JP2014198807A - ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 押出発泡時に黒点が発生することを防ぎ、かつ基材樹脂であるポリスチレン系樹脂が分解して分子量の低下や黄変を抑制した難燃性に優れるポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法を提供する。【解決手段】 ポリスチレン系樹脂、難燃剤及び発泡剤を押出機に供給し、これらを押出機にて混練してなる発泡性溶融樹脂組成物を押出して押出発泡体を製造する方法において、難燃剤が、(1)ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体と(2)ビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物と(3)フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤とを含む溶融混練物であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法に関し、詳しくは、難燃性に優れると共に高い断熱性を有し、リサイクル性に優れるポリスチレン系樹脂押出発泡体であって、建築物の壁、床、屋根等の断熱材や畳芯材等に好適に使用され主に板状に形成されるポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
従来、ポリスチレン系樹脂材料に気泡調整剤を加え、押出機で加熱混練し、次いで物理発泡剤を該押出機中に圧入し更に混練し、これらの溶融混合物を高圧域から低圧域(通常は大気中)に押し出し、押出機のダイ出口に連結された賦形装置により板状に賦形して、高厚みのポリスチレン系樹脂押出発泡体(以下、押出発泡体又は発泡体ともいう。)を得る方法が知られている。
前記押出発泡体を建築用の断熱材として使用するには、例えば、JIS A 9511(2006R)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板の燃焼性規格を満足することが要求される。そのために、該押出発泡体中には難燃剤が添加されており、該難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDという。)が広く使用されてきた。HBCDは、汎用性があり、比較的少量の添加で難燃効果が得られる優れた難燃剤である。
しかし、HBCDに対しては化審法やREACHによる規制の動きがあり、規制対象物質に指定された場合を想定し、HBCD難燃剤を使用しない難燃剤代替押出発泡体製造技術の開発が求められている。
一方、前記押出発泡体の製造方法における発泡剤としては、従来、ジクロロジフルオロメタン等の塩化フッ化炭化水素(以下、CFCという。)が広く使用されてきたが、オゾンホール拡大の問題との関連性が疑われているCFCは使用が控えられ、オゾン破壊係数の小さい水素原子含有塩化フッ化炭化水素(以下、HCFCという。)やオゾン破壊係数が0(ゼロ)の水素原子含有フッ化炭化水素(以下、HFCという。)がCFCの代わりに用いられるようになった。また更に、地球温暖化の観点からHCFCやHFCに代わり、オゾン破壊係数が0(ゼロ)であるとともに、地球温暖化係数も小さいイソブタンやイソペンタン等の飽和炭化水素が用いられるようになった。
しかし、ブタンなどの飽和炭化水素は可燃性であることから、ポリスチレン系樹脂押出発泡体に十分な難燃性を付与するためには、HFC等の不燃性発泡剤を用いて製造する場合よりも多くの難燃剤を添加しなければならなくなった。多量の難燃剤が添加されると、押出発泡の安定性が著しく損なわれたり、得られた発泡板の物性が損なわれたりするという問題が新たに発生した。
上記の状況において、HBCD以外の優れた難燃剤を用いたポリスチレン系樹脂押出発泡体の検討がなされてきた。例えば、特許文献1に代表される臭素化ブタジエンポリマータイプのものが提案されている。
しかしながら、この臭素化ブタジエンポリマータイプの難燃剤は、熱安定性に劣り、またそれに起因して黒点の発生に問題のあるものであった。
このような臭素化ブタジエンポリマータイプの難燃剤の熱安定性を改善するために、該難燃剤にアルキルホスファイト及び/又はエポキシ化合物を含有させる方法も提案されている(例えば特許文献2)。
特開2009−516019号公報 特開2012−512942号公報
しかしながら、特許文献2の方法は、臭素化ブタジエンポリマータイプの難燃剤、アルキルホスファイト及び/又はエポキシ化合物の各々をミキサーで単にドライブレンドしたものを難燃剤として用いており、押出時の熱安定性は若干改善されるものの、依然として熱安定性が十分でなく、その押出条件によっては、押出発泡時の黒点の発生を完全に抑えきるには不十分なものであった。
本発明は、前記問題点に鑑み、難燃剤としてポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体を用いてポリスチレン系樹脂発泡体を製造する際に、押出発泡時に黒点が発生することを防ぎ、かつ押出時における基材樹脂であるポリスチレン系樹脂の分解による分子量の低下や黄変を抑制した、難燃性に優れるポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法を提供することを、その課題とするものである。
本発明によれば、以下に示すポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法が提供される。
