JP2014201239A - 全方向移動車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の一対のベルト機構を同期駆動させるための動力伝達機構を廃止し、床面等からの反力を受けてもフリーローラをスムースに移動できる全方向移動車両を提供する。
【解決手段】基台の底面に直線移動方向を異ならせた4組のクローラ1を備え、各クローラは、一対のフリーローラ6と一対の無限軌道駆動軸20,21とガイド溝17を有し且つ無限軌道体30を挟むように並設される一対のガイド板4A,4Bと複数の保持部材8とフリーローラ支持軸7と2つのフリーローラと一対のガイドローラとから構成される。ガイド溝は、無限軌道体の軌道面の平面と平行であり、その直線部が無限軌道体の直線部と平行で、対応する位置の変位量が所定量だけずれて設置される。複数の保持部材は、保持部材軸の周りに回動自在に保持され、一対のガイドローラは、所定量だけずれた軸周りに回動自在に設けられ、その支持軸を常に無限軌道体の直線部軌道と平行に保つ。
【選択図】図1

Description

本発明は、前後・左右・斜め方向その他任意の方向への直線移動或いは曲線移動、又は、その場所での時計方向若しくは反時計方向への回転運動を任意に行うことができる全方向移動車両に関する。
工場、倉庫、病院等のように行動可能範囲の限られる場所で作業する車両においては、狭い床面上を任意の方向に自由に動き回ることができ、且つ、切り返し運転によらずに目的の場所に正確に位置付けされるようにする高度の運動性能が要求される。
一般的な車両である2個の操舵輪と2個の駆動輪を有する自動車にあっては、例えば、縦列駐車を行うためには、一回又は二回以上の切り返し運転操作が必要となる。このように、その場所における回転運動や横方向への移動が行えない自動車のような一般的な車両においては、その運動能力に限界があり、工場内等における運搬車として十分に機能を発揮させることができなかった。このため、平面上で前後・左右方向への走行運動と、その場所での回転運動とを自由に行うことができる車両(以下、「全方向移動車両」という。)の開発が要望される。
従来の、この種の全方向移動車両としては、例えば、本願発明の発明者が先に発明して特許出願したもので、特許文献1に記載されているようなものがある。
特開平7−17442号
特許文献1には、基台の底面に、それぞれ直線移動方向を異ならせて少なくとも3組のクローラを設け、このクローラそれぞれの直線方向の移動量を制御することによって、基台が特定される方向さらには特定される方位に回転できるようにしてなる全方向移動車両が記載されている。この全方向移動車両の各クローラはそれぞれ、それぞれ円筒状のフリーローラを回転自在に支持した複数の支持部材と、この複数の支持部材をフリーローラそれぞれの回転軸が一致する方向に駆動されるようにした、それぞれ無限軌道状に平行に設定される一対のベルト機構と、を備えていることを特徴としている。
しかしながら、特許文献1に記載された全方向移動車両においては、3組のクローラが複数の円筒状のフリーローラをそれと同数の支持部材でそれぞれ回転自在に支持する構成となっている。各支持部材は、フリーローラを回転自在に支持する軸部と、その軸部を両端支持すると共に当該フリーローラの外側を囲うように設けた四角形の枠体とからなっている。支持部材の枠体には、その対角線方向の両側であってベルト機構の移動方向の前後に位置する対角位置に一対の支持軸を設けており、その一対の支持軸によって各支持部材が一対のベルト機構に軸支されている。
一対のベルト機構は互いに同期させて駆動する必要があることから、一対のベルト機構間において一対の支持軸間の前後変位量に応じた動力伝達機構が必要となり、動力伝達機構が複雑なものとなっていた。また、各クローラの床面等の載置面に接触するフリーローラには床面等から反力が作用するため、その反力を受けるための受圧機構が必要になり、その受圧機構が複雑なものになっているばかりでなく、その受圧機構によってフリーローラの滑らかな移動が阻害されているという問題があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、一対の無限軌道体を平行に配置できるようにして従来の一対のベルト機構を同期駆動させるための動力伝達機構を廃止すると共に、床面等からの反力を受けてもフリーローラをスムースに移動させることができる全方向移動車両を提供することを目的としている。
本発明の全方向移動車両は、基台の底面に、それぞれ直線移動方向を異ならせて配置された少なくとも3組のクローラを備えており、少なくとも3組のクローラのそれぞれの直線方向の移動量を制御することにより、基台を特定される方向に移動させ、又は、特定される方位に回転できるように構成されている。各クローラはそれぞれ、無限軌道体と、この無限軌道体を回転駆動する一対の無限軌道駆動軸と、無限軌道体の軌道形状と同じ軌道形状を有するガイド溝を有して無限軌道体を挟むように並設される一対のガイド板と、複数の保持部材と、複数の保持部材にそれぞれ取り付けられるフリーローラ支持軸と、このフリーローラ支持軸に回転自在に取り付けられる一又は二以上のフリーローラと、複数の保持部材にそれぞれ取り付けられる一対のガイドローラと、から構成されている。一対のガイド板のガイド溝は、無限軌道体の軌道面が構成する平面と平行であり、かつ、そのガイド溝の直線部が無限軌道体の直線部と平行であり、さらにガイド溝と無限軌道のそれぞれ対応する位置の変位量が所定量だけずれたように設置されている。また、複数の保持部材は、無限軌道体に対して一定間隔に、その無限軌道体に対して一対の無限軌道駆動軸と平行に設けられる保持部材軸の周りに回動自在に保持される。さらに、複数の保持部材に取り付けられた一対のガイドローラは、それぞれ保持部材軸と平行で所定量だけずれた軸周りに回動自在に設けられている。そして、一対のガイドローラは、一対のガイド板のガイド溝にそれぞれ嵌挿される、という構成によって、複数のフリーローラのフリーローラ支持軸を常に無限軌道体の直線部軌道と平行に保つようにした。
