JP2014196465A - エポキシ樹脂の硬化剤、製法、およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】高難燃性、高耐熱性、高流動性および速硬化性を満たす新規エポキシ樹脂硬化剤、それを用いた組成物及びその硬化物を提供すること。
【解決手段】水酸基当量50〜250g/eq、150℃溶融粘度50〜500mPa・s、フェノール性水酸基を分子中2個以上有するフェノール化合物(A)、式(1)のビスマレイミド化合物(B)、式(3)のジヒドロキシナフタレン化合物(C)、及び式(4)のジアミン又はジチオール化合物(D)を、(A)に対する(B)、(C)及び(D)の重量比が、0.5〜5.0、0.1〜1.0及び0.05〜0.30で、(A)、(B)、(C)および(D)を溶融混合するか、または(A)、(B)および(C)を溶融混合した後に(D)を混合して得られる、150℃溶融粘度50〜500mPa・sで、水酸基当量250〜400g/eqの混合生成物からなるエポキシ樹脂硬化剤、その組成物及び硬化物。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに有用なエポキシ樹脂の硬化剤、並びにそれを用いた組成物、硬化物およびその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は難燃性及び耐熱性に優れたエポキシ樹脂の硬化剤、並びにそれを用いた組成物、硬化物およびその用途に関する。
エポキシ樹脂の硬化剤の中でも大きな一群をなすフェノール系硬化剤は、種類が豊富なことに加えて低コストなどのメリットより各種産業に用いられている。これらは産業の技術革新にともない様々な要求性能に応えるべく多種多様なものがこれまでに開発されてきた。
電子材料分野では近年、半導体パッケージの小型・薄型化及び形状の複雑化に伴い、半導体封止材料用樹脂には、益々低粘度のものが要求されるようになってきている。低粘度であればその流動性が向上することで複雑形状のパッケージ、例えばBGAなどにも対応が可能となり、またフィラーの高充填化が可能となることで、これらの用途に求められる難燃性、半田耐熱性、耐湿信頼性の面でも有利となる。
また、地球環境への配慮により、これまで利用されてきたハロゲン含有系化合物や、アンチモン化合物などの難燃剤に代わる、新規な難燃性エポキシ樹脂組成物の要求が高まっており、汎用パッケージから先端パッケージ用に至る用途で使用されていたフェノールアラルキル樹脂にもハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を用いなくても優れた難燃性を有することが求められている(例えば特許文献1など)。なかでもビフェニル骨格を導入したフェノールアラルキル樹脂は、高難燃性であることが知られており、先端パッケージ用途で使用されているが、ガラス転移温度(Tg)が低くなるという欠点がある(例えば特許文献2など)。Tgの低下は一般に高温信頼性と耐熱性の低下を引き起こすため、これを改善できるエポキシ樹脂硬化剤の提供が望まれていた。
主にエポキシ系材料が用いられるトランスファーモールド用半導体封止材の一配合剤であるフェノール系硬化剤は、近年環境低負荷を指向した高難燃タイプの要望が高まってきている。中でも、今後ますますの普及が予想される電気自動車やハイブリッド車に搭載されるパワーデバイスの封止剤材料には高い耐熱性が求められており、高耐熱性の実現に加えて高難燃性も両立させるとなると、従来の配合成分では対応が難しくなってきている。
上記用途に対し、フェノール化合物、ビスマレイミド化合物、ジヒドロキシナフタレン化合物の溶融混合物を、エポキシ樹脂硬化剤として用いることにより高耐熱性、高難燃性に加えて高流動性も兼ね備えたエポキシ樹脂が得られることが知られている(特許文献3)。
特開平5−97965 特開2000−129092 特願2012−252154
半導体素子の封止において封止材が速硬化性であることは成形体を効率よく生産する観点において重要な要素である。上記先行技術において、速硬化性に関してはより満足のいく物性が求められていた。
本発明者らは、従来技術の課題を解決できる硬化剤について鋭意研究を行った結果、本発明に到達したものである。本発明者らは、材料の速硬化性賦与の手段として特定のジアミン類またはジチオール類を添加した新規のエポキシ樹脂硬化剤により、エポキシ硬化の際に速硬化性が満たされることを見出した。
本発明は、高難燃性、高耐熱性、高流動性および速硬化性を満たし得る新規のエポキシ樹脂硬化剤、該硬化剤を用いた組成物、およびその硬化物を提供するものである。
本発明は、水酸基当量が50〜250g/eqで、150℃溶融粘度が50〜500mPa・sであり、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するフェノール化合物(A)、下記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物(B)、下記一般式(3)で表されるジヒドロキシナフタレン化合物(C)、および下記一般式(4)で表されるジアミン化合物またはジチオール化合物(D)を、(B)の(A)に対する重量比が0.5〜5.0、(C)の(A)に対する重量比が0.1〜1.0、および(D)の(A)に対する重量比が0.05〜0.30の割合で、(A)、(B)、(C)および(D)を溶融混合するか、または(A)、(B)および(C)を溶融混合した後に(D)を混合して得られる、150℃溶融粘度が50〜500mPa・sで、水酸基当量が250〜400g/eqである混合生成物からなるエポキシ樹脂硬化剤を提供する。
Figure 2014196465
式(1)中、Arは式(2)で示されるアリーレン基であり、Xはメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子または直接結合であり、nは0〜1の整数である。
