JP2014199049A - 真空ポンプ - Google Patents

真空ポンプ

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Abstract

【課題】静翼部が動翼部に接触するのを防止する。【解決手段】静翼部70を構成する分割静翼部70A、70Bは、円周方向に配列された複数のステータ翼71を備えている。ステータ翼71は、内周側の翼高さhiが外周側の翼高さhoよりも小さく形成されている。ステータ翼71には、内周側が吸気口15側に向けて浮き上がる方向に折曲された外周縁73aが形成されている。【選択図】図2

Description

この発明は、動翼部と静翼部とで構成された排気部を有する真空ポンプに関する。
ターボ分子ポンプ等の真空ポンプは、ケーシング部材とベース部材とにより構成されるポンプ容器内において、多段に配列された動翼部を有するロータを高速に回転し、動翼部と、動翼部の各段の間に配列された静翼部とにより気体分子を吸気口側から排気ポート側に移送する。
各段の動翼部はロータ翼を有し、各段の静翼部はステータ翼を有する。各静翼部は、静翼部の外周側に配設されたスペーサにより所定の間隔に支持される。静翼部は、一対の半割のリング状部材を組み合わせて1つの輪状に形成される。つまり、半割のリング状部材の径方向における2つの側端面を相互に突き合わせて1つの輪を形成する。ロータ翼およびステータ翼は、ロータの回転面に対して傾斜して形成されており、ロータ翼とステータ翼とは所定寸法の隙間が設けられている。
静翼部を作製する方法としては、機械加工により形成する方法と、塑性加工により形成する方法とがあるが、塑性加工により作製する方法はコスト面で有利である。
塑性加工により作製する方法では、板金をプレス加工して、所定の傾斜角度で円周方向に沿って配列された複数のステータ翼を内周側縁部である内周リムと外周側縁部である外周リムにより連結するように作製する(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−144694号公報
加工時のばらつきにより、スペーサにより支持された静翼部は、外周リム側に対して内周リム側がロータの軸方向に変位する。この変位により、静翼部が動翼部に接触する可能性が生じる。
本発明の好ましい実施形態による真空ポンプは、多段に配置され、それぞれが複数のロータ翼を有する複数の動翼部と、動翼部の間に配置され、外周リムがスペーサを介して支持され、それぞれが複数のステータ翼を有する複数の静翼部とを備え、複数の静翼部の少なくとも1つの静翼部では、その静翼部に設けた複数のステータ翼の内周側の翼高さが外周側の翼高さより小さく設定され、当該静翼部は、その内周側が吸気口側に向けて浮き上がるようにスペーサで支持されている。
好ましくは、静翼部は、内周リムと外周リムとを含み、ステータ翼は、内周リムと外周リムの間に設けられ、外周リムの外周縁が外周リムからステータ翼の上面方向に所定の傾斜角度で折曲されることにより、内周リムが吸気口側に浮き上がっていることが生産コスト低減の観点から好ましい。
好ましくは、外周縁に対する内周リムの先端の浮き上がり高さsは、ステータ翼の外周側の翼高さをho、ステータ翼の内周側の翼高さをhiとした場合、(ho−hi)>sの関係を満たす。
この発明によれば、静翼部は、その内周側が吸気口側に向けて浮き上がった状態で支持される。静翼部に設けられたステータ翼は、外周側の翼高さが内周側の翼高さより大きく、ステータ翼の内周側では、吸気口側である上段側の動翼部との隙間の方が、下段側の動翼部との隙間より大きい。ステータ翼の内周側が、隙間の大きい上段側の動翼部側に変位した状態で支持されることになるので、動翼部との接触を確実に防止することができる。