各保持部材は、フリーローラ支持軸の軸方向と直交する方向に延在された一対のクランク軸部を有し、一対のクランク軸部のそれぞれの先端に、無限軌道体の直線部移動方向の前後に位置されると共に一対のガイド溝に移動可能に係合される一対のガイドローラを設ける構成にするとよい。
また、一対のガイドローラの変位量は、無限軌道体の直線部移動方向の前後に一対のクランク軸部を30度乃至330度の角度範囲内で設定した所定角度を設けることにより形成した。
本発明によれば、無限軌道体と一対のガイド板を平行に配置してフリーローラの駆動機構の簡略化を図ると共に、ガイドローラが嵌挿されるガイド溝を有するガイド板によって床面等からの反力を受けることができるようにしてフリーローラをスムースに移動させることができる全方向移動車両を提供することができる。
本発明の全方向移動車両に適用されるクローラの第1の実施例を斜め上方から見た斜視図である。 図1に示すクローラを分解して斜め上方から見た斜視図である。 図1に示すクローラの平面図である。 図1に示すクローラの左側面図である。 図1に示すクローラの正面図である。 図1に示すクローラの右側面図である。 図3に示すE−E線部分の断面図である。 図3に示すF−F線部分の断面図である。 図1に示すクローラに適用されるフリーローラ組立体の第1の実施例の一部を断面して斜め上方から見た分解斜視図である。 図9に示すフリーローラ組立体の組立状態を斜め上方から見た斜視図である。 図10に示すフリーローラ組立体の正面図である。 図10に示すフリーローラ組立体のフリーローラを想像線で表した側面図である。 図10に示すフリーローラ組立体の一部を断面した平面図である。 図1に示すフリーローラ組立体の第2の実施例を斜め上方から見た斜視図である。 図14に示すフリーローラ組立体のフリーローラを想像線で表した側面図である。 図1に示すフリーローラ組立体の第3の実施例を斜め上方から見た斜視図である。 図16に示すフリーローラ組立体のフリーローラを想像線で表した側面図である。 図1のクローラに適用されるガイド板を示すもので、同図Aは斜め上方から見た斜視図、同図Bは正面図、同図Cは平面図である。 図18のガイド板に適用された張力調整部材を示すもので、同図Aは正面側から見た斜視図、同図Bは背面側から見た斜視図、同図Cは平面図である。 本発明に係る全方向移動車両の第1の実施例を斜め上方から見た斜視図である。 図20に示す全方向移動車両の平面図である。 図20に示す全方向移動車両の正面図である。 本発明の第1の実施例に係る4組のクローラを備えた全方向移動車両の動作を説明する説明図である。 本発明の第2の実施例に係る3組のクローラを備えた全方向移動車両の動作を説明する説明図である。
以下に、図1乃至図24を参照して、本発明の全方向移動車両の例を説明する。図1乃至図23に示す実施例は、4組のクローラを用いて全方向移動車両を構成した例について説明したものである。しかしながら、本発明の全方向移動車両は、少なくとも3組のクローラを用いて構成することができ、図24は、3組のクローラを用いて構成した全方向移動車両の動作を説明するものである。
本発明の全方向移動車両の第1の実施例について、図1乃至図22を参照して説明する。図20〜図22に示すように、本発明の第1の実施例に係る全方向移動車両100は、4組のクローラ1(1A〜1D)を組み合わせることによって構成されている。
まず、全方向移動車両100を構成するクローラ1(1A〜1D)について、図1〜図19を参照して説明する。1組のクローラ1は、図1〜図8に示すように、複数のフリーローラ組立体2(本実施例では14個)と、これらのフリーローラ組立体2を無限軌道状に移動させるチェーンによって適用された無限軌道体機構3と、2枚で一対をなすガイド板4(4A,4B)等を備えて構成されている。
フリーローラ組立体2は、図9〜図13に示すように、2個のフリーローラ6,6と、これらのフリーローラ6,6を回転自在に支持するフリーローラ支持軸7と、このフリーローラ支持軸7を特定方向に移動されるように保持する保持部材の一具体例を示す一対のクランク軸8,8と、この一対のクランク軸8,8を固定支持する2枚の軸受板9A,9B等によって構成されている。
2個のフリーローラ6,6は、同一の構造及び形状を有する車両用車輪であって、具体的には、フリーローラ支持軸7に回転自在に嵌め込まれるリング状をなすホイール6aと、このホイール6aの外周縁に一体的に設けられたリング状をなすタイヤ6bとからなっている。フリーローラ支持軸7は、適当な長さを有する円筒状の軸体からなり、その軸方向の両端部には、それぞれフリーローラ6の抜け出しを防止するための止め輪11が嵌合される環状溝7aが設けられている。
各クランク軸8,8は、保持部材軸8a及びガイドローラ軸8bと、これら保持部材軸8a及びガイドローラ軸8bを連結する連結片8cとを有している。保持部材軸8a及びガイドローラ軸8bは、互いに平行をなすと共に所定の距離を隔てて連結片8cに片持ち梁状に固定支持されており、保持部材軸8aは連結片8cの一面から一側に突出され、ガイドローラ軸8bは連結片8cの他面から他側に突出されている。そして、各ガイドローラ軸8bの突出部にガイドローラ12がそれぞれ回転自在に支持されている。
即ち、保持部材である一対のクランク軸8,8は、一対の無限軌道体30,30に対して一定間隔に、その無限軌道体30に対して一対の無限軌道駆動軸20,21と平行に設けられる一対の保持部材軸8a,8aの周りに回動自在に保持されている。さらに、一対のクランク軸8,8に取り付けられた一対のガイドローラ12,12は、それぞれ保持部材軸8aと平行で所定量だけずれた軸周りに回動自在に設けられている。そして、一対のガイドローラ12,12は、一対のガイド板4A,4Bの各ガイド溝17,17にそれぞれ嵌挿される。これにより、複数のフリーローラ6,6の各フリーローラ支持軸7を常に無限軌道体30の直線部軌道と平行に保つことができる。尚、無限軌道体30は、一対を用いることなく1個のみであってもよい。