<1>ポリスチレン系樹脂、難燃剤及び発泡剤を押出機に供給し、これらを押出機にて混練してなる発泡性溶融樹脂組成物を押出して押出発泡体を製造する方法において、難燃剤が、(1)ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体と(2)ビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物と(3)フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤とを含む、溶融混練物であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<2>前記溶融混練物は200℃以下で溶融混練されたものであることを特徴とする<1>に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<3>溶融混練物がペレット状にカットされていることを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<4>(1)のポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体100重量部に対して、(2)のビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物が5〜20重量部、(3)のフェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤が0.2〜20重量部配合されていることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<5>(1)ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体の配合量が前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<6>前記発泡剤が、(A)炭素数3〜5の飽和脂肪族炭化水素10〜80モル%と、(B)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、メタノール、エタノール、水、及び二酸化炭素の中から選択される1種又は2種以上の発泡剤90〜20モル%〔但し、(A)発泡剤と(B)発泡剤との合計量は100モル%〕からなることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
本発明においては、押出機、ミキサー等により、(1)ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体と(2)ビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物と(3)フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤とを含む、溶融混練物を予め作製し、該難燃剤溶融混練物とポリスチレン系樹脂を任意の割合で押出機に供給し、さらに発泡剤と混練して押出発泡させることで、難燃性に優れ、かつ黒点、黄変に代表される外観の不具合のない良好な発泡体を得ることを可能とした。
また、該難燃剤溶融物を用いることで、製造された押出発泡体や、その端材・スクラップを加熱溶融しリサイクル原料として再利用する際にもリサイクル原料の分子量の低下や黄変が抑制でき、かつ黒点の発生を抑制できる効果を有する。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法について詳細に説明する。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、ポリスチレン系樹脂と難燃剤と発泡剤を混練して得られる発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡する押出発泡体の製法が採用される。具体例としては、ポリスチレン系樹脂、難燃剤、必要に応じて気泡調整剤やその他の添加剤を押出機に供給して、加熱、混練し、更に発泡剤を該押出機中に圧入し、混練して得られた発泡性ポリスチレン系樹脂溶融組成物を、フラットダイを通して高圧の押出機内より低圧域(通常は大気中)に押出して発泡させ、該ダイの出口に配置された成形型〔平行あるいは入口から出口に向かって緩やかに拡大するよう設置された上下2枚のポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなる板で構成されるもの(以下、ガイダーとも言う。)〕や成形ロール等の成形具を通過させることによって板状に成形し、ポリスチレン系樹脂押出発泡体(以下、単に押出発泡体ともいう。)を製造する方法が挙げられる。本発明の製造方法においては、後述する特定の難燃剤を用いる以外の基本的な製造方法は、従来公知の押出発泡体の製造方法を利用できる。
本発明において押出機に供給されるポリスチレン系樹脂としては、例えばポリスチレンやスチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジメチルスチレン共重合体、スチレン−エチルスチレン共重合体、スチレン−ジエチルスチレン共重合体等が挙げられる。上記スチレン系共重合体におけるスチレン単位成分含有量は50モル%以上が好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。
上記ポリスチレン系樹脂としては、本発明の目的、効果が達成される範囲内において、その他の重合体を混合したものであってもよい。その他の重合体としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン系樹脂(エチレン単独重合体及びエチレン単位成分含有量が50モル%以上のエチレン共重合体の群から選択される1種、或いは2種以上の混合物)、ポリプロピレン系樹脂(プロピレン単独重合体及びプロピレン単位成分含有量が50モル%以上のプロピレン共重合体の群から選択される1種、或いは2種以上の混合物)、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−エチレン共重合体等が挙げられ、これらの他の重合体は、ポリスチレン系樹脂中で50重量%未満となるように、好ましくは30重量%以下となるように、更に好ましくは10重量%以下となるように、目的に応じて混合することができる。
本発明においては、(A)炭素数3〜5の飽和脂肪族炭化水素と以下に示す(B)他の発泡剤とを含有する混合発泡剤を用いることが、背景技術に記載した観点から好ましい。