この発明に係る真空ポンプの一実施の形態としてのターボ分子ポンプの断面図。 図1における領域IIの拡大図。 静翼部の平面図。 図3におけるIV−IV線断面図。 (a)は図3における領域Vの拡大斜視図、(b)はステータ翼を内周側から見た図、(c)はステータ翼を外周側から見た図。 静翼部の製造方法を説明するための半円板プレートの平面図。 図6に続く工程を説明するための半円板プレートの平面図。 図7における領域VIIIの拡大図。 (a)はパンチの平面図、(b)はパンチの斜視図。 (a)はダイの平面図、(b)はダイの斜視図。 パンチPUおよびダイDIを用いて、絞り加工によりステータ翼を作製する方法を説明するための図であり、(a)は図3におけるXIa−XIa線で切断した絞り加工時における断面図、(b)は図3におけるXIb−XIb線で切断した絞り加工時における断面図。 本発明の静翼部要部における実施形態2の拡大斜視図。 本発明の静翼部要部における実施形態3の拡大斜視図。
−実施形態1−
以下、図面を参照して本発明に係る真空ポンプを、ターボ分子ポンプを一実施の形態として説明する。
(真空ポンプ全体構成)
図1はターボ分子ポンプ1の断面図であり、図2は図1における領域IIの拡大図である。
ターボ分子ポンプ1は、ケーシング部材12と、ケーシング部材12に固定されたベース13とにより形成されたポンプ容器11を備えている。
ケーシング部材12は、ほぼ円筒形状を有し、例えば、SUSにより形成され、上端部に上部フランジ21が形成されている。ケーシング部材12の上部フランジ21の内方には円形状の吸気口15が形成されている。上部フランジ21には、円周方向に沿って、ほぼ等間隔にボルト挿通用の貫通孔22が形成されている。ターボ分子ポンプ1は、上部フランジ21の貫通孔22にボルト92を挿通して、半導体製造装置等の外部装置に取り付けられる。
ポンプ容器11内には、ロータ4およびロータ4の軸芯に同軸で取り付けられたロータシャフト5が収容されている。ロータ4とロータシャフト5とは、ボルト91により固定されている。
ロータ4は、ロータ上部4Aと、ロータ上部4Aの下面に接合されたロータ下部円筒部4Bとを備えている。ロータ上部4Aは、例えば、アルミニウム合金により形成されている。ロータ上部4Aには、放射状に形成され、円周方向に配列された複数の動翼部6がロータ4の軸方向に間隔をおいて、複数段に配列されている。動翼部6は、動翼部6の回転
面に対し、所定の傾斜角度で形成されている。動翼部6の各段の間には静翼部70が配置されている。
詳細は後述するが、静翼部70は、円周方向に沿って配列された複数のステータ翼71(図5参照)を有する半割のリング状部材を一対組み合わせて1つの輪状に形成されている。各静翼部70は、ケーシング部材12の内周面に沿って配置されたリング形状のスペーサ8により挟持され、多段(図示の例では7段)に積層されている。最上段のスペーサ8は、その上面がケーシング部材12の上部フランジ21の内面側の内部上壁部21aに当接し、最下段のスペーサ8は、その下面がベース13の上部フランジ13aの上面に設けられた突出部13a1に当接している。このため、各静翼部70は、ケーシング部材12の内部上壁部21aとベース13の上部フランジ13aの上面との間で、スペーサ8を介して回転軸方向の力を与えられて支持されている。このようにして、動翼部6と静翼部70とが交互に多段に積層されて高真空用の翼排気部が構成されている。
ロータ下部円筒部4Bの外周側には、リング状のねじステータ9がボルト94によりベース13に固定されている。ねじステータ9には、ねじ溝部9aが形成されている。ロータ4のロータ下部円筒部4Bとねじステータ9とにより、低真空用のねじ溝排気部が構成されている。
なお、図1においては、ねじ溝部9aがねじステータ9に形成された構造として例示されているが、ねじ溝部9aをロータ下部円筒部4Bの外周面に形成してもよい。
ベース13は、例えば、アルミニウム合金により形成され、ベース13の中央部には、ロータシャフト5を挿通する円形の中空部が形成された中央筒部14が形成されている。中央筒部14の内側には、モータ35、ラジアル磁気軸受31(2箇所)、スラスト磁気軸受32(上下一対)、ラジアル変位センサ33a、33bとアキシャル変位センサ33c、メカニカルベアリング34、36およびロータディスク38が取り付けられている。
