JP2014194138A - 水洗大便器 - Google Patents

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Abstract

【課題】排水管路内の流れをスムーズにすることにより、小形汚物及び浮遊系汚物を確実に排出することができる水洗大便器を提供する。
【解決手段】本発明による水洗大便器1は、汚物受け面16と、リム部18と、凹部20と、を備えたボウル部8と、洗浄水を前方へ向けて吐水しリム部の内周面に沿って旋回する旋回流を形成する吐水部22と、汚物を排出する排水管路12と、を有し、ボウル部の凹部は、溜水水位Wより下方に位置する底面36と、この底面と汚物受け面の下縁部とを接続する壁面38と、を備え、凹部の底面は、前側領域に形成される前側底面40と、後側領域に形成される後側底面42と、を備え、吐水部から吐水された洗浄水がボウル部の前方側より排水管路の入口に向けて流れる主流M1を形成し、さらに、主流の一部が後側領域に衝突しこの衝突した主流の一部を排水管路内の前方領域へ導く。
【選択図】図2

Description

本発明は、水洗大便器に係わり、特に、小形汚物及び浮遊系汚物を確実に排出することができる水洗大便器に関する。
従来から、例えば、特許文献1に記載されているように、リム吐水口(第1流出口)から吐水された洗浄水をリム通水路に沿って旋回させて、ボウル面(鉢面)前方から排水管路(トラップ)入口へと後方に向けて主流を流し込むようにして汚物を排出する水洗大便器が知られている。この水洗大便器においては、排水管路入口に洗浄水を流し込み易くするため、上方に開口し且つ後方下方に延びる導入管路が設けられている。
なお、特許文献2に記載されているように、ボウル面に凹部を形成して溜水水位の下方に底面を形成し、この底面が排水管路の入口の全周に形成することにより、溜水の旋回を促進して、汚物を排出するようにした水洗大便器も知られている。
特開2011-157738号公報 特開平7-310352号公報
しかしながら、上述した特許文献1の水洗大便器においては、リム吐水口から吐水され前方から後方に向けて流れる主流が導入管路に勢い良く流れ込むため、導入管路の後側領域の速度が速くなり、一方、導入管路の前側領域に流入する洗浄水の速度が遅くなり、前側領域に淀みが発生するので、排水管路内のスムーズな流れが阻害されてしまう。このように排水管路内の流れが阻害され、前方領域と後方領域の速度分布に偏りがある(速度分布が一様ではない)と、小形汚物や浮遊系汚物が排出されず溜水中に残ってしまうという問題がある。
なお、小形汚物及び浮遊系汚物の残存する問題を解決するために、特許文献2のように、溜水の旋回性を向上させて小形汚物等を溜水中央に集めることも考えられるが、この場合には、小形汚物等が溜水と共に旋回するのみで排水管路内に入り込んでいかないため、有効に問題を解決することはできない。
そこで、本発明は、従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、排水管路内の流れをスムーズにすることにより、重量系汚物と共に、小形汚物及び浮遊系汚物を確実に排出することができる水洗大便器を提供することを目的としている。
上述した目的を達成するために、本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水により便器本体を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、汚物受け面と、上縁に位置するリム部と、汚物受け面の下方に形成された凹部と、を備えたボウル部と、洗浄水をボウル部の前方へ向けて吐水しリム部の内周面に沿って旋回する旋回流を形成する吐水部と、ボウル部の凹部にその入口が接続され汚物を排出する排水管路と、を有し、ボウル部の凹部は、溜水水位より下方に位置する底面と、この底面と汚物受け面の下縁部とを接続する壁面と、を備え、凹部の底面は、前側領域に形成される前側底面と、後側領域に形成される後側底面と、を備え、ボウル部が、吐水部から吐水された洗浄水がボウル部の前方側より排水管路の入口に向けて流れる主流を形成するように構成され、凹部の底面の後側底面が、主流の一部が衝突しこの衝突した主流の一部を排水管路内の前方領域へ導くように構成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、吐水部から前方に向けて吐水された洗浄水がボウル部の前方側から排水管路の入口に向けて流れる主流を形成し、この主流の一部が凹部の底面の後側底面に衝突し、この衝突した主流の一部が排水管路内の前方領域に向けて流れる。