JP2014196068A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性及び静寂性に優れた空気入りタイヤの提供。
【解決手段】タイヤは、サイドウォール8に、列66を備えている。この列66は、周方向に沿って並ぶ多数のディンプル62と多数のランド64とによって形成されている。列66は、互いにサイズの異なる複数種類のディンプル62を有する。これらのディンプル62は、ランダムに配置されている。列66は、互いにサイズの異なる複数種類のランド64を有する。これらのランド64は、ランダムに配置されている。それぞれのディンプル62の平面形状は、実質的に矩形である。この矩形の長辺70の方向は、周方向と一致している。この長辺70のサイズLDは、20mm以上30mm以下である。ランド64のサイズLLは、1.0mm以上3.0mm以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、サイド面にディンプルを備えた空気入りタイヤに関する。
車輌が走行するとき、座席には騒音が届く。この騒音の原因は、エンジン音、車体の風切り音及びタイヤノイズである。特に、タイヤノイズは、座席での静寂性に大きな影響を及ぼす。静寂性の観点から、ノイズの小さなタイヤが求められている。
近年、サイドウォールの内側に荷重支持層を備えたランフラットタイヤが開発され、普及しつつある。この支持層には、高硬度な架橋ゴムが用いられている。このランフラットタイヤは、サイド補強タイプと称されている。このタイプのランフラットタイヤでは、パンクによって内圧が低下すると、支持層によって荷重が支えられる。この支持層は、パンク状態でのタイヤの撓みを抑制する。パンク状態で走行が継続されても、高硬度な架橋ゴムが、支持層での発熱を抑制する。このランフラットタイヤでは、パンク状態でも、ある程度の距離の走行が可能である。このランフラットタイヤが装着された自動車には、スペアタイヤの常備は不要である。このランフラットタイヤの採用により、不便な場所でのタイヤ交換が避けられうる。
パンク状態にあるランフラットタイヤの走行が継続されると、支持層の変形と復元とが繰り返される。この繰り返しにより支持層で熱が生じ、タイヤが高温に達する。この熱は、タイヤを構成するゴム部材の破損及びゴム部材間の剥離を招来する。破損及び剥離が生じたタイヤでは、走行は不可能である。パンク状態での長時間の走行が可能なランフラットタイヤ、換言すれば、熱に起因する破損及び剥離が生じにくいランフラットタイヤが望まれている。
特開2009−298397公報には、サイドウォールにディンプルを備えたランフラットタイヤが開示されている。このディンプルの表面形状は、円である。このサイドウォールの表面積は、大きい。このタイヤでは、ディンプルが乱流を発生させる。大きな表面積と乱流とにより、サイドウォールから大気への放熱が促進される。このタイヤは、昇温しにくい。このタイヤは、パンク状態での走行における耐久性に優れる。
特開2010−274886公報には、サイドウォールに楕円形であるディンプルを備えたランフラットタイヤが開示されている。このタイヤでも、ディンプルが乱流を発生させる。
特開2009−298397公報 特開2010−274886公報
ディンプルは、風切り音を発生させる。この風切り音は、定常周波数を有する。この風切り音は、タイヤの気柱共鳴音と共振する。共振により、ノイズのパワースペクトルが増幅される。ディンプルは、タイヤの静寂性を阻害する。
本発明の目的は、耐久性及び静寂性に優れた空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、そのサイド部の表面に、周方向に沿って並ぶ多数のディンプルと多数のランドとによって形成された列を備える。この列は、互いにサイズの異なる複数種類のディンプルを有する。
好ましくは、列の少なくとも一部において、ディンプルがランダムに配置される。
好ましくは、列は、互いに周方向サイズの異なる複数種類のディンプルを有する。列が、互いに深さの異なる複数種類のディンプルを有してもよい。
好ましくは、列は、互いにサイズの異なる複数種類のランドを有する。
好ましくは、列の少なくとも一部において、ランドがランダムに配置される。
それぞれのディンプルの周方向サイズは、好ましくは、20mm以上30mm以下である。それぞれのディンプルの深さは、好ましくは、1.0mm以上3.0mm以下である。
それぞれのランドの周方向サイズは、好ましくは、1.0mm以上3.0mm以下である。
それぞれのディンプルの平面形状は、好ましくは、実質的に矩形である。好ましくは、この矩形の長辺の方向は、周方向と一致する。
