以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の内装構造を建物の壁部について具体化している。図1は居室11の内装構造を示す図である。なお、図1には、窓部13を居室11側から見た場合の図を示している。
図1に示すように、建物は屋内空間としての居室11を有している。建物は、居室11を区画する壁部12を有しており、壁部12には、居室11を屋外側に向けて開放する壁開口部としての窓部13が形成されている。窓部13は、床面から上方に向けて延びる掃き出し窓とされている。窓部13の高さ寸法は、居室11の天井高よりも小さくされており、窓部13は、居室11の天井部14からは下方に離間している。窓部13には、矩形状の窓枠17が設けられている。また、窓枠17の屋外側には、図示しないサッシ枠が設けられており、そのサッシ枠には、サッシ戸18が開閉可能に取り付けられている。なお、壁部12は、外壁又は間仕切壁により形成されている。また、窓枠17を四周枠と称することもできる。
居室11においては、壁部12に対して照明を組み込んだ建築化照明(間接照明)が構築されている。居室11には、上方に向けて開放されたコーブ21が設けられている。コーブ21は、壁部12の内壁面に沿ってその壁部12の壁幅方向に延びており、そのコーブ21に照明器具22が設置されている(図2、図4参照)。この場合、居室11においては、照明器具22により天井面が照らされ、それによって室内空間の明るさを得るコーブ照明が実現されている。また、この場合、照明器具22の下方に窓枠17が存在していることになる。
壁部12には、その壁部12との間にコーブ21を形成するコーブ形成部23が取り付けられている。コーブ形成部23は、窓枠17よりも高い位置に設けられており、その高さ位置において、壁部12の内壁面に沿って壁幅方向に沿って延びている。コーブ形成部23は、天井部14からは下方に離間している。また、コーブ形成部23は、壁部12において入隅部分を形成する一対の内壁面のそれぞれに沿って延びており、コーブ形成部23においては、一対の内壁面のうち一方に沿って延びている部分と、他方に沿って延びている部分とが、壁部12の入隅部分において互いに接続されている。
コーブ形成部23における窓部13に上下に重なる部分には、カーテンボックス25が取り付けられている。カーテンボックス25は、コーブ形成部23の下側に配置されており、窓部13の上枠部に沿って延びている。カーテンボックス25の内部には、布製カーテンなどのカーテンを上方から支持するカーテンレール26(図4参照)が設置されている。カーテンは、吊り下げられた状態でカーテンレール26により支持されており、その支持部分がカーテンボックス25により居室11側から覆い隠された状態になっている。
次に、コーブ形成部23の構成について図2〜図4を参照しつつ説明する。図2は図1のA−A線断面図、図3は図2の分解図、図4は図1のB−B線断面部である。ここでは、まず、コーブ形成部23においてカーテンボックス25が取り付けられてない部分の構成について図2、図3を参照しつつ説明する。
図2に示すように、壁部12は、居室11において内壁面を形成する内壁面材31と、内壁面材31が取り付けられた内壁下地32とを有している。内壁面材31は、石膏ボード等により形成されている。内壁下地32は、内壁面材31を挟んで居室11とは反対側に配置されている。また、内壁下地32は、壁高さ方向に延びる下地縦材と、壁幅方向に延びる下地横材とを有している。内壁面材31には、電気配線を通すための配線孔33が設けられており、配線孔33に通された電気配線は照明器具22に接続されている。
天井部14は、天井面を形成する天井面材34と、天井面材34が取り付けられた天井下地としての野縁35とを有している。天井面材34は、石膏ボード等により形成されている。天井面材34の上方には天井梁36が設けられており、天井面材34は野縁35を介して天井梁36に取り付けられている。なお、天井面材34は、内壁面材31の上側に配置されており、内壁面材31の上端面が天井面材34の下面に重ねられた状態になっている。
コーブ形成部23は、壁部12から居室11側に向けて延びている一対の板部41,42と、コーブ21を挟んで壁部12に対向している幕板43と、一対の板部41,42及び幕板43を支持しているコーブ下地部44とを有している。幕板43は、壁幅方向においてコーブ形成部23に沿って並べられた複数の幕板部43aにより形成されている。なお、板部41,42は取付板部に相当する。
コーブ下地部44は、一対の板部41,42の間に設けられており、壁部12から居室11側に向けて突出した状態で、その壁部12に取り付けられている。コーブ下地部44は、横長形状とされており、壁幅方向を長手方向として延びている。壁部12は、内壁面材31を挟んでコーブ下地部44の反対側に配置されたバッキング材46を有しており、コーブ下地部44は、内壁面材31を介してバッキング材46にビス固定されている。バッキング材46は、壁部12の内部において内壁下地32にビス等により固定されており、それによって、コーブ下地部44は、バッキング材46を介して内壁下地32に固定されていることになる。