2枚の軸受板9A,9Bは、一対のクランク軸8,8を固定支持するための長方形に形成された板材からなり、フリーローラ支持軸7の軸方向の中央部に対向設置された状態で取り付けられる。そのため、2枚の軸受板9A,9Bの略中央部には、フリーローラ支持軸7が貫通される貫通穴がそれぞれ設けられている。更に、2枚の軸受板9A,9Bの対向する面には、保持部材軸8aを挟持できるようにその外形に見合う形状を有する断面形状が略半円形をなす挟持溝9aがそれぞれ設けられている。そして、第1の軸受板9Aの貫通穴より外側には2枚の軸受板9A,9Bをネジ止めするための挿通孔13aがそれぞれ設けられ、第2の軸受板9Bの貫通穴より外側には2枚の軸受板9A,9Bをネジ止めするためのネジ孔13bがそれぞれ設けられている。
これらの構成部材を有するフリーローラ組立体2は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、互いの挟持溝9a,9aを対向させた状態の2枚の軸受板9A,9Bの貫通穴にフリーローラ支持軸7を貫通させる。次に、2つの挟持溝9a,9aによって略円形とされた2つの円筒状の空間部に各クランク軸8の保持部材軸8aをそれぞれ挿入し、2枚の軸受板9A,9Bで各クランク軸8のガイドローラ12と反対側の端部を挟持する。そして、固定ネジ14のネジ軸部を第1の軸受片9Aの挿通孔13aに貫通し、そのネジ軸部の先端部を第2の軸受片9Bのネジ孔13bに螺合して、固定ネジ14を締め込むことにより2枚の軸受板9A,9Bで一対のクランク軸8A,8Bを締め付けて固定する。
次に、フリーローラ支持軸7の軸方向の一方の突出部に一方のフリーローラ6のホイール6aの穴を挿通すると共に、他方の突出部に他方のフリーローラ6のホイール6aの穴を挿通し、両フリーローラ6,6をそれぞれ回転自在に支持する。そして、フリーローラ支持軸7の両端部に設けた環状溝7a,7aに止め輪11をそれぞれ嵌め合わせ、2個の止め輪11,11によって各フリーローラ6,6がフリーローラ支持軸7から抜け出すのを防止する。これにより、フリーローラ組立体2の組立作業が完了する。
この組立時において、一対のクランク軸8,8は、フリーローラ支持軸7の軸方向の前後に互いに逆位置となるように傾きを設けて固定する。即ち図12等に示すように、一方のクランク軸8を、そのガイドローラ12が対応する一方のフリーローラ6側へ向くように所定角度θ1に傾斜させると共に、他方のクランク軸8を、そのガイドローラ12が対応する他方のフリーローラ6側へ向くように所定角度θ2に傾斜させる。この実施例では、各クランク軸8,8の傾斜角度θ1,θ2は、フリーローラ支持軸7の軸心線と直交する方向に対して、それぞれ45度(θ1=45度、θ2=45度)の角度(合計90度)に設定されている。
このように一対のクランク軸8,8をフリーローラ支持軸7の軸方向の前後に互いに逆位置となるように傾けて傾斜角度θ1,θ2を設定した理由は、フリーローラ支持軸7を、その軸心線が床や地面等の車両載置面に対して平行を保持して移動し得るようにするためである。この一対のクランク軸8,8の傾斜角度θ(=θ1+θ2)は、30度から330度の範囲内が好適であり、最も好ましい範囲は60度から300度の範囲である。傾斜角度θが30度以上であれば、車両載置面に対するフリーローラ支持軸7の平行性を確保してフリーローラ組立体2を移動することができる。この傾斜角度θが60度以上であれば、この効果がより顕著なものとなる。また、傾斜角度θが330度以下であれば、フリーローラ支持軸7を平行に保持しつつフリーローラ組立体2のスムースな移動を確保することができる。この傾斜角度θが300度以下であれば、この効果がより顕著なものとなる。
図14及び図15は、傾斜角度θを60度(θ1=30度+θ2=30度)としたフリーローラ組立体2Aを示すものである。また、図16及び図17は、傾斜角度θを180度(θ1=90度+θ2=90度)としたフリーローラ組立体2Bを示すものである。これらのフリーローラ組立体2A,2Bにおいて、これらの実施例が第1の実施例に係るフリーローラ組立体2と異なるところは、一対のクランク軸8,8の傾斜角度θが異なる点だけであって、全ての構成部品は同一のものである。そのため、各フリーローラ組立体2A,2Bにおいて、フリーローラ組立体2と同一部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
2枚のガイド板4A,4Bは、左右対称形状をなしており、図18A〜18Cに示すように、それぞれ2枚のガイド片4a,4bと、両ガイド片4a,4b間に介在された張力調整部材15によって構成されている。2枚のガイド片4a,4bは、適当な幅と厚さを有する横長の長方形板材からなり、互いの長手方向を一致させると共に張力調整部材15を介して同一平面上に連結することによって各ガイド板4A,4Bがそれぞれ一体的に構成されている。
各ガイド板4A,4Bの一面には、全てのフリーローラ組立体2の対応する側に設置されたガイドローラ12が挿入されるガイド溝17がそれぞれ設けられている。各ガイド溝17,17は、各ガイド板4A,4Bの長手方向に平行に延在された2箇所の直線部17a,17aと、両直線部17a,17aの対向する両端間を円弧状に連結する2箇所の曲線部17b,17bとからなっている。ガイド溝17の断面形状は四角形とされていて、ガイドローラ12を支えるのに十分な深さと、そのガイドローラ12をガイドしてスムースに移動できる幅を有している。
