JP2014200772A - Co酸化触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温からの触媒活性と高温耐久性とに優れ、高温に曝された後においても低温から十分にCOを酸化して浄化することが可能であるとともに、硫黄被毒による触媒活性の低下も十分に抑制することが可能なCO酸化触媒を提供すること。【解決手段】排ガス中の一酸化炭素を酸化して浄化するためのCO酸化触媒であって、担体と該担体に担持された酸化銅とを備えていること、前記担体が、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体であり、且つ、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO2脱離量が0.04μmol/m2以下となるものであること、及び前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上であること、を特徴とするCO酸化触媒。【選択図】なし

Description

本発明は、CO酸化触媒並びにその製造方法に関する。
ディーゼルエンジンは、エネルギー効率(燃費)に優れ、COの排出量が少ないことから、地球環境保全等の観点で優れたエンジンとして期待されており、世界中で今後の普及が予想される内燃機関のうちの一つである。特に欧州では大型車に加え、小型車へも普及が進められている。一方、今日では、排ガス規制が更に強化されてきており、より高い水準でCOの排出量の低減が要求されている。そのため、ディーゼルエンジン等の内燃機関を利用する場合においては、COの排出量をより高度な水準で低減させるために、燃料と空気との割合がより低下した希薄燃焼を利用すること等が検討されている。
しかしながら、ディーゼルエンジン等の内燃機関において、希薄燃焼を利用すると、CO自体の排出量は低減できるものの、それに付随して排ガスの温度が低下してしまう。そして、排ガスの温度が低下すると、排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)等の有害成分を触媒によって効率よく酸化除去することが困難になってしまうという問題が生じる。そのため、COの発生を低減させながら有害成分の排出をより抑制させるために、より低温の温度領域において、排ガス中の有害成分であるCO等を酸化除去することが可能なCO酸化触媒の開発が望まれている。また、一般に、CO酸化触媒等の排ガスを浄化するための触媒においては、排ガス中に含まれる硫黄成分(例えばSOx)によって触媒の活性成分が被毒(硫黄被毒)されて触媒活性が著しく低下するといった問題があり、耐硫黄被毒性の向上も望まれている。
一方、従来のCO酸化触媒としては、例えば、触媒成分(活性種)にPt等の白金族元素を使用したCO酸化触媒が知られている。しかしながら、近年、希少金属の危機管理の観点や価格の面等から、白金族元素の使用を抑制することが要求されてきており、Pt、Rh等の白金族元素を使用しない構成のCO酸化触媒の開発が望まれている。特に、CO酸化触媒を自動車等の内燃機関からの排ガスの浄化装置に用いる場合、その装置中において、通常、NOx還元浄化用触媒と組み合わせて用いられることが多く、そのようなNOx還元浄化用触媒においてはPt等の白金族元素が含まれることが一般的であるため、CO酸化触媒にも白金族元素を利用した場合には、装置中に含まれる白金族元素の全量が多大なものとなってしまい、白金族元素の使用量の低減を図ることができない。そのため、自動車等の内燃機関からの排ガスの浄化装置に用いる場合においては、特に、白金族元素を使用しない構成のCO酸化触媒の利用が望まれており、そのような触媒の開発が進められている。
このような白金族元素を使用しない構成のCO酸化触媒としては、例えば、1993年に発行された「Journal of Catalysis(vol.144)」の175〜195頁に記載されたHarutaらの論文(Low-Temperature Oxidation of CO over Gold supported on TiO2, Fe2O3, and Co3O4(非特許文献1))において、チタニアからなる担体等に金を担持した触媒等が開示されている。更に、2008年に発行された「Journal of Materials Science(vol.43)」の6505〜6512頁に記載されたZ.Xiaomingらの論文(Catalytic activity of CuO-loaded Tio2/γ-Al2O3 for NO Reduction by CO(非特許文献2))においては、アルミナ上に塩化チタンを用いてチタニアを担持した後に、その担体に酸化銅を担持して得られる触媒が開示されている。しかしながら、非特許文献1〜2に記載のような従来のCO酸化触媒においては、触媒が高温(例えば800℃程度以上の温度)に曝された後のCO酸化性能が必ずしも十分なものとはならず、高温耐久性の点で十分なものではなかった。
また、白金族元素を使用しない構成の他のCO酸化触媒としては、例えば、特開2012−126616号公報(特許文献1)において、チタニアと、アルカリ土類金属元素、希土類元素、IIIB族元素、IVB族元素、VB族元素、VIB族元素、IIIA族元素、IVA族元素及びVA族元素からなる群から選択される少なくとも一つの金属の酸化物とを含み、前記チタニアと前記金属の酸化物との金属原子換算による含有比([チタンの含有量(原子%)]:[金属の含有量(原子%)])が95:5〜60:40であり、前記チタニアの結晶相内に前記金属の酸化物の少なくとも一部が固溶しており且つ前記チタニアの結晶相内に固溶している前記金属の酸化物の量が前記複合酸化物中のチタニアと金属の酸化物との総量に対して金属原子換算で4原子%以上である複合酸化物からなる担体に、酸化銅を担持したCO酸化触媒が開示されている。しかしながら、このような特許文献1に記載のCO酸化触媒は、高温に曝された後のCO酸化活性が必ずしも十分なものではなかった。
なお、特開平9−267039号公報(特許文献2)においては、アルミナ上にチタンイソプロポキシドの溶液を浸漬し、700℃で焼成して、担体の表面にチタンの酸化物皮膜を形成して、得られた担体にパラジウムや白金等の触媒活性種を担持した触媒が開示されている。このような特許文献2においては、触媒活性成分として、貴金属、卑金属、金属酸化物、式:ABO(Aは希土類の少なくとも1種類の元素、Bは遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属の内の少なくとも1種類以上の元素)で表わされる基本構造を有するペロブスカイト型酸化物、スピネル型酸化物、ペロブスカイト・スピネル複合酸化物等のセラミック等が広く例示されているものの、実際に実施例において実証等されている触媒活性成分はパラジウム及び白金のみである。このように、特許文献2においては、白金族元素を利用した触媒は具体的に開示されているものの、白金族元素以外の活性種を利用した触媒は何ら具体的に開示されていない。
特開2012−126616号公報 特開平9−267039号公報
