JP2014197921A - 突極形回転子の巻線方法及びその巻線方法を用いた突極形回転子 - Google Patents
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Abstract
Description
このような突極形回転子の従来の技術として、例えば、薄板を積層してなる回転子鉄心の突極部を貫通してコイル押さえ板が設けられ、コイルエンド部において、コイル押さえ板を利用してエナメル線の外形と略同寸法のピッチで溝を有する整列巻線用治具を取り付けて巻線作業を行い、巻線完了後に整列巻線用治具を取り外すようにした突極形回転子が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、コイル押さえ板は薄板を積層した回転子鉄心の長さ(例えば、300〜700mm)以上必要となり、材料使用量が多い上、回転子のラジアル方向に風が通り抜けることをコイル押さえ板で減少させてしまうため、更に冷却性能を向上させるためには別の手段が必要になるという課題もあった。
以下図に基づいて説明する。図1は、実施の形態1による突極形回転子に、巻枠治具を取り付けた状態を示す斜視図であり、図2は図1の突極形回転子のコイルエンド部に設けられる絶縁物の斜視図である。また、図3は巻線治具の内ガイドの斜視図、図4は巻線治具の外ガイドの斜視図、図5は外ガイドを固定する外ガイドベースの平面図である。
巻線時に巻線のガイドとなる巻枠治具として、内ガイド6と、外ガイド7及び外ガイド8と、内ガイド6と外ガイド7,8とを繋ぐ隙間空け棒9と、外ガイド7,8を一体に取り付ける外ガイドベース10とを備えている。
なお、図1において網掛けで示す部分は、回転子鉄心1の突極の胴部に巻回されるコイルを示しており、絶縁物3が見えるようにコイルエンド部は省略している。
図2は絶縁物3の詳細図である。絶縁物3の短絡板2に面する側は、短絡板2に嵌合する嵌合部3aとなっている。すなわち、嵌合部3aは、回転子鉄心1の軸方向両端部の突極の胴部において、胴部の位置にある短絡板2の部分に嵌合する凹部である。
嵌合部3aの反対面はコイルが巻かれる側であり、その巻方向の肩部には、巻回されるワイヤのピッチ(すなわち、略ワイヤの外径寸法)に合わせたピッチで複数の溝3bが形成されている。
また、絶縁物3の側面には、内ガイド6と外ガイド7,8とを取り付ける取付穴3cが、溝3bの方向と直交する方向に形成されている。この取付穴3cを有する面が、内ガイド6及び外ガイド7,8と当接する絶縁物3側の位置決め面3dである。
また、絶縁物3の溝面側(嵌合部3aの反対側)の溝方向中央部には、コイルが巻回されたとき、コイルに対して冷却用の隙間となる凹部3eが形成されている。凹部3eを設けることで、巻線作業終了後にコイルをワニスに含浸させる場合、この隙間を通してコイル内にワニスが入りやすくなるという利点もある。
また、溝3bのピッチ方向の両側に壁面を有し、回転子鉄心中心側の壁面の内側には、回転子鉄心1の突極の中心側に向けて薄くなる傾斜を有する導入溝3gが形成されている。導入溝3gは、凹部3eで隔てられた左右の壁面のそれぞれに設けられている。
更に、絶縁物3の凹部3eには、巻線時に外周側固定ボルト4とコイルとの干渉を防止するカバー部3fが設けられている。
図3は、内ガイド6の詳細図であり、図1に見える方向の反対側から見た斜視図である。図で下部側には、絶縁物3側の位置決め面3dが嵌め合わされる凹部が形成され、この分が内ガイド6の位置決め面6aであり、位置決め面6aには取付穴6bが設けられている。また、上部側は大きくU字状に切り欠かれており、切り欠かれたU字状部の対向面から外側に向けて、図で横方向に貫通する2個の貫通穴6cを有している。U字状部及び貫通穴6cは、隙間空け棒9を取り付けるための空間とその取付穴である。更に、U字状部の底面中央に内ガイド6を固定するための固定穴6dが設けられている。
上方から見た形状はL字状をしており、図で下部側には、絶縁物3の位置決め面3dが嵌め合わされる凹部を有し、この凹部が外ガイド7の位置決め面7aとなる。その面に取付穴7bが設けられている。なお、取付穴7bは切欠穴としているが丸穴でも良い。
また、もう一方の外ガイド8との対向面となる側面には、隙間空け棒9を取り付けるための2個の貫通穴7cが、内ガイド6の貫通穴6cに対応して設けられている。
更に、図で上下方向に貫通する固定穴7dと連結穴7eが設けられている。固定穴7dは外ガイドベース10へ固定するため穴であり、固定ボルトが短くてすむように座ぐり穴としているがストレート穴でも良い。連結穴7eは、巻枠治具の組立時に、回転子鉄心1の両端に取り付ける外ガイド同士を連結する外ガイド連結ボルト11(図1参照)を挿通するための穴である。
隙間空け棒9は、詳細図は省略するが、図1に示すように、内ガイド6と外ガイド7又は8を繋ぐ棒状部と、その両端部近傍に棒状部から直角方向に突出した嵌合部を有し、全体がコの字状をしている。嵌合部は、内ガイド6の貫通穴6cと外ガイド7の貫通穴7cとに抜き差し自在に嵌合する。
