鉛化工程のいずれも含むことができる。すなわち、本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程は、回数を問わない。例えば、本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程に黒鉛化工程のみが含まれる場合には1回、焼成工程のみが含まれる場合には1回、焼成工程及び黒鉛化工程が含まれる場合には2回加熱工程が行われることになる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程には、焼成工程、黒鉛化工程のいずれも含むことができる。すなわち、本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程は、回数を問わない。例えば、本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程に黒鉛化工程のみが含まれる場合には1回、焼成工程のみが含まれる場合には1回、焼成工程及び黒鉛化工程が含まれる場合には2回加熱工程が行われることになる。
加熱工程が焼成工程である場合、炭素系バインダとは、例えばピッチであり、前駆体とは、例えば炭素系骨材とピッチとが混練され得られた混練体を粉砕し成形された成形体である。加熱工程が黒鉛化工程である場合、炭素系バインダとはピッチの炭化物であり、前駆体とは、成形体を焼成した焼成体である。
本発明の炭素系骨材とは、特に限定されないが、粉砕した黒鉛、コークスの他、カーボンブラックなどが利用できる。コークスは、石油系コークス、石炭系コークスのいずれでも利用することができる。また、コークスは、か焼コークス、生コークスのいずれでも使用することができる。本発明の炭素系骨材のメジアン径は特に限定されないが、例えば2〜20μmであることが好ましい。炭素系骨材のメジアン径が2μm以上であると比表面積が小さいのでバインダを多く必要とせず、焼成、黒鉛化工程で割れにくくすることができる。炭素系骨材のメジアン径が20μm以下であると、得られる黒鉛材料の組織を細かくすることができるので高強度の黒鉛材料を得ることができる。
本明細書において、メジアン径とは、50%体積累積径であり、レーザー回折式粒度測定装置で測定することができる。径とは直径である。
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することを特徴とする。組合せステップとは、昇温ステップと保持ステップとを一単位とし、昇温ステップが終了すると保持ステップに移行する。保持ステップは、昇温ステップよりも昇温速度が遅ければよく、例えば一定温度で保持するステップなどが利用できる。
このように組合せステップを構成することによって、昇温ステップでは前駆体の表面と中心部に温度差を生成するように作用し、保持ステップでは、生成した温度差を緩和するように作用する。
また、昇温ステップでは、前駆体が割れない程度に前駆体の表面と中心部に温度差を生成し、前駆体の表面と内部との温度差が大きくなるのでフーリエの法則に従って熱の移動量を大きくすることができる。このため、前駆体の中心部を早く加熱することができる。次に保持ステップで一旦生成した温度差を緩和することができる。保持ステップでは、一旦生成した温度差を緩和し小さくしているので、それまでの昇温ステップで生じた前駆体の表面と中心部との温度差の影響を小さくすることができる。このため、複数の昇温ステップで生じる前駆体の表面と中心部との温度差が影響を及ぼし合いにくくなるので割れにくくすることができる。
また、昇温ステップでは、前駆体が割れない程度に前駆体の表面と中心部に温度差を生成し、前駆体の表面と内部との温度差が大きくなるのでフーリエの法則に従って熱の移動量を大きくすることができる。このため、前駆体の中心部を早く加熱することができる。次に保持ステップで一旦生成した温度差を緩和することができる。保持ステップでは、一旦生成した温度差を緩和し小さくしているので、それまでの昇温ステップで生じた前駆体の表面と中心部との温度差の影響を小さくすることができる。このため、複数の昇温ステップで生じる前駆体の表面と中心部との温度差が影響を及ぼし合いにくくなるので割れにくくすることができる。