一対のガイド溝17,17は、無限軌道体30の軌道面が構成する平面と平行であり、かつ、そのガイド溝の両直線部17a,17aが無限軌道体30の直線部と平行であり、さらにそのガイド溝17と無限軌道のそれぞれ対応する位置の変位量が所定量だけずれたように設定されている。即ち、一対のガイド板4A,4Bを対向させた状態において、その長手方向に所定のオフセット(変位)が形成されるように設けられている。このオフセットは、フリーローラ組立体2の一対のクランク軸8,8をフリーローラ支持軸7の軸方向の前後に傾けることにより一対のガイドローラ12,12間においてフリーローラ支持軸7の軸方向に所定の離間距離を設定したことに対応させて設けたものである。このように一対のガイド溝17,17間において無限軌道体30の走行方向へ所定のオフセットを設定することにより、一対の無限軌道体30,30の走行方向に対してフリーローラ支持軸7の軸方向を直角に保持してフリーローラ組立体2を走行させることが可能となる。
更に、第1のガイド片4aの曲線部17bを形成する曲率半径の中心部には、一対の無限軌道駆動軸のうちの第1の無限軌道駆動軸20を回転自在に支持するための軸受孔22aが設けられている。そして、第2のガイド片4bの曲線部17bを形成する曲率半径の中心部には、一対の無限軌道駆動軸のうちの第2の無限軌道駆動軸21を回転自在に支持するための軸受孔22bが設けられている。また、各ガイド片4a,4bの長手方向の一側であって曲線部17bのある側と反対側の端部には、各ガイド板4A,4Bの長手方向の長さを調整するための張力調整部材15と嵌合するための傾斜部18がそれぞれ設けられている。各傾斜部18,18は、この実施例では、各ガイド片4a,4bのガイド溝17が設けられている面に対して45度の角度をなすように形成されている。
図19A〜19Cに示すように、張力調整部材15は、無限軌道体機構3の張力を調整するためのもので、左右対称形状をなす2つの調整片15a,15bと、両調整片15a,15b間に介在されるスペーサ15cとからなっている。各調整片15a,15bは、断面形状が直角三角形をなす三角柱状の本体部23aと、この本体部23aの直交する二辺のうちの一方に連続して形成されたフランジ部23bとを有している。各フランジ部23bには、張力調整部材15をガイド板4A,4Bにネジ止めするための複数の挿通孔24がそれぞれ設けられている。
また、各調整片15a,15bの直交する二辺のうちの他方の辺には、フランジ部23bが展開する方向と平行をなす方向に延在された一対のガイド溝25,25が設けられている。一対のガイド溝25,25は、一対のガイド板4A,4Bに設けた各ガイド溝17の一対の直線部17a,17aと対応する位置において同一の幅に設定されており、ガイドローラ12がスムースに通過できるように構成されている。更に、第1の調整片15a及び第2の調整片15bの直交する二辺のうちの他方の辺には,それぞれ複数の挿通孔を設けている。
スペーサ15cは、各ガイド板4A,4Bの長手方向の長さを調整するもので、その厚みを増減させ、或いは、その数を増減させることによって各ガイド板4A,4Bの長手方向の長さを調整することができる。このスペーサ15cは、調整片15a,15bの直交する二辺のうちの他方の辺の形状と同様の形状を有しており、それらに設けたガイド溝25と対応する位置に同様の形状及び大きさを有するガイド溝26が設けられている。
更に、スペーサ15cには、両調整片15a,15bに設けた複数の挿通孔と対応する位置に、これらと同数の挿通孔が設けられている。これらの挿通孔に止めネジ27aのネジ軸を貫通させ、そのネジ軸の先端にナット27bを螺合させて締め付けることにより、止めネジ27a及びナット27bを介して一対の調整片15a,15bとスペーサ15cとが締付固定され、これにより張力調整部材15が一体的に構成される。この張力調整部材15が、一対のガイド片4a,4bのガイド溝17側に各ガイド溝25,26を臨ませた状態で介在される。そして、張力調整部材15の各フランジ部23bに設けた挿通孔24にネジ軸部を挿通させた固定ネジで複数箇所を締付固定することにより、張力調整部材15を介して一対のガイド片4a,4bが連結され、ガイド板4A,4Bがそれぞれ一体的に構成される。
無限軌道体機構3は、第1の無限軌道駆動軸20及び第2の無電軌道駆動軸21と、一対をなす2個の無限軌道体30,30と、2個の駆動スプロケット31,31と、2個の従動スプロケット32,32と、駆動モータ33と、カップリング34等を備えて構成されている。第1の無限軌道駆動軸20には2個の駆動スプロケット31,31が固定されており、第1の無限軌道駆動軸20と一体に回転駆動される。また、第2の無限軌道駆動軸21には2個の従動スプロケット32,32が固定されており、第2の無限軌道駆動軸21と一体に回転駆動される。第1の無限軌道駆動軸20は、所定間隔あけて対向設置された一対のガイド板4A,4Bのそれぞれの軸受孔22aに回転自在に支持され、第2の無限軌道駆動軸21は、それぞれの軸受孔22bに回転自在に支持されている。
駆動スプロケット31と従動スプロケット32はそれぞれ対をなしており、対をなす駆動スプロケット31と従動スプロケット32にはそれぞれ無限軌道体30が架け渡されている。一対の無限軌道体30,30は、所定の間隔をあけて横並びに配置されている。この一対の無限軌道体30,30間に複数(本実施例では14個)のフリーローラ組立体2が、当該無限軌道体30,30の走行方向へ移動可能に配置されている。
それぞれのフリーローラ組立体2は、一対のクランク軸8,8を一対の無限軌道体30,30に個別に掛け止めることによって一体的に走行可能に構成されている。即ち、フリーローラ組立体2は、無限軌道体30を構成している連結片と連結片の間をつなぐ連結部に形成された穴にそれぞれのクランク軸8の保持部材軸8aを貫通させることによって連結されている。そして、一対の無限軌道体30,30のそれぞれ外側に突出された一対のガイドローラ12,12を一対のガイド板4A,4Bのガイド溝17,17に挿入することにより、複数のフリーローラ組立体2が一対のガイド板4A,4Bに移動可能に両端支持されている。