Haruta et al.,"Low-Temperature Oxidation of CO over Gold supported on TiO2, Fe2O3, and Co3O4",Journal of Catalysis,1993年,vol.144,177頁〜195頁 Z.Xiaoming et al.,"Catalytic activity of CuO-loaded Tio2/γ-Al2O3 for NO Reduction by CO",Journal of Materials Science,2008年、vol.43,6505〜6512頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、低温からの触媒活性と高温耐久性とに優れ、高温に曝された後においても低温から十分にCOを酸化して浄化することが可能であるとともに、硫黄被毒による触媒活性の低下も十分に抑制することが可能なCO酸化触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、排ガス中の一酸化炭素を酸化して浄化するためのCO酸化触媒において、その触媒を担体と該担体に担持された酸化銅とを備えるものとし、前記担体をアルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体とし且つ30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となるようにし、前記酸化銅の担持量をCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%とすることにより、低温からの触媒活性と高温耐久性とに優れ、高温に曝された後においても低温から十分にCOを酸化して浄化することが可能であるとともに、硫黄被毒による触媒活性の低下も十分に抑制することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のCO酸化触媒は、排ガス中の一酸化炭素を酸化して浄化するためのCO酸化触媒であって、
担体と該担体に担持された酸化銅とを備えていること、
前記担体が、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体であり、且つ、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となるものであること、及び
前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上であること、
を特徴とするものである。
また、本発明のCO酸化触媒においては、前記担体中のチタニアの含有量が20〜90質量%であることが好ましい。
また、本発明のCO酸化触媒においては、前記担体がアルミナの表面の80%以上をチタニアが被覆してなる担体であることが好ましい。
さらに、本発明のCO酸化触媒においては、前記担体の比表面積が20〜500m/gであることが好ましい。
本発明のCO酸化触媒の製造方法は、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後、600℃以上の温度で焼成することにより、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体を得る工程と、
前記担体に酸化銅を、前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上となるようにして担持せしめることによりCO酸化触媒を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
また、上記本発明のCO酸化触媒の製造方法においては、前記担体が30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となるものであることが好ましい。
なお、本発明によって上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、酸化銅が活性種となるCO酸化触媒を用いた場合のCO酸化反応について検討すると、そのCO酸化反応は、下記反応式(1)及び(2):
[反応式(1)] 2CuO + CO → CuO + CO
[反応式(2)] CuO + O → 2CuO
に表される反応によって進行する。このような反応式(1)及び(2)中のCuOはCuの価数が2価であり且つCuOはCuの価数が1価である。また、このようなCO酸化反応における律速段階は、反応式(1)に記載の反応であると推察される。
ここで、酸化銅は、チタニア(TiO)に担持されると、TiOと相互作用して還元され易いもの(酸化銅)となるため、反応式(1)で表される反応が促進される傾向にある。一方、チタニアは、耐熱性が低いものであるため、これを単独で担体に用いると、高温に晒された場合に容易に凝集し、これにより担体の比表面積が低下するため、触媒活性が著しく低下するという問題がある。そのため、チタニアと共に、担体に耐熱性の高いアルミナを用いることにより耐熱性の向上させることが検討されるが、単にアルミナとチタニアとを組み合わせて用いた担体を利用しても(例えば混合物等を利用しても)、触媒活性が必ずしも十分なものとはならない。これは、アルミナの使用により、比表面積の高いアルミナに酸化銅が担持され易くなる一方で、アルミナはチタニアとは異なり酸化銅が還元されやすくなる特性の低い担体であり、アルミナに担持された酸化銅は必ずしも触媒活性が十分なものとはならないこと(アルミナにより還元されやすい酸化銅が減少すること)に起因するものと本発明者らは推察する。このように、単にアルミナとチタニアとを組み合わせて用いた担体を利用しても、酸化銅とチタニアとの間の十分な相互作用を得ることができず、酸化銅を必ずしも十分に還元することができないことから、上記反応式(1)で表される反応を必ずしも十分に促進させることができず、結果としてCO酸化活性を低温からの十分なものとすることはできないものと本発明者らは推察する。
一方、本発明においては、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体を利用する。そして、本発明においては、アルミナの表面をチタニアが被覆することにより、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量を0.04μmol/m以下とする。このようなCO脱離量は、アルミナの表面上の塩基点(COの吸着点)の量と比例する量である(なお、チタニアは酸点を持つものであり、チタニアの塩基点は無視できるほど小さいことが分かっている。)。そのため、このような比表面積あたりのCO脱離量を0.04μmol/m以下とすることにより、アルミナの表面が十分にチタニアで覆われた状態となり、アルミナの塩基点が十分に低減されることが分かる。そのため、比表面積あたりのCO脱離量を0.04μmol/m以下とした担体によれば、アルミナの表面がチタニアにより十分に被覆されていることが明らかであり、これに酸化銅を担持した場合には、チタニアと酸化銅との間の相互作用を十分に利用することが可能となることが分かる。このように、上記特定のCO脱離量を有する担体を利用することによって、チタニアと酸化銅との間の相互作用を十分に利用でき、還元されやすい酸化銅が増加するため、CO酸化反応のうちの上記反応式(1)で表される反応(律速段階の反応)が促進されるため、低温からのCO酸化活性を十分に向上させることが可能となる。すなわち、このようなアルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体によれば、チタニア上に担持される酸化銅の割合を十分に増加させることが可能となり、得られる触媒のCO酸化活性が十分に向上するばかりか、担体にアルミナが含まれているため、触媒の耐熱性も向上する。そのため、本発明においては、高温に晒されても低温から十分に高度なCO酸化活性を発揮できるものと本発明者らは推察する。
なお、アルミナに担持されていないチタニアが増加した場合には、アルミナの拡散障壁としての効果が小さくなることから、チタニアの粒成長を抑制できなくなるため、耐熱性が低下する傾向にある。また、一般的に、排ガス浄化用の触媒においては、硫黄成分(SOx)を含む排ガスに曝されると、活性種の金属に硫黄成分の吸着が起こり、触媒活性が低下するといった硫黄被毒の問題がある。しかしながら、アルミナを被覆するチタニアは酸点をもつ成分であり、酸性物質であるSOxの吸着力を弱める性質を持っていることから、本発明にかかる担体を利用した場合には、SOxに曝されても触媒活性の低下を十分に抑制することができる。
このように、本発明においては、上記特定の担体と、該担体に担持された酸化銅とを利用することにより、酸化銅の触媒活性を十分に引き出しながら、酸化銅の硫黄被毒も十分に抑制し、更には、アルミナとチタニアの組み合わせにより、チタニアを単独で利用した場合と比較して高度な耐熱性を発揮させることも可能とする。そのため、本発明のCO酸化触媒によれば、低温からの触媒活性と高温耐久性とに優れ、低温から十分にCOを酸化して浄化することが可能であるとともに、高温に曝された後においても十分に高度な触媒性能を示すことができ、しかも硫黄被毒による触媒活性の低下も十分に抑制することが可能となるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、低温からの触媒活性と高温耐久性とに優れ、高温に曝された後においても低温から十分にCOを酸化して浄化することが可能であるとともに、硫黄被毒による触媒活性の低下も十分に抑制することが可能なCO酸化触媒及びその製造方法を提供することが可能となる。