保持ステップで一旦生成した温度差が緩和されると、引き続き次の組合せステップに移行する。次の組合せステップでは、最初に昇温ステップから始まり、前回の繰り返しステップと同様に、前駆体が割れない程度に前駆体の表面と中心部に温度差を生成するように作用し、保持ステップは、生成した温度差を緩和するように作用する。このように前駆体が割れない程度に前駆体の表面と中心部に温度差を生成する昇温ステップを含む組合せステップを繰り返すことによって、フーリエの法則に従って熱の移動量を大きくすることができるので、効率良く加熱することができる。このような複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することは、本発明の黒鉛材料に用いる前駆体が以下二つの特徴を備えているので有効に機能することができる。
≪炭素系バインダの持つ粘結性≫
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程は、炭素系骨材と、炭素系バインダとからなる前駆体を加熱することが特徴である。炭素系バインダは、通常のセラミックスにはない「粘結性」という特有の性質を持っている。
本明細書において、「粘結性」とは、特に石炭および炭素系材料に使用される用語であり、軟化状態を経て炭素化しうる性質のことを示し、軟化状態においては粘着性を有しているので互いに結合し、加熱することによりそのまま炭素化することができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の炭素系バインダが粘結性を備えているので、いずれの昇温ステップにおいて前駆体の表面と中心部に温度差ができても強く結合することができクラックなどを形成しにくくすることができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程は、炭素系骨材と、炭素系バインダとからなる前駆体を加熱することが特徴である。炭素系バインダは、通常のセラミックスにはない「粘結性」という特有の性質を持っている。
本明細書において、「粘結性」とは、特に石炭および炭素系材料に使用される用語であり、軟化状態を経て炭素化しうる性質のことを示し、軟化状態においては粘着性を有しているので互いに結合し、加熱することによりそのまま炭素化することができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の炭素系バインダが粘結性を備えているので、いずれの昇温ステップにおいて前駆体の表面と中心部に温度差ができても強く結合することができクラックなどを形成しにくくすることができる。
本明細書において、炭素化とは、有機物が熱分解し、炭素の含有量が多い物質に変化することを示している。このため炭素化した炭化物は、炭素化前の物質より炭素含有量が多くなっていれば良く、炭素のみで構成されていても良い。
≪前駆体が持つ熱処理温度と熱伝導率との正の相関≫
本発明の黒鉛材料の製造方法の前駆体は加熱温度が高くなり炭素化が進行するとともに熱伝導率が高くなる特徴を備えている。(熱処理温度と熱伝導率との正の相関)このため、前駆体の温度が高いほど熱の移動量を大きくすることができ、昇温速度を高くすることができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の前駆体は加熱温度が高くなり炭素化が進行するとともに熱伝導率が高くなる特徴を備えている。(熱処理温度と熱伝導率との正の相関)このため、前駆体の温度が高いほど熱の移動量を大きくすることができ、昇温速度を高くすることができる。
以下、本発明の炭素系バインダの持つ粘結性の特徴について詳しく説明する。
酸化物系、窒化物系など有機系バインダを用い、酸化雰囲気で脱脂工程を経て製造されるセラミックスでは、有機系バインダが酸化し最終的に除去されるのに対し、ピッチなど炭素系バインダを用いる黒鉛材料では、炭素系バインダは、成形後から黒鉛化されるまでその形態を変えながら常に骨材を結びつける機能を有している。具体的には、次のように炭素系バインダは常に骨材を結びつける機能を発揮していると考えられる。
酸化物系、窒化物系など有機系バインダを用い、酸化雰囲気で脱脂工程を経て製造されるセラミックスでは、有機系バインダが酸化し最終的に除去されるのに対し、ピッチなど炭素系バインダを用いる黒鉛材料では、炭素系バインダは、成形後から黒鉛化されるまでその形態を変えながら常に骨材を結びつける機能を有している。具体的には、次のように炭素系バインダは常に骨材を結びつける機能を発揮していると考えられる。
成形工程で高い圧力を加えられ、炭素系バインダの粘着力で骨材を結びつけ成形体を形成する。
次に焼成工程または黒鉛化工程からなる加熱工程では、骨材を結びつける炭素系バインダは縮合し、温度上昇と共に高分子量化していく。加熱工程では、炭素系バインダは高粘度の液体状態を維持し骨材をつなぎ止めたまま炭素化される。