ロータシャフト5は、ラジアル磁気軸受31(2箇所)およびスラスト磁気軸受32(上下一対)によって非接触に支持される。ロータシャフト5の回転時の位置は、ラジアル変位センサ33a、33bおよびアキシャル変位センサ33cによって検出された径方向の位置と軸方向の位置とに基づいて制御される。磁気軸受31、32によって回転自在に磁気浮上されたロータシャフト5は、モータ35により高速回転駆動される。ロータシャフト5が回転駆動されることにより、ロータシャフト5に連結されたロータ上部4Aが回転し、すべての動翼部6が一体的に回転する。
メカニカルベアリング34、36は非常用のメカニカルベアリングであり、磁気軸受31、32が作動していない時にはメカニカルベアリング34、36によりロータシャフト5が支持される。
ベース13には、排気ポート16が設けられ、排気ポート16には、排気口16aが設けられている。
ケーシング部材12の下部フランジ23とベース13の上部フランジ13aとがシール部材42を介在してボルト93により固定され、ポンプ容器11が構成される。
以上説明したように、実施形態の真空ポンプは、多段に配置された動翼部6間にスペーサ8により支持された静翼部70がそれぞれ配置されて成る排気機能部を有する真空ポンプである。
以下、詳細に静翼部70について説明する。
(静翼部70の説明)
図3は図1に図示された静翼部70の平面図、図4は図3におけるIV−IV線断面図
、図5(a)は図3における領域Vの拡大斜視図、(b)はステータ翼を内周側から見た図、(c)はステータ翼を外周側から見た図である。
静翼部70は、半割のリング状部材である2つの分割静翼部70A,70Bを組み合わせて構成されている。分割静翼部70A,70Bは同一形状である。各分割静翼部70A、70Bは、中央部に開口79を有し、平面視で半環状体(以下、便宜上、半円形形状とも表記する)である。分割静翼部70A,70Bは、外周リム73と、内周リム72と、外周リム73と内周リム72との間において周方向に所定の幅で放射状に延在する複数のステータ翼71とを備えている。
(ステータ翼71の詳細な説明)
詳細は後述するが、この実施形態のステータ翼71は絞り加工により作製される。図4および図5に図示されるように、分割静翼部70A、70Bに形成された各ステータ翼71は、外周リム73と内周リム72との間において周方向に所定の幅で放射状に延在し、静翼部本体70Hに対して所定の翼角度で傾斜して複数の排気開口78を形成する。すなわち、ステータ翼71は、静翼部本体70Hの面上において、半径方向に直線的に延在する折り曲げ部70Rにおいて静翼部本体70Hから立ち上がって接続され、静翼部本体70Hと反対側の先端側部77側において、ステータ翼71は静翼部本体70Hから切り離されている。ステータ翼71は、先端側部77における静翼部本体70Hからの高さ、すなわち翼高さは、内周側よりも外周側において高く形成されている。
ステータ翼71は、平面視において半径方向に細長い矩形形状を呈している。この矩形形状は、折り曲げ部70Rの長辺と、先端側部77の長辺と、外周側端部71Soの短辺と、内周側端部71Siの短辺とにより構成される。
分割静翼部70A、70Bは、それぞれ、ステータ翼71の内周側端部71Siを内周リム72に接続する内周側支持部75と、ステータ翼71の外周側端部71Soを外周リム73に接続する外周側支持部76とを備えている。
内周側支持部75は、ステータ翼71の内周側端部71Siの全長に亘り形成されている。外周側支持部76は、ステータ翼71の外周側端部71Soの一部に対応して形成されている。すなわち、外周側支持部76は、ステータ翼71の静翼部本体70Hから折れ曲がる折り曲げ部70Rから先端側部77の中間まで設けられ、先端側には切欠Kが設けられている。切欠Kは、先端側部77と静翼部本体70Hとの間に設けられた排気開口78に連通している。