これにより、排水配管の前方領域に淀みが発生せず、ボウル部の前方側から直接洗浄水が流入する排水管路の後方領域と、底面の後側底面に衝突した洗浄水が流入する排水管路の前側領域とにおいて、洗浄水の流速分布が一様となり(速度分布が均一化され)、排水管路内の洗浄水の流れがスムーズとなるので、小形の汚物及び浮遊系汚物を、排水管路の前側領域に滞留させることなく、確実に排出することができる。
本発明において、好ましくは、排水管路は、凹部の底面と接続しほぼ同一径を有し且つ後方下方へ延びる導入管路と、この導入管路と接続し上方へ延びる排水トラップ管路と、を備える。
このように構成された本発明においては、凹部の底面と接続しほぼ同一径を有し且つ後方下方へ延びる導入管路を設けたので、洗浄水をスムーズに排水管路内に導入することができ、その結果、小形の汚物及び浮遊系汚物を確実に排出することができる。
本発明において、好ましくは、凹部の後側底面は、内側に向けて下方に傾斜するように形成されている。
このように構成された本発明においては、凹部の後側底面が内側に向けて下方に傾斜しているため、この後側底面に衝突した主流の一部を排水管路の前側領域に向けてスムーズに導くことができ、それにより、排水管路の後側領域と前側領域における流速が一様となり、小形の汚物及び浮遊系汚物を確実に排出することができる。
本発明において、好ましくは、凹部の前側底面は、ほぼ水平に形成されている。
このように形成された本発明においては、吐水部から吐水されて旋回する洗浄水の一部が、後方から凹部内に侵入し、ほぼ水平に形成された前側底面に衝突して上昇し、その上方を流れる主流と混合される。これにより、汚物が効果的に攪拌され、排水管路内にスムーズに流入することになる。
本発明において、好ましくは、凹部の前側底面は、後側底面の下端よりも上方に位置するように形成されている。
このように構成された本発明においては、洗浄水が前側底面に衝突して上昇した後、後方に向けて流れ、後側底面に衝突して、排水管路の前側領域に導かれる。これにより、排水管路の前側領域と後側領域の速度分布が一様となり、小形の汚物及び浮遊系汚物を、排水管路の前側領域に滞留させることなく、確実に排出することができる。
本発明において、好ましくは、凹部は、その左右側領域の壁面が排水管路の側面と上下方向に面一状態で形成されている。
このように構成された本発明においては、凹部の左右側領域の壁面が排水管路の側面と上下方向に面一状態で形成されているので、凹部の左右側領域には底面が形成されておらず、そのため、底面上を旋回しようとする洗浄水の旋回が凹部の左右側領域において破壊され、排水管路の前側領域に洗浄水を導くことができる。その結果、排水管路の前側領域と後側領域の速度分布が一様となり、小形の汚物及び浮遊系汚物を、排水管路の前側領域に滞留させることなく、確実に排出することができる。
本発明において、好ましくは、排水管路は、その入口が、平面視で、左右方向の最大幅が、前後方向の最大幅よりも大きな形状で形成されている。
このように構成された本発明においては、排水管路の入口が、平面視で、左右方向の最大幅が前後方向の最大幅よりも大きな形状で形成され、入口の前後方向の幅が小さいのでその分洗浄水を排水管路の前側方向に導き易くなり、入口の左右方向の幅が大きいので大きな汚物を排水管路に導くことができる。
本発明において、好ましくは、排水管路は、平面視で、その入口の前後方向中心が溜水面の前後方向中心よりも後側に位置し、且つ、その入口の面積が溜水面の面積の半分以下となるように、形成されている。
