以下、この発明を実施するための形態(単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1から図6は、実施の形態1に係る送風管及びそれを用いた送風装置及び画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の概要を示し、図2はその画像形成装置に用いられ、その送風管又は送風装置により空気を突きつけるべき長尺な対象構造物の一例である帯電装置を示し、図3はその送風管又は送風装置の概要を示し、図4は図3の送風装置を上方から見たときの状態を示し、図5は図3の送風装置(送風管)におけるQ−Q線に沿う断面の状態を示し、図6は図3の送風装置を下方(出口)から見たときの状態を示している。図中の符号X,Y,Zで示す矢印方向は、各図面において想定した3次元空間の幅、高さ及び奥行の方向を示す直交座標軸である。
<画像形成装置>
画像形成装置1は、図1に示すように、支持フレーム、外装カバー等で構成される筐体10の内部空間に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して被記録材の一例としての記録用紙9に転写する作像ユニット20と、作像ユニット20に供給する記録用紙9を収容するとともに搬送する給紙装置30と、作像ユニット20で形成されたトナー像を記録用紙9に定着する定着装置35を設置している。
上記作像ユニット20は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものであり、矢印Aで示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム21と、感光体ドラム21の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置4と、帯電後の感光体ドラム21の表面に外部から入力される画像情報(信号)に基づく光(矢付き点線)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像装置24と、そのトナー像を用紙9に転写する転写装置25と、転写後の感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置26とで主に構成されている。
このうち帯電装置4としては、コロナ放電器が使用されている。このコロナ放電器からなる帯電装置4は、図2等に示すように、いわゆるスコロトロン型のコロナ放電器で構成されている。
すなわち、帯電装置4は、一部が開口した長方形状の天板40aとその天板40aの長手方向Bに沿って延びる長辺部から下方に垂れ下がった状態の側板40b,40cを有した外観形状からなるシールドケース(覆い部材)40と、シールドケース40の長手方向Bにおける両端部(短辺部)にそれぞれ取り付けられる図示しない2つの端部支持体と、この2つの端部支持体の間に、シールドケース40の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で取り付けられる2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bと、シールドケース40の下部開口部に、その下部開口部を覆ってコロナ放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に存在した状態で取り付けられる格子状のグリッド電極(電界調整板)42とを備えている。図4等に示す符号40dは、2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bが配置される空間を仕切る仕切り板である。
また、帯電装置4は、コロナ放電ワイヤ41(41A,41B)が、感光体ドラム21の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム21の回転軸の方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態になるよう配置される。また、帯電装置4は、画像形成時になると、図示しない電源装置から放電ワイヤ41(と感光体ドラム21との間)に帯電用の電圧が印加されるようになっている。
さらに、帯電装置4は、その使用に伴ってコロナ放電ワイヤ41やグリッド電極42に、用紙9の紙粉、コロナ放電により生成される放電生成物、トナーの外添剤等の物質(不要物)が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなって帯電むら等の帯電不良が発生することがある。このため、帯電装置4には、放電ワイヤ41及びグリッド電極42に不要物が付着することを防止又は抑制するため放電ワイヤ41とグリッド電極42に対して空気を突きつけるための送風装置5が併設されている。また、帯電装置4のシールドケース40の上面40aには、送風装置5からの空気を取り込むための開口部43が形成されている。開口部43は、その開口形状が長方形になるよう形成されている。なお、送風装置5の詳細については後述する。
給紙装置30は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の記録用紙9を積み重ねた状態で収容する、トレイ形式、カセット形式等の用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される記録用紙9を1枚ずつ搬送路にむけて送り出す送出装置32とを備え、給紙の時期が到来すると、用紙9を1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体31は、利用態様に応じて複数装備される。図1における矢付きの一点鎖線は、記録用紙9が主に搬送されて通過する搬送路を示す。この記録用紙の搬送路は、複数の用紙搬送ロール対33a,33bや、図示しない搬送ガイド部材等で構成されている。
定着装置35は、記録用紙9が通過する導入口及び排出口が形成された筐体36の内部に、表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体37と、この加熱回転体37の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体38とを備えている。この定着装置35は、その加熱回転体37と加圧回転体38との間に形成される定着処理部にトナー像が転写された後の記録用紙9を導入して通過させることで定着を行う。
この画像形成装置1による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、記録用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