上述した如く、各ステータ翼71は、外周リム73に接続された外周側支持部76および内周リム72に接続された内周側支持部75により支持されているので大きな剛性を有している。また、翼高さは内周側よりも外周側が大きいが、外周側端部71Soには、先端側部77側に切欠Kが形成されているので、絞り加工の際、外周側支持部76に亀裂が発生するのを抑制することができる。
図5に図示されるように、分割静翼部70Aは、外周縁73a、すなわち外周リム73の外周縁のスペーサ挟持領域がステータ翼71側に向けて折曲されている。
図2は、静翼部70の外周縁73aを、ケーシング部材12の内部上壁部21aとベース13の上部フランジ13aの上面との間で、スペーサ8を介して支持した状態を示している。各分割静翼部70A、70Bは、外周縁73aをスペーサ8により挟持されることにより、内周リム72側が、吸気口15側、換言すれば、上段側の動翼部6側に向けて浮き上がって支持されている。
図2に示されるように、分割静翼部70A、70Bは、外周側におけるステータ翼71の上面と上段側の動翼部6の下面との隙間doと、外周側における静翼部本体70Hの下面と下段側の動翼部6の上面との隙間dとが、ほぼ等しくなるように設定されている。上述した如く、分割静翼部70A、70Bのステータ翼71の翼高さは、内周側の翼高さh
iの方が外周側の翼高さh0よりも小さい。つまり、ステータ翼71の内周側の上面と上段側の動翼部6の下面との隙間diは、外周側におけるステータ翼71の上面と上段側の動翼部6の下面との隙間d0より大きい。
各分割静翼部70A、70Bの内周リム72側を浮き上がらせることは、静翼部本体70Hの下面と下段側の動翼部6の上面との隙間dを拡げ、ステータ翼71の上面と上段側の動翼部6の下面との隙間diを狭めることになる。しかし、もともと、内周側におけるステータ翼71の上面と上段側の動翼部6の下面との隙間diは大きく、余裕がある。つまり、分割静翼部70A、70Bの内周側を浮き上がらせることは、ステータ翼71を、ステータ翼71と上下段の動翼部6との隙間が均等になる方向に変位させることになる。このため、分割静翼部70A、70Bと動翼部6との接触を防止することができる。
図2に図示されるように、分割静翼部70A、70Bにおける静翼部本体70Hの外周縁73aに対する内周側の浮き上がり高さsは、ステータ翼71の外周側の翼高さをho、ステータ翼71の内周側の翼高さをhiとした場合、
(ho−hi)>s
の関係を満たすようにする。この条件を満たす限り、ステータ翼71の内周側における上面と上段側の動翼部6の下面との隙間diが、外周側におけるステータ翼71の上面と上段側の動翼部6の下面との隙間d0より小さくなることは無く、動翼部6との接触を確実に防止することができる。
(分割静翼部の製造方法)
次に、図6〜図11を参照して、分割静翼部70A、70Bの製造方法について説明する。
分割静翼部70Aと70Bとは、同一の製造方法により作製される。ここでは、分割静翼部70Aを代表として、その製造方法を説明する。
この製造方法は、半円板プレート70Pを準備する工程と、半円板プレート70Pに放射状の切込み線81を形成する工程と、半円板プレート70Pの放射状切込み線81の最外周部に周方向に開口82を形成する工程と、ステータ翼71を絞り加工で形成する工程と、半円板プレートPの外周縁73aを折曲する工程とを備えている。
先ず、内周側に半円形の開口79が設けられた金属製の半円形部材である半円板プレート70Pを準備する。半円板プレート70Pの素材はアルミニウ合金、ステンレス鋼等を使用することができる。
図6に図示されるように、半円板プレート70Pに複数の直線状の切込み線81を放射状に形成する。切込み線81は、プレス加工あるいはエッチング加工により形成することができる。切込み線81は、絞り加工後に先端側部77となるものである。