前記(A)炭素数3〜5の飽和脂肪族炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。
上記の飽和脂肪族炭化水素は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
前記(A)[飽和脂肪族炭化水素の中では、発泡性の点からプロパン、n−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましい。また、発泡体の断熱性能の点からn−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましく、特に好ましくはi−ブタンである。
(B)他の発泡剤(B)としては、有機系物理発泡剤、及び無機系物理発泡剤を用いることができる。
前記有機系物理発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチルなどの蟻酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどの塩化アルキル類などが挙げられる。また、オゾン破壊係数が0、かつ地球温暖化係数の小さいトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンなどのフッ化不飽和炭化水素を用いることもできる。
前記無機系物理発泡剤としては、例えば水、二酸化炭素、窒素などが挙げられる。
上記の(B)他の発泡剤は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
前記(B)他の発泡剤の中では、発泡性、発泡体成形性などの点からは、塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、メタノール、エタノール、水、二酸化炭素が好ましい。
前記混合発泡剤においては、(A)飽和脂肪族炭化水素の配合割合が10〜80モル%であり、(B)他の発泡剤の配合割合が90〜20モル%〔但し、(A)発泡剤と(B)発泡剤との合計量は100モル%〕であることが好ましい。配合割合がこの範囲内の混合発泡剤を使用することにより、安全かつ安定的に高発泡倍率の押出発泡体の製造することができるようになると共に断熱性、難燃性に優れた押出発泡体を製造する上で好ましい。かかる観点から、(A)飽和脂肪族炭化水素30〜70モル%と(B)他の発泡剤70〜30モル%〔但し、(A)発泡剤と(B)発泡剤との合計量は100モル%〕とを含有する混合発泡剤がより好ましい。
本発明における発泡剤の添加量は、発泡性溶融樹脂組成物1kg中に、0.5〜2.5モルとなるように添加することが好ましく、0.8〜2.0モルがより好ましい。
本発明においては、難燃剤として、(1)ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体と(2)ビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物と(3)フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤とを含む、溶融混練物を用いることを特徴とする。
このような難燃剤溶融物は、(1)ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体と(2)ビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物と(3)フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤とを含む混合物を押出機やミキサー等に投入し、溶融混練させることにより作製される。
溶融混練時の樹脂温度は、使用する(1)難燃剤、(2)エポキシ化合物や(3)酸化防止剤の種類によって異なるが、難燃剤溶融物を作製する際に、(1)難燃剤の分解を効果的に抑制するためには溶融混練時の樹脂温度は低いほど好ましく、概ね200℃以下、好ましくは190℃以下とする。一方、上記観点からは、溶融混練時の樹脂温度の下限は特に制限されることはないが、安定して(1)〜(3)を溶融混練するためには概ね140℃以上とすることが好ましく、150℃以上とすることが好ましい。
また、溶融混練物は、計量性、取扱の容易性等から押出機からストランド状に押出した後、カットしてペレット化しておくことが好ましい。
本発明においては、このように予め作製した(1)〜(3)の溶融混練物を難燃剤とし、これをポリスチレン系樹脂に任意の割合で混合し押出機に供給し、さらに発泡剤を供給してこれらを混練して押出発泡させることで、難燃性に優れ、かつ黒点、黄変に代表される外観の不具合のない良好な発泡体を得ることができる。また、該難燃剤溶融物を用いることで、製造された押出発泡体や、その端材・スクラップを加熱溶融しリサイクル原料として再利用する際にもリサイクル原料の分子量の低下や黄変を抑制することができる。
この場合、特許文献2のように、(1)ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体と(2)ビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物と(3)フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤とを単にドライブレンドしただけの難燃剤を添加した場合には、後記比較例に示されるように、押出発泡時に黒点が発生し得られる発泡体中には多数の黒点が存在し、また発泡体が黄変するといった不具合が生じる。
この理由は現時点では定かではないが、つぎのように推測している。
ポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造する際に、難燃剤としてドライブレンドによる混合難燃剤を添加した場合、押出機内でポリスチレン系樹脂と混練されると、エポキシ化合物や酸化防止剤が、ポリスチレン系樹脂側にも分散してしまい、ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体に近接して存在しにくくなり、ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体の分解を効果的に抑制できなくなっており、その結果、押出発泡時に黒点が発生し、得られる発泡体中には多数の黒点が存在し、また発泡体が黄変するといった不具合が生じる。