Figure 2014196465
式(2)中、Rは炭素数1〜4の炭化水素基であり、aは0〜4の整数である。
Figure 2014196465
式(3)中、R、Rは炭素数1〜4の炭化水素基であり、b、cは0〜4の整数であり、dおよびeはそれぞれ0〜2の整数であってd+e=2である。
Figure 2014196465
式(4)中、Arは、前記式(2)で示されるアリーレン基であり、Yはメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子または直接結合であり、Zはメルカプト基または一級アミノ基であり、n=0〜1の整数である。
前記フェノール化合物(A)が、下記一般式(5)で示される化合物である前記したエポキシ樹脂硬化剤は本発明の好ましい態様である。
Figure 2014196465
式中、nは1以上の数であって、水酸基当量が50〜250g/eqを満足させる数である。
前記フェノール化合物(A)が、下記一般式(6)で示される化合物である前記したエポキシ樹脂硬化剤は本発明の好ましい態様である。
Figure 2014196465
式中、nは1以上の数であって、水酸基当量が50〜250g/eqを満足させる数である。
前記フェノール化合物(A)が、下記一般式(7)で示される化合物である前記したエポキシ樹脂硬化剤は本発明の好ましい態様である。
Figure 2014196465
式中、mおよびnは、m+n=1〜10およびm/n=0.7〜1.5の関係を満たすそれぞれが0.4〜6.0の数であって、水酸基当量が50〜250g/eqを満足させる数である。
前記フェノール化合物(A)が、前記一般式(5)、(6)または(7)で示される化合物と、下記一般式(8)または(9)で示されるベンゾキノン類との付加化合物である前記したエポキシ樹脂硬化剤もまた本発明の好ましい態様である。
Figure 2014196465
Figure 2014196465
式(8)および(9)中、R〜Rは、それぞれ水素又は炭素数が1〜6の炭化水素基であり、R10は炭素数が1〜6の炭化水素基であって、yは0〜4の整数である。
本発明はまた、前記したエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物およびそれを硬化させたエポキシ樹脂硬化物を提供する。
本発明は、前記したエポキシ硬化剤で封止された半導体装置も提供する。また本発明は、前記したエポキシ硬化剤で作成された層間絶縁材料も提供する。
本発明により、高難燃性、高耐熱性、高流動性および速硬化性を満たすフェノール系硬化剤が提供される。
本発明によりまた、高難燃性、高耐熱性、高流動性および速硬化性を満たす新規のフェノール系硬化剤を用いた組成物、およびその硬化物が提供される。
本発明により、特にエポキシ樹脂硬化剤として有用であり、とりわけ半導体封止用、層間絶縁材料として用いた場合に、低溶融粘度、難燃性、硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物を形成することができるフェノール系重合体、およびそのエポキシ樹脂組成物が提供される。
実施例1で得られた混合生成物のGPC分析チャートである。 実施例2で得られた混合生成物のGPC分析チャートである。
本発明は、水酸基当量が50〜250g/eqで、150℃溶融粘度が50〜500mPa・sであり、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するフェノール化合物(A)、下記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物(B)、下記一般式(3)で表されるジヒドロキシナフタレン化合物(C)、および下記一般式(4)で表されるジアミン化合物またはジチオール化合物(D)を、(B)の(A)に対する重量比が0.5〜5.0、(C)の(A)に対する重量比が0.1〜1.0、および(D)の(A)に対する重量比が0.05〜0.30の割合で、(A)、(B)、(C)および(D)を溶融混合するか、または(A)、(B)および(C)を溶融混合した後に(D)を混合して得られる、150℃溶融粘度が50〜500mPa・sで、水酸基当量が250〜400g/eqである混合生成物からなるエポキシ樹脂硬化剤を提供する。
本発明のフェノール化合物(A)は、水酸基当量が50〜250g/eqで、150℃溶融粘度が50〜500mPa・sであって、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するフェノール化合物である。
本発明のフェノール化合物(A)の好ましい例として、前記一般式(5)で表される化合物、前記一般式(6)で表される化合物、前記一般式(7)で表される化合物などを挙げることができる。
本発明のフェノール化合物(A)は、前記一般式(5)、(6)または(7)で示される化合物と、下記一般式(8)または(9)で示されるベンゾキノン類との付加化合物であってもよい。前記一般式(5)、(6)または(7)で示される化合物に対する、前記一般式(8)または(9)のベンゾキノン類の反応割合は、通常架橋基のモル数に対し0.2〜5.0モル倍のベンゾキノン類が使用される。
反応条件については、特に制限はないが、必要に応じて触媒を加え80〜200℃程度の温度範囲とするのがよい。