画像形成装置1では、その制御装置等が画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット20において、回転始動する感光体ドラム21の周面が帯電装置4により所定の極性及び電位に帯電される。このとき、帯電装置4では、コロナ放電ワイヤ41に帯電用の電圧が印加されて放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生させ、これにより感光体ドラム21の周面を所要の電位に帯電させる。この際、感光体ドラム21の帯電電位はグリッド電極42により調整される。
続いて、帯電された感光体ドラム21の周面に対して、露光装置23から画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。しかる後、感光体ドラム21に形成された静電潜像が、現像装置24を通過する際に、その現像ロール24aから供給される所要の極性に帯電された状態のトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
次いで、感光体ドラム21上に形成されたトナー像は、感光体ドラム21の回転により転写装置25と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置30から搬送路を通して供給される記録用紙9に対して転写装置25により転写される。この転写後の各感光体ドラム21の周面は、清掃装置26で清掃される。
続いて、作像ユニット20においてトナー像が転写された記録用紙9は、感光体ドラム21から剥離された後に定着装置35に導入されるように搬送され、定着装置35における加熱回転体37と加圧回転体38との間の定着処理部を通過する際に加熱及び加圧されてそのトナー像が溶融して記録用紙9に定着される。この定着が終了した後の記録用紙9は、定着装置35から排出されて筐体10の外部等に形成される図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
以上により、1枚の記録用紙9の片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作の指示がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
<送風装置>
次に、送風装置5について説明する。
送風装置5は、図1や図3等に示すように、空気を送る回転ファンを有する送風機50と、その送風機50から送られる空気を取り入れて送風対象の帯電装置4まで導いて排出させる送風ダクト51とを備えている。
送風機50は、送風ダクト51に所要の風量の空気を送るためのものであり、例えば輻流型の送風ファンが使用され、所要の風量の空気を送るように駆動制御される。また、送風ダクト51は、図3〜図6に示すように、送風機50から送られる空気を取り入れる入口52と、その入口52から取り入れた空気を吹きつけるべき長尺な帯電装置4の長手方向Bの部分(シールドケース40の上面40a)と向き合う状態で配置されてその空気を長手方向Bと直交する方向に沿って流れるように排出させる出口53と、その入口52と出口53の間をつないで空気を流すための通路空間54aが形成された通路部(本体部)54とを有した形状のものである。
送風ダクト51の通路部54は、導入通路部54Aと第1曲げ通路部54Bと第2曲げ通路部54Cで構成されている。導入通路部54Aは、その一端部が入口52を設けて開口され、その他端部が閉鎖されており、全体が出口53の長手方向(帯電装置4の長手方向B)に沿って直線状に延びるよう形成された角筒形状の通路部である。第1曲げ通路部54Bは、導入通路部54Aの他端部寄りの部位(途中)から通路空間の幅を広げて通路断面積が拡大するようにほぼ水平方向(座標軸Xとほぼ平行する方向)においてほぼ直角に曲げられて延びるように形成された角筒形状の曲げ通路部である。第2曲げ通路部54Cは、第1曲げ通路部54Bの一端部から通路空間の幅が同じ状態のままで下方に向かう鉛直方向(座標軸Yとほぼ平行する方向)に曲げられて帯電装置4に向けて延びるように形成された曲げ通路部である。第2曲げ通路部54Cの終端部には、その終端部の通路空間の断面形状よりも少し狭い開口形状からなる出口53が形成されている(ただし長方形状の長手方向の長さはほぼ同じである。)。また、第1曲げ通路部54B及び第2曲げ通路部54Cの通路空間54aはいずれも、その幅(長手方向Bに沿う寸法)がほぼ同じ寸法に設定されている。
送風ダクト51の入口52は、導入通路部54Aの一端部において開口形状がほぼ正方形になるよう形成されている(図3、図5)。この入口52には、送風機50との間を接続して送風機50からの空気を送風ダクト51の入口52までに送るための接続ダクト55が取り付けられている(図3、図4)。一方、送風ダクト51の出口53は、その開口形状が帯電装置4の長手方向Bの部分と平行する長尺な開口形状(例えば長方形)になるよう形成されている。このため、送風ダクト51は、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている関係になっている。なお、入口52と出口53が同じ形状である場合も、その開口面積が互いに異なるよう形成されているとき(相似形状であるとき)には、互いに異なる開口形状で形成されている関係に含まれる。また、入口52は、図7等に示されるように、長尺な開口形状からなる出口53の長手方向(B)における一方の端部53aよりも外側に所要の寸法Gだけ突出して存在する状態で形成されている。
ここで、この開口形状が互いに異なる入口52と出口53を有する送風ダクト51では、その入口52と出口53の間をつなぐ通路部54に通路空間54aの断面形状が途中で変更される部分が存在する。ちなみに、この送風ダクト51では、通路部54(の通路空間54a)に曲げられた部分(第1曲げ通路部54B)が存在することにより、導入通路部54Aのほぼ正方形からなる通路空間54aの断面形状が、第1曲げ通路部54Bにおいて(高さが変わらず)水平方向のみに広がった長方形からなる通路空間54aの断面形状に変更されている。換言すれば、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aの断面形状(通路断面積)は、導入通路部54Aの通路空間54aの断面形状に対して急激に広くなった断面形状になっている。