これに対して、本発明の製造方法のように、難燃剤として予め溶融混練した混合難燃剤を添加した場合には、エポキシ化合物や酸化防止剤が、ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体に近接して存在していることにより、押出機内でポリスチレン系樹脂と混練されても、上記ドライブレンド法とは異なり、エポキシ化合物や酸化防止剤は、ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体に近接して存在するようになり、ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体の分解が効果的に抑制される。このため、黒点や黄変の発生が抑制されたポリスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。また、このように、黒点や変色の発生が抑制されたポリスチレン系樹脂押出発泡体を加熱溶融してリサイクル原料として再利用した場合にも、黒点や黄変がほとんどないポリスチレン系樹脂押出発泡体が得られる。
本発明において難燃剤として用いる前記(1)のポリスチレン−臭素化ポリブタジエン共重合体それ自体は従来公知のものであり、たとえば特許文献1や2で開示されるものがそのまま使用できる。
一般に、ポリスチレン-臭素化ポリブタジエン共重合体は下記一般式で表すことができる。
Figure 2014198807
(式中、X、Y及びZは、正の整数である。)
このようなポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合は、たとえばポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合を臭素化することにより製造される。
本発明で好ましく用いられるポリスチレン−臭素化ポリブタジエン共重体としては、Chemtura社のEmerald3000、ICL−IP社のFR122Pなどの市販品を挙げられる。
また、(1)の難燃剤の配合量は、押出機に投入されるポリスチレン系樹脂100重量部に対し、1〜10重量部、好ましくは1.5〜7重量部である。前記難燃剤の配合量が少なすぎる場合には十分な難燃化効果が得られず、多すぎる場合には押出発泡成形に悪影響となる虞がある。上記範囲内であれば、酸素指数および難燃性に優れ、良好なリサイクル性を有する押出発泡体をより容易に製造可能となる。
本発明で用いる(2)のビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物は、加工時に(1)のポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体から脱離した臭素に由来するHBrを捕捉する特徴を有するものであり、HBrによるポリスチレン系樹脂分解を抑制するために使用されるものである。ビスフェノール型エポキシ化合物は、臭素化されたビスフェノールA型エポキシ化合物、所謂臭素化エポキシ樹脂であることが好ましい。
このような、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物としては、たとえばICL−IP製F2200HM、DIC製EPICLONシリーズ、HUNTUMAN製Araldaite ECN1280等を挙げることができる。
(2)のエポキシ化合物は、(1)の難燃剤100重量部に対し1〜30重量部添加することが好ましく、更には5〜20重量部添加することがより好ましい。この量が少なすぎると熱安定剤としての機能を果たせず、多すぎると発泡性を阻害する可能性がある。
(3)のフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤は、加工時に(1)の臭素系難燃剤が分解して発生するハロゲンラジカルやハロゲンイオンを補足することにより、ポリスチレン系樹脂の分子量低下や着色を抑制することができるものである。上記観点から、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用することが好ましい。
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、押出安定性、難燃性の点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
前記ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、または4−ヒドロキシ−1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの脂肪族または芳香族カルボン酸エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも、押出安定性、難燃性の点から、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、又はビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