このように支持される複数のフリーローラ組立体2が、無限軌道体30,30の周方向へ所定間隔をあけて等間隔に配置されている。これにより、一対のクランク軸8,8において一対のガイドローラ12,12を、無限軌道体30,30の移動方向の前後に異ならせて配置したため、複数のフリーローラ6のそれぞれのフリーローラ支持軸7が一致する方向へ移動させることができる。
第1の無限軌道駆動軸20の一端は、第1のガイド板4Aを貫通してガイド溝17のある面と反対側に突出されており、第1の無限軌道駆動軸20の突出部と駆動モータ33の回転軸とがカップリング34によって動力伝達可能に連結されている。駆動モータ33は、その回転軸を横方向へ向けた状態でモータブラケット35に固定されている。そして、モータブラケット35は、第1のガイド板4Aから側方へ突出するように形成されたモータベース36に載置されて第1のガイド板4Aと一体的に構成されている。
図1及び図2に示す符号37は、一対のガイド板4A,4Bの長手方向の開口部を閉じる閉じ板である。また、符号38は、一対のガイド板4A,4Bの上面の開口部を閉じる上面板である。この上面板38を介してクローラ1が、図示しない基台の下面に固定される。しかしながら、上面板38を用いることなく一対のガイド板4A,4Bを、図示しない基台の下面に直接固定する構成とできることは勿論である。
このような構成を有するクローラ1の動作は、次のようなものである。無限軌道体機構3の駆動モータ33を駆動すると、その回転軸の回転力がカップリング34を介して第1の無限軌道駆動軸20に伝達され、第1の無限軌道駆動軸20に固定された一対の駆動スプロケット31,31が一体的に回転駆動される。これにより、2個の駆動スプロケット31,31と2個の従動スプロケット32,32との間に架け渡された一対の無限軌道体30,30を介して複数のフリーローラ組立体2が、一対のガイド板4A,4Bに設けたガイド溝17,17にガイドされてそれぞれ無限軌道状に走行される。
この場合、各フリーローラ組立体2の一対のフリーローラ6,6を回転自在に支持するフリーローラ支持軸7が、それぞれの軸心線の方向を無限軌道体30の走行方向と一致させると共にその姿勢を保持して平行移動するように構成されている。そのため、フリーローラ支持軸7の軸心線と直交する方向に回転自在とされている一対のフリーローラ6,6は、その場で回転することなく、無限軌道体30と一体的に移動される。これにより、ガイド溝17の下側の直線部17a,17aに移動したフリーローラ6,6が載置面に接触し、その載置面との間で摩擦力を発生して複数のフリーローラ組立体2のフリーローラ6,6が載置面上を走行する。その結果、無限軌道体機構3による複数のフリーローラ組立体2の動作を介してクローラ1が無限軌道体30の走行方向へ移動される。
これに対して、フリーローラ6,6のフリーローラ支持軸7の軸心線がガイド溝17の直線部17aと平行をなすように設定されているため、フリーローラ支持軸7の軸心線と交差する方向から作用する外力によって各フリーローラ6,6が回転される。このフリーローラ支持軸7の軸心線と交差する方向から作用する外力でフリーローラ6,6が回転することにより、クローラ1を無限軌道体30の走行方向と交差する方向へ移動させることが可能となる。
図20乃至図22は、上述したような構成を有する4組のクローラ1A、1B,1C,1Dを使用して全方向移動車両を構成した第1の実施例を示すものである。この実施例で示す全方向移動車両100は、4個のクローラ1A〜1Dの互いの端部を連結させて四角形の枠体を構成し、その4組のクローラ1A〜1D(クローラ組立体)を、図示しない基台の下面に固定した状態を示すものである。図示しない基台は、クローラ組立体と同様の大きさの四角形若しくはその相似形としてもよく、又は、円形その他各種形状に形成することができる。
このような構成を有する全方向移動車両100の動作を次に説明する。図23は、全方向移動車両100の概略構成を示す平面図であり、符号CPは、全方向移動車両100の車両中心を示す。また、符号Lは、各クローラ1A〜1Dの走行中心線から垂直に測った車両中心CPまでの中心間距離である。従って、4組のクローラ1A〜1Dにおける中心間距離Lは同一である。
全方向移動車両100の運動(前進、後進、旋回など)が速度(Vx,Vy,ω)で行われるとき、第1〜第4のクローラ1A〜1Dの速度(V1,V2,V3,V4)は、それぞれ次のとおりである。
V1=Vy+Lω
V2=−Vx+Lω
V3=−Vy+Lω
V4=Vx+Lω
となる。
(1)全方向移動車両100がX1方向へ1の速度で移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=0(停止状態)
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=−1(X1方向へ1の速度)
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=0(停止状態)
第4のクローラ1Dの速度V4は、V4=1(X1方向へ1の速度)
となる。
即ち、第2のクローラ1Bと第4のクローラ1Dのみが同一速度で同一のX1方向へ駆動される。この際、停止状態となる第1のクローラ1Aと第3のクローラ1Cでは、それぞれの無限軌道体機構3,3の駆動方向に対して各フリーローラ組立体2のフリーローラ支持軸7の軸方向が直交する方向に設定されているため、それらのフリーローラ支持軸7を回転中心として各フリーローラ6,6がフリーな状態で回転されることから、それら回転体6,6の回転力が載置面に伝達されることがない。