炭素系バインダはこのよう性質を持っているので成形工程から加熱工程にかけて連続して骨材を結びつける機能を維持しながら黒鉛材料を作ることができる。
次に焼成工程または黒鉛化工程からなる加熱工程では、骨材を結びつける炭素系バインダは縮合し、温度上昇と共に高分子量化していく。加熱工程では、炭素系バインダは高粘度の液体状態を維持し骨材をつなぎ止めたまま炭素化される。
炭素系バインダはこのよう性質を持っているので成形工程から加熱工程にかけて連続して骨材を結びつける機能を維持しながら黒鉛材料を作ることができる。
このような炭素系バインダの粘結性について、下記のメカニズムによって発現することができると考えられる。
加熱工程の過程では、二つの作用が同時に起こる。これによって炭素系バインダの粘度が決定される。
(1)
炭素系バインダの高分子量化にともなって粘度が高くなる。
(2)
炭素系バインダの温度が高くなることによって、バインダを構成する分子の熱運動が激しくなり、粘度を下げる。
実際には、加熱工程では、液相炭素化する炭素系バインダは、粘度が高くなる作用(1)の方が勝り、少しずつ粘度が高くなっていく。これは、容器に入れた炭素系バインダの加熱のされ方を観察することによって確認することができる。
炭素系バインダの一つであるピッチを金属容器に入れ加熱していくと、温度の上昇と共に分解ガスとしての気泡を発生しながら熱分解が進行する。温度が上昇し400℃を超えても、ピッチの粘度は少しずつ高くなっていくが、ピッチは、不融化することなく気泡が発生し続ける。加熱されたピッチを少し冷却するとすぐに固形化しピッチが高粘度化していくことが確認される。
つまり、ピッチは加熱されると、液体の状態を維持しながら縮合し、分子量が大きくなっていく。これらは、液相炭素化する炭素系バインダの特徴であると考えられる。
(1)
炭素系バインダの高分子量化にともなって粘度が高くなる。
(2)
炭素系バインダの温度が高くなることによって、バインダを構成する分子の熱運動が激しくなり、粘度を下げる。
実際には、加熱工程では、液相炭素化する炭素系バインダは、粘度が高くなる作用(1)の方が勝り、少しずつ粘度が高くなっていく。これは、容器に入れた炭素系バインダの加熱のされ方を観察することによって確認することができる。
炭素系バインダの一つであるピッチを金属容器に入れ加熱していくと、温度の上昇と共に分解ガスとしての気泡を発生しながら熱分解が進行する。温度が上昇し400℃を超えても、ピッチの粘度は少しずつ高くなっていくが、ピッチは、不融化することなく気泡が発生し続ける。加熱されたピッチを少し冷却するとすぐに固形化しピッチが高粘度化していくことが確認される。
つまり、ピッチは加熱されると、液体の状態を維持しながら縮合し、分子量が大きくなっていく。これらは、液相炭素化する炭素系バインダの特徴であると考えられる。
以下、本発明の前駆体が持つ熱処理温度と熱伝導率との正の相関について詳しく説明する。
本発明の前駆体とは、加熱工程の進行に伴って成形体、焼成体の順に形態が変化し、最終的に黒鉛材料となる。
成形体の段階では、炭素系骨材どうしを炭素系のバインダが結合している。炭素系バインダは加熱によって炭素化する有機物であるので、熱伝導率が低く成形体全体の熱伝導率を低くする原因となっている。
本発明の前駆体とは、加熱工程の進行に伴って成形体、焼成体の順に形態が変化し、最終的に黒鉛材料となる。
成形体の段階では、炭素系骨材どうしを炭素系のバインダが結合している。炭素系バインダは加熱によって炭素化する有機物であるので、熱伝導率が低く成形体全体の熱伝導率を低くする原因となっている。
加熱工程に含まれる焼成工程においては、主に炭素系バインダの炭素化が行われる。焼成工程においては、炭素系バインダが徐々に炭素化し、熱伝導率が高くなる。その結果、炭素系バインダは炭素化し、炭素系骨材と同等の物質となる。その結果、焼成工程が完了した段階では炭素系バインダ熱伝導率は高くなり、焼成体の熱伝導率に対する影響は小さくなる。
次に加熱工程に含まれる黒鉛化工程の段階では、主に焼成体である前駆体(炭素化した炭素系バインダと炭素系骨材)の黒鉛化が行われる。黒鉛化工程では、加熱温度が上昇するとともに、前駆体の乱れた結晶構造を再配列し、フォノン及び電子の移動の自由度を高め、さらに高い熱伝導率を得ることができる。
これらの理由から、本発明の前駆体は熱処理温度と熱伝導率との正の相関を持ち、熱処理温度が高くなるほど熱伝導率が高くなることがわかる。
図3は、本発明の黒鉛材料の製造方法で用いる前駆体の熱処理温度と熱伝導率との関係の一例を示す。図3の縦軸が対数軸で示されるように前駆体の熱処理温度が高くなるにつれて急速に熱伝導率が大きくなっていることが確認できる。