前記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデン−ビス(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4,−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、モノ(ジノニルフェニル)モノ−p−ノニルフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、テトラアルキル(C=12〜16)−4,4’−イソプロピリデン−(ビスフェニル)ジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(3−t−ブチル−6−メチル−4オキシフェニル)−3−メチルプロパントリホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマーなどがあげられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも、押出安定性の点から、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト又はビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイトが好ましい。
上記(3)の酸化防止剤の合計配合量としては、前記(1)の難燃剤100重量部に対して、概ね0.2〜20重量部、更に1〜15重量部の範囲が好ましい。
本発明においては、本発明の目的、効果を妨げない範囲において、前記(1)の難燃剤に他の難燃剤を混合して使用することができる。他の難燃剤として、例えば、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル))に代表される2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートおよびトリス(2,3−ジブロモプロピル)シアヌレートに代表される2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物、モノ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、ジ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、トリス(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレートに代表される臭素化イソシアヌレート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、スズ酸亜鉛、シアヌル酸、ペンタブロモトルエン、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等の窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛などの無機化合物、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、次亜リン酸塩等のリン系化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
本発明においては、(1)の難燃剤とともに、さらにジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ポリアルキルベンゼンから選ばれる少なくとも1種の剤を配合することで、酸素指数の向上効果をさらに高めることができる。該添加剤は上記(1)の難燃剤100重量部に対して、1〜20重量部配合されることが好ましく、2〜15重量部配合されることがより好ましい。
前記ジフェニルアルカンとしては具体的には、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、3,4−ジエチル−3,4−ジフェニルヘキサンが挙げられる。ジフェニルアルケンは具体的には、例えば、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテン、ポリアルキレンベンゼンは具体的には、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンが例示される。
本発明における(3)の酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤を主成分とするものであるが、必要に応じ、他の安定剤を併用することもできる。
このような安定剤としては、金属石鹸、有機スズ化合物、鉛化合物、ハイドロタルサイト、多価アルコール、β−ケトン、イオウ系化合物などの安定剤が挙げられる。
さらに、上記(1)〜(3)の溶融混練物には、本発明の目的、効果を妨げない範囲において、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂を配合することができる。その配合量は、上位溶融混練物中に20重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは10重量%、さらに好ましくは5重量%である。また、着色剤を配合しても良い。
本発明の製造方法において、発泡性溶融樹脂組成物には、難燃剤以外に、押出発泡体の平均気泡径を調整するために気泡調整剤を添加することができる。気泡調整剤としては、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、クレー、酸化アルミニウム、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物が例示される。また、本発明において該気泡調整剤は2種以上組合せて用いることもできる。前記各種の気泡調整剤の中で、得られる発泡体の気泡径の調整が容易で気泡径を小さくし易い等の理由でタルクが好適に用いられ、特に、粒子径の細かい平均粒径(光透過遠心沈降法による50%粒径)が0.5〜75μmのタルクが好ましい。
該気泡調整剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜7.5重量部、更に0.1〜5重量部の割合で添加されることが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記気泡調整剤、難燃剤以外にも、本発明の目的、効果を妨げない範囲において、グラファイト、ハイドロタルサイト、カーボンブラックやアルミニウム等の断熱性向上剤、着色剤、充填剤、滑剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。尚、上記気泡調整剤等の各種添加剤は、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂を基材とするマスターバッチとして添加しても良い。