このように構成された本発明においては、排水管路の入口が溜水面の後方側に位置しているので、洗浄水を排水管路の前側領域に導き易くなり、さらに、排水管路の入口の面積が小さく形成されているので、後方から流入する洗浄水が底面に衝突して後方に流れて後側底面に衝突して排水配管の前側領域に流入するので、排水管路内の洗浄水の流れがスムーズとなり、小形の汚物及び浮遊系汚物を、排水管路の前側領域に滞留させることなく、確実に排出することができる。
本発明において、好ましくは、ボウル部は、その上方汚物受け面の全域が上方に凸形状で形成されている。
このように形成された本発明においては、ボウル部の上方汚物受け面の全域が上方に凸形状で形成されているので、上方汚物受け面を流れる洗浄水をスムーズに排水管路の入口に集めることができ、これにより、排水管路内の洗浄水の流れがスムーズとなり、小形の汚物及び浮遊系汚物を、排水管路の前側領域に滞留させることなく、確実に排出することができる。
本発明において、好ましくは、ボウル部には、吐水部から吐水された洗浄水がリム部の内周面に沿って旋回するための導水路が形成され、この導水路は、吐水部からボウル部の前方端に向かって下方へ徐々に傾斜し、この前方端から後方側に向かって上方へ徐々に傾斜するように形成されている。
このように構成された本発明においては、洗浄水がリム部の内周面に沿って旋回するための導水路が形成され、この導水路が吐水部からボウル部の前方端に向かって下方へ徐々に傾斜し前方端から後方側に向かって上方へ徐々に傾斜するように形成されているので、大流量の主流を形成することができる。この主流の一部が凹部の底面の後側底面に衝突し、この衝突した主流の一部が排水管路内の前方領域に向けて流れる。これにより、排水管路の後側領域と前側領域とにおいて洗浄水の流速分布が一様となり、排水管路内の洗浄水の流れがスムーズとなるので、小形の汚物及び浮遊系汚物を、排水管路の前側領域に滞留させることなく、確実に排出することができる。
本発明の水洗大便器によれば、排水管路内の流れをスムーズにすることにより、重量系汚物と共に、小形汚物及び浮遊系汚物を確実に排出することができる。
本発明の実施形態による水洗大便器を示す平面図である。 図1のII−II線に沿って見た断面図である。 図1のIII−III線に沿って見た断面図である。 図1のIV−IV線に沿って見た断面図である。 図1のV−V線に沿って見た断面図である。 図1のVI−VI線に沿って見た断面図である。 図1のVII−VII線に沿って見た断面図である。 図1のVIII−VIII線に沿って見た断面図である。 (a)は図2のA-A線に沿って見た断面図、(b)は図2のB-B線に沿って見た断面図、(c)は図2のC-C線に沿って見た断面図、(d)は図2のD-D線に沿って見た断面図である。 本発明の実施形態による水洗大便器の洗浄水の流れの様子を示す平面図である。 図10の断面図である。 (a)は本発明の比較例による水洗大便器の洗浄水の流速を示す解析結果、(b)は本発明の実施形態による水洗大便器の洗浄水の流速を示す解析結果である。
次に、図1乃至図8を参照して、本発明の実施形態による水洗大便器について説明する。図1は本発明の実施形態による水洗大便器を示す平面図であり、図2は図1のII−II線に沿って見た断面図であり、図3は図1のIII−III線に沿って見た断面図である。
本発明の実施形態による水洗大便器1は、床に設置された排水管(図示せず)に後述する排水トラップ管路が接続される床排水タイプの洗落し式水洗大便器である。さらに、図4は図1のIV−IV線に沿って見た断面図であり、図5は図1のV−V線に沿って見た断面図であり、図6は図1のVI−VI線に沿って見た断面図であり、図7は図1のVII−VII線に沿って見た断面図であり、図8は図1のVIII−VIII線に沿って見た断面図である。
図1乃至3に示すように、水洗大便器1は、便器本体2と、この便器本体2を洗浄する洗浄水を貯水する貯水タンク4を備えている。便器本体2は、表面に釉薬層が形成された陶器製であり、下部にスカート部6が形成され、上半分のうち前方にボウル部8が形成され、後方上部にはその上流端が貯水タンク4に連通する共通通水路10が形成され、さらに、後方下部に汚物を排出するための排水管路12が形成されている。