本発明に用いられるフェノール化合物(A)としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有し、前記ビスマレイミド化合物およびジヒドロキシナフタレン化合物との溶融混合に際して相溶しやすく、高流動性の混合生成物を与えるものが用いられる。たとえば、ビスフェノールF,ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのビスフェノール系化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂などのノボラック化合物、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などのアラルキル化合物、トリフェノールメタン樹脂などの公知のポリフェノール化合物を用いることができる。その中でもアラルキル化合物の使用が好ましく、これらアラルキル化合物はパラキシリレングリコール、ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニル、またはこれらの誘導体を架橋剤としてフェノール類またはナフトール類などのフェノール性水酸基含有化合物と反応させることにより得ることができる。
フェノール化合物(A)の水酸基当量が50〜250g/eq、150℃で、溶融粘度が50〜500mPa・sの範囲にあれば、良好な高耐熱性、高難燃性および高流動性のバランスを得ることができる。
本発明に用いられる前記一般式(1)で示されるビスマレイミド化合物(B)は、無水マレイン酸と2官能型芳香族アミン類を縮合させることで、容易に得ることが可能である(例えば特開昭60−260623号公報など参照)。本発明に用いられるビスマレイミド化合物としては、融点が100〜250℃の物性を有するものが好ましい。
本発明に用いられる前記一般式(3)で示されるジヒドロキシナフタレン化合物(C)としては、融点が100〜200℃の物性を有するものが好ましい。例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが挙げられるが、エポキシ樹脂との反応性を考慮すると水酸基同士が隣接していないものが特に好ましい。
本発明に用いられる前記一般式(4)で示されるジアミン化合物またはジチオール化合物(D)としては、融点が100〜200℃を有するものが好ましい。このようなジアミン化合物またはジチオール化合物の具体例としては、オキシジアニリン、チオビスベンゼンチオール、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジメルカプトビフェニルなどを挙げることができる。
本発明のフェノール化合物(A)と、前記ビスマレイミド化合物(B)と、前記ジヒドロキシナフタレン化合物(D)と前記ジアミン化合物またはジチオール化合物(D)の混合において、好ましくはフェノール化合物(A)とビスマレイミド化合物(B)の重量比が0.5〜5.0、より好ましくは1.0〜4.5であり、フェノール化合物(A)とジヒドロキシナフタレン化合物(C)の重量比が0.1〜1.0、より好ましくは0.2〜0.8であり、フェノール化合物(A)とジアミン化合物またはジチオール化合物(D)の重量比が0.05〜0.30より好ましくは0.10〜0.25であることが望ましい。
上記加熱混合は、通常の混合容器において、加熱条件下で、好ましくは攪拌条件下に混合される。
本発明の混合生成物は、フェノール化合物(A)、前記ビスマレイミド化合物(B)、前記ジヒドロキシナフタレン化合物(C)および前記ジアミン化合物またはジチオール化合物(D)を混合することによって得ることができる。これらの成分を混合する条件としては、(A)、(B)、(C)および(D)を溶融混合するか、または(A)、(B)および(C)を溶融混合した後に(D)を混合するのが好ましい。
前記溶融混合をする場合、前記ビスマレイミド化合物(B)以外の成分をまず溶融混合し、そこにビスマレイミド化合物(B)を混合して溶融混合物とすることが好ましい。
本発明の混合生成物を得るのに、(A)、(B)および(C)を溶融混合した後に(D)を混合する場合、(D)を100℃以下の温度条件で混合することが好ましい。(D)を混合するときに、(A)、(B)および(C)は溶融状態であってもいいが、必ずしも溶融状態を維持している必要はなく、(A)、(B)および(C)の溶融混合物が冷却して固化した後に、固化した混合物を粉砕しまたは粉砕せずに、これに(D)を混合することによって本発明の混合生成物を得ることができる。この場合、混合する(D)は粉末状等の固体であってもよい。
本発明の各成分を溶融混合するときの条件としては、100〜200℃の温度範囲で撹拌混合することが好ましい。(A)、(B)、(C)および(D)を前記したような方法で混合することによって、150℃溶融粘度が50〜500mPa・s、水酸基当量が250〜400g/eqである混合生成物を得ることができる。混合する時間は、15〜60分間程度であることが好ましい。
本発明の混合生成物においては、混合成分は、成分同士が化学反応していてもいいし、反応しない状態で存在していてもよい。本発明の混合生成物においては、混合成分は各成分が相溶状態もしくは成分同士が一部反応した状態で相溶しているものと推定される。
本発明の混合生成物を構成する成分を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)分析によって分析することはできるが、必ずしもGPC分析の各ピークに相当する成分がすべて同定されていることを必要とするものではない。
