JP6236806B2 - 真空ポンプ - Google Patents
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Description
静翼部を作製する方法としては、機械加工により形成する方法と、塑性加工により形成する方法とがある。塑性加工により作製する方法はコスト面で有利である。
本発明の好ましい第1の実施形態による真空ポンプの静翼部は2枚以上の分割静翼部により構成され、分割静翼部の各々は周方向の両端部に突合端部を有し、各分割静翼部のそれぞれの突合端部を互いに突き合わせて静翼部が形成され、分割静翼部の各々は、スペーサで挟持される外周リムと、静翼部の内周側先端に位置する内周リムと、外周リムと内周リムとの間に設けられた複数のステータ翼とを有し、複数の分割静翼部が互いに突き合わされる外周リムの突合端部において、少なくとも一方の外周リムには、対向する他方の外周リムとの間に隙間を形成する切欠きが形成され、切欠きは、外周リムにおいて周方向に所定幅、径方向に所定長さであり、前記外周リムの外周側面の外部に開放されている矩形形状として設けられている。
本発明の好ましい第2の実施形態による静翼部は2枚以上の分割静翼部により構成され、分割静翼部の各々は周方向の両端部に突合端部を有し、各分割静翼部のそれぞれの突合端部を互いに突き合わせて静翼部が形成され、分割静翼部の各々は、スペーサで挟持される外周リムと、静翼部の内周側先端に位置する内周リムと、外周リムと内周リムとの間に設けられた複数のステータ翼とを有し、複数の分割静翼部が互いに突き合わされる外周リムの突合端部において、少なくとも一方の外周リムには、対向する他方の外周リムとの間に隙間を形成する切欠きが形成され、前記切欠きは、スペーサで挟持される径方向全域にわたり形成されており、前記外周リムの外周側面の外部に開放されている。
本発明の好ましい第3の実施形態による静翼部は2枚以上の分割静翼部により構成され、分割静翼部の各々は周方向の両端部に突合端部を有し、各分割静翼部のそれぞれの突合端部を互いに突き合わせて静翼部が形成され、分割静翼部の各々は、スペーサで挟持される外周リムと、静翼部の内周側先端に位置する内周リムと、外周リムと内周リムとの間に設けられた複数のステータ翼とを有し、複数の分割静翼部が互いに突き合わされる外周リムの突合端部において、少なくとも一方の外周リムには、対向する他方の外周リムとの間に隙間を形成する切欠きが形成され、切欠きは、外周リムの外周側面の外部に開放されている。
好ましい実施形態においては、第1乃至第3の実施形態における分割静翼部の各々は平板から同一形状に作製され、各分割静翼部の突合端部の一方においては、内周リムの突合端面と、外周リムの突合端面とが第1の突合せ面として形成され、突合端部の他方には、内周リムの突合端面と、外周リムの端面と、内周リムと外周リムとを接続するブリッジの端面とが第2の突合せ面として形成され、第1の突合せ面と第2の突合せ面が互いに当接して静翼部を形成する。
好ましい実施形態においては、上記いずれかの実施形態における複数の分割静翼部が突合される内周リムの少なくとも一方の端面には、当該内周リムから屈曲された屈曲部が設けられている。このような構成は、突き合わせの作業性を効率的にする観点から好ましい。
以下、図面を参照して本発明に係る真空ポンプを、ターボ分子ポンプを一実施の形態として説明する。
(真空ポンプ全体構成)
図1はターボ分子ポンプ1の断面図であり、図2は図1における領域IIの拡大図である。
ターボ分子ポンプ1は、ケーシング部材12と、ケーシング部材12に固定されたベース13とにより形成されたポンプ容器11を備えている。
ケーシング部材12は、ほぼ円筒形状を有し、例えば、SUSにより形成され、上端部に上部フランジ21が形成されている。ケーシング部材12の上部フランジ21の内方には円形状の吸気口15が形成されている。上部フランジ21には、円周方向に沿って、ほぼ等間隔にボルト挿通用の貫通孔22が形成されている。ターボ分子ポンプ1は、上部フランジ21の貫通孔22にボルト92を挿通して、半導体製造装置等の外部装置に取り付けられる。
静翼部70は、半割のリング状部材を一対組み合わせて1つの輪状に形成されている。各静翼部70は、ケーシング部材12の内周面に沿って配置されたリング形状のスペーサ8により挟持され、多段(図示の例では7段)に積層されている。最上段のスペーサ8は、その上面がケーシング部材12の上部フランジ21の内面に当接し、最下段のスペーサ8は、その下面がベース13の上部フランジ13aの上面に当接している。このため、各静翼部70は、ケーシング部材12の上部フランジ21の内面とベース13の上部フランジ13aの上面との間で、スペーサ8を介して回転軸方向の力を与えられて支持されている。このようにして、動翼部6と静翼部70とが交互に多段に積層されて高真空用の翼排気部が構成されている。