本発明に係るタイヤでは、ディンプルによって、サイド面の大きな表面積が達成される。大きな表面積は、タイヤから大気への放熱を促進する。このディンプルはさらに、タイヤの周囲に乱流を発生させる。この乱流により、タイヤから大気への放熱が促進される。このタイヤは、耐久性に優れる。このタイヤは、互いにサイズの異なる複数種類のディンプルを有するので、静寂性にも優れる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤのサイド面の一部が示された正面図である。 図3は、図2のタイヤのディンプル及びランドが示された拡大図である。 図4は、図2のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、ランフラットタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線Eqはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターン(後に詳説)を除き、赤道面Eqに対して対称である。図1において、矢印HはベースラインBL(後に詳説)からのタイヤ2の高さを表す。
このタイヤ2は、トレッド4、ウイング6、サイドウォール8、クリンチ10、ビード12、カーカス14、荷重支持層16、ベルト18、バンド20、インナーライナー22及びチェーファー24を備えている。ベルト18及びバンド20は、補強層を構成している。ベルト18のみから、補強層が構成されてもよい。バンド20のみから、補強層が構成されてもよい。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面26を形成する。トレッド面26には、溝28が刻まれている。この溝28により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、キャップ層30とベース層32とを有している。キャップ層30は、架橋ゴムからなる。ベース層32は、他の架橋ゴムからなる。キャップ層30は、ベース層32の半径方向外側に位置している。キャップ層30は、ベース層32に積層されている。
サイドウォール8は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール8は、架橋ゴムからなる。サイドウォール8は、カーカス14の外傷を防止する。
クリンチ10は、サイドウォール8の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ10は、リムのフランジ36と当接している。
ビード12は、サイドウォール8の半径方向内側に位置している。ビード12は、コア38と、このコア38から半径方向外向きに延びるエイペックス40とを備えている。コア38はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。典型的には、ワイヤーは、スチール製である。エイペックス40は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス40は、高硬度な架橋ゴムからなる。
図1において矢印Haで示されているのは、ベースラインBLからのエイペックス40の高さである。換言すれば、高さHaは、ビードの半径方向外側端の、ベースラインからの距離である。このベースラインBLは、コア38の、半径方向における最も内側地点を通過する。このベースラインBLは、軸方向に延びる。タイヤ2の高さHに対するエイペックス40の高さHaの比(Ha/H)は、0.1以上0.7以下が好ましい。比(Ha/H)が0.1以上であるエイペックス40は、パンク状態において車重を支持しうる。このエイペックス40は、パンク状態でのタイヤ2の耐久性に寄与する。この観点から、比(Ha/H)は0.2以上がより好ましい。比(Ha/H)が0.7以下であるタイヤ2は、乗り心地性に優れる。この観点から、比(Ha/H)は0.6以下がより好ましい。
図1において矢印Hbで示されているのは、最大幅の位置Pの、ベースラインBLからの高さである。高さHbに対する、高さHaの比率は、80%以上が好ましい。この比率が80%以上であるタイヤ2のサイド部の剛性は、大きい。このタイヤ2では、パンク時のサイド部の、リムフランジを支点とした変形が抑制される。このタイヤ2は、パンク状態での耐久性に優れる。この観点から、この比率は85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。通常状態での乗り心地の観点から、この比率は110%以下が好ましい。通常状態とは、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態を意味する。