先ず、短絡板2を設けた回転子鉄心1の両端面の突極の胴部において、その部分の短絡板2に、絶縁物3の底面の嵌合部3aを嵌め合わせて絶縁物3を位置決めする。次に、絶縁物3の回転子鉄心中心側の位置決め面3dに内ガイド6の位置決め面6aを合わせて位置決めする。
外ガイド7,8は、予め外ガイドベース10に取り付けて一体化しておき、絶縁物3のもう一方の位置決め面3dに外ガイド7の位置決め面7aを合わせて位置決めする(外ガイド8側も同様)。
なお、内ガイド6の回転子鉄心1への固定は、回転子鉄心1を締め付けている内周側固定ボルト5を利用するので、その部分のナットを外して、内ガイド6の固定穴6dを内周側固定ボルト5に挿入する。
次に、絶縁物3と内ガイド6と外ガイド7,8のそれぞれの取付穴にガイド取付ボルト12(図1参照)を挿通し、ナットで固定する。
上記の内ガイド6と外ガイド7,8の回転子鉄心1の端面への組み付けを、回転子鉄心1の両端面に同じように行なった後、両端面の外ガイド7同士の連結穴7eに外ガイド連結ボルト11を挿通し、ナットでそれぞれを固定する。外ガイド8同士も同様に固定する。これにより両端面に巻枠治具が強固に固定される。
なお、内ガイド6と外ガイド7,8にそれぞれ2個の貫通穴を設けて隙間空け棒9を2段に挿入しコイルエンドに二つの隙間を形成したが、隙間空け棒9は、2段に限定するものではなく、冷却性能に応じて1段や3段としても良い。
絶縁物3は、巻線作業時の治具の役目をすると共に、巻線作業後は取り外す必要は無く、コイルエンドのスペーサの役目をする。このように、コイルエンドにコイル隙間を容易に設けることができ、コイルの冷却性能を向上することができる。
更に、絶縁物3と内ガイド6及び外ガイド7,8に取付穴を設けてボルト締めするようにしたので、強固に固定でき、且つ、ボルトを外すだけで簡単に解体することができるため、巻枠治具の着脱が容易である。
また、絶縁物3に設けた凹部3eにより、冷却用の風が入ることや、巻線作業終了後にコイルをワニスに含侵させる場合、この隙間を通してコイル内にワニスが入りやすいという利点がある。
また、絶縁物3に導入溝3gを設けたために、コイルの巻始め線を内ガイド6の上部側に設けたU字状の切り欠き部に対して巻始め線を配置することができる。これにより、巻始め線とその後に巻回されるコイルとの干渉がなくなり、巻線の整列性を良くすることができる。また、導入溝3gの傾斜によってコイルの巻始め線が不用意に巻き膨れないようにすることができ、さらにコイルの整列性を高める効果がある。
更に、絶縁物3に設けたカバー部3fは、巻線中に外周側固定ボルト4とコイルとの干渉を防止する効果がある。
Claims (5)
- 回転子鉄心の突極の胴部にワイヤを巻回してコイルを形成する突極形回転子の巻線方法において、
巻回する前記ワイヤのピッチに合わせた溝を有する絶縁物を前記回転子鉄心の軸方向両端部の前記突極の胴部に装着し、内ガイドと外ガイドと隙間空け棒とを有する巻枠治具の前記内ガイドと前記外ガイドを前記絶縁物の両側面に組み合わせ、前記絶縁物の前記溝に沿って所定数だけ前記ワイヤを巻回した後、前記内ガイドと前記外ガイドの間に前記隙間空け棒を挿入し、更に前記隙間空け棒の上から前記ワイヤを巻回して所定のコイルに形成し、巻線完了後に前記巻枠治具を取り外すようにしたことを特徴とする突極形回転子の巻線方法。 - 請求項1記載の突極形回転子の巻線方法において、
前記絶縁物の前記両側面と、前記内ガイド及び前記外ガイドとは、それぞれに設けた位置決め面を合わせてボルトにより一体に組み合わすようにしたことを特徴とする突極形回転子の巻線方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の突極形回転子の巻線方法において、
前記内ガイドは、前記回転子鉄心に面する側の反対側の面がU字状に切り欠かれ、前記U字状の対向面から外側に向けて貫通する貫通穴を有し、
前記外ガイドは、前記内ガイドの前記U字状の対向面に対応する面と、前記内ガイドの貫通穴に対応する貫通穴とを有し、
前記隙間空け棒は、前記内ガイドと前記外ガイドを繋ぐ棒状部と、前記棒状部の両端部近傍に前記棒状部から直角方向に突出した嵌合部を有しており、前記嵌合部を前記内ガイドの貫通穴と前記外ガイドの貫通穴とに挿入して組み合わせるようにしたことを特徴とする突極形回転子の巻線方法。 - 複数の突極を有する回転子鉄心と、前記突極の胴部にワイヤを巻回して形成されたコイルとを有する突極形回転子において、
巻回する前記ワイヤのピッチに合わせた溝を有する絶縁物が、前記回転子鉄心の軸方向両端部の前記突極の胴部に装着され、前記ワイヤが前記絶縁物の前記溝に沿って整列して巻回されていると共に、前記絶縁物に着脱可能な巻枠治具によってコイルエンド部に冷却用の隙間が形成されていることを特徴とする突極形回転子。 - 請求項4に記載の突極形回転子において、
前記絶縁物は、溝面側の溝方向中央部に凹部を有すると共に、前記溝のピッチ方向の両側に壁面を有し、回転子鉄心中心側の前記壁面の内側には、前記突極の中心側に向けて薄くなる傾斜を有する導入溝が形成されていることを特徴とする突極形回転子。
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