実施例1〜2及び比較例1〜7で用いた担体の比表面積あたりのCO脱離量のグラフである。 実施例1〜2及び比較例1〜7で用いた担体のチタニアの被覆率を示すグラフである。 耐熱試験後の実施例1〜2及び比較例1〜7で得られた各CO酸化触媒の50%浄化温度のグラフである。 硫黄被毒再生試験後の実施例1〜2及び比較例1で得られた各CO酸化触媒の50%浄化温度のグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のCO酸化触媒について説明する。本発明のCO酸化触媒は、排ガス中の一酸化炭素を酸化して浄化するためのCO酸化触媒であって、
担体と該担体に担持された酸化銅とを備えていること、
前記担体が、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体であり、且つ、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となるものであること、及び
前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上であること、
を特徴とするものである。
本発明にかかる担体は、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体である。そして、このような担体においては、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となっている。ここで、先ず、このような30℃から610℃の温度範囲における担体の比表面積あたりのCO脱離量の測定方法について説明する。このようなCO脱離量は、いわゆるCO昇温脱離分析試験(CO−TPD分析試験)により測定されるものであり、測定装置としては、市販の昇温脱離分析装置(例えば、ヘンミ計算尺株式会社製の商品名「昇温脱離分析装置TP−5000」)を使用することができる。また、このようなCO−TPD分析による測定に際しては、測定装置として前記昇温脱離分析装置を使用して、担体を0.64g用い、前処理として、先ず、担体にO(10容量%)及びHe(残部)からなるガスを50mL/分で供給し、600℃で20分間加熱した後、100℃まで冷却し、その後、CO(2容量%)、O(10容量%)及びHe(残部)からなるCO担持用のガスを20分供給し、COを吸着させて、COを担持した担体(CO担持担体)を得る。その後、室温(25℃)まで冷却した後、得られたCO担持担体に対して、O(10容量%)及びHe(残部)からなるガスを50mL/分で供給しながら、20℃/分の昇温速度で昇温し、30℃から610℃までの間において、前記CO担持担体に接触した後のガス中に含まれるCOの量(CO濃度)を四重極質量分析計(Q−MS)で測定することにより、担体から脱離したCOの総量を求めて、担体1gあたりから脱離したCOの量を算出する。そして、このようにして求められた担体1gあたりから脱離したCOの量を、担体の比表面積で割る(除する)ことにより、担体の比表面積あたりのCO脱離量を求めることができる。本発明においては、このようなCO−TPD分析による測定を利用して求められる値を、担体の比表面積あたりのCO脱離量として採用する。なお、このような担体の比表面積は、いわゆるBET 1点法により測定でき、例えば、測定装置として市販の全自動比表面積測定装置(Microdata社製の商品名「Microsorp 4232II」等)を用いて測定することにより求められる値を採用することができる。
本発明にかかる担体において、30℃から610℃の温度範囲における担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/mを超えると、その担体においてアルミナが十分にチタニアに被覆されたものとなっておらず、十分に高度な触媒活性が得られない。一般的に、COは、その担体の塩基点に吸着される。アルミナは塩基点が多くCOを多量に吸着する性質を有するものであるのに比べて、チタニアの塩基点は無視できるほど小さい(少ない)。そのため、アルミナ上にチタニアが担持された担体において、30℃から610℃の温度範囲における担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となっているような場合には、アルミナの表面が十分にチタニアに覆われて、チタニアによって十分に被覆された状態となっていることが分かる。一方、チタニアは酸化銅をCO酸化活性の高い状態にすることが可能な成分である。このような観点から、本発明においては、30℃から610℃の温度範囲における担体の比表面積あたりのCO脱離量を基準として、そのCO脱離量が0.04μmol/m以下となっている担体を利用することで、チタニアにより酸化銅の性能を十分に引き出しつつアルミナの有する耐熱性を効率よく利用することも可能とし、得られる触媒において耐熱性と触媒活性とをより高度にバランスよく発揮させることを可能とする。
また、このような30℃から610℃の温度範囲における担体の比表面積あたりのCO脱離量としては、0.0003〜0.03μmol/mであることがより好ましく、0.001〜0.02μmol/mであることが特に好ましい。このようなCO脱離量が前記下限未満では、酸化銅を担持し難くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとアルミナ表面が十分にチタニアに覆われていない状態となる傾向にある。
また、このような担体においては、アルミナの表面の80%以上(より好ましくは85〜99%、更に好ましくは90〜98%)をチタニアが被覆していることが好ましい。このようなチタニアの被覆率(アルミナの表面をチタニアが被覆している割合)が前記下限未満ではアルミナ上の酸化銅が増加し、活性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えても触媒活性への効果は飽和してしまう傾向にある。なお、このようなアルミナの表面をチタニアが被覆している割合(チタニアの被覆率)は以下のようにして求めることができる。すなわち、先ず、前述のCO昇温脱離分析(CO−TPD分析)による測定と同様の測定方法を採用して、担体のCOの脱離量(比表面積で割る前の値)と、アルミナ(単独)のCOの脱離量(比表面積で割る前の値)とを求め、担体中のアルミナ量を1gとした場合における担体からのCOの脱離量と、アルミナ(単独)1gから脱離したCOの量を換算して求めて、下記計算式(1):
Z(%)={(X−Y)/X}×100 (1)
[式中、Zはチタニアの被覆率(%)を示し、Xはアルミナ(単独)1gから脱離したCOの量を示し、Yは担体中のアルミナ量を1gとした場合における担体からのCOの脱離量を示す。]
を計算することにより求められる値を採用する。なお、このような式(1)の計算値は、チタニアの塩基点が無視できるほど小さい(少ない)ため、基本的に、チタニアにより覆われたアルミナの塩基点の割合を測る尺度として利用することが可能な値である。そのため、本発明においては、上記計算式(1)の計算値を被覆率として、アルミナの表面上の被覆状態を考慮する。
さらに、このような担体は、より高い比表面積が得られ、より高度な触媒活性を達成できることから、粉末状であることが好ましい。このように担体が粉末状である場合には、担体の粒子の平均粒子径は、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。このような平均粒子径が前記下限未満では、高温条件下において担体が焼結し易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、COや炭化水素が拡散し難くなって酸化触媒活性が低下する傾向にある。このような担体の平均粒子径としては、任意の100個以上の担体の粒子の直径を電子顕微鏡を用いて観察することにより測定し、平均化することにより求められる値を採用することができる。なお、かかる直径は粒子の断面の最大直径を意味し、粒子の断面が円形でない場合には最大外接円の直径を言う。
