JP2014193878A - トラネキサム酸製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗繊維素溶解剤である放出調節経口トラネキサム酸(トランス−4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸)製剤及びそれを用いた治療方法の提供。
【解決手段】トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質とを含む放出調節経口製剤。該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の調節された放出をもたらすものであり、該製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約45分で約70重量%未満のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約120分で約100重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有する放出調節経口製剤。
【選択図】なし
【解決手段】トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質とを含む放出調節経口製剤。該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の調節された放出をもたらすものであり、該製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約45分で約70重量%未満のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約120分で約100重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有する放出調節経口製剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、望ましくない副作用を好ましくは最小化又は排除する、放出調節(modified release)経口トラネキサム酸製剤、及びそのような製剤を用いる治療方法に関する。
トラネキサム酸 (トランス-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸,Cyklokapron(登録商標)(Pfizer))は、抗繊維素溶解剤である。即ち、それは、止血の正常な生理的過程で形成されるフィブリン塊の溶解の防止に役立つ。その作用機序は、プラスミノーゲン活性化の競合的阻害薬としてのものであり、また、プラスミンの非競合的阻害薬としてのものである。プラスミノーゲン及びプラスミンは、両方とも、繊維素溶解の活性化因子であり、有効な血餅溶解薬である。従って、トラネキサム酸は、フィブリン塊の安定化を補助し、そのフィブリン塊が、凝固を維持して出血の抑制に役立つ。
トラネキサム酸は、過剰な出血の抑制に用いられ、ここで、過剰な出血とは、例えば、血友病患者の歯科処置の間に起こる過剰な出血や、月経中の重い出血(月経過多)に関して起こる過剰な出血などである。月経過多を患っている女性は、典型的には、500mgのトラネキサム酸錠剤を1日当たり3回又は4回経口投与して治療し、総1日用量は、3グラム/日(8時間毎に2錠)から6グラム/日(6時間毎に3錠)の範囲である。しかしながら、この治療は、悪心、嘔吐、下痢及び痙攣などの胃腸の副作用を引き起こし得る。胃腸のこれらの副作用は、各用量でのトラネキサム酸の量及び/又はトラネキサム酸の胃内への速い放出速度に起因し、また、錠剤に用いられていて胃内に持ち込まれる大量の賦形剤にも起因する。痙攣、鼓張、疼痛及び月経に伴い得る他の症状に加えて、このような副作用は望ましくなく、これらの副作用を低減又は排除するトラネキサム酸製剤が必要とされている。
経口トラネキサム酸治療を受けている患者、例えば、月経過多(重度の月経出血)の治療を受けている女性における、胃腸の望ましくない副作用を最小にするか又は排除する、トラネキサム酸製剤について開示されている。本発明は、部分的には、放出調節製剤に関し、ここで、該製剤は、トラネキサム酸のボーラスが胃内に入って胃内容物に溶解するのを防止するために、当該製剤からのトラネキサム酸が計画的に放出されるように製剤されている。そのような放出調節製剤は、例えば、トラネキサム酸の大きなボーラスが胃内に導入されるのを防いで、胃内容物中に溶解するトラネキサム酸の濃度を低減する。この低減されたトラネキサム酸濃度の有益な効果は、胃内容物中のトラネキサム酸の量を低下させることであり、その結果、トラネキサム酸療法に伴う副作用がより少なくなる。この副作用の低減により、好ましくは、治療に対する患者のコンプライアンスが改善される。これは、好ましくは、患者が、前記副作用を避けるために意図的に服用しないということをしなくなるからである。医師もまた、患者の不満が減ることにより、好ましくは、自分の患者に対してトラネキサム酸治療を開始し、継続する傾向が増すであろう。
本発明の目的は、1日当たり2回又は3回ヒトに対して投与するのに適した、トラネキサム酸含有経口製剤を提供することである。
本発明のさらなる目的は、トラネキサム酸とトラネキサム酸の放出を調節する放出調節物質を含んでいて、1日当たり2回又は3回の投与に適した放出調節経口製剤(剤形(dosage form))を提供することである。
本発明の特定の実施形態のさらなる目的は、トラネキサム酸の治療効果を維持又は改善しながら経口トラネキサム酸療法における患者の胃腸の望ましくない副作用を最小にするか又は排除する放出調節物質とトラネキサム酸を含む放出調節経口製剤を提供することである。
本発明の特定の実施形態のさらなる目的は、重度の月経出血(月経過多)を患っている患者を治療する方法を提供することであり、ここで、該方法は、1日当たり2回又は3回の投与に適したトラネキサム酸の治療上有効なレベルをもたらす放出調節物質とトラネキサム酸を含む1つ以上の製剤を該患者に経口投与することによる。
上記で記載した有利点及び目的などは、一部は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関する本発明により達成することが可能であり、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節するものであり、該製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(Apparatus Type II Paddle Method)(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約45分で約70重量%未満のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約120分で約100重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率(dissolution release rate)を有する。
特定の実施形態では、本発明は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩による治療を必要としている患者を治療する方法に関し、ここで、該方法は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む少なくとも1つの経口製剤中の約1300mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を該患者に投与することを含み、該製剤は、ヒトへの単回経口投与後、約5〜約17.5mcg/mL、好ましくは、約6.5〜約15mcg/mL、さらに好ましくは、約9〜約14.5mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩による治療を必要としている患者を治療する方法に関し、ここで、該方法は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む少なくとも1つの経口製剤中の約1300mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を該患者に投与することを含み、ここで、該製剤は、ヒトへの定常状態経口投与後、約5〜約25mcg/mL、好ましくは、約10〜約20mcg/mL、さらに好ましくは、約12.5〜約17.5mcg/mL、最も好ましくは、約15〜約17mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する。
特定の実施形態では、本発明の放出調節経口製剤は、該製剤をヒトに経口投与した後、約1〜約5.5時間、好ましくは、約2〜約4時間、さらに好ましくは、約2〜約3.5時間のトラネキサム酸の平均Tmaxを提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように、また、該製剤が、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約15分で約40重量%未満のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約45分で約70重量%未満のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約90分で少なくとも50重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有するように、該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように、また、該製剤が、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約15分で約0%〜約40重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約30分で約20%〜約60重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約45分で約40%〜約65重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約60分で約50%〜約90重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約90分で少なくとも60重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有するように、該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該製剤は、ヒトへの経口投与後、40%を超えるトラネキサム酸の生物学的利用能、約41%〜約60%、好ましくは、約42%〜約50%、さらに好ましくは、約45%のトラネキサム酸の生物学的利用能を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、約585〜約715mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩、好ましくは、約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節する。
特定の実施形態では、本発明は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節し、該製剤は、患者集団の全員に投与された場合に、即放性経口製剤中の同量のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と比較して、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、便秘、痙攣、鼓張及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の副作用を低減させる。
特定の実施形態では、本発明は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節賦形剤を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該製剤は、該放出調節経口製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように、即放性経口製剤よりも遅く、且つ、放出制御経口製剤よりも速い、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該製剤は、1日当たり3回の経口投与に適しており、また、該製剤は、ヒトへの単回経口投与後、1300mgのトラネキサム酸当たり、約5〜約17.5mcg/mL、好ましくは、約6.5〜約15mcg/mL、さらに好ましくは、約9〜約14.5mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該製剤は、1日当たり2回の経口投与に適しており、また、該製剤は、ヒトへの単回経口投与後、1950mgのトラネキサム酸当たり、約5〜約40mcg/mL、好ましくは、約10〜約30mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該製剤は、1日当たり3回の経口投与に適しており、また、該製剤は、ヒトへの定常状態経口投与後、1300mgのトラネキサム酸当たり、約5〜約25mcg/mL、好ましくは、約7.5〜約15mcg/mL、さらに好ましくは、約8〜約10mcg/mL、最も好ましくは、約9mcg/mLのトラネキサム酸の平均血漿濃度を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該製剤は、1日当たり3回の投与に適しており、また、該製剤は、ヒトへの定常状態経口投与後、1300mgのトラネキサム酸当たり、約5〜約25mcg/mL、好ましくは、約10〜約20mcg/mL、さらに好ましくは、約12.5〜約17.5mcg/mL、最も好ましくは、約15〜約17mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該製剤は、1日当たり3回の投与に適しており、また、該製剤は、ヒトへの定常状態経口投与後、1300mgのトラネキサム酸当たり、約2〜約10mcg/mL、好ましくは、約3〜約7.5mcg/mL、さらに好ましくは、約4〜約7mcg/mL、最も好ましくは、約5〜約6mcg/mLのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の平均血漿トラフ濃度を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、治療上有効量のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩で患者を治療する方法に関し、ここで、該方法は、該患者に本発明の2つの製剤を投与することを含み、各製剤は、該製剤が1日当たり3回の経口投与に適したものであるように、約585mg〜約715mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩、好ましくは約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、治療上有効量のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩で患者を治療する方法に関し、ここで、該方法は、該患者に本発明の3つの製剤を投与することを含み、各製剤は、該製剤が1日当たり2回の経口投与に適したものであるように、約585mg〜約715mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩、好ましくは約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む。