上述した貯水タンク4は、洗浄水源であり、この貯水タンク4内には、排水弁14が設けられており、操作レバー(図示せず)により開閉するようになっている。なお、本発明は、貯水タンクを持たず水道から直接洗浄水が供給される直圧式水洗大便器や、フラッシュバルブにより洗浄水が供給されるタイプの水洗大便器等にも適用できる。
ボウル部8は、ボウル形状の汚物受け面16と、上縁に位置するリム部18と、汚物受け面16の下方に形成された凹部20と、を備えている。ここで、リム部18の内周面18aは、図2乃至図7に示すように、内側に向かってオーバハングした形状となっており、後述する旋回する洗浄水が外部へ飛び出ないようになっている。
ボウル部8のリム部18の内周面の前方から見て左側の中央部の少し後方側に、洗浄水を吐水する第1吐水口22が形成され、前方から見て右側後方側に、第2吐水口24が形成されている。これらの第1吐水口22及び第2吐水口24は、同一方向(図1では反時計回りの方向)に旋回し、後述する旋回流を形成するようになっている。
また、上述した水洗大便器1の後方上部に形成された共通通水路10は、便器前方に向かって、第1通水路26及び第2通水路28に分岐している。第1通水路26は、第1吐水口22に洗浄水を供給するためのものであり、第2通水路28は、第2吐水口24に洗浄水を供給するためのものである。
上述した水洗大便器1においては、第1吐水口22、第1通水路26及び第2吐水口24、第2通水路28は、陶器製の便器本体2と一体に形成されているが、本実施形態による水洗大便器は、この形態に限られず、第1吐水口、第1通水路及び第2吐水口、第2通水路を便器本体とは別体のディストリビユータ等により形成するようにしても良い。
ここで、図2乃至図7に示すように、本実施形態による水洗大便器1のボウル部8の汚物受け面16は、排水管路12の入口に向かった放射状の線に沿って、その全域において、上方に凸形状で形成されている。
さらに、図2及び図3に示すように、ボウル部8のリム部18の内周面18aの下方領域には、洗浄水を導く導水路30が形成されている。この導水路30は、第1吐水口22から吐水された洗浄水がリム部18の内周面18aに沿って旋回するためのものであり、第1吐水口22からボウル部8の前方端に向かって下方に徐々に傾斜し(図2参照)、この前方端から後方側に向かって上方へ徐々に傾斜している(図3参照)。第1吐水口22から吐水された洗浄水は、この導水路30に沿って旋回するので、後述するボウル部8の前方側より排水管路12の導水管路32の入口32aに向けて流れる大流量の主流Mを形成することができる。
次に、図2、図3及び図9に示すように、排水管路12は、凹部20の底面と接続しほぼ同一径(ほぼ同一断面形状)を有し且つ後方下方へ延びる導入管路32と、この導入管路32と接続し上方へ延びる排水トラップ管路34と、を備えている。この導水管路32は、入口32aを除く部分で、ほぼ同一径(ほぼ同一断面形状)を有し、管路内が同じ断面積となっている。また、排水トラップ管路34は、上昇路34aと下降路34bとから構成されている。
この導水管路32は、凹部20の底面と滑らかな連続湾曲面として繋がっており、凹部20から導入管路32に流入した洗浄水が導入管路32内をスムーズに流れるようになっている。
次に、図1乃至図3により、ボウル部8の凹部20について詳細に説明する。凹部20は、溜水水位Wより下方に位置する底面36と、この底面36と汚物受け面16の下縁部とを接続する壁面38とを備えている。さらに、この底面36は、前側領域に形成された前側底面40と、後方領域に形成された後側底面42を備えている。
凹部20の底部36の前側底面40は、水平に形成されている。この前側底面40は、後方に向けて下方に傾斜させてもよい。このように、前側底面40は、ほぼ水平であり、下方への傾斜角度が0度〜20度の範囲が好ましい。
また、凹部20の前側底面40は、この面の全領域が、溜水水位Wより下方に位置し、後側底面42の下端42aよりも上方に位置するように形成されている。