次に、図7に示すように、各切込み線81の外周側の端部に半円板プレート70Pの外周面74に沿うほぼ矩形状の開口82を形成する。開口82は、プレス加工により形成すると効率的であるが、エッチング加工により形成してもよい。開口82は、絞り加工後に切欠きKとなる。
そして、ダイとパンチにより半円板プレート70Pからステータ翼71を絞り加工する。以下、図8〜図11を参照して絞り加工について詳細に説明する。
図8は図7における領域VIIIの拡大図である。図8において、ハッチングで示す領域76aは、絞り加工により、静翼部本体70Hと外周リム73とを接続する外周側支持部76となる領域である。開口82の長さloは、ステータ翼71の外周側端部71So全体の長さLの半分未満とすることが望ましい。
図9(a)はパンチの平面図であり、図9(b)はパンチの斜視図であり、図10(a)はダイの平面図であり、図10(b)はダイの斜視図である。また、図11(a)、図11(b)は、パンチPUおよびダイDIを用いて、絞り加工によりステータ翼71を形成する方法を説明するための図であり、図11(a)は図3におけるXIa−XIa線で切断した絞り加工時における断面図であり、図11(b)は図3におけるXIb−XIb線で切断した絞り加工時における断面図である。
図9(a)、(b)、図11(a)、(b)に図示されるように、パンチPUは、ステータ翼71の外周側支持部76を形成するための、外周リム73からステータ翼71の下面側に向かって突設する傾斜部PU1を有する。また、ステータ翼71の内周側支持部75を形成するための、内周リム72からステータ翼71の下面側に向かって突設する傾斜部PU2を有する。パンチPUは、各ステータ翼71の静翼部本体70Hの折り曲げ部70Rから先端側部77に向かって突設するとともに、内周リム72から外周リム73に向かって上り勾配に形成されている傾斜面PU3aを有するパンチ本体部PU3を備えている。また、パンチ本体部PU3における先端側部77に対応する位置には、ロータシャフト5の軸方向とほぼ平行な突合端部PU3bが形成されている。突合端部PU3bは、ステータ翼71の先端側部77を静翼部本体70Hから分離するためのものである。
図10(a)、(b)、図11(a)、(b)に図示されるように、ダイDIは、ステータ翼71の外周側支持部76を形成するための、外周リム73からステータ翼71の上面側に向かって凹設する傾斜部DI1を有する。また、ステータ翼71の内周側支持部75を形成するための、内周リム72からステータ翼71の上面側に向かって凹設する傾斜部DI2を有する。ダイDIは、各ステータ翼71の静翼部本体70Hの折り曲げ部70Rから先端側部77に向かって凹設するとともに、内周リム72から外周リム73に向かって下り勾配に形成されている傾斜面DI3aを有するダイ本体部DI3を備えている。また、ダイ本体部DI3における先端側部77に対応する位置には、ロータシャフト5の軸方向とほぼ平行な突合端部DI3bが形成されている。側端部DI3bは、ステータ翼71の先端側部77を静翼部本体70Hから分離するためのものである。
ダイDI1上に半円板プレート70Pをセットし、パンチPUを矢印方向に押し出して半円板プレート70Pを絞り加工し、ステータ翼71を作製する。この絞り加工において、図8の斜線の領域76aに3次元的な塑性流動が生じて外周側支持部76が形成される。領域76aが塑性変形することにより、開口82が平面形状から翼高さ方向に3次元的に変形して切欠きKが形成される。
また、半円板プレート70Pに形成した切込み線81が先端側端部77となるように折り曲げ部70R(図6参照)から静翼部本体70Hが傾斜状に立ち上げられてステータ翼71が形成される。立ち上げられたステータ翼71の先端側部77と静翼部本体70Hとの間の空間は、排気開口78(図5参照)となる。また、ステータ翼71の外周側部に形成された切り欠きKは、排気開口78に連続して繋がって形成される。
この後、プレス加工により、静翼部本体70Hの外周縁73aをステータ翼71側に向けて折り曲げる。これにより、分割静翼部70A、70Bが形成される。