カーカス14は、カーカスプライ42からなる。カーカスプライ42は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール8に沿っている。カーカスプライ42は、コア38の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ42には、主部44と折り返し部46とが形成されている。折り返し部46の端48は、ベルト18の直下にまで至っている。換言すれば、折り返し部46はベルト18とオーバーラップしている。このカーカス14は、いわゆる「超ハイターンアップ構造」を有する。超ハイターンアップ構造を有するカーカス14は、パンク状態におけるタイヤ2の耐久性に寄与する。このカーカス14は、パンク状態での耐久性に寄与する。
カーカスプライ42は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、45°から90°である。特には、角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
荷重支持層16は、サイドウォール8の軸方向内側に位置している。この支持層16は、カーカス14とインナーライナー22とに挟まれてる。支持層16は、半径方向において、内向きに先細りであり外向きにも先細りである。この支持層16は、三日月に類似の形状である。支持層16は、高硬度な架橋ゴムからなる。タイヤ2がパンクしたとき、この支持層16が荷重を支える。この支持層16により、パンク状態であっても、タイヤ2はある程度の距離を走行しうる。このランフラットタイヤ2は、サイド補強タイプである。タイヤ2が、図1に示された支持層16の形状とは異なる形状を有する支持層を備えてもよい。
カーカス14のうち、支持層16とオーバーラップしている部分は、インナーライナー22と離れている。換言すれば、支持層16の存在により、カーカス14は湾曲されられている。パンク状態のとき、支持層16には圧縮荷重がかかり、カーカス14のうち支持層16と近接している領域には引張り荷重がかかる。支持層16はゴム塊なので、圧縮荷重に十分に耐えうる。カーカス14のコードは、引張り荷重に十分に耐えうる。支持層16とカーカスコードとにより、パンク状態でのタイヤ2の縦撓みが抑制される。縦撓みが抑制されたタイヤ2は、パンク状態での操縦安定性に優れる。
パンク状態での縦歪みの抑制の観点から、支持層16の硬度は60以上が好ましく、65以上がより好ましい。通常状態での乗り心地性の観点から、硬度は90以下が好ましく、80以下がより好ましい。硬度は、「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられ、硬度が測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。
支持層16の下端50は、エイペックス40の上端52(すなわちビードの半径方向外側端)よりも、半径方向において内側に位置している。換言すれば、支持層16はエイペックス40とオーバーラップしている。図1において矢印L1で示されているのは、支持層16の下端50とエイペックス40の上端52との半径方向距離である。距離L1は、5mm以上50mm以下が好ましい。距離L1がこの範囲であるタイヤ2では、均一な剛性分布が得られる。距離L1は10mm以上がより好ましい。距離L1は40mm以下がより好ましい。
支持層16の上端54は、ベルト18の端56よりも軸方向において内側に位置している。換言すれば、支持層16はベルト18とオーバーラップしている。図1において矢印L2で示されているのは、支持層16の上端54とベルト18の端56との軸方向距離である。距離L2は、2mm以上50mm以下が好ましい。距離L2がこの範囲であるタイヤ2では、均一な剛性分布が得られる。距離L2は5mm以上がより好ましい。距離L1は40mm以下がより好ましい。
パンク状態での縦歪みの抑制の観点から、支持層16の最大厚みは3mm以上が好ましく、4mm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、最大厚みは、15mm以下が好ましく、10mm以下が特に好ましい。
ベルト18は、カーカス14の半径方向外側に位置している。ベルト18は、カーカス14と積層されている。ベルト18は、カーカス14を補強する。ベルト18は、内側層58及び外側層60からなる。図1から明らかなように、内側層58の幅は、外側層60の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層58及び外側層60のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層58のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層60のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。トッピングゴムが、多数の短繊維を含んでもよい。ベルト18の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅W(後に詳説)の0.85倍以上1.0倍以下が好ましい。ベルト18が、3以上の層を備えてもよい。