凹部20の底部36の後側底面42は、導入管路32の前側領域へ指向し、内側に向けて下方に傾斜するように形成されている。ここで、この後側底面42の水平面に対する下方への傾斜角度は、0度〜60度の範囲が好ましく、0度〜45度の範囲がより好ましい。
また、凹部20の後側底面42は、この面の全領域が、溜水水位Wより下方に位置するように形成されている。なお、凹部20の後側底面42は、平坦面である必要はなく、上方に凸状に僅かに湾曲した湾曲面で形成してもよい。
次に、図1に示すように、凹部20の左右側領域の壁面38a,38bは、排水管路12の導入管路32と面一状態で形成されている。これにより、凹部20の左右側領域には、底面36が形成されていない。また、排水管路12の導入管路32の入口32aは、平面視で、その左右方向の最大幅Wmaxが前後方向の最大幅Lmaxより大きな形状に形成されている。さらに、排水管路12の導入管路32の入口32aは、平面視で、その前後方向中心が溜水面Sの前後方向中心よりも後側に位置し、且つ、その面積が溜水面Sの面積の半分以下となるように、形成されている。
なお、凹部20の左右側領域の壁面38a,38bは、平坦面でなくても、僅かに凹凸が形成されていても良く、底面38上を旋回しようとする洗浄水の旋回が凹部20の左右側領域の壁面38a,38bより破壊することができるような面に形成されていれば良い。
次に、図10乃至図12を参照して、本実施形態による水洗大便器における洗浄動作を説明する。図10は本発明の実施形態による水洗大便器の洗浄水の流れの様子を示す平面図であり、図11は図10の断面図であり、図12(a)は本発明の比較例による水洗大便器の洗浄水の流速を示す解析結果、図12(b)は本発明の実施形態による水洗大便器の洗浄水の流速を示す解析結果である。
先ず、使用者が貯水タンク4の操作レバーを操作すると、排水弁14が開き、貯水タンク4内の洗浄水が、共通通水路10に流れ、この共通通水路10から分岐した第1通水路26及び第2通水路28を経て、第1吐水口22及び第2吐水口24から、それぞれ、洗浄水が吐水される。
第1吐水口22から吐水された洗浄水は、ボウル部8のリム部18の内周面18aに形成された導水路30に沿って、先ず、前方に向けて流れ、ボウル部8の前方端を通過した後は、後方に向けて流れる。このとき、洗浄水の一部は、旋回しながらボウル部8を落下し、汚物受け面16を洗浄する。
第1吐水口22から吐水され導水路30に沿って流れる洗浄水の相当量は、ボウル部8の前方側より排水管路12の導水管路32の入口32aに向けて流れる大流量の主流Mを形成する(図10参照)。この主流Mの一部の流れM1は、凹部20の底面36の後側底面42に衝突し、その後、導水管路32内の前方領域に向けて斜め下方前方に流出する(図11参照)。また、主流Mの他の一部の流れM2は、導水管路32の入口32aに直接流入する(図11参照)。
ここで、本実施形態においては、洗浄水がリム部18の内周面に沿って旋回するための導水路30が形成され、この導水路30が第1吐水口22からボウル部8の前方端に向かって下方へ徐々に傾斜し前方端から後方側に向かって上方へ徐々に傾斜するように形成されているので、大流量の主流を形成することができる。
さらに、本実施形態においては、ボウル部8の汚物受け面16の全域が上方に凸形状で形成されているので、汚物受け面16を流れる洗浄水をスムーズに導水管路32の入口32aに集めることができ、これにより、導水管路32内の洗浄水の流れがスムーズとなる。
本発明の実施形態による水洗大便器1においては、上述したように、第1吐水口22から前方に向けて吐水された洗浄水がボウル部8の前方側から導水管路32の入口32aに向けて流れる主流Mを形成し、この主流Mの一部M1が凹部20の底面36の後側底面42に衝突し、この衝突した主流の一部M1が導水管路32内の前方領域に向けて流れる。特に、底面36の後側底面42は、内側に向けて下方に傾斜するように形成されているため、この後側底面42に衝突した主流の一部の流れM1を導水管路32の前側領域に向けてスムーズに導くことができる。また、導水管路32内の後方領域には、洗浄水の主流の他の一部の流れM2が流入する。