特定の実施形態では、本発明は、放出調節製剤の2つの単位製剤(two unit dosage forms)を含むトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の用量(dose)に関し、ここで、該放出調節製剤の各単位製剤は、約585mg〜約715mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩(好ましくは、約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩)と放出調節物質を含み、該放出調節物質は、1日当たり3回投与されたときに該用量が治療効果を示すように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を提供する。
特定の実施形態では、本発明は、放出調節製剤の3つの単位製剤(three unit dosage forms)を含むトラネキサム酸の用量に関し、ここで、該放出調節製剤の各単位製剤は、約585mg〜約715mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩(好ましくは、約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩)と放出調節物質を含み、該放出調節物質は、1日当たり2回投与されたときに該用量が治療効果を示すように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を提供する。
特定の好ましい実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように、また、該製剤が、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約15分で約0%〜約40重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約30分で約20%〜約60重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約45分で約40%〜約80重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約60分で約50%〜約95重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約90分で少なくとも約60重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有するように、該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節する。
特定の好ましい実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように、また、該製剤が、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約15分で約14%〜約22重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約30分で約32%〜約50重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約45分で約47%〜約71重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約60分で約61%〜約92重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約90分で約79%〜約100重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有するように、該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節する。
特定の実施形態では、本発明は、放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節経口製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、該製剤が15分毎に約10%〜約25重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を放出するように、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と有効量の放出調節賦形剤を含む。特定の好ましい実施形態では、該製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、15分毎に約18%〜約23重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を放出する。最も好ましくは、該製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、約120分以内に約100%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を放出する。特定の実施形態では、該製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、1分毎に約1%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を放出する。
特定の好ましい実施形態では、本発明の放出調節経口製剤は、さらに、患者集団全員に投与されたときに、7.70±0.72時間のトラネキサム酸の平均通過時間を提供する。
特定の好ましい実施形態では、本発明の放出調節経口製剤は、さらに、患者集団全員に投与されたときに、4.18±0.70時間のトラネキサム酸の平均吸収時間を提供する。
特定のさらなる実施形態では、本発明の放出調節経口製剤は、血漿中のトラネキサム酸についてのIn変換された薬物動態動力学的パラメータ「AUC0-t」、「AUC;nf」及び「Cmax」から得られた信頼区間を提供し、それは、絶食条件下にある患者集団の全員に投与されたときに、同量のトラネキサム酸を含む即放性製剤の80-125%の範囲内にある。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように、また、患者集団の全員への単回経口投与後、該製剤による副作用としての頭痛の発生率が約20%未満となるように、該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む放出調節経口製剤に関し、ここで、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように、また、患者集団全員へ投与したときの該製剤による副作用としての悪心の発生率が約10%未満となるように、患者集団全員へ投与したときの該製剤による副作用としての悪心の発生率が約7%未満となるように、好ましくは、患者集団全員へ投与したときの該製剤による副作用としての悪心の発生率が約5%未満となるように、さらに好ましくは、患者集団全員への単回経口投与後の該製剤による副作用としての悪心の発生率が約2%未満となるように、該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を調節する。
特定の実施形態では、本発明の放出調節経口製剤は、患者集団全員へ投与したとき、即放性製剤中の同量のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と比較して、CNS副作用(例えば、頭痛)が少ないか、GI副作用(例えば、悪心)が少ないか、又はその組み合わせが少ない。それに加えて、又はその代わりに、特定の実施形態では、該製剤は、患者集団全員に5分以内で静脈内投与された治療上等価量のトラネキサム酸と比較して、CNS副作用(例えば、頭痛)が少ないか、GI副作用(例えば、悪心)が少ないか、又はその組合せが少ない。
特定の実施形態では、本発明の放出調節経口製剤は、同量のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含む即放性経口製剤を該放出調節製剤と同じ患者集団又は異なった患者集団の全員に投与した場合の該即放性製剤と比較して、少なくとも1つの副作用を低減させる。ここで、該即放性経口製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、約45分以内に該トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の全てを放出する。そのような副作用は、例えば、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、便秘、痙攣、鼓張及びそれらの組合せなどであり得る。
特定の実施形態では、本発明の放出調節経口製剤は、患者集団全員に投与されたときに、同量のトラネキサム酸を含む即放性製剤よりも少なくとも約20分、好ましくは約30分長いトラネキサム酸の平均通過時間を提供する。
特定の実施形態では、本発明の製剤は、患者集団全員に投与されたときに、同量のトラネキサム酸を含む即放性製剤よりも少なくとも約20分、好ましくは約30分長いトラネキサム酸の平均吸収時間を提供する。
特定の好ましい実施形態では、治療上有効な用量のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩は、2つ以上の投与単位を投与することにより提供される。例えば、該投与単位が650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含んでいて、投与のための該用量が約1300mgである場合、そのような治療が必要な患者に対して2つの投与単位を投与し、又は例えば、投与のための該用量が約1950mgである場合は、3つの投与単位を投与する。
特定の好ましい実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩及び放出調節物質を含む1つ以上の放出調節経口製剤を用いて患者を治療する方法に関し、ここで、該経口製剤は、1日当たり3回(TID)の投与計画に従ってトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の治療上有効な血漿レベルを提供し、また、投与された治療上有効な用量は、約1300mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含む。
特定の好ましい実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩及び放出調節物質を含む1つ以上の放出調節経口製剤を用いて患者を治療する方法に関し、ここで、該経口製剤は、1日当たり2回(BID)の投与計画に従ってトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の治療上有効な血漿レベルを提供し、また、投与された治療上有効な用量は、約1950mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含む。
特定の実施形態では、本発明は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩での治療が必要な患者にトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む本発明の放出調節製剤を1日当たり3回投与することにより、約5mcg/mL〜約15mcg/mLの範囲にあるトラネキサム酸血漿濃度を提供する方法に関する。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、重度の月経出血(月経過多)を患っているヒト患者を治療する方法に関し、ここで、該方法は、該ヒト患者に約1300mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を1日当たり3回投与して、ヒト患者への定常状態経口投与後における約5mcg/mL〜約15mcg/mLの範囲にあるトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の血漿濃度を提供することを含む。
特定の実施形態では、本発明は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩による治療が必要な患者に本発明の少なくとも1つの製剤を投与することにより、月経過多症、子宮頚部円錐切除術、鼻出血、前房出血若しくは遺伝性血管神経性浮腫を患っている患者、口腔外科術を受けていて血液凝固障害を患っている患者、又はそれらを組み合わせたものを患っている患者を治療する方法に関する。