本発明により得られる押出発泡体の密度は、優れた断熱性と機械的強度の観点から、20〜60kg/m、更に22〜50kg/mであることが好ましく、厚みは、5〜150mm、更に15〜100mmであることが好ましい。
本発明の方法によって製造されるポリスチレン系樹脂押出発泡体において、厚み方向の平均気泡径は、より高い断熱性を有する発泡体とする上で0.8mm以下、更に0.5mm以下であることが好ましい。尚、該気泡径が小さすぎる場合は、厚みが厚く、低見掛け密度の板状の押出発泡体を得ること自体が難しい。かかる観点から、厚み方向の平均気泡径は0.05mm以上、更に0.06mm以上、特に0.07mm以上であることが好ましい。
上記厚み方向の平均気泡径の測定方法は次のとおりである。まず、押出発泡体を幅方向に3等分し、分割した各測定用サンプルの幅方向中央部付近の幅方向垂直断面(押出発泡体の押出方向と直交する垂直断面)の顕微鏡拡大写真を得る。次いで、該拡大写真上において発泡体の厚み方向に沿って押出発泡体の全厚みに亘る直線を引き、その直線と交差する気泡の数を計数し、直線の長さ(当然のことながら、この長さは拡大写真上の直線の長さではなく、写真の拡大率を考慮した直線の長さを指す。)を計数された気泡の数で割ることによって、各直線上に存在する気泡の平均径Tn(直線の長さ/該直線と交差する気泡の数)を求め、求められた3箇所の平均径Tnの算術平均値を厚み方向の平均気泡径T(mm)とする。なお、押出発泡体の全厚みが1枚の顕微鏡拡大写真に納まらない場合には、数枚に分けて撮影すればよい。
本発明においては、前記押出発泡体を加熱融解して得られる再生ポリスチレン系樹脂組成物を、バージン原料のポリスチレン系樹脂、難燃剤と共に押出機中にて加熱、混練し、更に発泡剤を該押出機中に圧入して添加し、混練して得られる発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡することにより、押出発泡体を製造することができる。本発明の押出発泡体は、前記難燃剤(1)〜(3)の溶融混練物を難燃剤として用いて製造されたものであり、押出時加工時の熱安定性に優れているものであることから、その再生原料(再生ポリスチレン系樹脂組成物)は回収時における分子量低下、黄変の程度、黒点の発生が少ないものである。従って、該回収原料を用いることにより、前記押出発泡体を低コストで製造することができる。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例により限定されるものではない。
実施例及び比較例の押出発泡板を得るために、以下に示す装置及び材料を用いた。
[押出装置]
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、横断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結され、第2押出機の樹脂出口にはこれと平行するように設置された上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板により構成された賦形装置(ガイダー)が付設された装置を用いた。
[ポリスチレン系樹脂]
(1)ポリスチレン(PS1):重量平分子量27万
[タルク]
タルク(気泡調整剤)として松村産業製、ハイフィラー#12を用いた。
得られた押出発泡体について、以下の項目の測定及び評価を行った。
[密度]
JIS K7222(2005)に基づいて測定された見掛け全体密度である。
[燃焼性]
製造直後の押出発泡体を気温23℃、相対湿度50%の部屋に移し、その部屋で4週間放置した後、押出発泡体から試験片を無作為に5個切り出して(N=5)、JIS A9511(2006R)の5.13.1「測定方法A」に基づいて燃焼性を測定し、5個の試験片の平均燃焼時間により、押出発泡体の難燃性を評価した。
[黒点]
得られた発泡板の流れ方向に対し垂直に切断した断面部において、黒点の数を数えた。断面部の観察は任意に5箇所で測定し、その合計数を黒点の個数とした。
[発泡体の色調]
実施例、比較例で得られた押出発泡体の色調と、基準押出発泡体(難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを配合して製造された従来の押出発泡体)の色調を目視にて比較し、次の基準で評価した。
◎:基準発泡体と色調が変わらないもの
○:基準発泡体に比べわずかに黄色味がかっているもの
×:基準発泡体に比べ黄色味もしくは茶色味が著しく強いもの
(実施例1)
二軸押出機(内径20mm、L/D=48)を用い、溶融混練部の最高温度190℃、押出時の樹脂温度175℃となるよう温度を調整し、吐出10kg/hrでストランド状に押出しペレット状にカットすることにより、表1に示す配合の溶融混練物1の作製を行った。
PS1を100重量部、溶融混練物1を3.7重量部(ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体として3重量部となるように)、気泡調整剤としてタルクを1.8部、さらに発泡剤として発泡性溶融樹脂組成物1kgに対してイソブタン0.6mol、塩化メチル0.6molとなるように押出機に供給して混練して発泡性溶融樹脂組成物とし、該組成物を押出発泡し、賦形装置(ガイダー)で板状に賦形することにより、発泡体の製造を行った。
表3に示すように、黒点のない押出発泡板を良好に得られていることがわかる。また、発泡体の色調も基準発泡体とほとんど変わらない良好なものであった。
(実施例2)
実施例1で得られた発泡体を破砕し、その破砕物を内径90mm、L/D=50の単軸押出機に供給して最高温度220℃で混練し、その溶融樹脂を吐出量250kg/hrでストランド状に押出し、ペレット状にカットすることにより再生PS樹脂組成物のペレット(RPS1)を得た。