なお、図1においては、ねじ溝部9aがねじステータ9に形成された構造として例示されているが、ねじ溝部9aをロータ下部円筒部4Bの外周面に形成してもよい。
メカニカルベアリング34、36は非常用のメカニカルベアリングであり、磁気軸受31、32が作動していない時にはメカニカルベアリング34、36によりロータシャフト5が支持される。
ケーシング部材12の下部フランジ23とベース13の上部フランジ13aとがシール部材42を介在してボルト93により固定され、ポンプ容器11が構成される。
以下、詳細に静翼部70について説明する。
図3は、図1に図示された静翼部70の平面図であり、図4は、図3における領域IVの拡大斜視図である。
静翼部70は、半割のリング状部材である2つの分割静翼部70A,70Bを組み合わせて構成されている。分割静翼部70A,70Bは同一形状である。各分割静翼部70A、70Bは、中央部に開口83を有し、平面視で半環状体(以下、便宜上、半円形形状とも表記する)である。分割静翼部70A,70Bは、外周リム73aと、内周リム72aと、外周リム73aと内周リム72aとの間において周方向に所定の幅で放射状に延在する複数のステータ翼71とを備えている。
分割静翼部が設計値通りに製作された場合は、突合端部FA1と突合端部FB2の突合せ面と、突合端部FA2と突合端部FB1の突合せ面を結ぶ直線は、分割静翼部70Aと70Bにより形成される真円の中心Oを通る。しかしながら、分割静翼部70A、70Bを塑性加工により作製する際、分割静翼部70A、70Bが、突合端部FA1とFA2間、または突合端部FB1とFB2間の円周長が設計寸法より長く形成されることがある。この場合、突合端部において両分割静翼部70A,70Bが重なったり、両突合端部同士の反力により静翼部70自身に反りが生じたりする惧れがある。
この隙間Sは、両突合端部間の円周長さの最大公差寸法α、分割静翼部により組み上がった静翼部70の外周面とスペーサ8の内周面との最大公差寸法βなどに基づいて決定される。
詳細は後述するが、この実施形態のステータ翼71は絞り加工により作製される。図4に図示されるように、分割静翼部70A、70Bに形成された各ステータ翼71は、外周リム73aと内周リム72aとの間において周方向に所定の幅で放射状に延在し、静翼部本体70Hに対して所定の翼角度で傾斜して複数の排気開口79を形成する。すなわち、ステータ翼71は、静翼部本体70Hの面上において、半径方向に直線的に延在する折り曲げ部70Rにおいて静翼部本体70Hから立ち上がって接続され、静翼部本体70Hと反対側の先端側部77側において、ステータ翼71は静翼部本体70Hから切り離されている。ステータ翼71は、先端側部77における静翼部本体70Hからの高さ、すなわち翼高さは、内周側よりも外周側において高く形成されている。
分割静翼部70A、70Bは、それぞれ、ステータ翼71の内周側端部71Siを内周リム72aまたは72bに接続する内周側支持部75と、ステータ翼71の外周側端部71Soを外周リム73aまたは73bに接続する外周側支持部76とを備えている。
内周側支持部75は、ステータ翼71の内周側端部71Siの全長に亘り形成されている。外周側支持部76は、ステータ翼71の外周側端部71Soの一部に対応して形成されている。すなわち、外周側支持部76は、ステータ翼71の静翼部本体70から折れ曲がる折り曲げ部70Rから先端側部77の中間まで設けられ、先端側には開口部78が設けられている。開口部78は、先端側部77と静翼部本体70Hとの間に設けられた排気開口79に連通している。
次に、図5〜図10を参照して、分割静翼部70A、70Bの製造方法について説明する。
分割静翼部70Aと70Bとは、同一の製造方法により作製される。ここでは、分割静翼部70Aを代表として、その製造方法を説明する。
この製造方法は、半円板プレート70Pを準備する工程と、半円板プレート70Pに放射状の切込み線81および外周リム73aの一方の端部73a1に切欠きKを形成する工程と、半円板プレート70Pの放射状切込み線81の最外周部に周方向に開口82を形成する工程と、ステータ翼71を絞り加工で形成する工程とを備えている。