バンド20は、ベルト18を覆っている。図示されていないが、このバンド20は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド20は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下である。特には、この角度は、2°以下である。このコードによりベルト18が拘束されるので、ベルト18のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
タイヤ2が、バンド20に代えて、ベルト18の端56の近傍のみを覆うエッジバンドを備えてもよい。タイヤ2が、バンド20と共に、エッジバンドを備えてもよい。
インナーライナー22は、カーカス14及び補強層16の内周面に接合されている。インナーライナー22は、架橋ゴムからなる。インナーライナー22には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー22は、タイヤ2の内圧を保持する。ベルト18も、空気を遮蔽しうる。従って、タイヤ2が、ベルト18とオーバーラップする領域を除く領域のみに存在するインナーライナーを有してもよい。
図2には、タイヤ2のサイド面が示されている。図2において、上下方向は半径方向であり、矢印Aで示された方向は、タイヤ2の回転方向である。矢印Aで示された方向は、周方向でもある。図1及び2に示されるように、このタイヤ2は、そのサイド面に多数のディンプル62を備えている。このタイヤ2はさらに、多数のランド64を備えている。それぞれのランド64は、ディンプル62とこのディンプル62に隣接する他のディンプル62とに挟まれている。本発明においてサイド面とは、タイヤ2の外面のうち軸方向から目視されうる領域を意味する。典型的には、ディンプル62は、サイドウォール8の表面に形成される。
図2に示されるように、多数のディンプル62及び多数のランド64が、周方向に沿って並んでいる。ディンプル62とランド64とは、交互に配置されている。これらのディンプル62及びランド64により、列66が形成されている。このタイヤ2では、列66の数は、1である。列66の数が、2以上であってもよい。
図3には、ディンプル62及びランド64が示されている。それぞれのディンプル62の平面形状は、実質的に矩形である。矩形のコーナー68は、丸められている。丸められたコーナー68には、土が溜まりにくい。この観点から、コーナー68の丸めの半径は0.5mm以上が好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、この丸めの半径は3.0mm以下が好ましい。コーナー68が、丸められなくてもよい。タイヤ2が、矩形ではない平面形状を有するディンプルを備えてもよい。
ディンプル62の平面形状は、2つの長辺70と2つの短辺72とを備えている。短辺72は、半径方向に延在している。短辺72が、半径方向に対して傾斜してもよい。短辺72が傾斜した平面形状は、平行四辺形である。長辺70は、周方向に延在している。長辺70が、周方向に対して傾斜してもよい。
ディンプル62を有するサイドウォール8の表面積は、ディンプル62がないと仮定されたときのサイドウォール8の表面積よりも大きい。このタイヤ2の大気との接触面積は、大きい。大きな接触面積により、タイヤ2から大気への放熱が促進される。
タイヤ2は、走行時に回転する。タイヤ2が装着された車輌は、進行する。タイヤ2の回転と車輌の進行とにより、ディンプル62を横切って空気が流れる。このとき、空気の流れに渦が生じる。換言すれば、ディンプル62において乱流が生じる。パンク状態においてタイヤ2の走行が継続されると、支持層16の変形と復元とが繰り返される。この繰り返しにより、支持層16で熱が生じる。乱流は、この熱の大気への放出を促進する。このタイヤ2では、熱によるゴム部材の破損が抑制される。このタイヤ2ではさらに、熱によるゴム部材間の剥離が抑制される。このタイヤ2は、パンク状態での長時間の走行が可能である。乱流は、パンク状態のみならず、通常状態での放熱にも寄与する。ディンプル62は、通常状態でのタイヤ2の耐久性にも寄与する。運転者の不注意により、内圧が正規値よりも小さい状態で車輌の走行がなされることがある。この場合のタイヤ2の耐久性にも、ディンプル62は寄与しうる。ディンプル62は、支持層16を有さないタイヤの耐久性にも寄与しうる。