通常、ステータ翼71の上面と上段側の動翼部6の下面との隙間doおよび静翼部本体70Hの下面と下段側の動翼部6の上面との隙間dは、0.5〜1.0mm程度である。また、ステータ翼71における外周側の翼高さhoと内周側の翼高さhiとの差(ho−hi)は1.5〜2.0mm程度である。外周縁73aの折曲角度は、ステータ翼71の内周側における浮き上がり量が、1.5〜2.0mmを超えない角度にする。
以上説明した通り、上記一実施の形態によれば下記の効果を奏する。
本発明による真空ポンプでは、静翼部70は、その内周側が、ロータシャフト5の軸方向上方側、換言すれば、吸気口15側に向けて浮き上がるように外周縁73aが支持されており、静翼部70は、浮き上がった状態で支持される。静翼部70に設けられたステータ翼71は、外周側の翼高さh0が内周側の翼高さhiより大きく、ステータ翼71の内周側では、吸気口15側である上段側の動翼部6との隙間diの方が、下段側の動翼部6との隙間dより大きい。ステータ翼71の内周側は、隙間diの大きい上段側の動翼部6側に変位された状態で支持されることになるので、動翼部6との接触を、確実に防止することができる。
分割静翼部70Aの外周縁73aは、塑性加工である板金により折曲するようにした。従って、生産性が良く、コスト面で有利である。
−実施形態2−
図12は、本発明の静翼部要部における実施形態2の断面図である。
実施形態2において、実施形態1と異なる点は、下記の通りである。
分割静翼部70Aにおいて、ステータ翼71と外周リム73とを接続する外周側支持部76Aは、内周側支持部75と同様に、ステータ翼71の外周側端部71Soの全長に亘り形成されている。すなわち、実施形態1に形成されていた先端側部77を外周側支持部76から分離するための切欠きKを備えていない。
外周側支持部76Aの翼高さが余り高くない場合には、ステータ翼71の先端側部77を外周側支持部76から分離するための切欠きKを設けずとも、外周側支持部76Aに亀裂が生じることがない。このため、ステータ翼71の外周側端部71Soの全長に亘り外周側支持部76Aを設けて、剛性をより高めることができる。
実施形態2においても、分割静翼部70Aの外周縁73aは、その内周側に対して、ステータ翼71側に向けて折曲されている。このため、実施形態1と同様に、ステータ翼71の内周側は、隙間diの大きい上段側の動翼部6側に変位された状態で支持されることになるので、動翼部6との接触を、確実に防止することができる。
その他は、実施形態1と同様であり、対応する構成に同一の符号を付して説明を省略する。
−実施形態3−
図13は、本発明の静翼部要部における実施形態3の断面図である。
実施形態3において、実施形態1とは次の点で相違する。
分割静翼部70Aにおいて、ステータ翼71の外周側端部71Soと外周リム73とを接続する外周側支持部76、およびステータ翼71の内周側端部71Siと内周リム72とを接続する内周側支持部75を備えていない。すなわち、各ステータ翼71の内・外周側端部71Si、71Soは、それぞれ、全長に亘り、内・外周リム72、73とは分離されている。
ステータ翼71の静翼部本体70Hからの翼高さが余り高くない場合には、内・外周側支持部75、76を設ける必要が無い。
これにより、金型を安価にし、かつ、生産効率を高くすることができる。
実施形態3においても、分割静翼部70Aの外周縁73aは、その内周側に対して、ステータ翼71側に向けて折曲されている。このため、実施形態1と同様に、ステータ翼71の内周側は、隙間diの大きい上段側の動翼部6側に変位された状態で支持されることになるので、動翼部6との接触を、確実に防止することができる。
その他は、実施形態1と同様であり、対応する構成に同一の符号を付して説明を省略す
る。
なお、静翼部70の外周縁73aを、内周側において吸気口15側に向けて浮き上がるように折曲するのは、ロータシャフト5の軸方向に多段に配設された静翼部70の中の少なくとも1段だけでよい(2段でも、3段でも、全段でもよい)。