このようにして得られる混合生成物からなるエポキシ樹脂硬化剤は、成形温度域での溶融粘度が低く加工性に優れており、難燃性、耐熱性に優れることから、成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記したエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物である。エポキシ樹脂組成物において、上記エポキシ樹脂硬化剤とともに使用することができるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール、ナフトールなどのキシリレン結合によるアラルキル樹脂のエポキシ化物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などの一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独使用でも2種類以上併用してもよい。耐湿性、熱時低弾性率、難燃性を考慮すると、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などの2官能型エポキシ樹脂や、フェノ−ルビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール、ナフトールなどのキシリレン結合によるアラルキル樹脂のエポキシ化物などから選ばれる芳香環の多い多官能型エポキシ樹脂を使用するのが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化に際しては、硬化促進剤を併用することが好ましい。硬化促進剤としては、エポキシ樹脂をフェノール系硬化剤で硬化させるための公知の硬化促進剤を用いることができ、例えば、3級アミン化合物、4級アンモニウム塩、イミダゾール類、尿素化合物、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩などを挙げることができる。より具体的には、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア、3−(o−メチルフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−(p−メチルフェニル)−1,1−ジメチルウレア、1,1’−フェニレンビス(3,3−ジメチルウレア)、1,1’−(4−メチル−m−フェニレン)−ビス(3,3−ジメチルウレア)などの尿素化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどのホスフィン化合物、トリフェニルホスホニオフェノラート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラナフトエ酸ボレートなどのホスホニウム塩を挙げることができるが、エポキシ樹脂の硬化とビスマレイミドの重合の両方に高活性を示す、イミダゾール類、尿素化合物、ホスホニウム塩の使用が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤、カップリング剤、離型剤、着色剤、難燃剤、低応力剤などを添加または予め反応して用いることができる。また他の硬化剤を併用することもできる。このような他の硬化剤の例として、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールビフェニルアラルキル樹脂、フェノールナフチルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂などを挙げることができる。
無機充填剤の例として、非晶性シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、ガラス、珪酸カルシウム、マグネサイト、クレー、タルク、マイカ、マグネシア、硫酸バリウムなどを挙げることができるが、特に非晶性シリカ、結晶性シリカ、硫酸バリウムが好ましい。また優れた成形性を維持しつつ充填剤の配合量を高めたい場合は、細密充填を可能とするような粒度分布の広い球形の充填剤を使用することが好ましい。
カップリング剤の例としては、メルカプトシラン系、ビニルシラン系、アミノシラン系、エポキシシラン系などのシランカップリング剤やチタンカップリング剤を、離型剤の例としてはカルナバワックス、パラフィンワックスなど、また着色剤としてはカーボンブラックなどをそれぞれ例示することができる。難燃剤の例としては、リン化合物、金属水酸化物など、低応力剤の例としては、シリコンゴム、変性ニトリルゴム、変性ブタジエンゴム、変性シリコンオイルなどを挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂との配合比は、耐熱性、機械的特性などを考慮すると、水酸基/エポキシ基の当量比が0.5〜1.5、特に0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。また他の硬化剤と併用する場合においても水酸基/エポキシ基の当量比が上記割合となるようにするのが好ましい。硬化促進剤は、硬化特性や諸物性を考慮すると、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で使用するのが好ましい。無機充填剤の配合率については、その種類によっても異なるが、半田耐熱性、成形性(溶融粘度、流動性)、低応力性、低吸水性などを考慮すると、無機充填剤を組成物全体の60〜93重量%を占めるような割合で配合することが好ましい。
エポキシ樹脂組成物を成形材料として調製する場合の一般的な方法としては、所定の割合の各原料を、例えばミキサーによって充分混合後、熱ロールやニーダーなどによって混練処理を加え、さらに冷却固化後適当な大きさ粉砕し、必要に応じタブレット化するなどの方法を挙げることができる。このようにして得た成形材料は、例えば低圧トランスファー成形などにより半導体を封止し、半導体装置を製造することができる。
エポキシ樹脂組成物を絶縁層材料として調製する場合の一般的な方法としては、所定の割合の各原料を溶剤に溶解させ、これを回路基板に塗布するための層間絶縁用ワニスとすることができ、これをガラス繊維に含浸させて加熱処理を行うことにより該用途のプリプレグとすることができ、またはこれを支持フィルム上で加熱処理してフィルム状とした該用途の接着シートとすることができる。これらはいずれの形態で使用しても層間絶縁層とすることができる。
