以下、この発明を実施するための形態(単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1から図6は、実施の形態1に係る送風管及びそれを用いた送風装置及び画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の概要を示し、図2はその画像形成装置に用いられ、その送風管又は送風装置により空気を吹きつけるべき長尺な対象構造物の一例である帯電装置を示し、図3はその送風管又は送風装置の概要を示し、図4は図3の送風装置(送風管)におけるQ−Q線に沿う断面の状態を示し、図5は図3の送風装置を上方から見たときの状態を示し、図6は図3の送風装置を下方(出口)から見たときの状態を示している。図中の符号X,Y,Zで示す矢印は、各図面において想定した3次元空間の幅、高さ及び奥行の各方向を示す直交座標軸(の方向)である。
<画像形成装置>
画像形成装置1は、図1に示すように、支持フレーム、外装カバー等で構成される筐体10の内部空間に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して被記録材の一例としての記録用紙9に転写する作像ユニット20と、作像ユニット20に供給する記録用紙9を収容するとともにそれを送り出す給紙装置30と、作像ユニット20で形成されたトナー像を記録用紙9に定着する定着装置35を設置している。
上記作像ユニット20は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものであり、矢印Aで示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム21と、感光体ドラム21の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置4と、帯電後の感光体ドラム21の表面に外部から入力される画像情報(信号)に基づく光(矢付き点線)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像装置24と、そのトナー像を用紙9に転写する転写装置25と、転写後の感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置26とで主に構成されている。
このうち帯電装置4としては、コロナ放電器が使用されている。このコロナ放電器からなる帯電装置4は、図2等に示すように、いわゆるスコロトロン型のコロナ放電器で構成されている。
すなわち、帯電装置4は、一部が開口した長方形状の天板40aとその天板40aの長手方向Bに沿って延びる長辺部から下方に垂れ下がった状態の側板40b,40cを有した外観形状からなるシールドケース(覆い部材)40と、シールドケース40の長手方向Bにおける両端部(短辺部)にそれぞれ取り付けられる図示しない2つの端部支持体と、この2つの端部支持体の間に、シールドケース40の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で架設される2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bと、シールドケース40の下部開口部に、その下部開口部を覆ってコロナ放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に存在した状態で取り付けられる格子状のグリッド電極(電界調整板)42とを備えている。図4等に示す符号40dは、2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bが配置される空間を仕切る仕切り板である。
また、帯電装置4は、コロナ放電ワイヤ41(41A,41B)が、感光体ドラム21の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム21の回転軸の方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態になるよう配置される。また、帯電装置4は、画像形成時になると、図示しない電源装置から放電ワイヤ41(と感光体ドラム21との間)に帯電用の電圧が供給されるようになっている。
さらに、帯電装置4は、その使用時においてコロナ放電ワイヤ41やグリッド電極42に用紙9の紙粉、コロナ放電により生成される放電生成物、トナーの外添剤等の物質(不要物)が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなり、帯電むら等の帯電不良を発生することがある。このため、帯電装置4には、放電ワイヤ41及びグリッド電極42に不要物が付着することを防止又は抑制するため放電ワイヤ41とグリッド電極42にむけて空気を突きつけるための送風装置5が併設されている。また、帯電装置4のシールドケース40の上面40aには、送風装置5から送り出される空気を取り込むための開口部43が形成されている。開口部43は、その開口形状が長方形になるよう形成されている。なお、送風装置5の詳細については後述する。
給紙装置30は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の記録用紙9を積み重ねた状態で収容するトレイ式、カセット式等の用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される記録用紙9を1枚ずつ搬送路にむけて送り出す送出装置32とを備え、給紙の時期が到来すると、記録用紙9を1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体31は、利用態様に応じて複数装備される。図1における矢付きの一点鎖線は、記録用紙9が主に搬送されて通過する搬送路を示す。この記録用紙の搬送路は、複数の用紙搬送ロール対33a,33bや、図示しない搬送ガイド部材等で構成されている。