図5に図示されるように、半円板プレート70Pに複数の直線状の切込み線81を放射状に形成する。また、同時に、あるいは別工程で、外周リム73aの一方の端部73a1に切欠きKを形成する。切込み線81の半径方向の長さは、ステータ翼71の半径方向の長さとなる。切込み線81および切欠きKは、プレス加工あるいはエッチング加工により形成することができる。切込み線81の縁部は、絞り加工後に先端側部77となるものである。
実施形態の真空ポンプでは、2枚の分割静翼部70A,70Bのそれぞれの突合端部FA1とFB2、および突合端部FB1とFA2を互いに突き合わせて円板状の静翼部70を形成している。分割静翼部70A,70Bの各々は、外周リム73aと、静翼部70の内周側先端に位置する内周リム72aと、外周リム73aと内周リム72aとの間に設けた排気開口79およびステータ翼71とを有する。ステータ翼71は、外周リム73aと内周リム72aとの間において周方向に所定の幅で放射状に延在し、静翼部本体70Hに対して所定の翼角度で傾斜して複数の排気開口79を形成する。複数の分割静翼部70A,70Bが互いに突き合わされる外周リム73a,73bの突合端部FA1,FB2(FB1,FA2)において、少なくとも一方の外周リム73a(73b)には、対向する他方の外周リム73b(73a)との間に隙間を形成する切欠きKが形成されている。
したがって、加工時のばらつきにより突合端部FA1とFA2間またはFB1とFB2間の円周長が設計寸法より長く形成された場合でも、静翼部70を組み立てる際、分割静翼部70Aと70Bの外周リム73aの端部が重なったり、反りが生じたりするのを抑制することができる。特に、外周部73aはスペーサによって挟持されるので、外周リム73aの端部が重なってしまうと、回転軸方向における静翼部70の位置決め精度が悪くなってしまったり、静翼部70が水平に配置されず傾いてしまったりするが、本実施形態においては外周リム73aの端部が重ならいので、静翼部70の位置決め精度を良くすることができ、静翼部70を水平に配置することができる。この効果は、上記特許文献1からは得ることができない独特の顕著な効果である。
図11は、本発明の静翼部要部における実施形態2の断面図である。
実施形態2において、実施形態1と異なる点は、下記の通りである。
(1)分割静翼部70A、70Bにおいて、ステータ翼71と外周リム73a、73bとを接続する外周側支持部76Aは、内周側支持部75と同様に、ステータ翼71の外周側端部71Soの全長に亘り形成されている。すなわち、実施形態1に形成されていた先端側部77を外周側支持部76から分離するための開口部78を備えていない。
(2)分割静翼部70A、70Bの内周リム72a、72bに、それぞれ、内周リム72a、72bの突合端部からほぼ直角に屈曲された屈曲部72a3、72b3を設けた。
その他は、実施形態1と同様であり、対応する構成に同一の符号を付して説明を省略する。
なお、分割静翼部70A、70Bに、それぞれ、屈曲部72a3、72b3形成した構造として例示したが、分割静翼部70A、70Bの一方にのみに屈曲部72a3、72b3を形成するようにしてもよい。
また、実施形態1の構造において、分割静翼部70A、70Bの両部材もしくは一方に屈曲部72a3、72b3を設けるようにしてもよい。
図12は、本発明の静翼部要部における実施形態3の断面図である。
実施形態3において、実施形態1と異なる点は、下記の通りである。
(1)分割静翼部70A、70Bにおいて、ステータ翼71の外周側端部71Soと外周リム73aとを接続する外周側支持部、およびステータ翼71の内周側端部71Siと内周リム72aとを接続する内周側支持部を備えていない。すなわち、各ステータ翼71の内・外周側端部71Si、71Soは、それぞれ、全長に亘り、内・外周リム72a、73a、または72b、73bとは分離されている。
(2)分割静翼部70A、70Bの中、一方の分割静翼部70Bのみが、内周リム72bに、内周リム72bからほぼ直角に屈曲された屈曲部72b3を備え、他方の分割静翼部70Aは、屈曲部を備えていない。
これにより、金型を安価にし、かつ、生産効率を高くすることができる。
その他は、実施形態1と同様であり、対応する構成に同一の符号を付して説明を省略する。
なお、実施形態3において、分割静翼部70A、70Bの内・外周周側部の一方のみに、内・外周支持部75、76を設け、他方には、内・外周支持部75、76を設けないようにしてもよい。