コーブ下地部44は、壁厚み方向において所定間隔で並べられている一対の横材51,52と、それら横材51,52を連結している連結部材53とを有している。一対の横材51,52は、それぞれ木材等により形成された長尺状の角材であり、いずれも壁幅方向を長手方向として延びている。沿って延びている。一対の横材51,52のうち壁側横材51は、その側面が壁部12の内壁面に重ねられた状態で、ビス55,56により壁部12に固定されている。
ビス55,56は、壁側横材51及び内壁面材31を貫通してバッキング材46に打ち込まれており、それによって、壁側横材51がバッキング材46に固定されている。ビス55,56のうち、上側ビス55は、壁側横材51の上端寄りに配置されており、下側ビス56は、上側ビス55よりも低い位置において壁側横材51の下端寄りに配置されている。なお、ビス55,56は、釘やステープル等の固定具であればよく、上側ビス55が上側固定具に相当し、下側ビス56が下側固定具に相当する。
ビス55,56が上下二段に配置されている構成においては、ビス55,56のうち一方が、壁側横材51を壁部12に固定するための固定用になっており、他方が一方の引き抜きを防止するための引き抜き用になっている。例えば、下側ビス56が固定用になっており、上側ビス55が引き抜き用になっている。
一対の横材51,52のうち居室側横材52は、壁側横材51を挟んで壁部12とは反対側において、その壁側横材51から離間した位置に配置されている。この場合、壁側横材51と居室側横材52とは互いに対向している。
連結部材53は、壁側横材51と居室側横材52との間に設けられており、それら壁側横材51と居室側横材52とに掛け渡された状態になっている。連結部材53は、木材等により形成された短尺状の角材であり、一端が壁側横材51に固定された状態で壁部12とは反対側に向けて延びている。この場合、連結部材53は壁部12から居室11側に向けて延びた腕木を形成していることにもなる。
なお、壁側横材51が壁部12に固定された第1角材に相当し、連結部材53が第1角材に固定された第2角材に相当し、居室側横材52が第2角材の先端に固定された第3角材に相当する。また、コーブ下地部44においては、壁側横材51及び連結部材53によりコーブフレームが構成されている。コーブフレームは、壁側横材51と連結部材53とを一体化させたフレームアッシーと称することもできる。さらに、コーブ下地部44においては、壁高さ方向における横材51,52及び連結部材53の高さ寸法が同じにされており、これら横材51,52及び連結部材53の各上面がコーブフレームの上面部を形成し、各下面がコーブフレームの下面部を形成している。
一対の板部41,42は、それぞれ合板等により形成された長方形状の長尺板材であり、いずれも壁幅方向に沿って延びている。一対の板部41,42は、コーブ下地部44を挟んで対向した状態で、壁部12から居室11側に向けてそれぞれ延びている。板部41,42は、それぞれの端面が壁部12の内壁面に重ねられた状態で、居室11側に向けて突出している。また、板部41,42は、壁厚み方向において、壁側横材51と連結部材53との境界部、及び連結部材53と居室側横材52との境界部をそれぞれ跨いだ状態になっている。
一対の板部41,42のうち、上板部41はコーブ下地部44の上側に配置されており、下板部42はコーブ下地部44の下側に配置されている。この場合、上板部41は、コーブ21側に配置されたコーブ側板部に相当し、下板部42は、コーブ21とは反対側に配置された露出板部に相当する。
また、コーブ形成部23は、コーブ下地部44を挟んで壁部12に対向する対向板部58を有している。対向板部58は、木材等により形成された長方形状の長尺板材であり、一方の板面がコーブ下地部44における壁部12と反対側の端面に重ねられた状態で設けられている。下板部42は、上板部41(居室側横材52)よりも壁部12とは反対側に向けて突出しており、その突出部分の上に対向板部58が載せられている。この場合、対向板部58は、下板部42から上方に向けて延びており、上板部41と居室側横材52との境界部を上下に跨いでいる。
幕板43を形成する各幕板部43aは、合板等により形成された長方形状の長尺板材であり、壁幅方向に沿って延びた状態で、対向板部58を挟んでコーブ下地部44とは反対側に配置されている。幕板部43aと対向板部58とは板面同士が重ねられた状態で互いに固定されており、幕板部43aは、対向板部58と同様に、下板部42の突出部分の上に載せられている。幕板部43aは、対向板部58と同じ高さ寸法を有しており、幕板部43aの上端面と対向板部58の上端面とは同一平面を形成している。この場合、幕板部43aにおけるコーブ下地部44よりも上方に突出した部分は、対向板部58により支持されていることになる。