PS1を100重量部、再生PS樹脂組成物(RPS1)45重量部、溶融混練物1を3.7重量部(前記「PS1」100重量部に対しポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体3重量部となるように)、実施例1と同様の気泡調整剤、発泡剤を用い、発泡体の製造を行った。
表3に示すように、再生PS樹脂組成物を用いたものにおいても、黒点の発生がなく良好な発泡板を得られていることがわかる。また、発泡体の色調も基準発泡体とほとんど変わらない良好なものであった。
(実施例3)
実施例1と同様の製造方法で、表2に示す溶融混練物2を作製し、溶融混練物1の代わりに同量添加し、押出発泡体の製造を行った。
表3に示すように実施例1と同様、溶融混練物を難燃剤として用いたため、黒点の発生のないものを得ることができていることがわかる。また、発泡体の色調も基準発泡体とほとんど変わらない良好なものであった。
(実施例4)
実施例3で得られた発泡板を、実施例2と同様の方法にて再生PS樹脂組成物(RPS2)の作製を行い、RPS1をRPS2に変更した以外は実施例2と同じ配合で発泡体の製造を行った。
表3に示すように、再生PS樹脂組成物を用いたものにおいても、黒点の発生がなく良好な発泡板を得られていることがわかる。また、発泡体の色調も基準発泡体とほとんど変わらない良好なものであった。
(比較例1)
表1に示すものを溶融混練物の作製を行わず、実施例1と同様の配合でドライブレンドにて添加し、発泡体の製造を行った。
表4に示すように、難燃剤の分解を抑制できないためか、黒点が多量に発生してしまった。また、発泡体の色調は茶色に変色したものであった。
(比較例2)
表1に示すものを溶融混練物の作製を行わず、別々に実施例1と同様の配合となるように添加し、発泡体の製造を行った。
表4に示すように、比較例1と同様、黒点の発生が起こってしまうものであった。また、発泡体の色調も茶色に変色したものであった。
(比較例3)
難燃剤としてポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体(Emerald3000、Chemtura製)のみを3重量部用い、着色剤として緑色顔料を0.1重量部用いた以外は、実施例1と同様にして発泡体の製造を行なった。
表4に示すように、比較例1と同様、黒点の発生が起こってしまうものであった。また、発泡体の色調も黄色味が著しく強いものであった。
Figure 2014198807
*臭素化SBS:ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体
*Irganox1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
*PEP36:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト
Figure 2014198807
*臭素化SBS:ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体
*Irganox1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
*Ultanox626:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト
Figure 2014198807
Figure 2014198807

Claims (6)

  1. ポリスチレン系樹脂、難燃剤及び発泡剤を押出機に供給し、これらを押出機にて混練してなる発泡性溶融樹脂組成物を押出して押出発泡体を製造する方法において、
    難燃剤が、(1)ポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体と(2)ビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物と(3)フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤とを含む溶融混練物であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  2. 前記溶融混練物は200℃以下で溶融混練されたものであることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  3. 溶融混練物がペレット状にカットされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  4. (1)のポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体100重量部に対して、(2)のビスフェノール型エポキシ化合物及び/又はノボラック型エポキシ化合物が5〜20重量部、(3)のフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤から選択される1又は2以上の酸化防止剤が0.2〜20重量部配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  5. (1)のポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体の配合量が前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  6. 前記発泡剤が、(A)炭素数3〜5の飽和脂肪族炭化水素10〜80モル%と、(B)塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、メタノール、エタノール、水、及び二酸化炭素の中から選択される1種又は2種以上の発泡剤90〜20モル%〔但し、(A)発泡剤と(B)発泡剤との合計量は100モル%〕からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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