また、このような通路空間54aの断面形状が変化する部分が存在する送風ダクト51の場合は、その断面形状が変化する部分において空気の流れに剥離や渦等の乱れが生じ、このため入口52から均一な風速の空気を取り入れても出口53から出る空気はその風速が不均一になってしまう傾向がある。このように出口53から出る空気の風速が最終的に不均一になる傾向は、通路空間54aの断面形状の変化の有無にかかわらず、送風ダクト51における空気を流す(進行)方向が変化する場合、つまり通路空間54aが途中で一方向に曲げられた形状又は両側に広がるように曲げられた形状になる場合もほぼ同様に発生する。さらに、出口から出る空気の風速が最終的に不均一になる傾向は、通路空間54aの断面形状が変化し、しかも空気を流す(進行)方向が変化する場合には、より顕著に発生する。
図21a〜21cは、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている送風ダクトの代表例510A〜510Cを示すものであり、図中にはその各ダクド510における入口52に取り入れる空気の風速と出口53から出る空気の風速の各状態を矢印の長さでそれぞれ示している。図21においては、各送風ダクト510をその上面側から見た状態で示している。また、図中において矢印の長さが同じ場合は風速が同じであることを示し、その長さが異なる場合は風速が異なっていることを示している。さらに、図中の点線は各ダクトの通路空間(を形成する内壁面)を示している。
ちなみに、図21b及び21cにそれぞれ示す送風ダクト510B、510Cは、その空気を流す方向が途中で変更されている(通路空間54aが途中で曲げられている)とともに通路空間の断面形状及び断面積の少なくとも一方が変更されている構成例でもある。この他、図21dに示す送風ダクト510Dは、入口52と出口53とが互いに同じ開口形状(かつ同じ開口面積)で形成されている構成例であり、その通気を流す方向のみが途中で変更されているダクトである。また、図21aに例示するように通路部が空気の流れる方向の下流側の両側に広がるように曲がって通路断面積が漸次拡大されている部分のみを有する構成の送風ダクト510Aも、本発明における送風装置5の送風ダクトの範疇に含まれることになる。
そこで、この送風装置5における送風ダクト51は、図3〜図6等に示すように、入口52と出口53の間をつないで空気を流すための通路空間54aが少なくとも1箇所(本例では2箇所)で一方向に曲げられた形状で形成された通路部54を備える送風ダクトであることを前提としたうえで、通路部54の通路空間54aの空気を流す方向における異なる部位に空気の流れを抑制する2つの抑制部61,62を設けている。
2つの抑制部のうちの1つの抑制部61は、通路部54の通路空間54aのうち曲げられた部分に相当する第1曲げ通路部54Bに、その第1曲げ通路部54Bの一部を横断した状態で遮断するとともに、その横断する方向Dに延びる細長い形状の隙間63を存在させて空気の通過を可能にした「最上流の抑制部」として設けられている。
実施の形態1における最上流の抑制部61は、第1曲げ通路部54Bの外形を変更せずに、その曲げ通路部54Bの通路空間54a内に板状の遮断部材64を、通路空間54aの断面形状における底部のみに対して隙間をあけて横断する状態になるよう配置することで構成されている。
詳しくは、遮断部材64は、図5等に示されるように、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aにおける断面形状の上方側の部分を横断した状態で遮断し、また、その遮断部材の下端部64aが通路空間54aの断面形状の底部に対して所要の間隔Hをあけた状態になるよう配置され、これにより通路空間54aの下部に横断する方向に延びる細長い形状の隙間63が存在する構造を形成している。このときの遮断部材64は、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aのうち第1曲げ通路部54Bにおける空気の流れる方向R2の上流側となる端部において、その空気の流れ方向R2に対してほぼ直交する方向(帯電装置4の長手方向Bとほぼ平行する方向)である横断方向Dに沿って横断した状態で配置されている。
また、遮断部材64は、図7等に示されるように、最上流の抑制部61の遮断部材64で形成される隙間63の横断方向Dにおける両端部63a,63bを結ぶ仮想直線(二点鎖線)VLが、入口52のうち第1曲げ通路部54Bに近い側の内側端部52aよりも第1曲げ通路部54Bの空気を流すべき方向R2の下流側の位置に存在するよう設けられている。このときの遮断部材64は、その上流側端部(仮想直線VLとほぼ同じ部分)が、入口52の内側端部52aから第1曲げ通路部54Bの空気を流すべき方向R2の下流側に所要の距離Nだけずれた位置に存在する状態で配置されている。
最上流の抑制部61を構成する遮断部材64の配置位置(空気の流れ方向R2の下流側にずれる距離N)や、その隙間63の高さH,経路長M及び幅(長手方向の長さ)Wについては、導入通路部54Aから第1曲げ通路部54Bに流れ込んだ空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定される。また、それらの値は、ダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。
例えば、遮断部材64の配置位置に相当する距離Nは、その下限値が少なくとも5mm以上であることが好ましい。一方、この距離Nの上限値については、例えば、最上流の抑制部61による風速の均一化の効果を得ることが可能な範囲で設定される。また、隙間63の高さHは、その幅方向において同じ寸法である場合に限らず、上記観点などから一律に又は部分的に変更される寸法に設定することができる。このような遮断部材64は、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成したものか、あるいはダクト51とは別の材料で形成したものである。
また、2つの抑制部の残りの抑制部62は、図5や図6に示すように、第2曲げ通路部54Cの通路空間54aにおける終端部の開口部である出口53を、複数の通気部71が点在する通気性部材70により塞いだ状態にした「最下流の抑制部」として設けられている。
複数の通気部71はいずれも、図5や図6に示すように、その各開口形状がほぼ円形で直線状に貫通するよう延びる貫通孔である。また、複数の通気部71は、例えば出口53の開口形状の長手方向(B)に沿って等間隔に並べかつその長手方向と直交する短手方向Cにも前記等間隔と同じ間隔で4列存在させるように並べている。これにより、複数の通気孔71は、第2曲げ通路部54Cの終端部の通路空間又は出口53の開口形状の全域に点在して存在するように形成されている。このため、実施の形態1における通気性部材70は、板状の部材に複数の通気部(孔)71が点在するように形成された多孔板になっている。さらに、複数の通気部71は、出口53の開口領域に対してほぼ均一に点在して(ほぼ一定の密度で)存在するように形成されていることが好ましいが、出口53から出る空気がむらになって出ない限りは、わずかな粗密の状態になって存在するように形成されていても構わない。
