JP2014193230A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シートカバー5と、前記シートカバー5の一部が一体となるように発泡されるシートパッド4と、を備える乗物用シートであって、前記シートカバー5の一部には、シートパッド4がシートカバー5と一体化することを抑制する遮断部6が備えられている構成とする。
【選択図】図3
Description
また、シートパッドに一体化させた補強材を設けることも知られている(特許文献1)。
特許文献1に記載されているように、当該補強材は、クッションの変形を抑制することで、しっかりとした着座感を与えることを目的として配置されている。
先ず、第1の発明は、シートカバーと、前記シートカバーの一部が一体となるように発泡されるシートパッドと、を備える乗物用シートであって、前記シートカバーの一部には、シートパッドがシートカバーと一体化することを抑制する遮断部が備えられていることを特徴とする。
本実施の形態の乗物用シート1は、少なくともシートカバー5の一部とシートパッド4が一体成形されているものである。つまり、シートカバー5とシートパッド4が別体のものではないし、別体に設けたシートカバー5とシートパッド4を接着剤で貼り合わせたものでもない。本実施の形態においては、シートカバー5上に配置したウレタン原液を発泡固化させることで、シートカバー5と一体化したシートパッド4を成形したものである。
本実施の形態のシートカバー5は着座面を形成する表皮51と、裏基布53と、ラミネート52とを備えている。前記ラミネート52は、前記表皮51と前記裏基布53との間に位置し、前記表皮51と前記裏基布53を接続するために使用される。
また、シートカバー5は、主として乗員が接することになり乗物用シート1の中心軸Cを跨ぐように位置する主面部55と、前記主面部55と接続され主面部55に対して張り出すように位置することになる傾斜サイド部56と、前記傾斜サイド部56と接続しシートの側面を覆う側面部57とを備える構成である(図2参照)。また、主面部55、傾斜サイド部56及び側面部57のうち、隣り合うもの同士は縫製されて接続されている。
シートカバー5の裏基布53側に遮断部6が設けられる。本実施の形態においては、遮断部6を形成するために、略長方形状の中央に窓部621を備えた布部材62の両端部をシートカバー5に縫い合わせている。シートカバー5と布部材62とは、長手方向の両端に開口を有する袋状の空間部73を形成することとなるため、当該空間部73にシートパッドよりも硬質な板状のフェルト材61を挿入することで、遮断部6を形成する(図3、4参照)。つまり、本実施の形態においては、布部材62とフェルト材61の各々が遮断部6の構成要素である。なお、布部材62とフェルト材61は互いに接着させていないが、発泡ウレタンはその性質上、布部材62とフェルト材61との間に生じるような小さな隙間には入ることができない。よって、布部材62とフェルト材61が配置されているだけでも、その部分において、シートパッド4とシートカバー5が一体化することを抑制することが可能となる。なお、布部材62とフェルト材61を接着させても良いことは、勿論である。また、当該部分における裏基布53は、低通気性のスラブ材を採用している。低通気性のスラブ材は目が細かいことから、その内部に発泡ウレタンが進入し含浸されることは無い。つまり、シートカバー5に低通気性のスラブ材が存在することにより、シートカバー5とシートパッド4が一体化することを更に抑制している。また、フェルト材61とシートカバー5についても接着状態とはなっておらず、傾斜サイド部56のシートカバー5と、フェルト材61との位置が相対的に変位可能となっている。
なお、本実施の形態における遮断部6は、布部材62とシートカバー5との間に設けた空間部73に対してフェルト材61を挿入して形成する。この際、フェルト材61は図4に示した2点鎖線の位置まで挿入し、窓部621を覆うことができるように配置する。布部材62に設けた窓部621は、細長いフェルト材61を袋状の空間部73に挿入しやすくするために、設けたものであるため、必須のものではない。しかし、フェルト材61は鉄板ほどの剛性があるわけでは無いため、空間部73に挿入しようとしてもフェルト材61が予定通りに挿入できない可能性がある。したがって、フェルト材61の挿入を容易にするために窓部621を設けるほうが好ましい。また、窓部621を設けた状態であると、空間部73に挿入したフェルト材61とウレタン材が接触するため、フェルト材61内にウレタン材が含浸しやすく、フェルト材61が位置する部分における剛性度を高めることが可能となる。