エポキシ樹脂組成物の硬化は、上記いずれの製品形態であっても例えば100〜250℃の温度範囲で行うことができる。
以下に実施例、比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
[参考例1]
フェノール1030.6g(10.964モル)、1,4−ベンゾキノン498.1g(4.698モル)を、下部に抜出口のある4つ口フラスコに仕込み、内温60℃を保ちながら10%トリフルオロメタンスルホン酸水溶液を0.89g滴下した。その後80℃で2時間保持10%トリフルオロメタンスルホン酸水溶液をさらに1.25g滴下した。その後120℃で1時間保持した。この段階で未反応の1,4−ベンゾキノンは残存しておらず、全て反応したことをガスクロマトグラフィーで確認した。その後、パラキシレングリコールジメチルエーテル260.0g(1.566モル)を添加し、発生する低沸点成分を系外に揮散させながら内温150℃で4時間保持した。この段階で未反応のパラキシレングリコールジメチルエーテルは残存しておらず、全て反応したことをガスクロマトグラフィーで確認した。その後、未反応フェノールがガスクロマトグラフィーで未検出になるまで30torrで150℃の減圧下でフェノールを除去した。この反応生成物を150℃で抜き出し、黒褐色の1,4−ベンゾキノン変性型フェノールアラルキル樹脂1159.6gを得た。JIS
K 2207に基づき、この樹脂の軟化点を測定したところ77℃であった。またICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融粘度は、95mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した水酸基当量は、94g/eqであった。
[実施例1]
参考例1で得られた、1,4−ベンゾキノン変性型フェノールアラルキル樹脂(水酸基当量94g/eq、150℃溶融粘度95mPa・s)37.6gおよび2,7−ジヒドロキシナフタレン19.2g、チオビスベンゼンチオール5.0gを150℃で30分間溶融混合したのち、液温を135℃に下げて4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド143.2gを添加した。これを同温で30分間攪拌後常温冷却することより、混合生成物として均質な黒褐色のガラス状溶融物205.0g(混合生成物1)が得られた。
混合生成物2のICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融物の溶融粘度は、170mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した溶融物の水酸基当量は、300g/eqであった。得られた混合生成物1の物性を表1に示した。
上記で得られた混合生成物1を、下記条件でGPC分析した。
GPC分析条件:
(1)使用機器:東ソー株式会社製、HLC−8220 GPC
(2)カラム:東ソー株式会社製、TSKgelG2000HXL+G1000HXL(6mm×30cm 2本)
(3)溶媒:テトラヒドロフラン
(4)流量:1.000ml/min
(5)温度:40℃
(6)検出器:RI、HLC−8220 GPC内蔵RI検出器
GPC分析により得られたチャートを図1として示す。図1のリテンションタイム(RT)は、RT17.3minはビスマレイミドに対応するピークで面積百分率は57%であり、RT18.1minは2,7−ジヒドロキシナフタレンに対応するピークで面積百分率は10%であった。チオビスベンゼンチオールに対応するピークは消失していることから、付加反応を起こしているものと推定される。本実施例1で得られた混合生成物1を、エポキシ硬化剤1とする。
[実施例2]
参考例1で得られた1,4−ベンゾキノン変性型フェノールアラルキル樹脂(水酸基当量94g/eq、150℃溶融粘度95mPa・s)37.6gおよび2,7−ジヒドロキシナフタレン19.2g、オキシジアニリン5.0gを150℃で30分間溶融混合したのち、液温を135℃に下げて4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド143.2gを添加した。これを同温で30分間攪拌後常温冷却することより、混合生成物として均質な黒褐色のガラス状溶融物205.0g(混合生成物2)が得られた。
混合生成物2のICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融物の溶融粘度は、180mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した溶融物の水酸基当量は295g/eqであった。本実施例2で得られた混合生成物2を、エポキシ硬化剤2とする。得られた混合生成物2の物性を表1に示した。
得られた混合生成物2を実施例1と同様の条件でGPC分析した。GPC分析により得られたチャートを図2として示す。図2のリテンションタイム(RT)は、RT17.3minはビスマレイミドに対応するピークで面積百分率は62%であり、RT18.1minは2,7−ジヒドロキシナフタレンに対応するピークで面積百分率は10%であった。オキシジアニリンに対応するピークは消失していることから、付加反応を起こしているものと推定される。
[実施例3]
フェノールノボラック変性トリフェノールメタン樹脂37.6g(エア・ウォーター(株)製、HE910C−10、水酸基当量100g/eq、150℃溶融粘度110mPa・s)および2,7−ジヒドロキシナフタレン19.2g、チオビスベンゼンチオール5.0gを150℃で30分間溶融混合したのち、液温を120℃に下げて4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド143.2gを添加した。これを同温で30分間攪拌後常温冷却することより、混合生成物として均質な黒褐色のガラス状溶融物205g(混合生成物3)が得られた。