通気性部材70は、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成したものでも、あるいはダクト51とは別の材料で形成したものでもよい。通気部(孔)71の開口形状、開口寸法、孔長さ、及び孔の存在密度については、第2曲げ通路部54Cから出口53を通して流れ出る空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定される。また、これらの値は、ダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。
また、この送風装置5における送風ダクト51は、導入通路部54Aの入口52から第1曲げ通路部54Bの空気の流すべき方向R2の上流側端部まで至る最短の側壁面部54As(の内壁面)が、1つの平面により形成されている。つまり、入口52の内側端部52aから第1曲げ通路部54Bの上流側端部に至る側壁面部54As(の内壁面)は、屈曲した部分がない1つの連続した平面として形成されている。
ところで、本発明者らの研究によれば、この送風装置5においては、上記送風ダクト51(後述する突起81又は窪み82を設けていない構成の送風ダクト510)の出口53から排出させる空気の風速(風量)が比較的少ない条件下で使用する場合であれば、図22aに空気の流れる状態を矢付きの二点鎖線で模式的に示すように、入口52から導入通路部54Aに取り入れられた低速の空気(Ea)は、最上流の抑制部61の隙間63のうち入口52に近い側になる端部63aに対して接近した状態で通過し、最後に出口53の入口52に近い側になる端部53aから排出されるときの空気の風速がそれ以外の出口部分から排出される空気の風速と比べて低減することが抑制されることが確認されている(図23aを参照)。
しかし、上記送風ダクト51(510)の出口53から排出させる空気の風速(風量)を増大させた条件下で使用する場合には、図22bに空気の流れる状態を矢付きの二点鎖線で模式的に示すように、入口52から導入通路部54Aに取り入れられた高速の空気(Eb)は、最上流の抑制部61の隙間63のうち入口52に近い側になる端部63aに対して遠ざかった状態で通過し、最後に出口53の入口52に近い側になる端部53aから排出されるときの空気の風速がそれ以外の出口部分から排出される空気の風速と比べて低減してしまうことが確認されている(図23bを参照)。ちなみに、上記出口53から排出される空気の風速を増大させた場合とは、その出口53から排出されるときの風速が例えば10m/秒以上の値に設定される場合である。
そこで、この送風装置5における送風ダクト51では、図8〜図9等に示されるように、導入通路部54Aと第1曲げ通路部54Bの間及び第1曲げ通路部54Bと第2曲げ通路部54Cとの間においてそれぞれ曲がる方向の内側に存在する各内壁面55,56の少なくとも曲面部分55C,56Cの一部及びその曲面部分55C,56Cの直前に存在する平面部分55F,56Fの一部に、複数の突起81A,81Bをそれぞれ設けている。
上記内壁面55は、図8等に示されるように、導入通路部54Aと第1曲げ通路部54Bの間において曲がる方向J1の内側に存在する側面部である。また、内壁面55の曲面部分55Cは、内壁面55(側面部)のうち曲がる方向J1に曲がり始める地点からその曲がり終わる地点までの曲面形状で形成された部分になる。さらに、内壁面55の平面部分55Fは、曲面部分55Cの空気が流れる方向の上流側の端部から連続して存在する側面部の平面形状で形成された部分であり、実施の形態1では曲面部分55Cの曲がり始める地点から導入通路部54A(出口53に近い側になる入口角部52a)に至るまでの側面部が該当する。
一方、上記内壁面56は、図9等に示されるように、第1曲げ通路部54Bと第2曲げ通路部54Cとの間において曲がる方向2の内側に存在する底面部である。また、内壁面56の曲面部分56Cは、内壁面56(底面部)のうち曲がる方向J2に曲がり始める地点からその曲がり終わる地点までの曲面形状で形成された部分になる。さらに、内壁面56の平面部分56Fは、曲面部分56Cの空気が流れる方向の上流側の端部から連続して存在する底面部の平面形状で形成された部分であり、実施の形態1では曲面部分56Cの曲がり始める地点から第1曲げ通路部54Bの空気が流れる方向の上流側の端部(前記曲面部分55Cの曲がり終わる地点)に至るまでの底面部になる。
突起81A,81Bは、図8、図9等に示されるように、各内壁面55,56から通路空間54a内に向かう方向に突出した形状の構成部分であり、その各内壁面55,56に接触して流れる部分の空気の一部が小さな乱流を起こす要因となる部分になる。実施の形態1では、突起81A,81Bとして、空気の流れる方向とほぼ直交する方向に沿って直線状に延びる複数本の突条を、所要の間隔をあけて存在させるように設けている。この突条からなる突起81A,81Bは、図8から図10に示すように、その断面形状が矩形、半円、半多角径等からなるものである。また、その突起81A,81Bにおける突出高さh及び幅wや間隔pについては、空気の本来の流れを阻害(風向を不適切な方向に変更することや流れを大幅に遮断することなど)しないことを前提として、空気の風速、乱流発生の程度等を考慮して任意に設定される。さらに、突起81A,81Bは、送風ダクト51の通路部54(本体部)の一部(内壁面の形状)として一体成形して作製することができるが、この他にも、送風ダクト51の通路部54(本体部)と別体の構成部分(突起物)として設けるように作製することが可能である。
また、突起81A,81Bを実際に設ける上記各内壁面55,56の少なくとも曲面部分55C,56Cの一部とは、その各曲面部分55C,56Cに出来る限り沿うように曲がって空気が流れるようにする乱流を発生させる観点から、例えば、各曲面部分55C,56Cのうち空気が流れる方向の中間地点からその上流側に存在する半分の部分(上流部)であることが好ましい。また、突起81A,81Bを実際に設ける上記各内壁面55,56の少なくとも平面部分55F,56Fの一部とは、その各平面部分55F,56Fから続く各曲面部分55C,56Cに出来る限り沿うように曲がって空気が流れるようにする(各曲面部分55C,56Cで剥離しにくい)乱流を発生させる観点から、例えば、各平面部分55F,56Fのうち各曲面部分55C,56Cに近い側に存在する部分(直前部分)であり、より具体的には、各平面部分55F,56Fの全長の3分の1(1/3)に等分したときの各曲面部分55C,56Cに近い側に存在する部分であることが好ましい。