また、シートカバー5と布部材62とを縫い合わせることにより設ける空間部73はフェルト材61よりも若干大きいだけの空間であるため、ウレタン材が流動することに伴ってフェルト材61が大きく移動するような事象は発生せず、略所望の位置においてフェルト材61をシートパッド4と一体化させることが可能である。
上記したような遮断部6を有するシートカバー5の裏基布53側に対して、ウレタン原液を流し込み、発泡固化することにより、部分的にシートパッド4とシートカバー5が一体化することを回避しながら、シートパッド4とシートカバー5全体として一体化した成形品とすることが可能となる。
当該変形例のほうが、実施の形態に比べて作業量が少ないという利点がある。一方、実施の形態のように、シートカバー5と布部材62により袋形状の空間部73を形成し、その内部にシートパッド4よりも剛性度の高い板状の部材を挿入するようにすれば、縫製できない板状部材なども遮断部6の構成要素とすることができる。また、各乗物用シート1を製造する過程において、布部材62をシートカバー5に縫い付ける作業までは共通化し、乗物用シート1の種類にあわせて空間部73に所望の板状部材を挿入するようにすることができる。よって、乗物用シート1毎に異なる態様の遮断部6とすることが容易となる。
また、布部材62だけでも皺の発生は抑制できるが、フェルト材61が存在しているほうが剛性度が高まるため、より好ましい。
ここでは、下型102、中型103、上型101を備えた発泡型10を用いてウレタンを発泡成形させる。
下型102は、シートカバー5をその内面に沿うように配置する金型であり、ウレタン原液71が投入される器状の金型である。
中型103は、下型102に配置したシートカバー5を下型102とともに挟み込むことで、固定する役割を担うものである。当該中型103は中央部分に開口部を備えており、枠だけが設けられたような構造である。当該開口部よりウレタン原液71が投入可能となっている。また、当該開口部は上型101により塞がれることになる部分でもある。
上型101は、中型103に設けられた開口部を塞ぐために使用される金型であり、シートパッド4の裏面側(シートカバー5が位置する側とは反対側)の形状を主として定める型である。
シートカバー5を下型102にセットした後に、枠形状の下型102の縁に沿うように中型103を重ねる。下型102の縁に沿うように中型103を重ねることにより、シートカバー5が下型102に対してしっかりと固定される(図6参照)。これにより、以後の作業中にシートカバー5がずれてしまうことを防ぐことが可能となる。
この状態において、2液混合したウレタン原液71をシートカバー5上に注入する(図6参照)。ウレタン源液を注入する際には、作業者から隔離した状態で注入するため、実際は、作業者が押しボタンを押すことにより、発泡型10が移動し、移動した先でウレタン原液71が注入される。
なお、下型102と中型103によりシートカバー5が固定されることにより、発泡型10が移動した際においても、シートカバー5がずれることを抑制することが可能となっている。
適量のウレタン原液71をシートカバー5上に注入した後、上型101を閉める(図7参照)。
上型101により中型103の開口部が塞がれた状態でウレタン原液71が発泡するように加熱し、化学反応させる。ウレタン原液71を発泡させて膨張させることにより発泡型10内にウレタンが充填され、固化される(図8参照)。
ウレタンを発泡型10内に充填させた後、冷却し、上型101をはずす。その後、中型103を外し、更には、ウレタンの成形体を発泡型10から抜き出す(図9参照)。
上記した一連の工程により、シートカバー5とシートパッド4とが一体化したシートクッション2が出来上がる。
当該シートクッション2を通常通り、シートフレームに組み付け、シートバック3などのその他の部位を装着することで、乗物用シート1が完成する。
また、シートカバー5のうち、シートカバー5の主面部55と側面部57はシートパッド4と一体化させる一方、傾斜サイド部56については、シートカバー5とシートパッド4を一体化させていない構成としている。これにより、乗員が車両に乗り降りする際に押圧しがちな傾斜サイド部56において、大きな皺が発生することを抑制することができる。