このタイヤ2では、ディンプル62によって昇温が抑制されるので、支持層16が薄くても、パンク状態での長時間の走行が可能である。薄い支持層16により、タイヤ2の軽量が達成される。薄い支持層16により、転がり抵抗が抑制される。軽量でかつ転がり抵抗が小さなタイヤ2は、車輌の低燃費に寄与する。さらに、薄い支持層16により、優れた乗り心地も達成される。
図3において矢印LDで示されているのは、周方向におけるディンプル62のサイズである。図2から明らかなように、このタイヤ2は、第一ディンプル62a、第二ディンプル62b及び第三ディンプル62cを備えている。これらのディンプル62のサイズLDは、互いに異なっている。第一ディンプル62aのサイズLDは、第二ディンプル62bのサイズLDよりも大きい。第二ディンプル62bのサイズLDは、第三ディンプル62cのサイズLDよりも大きい。
ディンプル62の種類数が複数なので、このタイヤ2では、定常周波数を有する風切り音が生じにくい。複数種類のディンプル62は、タイヤ2の静寂性に寄与しうる。
このタイヤ2では、第一ディンプル62aが最も大きなサイズLDmaxを有し、第三ディンプル62cが最も小さなサイズLDminを有する。静寂性の観点から、比(LDmax/LDmin)は1.2以上が好ましく、1.4以上が特に好ましい。比(LDmax/LDmin)は、3.0以下が好ましい。
図2から明らかなように、このタイヤ2では、複数種類のディンプル62がランダムに配置されている。このタイヤ2では、定常周波数を有する風切り音が生じにくい。ランダムな配置は、タイヤ2の静寂性に寄与しうる。ランダムな配置は、乱数の利用によって達成されうる。
1つの列66が、仮想的に、複数のゾーンに区画されてもよい。これらのゾーンは、互いに等価なディンプルパターンを有する。それぞれのゾーンは、複数種類のディンプル62を有する。この列66によって、定常周波数を有する風切り音が抑制される。好ましくは、それぞれのゾーンにおいて、ディンプル62がランダムに配置される。
この実施形態では、ディンプル62の種類数は、3である。種類数が2であってもよい。種類数が4以上であってもよい。静寂性の観点から、種類数は3以上が好ましい。タイヤ2の製造の容易の観点から、種類数は6以下が好ましい。
図4において矢印Dpで示されているのは、ディンプル62の深さである。深さDpは、軸方向におけるディンプル62のサイズである。この実施形態では、全てのディンプル62の深さは、同一である。
タイヤ2が、互いに深さが異なる複数種類のディンプルを備えてもよい。これらのディンプルも、定常周波数を有する風切り音を抑制しうる。これらのディンプルも、タイヤ2の静寂性に寄与しうる。好ましくは、これらのディンプルは、ランダムに配置される。
タイヤ2の軽量の観点から、サイズLDは15mm以上が好ましく、20mm以上が特に好ましい。乱流が十分に発生するとの観点から、サイズLDは40mm以下が好ましく、30mm以下が特に好ましい。
乱流が十分に発生するとの観点から、深さDpは1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、深さDpは3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下が特に好ましい。
図3において矢印Wで示されているのは、ディンプル62の幅である。幅Wは、半径方向におけるディンプル62のサイズである。幅Wは、3mm以上15mm以下が好ましい。
乱流が十分に発生するとの観点から、1つの列66に含まれるディンプル62の数Nは30個以上が好ましく、50個以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、この数Nは100個以下が好ましく、80個以下が特に好ましい。
列66の中で最も数の多いディンプルの種類の、当該数N1の、数Nに対する比率は、60%以下が好ましい。この比率が60%以下であるタイヤ2では、定常周波数を有する風切り音が抑制される。この観点から、この比率は50%以下がより好ましく、40%以下が特に好ましい。
図3において矢印LLで示されているのは、周方向におけるランド64のサイズである。図2から明らかなように、このタイヤ2は、第一ランド64a及び第二ランド64bを備えている。これらのランド64のサイズLLは、互いに異なっている。第一ランド64aのサイズLLは、第二ランド64bのサイズLLよりも大きい。
ランド64の種類数が複数なので、このタイヤ2では、定常周波数を有する風切り音が生じにくい。複数種類のランド64は、タイヤ2の静寂性に寄与しうる。
静寂性の観点から、最も大きなランド64のサイズLLmaxの、最も小さなランド64のサイズLLminに対する比(LLmax/LLmin)は、1.2以上が好ましく、1.4以上が特に好ましい。比(LLmax/LLmin)は、3.0以下が好ましい。