このため、実施形態1〜3に示した静翼部70を段毎に異なるものとしてもよい。例えば、上段側から下段側に向けて、順に、実施形態1の静翼部70、実施形態2の静翼部70、実施形態3の静翼部70を配列することができる。また、最上段のステータ翼71aを機械加工により作製された静翼部70としてもよい。
また、分割静翼部70A、70Bは、半割でなく、複数に分割されたものであればよい。
4 ロータ
6 動翼部
11 ポンプ容器
70 静翼部
70A、70B 分割静翼部
70H 静翼部本体
70P 半円板プレート
70R 折り曲げ部
70S 排気開口を形成するブリッジ
71 ステータ翼
71Si 内周側端部
71So 外周側端部
72a、72b 内周リム
73a、73b 外周リム
75 内周側支持部
76 外周側支持部
77 先端側部
78 開口部
79 排気開口
82 開口
K 切欠き
S 隙間
DI ダイ
PU パンチ
Claims (5)
- 多段に配置された動翼部間にスペーサにより挟持された静翼部がそれぞれ配置されて成る排気機能部を有する真空ポンプにおいて、
前記静翼部は2枚以上の分割静翼部により構成され、
前記分割静翼部の各々は周方向の両端部に突合端部を有し、各分割静翼部のそれぞれの突合端部を互いに突き合わせて前記静翼部が形成され、
前記分割静翼部の各々は、前記スペーサで挟持される外周リムと、前記静翼部の内周側先端に位置する内周リムと、前記外周リムと前記内周リムとの間に設けられた複数のステータ翼とを有し、
前記複数の分割静翼部が互いに突き合わされる外周リムの突合端部において、少なくとも一方の外周リムには、対向する他方の外周リムとの間に隙間を形成する切欠きが形成され、前記切欠きは、前記外周リムにおいて周方向に所定幅、径方向に所定長さであり、前記外周リムの外周側面の外部に開放されている矩形形状として設けられている、真空ポンプ。 - 多段に配置された動翼部間にスペーサにより挟持された静翼部がそれぞれ配置されて成る排気機能部を有する真空ポンプにおいて、
前記静翼部は2枚以上の分割静翼部により構成され、
前記分割静翼部の各々は周方向の両端部に突合端部を有し、各分割静翼部のそれぞれの突合端部を互いに突き合わせて前記静翼部が形成され、
前記分割静翼部の各々は、前記スペーサで挟持される外周リムと、前記静翼部の内周側先端に位置する内周リムと、前記外周リムと前記内周リムとの間に設けられた複数のステータ翼とを有し、
前記複数の分割静翼部が互いに突き合わされる外周リムの突合端部において、少なくとも一方の外周リムには、対向する他方の外周リムとの間に隙間を形成する切欠きが形成され、前記切欠きは、前記スペーサで挟持される径方向全域にわたり形成されており、前記外周リムの外周側面の外部に開放されている真空ポンプ。 - 多段に配置された動翼部間にスペーサにより挟持された静翼部がそれぞれ配置されて成る排気機能部を有する真空ポンプにおいて、
前記静翼部は2枚以上の分割静翼部により構成され、
前記分割静翼部の各々は周方向の両端部に突合端部を有し、各分割静翼部のそれぞれの突合端部を互いに突き合わせて前記静翼部が形成され、
前記分割静翼部の各々は、前記スペーサで挟持される外周リムと、前記静翼部の内周側先端に位置する内周リムと、前記外周リムと前記内周リムとの間に設けられた複数のステータ翼とを有し、
前記複数の分割静翼部が互いに突き合わされる外周リムの突合端部において、少なくとも一方の外周リムには、対向する他方の外周リムとの間に隙間を形成する切欠きが形成され、前記切欠きは、前記外周リムの外周側面の外部に開放されている真空ポンプ。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空ポンプにおいて、
前記分割静翼部の各々は平板から同一形状に作製され、
前記各分割静翼部の突合端部の一方においては、前記内周リムの突合端面と、前記外周リムの突合端面が第1の突合せ面として形成され、前記突合端部の他方には、前記内周リムの突合端面と、前記外周リムの端面と、前記内周リムと前記外周リムとを接続するブリッジの端面とが第2の突合せ面として形成され、
前記第1の突合せ面と第2の突合せ面が互いに当接して前記静翼部を形成する真空ポンプ。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の真空ポンプにおいて、
前記複数の分割静翼部が突合される内周リムの少なくとも一方の端面には、当該内周リムから屈曲された屈曲部が設けられている真空ポンプ。
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