混合生成物3のICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融物の溶融粘度は、190mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した溶融物の水酸基当量は、310g/eqであった。本実施例3で得られた混合生成物3を、エポキシ硬化剤3とする。得られた混合生成物3の物性を表1に示した。
[実施例4]
フェノールノボラック変性トリフェノールメタン樹脂37.6g(エア・ウォーター(株)製、HE910C−10、水酸基当量100g/eq、150℃溶融粘度110mPa・s)および2,7−ジヒドロキシナフタレン19.2g、オキシジアニリン5.0gを150℃で30分間溶融混合したのち、液温を120℃に下げて4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド143.2gを添加した。これを同温で30分間攪拌後常温冷却することより、混合生成物として均質な黒褐色のガラス状溶融物205g(混合生成物4)が得られた。
混合生成物4のICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融物の溶融粘度は、200mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した溶融物の水酸基当量は、304g/eqであった。本実施例4で得られた混合生成物4を、エポキシ硬化剤4とする。得られた混合生成物4の物性を表1に示した。
[実施例5]
フェノールノボラック変性トリフェノールメタン樹脂37.6g(エア・ウォーター(株)製、HE910C−10、水酸基当量100g/eq、150℃溶融粘度110mPa・s)および2,7−ジヒドロキシナフタレン19.2gを150℃で30分間溶融混合したのち、液温を120℃に下げて4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド143.2gを添加した。これを同温で30分間攪拌後常温冷却し、ガラス状となった溶融混合物を取り出してチオビスベンゼンチオール5.0gと一緒に粉砕機で粉砕混合し、黄褐色粉末205.0g(混合生成物5)が得られた。
混合生成物5のICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融物の溶融粘度は、190mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した溶融物の水酸基当量は、308g/eqであった。本実施例5で得られた混合生成物5を、エポキシ硬化剤5とする。得られた混合生成物5の物性を表1に示した。
[実施例6]
フェノールノボラック変性トリフェノールメタン樹脂37.6g(エア・ウォーター(株)製、HE910C−10、水酸基当量100g/eq、150℃溶融粘度110mPa・s)および2,7−ジヒドロキシナフタレン19.2gを150℃で30分間溶融混合したのち、液温を120℃に下げて4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド143.2gを添加した。これを同温で30分間攪拌後常温冷却し、ガラス状となった溶融混合物を取り出してオキシジアニリン5.0gと一緒に粉砕機で粉砕混合し、黄褐色粉末205.0g(混合生成物6)が得られた。
混合生成物6のICI溶融粘度計により測定した150℃における溶融物の溶融粘度は、190mPa・sであった。さらにアセチル化逆滴定法により測定した溶融物の水酸基当量は、301g/eqであった。本実施例6で得られた混合生成物6を、エポキシ硬化剤6とする。得られた混合生成物6の物性を表1に示した。
[比較例1]
実施例1〜6で得られた混合生成物1〜6の物性と比較するため、公知のエポキシ樹脂硬化剤であるフェノールアラルキル樹脂(エア・ウォーター(株)製、HE100C−10、水酸基当量168g/eq、150℃溶融粘度100mPa・s)(本樹脂をエポキシ硬化剤7とする)の物性を比較例1として表1に示した。
[比較例2]
実施例1〜6で得られた混合生成物1〜6の物性と比較するため、公知のエポキシ樹脂硬化剤であるフェノールノボラック変性トリフェノールメタン樹脂(エア・ウォーター(株)製、HE910C−10、水酸基当量100g/eq、150℃溶融粘度110mPa・s)(本樹脂をエポキシ硬化剤8とする)の物性を比較例2として表1に示した。
Figure 2014196465
[実施例7]
下記一般式(10)で示されるエポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC−3000、フェノールビフェニルアラルキル型、エポキシ当量275g/eq)、実施例1で得られたエポキシ硬化剤1、溶融シリカおよびウレア系硬化促進剤(サンアプロ社製 U−CAT 3513N)を表2に示す割合で配合し、充分に混合した後、85±3℃の2本ロールで3分間混練し、冷却、粉砕することによりエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物についてゲルタイムおよび溶融粘度を測定した。
トランスファー成形機でこのエポキシ樹脂組成物を圧力100kgf/cmで175℃、2分間成形した後、180℃で6時間のポストキュアを行い、ガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを調製してその測定を行った。
測定の結果を表2に示した。