前述したように、前駆体は、熱処理温度と熱伝導率との間に正の相関を有している。このため昇温ステップで前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ前駆体表面の熱伝導率を高くすることによって効率良く前駆体内部に熱を伝えることができる。熱伝導率は、熱処理温度が大きくなるにつれて急速に大きくなるので、熱処理温度と熱伝導率との正の相関を持っていることが本発明の製造方法に有効に作用し、サイクルタイムを短縮できることが推定される。
次に加熱工程に含まれる黒鉛化工程の段階では、主に焼成体である前駆体(炭素化した炭素系バインダと炭素系骨材)の黒鉛化が行われる。黒鉛化工程では、加熱温度が上昇するとともに、前駆体の乱れた結晶構造を再配列し、フォノン及び電子の移動の自由度を高め、さらに高い熱伝導率を得ることができる。
これらの理由から、本発明の前駆体は熱処理温度と熱伝導率との正の相関を持ち、熱処理温度が高くなるほど熱伝導率が高くなることがわかる。
図3は、本発明の黒鉛材料の製造方法で用いる前駆体の熱処理温度と熱伝導率との関係の一例を示す。図3の縦軸が対数軸で示されるように前駆体の熱処理温度が高くなるにつれて急速に熱伝導率が大きくなっていることが確認できる。
前述したように、前駆体は、熱処理温度と熱伝導率との間に正の相関を有している。このため昇温ステップで前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ前駆体表面の熱伝導率を高くすることによって効率良く前駆体内部に熱を伝えることができる。熱伝導率は、熱処理温度が大きくなるにつれて急速に大きくなるので、熱処理温度と熱伝導率との正の相関を持っていることが本発明の製造方法に有効に作用し、サイクルタイムを短縮できることが推定される。
また、炭素系バインダは粘結性を有し、成形から加熱工程にかけて継続して骨材を結びつけることができる。このため、昇温ステップで前駆体の表面と中心部に温度差を生成させることにより、表面に熱歪みがかかっても、炭素系バインダは粘結性を有しているので、割れにくくすることができる。
また、本発明の黒鉛材料の製造方法は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することを特徴とする。複数の組合せステップが繰り返し行われることによって、前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ速やかに昇温させる段階が、加熱工程の低温域から高温域にかけて偏ることなく分散して行われるので、効率良く加熱することができる。
図1は本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程を構成する1つの組合せステップの一例を示し、図中太線は時間に対する設定温度の変化を示している。表1は、組合せステップ、それを構成する昇温ステップ、保持ステップに対するそれぞれの所要時間、昇温速度、加熱温度を表にまとめたものである。
本発明の黒鉛材料の製造方法において必ずしも全ての昇温ステップ、保持ステップが組合せステップに含まれている必要は無く、例えば昇温ステップが連続して構成されている領域があってもよい。このため昇温ステップ、保持ステップ及び組合せステップの数は同一である必要は無い。
発明の黒鉛材料の製造方法において、昇温ステップの昇温パターンは特に限定されず、一定速度で昇温するパターンの他、昇温速度が途中で変更する昇温パターンであってもよい。昇温速度が途中で変更する昇温パターンとは、時間−温度の昇温パターンが曲線的に変化する昇温パターン、途中で昇温速度が切り替わる昇温パターンなどが挙げられる。
本発明の黒鉛材料の製造方法において必ずしも全ての昇温ステップ、保持ステップが組合せステップに含まれている必要は無く、例えば昇温ステップが連続して構成されている領域があってもよい。このため昇温ステップ、保持ステップ及び組合せステップの数は同一である必要は無い。
発明の黒鉛材料の製造方法において、昇温ステップの昇温パターンは特に限定されず、一定速度で昇温するパターンの他、昇温速度が途中で変更する昇温パターンであってもよい。昇温速度が途中で変更する昇温パターンとは、時間−温度の昇温パターンが曲線的に変化する昇温パターン、途中で昇温速度が切り替わる昇温パターンなどが挙げられる。