特定の実施形態では、本発明は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む本発明の少なくとも1つの経口製剤の治療上有効な用量で重度の月経出血を治療する方法に関し、ここで、月経周期当たり経血量は、少なくとも約10mL、好ましくは、少なくとも約20mL、さらに好ましくは、少なくとも約40mL低減される。最も好ましい実施形態では、月経周期当たり経血量は、約50mL以上低減される。
特定の実施形態では、本発明は、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む本発明の少なくとも1つの経口製剤の治療上有効な用量で重度の月経出血を治療する方法に関し、ここで、該放出調節物質は、ヒト女性に経口投与されたときに、月経周期当たり経血量を、約35mL〜約200mL、好ましくは、約40mL〜約175mL、さらに好ましくは、約50mL〜約150mL低減させる。
特定の実施形態では、本発明は、さらに、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む本発明の少なくとも1つの経口製剤の治療上有効な用量で重度の月経出血を治療する方法に関し、ここで、該放出調節物質は、ヒト女性に経口投与されたときに、月経周期当たり経血量を、約20%〜100%、好ましくは、約20%〜約70%低減させる。
該経血量は、当技術分野で既知の方法で測定することが可能である。例えば、特定の実施形態では、経血量は、(i) L. Hallbert, et al.("Determination of Menstrual Blood Loss", Scandinav. J. Clin. & Lab. Investigation, 244-248, 16, 1964)により記述された方法(ここで、該方法は、水酸化ナトリウム溶液で膣タンポン及び生理用ナプキンから月経血を抽出し、ヘム色素源をアルカリ性ヘマチンに変換し、それを分光光度法で測定することにより行う)によって測定することができるか、又は経血量は、(ii) J. Newton, M.D., et al.("A Rapid Method for Measuring Menstrual Blood Loss Using Automatic Extraction.", Contraception, 269-282, September 1977, Vol. 16, No. 3)により記述された方法(ここで、該方法は、自動式Stomacher Lab-Blenderによる膣タンポン及び生理用ナプキンからの血液の抽出後におけるアルカリ性ヘマチンの形成に基づいている)によって測定することができる。上記論文の開示内容は、参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
特定の実施形態では、該放出調節物質は、例えば、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含む錠剤の表面に施されたコーティングの中に組み入れることができるか、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含むマトリックスの中に組み入れることができるか、又はそれらを組み合わせたものの中に組み入れることができる。例えば、特定の好ましい実施形態では、該放出調節物質は、例えばトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含むマトリックス組成物に添加される、ゲル形成性又は水和可能なポリマーなどの放出制御物質である。
特定の実施形態では、本発明の方法及び製剤で使用するためのトラネキサム酸は、その製薬上許容される塩の形態にある。そのような塩形態としては、限定するものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などを挙げることができ、また、塩酸塩形態、臭化水素酸塩形態、硫酸塩形態、リン酸塩形態、ギ酸塩形態、酢酸塩形態、トリフルオロ酢酸塩形態、マレイン酸塩形態、酒石酸塩形態、メタンスルホン酸塩形態、ベンゼンスルホン酸塩形態、p-トルエンスルホネートメタンスルホネート塩形態なども挙げることができる。好ましくは、本発明に従って使用するための活性成分は、トラネキサム酸である。
本発明の目的上、「即放性経口製剤(immediate release oral dosage form)」は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、その中に含まれている活性成分(例えば、トラネキサム酸)の全てを約45分以内に放出する製剤である。
本発明の目的上、「放出調節経口製剤(modified release oral dosage form)」は、その中に含まれている活性成分(例えば、トラネキサム酸)を、該放出調節経口製剤と同量の活性成分を含む場合の即放性経口製剤よりは遅く且つ放出制御経口製剤よりは速く放出する、経口製剤である。本出願で使用されている場合、用語「遅く(slower)」及び「速く(faster)」についての1つに定義は、インビトロでの溶解開始後に、15分間隔の各測定において、それらが、統計的に有意な差を示すということである。特定の好ましい実施形態では、本発明の放出調節経口製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約45分で約70重量%未満のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約120分で約100重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有する。
本発明の目的上、「放出制御経口製剤(controlled release oral dosage form)」は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、その中に含まれている活性成分(例えば、トラネキサム酸)の全てを約4時間以上経過した後で放出する製剤である。
本発明の目的上、用語「Cmax」は、特に別途示されていない限り、ある製剤を単回投与した後で達成された薬物の最大血漿濃度(maximum plasma concentration)を意味するか、又は本発明に従う定常状態で、複数回投与により投与間隔全体を通して達成された薬物の最大血漿濃度を意味するものである。
本発明の目的上、用語「Tmax」は、ある製剤を投与してから当該薬物のCmaxに到達した時点までの経過時間を意味するものである。
用語「定常状態(steady state)」は、当該系に到達する当該薬物の量が当該系から離れる当該薬物の量とほぼ等しいことを意味する。従って、「定常状態」においては、患者の体は、薬物が血流中への吸収を介して該患者の全身で利用可能となる速度とほぼ同じ速度で、該薬物を排出する。
本発明の目的上、用語「平均(mean)」は、薬物動態学的な値(例えば、Tmax)を定義するために使用される場合、特に別途規定されていない限り、患者又は被検者の集団の全員について測定した算術平均値を表す。
本発明の目的上、用語「1日当たり3回(three times a day (TID) basis)」は、用法が、好ましくは8時間毎のスケジュールで、1日当たり3回の投与になっていることを意味する。
用語「平均通過時間(mean transit time)」は、当業者には理解され、そして、文献「Applied Pharmacokinetics, Principles of Therapeutic Drug Monitoring, Second Edition (1986), edited by William E. Evans, et al.」(この文献の開示内容は、参照により、その全体を本明細書に組み入れる)において記述されているように、経口投与後に総AUCの63.2%に達した時点、又はIV用量の63.2%が排出された時点を意味する。
用語「平均吸収時間(mean absorption time)」は、当業者には理解され、そして、同様に文献「Applied Pharmacokinetics, Principles of Therapeutic Drug Monitoring, Second Edition (1986), edited by William E. Evans, et al.」に記述されているように、薬物分子が吸収されないままでいる平均時間(即ち、薬物分子がその製剤のままで胃腸管内に存続している平均時間)について簡単に表す量的パラメータを意味する。事実を歪曲する可能性がある吸収速度定数(ka)とは異なって、平均吸収時間は、薬物のその製剤からの不充分な放出、不規則な吸収、ラグ時間、混合零次溶解速度(mixed zero-order dissolution rate)、変化するGI運動性、GI血流量及び初回通過効果などに影響されない。
HMB(重度の月経出血(Heavy Menstrual Bleeding))の治療法において、トラネキサム酸について典型的に記載されている用法は、多量の月経出血が始まった日に、1回用量当たり1〜1.5gで1日に3〜4回投与し、月経周期の最初の3〜5日間継続するというものである。しかしながら、トラネキサム酸について最も高い頻度で報告されている用法は、米国以外でHMBを治療法するために1gのトラネキサム酸を1日当たり4回(1日当たり4g)投与する即放性経口製剤である。この一般的な用法についての知識は、当該医学文献中で公表されている無作為化比較試験、HMB治療について認可された製品を有する他の国の規制当局による製品ラベル表示、Sweden(Rybo 1991)からのユーティライゼーションデータ、当該製品についての経験を有している非米国臨床医との往復書簡及び会見を注意深く再検討することにより支持される。その用法は、現在は、出血異常に関連したHMBを患っている女性において米国疾病管理センター(CDC)により研究されている投与法である。
欧州で市販されている製剤(Cyklokapron, Kabi AB, Sweden Batch 90288; アッセイ 499mgm/錠)を男性被検者に投与したときに観察されるトラネキサム酸の絶対生物学的利用能は、約35%であり、その排出は、腎臓のクレアチニンクリアランスと相関している。欧州の即放性錠剤(15分で85%を超える量が溶解)を経口投与してから約3時間後に、血清トラネキサム酸ピーク濃度に達する(Pilbrant, et al., Eur. J. Clin. Pharmacol, (1981)-20:65-72)。それに比較して、欧州の即放性製剤で観察されるインビボでの吸収プロフィールは、速度が遅く、3時間にわたり極めて漸進的である。具体的に言えば、トラネキサム酸血清濃度は、2gの経口投与の0.5時間後、1時間後、1.5時間後及び2時間後において、それぞれ、最大吸収量の9%、41%、73%及び88%(飲食物有り)、並びに22%、63%、85%及び98%(絶食状態)である。どのような特定の理論にもとらわれることは望まないが、現在のところ、製品溶解時間と比較的長いTmax(ピーク血清濃度に達するまでの時間)の間の不一致を説明するために、経口によるトラネキサム酸の吸収は、溶解速度による制限を受けないプロセス(non-dissolution rate limited process)により制御されるように見える、即ち、経口による吸収の速さと程度は、膜通過による制限を受けるプロセスと相関関係にある、と仮定される。
好ましくは、本発明の製剤、用量強度(dose strength)及び用法の目標は、1回の月経周期当たりの経血量を約20%〜100%低減させるHMB治療を提供することである。本発明の特定の実施形態によれば、8時間毎の1.3gというトラネキサム酸の好ましい用量は、6時間毎に1gの投薬計画により得られる平均血清トラネキサム酸濃度(即ち、12.4mcg/mL)に匹敵する平均血清トラネキサム酸濃度をもたらし、関連するピークとトラフは治療的な抗繊維素溶解の範囲(5-15mcg/mL; Cyklokapron NDA 19-280)にほぼ入ると予想される。特定の実施形態では、薬物動態データと組み合わせた2コンパートメント経口吸収及び排出シミュレーションモデル(two-compartment oral absorption and elimination simulation model)(Pilbrant, et al., Eur. J. Clin. Pharmacol, (1981)-20:65-72)並びに放出が調節されている錠剤の溶解能についての情報を用いて、好ましい主要な用法を決定した。
即放性製剤では、その製剤中の全投与量及び可溶性成分は、胃腸液中で溶解して、吸収されるための高濃度の溶質を提供する。最も高い頻度で報告されている副作用は、主として近位胃腸管(proximal gastrointestinal tract)に限られている(悪心及び嘔吐)。これらの副作用の症状は、胃粘膜に達した薬物の量に関連しているように思われるが、それは、この作用が、該即放性経口製剤の投与量を低減するか又は該生成物を静脈内経路でゆっくりと投与することにより最小限度に抑えることができるからである。特定の実施形態では、本発明の好ましい経口放出調節製剤(例えば、8時間毎に1.3g投与)を用いて、近位胃腸管の副作用の発症率が低減されるが、それは、例えば、当該薬物製剤の放出調節特性のためである。
特定の実施形態では、本発明の経口製剤は、現時点で利用可能な即放性経口製剤(例えば、Cyclokapron)と比較して、増大した生物学的利用能を提供する。特定の好ましい実施形態では、その増大した生物学的利用能により、少ない投薬量で、トラネキサム酸の治療効果を有する血漿レベルに到達可能となる。好ましくは、その増大した生物学的利用能により、さらに、吸収されずに胃腸管内に残留するトラネキサム酸の量も減少し、その結果、吸収されない高レベルのトラネキサム酸をもたらして胃腸管を高レベルのトラネキサム酸に長期間にわたり暴露する製剤に典型的に関連した副作用の発症率が低減する。好ましくは、本発明の経口製剤は、ヒトへの経口投与後、40%を超えるトラネキサム酸の生物学的利用能、約41%〜約60%のトラネキサム酸の生物学的利用能、好ましくは、約42%〜約50%、さらに好ましくは、約45%のトラネキサム酸の生物学的利用能を提供する。