Figure 2014196465
(式中、Gはグリシジル基、nは1〜10の数)
[実施例8]
実施例7において、使用したエポキシ硬化剤1に代えて、エポキシ硬化剤2を用い、配合割合を表2のようにした以外は、実施例7と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、それからガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得て、各物性の測定を行った。
測定の結果を表2に示した。
[実施例9]
実施例7において、使用したエポキシ硬化剤1に代えて、エポキシ硬化剤3を用い、配合割合を表2のようにした以外は、実施例7と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、それからガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得て、各物性の測定を行った。
測定の結果を表2に示した。
[実施例10]
実施例7において、使用したエポキシ硬化剤1に代えて、エポキシ硬化剤4を用い、配合割合を表2のようにした以外は、実施例7と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、それからガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得て、各物性の測定を行った。
[実施例11]
実施例7において、使用したエポキシ硬化剤1に代えて、エポキシ硬化剤5を用い、配合割合を表2のようにした以外は、実施例7と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、それからガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得て、各物性の測定を行った。
測定の結果を表2に示した。
[実施例12]
実施例7において、使用したエポキシ硬化剤1に代えて、エポキシ硬化剤6を用い、配合割合を表2のようにした以外は、実施例7と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、それからガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得て、各物性の測定を行った。
測定の結果を表2に示した。
[比較例3]
実施例7において、使用したエポキシ硬化剤1に代えて、比較例1に記載したエポキシ硬化剤7を用いる以外は、実施例7と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、それからガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得て、各物性の測定を行った。
測定の結果を表2に示した。
[比較例4]
実施例7において、使用したエポキシ硬化剤1に代えて、比較例1に記載したエポキシ硬化剤8を用いる以外は、実施例7と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、それからガラス転移温度測定用及び難燃性試験用のテストピースを得て、各物性の測定を行った。
測定の結果を表2に示した。
各物性は下記の方法により測定した。
(1)ゲルタイム
キュラストメーターV型を用いて、エポキシ樹脂組成物5gをタブレットにして上部、下部温度を175℃にセットした中に入れトルクが出る時間をT0(ゲル化開始時間)として測定した。
(2)組成物の溶融粘度
エポキシ樹脂組成物2.5gをタブレットにして、高下式フローテスター(温度175℃、オリフィス径1mm、長さ1mm)にて測定した。
(3)ガラス転移温度
TMAによりテストピースの線膨張係数を昇温速度10℃/分で測定し、線膨張係数の変曲点をガラス転移温度とした。
(4)難燃性
厚み1.6mm×幅10mm×長さ135mmのサンプルを用い、UL−94Vに準拠して残炎時間を測定し評価した。
Figure 2014196465
表1において、実施例1〜実施例6に示す本発明が与える硬化剤は、比較例1,2に示す硬化剤と同等の溶融粘度を有する。その物性は、同じ構成成分とすれば、その混合方法で差異が生じることはない。
表2において、本発明の硬化剤1〜6を含むエポキシ樹脂組成物の流動性は、硬化剤7,8を含むエポキシ樹脂組成物と同等であることがわかる。それら硬化剤が与える実施例7〜12すべての硬化物は、比較例3、4で得られる硬化物と比べ、ガラス転移温度が高く、残炎時間およびゲルタイムがそれぞれ短いことがわかる。この特徴は同一組成で混合方法が異なる硬化剤を用いても同じであり、それによって物性に差異を生じることはない。
したがって、本発明は、高流動性、高耐熱性、高難燃性に加え、従来技術では実現困難であった速硬化性を備えたエポキシ樹脂組成物の製造を可能にするものである。
本発明により提供されるエポキシ樹脂硬化剤は、高難燃性、高耐熱性、高流動性および速硬化性を満たす新規のエポキシ樹脂硬化剤である。
また本発明により、高難燃性、高耐熱性、高流動性および速硬化性を満たす新規のエポキシ樹脂硬化剤を用いた組成物、およびその硬化物が提供される。
本発明により、特にエポキシ樹脂硬化剤として有用であり、とりわけ半導体・パワーデバイス封止用、層間絶縁材料として用いた場合に、低溶融粘度、難燃性、硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物を形成することができるフェノール系重合体、およびそのエポキシ樹脂組成物が提供される。

Claims (15)