昇温ステップの所要時間をti、保持ステップの所要時間をtj、昇温ステップの昇温速度をαi、保持ステップの昇温速度をαjとすると表1に示すように組合せステップの平均昇温速度αkとは、次のように定義される。
αk=(αiti+αjtj)/(ti+tj) (式1)
なお、昇温ステップ、保持ステップ及び組合せステップの数が同一の場合、
i=j=kとなるが、
昇温ステップ、保持ステップ及び組合せステップの数が同一でない場合、
i=j=kとならない。
αk=(αiti+αjtj)/(ti+tj) (式1)
なお、昇温ステップ、保持ステップ及び組合せステップの数が同一の場合、
i=j=kとなるが、
昇温ステップ、保持ステップ及び組合せステップの数が同一でない場合、
i=j=kとならない。
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程を構成する任意の昇温ステップの昇温速度αiは、該昇温ステップが含まれる組合せステップの平均昇温速度αkの1.2〜1.6倍であることが好ましい。本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程を構成する組合せステップは、昇温ステップと昇温ステップに続く保持ステップとからなる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程を構成する任意の昇温ステップの昇温速度αiは、該昇温ステップが含まれる組合せステップの平均昇温速度αkの1.2倍以上であると、前駆体の表面と中心部に十分な温度差をつけることができ、前駆体の表面と中心部に向かって熱が伝わりやすくすることができるので加熱工程のサイクルタイムを短縮することができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程を構成する任意の昇温ステップの昇温速度αiは、該昇温ステップが含まれる組合せステップの平均昇温速度αkの1.2倍以上であると、前駆体の表面と中心部に十分な温度差をつけることができ、前駆体の表面と中心部に向かって熱が伝わりやすくすることができるので加熱工程のサイクルタイムを短縮することができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の加熱工程を構成する任意の昇温ステップの昇温速度αiは、該昇温ステップが含まれる組合せステップの平均昇温速度αkの1.6倍以下であると、前駆体の表面に与えられた熱が充分に拡散することができるので、前駆体表面にかかる引っ張り応力を小さくすることができ、熱収縮によって前駆体の表面にクラックを形成しにくくすることができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の組合せステップにおいて以下式2に定義される第1の温度差Δθkは、5〜40℃であることが好ましい。
Δθk=(αi−αk)ti (式2)
第1の温度差Δθkが40℃以下であると、前駆体の表面に熱収縮によるクラックを形成しにくくすることができる。
また、温度差Δθkが5℃以上であると、フーリエの法則に従って前駆体の表面に与えられた熱が充分に拡散することができるので、熱収縮によって前駆体の表面にクラックを形成しにくくすることができる。
Δθk=(αi−αk)ti (式2)
第1の温度差Δθkが40℃以下であると、前駆体の表面に熱収縮によるクラックを形成しにくくすることができる。
また、温度差Δθkが5℃以上であると、フーリエの法則に従って前駆体の表面に与えられた熱が充分に拡散することができるので、熱収縮によって前駆体の表面にクラックを形成しにくくすることができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法は、炭素系バインダはピッチであって、加熱工程は、前駆体を炭素化する焼成工程に適用することができる。この場合、前駆体は成形体となる。
ピッチは、液相炭素化する物質であり、加熱工程の前は粘着力を有して、焼成工程では粘結性を有している。このため、成形工程で骨材同士を結合し、焼成工程で炭素化されながら骨材同士の結合を維持することができる。焼成工程では、骨材を結びつけるピッチは縮合し、温度上昇と共に高分子量化していく。黒鉛化工程では、ピッチは高粘度の液体状態を維持し骨材をつなぎ止めたまま炭素化が進行する。
ピッチは、液相炭素化する物質であり、加熱工程の前は粘着力を有して、焼成工程では粘結性を有している。このため、成形工程で骨材同士を結合し、焼成工程で炭素化されながら骨材同士の結合を維持することができる。焼成工程では、骨材を結びつけるピッチは縮合し、温度上昇と共に高分子量化していく。黒鉛化工程では、ピッチは高粘度の液体状態を維持し骨材をつなぎ止めたまま炭素化が進行する。