本発明のトラネキサム酸の放出調節経口製剤は、現在カナダで市販されている即放性500mg Cyklokapron製品の薬物放出よりもゆっくりとした薬物放出を提供する。ここで、該即放性500mg Cyklokapron製品は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに約15分で100重量%のトラネキサム酸が放出される平均放出速度を提供した。
特定の実施形態では、該放出調節経口製剤は、即放性製剤よりも約30分間長い近位胃腸粘膜の平均通過時間を提供すると記載し得る。好ましい別の実施形態では、本発明の放出調節製剤は、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間及び1.5時間において、それぞれ、総投与量の約20%、約40%、約60%、約80%及び約100%の、インビトロにおける該製剤からの(溶解した)トラネキサム酸の放出速度を提供する。特定の好ましい実施形態では、インビトロにおけるそのような放出速度は、本発明の製剤が、経口投与後、それぞれ、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間及び1.5時間において、溶解したトラネキサム酸が近位胃粘膜に達する量及び速度を、約20%、約40%、約60%、約80%及び約100%に低減させるということを実証する。
特定の実施形態では、トラネキサム酸吸収の大部分は、胃より遠位でゆっくりと起こるように思われ、線形の薬物動力を仮定すれば、該放出調節製剤は、米国以外で使用されている現在利用可能な経口即放性製剤を用いて達成される吸収プロフィールに匹敵する吸収プロフィールを実現する。
本発明に従い、経口投与用の放出調節トラネキサム酸錠剤が開示される。好ましくは、該錠剤は、患者(例えば、月経過多を治療するためにトラネキサム酸を経口投与された女性)における胃腸管の副作用を最小限に抑えるか又は排除する少なくとも1種類の物質(本明細書では、活性物質(即ち、トラネキサム酸)以外の任意の物質であると定義される)を含む。
本発明の目的のためのトラネキサム酸の該放出調節経口製剤は、当技術分野において長期放出製剤(extended release formulation)、持続放出製剤(sustained release formulation)及び放出制御製剤(controlled release formulation)として知られている製剤に典型的に使用される製剤成分及び/又は形状を有しているが、本発明の教示に調和する望ましい放出速度を提供するように調節されている。該放出調節製剤は、トラネキサム酸の全ての投与量を一度に放出する即放性製剤とは対照的に、投与された後、ある期間にわたってトラネキサム酸を制御可能に放出することにより、好ましくは、胃液内に溶解するトラネキサム酸と他の物質の濃度を低減させる。本発明の放出調節製剤は、かくして、特定の投与量のトラネキサム酸が摂取されて直ぐに胃に達した場合に起こる胃腸の反応及び副作用を最小限に抑制するか又は防止する。
本発明の放出調節製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ペレット剤、散剤、糖衣錠剤、トローチ剤、ノンパレイル剤(non-pareil)、丸剤又はカプセル化懸濁液剤として調製することが可能であり、また、カプセル又はサッシェなどの中に入れることが可能である。そのような製剤は、該製剤からの活性物質(トラネキサム酸)の放出を即放性製品からの放出速度よりも遅い速度で起こるように調節するいずれかの製剤技術で調製することができる。そのような製剤では、トラネキサム酸は、胃及び/又は腸内で放出されるが、溶解した薬物のボーラスが胃内の表面に達しないように、また、副作用を引き起こさないように、又はトラネキサム酸の濃度を低くすることにより副作用の起こる強度及び頻度を低減できるように、より遅い速度で放出される。従って、副作用は、好ましくは、低減されるか、又は最小限に抑制されるか、又は排除される。
放出調節製剤の調製方法は、「Modified Release Drug Delivery Technology, Rathbone, Hadgraft, and Roberts, Eds., Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol. 126, Marcel Dekker Inc., New York, 2003」、「Modern Pharmaceutics , Third Edition, Banker and Rhodes, Eds. Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol. 72, Marcel Dekker Inc., New York, 1996」、「Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, Robinson, Ed., Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol. 6, Marcel Dekker Inc., NY 1978」、「Sustained Release Medications, Chemical Technology Review No. 177, Johnson, Ed., Noyes Data Corporation 1980」、及び「Controlled Drug Delivery, Fundamentals and Applications, Second Edition, Robinson and Lee, Eds., Marcel Dekker Inc., New York, 1987」に記載されており、また、米国特許第6,548,084号に記載されている。これらの参考文献は、それぞれ、特に、参照により本明細書に組み入れる。
好ましくは、放出調節形態により、トラネキサム酸は、摂取された後、長期間にわたり効果を示す。放出調節製剤は、胃腸管内における消化プロセス及び吸収プロセスと相まって、慣習的な製剤として(例えば、溶液として、又は即放性製剤として)供されるトラネキサム酸を投与した場合と比較して、胃腸管内の溶液状態にあるトラネキサム酸の量を低減させる。該放出調節製剤は、食品医薬品局の基準(Food and Drug Administration standards)(例えば、「www.fda.gov. 21 CFR §314, 320」及び「USP 23 NF 18 §711, 724」における記載)に従い、インビボでの生物学的同等性についての証拠書類による裏付け及びインビトロ溶出試験により実証することができる。例えば、900mLの水中で37±0.5℃で実施する米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)などのようなインビトロ溶出試験を用いて、該製剤からのトラネキサム酸の放出を確認することができる。
錠剤摂取後の最初の1〜2時間以内にトラネキサム酸の特定の用量(典型的には、1〜2錠当たり約500mg〜約2g)を提供するように、トラネキサム酸放出調節錠剤を製剤することができる。かくして、所定の期間(例えば、約60分〜約120分)にわたって、トラネキサム酸は計画された速度で放出される。その期間にわたるトラネキサム酸の放出速度は、胃内におけるトラネキサム酸の濃度を低いものとしながら同時に胃腸管でトラネキサム酸が吸収され得るように計画する。トラネキサム酸の吸収は、典型的には、トラネキサム酸が該製剤から放出されると直ぐに開始され、胃腸管の内側を覆っている膜に接触している胃腸液に溶解する。該製剤からのトラネキサム酸の放出速度及び胃腸粘膜による薬物の吸収が、胃腸液中の薬物の濃度を低く維持するのに寄与している。濃度が低くなると、好ましくは、胃腸管の副作用の強度が低下し、頻度が少なくなり、及び/又は重症度が低減される。胃及び上部小腸内における該製剤からのトラネキサム酸の計画された放出速度、溶解したトラネキサム酸を僅かでも含む胃液の胃からの自然排出、及び胃腸管のより大きな部分から(即ち、長い放出時間を有するいずれかの放出調節製剤を使用した場合、胃のみ又は小腸の下位部からではなく、胃と小腸の両方から)のトラネキサム酸の吸収により、好ましくは、該製剤から近位又は遠位の胃腸管の部位における溶解しているトラネキサム酸のレベルが低減される。胃腸管に沿ってトラネキサム酸の濃度が低下すると、好ましくは、経口トラネキサム酸療法に伴う胃腸管の副作用が低減される。
本明細書で使用される場合、上記製剤を用いて副作用を軽減するということは、1つ以上の症状における何らかの軽減、例えば、発症率の低下、重症度の低減又は症状の持続時間の短縮などを表し、症状の非存在や症状の除去に限定されない。従って、治療(treatment)には、有害な胃腸症状(例えば、限定するものではないが、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、便秘、痙攣、鼓張及びそれらの組合せなど)の発症率、持続時間、強度、頻度などの低減が包含される。該製剤は、トラネキサム酸療法の期間中のどの時点においても症状を低減し得るが、最小限に抑制された副作用は、投与後直ぐに又は少し過ぎてから、即ち、投与後最初の数時間以内に、特に認められる。本明細書で使用される場合、胃腸管の副作用(adverse gastrointestinal effects)及び副作用は、非治療的作用(即ち、トラネキサム酸に起因する何らかの起こり得る有益な効果に関連しない作用)について示すために交換可能に使用され、その範囲は、不快ではあるが耐えられる感覚から重篤な胃腸症状にまで及ぶ。本明細書で使用される場合、用語「経口製剤(oral formulation)」、摂取可能製剤(ingestable formulation)」及び「経口投与製剤(orally administered formulation)」は交換可能に使用され、口により摂取される全ての製剤を包含し、そのようなものとしては、限定するものではないが、錠剤、丸剤、液剤、ゲルカップ剤、ソフトゲル剤、糖衣錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、ペレット剤などを挙げることができる。
トラネキサム酸の放出調節製剤には、錠剤、ペレット剤、顆粒剤、カプセル剤、又は計画された方法でトラネキサム酸を放出するように調製された別の経口製剤などがある。特定の実施形態では、該放出調節物質は、ゲル形成性ポリマー、水和可能ポリマー、水溶性ポリマー、水膨潤性ポリマー又はそれらの混合物である。
特定の実施形態では、放出調節トラネキサム酸錠剤は、ゲル形成性ポリマー又は水和可能ポリマーを含む放出調節物質をトラネキサム酸錠剤組成物に添加することにより調製する。適切なゲル形成性ポリマー又は水和可能ポリマーとしては、限定するものではないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(又はヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコールなどを挙げることができる。これにより圧縮錠剤が得られ、その圧縮錠剤は、フィルムコーティングを施してもよいし又は施さなくてもよい。該錠剤は、錠剤マトリックスを通したトラネキサム酸の拡散により、又は錠剤マトリックスの侵食により、又は錠剤マトリックスからの拡散と錠剤マトリックスの侵食の組み合わせにより、トラネキサム酸を放出する。水膨潤性ポリマーを用いて形成された錠剤は、錠剤マトリックスを通したトラネキサム酸の拡散により、又は錠剤マトリックスの侵食により、又は錠剤マトリックスからの拡散と錠剤マトリックスの侵食の組み合わせにより、トラネキサム酸を放出する。1種類以上の水溶性親水性ポリマーを用いることもできる。そのようなものとしては、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(これは、現在は、ヒプロメロースと称される(例えば、MethocelTM, Dow Chemical Company))、メチルセルロース、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー、それらの誘導体、及びそれらの混合物などを挙げることができる。種々の実施形態において、該ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。該ポリマーは、約50cps〜約200cpsの範囲の粘度を有するヒドロキシプロピル-メチルセルロースであり得る。該ポリマーは、MethocelTM K 100 LV (Dow Chemical Company)として市販されている粘土が100cpsのヒドロキシプロピル-メチルセルロースであることができる。該組成物中のポリマーの量は、該組成物の約5重量%〜約50重量%の範囲であり得る。さまざまな実施形態において、該ポリマーは、組成物の約10重量%〜約35重量%の範囲であるか、又は組成物
の約10重量%〜約30重量%の範囲である。
の約10重量%〜約30重量%の範囲である。
特定の実施形態では、該放出調節物質は、ビニルポリマー、ビニルコポリマーのフタル酸誘導体、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース(例えば、エチルセルロース)、酢酸セルロース、酢酸ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、酢酸アルキルセルロース及びそれらの部分エステル、並びに低級アルキルアクリル酸とアクリル酸低級アルキルのポリマー及びコポリマー及びそれらの部分エステル、又はそれらの組合せを含む。好ましい実施形態では、該放出調節物質は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー、それらの誘導体、及びそれらの混合物を含む。好ましいさらなる実施形態では、該放出調節物質は、メタクリル酸コポリマーなどのポリマーを含む。それらは、アクリル酸エチル又はメタクリル酸メチルなどの中性アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとメタクリル酸のコポリマーである。