ちなみに、実施の形態1では、突起81Aを内壁面55の曲面部分55Cの上流部とその平面部分55Fの直前に存在する半分部分に設けている。また、突起81Bを内壁面56の曲面部分56Cのほぼ全域部分とその平面部分56Fのほぼ全域部分に設けている。特に内壁面56の平面部分56Fは、最上流の抑制部61の隙間63が存在する領域と重なる部分になっている。
以下、この送風装置5の動作について説明する。
送風装置5は、画像形成動作時などの駆動設定時期になると、まず送風機50が回転駆動して所要の風量の空気を送り出す。始動した送風機50から送られる空気(E)は、図4に示すように、接続ダクト55を通して送風ダクト51の入口52から通路空間54a内に取り入れられる。
送風ダクト51の入口52から取り入れられる空気(E)は、図11や図12に示すように、導入通路部54Aの通過空間54a内をその空気を流すべき方向R1に沿う状態で流れるように進んだ後(E1)、最終的に導入通路部54Aからほぼ水平方向に直下に曲がって延びる第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに移動するよう向きを変えて流れる(E1a,E1b)。
この際、導入通路部54Aと第1曲げ通路部54Bの間における前記内側の内壁面(側面部)55に接触(接近)して流れる部分の空気(E1b)は、図13aに示すように、その内壁面55における平面部分55Fの一部及び曲面部分55Cの全域に設けられた複数の突起81Aを通過するとき、その空気の一部が点線矢印で例示するように各突起81Aの後方(下流側)の窪み空間に入り込むように渦を巻くような乱流となり、その曲面部分55Cに近づくよう曲がりながら進むようになる(実線の矢印の進行状態を参照)。
これは、内壁面55に接触(接近)して流れる部分の空気(E1b)が、複数の突起81Aを設けた内壁面55の部分で乱流境界層となり、その乱流境界層における乱流の発生に起因した空気の拡散性によって内壁面55の曲面部分55Cを通過するときに剥離する剥離点が空気の流れの下流側に徐々に移動してずれるためであると推測される。図13aには、参考までに、突起81Aが設けられていない内壁面55を想定した場合、その内壁面55の近傍を進む空気の(内壁面55の曲面部分55Cから剥離した後に)流れるときに、内壁面55の曲面部分55cに最も接近した状態で流れる空気の流れる方向を二点鎖線の矢印で示している。
続いて、第1曲げ通路部54Bに移動するよう流れる空気(E1a,E1b)は、図12に示すように、第1曲げ通路部54Bの上流側端部に存在する最上流の抑制部61の遮断部材64で遮断される一方で、最終的に最上流の抑制部61の隙間63を通過して流れる。
この際、最上流の抑制部61の隙間63を通過して第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込むときの空気(E2)は、その流れが最上流の抑制部61により抑制された状態(圧力が上昇した状態)になり、その隙間63から均一な状態になって流れ込む。しかも、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込むときの空気(E2)は、図11に示すように、最上流の抑制部61の隙間63に抑制部61の隙間63から流れ出るときの向きが、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aにおける空気を流すべき方向R2(この方向R2は、出口53の長手方向Bとほぼ直交する方向でもある。)にほぼ沿う方向に揃えられる。またこの際特に、上記曲面部分55Cを有する内壁面55に接近して流れる空気(E1b)は、その曲面部分55Cに可能な限り沿う状態で流れ、第1曲げ通路部54Bの入口52に近い側になる端部に近寄って進むようになる。
続いて、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込んだ空気(E2)は、第1曲げ通路部54Bから下方にむけてほぼ直角の方向に曲げられた状態で連続する第2曲げ通路部54Cの通路空間54aへ移動する。この第2曲げ通路部54Cの通路空間54aに流れ込んだ空気(E2)は、図12に示すように、導入通路部54Aの通路空間54aや隙間63の空間よりも容積の広い第2曲げ通路部54Cの通路空間54aに拡散されるような状態(E2a,E2b)で流れ込むことにより、その第2曲げ通路部54Cの通路空間54a内で滞留して風速のむらが低減される。
この際、第1曲げ通路部54Bと第2曲げ通路部54Cの間における前記内側の内壁面(底面部)56に接触(接近)して流れる部分の空気(E2b)は、図13bに示すように、その内壁面56における平面部分56Fの全域及び曲面部分56Cの全域に設けられた複数の突起81Bを通過するとき、その空気の一部が点線矢印で例示するように各突起81Bの後方(下流側)の窪み空間に入り込むように渦を巻くような乱流となり、その曲面部分56Cに近づくよう曲がりながら進むようになる(実線の矢印の進行状態参照)。
これは、内壁面56に接触(接近)して流れる部分の空気(E2b)が、複数の突起81Bを設けた内壁面56の部分で乱流境界層となり、その乱流境界層における乱流の発生に起因した空気の拡散性によって内壁面56の曲面部分56Cを通過するときに剥離する剥離点が空気の流れの下流側に徐々に移動してずれるためであると推測される。図13bには、参考までに、突起81Bが設けられていない内壁面56を想定した場合、その内壁面56の近傍を進む空気の(内壁面56の曲面部分56Cから剥離した後に)流れるときに、内壁面56の曲面部分56cに最も接近した状態で流れる空気の流れる方向を二点鎖線の矢印で示している。
最後に、第2曲げ通路部54Cに流れ込んで滞留した空気(E2)は、図12に示すように、その曲げ通路部54Cの終端部となる出口53に設けられた最下流の抑制部62を構成する通気性部材70の複数の通気部(孔)71を通過して進行方向が揃えられた状態(E3)で出口53から吹き出される(図12の矢印E3の向きや長さ等を参照)。
この際、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の開口面積よりも相対的に狭い通気性部材70の複数の通気部71を通過することで流れが抑制された状態になって(このときも圧力が上昇した状態になり)送り出される。また、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の開口領域全体にわたって点在するとともに同じ条件で形成された複数の通気部71を通過することで出口53の開口形状にほぼ近い領域から均一な状態になって出口53から送り出される。さらに、出口53から吹き出される空気(E3)は、その吹き出す方向が出口53の長手方向とほぼ直交する方向に揃えられた状態で送り出される。また特に、上記曲面部分56Cを有する内壁面56に接近して流れる空気(E2b)は、その曲面部分56Cに可能な限り沿う状態で流れ、第2曲げ通路部54Bの入口52に近い側になる端部に近寄って進むようになる。