本発明の黒鉛材料の製造方法の焼成工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することを特徴とする。複数の組合せステップが繰り返し行われることによって、前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ速やかに昇温させる段階が、焼成工程の低温域から高温域にかけて偏ることなく分散して行われるので、効率良く加熱することができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の焼成工程は、200〜500℃の範囲を通過する組合せステップに平均昇温速度の極小値を有することが望ましい。
本発明の黒鉛材料の製造方法のピッチは、混練工程で、低温で分解する成分は除かれているので加熱すると200〜500℃の温度域で大きく重量が減少する。この範囲は前駆体である成形体の重量減少に伴って成形体の収縮も大きくなる。200〜500℃の範囲は、ピッチを用いた前駆体が割れやすい温度域である。このため200〜500℃の範囲を通過する組合せステップに平均昇温速度の極小値を有し、この温度域をゆっくり焼成することが望ましい。
本明細書において、組合せステップの平均昇温速度は、経過時間の区間毎に定義されるので離散値となる。極小値とは、このような離散値においてはその前後のいずれの数値よりも低いことを示す。
本発明の黒鉛材料の製造方法のピッチは、混練工程で、低温で分解する成分は除かれているので加熱すると200〜500℃の温度域で大きく重量が減少する。この範囲は前駆体である成形体の重量減少に伴って成形体の収縮も大きくなる。200〜500℃の範囲は、ピッチを用いた前駆体が割れやすい温度域である。このため200〜500℃の範囲を通過する組合せステップに平均昇温速度の極小値を有し、この温度域をゆっくり焼成することが望ましい。
本明細書において、組合せステップの平均昇温速度は、経過時間の区間毎に定義されるので離散値となる。極小値とは、このような離散値においてはその前後のいずれの数値よりも低いことを示す。
本発明の黒鉛材料の製造方法は、炭素系バインダは炭素化したピッチであって、前記加熱工程は、前駆体を黒鉛化する黒鉛化工程に適用することができる。この場合、前駆体は焼成体となる。
ピッチは、液相炭素化する物質であり、焼成工程の前の段階は粘着力を有している。ピッチは焼成工程を経ることによって、液化しながら骨材同士の結合を維持する。焼成工程を経た前駆体(焼成体)は、炭素化したピッチによって結合している。本発明の製造方法の黒鉛化工程では、前駆体が焼成工程で加えられた焼成温度に達すると、炭素系バインダが軟化し粘性を有するようになる。このため黒鉛化工程においても、ピッチは高粘度の液体状態を維持し骨材をつなぎ止めたまま加熱され炭化が進行する。
本明細書において、焼成温度とは、焼成工程で加えられた最も高い温度のことである。
ピッチは、液相炭素化する物質であり、焼成工程の前の段階は粘着力を有している。ピッチは焼成工程を経ることによって、液化しながら骨材同士の結合を維持する。焼成工程を経た前駆体(焼成体)は、炭素化したピッチによって結合している。本発明の製造方法の黒鉛化工程では、前駆体が焼成工程で加えられた焼成温度に達すると、炭素系バインダが軟化し粘性を有するようになる。このため黒鉛化工程においても、ピッチは高粘度の液体状態を維持し骨材をつなぎ止めたまま加熱され炭化が進行する。
本明細書において、焼成温度とは、焼成工程で加えられた最も高い温度のことである。
本発明の黒鉛材料の製造方法の黒鉛化工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することを特徴とする。複数の組合せステップが繰り返し行われることによって、前駆体の表面と中心部に温度差を生成させ速やかに昇温させる段階が、黒鉛化工程の低温域から高温域にかけて偏ることなく分散して行われるので、効率良く加熱することができる。