特定の実施形態では、該放出調節物質は、pH非依存性結合剤又は被膜形成剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、中性ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、Eudragit(登録商標)(Rohm Pharma)として販売されているメチルメタクリレート/エチルアクリレートコポリマー)、デンプン、ゼラチン、糖類(例えば、グルコース、スクロース及びマンニトール)、ケイ酸、カルボキシメチルセルロースなど、希釈剤、例えば、ラクトース、マンニトール、乾燥デンプン、微晶質セルロースなど、界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ソルビタンエーテルなど、着色剤、矯味矯臭剤、滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、並びに他の打錠助剤(tableting aid)を含む。上記で記載した結合剤又は被膜形成剤の任意の組合せを該放出調節物質の中に含ませることができる。該放出調節物質は、トラネキサム酸と組み合わせて、放出調節製剤を形成させることができる。
特定の実施形態では、該製剤は、該製剤の約50重量%から約95重量%以上の範囲のトラネキサム酸を含む。別の実施形態では、トラネキサム酸は、該製剤の、約60重量%〜約90重量%の範囲であるか、又は約60重量%〜約80重量%の範囲である。残りの重量は、該放出調節物質とさらなる賦形剤で構成される。
放出調節錠剤を調製するために、トラネキサム酸の放出速度を遅くする作用物質又は放出調節物質を、錠剤マトリックス中に組み入れることができるか、又は錠剤表面上にコーティングすることができるか、又はその両方を実施することができる。特定の実施形態では、調製された錠剤は、該放出調節物質の粉末のブレンドを造粒することにより製剤する。粉末ブレンドは、該錠剤を構成する粉末化成分の一部を合することにより形成される。それらの粉末は、乾式混合により、緊密に混合させる。その乾式混合させた該混合物は、結合剤の溶液と該粉末混合物を湿式混合することにより造粒する。その湿式混合の時間を制御することにより、得られた製剤の溶解速度に影響を及ぼすことができる。例えば、全粉末混合時間、即ち、その粉末を造粒する時間は、約1分〜約10分の範囲であり得るか、又は約2分〜約5分の範囲であり得る。造粒に引き続いて、造粒機から粒子を取り出し、乾燥させるために、流動床乾燥機、真空乾燥機、マイクロ波乾燥機又は箱形乾燥機の中に配置する。乾燥条件は、不要な造粒溶媒(典型的には、水)を除去するのに充分であるか、又は造粒溶媒の量を許容されるレベルまで低減させるのに充分である。流動床乾燥機又は箱形乾燥機の乾燥条件は、典型的には、約50〜70℃である。粒状物を乾燥させ、篩にかけ、さらなる賦形剤、例えば、崩壊剤、流動化剤、又は圧縮助剤及び滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムなどと混合させ、圧縮して錠剤とする。
特定の実施形態では、錠剤マトリックス内に放出調節物質を含む錠剤は、任意の被膜形成剤でコーティングし得る。この適用された被膜は、例えば、識別において助けとなり得るし、不快な風味をマスクし得るし、所望の色及び外観とすることが可能となるし、上品さを増強し得るし、嚥下の助けとなり得るし、また、腸溶性コーティングの助けとなり得る。そのような被膜形成剤の量は、錠剤の重量の約2%〜約4%の範囲であり得る。適切な被膜形成剤は当業者には既知であり、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、1種類以上のアクリルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン性メタクリレートコポリマー、(ジエチルアミノエチル)メタクリレート/メチル-ブチル-メタクリレートコポリマー、例えば、Eudragit E(登録商標)(Rohm Pharma)などがある。該被膜形成剤には、場合により、着色剤、可塑剤、増量剤などを含ませてもよく、そのようなものには、限定するものではないが、プロピレングリコール、ソルビタンモノオレエート、ソルビン酸、二酸化チタン、及び製薬上許容される1種類以上の染料などがある。
特定の実施形態では、本発明のトラネキサム酸錠剤に、放出調節物質のコーティングを施す。特定の実施形態では、トラネキサム酸錠剤は、トラネキサム酸と錠剤賦形剤から構成される粉末を、乾式混合するか、回転成形(rotary compacting)するか、又は湿式造粒することにより製剤する。そのような粉末を圧縮して、即放性錠剤とする。この即放性錠剤に本明細書に記載されている放出調節物質をコーティングすることにより、そのトラネキサム酸錠剤を放出調節錠剤とする。
該放出調節物質に加えて、本発明の製剤には、適切な量の他の物質、例えば、製薬の技術分野で慣習的な防腐剤、希釈剤(例えば、微晶質セルロース)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムなど)、結合剤(例えば、ポビドン、デンプンなど)、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプンなど)、流動促進剤(glidant)(例えば、タルク、コロイド状二酸化ケイ素など)、造粒助剤、着色剤及び矯味矯臭剤なども含有させることができる。経口製剤を製剤するのに使用し得る製薬上許容される賦形剤の具体的な例は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (2003)」(これは、参照により本明細書に組み入れる)に記載されている。
該放出プロセスは、当業者に既知であるように、成分の種類、量及び比率を変えて、所望の溶解プロフィールが得られるように調節することができる。コーティングは、胃の内部(pH約2)と小腸の内部(上部のpH約5.5)のpHの全範囲の水性媒体中へのトラネキサム酸の溶解速度を制御する部分的に中和されたpH依存性結合剤であり得る。特定の実施形態では、1種類以上のpH依存性結合剤を使用して、該製剤が胃及び/又は腸を通過しているときにトラネキサム酸がゆっくりと連続的に放出されるように、該溶解プロフィールを調節することができる。
一実施形態では、放出調節圧縮錠剤は、米国薬局方の基準を満たすように、且つ、容易に飲み込むことができるような寸法と形状を有するように、製剤する。該錠剤の寸法は、充分な治療を提供するのに必要とされるトラネキサム酸の投与量と、錠剤化及び放出調節に必要な物理的特性を提供するように選択された特定の賦形剤及び製剤に依存する。種々の実施形態において、放出調節圧縮錠剤は、約500mg〜約1gのトラネキサム酸を含むか、又は約600mg〜約750mgのトラネキサム酸を含む。トラネキサム酸の1日用量は、各投与時に1つ又は2つの錠剤を服用することにより達成され得る。
特定の実施形態では、該製剤中に含まれているトラネキサム酸は、約375mg〜約1500mg、好ましくは、約375mg〜約1000mgである。一実施形態では、1錠当たりのトラネキサム酸の投与量は、錠剤の場合は、約500mg〜約1000mgの範囲であり、顆粒を詰めたサッシェの場合は、約500mg〜約1500mgである。別の実施形態では、トラネキサム酸の用量は、約3g/日〜約6g/日であり、2回又は3回に分割して投与される。1つの例として、1日当たりの総用量としての3グラムのトラネキサム酸は、3回に分けて、毎回、各錠剤が1gのトラネキサム酸を含む錠剤を1錠投与し得るか、又は4回に分けて、毎回、各錠剤が0.75gのトラネキサム酸を含む錠剤を1錠投与し得る。別の例として、1日当たりの総用量としての4グラムのトラネキサム酸は、3回に分けて、毎回、各錠剤が0.666gのトラネキサム酸を含む錠剤を2錠投与し得るか、又は4回に分けて、毎回、各錠剤が1gのトラネキサム酸を含む錠剤を1錠投与し得る。別の例として、1日当たりの総用量としての5グラムのトラネキサム酸は、3回に分けて、毎回、各錠剤が1.66gのトラネキサム酸を含む錠剤を1錠投与し得るか、又は4回に分けて、毎回、各錠剤が0.625gのトラネキサム酸を含む錠剤を2錠投与し得る。別の例として、1日当たりの総用量としての6グラムのトラネキサム酸は、3回に分けて、毎回、各錠剤が1gのトラネキサム酸を含む錠剤を2錠投与し得るか、又は4回に分けて、毎回、各錠剤が0.75gのトラネキサム酸を含む錠剤を2錠投与し得る。飲み込むのを容易とするために、各投与時に服用されるトラネキサム酸の用量は、複数の錠剤の服用により送達してもよい。例えば、4グラムの1日用量は、2錠の666.67mgの錠剤を1日当たり3回服用するか、又は2錠の500mg錠剤を1日当たり4回服用することにより、送達し得る。同様に、3グラムの1日用量は、2錠の550mgの錠剤を1日当たり3回服用するか、又は2錠の375mg錠剤を1日当たり4回服用することにより、送達し得る。あるいは、参照を容易とするために、1錠当たり、600mg、650mg又は700mgのトラネキサム酸の用量を用いてもよい。好ましい実施形態では、1日当たりの総用量3900mg/日は、3分割し、各投与において、2錠(ここで、各錠剤は650mgのトラネキサム酸を含む)ずつ1300mgを投与する。あるいは、各用量は、処方された量のトラネキサム酸を含む顆粒を慣習的なパッケージに入れて供されたものを服用することにより送達し得る。上記例は非限定的なものであり、上記範囲内にある別の用量についても、当業者には理解されるであろう。
あるいは、放出調節トラネキサム酸製剤は、例えばサッシェ又はカプセルに入れた、ペレット剤又は顆粒剤によって投与することができる。放出調節トラネキサム酸ペレット剤又は顆粒剤は、顆粒マトリックス又はペレットマトリックスからのトラネキサム酸の放出を調節する物質を用いて調製することができる。放出調節調製物は、さらに、顆粒剤又はペレット剤からのトラネキサム酸の放出を調節するコーティングを用いて製剤することもできる。米国特許第5,650,174号及び米国特許第5,229,135号(これらは、それぞれ、特に、参照によりその全体を本明細書に組み入れる)には、ペレット又はノンパレイル(nonpareil)製剤の製造における変形が開示されている。球体を、サッシェと称される小包又はカプセルに入れるが、それらは、所定用量の薬物を含むように重量に基づいて詰める。多粒子(multiparticulate)は、米国特許6,066,339号(これは、特に、参照によりその全体を本明細書に組み入れる)に開示されているように、放出調節コーティングでコーティングし得る。コーティングを施した多粒子は、カプセル又はサッシェに入れることができる。放出調節のための顆粒剤又はペレット剤の製剤については、「Multiparticulate Oral Drug Delivery, Ghebre-Sellassie, Ed. in Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol. 65 Marcel Dekker Inc. NY, 1994」に記載されており、また、放出調節製剤について先に引用した参考文献の関連部分に記載されている。この関連する部分は、参照により本明細書に組み入れる。
特定の実施形態では、本発明のトラネキサム酸製剤は、月経過多以外のさらなる適応症、例えば、子宮頚部円錐切除術、鼻出血、前房出血及び遺伝性血管神経性浮腫、並びに口腔外科術を受けていて血液凝固障害を患っている患者、並びにそれらを組み合わせたものなどに対して使用することができる。
好ましい実施形態についての詳細な説明
本発明は、以下の非限定的な実施例に関して、さらに理解されるであろう。本発明の別の変形態様又は実施形態についても、上記記載及び実施例に基づいて、当業者には明らかであろう。従って、上記実施形態は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
本発明は、以下の非限定的な実施例に関して、さらに理解されるであろう。本発明の別の変形態様又は実施形態についても、上記記載及び実施例に基づいて、当業者には明らかであろう。従って、上記実施形態は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1の製剤は、以下のようにして調製した。
1. 全ての成分を秤量し、使用する準備ができるまで防湿性容器内に維持する。
2. 水を秤量して容器内に入れる。ポビドンを、完全に溶解するまで中速で混合する。
3. トラネキサム酸、微晶質セルロース(MCC)、アルファ化トウモロコシデンプン及びコロイド状二酸化ケイ素を高剪断ミキサーに添加する。
4. インペラのみを用いて混合する。
5. 特定の時間さらに混合する(インペラのみ)。この混合工程中に上記ポビドン溶液を全て添加する。
6. 充分に粒状になるまで混合する(インペラ及びチョッパー)。所望の顆粒が得られた場合にのみ、次の工程に進む。必要に応じて、さらに水を添加する。
7. 含水量がNMT 1.2%になるまで、顆粒を乾燥させる。
8. #30メッシュのスクリーンを備えた振動造粒機に顆粒を通す。顆粒を秤量する。顆粒をV-ブレンダーに添加する。
9. そのV-ブレンダーにヒプロメロース(USP Methocel K3 Premium)を添加する。混合する。
10. #40メッシュのスクリーンを備えた振動造粒機に、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸を通す。ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸を上記V-ブレンダーに添加し、混合する。
11. 指定されている物理特性試験を実施する。圧縮工程に進む。
12. 錠剤を圧縮して、所望の重量とする。
実施例2の製剤は、以下のようにして調製した。
1. 全ての成分を秤量し、使用する準備ができるまで防湿性容器内に維持する。
2. 水を秤量して容器内に入れる。ポビドンを、完全に溶解するまで中速で混合する。
3. トラネキサム酸、微晶質セルロース(MCC)、アルファ化トウモロコシデンプン及びコロイド状二酸化ケイ素を高剪断ミキサーに添加する。
4. インペラのみを用いて混合する。
5. 特定の時間さらに混合する(インペラのみ)。この混合工程中に上記ポビドン溶液を全て添加する。
6. 充分に粒状になるまで混合する(インペラ及びチョッパー)。所望の顆粒が得られた場合にのみ、次の工程に進む。必要に応じて、さらに水を添加する。
7. 含水量がNMT 1.2%になるまで、顆粒を乾燥させる。
8. #30メッシュのスクリーンを備えた振動造粒機に顆粒を通す。顆粒を秤量する。顆粒をV-ブレンダーに添加する。
9. そのV-ブレンダーにクロスカルメロースナトリウム及びMCCを添加し、混合する。