コーブ形成部23においては、上板部41及び対向板部58が、下板部42及び幕板部43aによりコーブ21とは反対側から覆い隠された状態になっている。この場合、下板部42及び幕板部43aは、コーブ形成部23の化粧面を形成する化粧面材になっている。
ここでは、コーブ形成部23の組み立て手順について、図3を参照しつつ簡単に説明する。
図3において、まず、壁側横材51に連結部材53を固定する。この場合、壁側横材51の側面と連結部材53の端面とを接着剤で接着し、その状態で、ステープル等を壁側横材51を貫通させて連結部材53に打ち込んでいる。これにより、壁側横材51と連結部材53とを一体化したフレームアッシーを製作したことになる。そして、壁側横材51を壁部12に固定することで、フレームアッシーを壁部12に取り付ける。この場合、上側ビス55及び下側ビス56を壁側横材51を貫通させてバッキング材46に打ち込んでいる。
次に、居室側横材52に上板部41及び対向板部58を固定する。この場合、居室側横材52上端面と上板部41の下面とを接着剤で接着するとともに、居室側横材52の側面と対向板部58の板面とを接着剤で接着し、その状態で、ステープル等を上板部41を貫通させて居室側横材52に打ち込むとともに、ステープル等を対向板部58を貫通させて居室側横材52に打ち込んでいる。これにより、居室側横材52、上板部41及び対向板部58を一体化した前垂アッシーを製作したことになる。
そして、前垂アッシーをフレームアッシーに取り付ける。この場合、壁側横材51の上端面及び連結部材53の上面と上板部41の下面とを接着剤で接着するとともに、連結部材53の側端面と居室側横材52の側面とを接着剤で接着し、その状態で、ステープル等を対向板部58及び居室側横材52を貫通させて連結部材53に打ち込んでいる。これにより、コーブ下地部44及び対向板部58を壁部12に取り付けたことになる。
その後、下板部42をコーブ下地部44に下方から固定する。この場合、ビス等を下板部42を貫通させて壁側横材51及び居室側横材52に打ち込んでいる。ここで、コーブ下地部44を壁部12に取り付けた後であっても、下板部42の取り付け作業をコーブ21とは反対側から行うことができるため、その取り付け作業が煩雑になることを抑制できる。
また、幕板部43aを対向板部58に固定する。この場合、幕板部43aの板面と対向板部58の板部とを接着剤で接着し、その状態で、ステープル等を幕板部43aを貫通させて対向板部58に打ち込んでいる。なお、このステープル等は、対向板部58よりも奥側の上板部41や居室側横材52に打ち込まれていてもよい。ここで、幕板部43aを下板部42の上に載せるという容易な作業により、上下方向における幕板部43aの位置合わせを行うことができる。
次に、コーブ形成部23においてカーテンボックス25が取り付けられている部分の構成に付いて図4を参照しつつ説明する。なお、コーブ形成部23においては、カーテンボックス25が取り付けられた部分と取り付けられていない部分とが同じ構成になっており、ここでは、カーテンボックス25が取り付けられていない部分との相違点を中心に説明する。
図4に示すように、カーテンボックス25は、コーブ形成部23の下面に対して取り付けられている。カーテンボックス25は、コーブ形成部23の下面に沿って延びている重ね板部25aと、重ね板部25aから下方に向けて延びている延出板部25bとを有しており、断面L字状に形成されている。延出板部25bは、重ね板部25aを挟んで壁部12とは反対側に配置されており、カーテンレール26は、延出板部25bよりも壁部12側に配置されている。この場合、カーテンレール26は、延出板部25bにより居室11側から覆い隠された状態になっている。
壁部12に対してコーブ形成部23が取り付けられている部分は、窓枠17の上枠部17aよりも高い位置に配置されている。コーブ形成部23の下板部42は、上枠部17aから上方に離間しており、その離間部分にカーテンボックス25の重ね板部25aが入り込んだ状態になっている。この場合、延出板部25bの居室11板面と、幕板43の居室11板面とは同一平面を形成している。
カーテンボックス25及びカーテンレール26は、コーブ形成部23が組み立てられた後にそのコーブ形成部23に対して取り付けられている。具体的には、まず、カーテンボックス25をコーブ形成部23に下方から取り付ける。この場合、カーテンボックス25の重ね板部25aをコーブ形成部23の下板部42に下方から重ね合わせ、その状態で、ビス等を重ね板部25aを貫通させて下板部42及び連結部材53に打ち込んでいる。そして、カーテンレール26を重ね板部25aに下方から重ね合わせ、その状態で、ビス等をカーテンレール26を貫通させて重ね板部25a及び下板部42に打ち込んでいる。