上述した通り、静翼部70は、軸方向に多段に配設された静翼部70は、上段側の方が、下段側よりも翼高さが高く形成されている。
このため、実施形態1〜3に示した静翼部70を段毎に異なるものとしてもよい。例えば、上段から下段側に向けて、順に、実施形態1、実施形態2、実施形態3の静翼部70を配列することができる。また、最上段のステータ翼71aを機械加工により作製された静翼部70としてもよい。
上記一実施の形態では、最上段の静翼部70をスペーサ8により挟持する構造として例示したが、最上段の静翼部70の上面をケーシング部材12の内部上壁部21aで支持するようにしてもよい。また、最下段の静翼部70の下面をベース13の上部フランジ13aに設けた突出部13a1により支持する構造として例示したが、ベース13の上部フランジ13aにスペーサ8を搭載し、このスペーサ8により最下段の静翼部70の下面を支持するようにしてもよい。
分割静翼部70A、70Bの一部あるいは全体を機械加工により作製するようにしてもよい。特に、スペーサ8により支持される静翼部70の外周縁73aは、研削などにより静翼部本体70Hに対して傾斜する角度に形成してもよい。
また、分割静翼部70A、70Bは、半割でなく、複数に分割されたものであればよい。
上記一実施の形態では、真空ポンプとして翼排気部とねじ溝排気部を備えた複合型のターボ分子ポンプで例示した。しかし、本発明は、翼排気部のみを備える真空ポンプにも適用することができる。
その他、本発明は、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して適用することが可能である。すなわち、本発明は、動翼部と静翼部とにより構成された排気部を備え、静翼部は、静翼部本体に円周方向に配列され、外周側の翼高さが内周側の翼高さより大きい複数のステータ翼を有し、少なくとも静翼部の1つは、内周側が吸気口側に向けて浮き上がるように外周縁が支持されているものであればよい。
1 ターボ分子ポンプ
4 ロータ
6 動翼部
8 スペーサ
11 ポンプ容器
12 ケーシング部材
13 ベース部材
70 静翼部
70A、70B 分割静翼部
70H 静翼部本体
70P 半円板プレート
70R 折り曲げ部
71 ステータ翼
71Si 内周側端部
71So 外周側端部
72 内周リム
73 外周リム
73a 外周縁
75 内周側支持部
76 外周側支持部
77 先端側部
DI ダイ
PU パンチ

Claims (3)

  1. 多段に配置され、それぞれが複数のロータ翼を有する複数の動翼部と、前記動翼部の間に配置され、外周リムがスペーサ介して支持され、それぞれが複数のステータ翼を有する複数の静翼部とを有する排気部を備え、
    前記複数の静翼部の少なくとも1つの静翼部では、その静翼部に設けた複数のステータ翼の内周側の翼高さが外周側の翼高さより小さく設定され、
    当該静翼部は、その内周側が吸気口側に向けて浮き上がるように前記スペーサで支持されている真空ポンプ。
  2. 請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
    前記静翼部は、内周リムと前記外周リムとを含み、前記ステータ翼は、前記内周リムと前記外周リムの間に設けられ、
    前記外周リムの外周縁が前記外周リムから前記ステータ翼の上面方向に所定の傾斜角度で折曲されることにより、前記内周リムが吸気口側に浮き上がっている真空ポンプ。
  3. 請求項1または2に記載の真空ポンプにおいて、
    前記外周縁に対する前記内周リムの先端の浮き上がり高さsは、前記ステータ翼の外周側の翼高さをho、前記ステータ翼の内周側の翼高さをhiとした場合、
    (ho−hi)>s
    の関係を満たす真空ポンプ。
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