10. #40メッシュのスクリーンを備えた振動造粒機に、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸を通す。ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸を上記V-ブレンダーに添加し、混合する。
11. 指定されている物理特性試験を実施する。圧縮工程に進む。
12. 錠剤を圧縮する。
12. 圧縮後、その圧縮された製剤に、水の中に入れたオパドライホワイト(Opadry White)をスプレーコーティングする。
実施例4
生物学的利用能及び生物学的同等性についての評価
実施例4では、絶食条件下にある健康な成人女性のボランティアにおいて、実施例1及び実施例2に準じて調製したトラネキサム酸錠剤についての、比較・無作為化・単回投与・4ウェイ・クロスオーバー絶対生物学的利用能(BA)及び生物学的同等性(BE)試験を実施した。その目的は、実施例2に準じて調製したトラネキサム酸の即放性参照錠剤と比較して実施例1に準じて調製した650mg放出調節錠剤の生物学的同等性を評価すること、及び認可されているファルマシア&アップジョン(Pharmacia & Upjohn)製のIV(1g)製剤「Cyklokapron(登録商標)」に対する該放出調節錠剤の生物学的利用能を求めることであった。試験設計は、無作為化4ウェイクロスオーバー比較BE及びBAの測定であった。投与した全ての経口用量は1.3gであった。28人の健康な非喫煙成人女性ボランティア被検者が、この試験に登録した。サンプルサイズは、AUCinf中の25%CVと仮定して計算した。この試験のエンドポイントは、薬物を単回投与してから36時間後までにわたって得た血清濃度-時間データに基づいた、放出調節製剤の薬物動態パラメータAUC0-t、AUQnf及びCmaxの最小二乗平均の即放性製剤に対する比率の90%信頼区間であった。さらに、当該錠剤の生物学的利用能を計算した。喫煙者、経口避妊薬の使用者、血栓塞栓症のイベント及び視覚変化(altered vision)の既往歴を有するものは、この試験から除いた。血清トラネキサム酸ピーク濃度に晒される推定時間の前、推定時間の間及び推定時間の後に、ECGモニタリングを行った。試験期間を通して、有害なイベントを捕らえ、記録した。
生物学的利用能及び生物学的同等性についての評価
実施例4では、絶食条件下にある健康な成人女性のボランティアにおいて、実施例1及び実施例2に準じて調製したトラネキサム酸錠剤についての、比較・無作為化・単回投与・4ウェイ・クロスオーバー絶対生物学的利用能(BA)及び生物学的同等性(BE)試験を実施した。その目的は、実施例2に準じて調製したトラネキサム酸の即放性参照錠剤と比較して実施例1に準じて調製した650mg放出調節錠剤の生物学的同等性を評価すること、及び認可されているファルマシア&アップジョン(Pharmacia & Upjohn)製のIV(1g)製剤「Cyklokapron(登録商標)」に対する該放出調節錠剤の生物学的利用能を求めることであった。試験設計は、無作為化4ウェイクロスオーバー比較BE及びBAの測定であった。投与した全ての経口用量は1.3gであった。28人の健康な非喫煙成人女性ボランティア被検者が、この試験に登録した。サンプルサイズは、AUCinf中の25%CVと仮定して計算した。この試験のエンドポイントは、薬物を単回投与してから36時間後までにわたって得た血清濃度-時間データに基づいた、放出調節製剤の薬物動態パラメータAUC0-t、AUQnf及びCmaxの最小二乗平均の即放性製剤に対する比率の90%信頼区間であった。さらに、当該錠剤の生物学的利用能を計算した。喫煙者、経口避妊薬の使用者、血栓塞栓症のイベント及び視覚変化(altered vision)の既往歴を有するものは、この試験から除いた。血清トラネキサム酸ピーク濃度に晒される推定時間の前、推定時間の間及び推定時間の後に、ECGモニタリングを行った。試験期間を通して、有害なイベントを捕らえ、記録した。
この試験において、被検者に、無作為に、1.3g(2×650mg錠剤)用量のトラネキサム酸を錠剤形態で単回経口投与した。その錠剤には、放出調節製剤と即放性製剤が含まれていた。被検者には、さらに、トラネキサム酸の1g-(H)ml) rV溶液(濃度 100mg/mL)も、単回投与した。
実施例4の試験についての濃度-時間プロフィールを、36時間にわたり、半対数目盛及び等分目盛りで提供し、図3及び図4に表してある。
下記表における以下の薬物動態パラメータは、実施例4の試験のために、血漿中のトラネキサム酸について計算した。
MRT: トラネキサム酸を静脈内投与したあとの平均滞留時間(MRT)は、下記式を用いて求めた:
AUMC/AUC+注入時間/2
[ここで、AUMCは、モーメント-時間曲線下面積である]
MTT: 放出調節製剤及び即放性製剤を経口投与した後、トラネキサム酸の平均通過時間(MTT)は、AUMCをAUCで除することにより計算した。
MAT: 上記2種類の製剤についての平均吸収時間(MAT)は、MTTからMRTを減じることにより得た。
AUMC/AUC+注入時間/2
[ここで、AUMCは、モーメント-時間曲線下面積である]
MTT: 放出調節製剤及び即放性製剤を経口投与した後、トラネキサム酸の平均通過時間(MTT)は、AUMCをAUCで除することにより計算した。
MAT: 上記2種類の製剤についての平均吸収時間(MAT)は、MTTからMRTを減じることにより得た。
トラネキサム酸の放出調節製剤の平均通過時間(MTT)及び平均吸収時間(MAT)は、即放性製剤に関して観察された時間よりも約30分間長かった。
実施例4の試験で使用した、それぞれ実施例2及び実施例1に準じて調製した即放性製剤及び放出調節製剤についての、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)に基づいて900mLの水中で37±0.5℃で試験した溶解の結果を、下記表に記載する。
結論:
血漿中のトラネキサム酸についてのIn変換された薬物動態パラメータ「AUC0-t」、「AUQnf」及び「Cmax」を解析することにより得られた最小二乗平均の比率と90%信頼区間は、絶食条件下における即放性製剤に対する放出調節製剤について、80〜125%(食品医薬品局(FDA)による許容範囲)の範囲内であった。
血漿中のトラネキサム酸についてのIn変換された薬物動態パラメータ「AUC0-t」、「AUQnf」及び「Cmax」を解析することにより得られた最小二乗平均の比率と90%信頼区間は、絶食条件下における即放性製剤に対する放出調節製剤について、80〜125%(食品医薬品局(FDA)による許容範囲)の範囲内であった。
放出調節錠剤と即放性錠剤の絶対生物学的利用能は、それぞれ、44.93%及び46.04%であった。
これらの結果に基づいて、放出調節トラネキサム酸錠剤及び即放性トラネキサム酸製剤は、絶食条件下において生物学的に同等である。
実施例4A (比較実施例)
比較実施例4Aにおいて、500mg即放性トラネキサム酸錠剤(商品名Cyklokapronで、カナダで認可され、販売されている)を入手し、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)に基づいて、900mLの水中で37±0.5℃で、溶出試験を行った。その溶出についての結果を、下記表10Aに記載する。
実施例5
実施例5では、単回投与薬物動態パラメータに基づいて、血清濃度の薬物動態シミュレーションを実施して、実施例4の放出調節製剤の8時間毎の投与(Q8H: 6:00AM、2:00PM、10:00PM)と8時間毎ではない1日3回投与(TID: 8:00AM、2:00PM、及び10:00PM)を比較した。その結果は、下記表11〜表14に示してある。
比較実施例4Aにおいて、500mg即放性トラネキサム酸錠剤(商品名Cyklokapronで、カナダで認可され、販売されている)を入手し、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)に基づいて、900mLの水中で37±0.5℃で、溶出試験を行った。その溶出についての結果を、下記表10Aに記載する。
実施例5では、単回投与薬物動態パラメータに基づいて、血清濃度の薬物動態シミュレーションを実施して、実施例4の放出調節製剤の8時間毎の投与(Q8H: 6:00AM、2:00PM、10:00PM)と8時間毎ではない1日3回投与(TID: 8:00AM、2:00PM、及び10:00PM)を比較した。その結果は、下記表11〜表14に示してある。
実施例6
実施例6では、実施例1に準じて調製した放出調節製剤を用いて、単回投与とそれに続く反復投与についての試験を、20人の健康な非喫煙成人女性ボランティアに対して行った。一晩の絶食後、被検者に、第1日目に、トラネキサム酸(1.3g)の単回経口投与を行った。投与前と投与後36時間まで、血液サンプルを採取した。被検者は、第2日の夕方に、もう一度トラネキサム酸(1.3g)の単回経口投与を受け、そして、第3日の朝に開始して第7日の朝の最後の投与まで、1日当たり3回の投与を受けた(8時間毎)。Cminを求めるために、第6回目の投与、第9回目の投与、第12回目の投与及び第15回目の投与(最後の投与)の前に血液サンプルを採取し、また、定常状態における薬物濃度を求めるために、最後の投与を行ってから8時間経過するまで血液サンプルを採取した。被検者は、第1日の1回目の投与の少なくとも10時間前から15回目の投与(第7日)後の8時間目の採血まで、屋内に収容した。
実施例6では、実施例1に準じて調製した放出調節製剤を用いて、単回投与とそれに続く反復投与についての試験を、20人の健康な非喫煙成人女性ボランティアに対して行った。一晩の絶食後、被検者に、第1日目に、トラネキサム酸(1.3g)の単回経口投与を行った。投与前と投与後36時間まで、血液サンプルを採取した。被検者は、第2日の夕方に、もう一度トラネキサム酸(1.3g)の単回経口投与を受け、そして、第3日の朝に開始して第7日の朝の最後の投与まで、1日当たり3回の投与を受けた(8時間毎)。Cminを求めるために、第6回目の投与、第9回目の投与、第12回目の投与及び第15回目の投与(最後の投与)の前に血液サンプルを採取し、また、定常状態における薬物濃度を求めるために、最後の投与を行ってから8時間経過するまで血液サンプルを採取した。被検者は、第1日の1回目の投与の少なくとも10時間前から15回目の投与(第7日)後の8時間目の採血まで、屋内に収容した。
トラネキサム酸は、「典型的な」治療効果を有する血漿濃度である約5〜15mg/Lにおいて、血漿タンパク質(主に、プラスミノゲン)に最小限の結合(約3%)を示す。トラネキサム酸が排出される主な経路は、腎臓の糸球体濾過である。トラネキサム酸(250又は500mg)を健康な成人に経口投与した後、投与された量の40〜70%は、24時間以内に尿中に未変化のまま排出される。IV投与(1g)後、投与量の30%は1時間以内に尿中に未変化のまま排出され、45〜55%は2〜3時間以内に排出され、90%は24時間以内に排出される。
トラネキサム酸のベータ脱離半減期は、2時間である。公表されているデータに基づけば、1.3gのトラネキサム酸を単回経口投与した後の平均Cmax及びAUC0-6薬物動態学パラメータは、2g用量で達成される平均Cmax及びAUC0-6薬物動態学パラメータの約65%であると予期される(即ち、-10mg/L及び〜40mg-h/L、それぞれ、絶食条件下でのCmax及びAUC0-6)。
しかしながら、「Pilbrant, et al., Eur. J. Clin. Pharmacol, (1981)-20:65-72」では、トラネキサム酸の薬物動態学について充分なキャラクタリゼーションはなされなかった。それは、血液サンプルが投与後6時間までしか採取されなかったからである。さらに、IV投与後の血漿濃度-時間曲線は、約7時間のガンマ脱離半減期で、3つの対数期を示した。そのような理由により、トラネキサム酸の濃度-時間プロフィールは、絶食条件下での1.3g用量の経口投与後、NONMEMを用いて36時間にわたるデータをシミュレートすることにより推定した。上記シミュレーションの結果に基づけば、AUC、Cmax、Tmax、t1/2及びFを特徴付けるために、血液サンプルは36時間まで採取するのが適切であろう。
実施例6の本試験の目的は、単回経口投与(第1日)したあとのトラネキサム酸の被験錠剤(放出調節)の薬物動態学の線形性を、絶食条件下で、毎日の(8時間毎に1.3g)用法(第2日〜第7日)と比較して、評価することであった。
実施例6の試験では、血液サンプル(1×5mL)は、第1日の第0時間(投与前)、並びに投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、14時間、24時間、28時間、32時間及び36時間で、ヘパリンリチウムを含む血液採取管の中に採取した。Cmin測定用の血液サンプルも、第4日、第5日、第6日及び第7日の、それぞれ、第6回目、第9回目、第12回目及び第15回目の投与の直前、並びに第15回目の投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、5時間、6時間及び8時間で、採取した。血漿サンプルは、遠心分離で分離させ、次いで、-20℃±10℃で凍結させ、ドイツのニューウルム(New-Ulm)にあるAAI Development Servicesでのアッセイまで凍結したままの状態で維持した。
コンパートメント薬物動態パラメータ
コンパートメント解析は、放出調節(MR)錠剤を単回経口投与及び複数回経口投与を行ったあとのトラネキサム酸データに対して実施した。複数コンパートメントモデルを構築し、トラネキサム酸の血漿濃度に適合するそれらの性能について、ADAPT-II(最尤解析(maximum likelihood analysis))を使用する標準二段階(standard two-stage)(STS)アプローチを用いて評価した。この識別過程は、赤池の情報量基準(AIC)及び目的関数の最小値(OBJ)をコンピューターで計算することにより、また、適合度の適切なグラフ表示(例えば、適合させ観察された濃度対時間)について考察することにより実施した。
コンパートメント解析は、放出調節(MR)錠剤を単回経口投与及び複数回経口投与を行ったあとのトラネキサム酸データに対して実施した。複数コンパートメントモデルを構築し、トラネキサム酸の血漿濃度に適合するそれらの性能について、ADAPT-II(最尤解析(maximum likelihood analysis))を使用する標準二段階(standard two-stage)(STS)アプローチを用いて評価した。この識別過程は、赤池の情報量基準(AIC)及び目的関数の最小値(OBJ)をコンピューターで計算することにより、また、適合度の適切なグラフ表示(例えば、適合させ観察された濃度対時間)について考察することにより実施した。