また、このような担体の比表面積としては20〜500m/g以上であることが好ましく、30〜300m/gであることが好ましい。前記比表面積が前記下限未満である場合には、酸化銅を十分に分散させて担持せしめることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、担体の熱劣化による比表面積の減少量が大きくなる傾向にある。
また、このような担体中のチタニアの含有量としては、20〜90質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることがより好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。このような担体中のチタニアの含有量が前記下限未満では、チタニアに被覆されるアルミナの表面の割合が小さくなり、アルミナ表面上に直接担持されてしまう酸化銅の割合が多くなることから、十分な触媒活性が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、アルミナを被覆していないチタニアが増え、比表面積が低下する傾向にある。
さらに、このような担体としては、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後、600℃以上の温度で焼成することにより、得られる担体(アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体)であることが好ましい。なお、このような担体を調整するための工程(水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後、600℃以上の温度で焼成する工程)は、後述の本発明のCO酸化触媒の製造方法における「担体を得る工程(工程(A))」と同様の工程である。また、前記担体中のアルミナとしては、後述の本発明のCO酸化触媒の製造方法に用いるアルミナが好適に利用できる。そのため、これらの工程等については、後述の本発明のCO酸化触媒の製造方法において説明する。
また、本発明のCO酸化触媒においては、前記担体と共に、前記担体に担持された酸化銅を備える。このような酸化銅の担持量は、CO酸化活性の観点から、担体及び前記酸化銅の総量に対して、CuO換算で2.0質量%以上であることが必要である。また、このような酸化銅の担持量としては、前記担体及び前記酸化銅の総量に対して、CuO換算で2.0〜50質量%であることが好ましく、5.0〜15質量%であることが特に好ましい。このような酸化銅の担持量が前記下限未満では、得られるCO酸化触媒に十分な活性を付与することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、担体上に担持されていない粗大なCuO粒子が多くなり、酸化銅が有効に利用されなくなる傾向にある。このような酸化銅を担体に担持するための方法としては、後述の本発明のCO酸化触媒の製造方法において説明する酸化銅の担持方法と同様の方法を採用することができる。
また、このような本発明のCO酸化触媒の形態は特に制限されず、用途に応じて各種の形態に適宜成形して用いることができ、例えば、ペレット状、モノリス状、ハニカム状またはフォーム状等の各種形態に成形(コージェライト製ハニカム基材等の公知の基材に担持してた形態としてもよい。)して用いてもよい。
また、このような本発明のCO酸化触媒は、排ガス中の一酸化炭素を酸化して浄化するための触媒であり、特に、還元性ガスに対して過剰のOが存在するような酸化雰囲気下において、より効率よくCOを酸化して浄化することが可能なものである。そのため、このようなCO酸化触媒は、COを酸化して除去することが要求される用途に利用できる。また、本発明のCO酸化触媒は、低温から高度なCO酸化性能が得られるとともに800℃以上程度の高温条件下に晒された場合においてもCO酸化性能の劣化が十分に抑制できる高度な耐熱性を有するため、自動車の内燃機関(特に好ましくはディーゼルエンジン)からの排ガスを浄化するための触媒として特に好適に利用できる。
以上、本発明のCO酸化触媒について説明したが、以下、このような本発明のCO酸化触媒を製造するための方法として好適に利用することが可能な、本発明のCO酸化触媒の製造方法について説明する。
本発明のCO酸化触媒の製造方法は、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後、600℃以上の温度で焼成することにより、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体を得る工程(以下、「工程(A)」という。)と、
前記担体に酸化銅を、前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上となるようにして担持せしめることによりCO酸化触媒を得る工程(以下、「工程(B)」という。)と、
を含むことを特徴とする方法である。以下において、工程(A)と工程(B)とを分けて説明する。
先ず、工程(A)について説明する。工程(A)は、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後、600℃以上の温度で焼成することにより、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体を得る工程である。
工程(A)においては、水溶性チタン錯体を用いる。このように、本発明においては、チタニア錯体の中でも水溶性のものを利用する。このような錯体が水溶性のものではない場合には、チタニア源が分散できず、アルミナ表面を十分に被覆できない傾向にある。このような水溶性錯体としては、チタンと多座配位子(2個以上の配位基で配位し得る配位子)とを含有するチタン錯体が好ましい。
このような多座配位子としては、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、マロン酸、フマル酸、アコニット酸、グルタル酸、エチレンジアミン四酢酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、サリチル酸及びメバロン酸のうちの少なくとも1種から少なくとも1つの水素が脱離した残基であることが好ましく、中でも、ヒドロキシ基を併せ持つカルボン酸であるという観点から、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸のうちの少なくとも1種から少なくとも1つの水素が脱離した残基であることがより好ましく、より微細化された状態でチタンを担持できるという観点から、クエン酸から少なくとも1つの水素が脱離した残基が特に好ましい。なお、このような多座配位子は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。このように、多座配位子とチタンとを含む錯体としては、例えば、チタン−クエン酸錯体、チタン−乳酸錯体、チタン−リンゴ酸錯体、チタン−酒石酸錯体、チタン−グリコール酸錯体、チタン−サリチル酸錯体等が挙げられる。また、このようなチタンと多座配位子とを含有するチタン錯体としては、例えば、クエン酸、シュウ酸等の多価カルボン酸の溶液中に、多座配位子を含有していないチタン錯体(例えばチタンテトライソプロポキシド等)を含有させて反応させることにより形成したものを利用してもよい。
また、このような水溶性チタン錯体の中でも、より均一にチタンを担持するといった観点から、チタン−クエン酸錯体、チタン−乳酸錯体、チタン−リンゴ酸錯体がより好ましく、チタン−クエン酸錯体が特に好ましい。