図2から明らかなように、このタイヤ2では、複数種類のランド64がランダムに配置されている。このタイヤ2では、定常周波数を有する風切り音が生じにくい。ランダムな配置は、タイヤ2の静寂性に寄与しうる。
この実施形態では、ランド64の種類数は、2である。種類数が3以上であってもよい。静寂性の観点から、種類数は2以上が好ましい。タイヤ2の製造の容易の観点から、種類数は6以下が好ましい。
ランド64の強度の観点から、サイズLLは1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、サイズLLは3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下が特に好ましい。
ディンプル62が、車輌に装着されたときにこの車輌の幅方向内側となるサイド面(以下「裏側サイド面」と称される)にのみ存在してもよい。裏側サイド面は、車輌の幅方向外側となるサイド面(以下「表側サイド面」と称される)に比べて、高温になりやすい。サスペンションの一般的なアライメントは、ネガティブキャンバーである。このネガティブキャンバーの場合、裏側サイド面には大きな荷重がかかる。この裏側サイド面にディンプル62が存在するタイヤ2は、破損しにくい。このタイヤ2の表側サイド面には、ディンプル62は存在しない。従って、この表側サイド面のデザインの自由度は高い。裏側サイド面は車輌のボディに隠れているので、ディンプル62がタイヤ2の外観を損なうことがない。表側サイド面にディンプル62が存在しないタイヤ2は、軽量である。表側サイド面にディンプル62が存在しないタイヤ2では、風切り音が生じにくい。
裏側サイド面及び表側サイド面の両方に、ディンプル62が存在してもよい。好ましくは、裏側サイド面におけるディンプル62の数は、表側サイド面におけるディンプル62の数よりも多い。
このタイヤ2の製造では、複数のゴム部材がアッセンブリーされて、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。このローカバーが、モールドに投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。そのキャビティ面にピンプルを有するモールドが用いられることにより、タイヤ2にディンプル62が形成される。
タイヤ2の各部位の寸法及び角度は、特に言及のない限り、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。但し、乗用車タイヤ2の場合、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
第一ペアから第六ペアを含む列を有するランフラットタイヤを製作した。それぞれのペアは、1つのディンプルと、このディンプルの下流においてこのディンプルと隣接する1つのランドとからなる。それぞれのペアの、ディンプルのサイズLDとランドのサイズLLとが、下記の表1に示されている。
Figure 2014196068
実施例1のタイヤの列は、以下の順に配置されたペアを有している。この列では、ディンプルはランダムに配置されており、ランドもランダムに配置されている。
第3ペア、第2ペア、第5ペア、第2ペア、第4ペア、第4ペア、
第4ペア、第2ペア、第5ペア、第6ペア、第5ペア、第3ペア、
第3ペア、第3ペア、第2ペア、第1ペア、第4ペア、第5ペア、
第2ペア、第3ペア、第5ペア、第1ペア、第5ペア、第6ペア、
第5ペア、第4ペア、第6ペア、第1ペア、第2ペア、第4ペア、
第2ペア、第4ペア、第1ペア、第1ペア、第4ペア、第5ペア、
第4ペア、第4ペア、第4ペア、第3ペア、第5ペア、第3ペア、
第5ペア、第6ペア、第2ペア、第2ペア、第3ペア、第6ペア、
第1ペア、第3ペア、第5ペア、第4ペア、第5ペア、第5ペア、
第4ペア、第6ペア、第5ペア、第4ペア、第2ペア、第4ペア
このタイヤのサイズは、「225/60R18」である。
[実施例2]
列を2つのゾーンに区画した他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。それぞれのゾーンは、以下の順に配置されたペアを有している。このゾーンでは、ディンプルはランダムに配置されており、ランドもランダムに配置されている。
第2ペア、第4ペア、第5ペア、第5ペア、第5ペア、第6ペア、
第4ペア、第4ペア、第2ペア、第5ペア、第2ペア、第4ペア、
第1ペア、第2ペア、第5ペア、第3ペア、第2ペア、第6ペア、
第1ペア、第6ペア、第4ペア、第1ペア、第4ペア、第2ペア、
第6ペア、第2ペア、第1ペア、第3ペア、第3ペア、第1ペア
[実施例3]