また、遮断部6の構成要素として、シートパッド4を構成するパッド材よりも硬質な板状のフェルト材61を使用しているので、当該フェルト材61を配置した部分において、過度な変形が生じにくくなる。
また、本実施の形態のフェルト材61は、発泡ウレタンを含浸して一体化することが可能なものであるため、フェルト材61だけの剛性よりもさらに剛性度が高められた状態となる。
また、フェルト材61がシートパッド4と一体化していることから、フェルト材61がシートパッド4に対して移動することが無く、シートパッド4の形状を保持しやすい。
また、フェルト材61をシートカバー5と布部材62で形成したポケット状の空間部73に挿入する構成であることから、遮断部6の構成要素であるフェルト材61を都度変更することが容易となる。よって、乗物用シート1の種類にあわせて、フェルト材61を選択するという行為だけで、所望の構成とすることができ、製造時の負担を軽減することが可能となる。
例えば、本実施の形態においては、窓部を備えた布部材に対してフェルト材で蓋をするようにして、シートカバーとシートパッドが一体化しない部分を設けているが、すでにフェルト材が一体化した布部材をシートカバーに対して縫い付けることも可能である。
また、遮断部を構成するために布などをシートカバーに縫い合わせる必要性は無く、例えば、遮断部を構成する布が特定の位置に概略固定されるように、当該布の縁部をシートカバーに接着固定することも可能である。なお、この場合、遮断部を構成する布の片面全域をシートカバーに接着しては、シートパッドとシートカバーとの間に非接着な部分を形成することができないことは明らかであるが、遮断部を形成することによりシートパッドとシートカバーとが相対移動可能な構成を形成するという本発明の趣旨からして、そのような接着をすべきではない。
また、シートクッションだけでは無く、シートバックやヘッドレストなどにも適用可能である。
また、シートパッドはウレタン材を使用して成形する必要性は無く、公知の発泡樹脂を採用することが可能である。
また、シートカバーとシートパッドとを一体化しないようにする部位は、傾斜サイド部だけに限らず、所望の部位に設けることが可能である。ただし、視認しやすく、荷重がかかりやすい部位に採用するほうが、当該発明の利益を享受しやすい。
また、遮断部の構成要素である板状部材には、ヒータ機能を持たせることも可能である。当該構成であると、板状部材がヒータを固定する基材としての役割とシートパッド表面の剛性を高める役割の双方を担うことになり、有益である。
また、シートカバーは全ての部分において、表皮とラミネートと裏基布とからなる3層構造とする必要性は無く、例えば、傾斜サイド部を構成する部分に関しては、更に、薄いパッドなどを積層して4層以上の構成とすることも可能である。また、単層や2層とすることも可能である。
また、本実施の形態のシートカバーにおいては、主面部と傾斜サイド部は別体のものを一体化して形成しているが、主面部と傾斜サイド部が1枚のシートにより形成されているものとしても良く、そのような場合においては、1枚の布状体において、主に乗員が接することになり乗物用シートの中心軸を跨ぐように位置する部分が主面部であり、そこから斜め方向に張り出している部分が傾斜サイド部である。同様に、傾斜サイド部と側面部が一枚の布状体で形成されていても良い。
また、乗物としては、車両であることに限らず、空中を飛行する乗物や、海面や海中などを移動する乗物としてもよい。
2 シートクッション
3 シートバック
4 シートパッド
5 シートカバー
6 遮断部
10 発泡型
51 表皮
52 ラミネート
53 裏基布
71 ウレタン原液
73 空間部
101 上型
102 下型
103 中型
621 窓部
C 中心軸
Claims (3)
- シートカバーと、前記シートカバーの一部が一体となるように発泡されるシートパッドと、を備える乗物用シートであって、
前記シートカバーの一部には、シートパッドがシートカバーと一体化することを抑制する遮断部が備えられていることを特徴とする乗物用シート。 - 請求項1に記載の乗物用シートであって、
前記遮断部には、シートパッドよりも硬質な板状部材を含んでいることを特徴とする乗物用シート。 - 請求項1又は2に記載の乗物用シートであって、
前記遮断部はシートパッドの傾斜サイド部に設けられていることを特徴とする乗物用シート。
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