コーブ形成部23は、一対の板部41,42、幕板部43a、コーブ下地部44及び対向板部58といった部品をそれぞれ複数有しており、それら部品は同じ部品同士がそれぞれ壁幅方向に沿って横並びに複数設けられている。ここでは、隣り合うコーブ下地部44の接続構成について、図5〜図7を参照しつつ説明する。
図5は複数のコーブ下地部44の配置を示す図、図6はコーブ下地部44同士の境界部を示す図、図7はコーブ形成部23の構成を示す斜視図である。なお、図5においては、(a)に各コーブ下地部44の平面図を示し、(b)にコーブ下地部44及び入隅下地部61周辺の平面図を示し、(b)においては、下地部44,61に加えて対向板部58及び幕板部43aを図示している。図6においては、(a)に図5(a)のC−C線断面図を示し、(b)にコーブ形成部23の正面図を示し、(a)においては、コーブ下地部44に加えて一対の板部41,42を図示している。図7においては、(a)に壁側横材51及び連結部材53の斜視図を示し、(b)にコーブ形成部23の斜視図を示す。
図5(a)に示すように、複数のコーブ下地部44は、壁部12の壁幅方向に沿って直列に並べられており、各コーブ下地部44は、壁幅方向に沿って延びている横長形状になっている。各コーブ下地部44においては、壁幅方向における壁側横材51及び居室側横材52の長さ寸法が同じにされており、隣り合うコーブ下地部44について、各壁側横材51の境界部と、各居室側横材52の境界部とは壁厚み方向において重なっている。また、コーブ下地部44においては、連結部材53が横材51,52から壁幅方向にはみ出さない位置に配置されている。
コーブ下地部44と同様に、上板部41、下板部42、幕板部43a及び対向板部58も、壁部12の幅方向に沿って複数並べられており、各上板部41、各下板部42、各幕板部43a及び各対向板部58は、それぞれ壁幅方向に沿って延びている横長形状になっている。また、上板部41、下板部42、幕板部43a及び対向板部58は、壁幅方向における長さ寸法がコーブ下地部44と同じにされている。ここで、上板部41同士の境界部、及び対向板部58同士の境界部は、壁幅方向においてコーブ下地部44同士の境界部に一致している一方で、下板部42同士の境界部、及び幕板部43a同士の境界部は、壁幅方向においてコーブ下地部44同士の境界部に一致していない。つまり、化粧面材同士の境界部は、壁幅方向においてコーブ下地部44同士の境界部に一致していない。
図6(a),(b)、図7(a)に示すように、下板部42同士の境界部N2は、コーブ下地部44同士の境界部N1に対して壁幅方向のうち一方側にずれており、幕板部43a同士の境界部N3は、コーブ下地部44同士の境界部N1を挟んで下板部42同士の境界部N2とは反対側にずれている。この場合、下板部42同士の境界部N2と、幕板部43a同士の境界部N3とは壁幅方向において互いに一致しておらず、下板部42及び幕板部43aがコーブ下地部44同士の境界部N1をコーブ形成部23の外側(コーブ21とは反対側)から覆い隠した状態になっている。この場合、隣り合うコーブ下地部44の境界部N1において、それらコーブ下地部44の間に段差や隙間が生じることが下板部42及び幕板部43aにより抑制され、仮に、段差や隙間が生じたとしても、その段差や隙間を下板部42及び幕板部43aにより覆い隠すことができる。
コーブ下地部44同士の境界部N1は、下板部42同士の境界部N2と幕板部43a同士の境界部N3との間に配置されている。この場合、コーブ下地部44に対する下板部42の位置ずれと幕板部43aの位置ずれとは、壁幅方向において向きが反対になっている。このため、例えば、下板部42同士の境界部N2及び幕板部43a同士の境界部N3のうち一方において段差や隙間が生じた場合に、その段差や隙間が生じたことに起因して他方においても段差や隙間が生じるということを抑制できる。
なお、下板部42は、その下板部42が跨っている2つのコーブ下地部44のそれぞれに対してビス等により固定されている。また、幕板部43aは、その幕板部43aが跨っている2つのコーブ下地部44及び対向板部58のそれぞれに対してビス等により固定されている。
壁幅方向においてコーブ下地部44に対する下板部42の位置ずれと幕板部43aの位置ずれとは、ずれの大きさが同じになっている。この場合、コーブ下地部44同士の境界部N1と下板部42同士の境界部N2との離間距離L1は、コーブ下地部44同士の境界部N1と幕板部43a同士の境界部N3との離間距離L2と同じになっている(L1=L2)。