列を5つのゾーンに区画した他は実施例1と同様にして、実施例3のタイヤを得た。それぞれのゾーンは、以下の順に配置されたペアを有している。このゾーンでは、ディンプルはランダムに配置されており、ランドもランダムに配置されている。
第2ペア、第6ペア、第6ペア、第3ペア、第4ペア、第1ペア、
第4ペア、第1ペア、第5ペア、第3ペア、第2ペア、第4ペア
[実施例4]
列を5つのゾーンに区画した他は実施例1と同様にして、実施例4のタイヤを得た。それぞれのゾーンは、以下の順に配置されたペアを有している。このゾーンでは、ディンプルはランダムに配置されている。ランドの幅は、一定である。
第2ペア、第3ペア、第2ペア、第3ペア、第1ペア、第1ペア、
第2ペア、第1ペア、第1ペア、第3ペア、第2ペア、第1ペア
[実施例5]
列を5つのゾーンに区画した他は実施例1と同様にして、実施例5のタイヤを得た。それぞれのゾーンは、以下の順に配置されたペアを有している。このゾーンでは、ディンプルは規則的に配置されている。ランドの幅は、一定である。
第1ペア、第2ペア、第3ペア、第3ペア、第2ペア、第1ペア、
第3ペア、第2ペア、第1ペア、第1ペア、第2ペア、第3ペア
[比較例1−4]
ディンプルのサイズ及びランドのサイズを一定にした他は実施例1と同様にして、比較例1−4のタイヤを得た。
[通常状態での走行試験]
タイヤを、サイズが6.5Jであるリムに組みんだ。このタイヤに、内圧が220kPaとなるように空気を充填した。このタイヤに、4.3kNの荷重を負荷しつつ、ドラム上で走行させた。走行速度は、80km/hであった。タイヤから発生する風切り音を測定した。この結果が、指数として、下記の表2及び3に示されている。値が小さいタイヤは、静寂性に優れる。
[パンク状態での走行試験]
タイヤを、サイズが6.5Jであるリムに組みんだ。このタイヤに、内圧が220kPaとなるように空気を充填した。このタイヤのバルブコアを抜き取り、タイヤの内部を大気と連通させた。このタイヤに、4.3kNの荷重を負荷しつつ、ドラム上で走行させた。走行速度は、80km/hであった。走行距離が30kmである時点での、サイドウォールの表面の温度を測定した。この結果が、指数として、下記の表2及び3に示されている。値が小さいタイヤは、耐久性に優れる。
[質量の測定]
タイヤの質量を測定した。この結果が、指数として、下記の表2及び3に示されている。値が小さいタイヤは、軽量である。
Figure 2014196068
Figure 2014196068
表2及び3に示されるように、各実施例のタイヤは諸性能に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る空気入りタイヤは、種々の車輌に装着されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
8・・・サイドウォール
10・・・クリンチ
12・・・ビード
14・・・カーカス
16・・・荷重支持層
18・・・ベルト
20・・・バンド
62・・・ディンプル
64・・・ランド
66・・・列

Claims (10)

  1. そのサイド部の表面に、周方向に沿って並ぶ多数のディンプルと多数のランドとによって形成された列を備えており、
    上記列が、互いにサイズの異なる複数種類のディンプルを有する空気入りタイヤ。
  2. 上記列の少なくとも一部において、上記ディンプルがランダムに配置された請求項1に記載のタイヤ。
  3. 上記列が、互いに周方向サイズの異なる複数種類のディンプルを有する請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 上記列が、互いに深さの異なる複数種類のディンプルを有する請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 上記列が、互いにサイズの異なる複数種類のランドを有する請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 上記列の少なくとも一部において、上記ランドがランダムに配置された請求項5に記載のタイヤ。
  7. それぞれのディンプルの周方向サイズが20mm以上30mm以下である請求項1から6のいずれかに記載のタイヤ。
  8. それぞれのディンプルの深さが1.0mm以上3.0mm以下である請求項1から7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. それぞれのランドの周方向サイズが1.0mm以上3.0mm以下である請求項1から8のいずれかに記載のタイヤ。
  10. それぞれのディンプルの平面形状が実質的に矩形であり、上記矩形の長辺の方向が周方向と一致している請求項1から9のいずれかに記載のタイヤ。
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