また、水溶性チタン錯体の溶液に用いる溶媒としては、特に制限されず、公知の溶媒を適宜利用することができ、例えば、水、アルコール(例えばエタノール)等を適宜利用することができる。このような溶媒の中でも、より均一にチタンを担持するといった観点から、水が好ましい。
また、前記水溶性チタン錯体の溶液中の水溶性チタン錯体の濃度としては特に制限されるものではないが、20〜80質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。このような濃度が前記下限未満では担持回数が増加し、非効率となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると均一にチタンを担持することが困難となる傾向にある。
さらに、工程(A)に用いるアルミナとしては特に制限されないが、粉末状のものを用いることが好ましい。このような粉末状のアルミナの粒子としては、平均粒子径が0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。このような平均粒子径が前記下限未満では高温条件において担体が焼結し易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとチタニアによるアルミナ表面の被覆が困難となる傾向にある。このようなアルミナの平均粒子径としては、任意の100個以上のアルミナの粒子の直径を電子顕微鏡を用いて観察することにより測定し、平均化することにより求められる値を採用することができる。なお、かかる直径は粒子の断面の最大直径を意味し、粒子の断面が円形でない場合には最大外接円の直径を言う。
また、このようなアルミナの比表面積としては20〜500m/gであることが好ましく、30〜300m/gであることがより好ましい。このようなアルミナの比表面積が前記下限未満では活性点が十分に得られず、活性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、焼結し易くなり、耐熱性が低下する傾向にある。なお、このような比表面積は、いわゆるBET 1点法により測定でき、例えば、測定装置として市販の全自動比表面積測定装置(Microdata社製の商品名「Microsorp 4232II」等)を用いて測定することにより求められる値を採用することができる。
また、このような水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させる方法としては特に制限されず、該溶液をアルミナに付着(担持)させることが可能となるように接触させる方法を適宜利用でき、例えば、前記水溶性チタン錯体の溶液中にアルミナを浸漬する方法、アルミナに前記水溶性チタン錯体の溶液を含浸する方法等を挙げることができる。また、このような水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させる方法としては、得られる担体において、効率よくアルミナの表面をチタニアにより被覆するという観点からは、前記水溶性チタン錯体の溶液中にアルミナを含浸する方法を採用することが好ましい。
また、このようにして、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させることにより、前記アルミナに水溶性チタン錯体の溶液を担持することができる。そして、このようにして前記溶液を担持した後においては、乾燥工程を適宜実施してもよい。このような乾燥工程としては特に制限されず、例えば、80〜200℃で5〜20時間程度加熱することにより乾燥させる工程を採用してもよい。
また、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させることにより、前記アルミナに水溶性チタン錯体の溶液を担持した後においては、焼成工程を実施することにより、アルミナの表面にチタニアを被覆(担持)する。このような焼成工程においては、水溶性チタン錯体の溶液に接触させた後のアルミナを600℃以上の温度で焼成する必要がある。このような焼成温度が前記下限未満では、有機成分が十分に分解し難くなると考えられるため、チタニアにより十分にアルミナの表面を覆うことができなくなり、上記本発明のCO酸化触媒を得ることができなくなる。
また、このような焼成工程における焼成温度としては600〜1000℃であることがより好ましく、600〜800℃であることが更に好ましい。このような焼成温度が前記下限未満ではチタニアがアルミナを十分に被覆できなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると比表面積が低下する傾向にある。
また、このような焼成工程における600℃以上の温度での加熱時間としては特に制限されないが、1〜20時間であることがより好ましく、5〜10時間であることが更に好ましい。このような600℃以上の温度での加熱時間が前記下限未満ではチタニアがアルミナを十分に被覆できなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると比表面積が低下する傾向にある。
また、このような600℃以上の焼成工程としては、焼成工程を段階的に実施する場合には、いずれかの段階において600℃以上の焼成を実施していればよい。例えば、チタニアの担持量を十分なものとするために、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後に第一の焼成処理(かかる第一の焼成処理は前処理としての焼成処理であるため、その温度条件は600℃以上となっていなくてもよい。)を実施するチタニア担持工程を繰り返し行い、チタニアの担持量が所定の量以上となった後に、そのチタニアの担持物を600℃以上の温度において焼成する第二の焼成を実施することにより、前述の600℃以上の焼成工程を実施してもよい。
このように水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後に第一の焼成処理を実施するチタニア担持工程を繰り返し行い、チタニアの担持量が所定の量以上となった後に、600℃以上の温度における第二の焼成を実施する場合において、前記チタニア担持工程において採用される第一の焼成処理は、300〜600℃(より好ましくは600℃未満)で1〜20時間焼成する処理であることが好ましい。このような焼成温度及び時間が前記下限未満では有機成分が十分に分解せず、均一に担持できない傾向にあり、他方、前記上限を超えるとコストが増加する傾向にある。
このようにして、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後、600℃以上の温度で焼成することにより、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体を得ることが可能となる。
また、このようにして得られる担体としては、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下(より好ましくは0.0003〜0.03μmol/m、更に好ましくは0.001〜0.02μmol/m)となるものであることが好ましい。なお、本発明においては、上述のように600℃以上の温度で焼成するため、得られる担体中のチタニアの含有量(担持量:被覆量)を適宜変更することで、効率よく、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量を0.04μmol/m以下とすることができる。
また、このような工程(A)においては、前記30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量を0.04μmol/m以下とするという観点から、担体中のチタニアの含有量が20〜90質量%(より好ましくは25〜85質量%、更に好ましくは30〜80質量%)となるように、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させること(更に好ましくは、前記含有量となるように、水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後に第一の焼成処理を実施する前述のチタニア担持工程を繰り返し実施すること)が好ましい。なお、前記チタニアの含有量が前記下限未満では担体の比表面積あたりのCO脱離量を0.04μmol/m以下とすることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとアルミナを被覆していないチタニアが増え、耐熱性が低下する傾向にある。