以上により、最下流の抑制部62における通気性部材70の複数の通気部71からそれぞれ出る空気(E3)は、その進行方向が出口53の長手方向とほぼ直交する方向に揃えられて送り出されるとともに、その風速がほぼ揃った状態になる。また、出口53から出る空気(E3)の風速は、出口53の開口形状(長方形)の長手方向(B)においてほぼ揃った状態になることに加え、その長手方向(B)とほぼ直交する短手方向C(図5、図6等)においてもほぼ揃った状態になる。
また、この送風ダクト51の場合、前記内壁面55,56の双方に複数の突起81A,81Bをそれぞれ設けたことにより、その出口53から最終的に排出される空気は、出口53の長手方向(B)における入口52に近い側になる端部53a(内壁面55に近い側の端部にもなる)での風速がそれ以外の部分の風速に対して相対的に弱まることと、出口53の短手方向Cにおける入口52に近い側になるPre位置側の端部53c(内壁面56に近い側の端部にもなる)での風速がその反対側のPost位置側の端部の風速に対して相対的に弱まることが低減される。この効果は、出口53から排出される空気の風速を増大させた場合でも同様に得られる(図14a,図15参照)。
これにより、出口53から排出される空気は、出口53の長手方向全域での風速のむらと短手方向全域での風速むらとが何れもより低減された状態で排出される。ちなみに、この送風ダクト51では、出口53から排出される空気の風速を増大させた場合であっても、その通路部54の通路空間54aの形状や構造を変更することなく、出口53の長手方向での風速のむらと短手方向での風速むらとが低減された状態で排出させることが可能になる。
そして、送風ダクト51の出口53から送り出された空気(E3)は、図12に示すように、帯電装置4のシールドケース40の上面40aに形成された開口部43を通してケース40内に吹き込まれ、そのケース40の内部中央に存在する隔壁40dを境に区分される空間内に配置された2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bと、そのケース40の下部開口部に存在するよう取り付けられたグリッド電極42に吹き付けられる。
このときコロナ放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42に吹き付けられる空気は、送風ダクト51の出口53の長手方向B及び短手方向Cの両方向においてほぼ揃った風速で出口53から出るため、その2本の放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にもほぼ等しい状態で吹きつけられる。
これにより、2本の放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にそれぞれ付着しようとする紙粉、トナーの外添剤、放電生成物などの不要物を、その放電ワイヤやグリッド電極から遠ざけることができる。この結果、帯電装置4における放電ワイヤ41A,41Bやグリッド電極42に不要物がまばらに付着することが原因で帯電性能にむら等の劣化が発生することが防止され、感光ドラム21の周面をより均一(その軸方向と回転方向Aに沿う周方向との双方に対して均一)に帯電することが可能になる。また、この帯電装置4を備えた作像ユニット20で形成されるトナー像ひいては用紙9に最終的に形成される画像は、帯電むら等の帯電不良に起因した画質不良(濃度むら等)の発生が低減された良好な画像として得られるようになる。
<試験>
次に、この送風装置5を用いて行った性能特性(送風ダクト51の出口53での風速分布)に関する試験について説明する。
試験は、コンピュータ・シミュレーションによる解析結果であり、下記構成からなる送風ダクト51の出口53からの平均風速が所要の値になる風量の空気を送風機50から導入し、そのときの出口53の長手方向(B)における風速分布について算出した。風速は、図12に示すように出口53の感光ドラム21の回転方向Aの上流側に位置する端部位置P1(pre位置)とその回転方向Aの下流側に位置する端部位置P2(post位置)との2箇所において出口53の長手方向Bにそれぞれ位置で得られる風速を算出した。
送風ダクト51は、その全体の形状が図3〜図7に示すようなものであり、その入口52が22mm×23mmのほぼ正方形の開口形状であり、出口53が17.5mm×350mmの長方形の開口形状である送風ダクトとした。また、最上流の抑制部61は、入口52の一端部52aから第1曲げ通路部54Bの空気の流れ方向R2の下流側に寸法N=6mmだけずれた位置となる部位において、隙間63の高さHが1〜2mmの範囲内で傾斜する寸法で、経路長Mが8mm、幅Wが345mmとなるように設定した。さらに、最下流の抑制部62は、孔径が1mm、長さが3mmの通気孔71を密度が0.42個/mm2(≒42個/cm2)となる条件で設けた多孔性部材70を用いて構成するよう設定した。
また、送風ダクト51は、入口52(導入通路部54Aの入口52が存在する一端部)が、出口53の一方の端部53aよりも外側に約50mmの寸法Gだけ突出した導入通路部54Aの一端部に形成されるものとした(図7)。前記内壁面55の曲面部分55Cは、曲率半径が3mmとなる円筒曲面に設定し、また前記内壁面56の曲面部分56Cは、曲率半径が1mmとなる円筒曲面に設定とした。
さらに、送風ダクト51としては、前記内壁面55の曲面部分55C及び平面部分55Fの全域に複数の突起81Aを設けた送風ダクト51Aと、前記内壁面56の曲面部分56C及び平面部分56Fの全域に複数の突起81Bを設けた送風ダクト51Bと、前記内壁面55の曲面部分55C及び平面部分55Fの全域に複数の突起81Aを設けるとともに前記内壁面56の曲面部分56C及び平面部分56Fの全域に複数の突起81Bを設けた送風ダクト51Cとの3タイプを実施例として用意した。ちなみに送風ダクト51Cは、実施の形態1に係る送風ダクト51にほぼ相当するものである。
突起81A,81Bとしては、断面形状が矩形状からなり、図10に示すように、その突出高さhが約1mm、その幅wが約0.5mmである突条を、約1mmの間隔pをあけた状態で設けるものを設定した。このときの突起81Aは全部で10個、突起81Bは全部で8個となった。