これにより、ボウル部8の前方側から直接洗浄水が流入する導水管路32の後方領域と、底面36の後側底面42に衝突した洗浄水が流入する導水管路32の前側領域とにおいて、洗浄水の流速分布が一様となり(速度分布が均一化され)、即ち、導水管路32の前側領域に淀みが発生することがないので、導水管路32内の洗浄水の流れがスムーズとなるので、小形の汚物及び浮遊系汚物を、導水管路32の前側領域に滞留させることなく、確実に排出することができる。
また、排水管路12の導水管路32は、凹部の底面と接続しほぼ同一径(ほぼ同一断面形状)を有し且つ後方下方へ延びるように形成されているので、洗浄水をスムーズに導水管路32内に導入することができ、その結果、小形の汚物及び浮遊系汚物を確実に排出することができる。
一方、第2吐水口24から吐水された洗浄水は、旋回しながらボウル部8を落下し、汚物受け面16の後方領域を洗浄する。さらに、この第2吐水口24から吐水された洗浄水は、凹部20内に後方から流入する流れM3を形成する(図11参照)。この第2吐水口24の洗浄水の流れM3は、凹部20の底面36の前側底面40に向かって流入する。
このとき、凹部20の前側底面40は、ほぼ水平に形成されているので、第2吐水口24から吐水された洗浄水の流れM3は、前側底面40に衝突して上昇し、その上方を流れる主流M1,M2と混合される。これにより、汚物が効果的に攪拌され、導水管路32内にスムーズに流入することになる。
また、凹部20の前側底面40は、後側底面42の下端42aよりも上方に位置するように形成されているので、第2吐水口24から吐水された洗浄水の流れM3が前側底面40に衝突して上昇した後、後方に向けて流れ、後側底面42に衝突して、導水管路32の前側領域に導かれる。これにより、導水管路32の前側領域と後側領域の速度分布がより効果的に一様となる。
また、凹部20は、その左右側領域の壁面38a,38bが導水管路32の側面と上下方向に面一状態で形成されているので、凹部20の左右側領域には底面36が形成されていない。そのため、底面36上を旋回しようとする洗浄水の旋回が凹部20の左右側領域において破壊され、導水管路32の前側領域に洗浄水をより効果的に導くことができ、それにより、導水管路32の前側領域と後側領域の速度分布がより効果的に一様となる。
導水管路32の入口32aが、平面視で、左右方向の最大幅Wmaxが、前後方向の最大幅Lmaxよりも大きな形状で形成されているので、入口の前後方向の幅が小さいのでその分洗浄水を導水管路32の前側方向に導き易くなり、入口の左右方向の幅が大きいので大きな汚物を導水管路32に導くことができる。
さらに、導水管路32の入口32aは、平面視で、その前後方向中心が溜水面の前後方向中心よりも後側に位置しているので、洗浄水を導水管路32の前側領域に導き易くなり、さらに、入口32aの面積が溜水面Sの面積の半分以下となるように形成されているので、後方から流入する第2吐水口24から吐水された洗浄水が底面36に衝突して後方に流れて後側底面42に衝突して導入配管32の前側領域に流入するので、導入管路32内の洗浄水の流れが更にスムーズとなる。
本発明者らは、本発明による水洗大便器における洗浄水の流れを、実験により確認すると共に数値解析によっても確認した。実験及び解析のために、凹部の底面の後側底面が形成されていない水洗大便器を比較例として準備した。
図12(a)に示されているように、比較例による水洗大便器においては、導水管路の前側領域において、淀みが発生している。一方、図12(b)に示されているように、本発明の実施形態による水洗大便器においては、導水管路の前側領域に淀みは発生しておらず、導水管路の前側領域及び後側領域において、速度分布が一様となっている。
以上説明したように、本実施形態による水洗大便器によれば、導水管路32の前側領域に淀みが発生することがなく、導水管路32の前側領域及び後側領域において、洗浄水の流速分布が一様となる(速度分布が均一化される)ので、導水管路32内の洗浄水の流れがスムーズとなり、それにより、小形の汚物及び浮遊系汚物を、導水管路32の前側領域に滞留させることなく、確実に排出することができる。