コーブ下地部44において、複数の連結部材53には、下板部42同士の境界部N2に上下に重なる位置に配置された連結部材53aが含まれている。連結部材53aは、下板部42同士の境界部N2を壁幅方向に跨いだ状態になっており、その下面が各下板部42の上面に重ねられている。この場合、隣り合う下板部42の両方がビス等により連結部材53aに固定されている。
図6(a)、図7(b)に示すように、コーブ下地部44の壁側横材51を壁部12に固定しているビス55,56は、それぞれ壁幅方向に沿って複数打ち付けられている。この場合、上側ビス55同士の離間距離D1(例えば30cm)は、下側ビス56同士の離間距離D2(例えば30cm)と同じ大きさになっている。また、上側ビス55は、下側ビス56に対して上下に重ならない位置に配置されており、上側ビス55と下側ビス56との配置が千鳥状になっている。この場合、上側ビス55は、隣り合う下側ビス56の真ん中に配置されており、上側ビス55と下側ビス56との離間距離D3(例えば15cm)は、上側ビス55同士の離間距離D1(下側ビス56同士の離間距離D2)の半分になっている(D1=D2=D3×2)。
上下方向において上側ビス55と下側ビス56との離間距離H1(例えば25mm)は、壁側横材51の高さ寸法H2(例えば55mm)の半分程度になっている。また、壁側横材51の上端からの上側ビス55の離間距離H3(例えば10mm)は、壁側横材51の下端からの下側ビス56の離間距離H4(例えば20mm)よりも小さくされている。
コーブ下地部44同士の境界部においては、それぞれの上板部41及び下板部42の端面同士が重ねられているとともに、それぞれの連結部材53の側面同士が重ねられている。この場合、側面同士が重ねられている各連結部材53は、ビス59が一方の連結部材53から他方の連結部材53に打ち込まれることで互いに固定されている。
図5(a)の説明に戻り、コーブ形成部23において複数のコーブ下地部44には、壁部12において互いに直交する2つの内壁面12a,12bのうち、第1内壁面12aに沿って延びている第1コーブ下地部44aと、第2内壁面12bに沿って延びている第2コーブ下地部44bとが含まれている。コーブ形成部23は、壁部12の入隅部分に設けられた入隅下地部61を有しており、その入隅下地部61は、第1コーブ下地部44aと第2コーブ下地部44bとを連結している。
入隅下地部61は、第1コーブ下地部44aに接続された第1接続部61aと、第2コーブ下地部44bに接続された第2接続部61bと、それら接続部61a,61bの間に設けられている中間接続部61cとを有している。入隅下地部61においては、第1接続部61aと第2接続部61bとが中間接続部61cから互いに直交する方向に延びており、全体としてL字状に形成されている。
図5(b)に示すように、接続部61a〜61cは、いずれもコーブ下地部44とほぼ同じ構成を有している。接続部61a〜61cは、それぞれ壁側横材51、居室側横材52及び連結部材53を有している。第1接続部61aは、第1コーブ下地部44aに直列に配置されており、第2接続部61b及び中間接続部61cは、第2コーブ下地部44bに直列に配置されている。この場合、第2接続部61b及び中間接続部61cにおいては、それぞれの横材51,52が横並びに配置されており、それぞれの連結部材53は平行に配置されている。
ここで、第2接続部61bの壁側横材51と中間接続部61cの壁側横材51とは1つの部材により形成されており、その部材のうち、第2接続部61bの居室側横材52に対向する部分が第2接続部61bの壁側横材51に相当し、中間接続部61cの居室側横材52に対向する部分が中間接続部61cの壁側横材51に相当する。なお、中間接続部61cにおいては、第2接続部61bとは反対側に配置された連結部材53が、第1内壁面12aに沿って延びており、その状態で第1内壁面12aに対して固定されている。この連結部材53は、第1接続部61aの壁側横材51と直列に配置された状態になっている。
第1接続部61aにおいては、壁側横材51が居室側横材52よりも中間接続部61c側に突出しており、その突出部分の側面に中間接続部61cの居室側横材52の端面が接続されている。なお、第1接続部61aにおいて、壁側横材51が居室側横材52よりも中間接続部61c側に突出していなくてもよく、この場合は、中間接続部61cの居室側横材52が中間接続部61cの連結部材53と第1接続部61aの壁側横材51との間に入り込んだ状態になる。また、入隅下地部61においては、中間接続部61cが第1接続部61aと共に第1コーブ下地部44aに直列に配置されていてもよい。
入隅下地部61においては、第1接続部61a及び第2接続部61bのそれぞれに対して対向板部58が個別に取り付けられている。入隅下地部61の入隅部分においては、第1接続部61aに取り付けられた対向板部58の板面に、第2接続部61bに取り付けられた対向板部58の端面が重ねられている。なお、この勝ち負けの関係が逆になり、第2接続部61b側の対向板部58の板面に、第1接続部61a側の対向板部58の端面が重ねられていてもよい。