  1. 水酸基当量が50〜250g/eqで、150℃溶融粘度が50〜500mPa・sであり、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するフェノール化合物(A)、下記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物(B)、下記一般式(3)で表されるジヒドロキシナフタレン化合物(C)、および下記一般式(4)で表されるジアミン化合物またはジチオール化合物(D)を、(B)の(A)に対する重量比が0.5〜5.0、(C)の(A)に対する重量比が0.1〜1.0、および(D)の(A)に対する重量比が0.05〜0.30の割合で、(A)、(B)、(C)および(D)を溶融混合するか、または(A)、(B)および(C)を溶融混合した後に(D)を混合して得られる、150℃溶融粘度が50〜500mPa・sで、水酸基当量が250〜400g/eqである混合生成物からなるエポキシ樹脂硬化剤。
    Figure 2014196465
    (式(1)中、Arは式(2)で示されるアリーレン基であり、Xはメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子または直接結合であり、nは0〜1の整数である。)
    Figure 2014196465
    (式(2)中、Rは炭素数1〜4の炭化水素基であり、aは0〜4の整数である。)
    Figure 2014196465
    (式(3)中、R、Rは炭素数1〜4の炭化水素基であり、b、cは0〜4の整数であり、dおよびeはそれぞれ0〜2の整数であってd+e=2である。)
    Figure 2014196465
    (式(4)中、Arは前記式(2)で示されるアリーレン基であり、Yはメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子または直接結合であり、Zはメルカプト基または一級アミノ基であり、n=0〜1の整数である。)
  2. 前記溶融混合が、100〜200℃の温度範囲で行われることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
  3. 前記(A)、(B)および(C)を100〜200℃の温度範囲で溶融混合した後、前記(D)を100℃以下で混合することを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
  4. 前記フェノール化合物(A)が、下記一般式(5)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤。
    Figure 2014196465
    (式中、nは1以上の数であって、水酸基当量が50〜250g/eqを満足させる数である。)
  5. 前記フェノール化合物(A)が、下記一般式(6)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤。
    Figure 2014196465
    (式中、nは1以上の数であって、水酸基当量が50〜250g/eqを満足させる数である。)
  6. 前記フェノール化合物(A)が、下記一般式(7)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤。
    Figure 2014196465
    (式中、mおよびnは、m+n=1〜10およびm/n=0.7〜1.5の関係を満たすそれぞれが0.4〜6.0の数であって、水酸基当量が50〜250g/eqを満足させる数)
  7. 前記フェノール化合物が(A)、一般式(5)、(6)または(7)で示される化合物と、下記一般式(8)または(9)で示されるベンゾキノン類との付加化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤。
    Figure 2014196465
    Figure 2014196465
    (式(8)および(9)中、R〜Rは、それぞれ水素又は炭素数が1〜6の炭化水素基であり、R10は炭素数が1〜6の炭化水素基であって、yは0〜4の整数である。)
  8. 前記ビスマレイミド化合物(B)の融点が120〜250℃で、ジヒドロキシナフタレン化合物の融点が100〜200℃で、ジアミン化合物またはジチオール化合物の融点が100〜200℃である請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤。
  9. 前記ジアミン化合物またはジチオール化合物(D)が、オキシジアニリン、チオビスベンゼンチオール、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィドおよび4,4’−ジメルカプトビフェニルから選ばれた化合物である請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物。
  11. さらに硬化促進剤を含む請求項10に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. さらに無機充填材を含む請求項10または11に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を熱硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
  14. 請求項10〜12のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物で封止された半導体装置。
  15. 請求項10〜12のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物で作成された層間絶縁材料。
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