なお参考までに、前記内壁面55の曲面部分55C及び平面部分55と前記内壁面56の曲面部分56C及び平面部分56Fのいずれにも前記突起81A,81Bを設けていない構成からなる送風ダクト510を比較例として用意した。
そして、初めに比較例の送風ダクト510について、平均風速が約7m/秒の比較的少量の空気を出口53から排出する場合と、平均風速が約15m/秒の比較的多量の空気を出口53から排出する場合において、その出口53から排出される空気(E3)の風速分布についてそれぞれ調べた。このときの比較的少量の空気を排出させる場合の風速分布の結果を図23aに示し、また、比較的多量の空気を排出させる場合の風速分布の結果を図23bに示す。
この比較例の結果から明らかなように、突起81を設けない送風ダクト510では、比較的少量の空気を排出させる場合は、その風速分布として出口53の長手方向B及び短手方向Cのいずれもほぼ一定した均一性が得られる。これに対し、比較的多量の空気を排出させる場合には、出口53の長手方向Bにおける入口52に近い側になる端部53a(長手方向の距離がゼロに近い側)における風速が相対的に低減し、しかも出口53の短手方向Cの入口51に近い側になるPre位置側の端部53cにおける風速も相対的に低減しており、出口53全域での風速分布の均一性が低下してしまう。
次に、実施例の送風ダクト51A,51B,51Cについて、平均風速が約15m/秒の比較的多量の空気を出口53から排出する場合において、その各出口53から吹き出す空気(E3)の風速分布についてそれぞれ調べた。送風ダクト51Aの風速分布の結果を図14aに示し、送風ダクト51Bの風速分布の結果を図14bに示す。また、風速ダクト51Cの風速分布の結果を図15に示す。
図14aに示される結果から明らかように、内壁面55に複数の突起81Aを設けた送風ダクト51Aの場合、その風速分布として出口53の長手方向Bではほぼ一定した均一性が得られる一方で、出口53の短手方向CではPre位置側の端部53cにおける風速がPost位置側の端部における風速よりも相対的に低減する。また、図14bに示される結果から明らかなように、内壁面56に複数の突起81Bを設けた送風ダクト51Bの場合、その風速分布として出口53の短手方向Cではほぼ一定した均一性が得られる一方で、出口53の長手方向Bでは入口52に近い側になる端部53aにおける風速が相対的に低減する。
さらに、図15に示される結果から明らかなように、内壁面55と内壁面56の双方に複数の突起81A,81Bをそれぞれ設けた送風ダクト51Cの場合、その風速分布として出口53の長手方向B及び短手方向Cのいずれにおいてもほぼ一定した良好な均一性が得られる。
[実施の形態2]
図16及び図17は、実施の形態2に係る送風管(送風ダクト)の要部を示すものである。
実施の形態2に係る送風ダクト51Dは、その内壁面55,56に、前記複数の突起81A,81Bに代えて複数の窪み82A,82Bを設けるように変更した以外は実施の形態1に係る送風ダクト51と同じ構成からなるものである。また、この送風ダクト51Dは、実施の形態1で説明した送風装置5及び画像形成装置1に同様に適用される。
送風ダクト51Dにおける窪み82A,82Bは、図16、図17等に示されるように、各内壁面55,56から通路空間54a内とは反対の方向に窪んだ形状の構成部分であり、その各内壁面55,56に接触して流れる部分の空気の一部が小さな乱流を起こす要因となる部分になる。実施の形態2では、窪み82A,82Bとして、空気の流れる方向とほぼ直交する方向に沿って直線状に延びる複数本の溝を、所要の間隔をあけて存在させるように設けている。この溝からなる窪み82A,82Bは、図16から図18に示されるように、その断面形状が矩形、半円、半多角径等からなるものである。また、その窪み82A,82Bにおける窪み深さd及び幅wや間隔pについては、空気の本来の流れを阻害(風向を不適切な方向に変更することや流れを大幅に遮断することなど)しないことを前提として、空気の風速、乱流発生の程度等を考慮して任意に設定される。さらに、窪み82A,82Bは、例えば、送風ダクト51Dの通路部54(本体部)の一部(内壁面の形状)として一体成形して作製することができる。
そして、この送風ダクト51Dを用いた送風装置5の動作は、基本的に、実施の形態1に係る送風ダクト51を用いた送風装置5の動作内容と同じであるが、以下の点で少し異なる。
すなわち、まず、送風ダクト51Dの入口52から取り入れられる空気(E)は、に示すように、導入通路部54Aの通過空間54a内をその空気を流すべき方向R1に沿う状態で流れるように進んだ後(E1)、最終的に導入通路部54Aからほぼ水平方向に直下に曲がって延びる第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに移動するよう向きを変えて流れる(図11や図12参照)。この際、導入通路部54Aと第1曲げ通路部54Bの間における前記内側の内壁面(側面部)55に接触(接近)して流れる部分の空気(E1b)は、図19a(図13a参照)に示すように、その内壁面55における平面部分55Fの一部及び曲面部分55Cの全域に設けられた複数の窪み82Aを通過するとき、その空気の一部が点線矢印で例示するように各突起81Aの後方(下流側)の窪み空間に入り込むように渦を巻くような乱流となり、その曲面部分55Cに近づくよう曲がりながら進むようになる(実線の矢印の進行状態を参照)。
これは、内壁面55に接触(接近)して流れる部分の空気(E1b)が、複数の窪み82Aを設けた内壁面55の部分で乱流境界層となり、その乱流境界層における乱流の発生に起因した空気の拡散性によって内壁面55の曲面部分55Cを通過するときに剥離する剥離点が空気の流れの下流側に徐々に移動してずれるためであると推測される。図19aには、参考までに、窪み82Aが設けられていない内壁面55を想定した場合、その内壁面55の近傍を進む空気の(内壁面55の曲面部分55Cから剥離した後に)流れるときに、内壁面55の曲面部分55cに最も接近した状態で流れる空気の流れる方向を二点鎖線の矢印で示している。
続いて、送風ダクト51Dの第1曲げ通路部54Bに移動するよう流れる空気(E1a,E1b)は、第1曲げ通路部54Bの上流側端部に存在する最上流の抑制部61の遮断部材64で遮断される一方で、最終的に最上流の抑制部61の隙間63を通過し、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込んだ後、第1曲げ通路部54Bから下方にむけてほぼ直角の方向に曲げられた状態で連続する第2曲げ通路部54Cの通路空間54aへ移動する(図12参照)。この際、第1曲げ通路部54Bと第2曲げ通路部54Cの間における前記内側の内壁面(底面部)56に接触(接近)して流れる部分の空気(E2b)は、図19b(図13b参照)に示すように、その内壁面56における平面部分56Fの全域及び曲面部分56Cの全域に設けられた複数の窪み82Bを通過するとき、その空気の一部が点線矢印で例示するように各突起81Bの後方(下流側)の窪み空間に入り込むように渦を巻くような乱流となり、その曲面部分56Cに近づくよう曲がりながら進むようになる(実線の矢印の進行状態参照)。