第1コーブ下地部44aに取り付けられた対向板部58と、入隅下地部61の第1接続部61aに取り付けられた対向板部58との境界部は、壁厚み方向において、第1コーブ下地部44aと入隅下地部61との境界部N4に重なっている。一方、第1コーブ下地部44aに取り付けられた幕板部43aは、境界部N4よりも入隅下地部61側に突出しており、その突出部分がステープル等により入隅下地部61に固定されている。また、図示は省略するが、第1コーブ下地部44aに取り付けられた下板部42も、境界部N4よりも入隅下地部61側に突出しており、その突出部分がビス等により入隅下地部61に固定されている。
この場合、幕板部43a及び下板部42が、第1コーブ下地部44aと入隅下地部61とに掛け渡された状態になっているため、境界部N4において第1コーブ下地部44aと入隅下地部61との間に段差や隙間が生じることが幕板部43aや下板部42により抑制され、仮に、段差や隙間が生じたとしても、その段差や隙間を幕板部43aや下板部42により覆い隠すことができる。
第2コーブ下地部44bと入隅下地部61との境界部N5についても同様に、第2コーブ下地部44bに取り付けられた対向板部58と、入隅下地部61の第2接続部61bに取り付けられた対向板部58との境界部は、壁厚み方向において境界部N5に重なっている。一方、第2コーブ下地部44bに取り付けられた幕板部43aは、境界部N5よりも入隅下地部61側に突出しており、その突出部分がステープル等により入隅下地部61に固定されている。また、図示は省略するが、第2コーブ下地部44bに取り付けられた下板部42も、境界部N5よりも入隅下地部61側に突出しており、その突出部分がビス等により入隅下地部61に固定されている。
この場合、幕板部43a及び下板部42が、第2コーブ下地部44bと入隅下地部61とに掛け渡された状態になっているため、境界部N5において第2コーブ下地部44bと入隅下地部61との間に段差や隙間が生じることが幕板部43aや下板部42により抑制され、仮に、段差や隙間が生じたとしても、その段差や隙間を幕板部43aや下板部42により覆い隠すことができる。
入隅下地部61の入隅部分においては、第1接続部61a側(第1コーブ下地部44a側)の幕板部43aと、第2接続部61b側(第2コーブ下地部44b側)の幕板部43aとの勝ち負けの関係が、第1接続部61a側の対向板部58と第2接続部61b側の対向板部58との勝ち負けの関係と同じになっている。この場合、対向板部58及び幕板部43aの各端面が、第1接続部61a側又は第2接続部61b側において同一面を形成するということがないため、対向板部58同士の境界部において、それら対向板部58の間に隙間や段差が生じることが幕板部43aにより抑制され、仮に、段差や隙間が生じたとしても、その段差や隙間を幕板部43aにより覆い隠すことができる。
また、図示は省略するが、入隅下地部61は、第1接続部61a側(第1コーブ下地部44a側)の下板部42、及び第2接続部61b側(第2コーブ下地部44b側)の下板部42により下方から覆われており、これら下板部42の勝ち負けの関係は、第1接続部61a側の幕板部43aと第2接続部61b側の幕板部43aとの勝ち負けの関係とは逆になっている。この場合、入隅下地部61について、下板部42同士の境界部が延びる向きが、幕板部43a同士の境界部が延びる向きに直交しているため、下板部42同士の境界部及び幕板部43a同士の境界部のうち一方において段差や隙間が生じた場合に、その段差や隙間が生じたことで他方にも段差や隙間が生じやすくなるということを抑制できる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
壁側横材51と複数の連結部材53とを含んでコーブ下地部44(コーブフレーム)が形成されているため、壁側横材51と連結部材53とを壁部12に個別に取り付けるのではなく、壁部12にコーブ下地部44を取り付けることで壁部12に対する壁側横材51及び連結部材53の取り付けをまとめて行うことができる。特に、壁側横材51を壁部12に取り付けるよりも前に、複数の連結部材53を壁側横材51に取り付けておくことにより、それら連結部材53を壁側横材51に沿って直線的に配置することが容易になる。これにより、コーブ下地部44を壁部12に取り付けた状態で複数の連結部材53の高さ位置がばらつくことを抑制できる。この場合、コーブ下地部44に対して取り付けられた板部41,42や幕板部43aにおいては、それぞれの板厚み方向に歪みや不陸が生じにくくなり、その結果、コーブ形成部23が取り付けられた壁部12の意匠性を好適なものにすることができる。
また、コーブ下地部44は、特別に加工した専用部材ではなく、単なる角材により形成された壁側横材51や居室側横材52、連結部材53などの汎用部材を複数組み合わせることで製作できるため、壁付きのコーブ形成部23を構築する際のコスト負担を低減することができる。