(2)全方向移動車両100がX2方向へ1の速度で移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=0(停止状態)
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=1(X2方向へ1の速度)
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=0(停止状態)
第4のクローラ1Dの速度V4は、V4=−1(X2方向へ1の速度)
となる。
即ち、第2のクローラ1Bと第4のクローラ1Dのみが同一速度で同一のX2方向へ駆動される。この際、停止状態となる第1のクローラ1Aと第3のクローラ1Cでは、同様に、それぞれの無限軌道体機構3,3の駆動方向に対して各フリーローラ組立体2のフリーローラ支持軸7の軸方向が直交する方向に設定されているため、それらのフリーローラ支持軸7を回転中心として各フリーローラ6,6がフリーな状態で回転されることから、それら回転体6,6の回転力が載置面に伝達されることがない。
(3)全方向移動車両100がY1方向へ1の速度で移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=1(Y1方向へ1の速度)
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=0(停止状態)
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=−1(Y1方向へ1の速度)
第4のクローラ1Dの速度V4は、V4=0(停止状態)
となる。
即ち、第1のクローラ1Aと第3のクローラ1Cのみが同一速度で同一のY1方向へ駆動される。この際、停止状態となる第2のクローラ1Bと第4のクローラ1Dでは、それぞれの無限軌道体機構3,3の駆動方向に対して各フリーローラ組立体2のフリーローラ支持軸7の軸方向が直交する方向に設定されているため、それらのフリーローラ支持軸7を回転中心として各フリーローラ6,6がフリーな状態で回転されることから、それら回転体6,6の回転力が載置面に伝達されることがない。
(4)全方向移動車両100がY2方向へ1の速度で移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=−1(Y2方向へ1の速度)
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=0(停止状態)
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=1(Y2方向へ1の速度)
第4のクローラ1Dの速度V4は、V4=0(停止状態)
となる。
即ち、第1のクローラ1Aと第3のクローラ1Cのみが同一速度で同一のY2方向へ駆動される。この際、停止状態となる第2のクローラ1Bと第4のクローラ1Dでは、同様に、それぞれの無限軌道体機構3,3の駆動方向に対して各フリーローラ組立体2のフリーローラ支持軸7の軸方向が直交する方向に設定されているため、それらのフリーローラ支持軸7を回転中心として各フリーローラ6,6がフリーな状態で回転されることから、それらフリーローラ6,6の回転力が載置面に伝達されることがない。
(5)全方向移動車両100が車両中心CPを中心として反時計方向ωへ速度1/rで回転する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=1(Y1方向へ1の速度)
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=1(X2方向へ1の速度)
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=1(Y2方向へ1の速度)
第4のクローラ1Dの速度V4は、V4=1(X1方向へ1の速度)
となる。
即ち、第1のクローラ1Aから第4のクローラ1Dまでの4台すべてが反時計方向ωへ同一の速度1/rで駆動される。
(6)全方向移動車両100が車両中心CPを中心として時計方向へ速度1/rで回転する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=−1(Y2方向へ1の速度)
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=−1(X1方向へ1の速度)
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=−1(Y1方向へ1の速度)
第4のクローラ1Dの速度V4は、V4=−1(X2方向へ1の速度)
となる。
即ち、第1のクローラ1Aから第4のクローラ1Dまでの4台すべてが時計方向へ同一の速度1/rで駆動される。
(7)全方向移動車両100がX1軸と角度α(この実施例では60度)をなす方向(Vx、Vy)へ速度Vで移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=√3/2×V
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=−1/2×V=−1/√3×V1
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=−√3/2×V=−V1
第4のクローラ1Dの速度V4は、V4=1/2×V=1/√3×V1
となる。
ここで、V1=1とすると、
V1=1
V2=−1/√3
V3=−1
V4=1/√3
となる。
(8)全方向移動車両100がX1軸と角度α+180度(この実施例では240度)をなす方向へ速度Vで移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=−√3/2×V