これは、内壁面56に接触(接近)して流れる部分の空気(E2b)が、複数の窪み82Bを設けた内壁面56の部分で乱流境界層となり、その乱流境界層における乱流の発生に起因した空気の拡散性によって内壁面56の曲面部分56Cを通過するときに剥離する剥離点が空気の流れの下流側に徐々に移動してずれるためであると推測される。図19bには、参考までに、窪み82Bが設けられていない内壁面56を想定した場合、その内壁面56の近傍を進む空気の(内壁面56の曲面部分56Cから剥離した後に)流れるときに、内壁面56の曲面部分56cに最も接近した状態で流れる空気の流れる方向を二点鎖線の矢印で示している。
そしてまた、この送風ダクト51Dの場合、前記内壁面55,56の双方に複数の窪み82A,82Bをそれぞれ設けたことにより、その出口53から最終的に排出される空気は、出口53の長手方向(B)における入口52に近い側になる端部53a(内壁面55に近い側の端部にもなる)での風速がそれ以外の部分の風速に対して相対的に弱まることと、出口53の短手方向Cにおける入口52に近い側になるPre位置側の端部53cでの風速がその反対側のPost位置側の端部の風速に対して相対的に弱まることが低減される。この効果は、出口53から排出される空気の風速を増大させた場合でも同様に得られる。
これにより、送風ダクト51Dの出口53から排出される空気は、出口53の長手方向全域での風速のむらと短手方向全域での風速むらとが何れもより低減された状態で排出される。ちなみに、この送風ダクト51Dでは、出口53から排出される空気の風速を増大させた場合であっても、その通路部54の通路空間54aの形状や構造を変更することなく、出口53の長手方向での風速のむらと短手方向での風速むらとが低減された状態で排出させることが可能になる。
[他の実施の形態]
実施の形態1では、複数の突起81又は窪み82を設ける内壁面55,56として通路空間54aが一方向(J1,J2)に曲げられた形状の曲げ通路部54B,54Cにおいて各曲げる方向J1,J2の内側にそれぞれ存在する各内壁面(55,56)の少なくとも一部を適用する場合を例示したが、複数の突起81又は窪み82は、この他にも例えば、以下に例示するような内壁面に設けることも有効である。
すなわち、複数の突起81又は窪み82を設ける内壁面は、図20に示すように、通路空間54aが複数(本例では2つ)の方向に曲がる拡張型の曲げ通路部54Kを有する送風ダクト51Eでは、その曲げ通路部54Kにおいて各曲げる方向(J3,J4)の各内側にそれぞれ存在する各内壁面(57,58)の曲面部分(57C,58C)及び平面部分(57F,58F)の少なくとも一部であってもよい。この場合の曲面部分(57C,58C)は、屈曲した曲面部分になり、実際に曲面になっている部分が少ないので、その前後に存在する平面部分を少し含む範囲を曲面部分とする。また、複数の突起81又は窪み82を設ける内壁面は、この他にも例えば、円筒曲面の曲面部分を有するものに限らず、湾曲状に曲がる湾曲状の曲面部分や複数段階に屈曲しながら曲がる多角形状の曲面部分を含むものであってもよい。
また、複数の突起81又は窪み82については、実施の形態1では空気の流れる方向に対してほぼ直交する方向に直線状に延びる突条や溝を所要の間隔をあけて設ける構成例を示したが、これに限定されず、例えば、次に例示するように構成してもよい。
すなわち、直線状に延びる突条や溝からなる複数の突起81又は窪み82としては、空気の流れる方向の下流側になる程、空気が該当する内壁面の曲面部分に可能な限り沿って流れるようにする観点から、その空気の流れる方向の下流側になる程、その突出高さh(又は深さd)や幅w、間隔pなどを次第に大きい値に変更した条件で設けてもよい。また、該当する内壁面どうしの間や、その内壁面の曲面部分及び平面部分の間で、複数の突起81と複数の窪み82を組み合わせて設けるようにしてもよい。さらに、複数の突起81又は窪み82は、直線状に延びる突条や溝からなるものに限らず、例えば、曲線状にまがって延びる突条や溝からなるものや、あるいは、該当する内壁面の曲面部分及び平面部分に点在するような形状のものや、空気の流れる方向に対して交差する方向(直交する方向を除く)に延びる形状のものなどであっても構わない。
また、送風ダクト51(51D,51E)における抑制部としては、3個以上設けても構わない。また、抑制部は、最下流の抑制部も含めて、そのいずれも送風ダクト51の通路部54の通路空間54aにおいてその断面形状が変更される部位や、その通路空間54aにおいて空気を流す方向が変更された後(直後など)の部位に設けることが好ましい。
最下流の抑制部62については、例えば、ファルター等に適用される不織布等の多孔質部材(複数の通気部71が不規則な形状の貫通隙間であるもの)に代表される通気性部材70を用いて構成することもできる。
さらに、送風ダクト51(51B〜51D)としては、他の形状のものを適用することができる。他の形状の送風ダクトとしては、例えば、図21a,21b,21cに例示したような送風ダクト510A,510B,510Cを適用してもよい。また、送風ダクトは、3以上の曲げ通路部(拡張型の曲げ通路部を含む)を有する形状のものであって適用することができる。
この他、送風装置5を適用する帯電装置4については、グリッド電極24を設置しない形式の帯電装置、いわゆるコロトロン型の帯電装置であってよい。また、帯電装置4は、コロナ放電ワイヤ41として1本使用するものや3本以上使用するものであってもよい。また、送風装置5を適用する対象構造物としては、感光ドラム21等の除電を行うコロナ放電器や、感光ドラム以外の被帯電体を帯電又は除電させるコロナ放電器であってもよく、さらには、コロナ放電器以外の空気の吹きつけが必要であって長尺な構造物であっても構わない。
また、画像形成装置1については、送風装置5を適用する必要がある長尺な対象構造物を装備するものであれば、その画像形成方式等の構成については特に限定されない。例えば、実施の形態1では、画像形成装置1として1つの作像ユニット20を使用して単色の画像を形成するものを例示しているが、画像形成装置としては、異なる色の画像を形成する複数の作像ユニット20を使用して多色の画像を形成する画像形成装置であってもよい。また必要であれば、現像剤以外の材料で構成される画像を形成する画像形成装置であっても構わない。