次に、工程(B)について説明する。工程(B)は、前記担体に酸化銅を、前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上となるようにして担持せしめることによりCO酸化触媒を得る工程である。
このような酸化銅の担持方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜利用することができ、例えば、銅(Cu)の化合物を所定の濃度で含有する溶液を、前記担体に含浸させることにより、所定量の銅の化合物を含む溶液を前記担体に担持させた後、これを焼成する方法を採用することができる。このとき、前記担体は、ペレット等の粉末状の形態にして使用してもよいし、予め、前記担体をコージェライト製ハニカム基材などの公知の基材にコーティングなどにより固定化した形態にして使用してもよい。また、このような銅(Cu)の化合物としては、特に制限されず、銅の硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩などの塩を適宜用いることができる。
また、このような酸化銅の担持方法における焼成工程は大気中で実施してもよい。また、このような焼成工程における焼成温度としては200〜700℃が好ましい。このような焼成温度が前記下限未満になると、前記銅の化合物が十分に熱分解されず、担体に酸化銅を担持することが困難となり、十分なCO酸化活性が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、担体の比表面積低下が起こり、CO酸化活性が低下する傾向にある。また、酸化銅の担持する際の焼成時間としては0.1〜100時間が好ましい。このような焼成時間が前記下限未満になると前記銅の化合物が十分に熱分解されず、酸化銅を担持することが困難となり、得られる触媒のCO酸化活性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えても、それ以上の効果は得られず、触媒を調製するためのコストの増大に繋がる。
また、このような酸化銅の担持方法を実施する際には、前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上となるようにして、前記担体に酸化銅を担持する必要がある。なお、このような酸化銅の担持量は、前述の銅の化合物を含む溶液の濃度を適宜変更したり、複数回にわたって銅の化合物を含む溶液を含浸せしめたりすることで容易に達成できる。このようにして、前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上となるようにして、前記担体に酸化銅を担持せしめることにより、上記本発明のCO酸化触媒を効率よく製造することも可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、クエン酸(380.4g)をイオン交換水(365g)に溶かしてクエン酸溶液を得た後、その溶液を80℃まで昇温し、その後、チタンテトライソプロポキシド(179.7g)を加えて8時間攪拌して、チタンのクエン酸錯体が形成された溶液を得た。次に、得られた溶液中にアルミナ粉末(日揮ユニバーサル製の商品名「TN4」、平均粒子径1μm、比表面積150m/g)を浸漬して、アルミナ中に前記溶液を含浸せしめた後、110℃で一晩乾燥させて、550℃で5時間焼成する工程を実施してアルミナにチタニアを担持した(チタニア担持工程)。このようなチタニアの担持工程は、チタニアとアルミナとの質量比(チタニア/アルミナ)が30/70となるまで繰り返し実施した。このようにしてアルミナにチタニアを担持した後、得られたチタニアの担持物を800℃で5時間焼成して、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体(チタニア/アルミナ=30/70)を得た。
次いで、前記担体10gに、硝酸銅三水和物2.3gを溶解させた水溶液を含浸させて蒸発乾固し、110℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、前記担体に酸化銅を担持して触媒を得た。なお、担体と酸化銅との総量に対する酸化銅の担持量はCuO換算で7.0質量%であった。また、このようにして得られた触媒は、乳鉢にて混合し、定法(冷間等方圧プレス法(CIP))によって粒径0.5〜1.0mmのペレット形状に成形して、ペレット形状の触媒(CO酸化触媒)とした。
(実施例2)
担体中のチタニアとアルミナとの質量比(チタニア/アルミナ)が80/20となるようにチタニア担持工程を繰り返し実施した以外は実施例1と同様にしてペレット形状の触媒(CO酸化触媒)を得た。
(比較例1)
アルミナ粉末(日揮ユニバーサル製の商品名「TN4」、平均粒子径1μm、比表面積150m/g)10gに対して硝酸銅三水和物2.3gを溶解させた水溶液を含浸担持させて、蒸発乾固し、110℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、アルミナからなる担体に酸化銅を担持して、比較のための触媒を得た。このような比較のための触媒において、担体(アルミナ)と酸化銅との総量に対する酸化銅の担持量はCuO換算で7.0質量%であった。また、このようにして得られた触媒は、乳鉢にて混合し、定法によって粒径0.5〜1.0mmのペレット形状に成形して、ペレット形状の触媒(CO酸化触媒)とした。
(比較例2)
チタニアとアルミナとの質量比(チタニア/アルミナ)が30/70となるようにして、チタニアゾル(多木化学製の商品名「タイノック、AM−15」)を、アルミナ粉末(日揮ユニバーサル製の商品名「TN4」、平均粒子径1μm、比表面積150m/g)に担持し、110℃で一晩乾燥させた後、550℃で5時間焼成してアルミナにチタニアを担持して、チタニアとアルミナとの質量比(チタニア/アルミナ)が30/70のチタニア担持アルミナからなる担体を得た。
次いで、前記担体10gに、硝酸銅三水和物2.3gを溶解させた水溶液を含浸させて蒸発乾固し、110℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、前記担体に酸化銅を担持して触媒を得た。なお、担体と酸化銅との総量に対する酸化銅の担持量はCuO換算で7.0質量%であった。また、このようにして得られた触媒は、乳鉢にて混合し、定法によって粒径0.5〜1.0mmのペレット形状に成形して、ペレット形状の触媒(CO酸化触媒)とした。
(比較例3)
塩化チタン(IV)溶液(和光純薬工業製)をイオン交換水に溶解した水溶液中にアルミナ粉末(日揮ユニバーサル製の商品名「TN4」、平均粒子径1μm、比表面積150m/g)を浸漬して、アルミナ中に塩化チタン(IV)溶液を含浸せしめた後、前記水溶液に対してアンモニア水溶液を滴下して沈殿物を得た。次いで、前記水溶液から、ろ過により固形分(固体)を分離した後、得られた固体を110℃で一晩乾燥させ、550℃で5時間焼成することにより、チタニアとアルミナとの質量比(チタニア/アルミナ)が30/70のチタニア担持アルミナからなる担体を得た。なお、水溶液中の塩化チタン(IV)の濃度は、得られる担体中のチタニアの含有量(質量比)が前記値となるように調整した。
次いで、前記担体10gに、硝酸銅三水和物2.3gを溶解させた水溶液を含浸させて蒸発乾固し、110℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、前記担体に酸化銅を担持して触媒を得た。なお、担体と酸化銅との総量に対する酸化銅の担持量はCuO換算で7.0質量%であった。また、このようにして得られた触媒は、乳鉢にて混合し、定法によって粒径0.5〜1.0mmのペレット形状に成形して、ペレット形状の触媒(CO酸化触媒)とした。