上板部41及び下板部42が、壁側横材51と連結部材53との境界部を跨いだ状態で、それら壁側横材51及び連結部材53のそれぞれに固定されているため、上板部41や下板部42に加えられた荷重が壁側横材51と連結部材53の両方に分散して加えられることになる。このため、例えば一対の板部41,42が壁側横材51に固定されていない構成に比べて、それら板部41,42に荷重が加えられた場合に壁側横材51に対する連結部材53の固定が解除されにくくなっている。また、この場合、壁側横材51と連結部材53とは、ステープル等により直接的に連結されていることに加えて、板部41,42を介して間接的にも連結されているため、壁側横材51と連結部材53との固定強度を高めることができる。以上により、複数の角材を組み合わせて製作したコーブ下地部44について、その支持強度を高めることができる。
コーブ下地部44においては、複数の連結部材53の各先端が居室側横材52にそれぞれ固定されているため、それら先端を居室側横材52に沿って直線的に並べることができる。このため、複数の連結部材53の各先端の高さ位置がばらつくことや、それら先端同士の離間距離がばらつくことを抑制できる。これにより、コーブ形成部23において、下板部42や幕板部43aについて、それぞれの板厚み方向に歪みや不陸が生じることをより確実に抑制できる。
壁側横材51を壁部12に固定しているビス55,56は上下二段になっているため、壁側横材51に対して上下方向に荷重が加えられた場合に、その壁側横材51の固定状態を好適に保持できる。しかも、上側ビス55と下側ビス56とは千鳥状に配置されているため、それらビス55,56が上下に並べて配置されている構成に比べて、壁側横材51を壁部12に固定する際の作業負担やコスト負担を低減できる。
壁幅方向に沿って複数並べられているコーブ下地部44が横長形状であるため、コーブ下地部44同士を離間させる必要がなく、それらコーブ下地部44を直線的に並べて壁部12に固定する作業を容易化できる。この場合、一対の板部41,42や幕板部43aの端部をコーブ下地部44の端部に一致させなくてもよいため、コーブ下地部44に対する板部41,42や幕板部43aの設置位置を壁幅方向について任意に設定することができる。これにより、コーブ下地部44に対する板部41,42や幕板部43aの取り付けに際して作業負担を低減できる。
コーブ下地部44同士の境界部を下板部42や幕板部43aが跨いだ状態になっているため、コーブ下地部44同士の境界部N1において段差や隙間が生じることを下板部42や幕板部43aにより抑制することができ、仮に段差や隙間が生じたとしても、その段差や隙間を下板部42や幕板部43aにより覆い隠すことができる。ここで、下板部42は、コーブ下地部44に対して上下に重ねられているため、コーブ下地部44同士の境界部N1において上下方向の段差の発生に対する抑止力を好適に発揮できる。一方、幕板部43aは、コーブ下地部44に対して壁厚み方向に重ねられているため、コーブ下地部44同士の境界部N1において壁厚み方向の段差の発生に対する抑止力を好適に発揮できる。
下板部42同士の境界部N2を幕板部43aが跨いだ状態になっているとともに、幕板部43a同士の境界部N3を下板部42が跨いだ状態になっているため、下板部42同士の境界部N2及び幕板部43a同士の境界部N3のうち一方において段差や隙間が生じたとしても、その段差や隙間が生じたことに起因して他方においても段差や隙間が生じてしまうということを抑止できる。
幕板部43aが対向板部58を介してコーブ下地部44に固定されているため、幕板部43aにおけるコーブ下地部44から上方に突出した部分を対向板部58により好適に支持できる。
上板部41同士の境界部及び対向板部58同士の境界部が、コーブ下地部44の境界部N1に一致しているため、上板部41及び対向板部58をあらかじめコーブ下地部44に取り付けた状態で、それら上板部41及び対向板部58ごとコーブ下地部44を壁部12に取り付けることができる。このため、コーブ下地部44を壁部12に取り付けた後の作業工数を低減できる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、上側ビス55及び下側ビス56の両方がバッキング材46に打ち込まれていたが、これらビス55,56の打ち込み対象はバッキング材46でなくてもよい。例えば、図8に示すように、内壁面材31の裏側にブロック材71が設けられており、上側ビス55が内壁面材31を貫通してバッキング材46に打ち込まれている一方で、下側ビス56が内壁面材31を貫通してブロック材71に打ち込まれている構成とする。ブロック材71は、内壁下地32において上下に隣り合う下地横材の間に設けられており、下側の下地横材に沿って延びた状態でその下地横材に対してビス等により固定されている。