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=1/2×V=1/√3×V1
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=√3/2×V=V1
第4のクローラ1Dの速度V4は、V4=−1/2×V=−1/√3×V1
となる。
ここで、V1=1とすると、
V1=−1
V2=1/√3
V3=1
V4=−1/√3
となる。
次に、3組のクローラ1A〜1Cを備えた全方向移動車両101の動作を説明する。図24は、全方向移動車両101の概略構成を示す平面図であり、符号CPは、全方向移動車両101の車両中心を示す。また、符号Lは、各クローラ1A〜1Dの走行中心線から垂直に測った車両中心CPまでの中心間距離である。従って、3組のクローラ1A〜1Cにおける中心間距離Lは同一である。
全方向移動車両101の運動(前進、後進、旋回など)が速度(Vx,Vy,ω)で行われるとき、第1〜第3のクローラ1A〜1Cの速度(V1,V2,V3)は、それぞれ次のとおりである。
V1=Vy+Lω
V2=−√3/2×Vx−1/2Vy+Lω
V3=√3/2×Vx−1/2×Vy+Lω
となる。
(1)全方向移動車両101がX1方向へ1の速度で移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=0(停止状態)
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=−√3/2
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=√3/2
となる。
即ち、第2のクローラ1Bと第3のクローラ1Cが同一速度で同一のX1方向へ駆動される。この際、停止状態となる第1のクローラ1Aでは、その無限軌道体機構3の駆動方向に対して各フリーローラ組立体2のフリーローラ支持軸7の軸方向が直交する方向に設定されているため、それらのフリーローラ支持軸7を回転中心として各フリーローラ6,6がフリーな状態で回転される。そのため、それらフリーローラ6,6の回転力が載置面に伝達されることがない。
(2)全方向移動車両101がX2方向へ1の速度で移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=0(停止状態)
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=√3/2
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=−√3/2
となる。
即ち、第2のクローラ1Bと第3のクローラ1Cが同一速度で同一のX1方向へ駆動される。この際、停止状態となる第1のクローラ1Aでは、同様に、その無限軌道体機構3の駆動方向に対して各フリーローラ組立体2のフリーローラ支持軸7の軸方向が直交する方向に設定されているため、それらのフリーローラ支持軸7を回転中心として各フリーローラ6,6がフリーな状態で回転される。そのため、それらフリーローラ6,6の回転力が載置面に伝達されることがない。
(3)全方向移動車両101がY1方向へ1の速度で移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=1
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=−1/2
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=−1/2
となる。
即ち、速度1でY1方向へ駆動される第1のクローラ1Aに対して、第2のクローラ1Bと第3のクローラ1Cが、第1のクローラ1Aの半分の速度(1/2)で同一のX2方向へ駆動される。
(4)全方向移動車両101がY2方向へ1の速度で移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=−1
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=1/2
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=1/2
となる。
即ち、速度1でY2方向へ駆動される第1のクローラ1Aに対して、第2のクローラ1Bと第3のクローラ1Cが、第1のクローラ1Aの半分の速度(1/2)で同一のX1方向へ駆動される。
(5)全方向移動車両101が車両中心CPを中心として反時計方向ωへ速度1/rで回転する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=1
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=1
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=1
となる。
即ち、第1のクローラ1Aから第3のクローラ1Cまでの3台すべてが反時計方向ωへ同一の速度1/rで駆動される。
(6)全方向移動車両101が車両中心CPを中心として時計方向へ速度1/rで回転する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=−1
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=−1
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=−1
となる。
即ち、第1のクローラ1Aから第3のクローラ1Cまでの3台すべてが時計方向へ同一の速度1/rで駆動される。
(7)全方向移動車両101がX1軸と角度α(この実施例では60度)をなす方向(Vx、Vy)へ速度Vで移動する場合