本発明の黒鉛材料の製造方法の焼成工程と黒鉛化工程とは、いずれも加熱工程の一つであることについては同一である。焼成工程は、前駆体が成形体であって焼成体を得る工程であり、黒鉛化工程は、前駆体が焼成体であって黒鉛材料を得る工程であることが異なるが、いずれも本発明の製造方法を同様に適用することができる。本発明の製造方法を黒鉛化工程に適用する場合、焼成工程での焼成温度は、特に限定されない。前工程の焼成工程で炭素系バインダが炭素化し始めていれば良く、例えば、焼成工程での焼成温度は600〜1000℃である。焼成温度が600℃以上であると、炭素系バインダを充分に熱分解させることができるので、黒鉛化工程で熱分解ガスが発生しにくく、黒鉛化炉で用いる断熱材に付着し断熱性を低下させることを防ぐことができる。焼成温度が1200℃以下であると、炭素系バインダの炭化物は炭素系骨材と比較し炭素化が不十分であるので、炭素系バインダは加熱された状態では粘性を有していると考えられ、本発明の製造方法を好適に利用することができる。
以下に、本発明の黒鉛材料の製造方法について実施例及び比較例を用いて説明する。実施例及び比較例は、同等の成形体を用い、加熱工程である焼成工程において昇温パターンが異なるのみである。図2は、本発明の黒鉛材料の製造方法の実施例及び比較例の昇温パターンを示す。
石炭系コークスを粉砕し、得られた粉砕コークスをバインダをと共に混練する。石炭系コークスのメジアン径は13μm、バインダは軟化点80℃の石炭系ピッチである。それらの比率はコークス100重量部に対し、バインダ55重量部である。
混練して得られた混練体を粉砕し成形原料を得る。成形原料のメジアン径は25μmである。成形原料を成形容器に充填し、CIP(Cold Isostatic Press)成形装置を用い成形する。成形の圧力は100MPaである。
このようにして成形体を得ることができる。得られた成形体の大きさは約600×500×150mmである。加熱工程では、成形体を焼成缶に詰めガス炉で焼成する。
混練して得られた混練体を粉砕し成形原料を得る。成形原料のメジアン径は25μmである。成形原料を成形容器に充填し、CIP(Cold Isostatic Press)成形装置を用い成形する。成形の圧力は100MPaである。
このようにして成形体を得ることができる。得られた成形体の大きさは約600×500×150mmである。加熱工程では、成形体を焼成缶に詰めガス炉で焼成する。
加熱工程は、表2の昇温プログラムに従って焼成を行う。加熱工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる組合せステップを11回繰り返す昇温プロクラムである。組合せステップの平均昇温速度αkは、300〜350℃及び350〜400℃の範囲で1.21℃/hrとなっており、極小値となっている。また、この昇温プログラムの開始から終了までの時間は387時間である。表中のNoは、昇温ステップ、保持ステップ、繰り返しステップがそれぞれ11回繰り返されるので、その順に対応する。
加熱工程での割れ不良率は1.11%であった。
得たれた焼成体を黒鉛化することによって黒鉛材料を得ることができる。
加熱工程での割れ不良率は1.11%であった。
得たれた焼成体を黒鉛化することによって黒鉛材料を得ることができる。
(比較例)
実施例と同様に成形体を得た後、加熱工程では、実施例と同様に成形体を焼成缶に詰めガス炉で焼成する。
加熱工程は、表3の昇温プログラムに従って焼成を行った。加熱工程の初回の昇温ステップの直後に保持ステップがあるが、それ以降は、昇温ステップのみで構成され、昇温ステップと保持ステップとからなる組合せステップは繰り返されていない。なお、初回の昇温ステップの直後に保持ステップがあるのは以下の理由による。
実施例と同様に成形体を得た後、加熱工程では、実施例と同様に成形体を焼成缶に詰めガス炉で焼成する。
加熱工程は、表3の昇温プログラムに従って焼成を行った。加熱工程の初回の昇温ステップの直後に保持ステップがあるが、それ以降は、昇温ステップのみで構成され、昇温ステップと保持ステップとからなる組合せステップは繰り返されていない。なお、初回の昇温ステップの直後に保持ステップがあるのは以下の理由による。
焼成炉は、燃焼炉であるので、燃焼を維持し続けるためには一定量の燃料ガスを燃焼させなければならない。このため低温時は温度が急速に上昇しやすくなる。このため最初の昇温ステップは炉内の温度が安定せず、最初の昇温ステップの後に保持ステップを加えることによって焼成炉内の温度を一定にした後、順に昇温するようにする。
このため、本比較例では、最初の昇温ステップの後に保持ステップが続き、一単位の組合せステップがあるが、1回のみであり組合せステップは繰り返されていない。この昇温プログラムの開始から終了までの時間は383時間である。表中のNoは、昇温ステップが8回繰り返されるのでその順に対応する。
このため、本比較例では、最初の昇温ステップの後に保持ステップが続き、一単位の組合せステップがあるが、1回のみであり組合せステップは繰り返されていない。この昇温プログラムの開始から終了までの時間は383時間である。表中のNoは、昇温ステップが8回繰り返されるのでその順に対応する。