(比較例4)
チタニアとアルミナとの質量比(チタニア/アルミナ)が30/70となるようにして、シュウ酸チタニルアンモニウム(三津和化学製)の水溶液中にアルミナ粉末(日揮ユニバーサル製の商品名「TN4」、平均粒子径1μm、比表面積150m/g)を浸漬して、アルミナ中に前記水溶液を含浸せしめ、110℃で一晩乾燥させた後、550℃で5時間焼成することにより、アルミナの表面上にチタニアを担持して、チタニアとアルミナとの質量比(チタニア/アルミナ)が30/70のチタニア担持アルミナからなる担体を得た。
次いで、前記担体10gに、硝酸銅三水和物2.3gを溶解させた水溶液を含浸させて蒸発乾固し、110℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、前記担体に酸化銅を担持して触媒を得た。なお、担体と酸化銅との総量に対する酸化銅の担持量はCuO換算で7.0質量%であった。また、このようにして得られた触媒は、乳鉢にて混合し、定法によって粒径0.5〜1.0mmのペレット形状に成形して、ペレット形状の触媒(CO酸化触媒)とした。
(比較例5)
アルミナにチタニアを担持した後、得られたチタニアの担持物を800℃で5時間焼成する代わりに、550℃で5時間焼成した以外は実施例1と同様にして、比較のためのペレット形状の触媒(CO酸化触媒)を得た。このように、比較例5においては担体に対して550℃よりも高い温度での焼成は実施していない。
(比較例6)
先ず、塩化チタン(IV)溶液(和光純薬工業製、174.4g)をイオン交換水(500g)に溶解して水溶液を得た後、その水溶液に対して30質量%の過酸化水素水(80g)及びノニオン系界面活性剤(ライオン社製の商品名「レオコン 1020H」、12g)を添加することにより、原料水溶液を調製した。次に、プロペラ攪拌と併用してホモジェナイザー(回転速度:11000min−1)による攪拌を行いながら、前記原料水溶液に、25質量%のアンモニア水(228g)をイオン交換水(500g)に希釈したアンモニア水を添加し、沈殿を生成させた。次いで、得られた沈殿を150℃で乾燥した後、昇温速度50℃/hで400℃まで昇温し、400℃で5時間焼成した。このような焼成の後、更に、昇温速度50℃/hで500℃まで昇温し、500℃で5時間焼成してチタニアの粉末(平均粒子径2μm、比表面積75m/g)を得た。次に、このようにして得られたチタニアの粉末8gと、アルミナ粉末(日揮ユニバーサル製の商品名「TN4」、平均粒子径1μm、比表面積150m/g)2gとを混合して、チタニアとアルミナの混合物(チタニアとアルミナの質量比(チタニア/アルミナ)が80/20)からなる担体を得た。
次いで、前記担体10gに、硝酸銅三水和物2.3gを溶解させた水溶液を含浸させて蒸発乾固し、110℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、前記担体に酸化銅を担持して触媒を得た。なお、担体と酸化銅との総量に対する酸化銅の担持量はCuO換算で7.0質量%であった。また、このようにして得られた触媒は、乳鉢にて混合し、定法によって粒径0.5〜1.0mmのペレット形状に成形して、ペレット形状の触媒(CO酸化触媒)とした。
(比較例7)
比較例6で採用している方法と同様の方法を採用してチタニアの粉末を得た後、得られたチタニアの粉末をそのまま担体として利用して、該担体(チタニア)10gに、硝酸銅三水和物2.3gを溶解させた水溶液を含浸させて蒸発乾固し、110℃で一晩乾燥させた後、500℃で3時間焼成して、前記担体(チタニア100質量%)に酸化銅を担持して触媒を得た。なお、担体と酸化銅との総量に対する酸化銅の担持量はCuO換算で7.0質量%であった。また、このようにして得られた触媒は、乳鉢にて混合し、定法によって粒径0.5〜1.0mmのペレット形状に成形して、ペレット形状の触媒(CO酸化触媒)とした。
[実施例1〜2及び比較例1〜7で得られた触媒の特性の評価]
〈担体の比表面積〉
実施例1〜2及び比較例1〜7において触媒を製造する際に用いた各担体の比表面積を、全自動比表面積測定装置(Microdata社製の商品名「Microsorp 4232II」等)を用いて、Brunauer−Emmett−Teller(BET) 1点法により求めた。得られた結果を表1に示す。
〈担体のCO脱離量の測定〉
測定装置としてヘンミ計算尺株式会社製の昇温脱離分析装置TP−5000を使用して、CO昇温脱離分析試験(CO−TPD分析試験)により、実施例1〜2及び比較例1〜7において触媒を製造する際に用いた各担体のCO脱離量を求めた。すなわち、先ず前記測定装置を利用し、担体0.64gを測定試料として用いて、前記担体に対してO(10容量%)及びHe(残部)からなるガスを50mL/分で供給し、600℃で20分間加熱した後、100℃まで冷却し、その後、CO(2容量%)、O(10容量%)及びHe(残部)からなるCO担持用のガスを20分供給し、COを吸着させて、COを担持させた担体(CO担持担体)を得た。その後、室温(25℃)まで冷却した後、得られたCO担持担体に対して、O(10容量%)及びHe(残部)からなるガスを50mL/分で供給しながら、20℃/分の昇温速度で昇温し、30℃から610℃までの間において、前記CO担持担体に接触した後のガス中に含まれるCOの量(CO濃度)を四重極質量分析計(Q−MS)で測定して、担体から脱離したCOの総量を求めた。次に、このような測定値から、担体1gあたりから脱離したCOの量(以下、場合より「第一脱離量」という。)を求めた。次いで、前記第一脱離量を比表面積で割ることにより、担体の比表面積あたりのCO脱離量を求めた。得られた結果を表1及び図1(担体の比表面積あたりのCO脱離量のグラフ)に示す。
〈チタニアの被覆率〉
実施例1〜2及び比較例1〜7において触媒を製造する際に用いた各担体に関して、上述の担体のCO脱離量の測定により求められた担体1gあたりから脱離したCOの量(第一脱離量)の値から、担体中のアルミナ量が1gとなった場合のCO脱離量を算出し、下記計算式(1):
Z(%)={(X−Y)/X}×100 (1)
[式中、Zはチタニアの被覆率(%)を示し、Xはアルミナ(単独)1gから脱離したCOの量(比較例1の担体(アルミナ100質量%の担体)の前記第一脱離量)を示し、Yは担体中のアルミナ量を1gとした場合における担体からのCOの脱離量を示す。]
を計算することにより、その担体におけるチタニアの被覆率を求めた。得られた結果を図2及び表1に示す。なお、比較例7に関しては、担体にチタニアのみを用いているため、上記計算をせずに、被覆率を100%とした。
〈耐熱試験〉
耐熱試験としては、CO酸化触媒(初期状態)2.5gを15mlの磁性るつぼに入れ、空気を1000ml/分で供給しながら800℃の温度条件で5時間加熱する処理を施す方法を採用した。
〈硫黄被毒再生試験〉
硫黄被毒再生試験としては、以下の方法を採用した。すなわち、先ず、固定床流通式反応装置を用い、内径15mmの石英反応管にCO酸化触媒(初期状態)1.0gを充填し、触媒1.0gに対してCO(0.4容量%)、O(10容量%)、CO(10容量%)、HO(10容量%)およびN(残部)からなるモデルガスを7000ml/分で供給しながら、触媒への入りガス温度を50℃/分の昇温速度で500℃まで昇温し、500℃で10分間加熱した後、500℃に維持したまま、触媒に対して、前記モデルガスにSO(30ppm)を加えたガスを7000ml/分で55.5分間供給した。その後、触媒に対してSO(30ppm)を含まない前記モデルガスを7000ml/分で供給しながら、触媒への入りガス温度を10℃/分の昇温速度で620℃となるまで昇温し、620℃で10分間加熱した。その後、常温まで自然冷却した。
〈CO酸化活性の測定試験〉
上記耐熱試験後の実施例1〜2及び比較例1〜7で得られた各CO酸化触媒、及び、上記硫黄被毒再生試験後の実施例1〜2及び比較例1で得られた各CO酸化触媒をそれぞれ用いて、以下のようにして、各触媒のCO酸化活性を測定した。