定着装置35は、記録用紙9が通過する導入口及び排出口が形成された筐体36の内部に、表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体37と、この加熱回転体37の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体38とを備えている。この定着装置35は、その加熱回転体37と加圧回転体38との間に形成される定着処理部にトナー像が転写された後の記録用紙9を導入して通過させることで定着を行う。
この画像形成装置1による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、記録用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
画像形成装置1では、その制御装置等が画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット20において、回転始動する感光体ドラム21の周面が帯電装置4により所定の極性及び電位に帯電される。このとき、帯電装置4では、コロナ放電ワイヤ41に帯電用の電圧が印加されて放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生させ、これにより感光体ドラム21の周面を所要の電位に帯電させる。この際、感光体ドラム21の帯電電位はグリッド電極42により調整される。
続いて、帯電された感光体ドラム21の周面に対して、露光装置23から画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。しかる後、感光体ドラム21に形成された静電潜像が、現像装置24を通過する際に、その現像装置24における現像ロール24aから供給される所要の極性に帯電されたトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
次いで、感光体ドラム21上に形成されたトナー像は、感光体ドラム21の回転により転写装置25と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置30から搬送路を通して供給される記録用紙9に転写装置25の転写作用により転写される。この転写後の各感光体ドラム21の周面は、清掃装置26によって清掃される。
続いて、作像ユニット20においてトナー像が転写された記録用紙9は、感光体ドラム21から剥離された後に定着装置35に導入されるよう搬送され、定着装置35における加熱回転体37と加圧回転体38との間の定着処理部を通過する際に加熱及び加圧される。これにより、そのトナー像が溶融して記録用紙9に定着される。この定着が終了した後の記録用紙9は、定着装置35から排出されて筐体10の外部等に設けられる図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
以上により、1枚の記録用紙9の片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作の指示がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
<送風装置>
次に、送風装置5について説明する。
送風装置5は、図1や図3等に示すように、空気を送る回転ファンを有する送風機50と、その送風機50から送られる空気を取り入れて送風対象の帯電装置4まで導いて排出させる送風ダクト51とを備えている。
送風機50は、所要の風量の空気を送るように駆動制御される。このような送風機50としては、例えば輻流型の送風ファンが使用される。一方、送風ダクト51は、図3〜図6に示すように、送風機50から送られる空気を取り入れる入口52と、その入口52から取り入れた空気を吹きつけるべき長尺な帯電装置4における長手方向Bの部分(例えばシールドケース40の上面40aの開口部43)とほぼ向き合う状態で配置されてその空気を長手方向Bと直交する方向に沿って流すように排出させる出口53と、その入口52と出口53の間をつないで空気を流すための通路空間54aが形成された通路部(本体部)54とを有した形状のものである。
送風ダクト51の通路部54は、図3から図5等に示すように、導入通路部54Aと第1曲げ通路部54Bと第2曲げ通路部54Cで構成されている。導入通路部54Aは、その一端部が入口52を設けて開口され、その他端部が閉鎖されており、その全体が出口53の長手方向(帯電装置4の長手方向B)とほぼ平行して直線状に延びるよう形成された角筒形状の通路部である。第1曲げ通路部54Bは、導入通路部54Aの他端部寄りの部位(途中)から通路空間の幅を広げて通路断面積が拡大するようにほぼ水平方向(座標軸Xで示す方向とほぼ平行する方向)において出口53の長手方向に対してほぼ直角に曲げられて延びるように形成された角筒形状の曲げ通路部である。第2曲げ通路部54Cは、第1曲げ通路部54Bの一端部から通路空間の幅が同じ状態のままで下方に向かう鉛直方向(座標軸Yで示す方向とほぼ平行する方向)に曲げられて帯電装置4に近づくよう延ばされて形成された曲げ通路部である。第2曲げ通路部54Cの終端部には出口53が形成されている。また、第1曲げ通路部54B及び第2曲げ通路部54Cの通路空間54aは、その幅(長手方向Bの寸法)が互いにほぼ同じ寸法に設定されている。
送風ダクト51の入口52は、その開口形状がほぼ正方形になるよう形成されている(図3)。この入口52には、送風機50との間を接続して送風機50からの空気を送風ダクト51の入口52までに送るための接続ダクト55が取り付けられている(図3、図5)。一方、送風ダクト51の出口53は、その開口形状が帯電装置4の長手方向Bの部分(開口部43)と平行する長尺な開口形状(例えば長方形)になるよう形成されている。このため、送風ダクト51は、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成された関係になっている。ただし、入口52と出口53が同じ形状である場合も、その開口面積が互いに異なるよう形成されているとき(相似形状であるとき)には、互いに異なる開口形状で形成された関係に含まれる。また、入口52は、図5等に示されるように、長方形の開口形状からなる出口53の長手方向(B)における一方の端部53aよりも外側に所要の寸法Gだけ突出して存在する状態で形成されている。