上述した実施形態は、洗い落とし式水洗大便器であったが、本発明はサイホン式水洗大便器にも適用可能である。
また、上述した実施形態においては、第1吐水口22及び第2吐水口24から洗浄水が吐水されるようになっているが、これに限らず、第1吐水口のみから吐水し、第2吐水口を省略するようにしてもよい。この場合には、第1吐水口から吐水される洗浄水量を多くすることができるので、第1吐水口から吐水された洗浄水の一部はボウル部の後方まで旋回して、後方から凹部に侵入することができ、第2吐水口から吐水される場合と実質的に同じとなる。
1 水洗大便器
2 便器本体
4 貯水タンク
8 ボウル部
12 排水管路
16 汚物受け面
18 リム部
18a 内周面
20 凹部
22 第1吐水口
24 第2吐水口
30 導水路
32 導水管路
32a 入口
34 排水トラップ管路
36 底面
38 壁面
40 前側底面
42 後側底面
42a 下端
M,M1,M2,M3 主流
W 溜水水位
S 溜水面

Claims (10)

  1. 洗浄水源から供給される洗浄水により便器本体を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、
    汚物受け面と、上縁に位置するリム部と、汚物受け面の下方に形成された凹部と、を備えたボウル部と、
    上記洗浄水を上記ボウル部の前方へ向けて吐水し上記リム部の内周面に沿って旋回する旋回流を形成する吐水部と、
    上記ボウル部の凹部にその入口が接続され汚物を排出する排水管路と、を有し、
    上記ボウル部の凹部は、溜水水位より下方に位置する底面と、この底面と上記汚物受け面の下縁部とを接続する壁面と、を備え、
    上記凹部の底面は、前側領域に形成される前側底面と、後側領域に形成される後側底面と、を備え、
    上記ボウル部が、上記吐水部から吐水された洗浄水が上記ボウル部の前方側より上記排水管路の入口に向けて流れる主流を形成するように構成され、
    上記凹部の底面の後側底面が、上記主流の一部が衝突しこの衝突した主流の一部を上記排水管路内の前方領域へ導くように構成されていることを特徴とする水洗大便器。
  2. 上記排水管路は、上記凹部の底面と接続しほぼ同一径を有し且つ後方下方へ延びる導入管路と、この導入管路と接続し上方へ延びる排水トラップ管路と、を備える請求項1記載の水洗大便器。
  3. 上記凹部の後側底面は、内側に向けて下方に傾斜するように形成されている請求項1又は2記載の水洗大便器。
  4. 上記凹部の前側底面は、ほぼ水平に形成されている請求項3記載の水洗大便器。
  5. 上記凹部の前側底面は、上記後側底面の下端よりも上方に位置するように形成されている請求項4記載の水洗大便器。
  6. 上記凹部は、その左右側領域の壁面が上記排水管路の側面と上下方向に面一状態で形成されている請求項3乃至5の何れか1項に記載の水洗大便器。
  7. 上記排水管路は、その入口が、平面視で、左右方向の最大幅が、前後方向の最大幅よりも大きな形状で形成されている請求項1乃至6の何れか1項に記載の水洗大便器。
  8. 上記排水管路は、平面視で、その入口の前後方向中心が溜水面の前後方向中心よりも後側に位置し、且つ、その入口の面積が溜水面の面積の半分以下となるように、形成されている請求項6記載の水洗大便器。
  9. 上記ボウル部は、その上方汚物受け面の全域が上方に凸形状で形成されている請求項1乃至8の何れか1項に記載の水洗大便器。
  10. 上記ボウル部には、上記吐水部から吐水された洗浄水が上記リム部の内周面に沿って旋回するための導水路が形成され、この導水路は、上記吐水部から上記ボウル部の前方端に向かって下方へ徐々に傾斜し、この前方端から後方側に向かって上方へ徐々に傾斜するように形成されている請求項1乃至9の何れか1項に記載の水洗大便器。
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