また、このようなCO酸化活性の測定試験においては、先ず、固定床流通式反応装置を用い、内径15mmの石英反応管に触媒1.0gを充填し、CO(0.4容量%)、O(10容量%)、CO(10容量%)、HO(10容量%)およびN(残部)からなるモデルガスを7000ml/分で供給しながら、触媒への入りガス温度を50℃/分の昇温速度で500℃まで昇温し、500℃で10分間加熱した後、触媒の床温(触媒への入りガス温度)が70℃となるまで冷却する処理(前処理)を施した。次いで、前記前処理後の触媒に対して前記モデルガスを7000ml/分で供給しながら、触媒への入りガス温度を15℃/分の昇温速度で70℃から520℃まで昇温した。そして、このような昇温中における触媒からの出ガス(触媒に接触した後に石英反応管から排出されるガス)中のCO濃度を連続ガス分析計を用いて測定し、モデルガス中のCO濃度と出ガス中のCO濃度とからCO転化率を算出し、CO転化率が50%に到達したときの温度を50%浄化温度として求めた。なお、得られた結果を表1に示す。また、耐熱試験後の実施例1〜2及び比較例1〜7で得られた各CO酸化触媒の50%浄化温度を図3に示し、硫黄被毒再生試験後の実施例1〜2及び比較例1で得られた各CO酸化触媒の50%浄化温度を図4に示す。
先ず、担体に用いた金属酸化物の種類の観点から検討すると、表1及び図1〜3に示した結果から、チタニアとアルミナとを含む担体を利用している実施例1〜2及び比較例2〜6で得られたCO酸化触媒においては、チタニアのみからなる担体を利用している比較例7で得られたCO酸化触媒と比較して、耐熱試験後のCO酸化活性が高いことが分かった。このような結果から、チタニアとアルミナとを含む担体を利用することで、CO酸化触媒の耐熱性が向上することが確認された。また、アルミナのみからなる担体を利用している比較例1で得られたCO酸化触媒と比較して、チタニアとアルミナとを含む担体を利用している実施例1〜2及び比較例2〜6で得られたCO酸化触媒は耐熱試験後のCO酸化活性が高いことも分かった。これらの結果は、アルミナ上の酸化銅よりもチタニア上の酸化銅の方が活性が高く、且つ、担体にチタニアとアルミナとを用いることでチタニア単独で利用するよりも耐熱性が向上することに起因すると本発明者らは推察する。
次に、各担体におけるチタニアの担持量、表1及び図1〜2に示す比表面積あたりのCO脱離量、並びに、チタニアの被覆率の観点から検討すると、実施例1と比較例2〜5で用いた担体中のチタニアの含有量はいずれも30質量%であるにも関わらず、比表面積あたりのCO脱離量が大きく異なることが確認された。また、同様に、実施例1と比較例2〜5で用いた担体中のチタニアの含有量はいずれも30質量%であるにも関わらず、チタニアの被覆率が大きく異なっていることも分かった。このような結果から、チタニアの担持量が同じでも、アルミナに対するチタニアの担持方法を変えることで、CO脱離量及びチタニの被覆率が大きく変わることが確認され、実施例1〜2で採用するようなチタニアの担持方法によれば、担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となるとともに、チタニアの被覆率が80%以上となることも分かった。特に、実施例1と比較例5で採用した担体の製造方法が焼成温度のみが相違することを考慮すれば、担体を得る際に、水溶性チタン錯体を利用した場合には、600℃以上の温度での焼成を施すことにより、得られる担体の比表面積あたりのCO脱離量を0.04μmol/m以下とでき、更には、チタニアの被覆率を80%以上とすることができることが分かる。
また、表1及び図1〜3に示す結果からも明らかなように、アルミナの表面がチタニアで被覆されて比表面積あたりのCO脱離量(30℃から610℃までの間のCO脱離量)が0.04μmol/m以下となっている担体を利用した実施例1〜2で得られたCO酸化触媒においては、耐熱試験後において、200℃よりも低温の温度域から十分な触媒活性が得られており、他のCO酸化触媒(比較例1〜7)と比較して、耐熱試験後のCO酸化活性が非常に高度なものとなっていることが確認された。また、表1及び図1〜3に示す結果からも明らかなように、チタニアの被覆率が上がるにつれて触媒活性が向上することも確認された。このような結果から、アルミナの表面をチタニアが被覆し且つ比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となるような担体を利用した場合(実施例1〜2)には、低温からの触媒活性と高温耐久性とに優れ、高温に曝された後においても低温から十分にCOを酸化して浄化することが可能であり、更に、チタニアの被覆率を向上させることで、より高度な触媒活性が得られることが確認された。なお、このような実施例1〜2で得られたCO酸化触媒の結果は、アルミナの高い比表面積を活かしつつ、そのアルミナの表面を高効率でチタニアに被覆することにより達成されたものであると本発明者らは推察する。
また、表1及び図4に示す結果からも明らかなように、アルミナの表面をチタニアで被覆した担体を利用している実施例1〜2で得られたCO酸化触媒は、チタニアを含まない担体を利用した比較例1で得られたCO酸化触媒と比較して、硫黄被毒再生試験後も十分に高度なCO酸化活性を維持できていることが確認された。
以上のような結果から、本発明のCO酸化触媒は、800℃以上の高温に晒された後においても、低温から十分に高いCO酸化活性を維持することができ、更には、排ガス中に含まれるSOxの被毒による劣化も十分に抑制されており、硫黄被毒後においても十分に高いCO酸化活性を維持することができることも確認された。
以上説明したように、本発明によれば、低温からの触媒活性と高温耐久性とに優れ、高温に曝された後においても低温から十分にCOを酸化して浄化することが可能であるとともに、硫黄被毒による触媒活性の低下も十分に抑制することが可能なCO酸化触媒及びその製造方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明のCO酸化触媒は、SOxの被毒による劣化を十分に防止しながら、酸化雰囲気の排ガス中のCOを低温から十分に酸化して除去することが可能であるため、ディーゼルエンジン等の内燃機関からの排気ガス中のCO等の有害成分を酸化して浄化するための触媒等として特に有用である。

Claims (6)

  1. 排ガス中の一酸化炭素を酸化して浄化するためのCO酸化触媒であって、
    担体と該担体に担持された酸化銅とを備えていること、
    前記担体が、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体であり、且つ、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となるものであること、及び
    前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上であること、
    を特徴とするCO酸化触媒。
  2. 前記担体中のチタニアの含有量が20〜90質量%であることを特徴とする請求項1に記載のCO酸化触媒。
  3. 前記担体が、アルミナの表面の80%以上をチタニアが被覆してなる担体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のCO酸化触媒。
  4. 前記担体の比表面積が20〜500m/gであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のCO酸化触媒。
  5. 水溶性チタン錯体の溶液にアルミナを接触させた後、600℃以上の温度で焼成することにより、アルミナの表面をチタニアが被覆してなる担体を得る工程と、
    前記担体に酸化銅を、前記酸化銅の担持量がCuO換算で前記担体及び前記酸化銅の総量に対して2.0質量%以上となるようにして担持せしめることによりCO酸化触媒を得る工程と、
    を含むことを特徴とするCO酸化触媒の製造方法。
  6. 前記担体が、30℃から610℃の温度範囲における該担体の比表面積あたりのCO脱離量が0.04μmol/m以下となるものであることを特徴とする請求項5に記載のCO酸化触媒の製造方法。
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