最終的な解析は、IT2S(登録商標)ソフトウェアを使用する反復二段階アプローチを用いて実施した。このソフトウェアは、個々の被検者及び集団に基づくロバストPKパラメータ推定を提供することを可能とする母集団方法論(population methodology)を使用する。関連する全ての薬物動態パラメータについて、計算し、記録した。濃度は、Wj=I/Sj 2の重み付け手順を用いてモデル化したが、その際、分散σj2は、式「σj2=(a+b*Yj)2」(ここで、a及びbは、各分散モデルの切片及び傾きである)を用いて、各観察結果に対して計算した。傾きは、各濃度に関連した残差変動(これは、個人内変動と全ての実験誤差の総和を包含する)であり、切片は、当該解析的アッセイの検出限界に関係している。全てのPKパラメータ推定は、母集団PK解析(VARUP、IT2S(登録商標))を行っている間、安定した値が見られるまで、繰り返しアップデートした。当該解析は、母集団PKパラメータの定量的推定及び血漿中のトラネキサム酸の個人内変動を含んでいた。
MR製剤に対して、トラネキサム酸の観察された血漿濃度対適合させた血漿濃度の個々のプロフィールを提供した。
統計的解析
記述統計学
個々の濃度及び薬物動態データについて、算術平均、標準偏差及び変動係数を含む記述統計データ(descriptive statistics)を計算した。さらに、第1日に関するパラメータ「AUC0-t」、「AUCinf」及び「Cmax」、並びに第7日に関するパラメータ「AUCτ」、「Cmax」及び「Cmin」について、幾何平均を計算した。
記述統計学
個々の濃度及び薬物動態データについて、算術平均、標準偏差及び変動係数を含む記述統計データ(descriptive statistics)を計算した。さらに、第1日に関するパラメータ「AUC0-t」、「AUCinf」及び「Cmax」、並びに第7日に関するパラメータ「AUCτ」、「Cmax」及び「Cmin」について、幾何平均を計算した。
時間依存薬物動態学的線形性
トラネキサム酸についてのIn変換された値に対する分散分析(ANOVA)を用いて、薬物動態パラメータAUCτ(第7日)をAUCinf(第1日)と比較した。そのANOVAモデルは、固定効果として、「グループ」、「日」(第1日(AUCinf)及び第7日(AUCτ))及び相互作用「日*グループ」を含んでいた。全ての相互作用項は、5%水準で統計的に有意ではなく、最終モデルから除いた。上記ANOVAは、最小二乗平均(LSM)、Day LSM間の差及びその差に関連した標準誤差の計算を含んでいた。上記統計的解析は、SAS(登録商標) GLM手順を用いて行った。
トラネキサム酸についてのIn変換された値に対する分散分析(ANOVA)を用いて、薬物動態パラメータAUCτ(第7日)をAUCinf(第1日)と比較した。そのANOVAモデルは、固定効果として、「グループ」、「日」(第1日(AUCinf)及び第7日(AUCτ))及び相互作用「日*グループ」を含んでいた。全ての相互作用項は、5%水準で統計的に有意ではなく、最終モデルから除いた。上記ANOVAは、最小二乗平均(LSM)、Day LSM間の差及びその差に関連した標準誤差の計算を含んでいた。上記統計的解析は、SAS(登録商標) GLM手順を用いて行った。
LSMの比は、In変換された応答の解析から得たDay LSMの累乗法を用いて計算した。該比は、AUQnf(第1日)に対する割合(%)として表した。
上記比に対する90%信頼区間は、In変換された応答についての解析から得たDay LSM間の差について得られた信頼区間を累乗することにより得た。その信頼区間は、AUQnf(第1日)に対する割合(%)として表した。
定常状態解析
-72時間、-48時間、-24時間及び0-時間の時点におけるIn変換された投与前Cmin濃度について、ヘルマート対比(Helmert's contrast)を用いて定常状態解析を行った。そのANOVAモデルは、固定効果として、「グループ」、「時間」及び相互作用「時間*グループ」を含んでいた。全ての被験者内の相関関係をモデル化するために、赤池のBurnham及びAnderson基準(AICC)を用いて、以下のものの中から適切な分散共分散行列を選択した:非体系化(unstructured)(UN)、化合物対称性(CS)、化合物対称性不均一(compound symmetry heterogeneous)(CSH)、分散成分(VC)、自己回帰(AR(1))、自己回帰不均一(autoregressive heterogeneous)(ARH(1))及び自己回帰移動平均(ARMA(1,1))。全ての相互作用項は、5%水準で統計的に有意ではなく、最終モデルから除いた。該ANOVAは、同様に、各投与前Cmin濃度に対する最小二乗平均(LSM)の計算を含んでいた。各時点がその後の時点の平均と比較されるように、ヘルマート対比を構築した。4つの投与前濃度の時点に関連して、3つの対照が存在している。それらは、下記表17に記載してある。
-72時間、-48時間、-24時間及び0-時間の時点におけるIn変換された投与前Cmin濃度について、ヘルマート対比(Helmert's contrast)を用いて定常状態解析を行った。そのANOVAモデルは、固定効果として、「グループ」、「時間」及び相互作用「時間*グループ」を含んでいた。全ての被験者内の相関関係をモデル化するために、赤池のBurnham及びAnderson基準(AICC)を用いて、以下のものの中から適切な分散共分散行列を選択した:非体系化(unstructured)(UN)、化合物対称性(CS)、化合物対称性不均一(compound symmetry heterogeneous)(CSH)、分散成分(VC)、自己回帰(AR(1))、自己回帰不均一(autoregressive heterogeneous)(ARH(1))及び自己回帰移動平均(ARMA(1,1))。全ての相互作用項は、5%水準で統計的に有意ではなく、最終モデルから除いた。該ANOVAは、同様に、各投与前Cmin濃度に対する最小二乗平均(LSM)の計算を含んでいた。各時点がその後の時点の平均と比較されるように、ヘルマート対比を構築した。4つの投与前濃度の時点に関連して、3つの対照が存在している。それらは、下記表17に記載してある。
上記統計的解析は、SAS(登録商標) Mixed手順を用いて行った。
薬物動態学的結果についての検討
時間依存薬物動態学的線形性
該ANOVAモデルは、固定効果として、「グループ」、「日」(第1日(AUCinf)及び第7日(AUCτ))及び相互作用「日*グループ」を含んでいた。全ての相互作用項は、5%水準で統計的に有意ではなく、最終モデルから除いた。ANOVAモデルが固定効果として「グループ」、「日」(第1日(AUCinf)及び第7日(AUCτ))及び相互作用「グループ*日」を含み且つ変量効果として「被検者」を「グループ」内にネストさせた以外は、上記と同じアプローチを用いて、当該製剤について薬物動態学的線形性を計算した。
時間依存薬物動態学的線形性
該ANOVAモデルは、固定効果として、「グループ」、「日」(第1日(AUCinf)及び第7日(AUCτ))及び相互作用「日*グループ」を含んでいた。全ての相互作用項は、5%水準で統計的に有意ではなく、最終モデルから除いた。ANOVAモデルが固定効果として「グループ」、「日」(第1日(AUCinf)及び第7日(AUCτ))及び相互作用「グループ*日」を含み且つ変量効果として「被検者」を「グループ」内にネストさせた以外は、上記と同じアプローチを用いて、当該製剤について薬物動態学的線形性を計算した。
薬物動態学的線形性についての上記結果は、AUCinf(第1日)に対するAUCτ(第7日)の最小二乗平均の比及びMR製剤に対する90%信頼区間が、80〜125%の許容される範囲内に入っていたことを示している。これらの結果に基づいて、650mgトラネキサム酸放出調節錠剤は、絶食条件下での1.3g用量の反復投与(7日間)後に、線形の薬物動態を示した。
定常状態解析
定常状態解析に関し、全ての被験者内の相関関係をモデル化するために、CS分散共分散行列を選択した。全体的に、相互作用項(即ち、時間*グループ)は、統計的に有意ではなく、最終的なANOVAモデルから除外した。各製剤について、ANOVAモデルが固定効果として「グループ」、「時間」及び相互作用「時間*グループ」を含んでいた以外は、上記と同じアプローチを用いた。
定常状態解析に関し、全ての被験者内の相関関係をモデル化するために、CS分散共分散行列を選択した。全体的に、相互作用項(即ち、時間*グループ)は、統計的に有意ではなく、最終的なANOVAモデルから除外した。各製剤について、ANOVAモデルが固定効果として「グループ」、「時間」及び相互作用「時間*グループ」を含んでいた以外は、上記と同じアプローチを用いた。
定常状態解析に関するLSMの結果についての概要を、下記表20Aに要約する。
定常状態解析に関する統計的比較についての概要を、下記表20Bに要約する。
上記結果に基づいて、最初の対比についてのp値は5%αエラーで統計的に有意ではなかったので、トラネキサム酸の定常状態血漿濃度は、第4日(-72-時間)に達した。ここで留意すべきことは、第二の比較 [第5日の投与前と(第6日と第7日の平均)の比較] が統計的に有意であると認められたことである。
第6日と第7日に比較した第5日の投与前のLSM間で観察されたトラネキサム酸の投与前血漿濃度における最も大きな差は、10%未満であった。これは、臨床的に関連性があるとは考えられない。さらに、最後の対比は統計的に有意ではなく、第6日及び第7日の投与前のLSM間で観察された差は、2%未満であった。
コンパートメント薬物動態解析
コンパートメント法で計算したMR製剤の平均見掛け経口クリアランス(CL/F)は、17.7L/時間(295mL/分)であった。上記文献で報告されている以前のデータに基づいて、Pilbrantらのグループは、尿中に回収されるトラネキサム酸が投与された量の95%を超えるということを確認した。MR製剤の生物学的利用能(平均F:44.9%;表5を参照されたい)を考慮すれば、トラネキサム酸の全身クリアランス(CL)(295mL/分×0.449=123mL/分)は、健康な被検者(125mL/分)5における糸球体濾過速度に近いであろう。
コンパートメント法で計算したMR製剤の平均見掛け経口クリアランス(CL/F)は、17.7L/時間(295mL/分)であった。上記文献で報告されている以前のデータに基づいて、Pilbrantらのグループは、尿中に回収されるトラネキサム酸が投与された量の95%を超えるということを確認した。MR製剤の生物学的利用能(平均F:44.9%;表5を参照されたい)を考慮すれば、トラネキサム酸の全身クリアランス(CL)(295mL/分×0.449=123mL/分)は、健康な被検者(125mL/分)5における糸球体濾過速度に近いであろう。
コンパートメント法を用いた場合、MR製剤についてのT1/2γ平均は、16.6時間であった。最終消失半減期について同様の値が、文献で既に報告されている。Pilbrant A., et al., Eur. J. Clin. Pharmacol (1981), 20: 65-72。
1.3gのMR製剤の単回経口投与後、28時間、32時間及び36時間で観察されたトラネキサム酸の平均血漿濃度は、それぞれ、0.19724mcg/mL、0.15672mcg/mL、及び0.13624mcg/mLであった。トラネキサム酸の有効血中濃度域(therapeutic window)(5〜15mcg/mL)及びそれらの時点で観察された極めて低い血漿濃度レベルを考慮すれば、血漿濃度のゆっくりとした低下を特徴付ける最終消失半減期(T1/2γ)は、薬物の投与頻度において臨床上重要な役割は果たしていないはずである。
薬物動態学的結論
薬物動態学的線形性についての上記結果は、AUCinf(第1日)に対するAUCτ(第7日)の最小二乗平均の比及びMR製剤に対する90%信頼区間が、80〜125%の許容される範囲内に入っていたことを示している。これらの結果に基づいて、650mgトラネキサム酸放出調節錠剤は、絶食条件下での1.3g用量の反復投与(7日間)後に、線形の薬物動態を示した。
薬物動態学的線形性についての上記結果は、AUCinf(第1日)に対するAUCτ(第7日)の最小二乗平均の比及びMR製剤に対する90%信頼区間が、80〜125%の許容される範囲内に入っていたことを示している。これらの結果に基づいて、650mgトラネキサム酸放出調節錠剤は、絶食条件下での1.3g用量の反復投与(7日間)後に、線形の薬物動態を示した。
最初の対比についてのp値が5%αエラーで統計的に有意ではなかったので、放出調節錠剤に関するトラネキサム酸の定常状態血漿濃度は、第4日(-72-時間)に達した。
線形消失(linear elimination)を示す3種類のコンパートメントPKモデルを用いて、トラネキサム酸の薬物動態について適切に記述した。MR製剤に関するトラネキサム酸の単回投与(第1日)データの吸収動力学については、吸収のミックスオーダー速度定数(mixed-order rate constant)を用いて、最前の記載をした。
結び
本明細書に開示されている本発明について、特定の実施形態及びその応用を用いて記述してきたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、それらに多くの修正及び変化を加えることができるであろう。そのような修正は、添付した「特許請求の範囲」の範囲内にあるものと理解される。
本明細書に開示されている本発明について、特定の実施形態及びその応用を用いて記述してきたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、それらに多くの修正及び変化を加えることができるであろう。そのような修正は、添付した「特許請求の範囲」の範囲内にあるものと理解される。
Claims (45)
- トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質とを含む放出調節経口製剤であって、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の調節された放出をもたらすものであり、該製剤は、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約45分で約70重量%未満のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約120分で約100重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有する、前記放出調節経口製剤。
- 米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約15分で約0%〜約40重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約30分で約20%〜約60重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約45分で約40%〜約65重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約60分で約50%〜約95重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出され、約90分で少なくとも約60重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、15分毎に約10%〜約25重量%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を放出する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに、1分毎に約1%のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を放出する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 約1300mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を該放出調節経口製剤の1つ以上に含ませてヒトに単回経口投与した後、約9〜約14.5mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 約1300mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を該放出調節経口製剤の1つ以上に含ませてヒトに定常状態経口投与した後、約5〜約25mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 約1300mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を該放出調節経口製剤の1つ以上に含ませてヒトに定常状態経口投与した後、約10〜約20mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 該放出調節経口製剤の1つ以上をヒトに経口投与した後、約1.0〜約5.5時間の最大血漿濃度に達するまでの平均時間(Tmax)を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 患者集団全員に経口投与されたときに、7.70±0.72時間のトラネキサム酸の平均通過時間を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 患者集団全員に経口投与されたときに、4.18±0.70時間のトラネキサム酸の平均吸収時間を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 同量のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含み、且つ米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃でインビトロで測定したときに約45分以内にトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の全てを放出する即放性経口製剤を前記放出調節製剤と同じ患者集団又は異なった患者集団の全員に投与した場合と比較して、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、便秘、痙攣、鼓張及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の副作用を低減させる、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 患者集団全員に投与されたときに、前記即放性製剤よりも少なくとも約20分間長いトラネキサム酸の平均通過時間を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 患者集団全員に投与されたときに、前記即放性製剤よりも少なくとも約20分間長いトラネキサム酸の平均吸収時間を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 患者集団の全員に対して投与された場合、5分以内で静脈内投与された治療上等価量のトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と比較して、頭痛、悪心又はそれらの組合せを低減させる、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が約375mg〜約1gの量で含まれている、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩が約650mgの量で含まれている、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- 1つ以上の錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、ペレット剤、糖衣錠剤、トローチ剤、ノンパレイル剤(non-pareil)及び丸剤からなる群から選択される、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- ヒトに投与されたときに、40%を超えるトラネキサム酸の生物学的利用能を提供する、請求項1に記載の放出調節経口製剤。
- トラネキサム酸による治療を必要とするヒト患者を治療する方法であって、月経過多症、子宮頚部円錐切除術、鼻出血、前房出血若しくは遺伝性血管神経性浮腫を患っているヒト患者、口腔外科術を受けていて血液凝固障害を患っている患者、又はそれらを組み合わせたものを患っている患者に、請求項1に記載の少なくとも1つの経口製剤を投与することを含む、前記方法。
- トラネキサム酸による治療を必要とする患者を治療する方法であって、約1300mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を該トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質を含む少なくとも1つの経口製剤として該患者に経口投与することを含み、該放出調節物質が、ヒトへの単回経口投与後、約5〜約17.5mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、前記方法。
- 前記少なくとも1つの経口製剤が、ヒトへの単回経口投与後、約9〜約14.5mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項20に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの経口製剤が、ヒトへの定常状態経口投与後、約5〜約25mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項20に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの経口製剤が、ヒトへの定常状態経口投与後、約10〜約20mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項20に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの経口製剤が、ヒトへの経口投与後、約1.0〜約5.5時間の最大血漿濃度に達するまでの平均時間(Tmax)を提供する、請求項20に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの経口製剤が、2つの経口製剤である、請求項20に記載の方法。
- 放出調節製剤の2つ又は3つの単位製剤を含むトラネキサム酸の用量であって、該放出調節製剤の各単位製剤が、約585〜約715mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節物質とを含み、該放出調節物質は、該単位製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように該製剤からのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出をもたらすものである、前記用量。
- 各単位製剤が約650mgのトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩を含む、請求項26に記載の用量。
- 前記放出調節物質が、ビニルポリマー、ビニルコポリマーのフタル酸誘導体、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、酢酸セルロース、酢酸ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、酢酸アルキルセルロース、及びそれらの部分エステル、低級アルキルアクリル酸とアクリル酸低級アルキルのポリマー及びコポリマー、及びそれらの部分エステル、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項26に記載の用量。
- 前記放出調節物質が、ゲル形成性ポリマー、水和可能ポリマー、水溶性ポリマー、水膨潤性ポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項26に記載の用量。
- 前記放出調節物質が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項26に記載の用量。
- ヒトへの単回経口投与後、約5〜約17.5mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項26に記載の用量。
- ヒトへの単回経口投与後、約9.0〜約14.5mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項26に記載の用量。
- ヒトへの定常状態経口投与後、約5〜約25mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項26に記載の用量。
- ヒトへの定常状態経口投与後、約10mcg/mL〜約20mcg/mLのトラネキサム酸の平均最大血漿濃度(Cmax)を提供する、請求項26に記載の用量。
- ヒトへの経口投与後、約1.0〜約5.5時間のトラネキサム酸の最大血漿濃度に達するまでの平均時間(Tmax)を提供する、請求項26に記載の用量。
- 重度の月経出血を患っているヒト患者への経口投与後、月経周期当たり経血量を約20%〜100%低減させる、請求項26に記載の用量。
- 前記単位製剤が、米国薬局方(USP 27)II型装置パドル法(50RPM)により900mLの水中で37±0.5℃で測定したときに、約45分で約70重量%未満のトラネキサム酸が放出される、トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩のインビトロ溶出率を有する、請求項26に記載の用量。
- トラネキサム酸と放出調節物質を含む放出調節経口製剤であって、該放出調節物質は、該製剤が1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように該製剤からのトラネキサム酸の放出を調節するものであり、患者集団全員に投与されたときに、即放性経口製剤中の同量のトラネキサム酸と比較して、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、便秘、痙攣、鼓張及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の副作用を低減させる、前記放出調節経口製剤。
- 前記副作用が、頭痛又は悪心である、請求項38に記載の放出調節経口製剤。
- 前記即放性製剤よりも少なくとも約20分長いトラネキサム酸の平均通過時間を提供する、請求項38に記載の放出調節経口製剤。
- 前記即放性製剤よりも少なくとも約20分長いトラネキサム酸の平均吸収時間を提供する、請求項38に記載の放出調節経口製剤。
- トラネキサム酸又はその製薬上許容される塩と放出調節賦形剤を含む放出調節経口製剤であって、1日当たり2回又は3回の投与に適したものであるように、即放性経口製剤よりも遅く且つ放出制御経口製剤よりも速いトラネキサム酸又はその製薬上許容される塩の放出を提供する、前記放出調節経口製剤。
- トラネキサム酸が約375mg〜約1gの量で含まれている、請求項42に記載の放出調節経口製剤。
- 前記放出調節物質が、ビニルポリマー、ビニルコポリマーのフタル酸誘導体、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、酢酸セルロース、酢酸ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、酢酸アルキルセルロース、及びそれらの部分エステル、低級アルキルアクリル酸とアクリル酸低級アルキルのポリマー及びコポリマー、及びそれらの部分エステル、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項42に記載の放出調節経口製剤。
- 前記放出調節物質が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項42に記載の放出調節経口製剤。
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