加熱工程での割れ不良率は4.22%であった。
得たれた焼成体を黒鉛化することによって黒鉛材料を得ることができる。
得たれた焼成体を黒鉛化することによって黒鉛材料を得ることができる。
実施例と比較例とは、昇温プログラムの開始から終了までの時間は同等であり、開始温度及び終了温度は同じである。実施例及び比較例ではこの間を滑らかにつなぐように昇温プログラムが形成されている。比較例に対して、実施例は、保持ステップが昇温ステップの間に交互に挿入されることによって昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップが繰り返されていることが主な相違点である。
比較例では、割れ不良率が4.22%であったのに対し、実施例では割れ不良率が1.11%と大幅に低くなっていることが確認された。
以上より、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップが繰り返すことによって、前駆体(成形体)が割れにくくなることが確認された。このため、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップが繰り返すことによって加熱工程のサイクルタイムをより短くすることができる。
比較例では、割れ不良率が4.22%であったのに対し、実施例では割れ不良率が1.11%と大幅に低くなっていることが確認された。
以上より、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップが繰り返すことによって、前駆体(成形体)が割れにくくなることが確認された。このため、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップが繰り返すことによって加熱工程のサイクルタイムをより短くすることができる。
Claims (6)
- 炭素系骨材と、炭素系バインダと、からなる前駆体を加熱する加熱工程からなる黒鉛材料の製造方法において、
該加熱工程は、昇温ステップと保持ステップとからなる複数の組合せステップに従って繰り返し制御され昇温することを特徴とする黒鉛材料の製造方法。 - 前記加熱工程を構成する任意の昇温ステップの昇温速度αiは、該昇温ステップが含まれる組合せステップの平均昇温速度αkの1.2〜1.6倍であることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛材料の製造方法。
- 前記加熱工程を構成する任意の組合せステップの平均昇温速度αkと、
該組合せステップを構成する昇温ステップの昇温速度αiと、
該組合せステップを構成する昇温ステップの所要時間tiと、
で以下に定義される該組合せステップにおける第1の温度差Δθkは、5〜40℃であることを特徴とする請求項2に記載の黒鉛材料の製造方法。
Δθk=(αi−αk)ti - 前記炭素系バインダはピッチであって、前記加熱工程は、前記前駆体を炭素化する焼成工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の黒鉛材料の製造方法。
- 前記焼成工程は200〜500℃の範囲を通過する組合せステップに平均昇温速度の極小値を有することを特徴とする請求項4に記載の黒鉛材料の製造方法。
- 前記炭素系バインダは炭素化したピッチであって、前記加熱工程は、前記前駆体を黒鉛化する黒鉛化工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の黒鉛材料の製造方法。
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US7862897B2 (en) * | 2006-01-27 | 2011-01-04 | Carbon Ceramics Company, Llc | Biphasic nanoporous vitreous carbon material and method of making the same |
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- 2014-03-28 KR KR1020140036612A patent/KR101586142B1/ko active IP Right Grant
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