Vx=1/2Vであって、Vy=√3/2×Vであるため、
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=√3/2×V
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=−√3/2×1/2×V−1/2×√3/2×V=−√3/2×V
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=√3/2×1/2×V−1/2×√3/2×V=0
となる。
ここで、V1=1とすると、
V1=1
V2=−1
V3=0
となる。
(8)全方向移動車両101がX1軸と角度α+180度(この実施例では240度)をなす方向へ速度Vで移動する場合
第1のクローラ1Aの速度V1は、V1=−√3/2×V
第2のクローラ1Bの速度V2は、V2=√3/2×1/2×V−1/2×√3/2×V=0
第3のクローラ1Cの速度V3は、V3=−√3/2×1/2×V−1/2×√3/2×V=√3/2×V
となる。
ここで、V1=1とすると、
V1=−1
V2=0
V3=1
となる。
上述したような全方向移動車両100,101によれば、一対の無限軌道体30,30を横並びに配置する一方、一対のガイド溝17,17をオフセットさせて、一対の無限軌道体30,30を介して一対のガイド溝17,17間に複数のフリーローラ組立体2を介在させる構成としたため、従来の一対のベルト機構を同期させて動作させるための動力伝達機構を不要なものとすることができ、動力伝達機構の簡素化を図ることが可能となった。更に、一対のガイド板4A,4Bにガイド溝17,17を設け、これらのガイド溝17,17で複数のフリーローラ組立体2の一対のガイドローラ12,12を支持する構成としたため、床面等からの反力を受けるための従来の受圧機構を廃止することができ、この点においても機構の簡素化を図ることが可能となった。
このような利点を本願発明に係る全方向移動車両100,101が有することにより、極限られた面積の床面等の載置面上を任意の方向へ自由に移動することができ、且つ、切り返し操作を用いることなく目的の場所へ正確に位置付けすることができるという運転性能を、より高度に実現することができる。
以上説明したが、本発明は上記2つの実施例に限定されるものではなく、均等の範囲内で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の範囲において様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
1…クローラ、 2、2A,2B…フリーローラ組立体、 3…無限軌道体機構、 4,4A,4B…ガイド板、 6…フリーローラ、 7…フリーローラ支持軸、 8…クランク軸(保持部材)、 9A,9B…軸受板、 12…ガイドローラ、 15…張力調整部材、 17…ガイド溝、 20…第1の無限軌道駆動軸、 21…第2の無限軌道駆動軸、 30…無限軌道体、 31…駆動スプロケット、 32…従動スプロケット、 33…駆動モータ、 34…カップリング、 θ、θ1、θ2…傾斜角度、 CP…車両中心、 L…中心間距離

Claims (3)

  1. 基台の底面に、それぞれ直線移動方向を異ならせて配置された少なくとも3組のクローラを備え、
    前記少なくとも3組のクローラのそれぞれの直線方向の移動量を制御することにより、前記基台を特定される方向に移動させ、又は、特定される方位に回転できるようにしてなり、
    前記各クローラはそれぞれ、無限軌道体と、前記無限軌道体を回転駆動する一対の無限軌道駆動軸と、前記無限軌道体の軌道形状と同じ軌道形状を有するガイド溝を有して当該無限軌道体を挟むように並設される一対のガイド板と、複数の保持部材と、前記複数の保持部材にそれぞれ取り付けられるフリーローラ支持軸と、前記フリーローラ支持軸に回転自在に取り付けられる一又は二以上のフリーローラと、前記複数の保持部材にそれぞれ取り付けられる一対のガイドローラと、から構成され、
    前記一対のガイド板の前記ガイド溝は、前記無限軌道体の軌道面が構成する平面と平行であり、かつ、当該ガイド溝の直線部が無限軌道体の直線部と平行であり、さらに当該ガイド溝と無限軌道のそれぞれ対応する位置の変位量が所定量だけずれたように設置され、
    前記複数の保持部材は、前記無限軌道体に対して一定間隔に、当該無限軌道体に対して前記一対の無限軌道駆動軸と平行に設けられる保持部材軸の周りに回動自在に保持され、
    前記複数の保持部材に取り付けられた前記一対のガイドローラは、それぞれ前記保持部材軸と平行で前記所定量だけずれた軸周りに回動自在に設けられ、
    前記一対のガイドローラは、前記一対のガイド板の前記ガイド溝にそれぞれ嵌挿される、という構成によって、前記複数のフリーローラの前記フリーローラ支持軸を常に前記無限軌道体の直線部軌道と平行に保つようにした
    ことを特徴とする全方向移動車両。
  2. 前記各保持部材は、前記フリーローラ支持軸の軸方向と直交する方向に延在された一対のクランク軸部を有し、
    前記一対のクランク軸部のそれぞれの先端に、前記無限軌道体の直線部移動方向の前後に位置されると共に前記一対のガイド溝に移動可能に係合される一対のガイドローラを設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の全方向移動車両。
  3. 前記一対のガイドローラの変位量は、前記無限軌道体の直線部移動方向の前後に前記一対のクランク軸部を30度乃至330度の角度範囲内で設定した所定角度を設けることにより形成した
    ことを特徴とする請求項2記載の全方向移動車両。
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