バッキング材46は、中量級のバッキング材とされており、上側の下地横材とブロック材71とに掛け渡された状態で設けられている。なお、上記実施形態においては、重量級のバッキング材とされている。バッキング材46には、内壁面材31の配線孔33に連通する配線孔72が形成されている。
ここで、上記実施形態で述べたように、ビス55,56のうち一方が固定用とされ、他方が引き抜き用とされている場合、バッキング材46及びブロック材71のうち、固定用のビスが打ち込まれている方が固定用のビス下地であり、引き抜き用のビスが打ち込まれている方が引き抜き用のビス下地であるということができる。例えば、下側ビス56が固定用に相当し、上側ビス55が引き抜き用である場合、ブロック材71が固定用のビス下地であり、バッキング材46が引き抜き用のビス下地に相当する。
(2)上記実施形態では、壁幅方向において、コーブ下地部44に対する下板部42の位置ずれと幕板部43aの位置ずれとが同じ大きさになっていた(L1=L2)が、これら位置ずれの大きさは異なっていてもよい(L1≠L2)。また、下板部42及び幕板部43aは、コーブ下地部44に対する位置ずれの向きが同じにされていてもよい。この場合、下板部42の位置ずれと幕板部43aの位置ずれとは、ずれの大きさが同じにされていてもよく(L1=L2)、異なっていてもよい(L1≠L2)。
(3)上記実施形態では、上板部41同士の境界部、及び下板部42同士の境界部N2のうち、下板部42同士の境界部N2だけがコーブ下地部44同士の境界部N1から壁幅方向において所定距離だけ離間していたが、上板部41同士の境界部、及び下板部42同士の境界部N2のうち、少なくとも一方がコーブ下地部44同士の境界部N1から壁幅方向において所定距離だけ離間していればよい。例えば、上板部41同士の境界部が、コーブ下地部44同士の境界部N1を挟んで、下板部42同士の境界部N2とは反対側に離間している構成とする。
(4)上記実施形態では、対向板部58同士の境界部が、コーブ下地部44同士の境界部N1に壁厚み方向に重なっていたが、この境界部は、コーブ下地部44同士の境界部N1から壁幅方向に離間していてもよい。また、この場合でも、対向板部58同士の境界部は、幕板部43a同士の境界部N3から壁幅方向に離間していることが好ましい。
(5)上記実施形態では、下板部42同士の境界部N2と、幕板部43a同士の境界部N3とが壁幅方向において離間していたが、これら境界部N2,N3は、壁幅方向において離間していなくてもよい。つまり、壁厚み方向において重なっていてもよい。ただし、これら境界部N2,N3は、コーブ下地部44同士の境界部N1から壁幅方向に離間していることが好ましい。
(6)コーブ下地部44同士の境界部N1と、下板部42同士の境界部N2と、幕板部43a同士の境界部N3とは、壁幅方向において離間していなくてもよい。つまり、壁厚み方向や壁高さ方向において重なっていてもよい。
(7)コーブ下地部44は、壁側横材51を有していれば、居室側横材52や連結部材53を有していなくてもよい。この場合、壁幅方向において、壁側横材51の厚み寸法が、コーブ21の厚み寸法と同じにされていることが好ましい。
(8)上記実施形態では、壁側横材51において、壁側横材51の上端と上側ビス55との離間距離H3が、壁側横材51の下端と下側ビス56との離間距離H4よりも小さく(H3<H4)されているが、H3>H4や、H3=H4とされていてもよい。
(9)上記実施形態では、コーブ形成部23が天井面寄りの高さ位置に配置されたが、床面寄りの高さ位置に配置されてもよい。つまり、コーブ21内に設置された照明器具22により床面を照らしてもよい。例えば、コーブ21が上方ではなく下方に向けて開放されている構成とする。この構成では、下板部42がコーブ21側に配置されたコーブ側板部に相当し、上板部41がコーブ21とは反対側に配置された露出板部に相当する。また、幕板部43aがコーブ下地部44よりも下方に突出しており、照明器具22がコーブ21内に下方から入り込んだ状態で設置されている。
(10)壁部12において、幕板部43aと対向する部分には、壁面材が取り付けられていなくてもよい。つまり、内壁下地32がコーブ21側に露出していてもよい。この場合でも、内壁下地32が幕板部43aにより覆い隠されることで、壁部12に対する意匠性が低下することを抑制できる。
(11)コーブ形成部23は、天井部14から下方に向けて延びている垂れ壁に取り付けられていてもよい。例えば、コーブ形成部23が壁部12と垂れ壁との間に配置され、その位置で垂れ壁の壁面に対して取り付けられている構成とする。この場合、コーブ21内に設置された照明器具22の光は天井面及び壁部12の壁面に反射して居室11を照らすことになるため、コーニス照明が実現されていることになる。