ここで、開口形状が互いに異なる入口52と出口53を有する送風ダクト51においては、その入口52と出口53の間をつなぐ通路部54に通路空間54aの断面形状が途中で変更される部分が存在することになる。ちなみに、実施の形態1に係る送風ダクト51は、入口52の開口形状が正方形であるのに対して出口53の開口形状が長方形であるというように互いに異なった開口形状になっている。このため、送風ダクト51は、その通路部54(の通路空間54a)に曲げられた部分(実際には第1曲げ通路部54B)が存在し、その導入通路部54Aにおける通路空間54aの断面形状がほぼ正方形であるのに対して、その第1曲げ通路部54Bにおける通路空間54aの断面形状が(高さが変わらず)ほぼ水平方向のみに広がった長方形に変更されている。換言すれば、導入通路部54Aの通路空間54aaの断面形状が、第1曲げ通路部54Bにおいてほぼ水平方向に急激に広くなった通路空間54abの断面形状になっている。
しかし、このような通路空間54aの断面形状が変化する部分が存在する形態の送風ダクト51にあっては、その断面形状が変化する部分において空気の流れに剥離や渦等の乱れが生じる。このため。このような形態の送風ダクト51では、入口52から均一な風速の空気を取り入れても出口53から出る空気の風速が不均一(むらのある状態)になってしまう傾向がある。
このように出口53から出る空気の風速が最終的に不均一になる傾向は、通路空間54aの断面形状の変化の有無にかかわらず、送風ダクト51における空気を流す(進行)方向が変化する場合、つまり通路空間54aが途中で曲げられた形状になる場合もほぼ同様に発生する。さらに、出口から出る空気の風速が最終的に不均一になる傾向は、通路空間54aの断面形状が変化し、しかも空気を流す(進行)方向が変化する場合には、より顕著に発生する。
図27a〜27dは、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている送風ダクトの代表例510A〜510Cを示すものであり、同図にはその各ダクド510における入口52に取り入れる空気の風速と出口53から出る空気の風速の各状態を矢印の長さでそれぞれ示している。図27においては、各送風ダクト510をその上面側から見た状態で示している。また、その図中において矢印の長さが同じ場合は風速が同じであることを示し、その長さが異なる場合は風速が異なっていることを示している。さらに、同図における点線は各ダクトの通路空間(を形成する側壁部)を示している。ちなみに、送風ダクト510B、510Cは、その空気を流す方向が途中で変更されているとともに通路空間の断面形状及び断面面積の少なくとも一方が変更されている構成例でもある。この他、図27dに示す送風ダクト510Dは、入口52と出口53とが互いに同じ開口形状(かつ同じ開口面積)で形成されている構成例であり、その通気を流す方向のみが途中で変更されているダクトである。
このため、本出願人は、前述した特許文献1に記載された通りの、送風管における通路空間の空気を流す方向の異なる部位に空気の流れを抑制する複数の抑制部を設けた送風管等を提案している。この提案の送風管によれば、その出口から排出される空気のうち出口の長手方向における風速のむらとその長手方向と直交する短手方向における風速のむらとを抑制することを可能にしている。
ところで、この提案の送風管では、特に、出口に通路空間を複数の通気部が点在する通気性部材で塞いだ状態になるよう形成して最下流の抑制部を設けることで、その出口の長手方向と直交する短手方向における風速のむらの抑制を実現させているが、その通気性部材が比較的高価になるという課題がある。また、上記提案の送風管では、例えば、その入口から取り入れて出口から排出させる空気の風量を増大させた場合(例えば入口から導入する風量が0.35m3/分以上になる場合)、その出口から排出される空気のうち出口の長手方向における風速のむらを抑制することができるが、その長手方向と直交する短手方向における風速のむらを抑制することできなくなるという課題もある。
そこで、この送風装置5の送風ダクト51においては、図3、図4等に示すように、入口52と出口53の間をつないで空気を流すための通路空間54aが少なくとも1箇所(本例では2箇所)で曲げられた形態で形成された通路部54を備えた送風ダクトであって、その通路部54の通路空間54aの空気を流す方向における異なる部位に空気の流れを抑制するための抑制部として後述する2つの抑制部61,62を設けるとともに、その1つの抑制部62(後述する最下流の抑制部)と出口53の間の通路空間54(c)内に対向部材7を設けるという構成を採用している。
2つの抑制部61,62とは、通路部54のうち第1曲げ通路部54Bの部位に、その部位における通路空間54abをその厚み方向において狭めて空気の流れを抑制する上流の抑制部61と、通路部54のうち上流の抑制部61と出口53の間になる部位である第2曲げ通路部54Cにおける通路空間54acを、出口53の開口形状の長手方向Bに沿って延びる形状の隙間65を存在させた状態で空気の流れを抑制する最下流の抑制部62とである。
上流の抑制部61は、第1曲げ通路部54Bの外形を変更せずに、その曲げ通路部54Bの通路空間54ab内に板状の遮断部材64を、通路空間54aの断面形状における底面部に対して隙間(63)をあけて横断する状態に配置することで構成されている。
上流の抑制部61を構成する遮断部材64は、図4等に示されるように、第1曲げ通路部54Bの通路空間54abにおける断面形状の上方側(座標軸Yで示す方向の下流側)の部分を横断した状態で遮断し、また、その遮断部材の下端部64aが通路空間54aの断面形状の底面部54bに対して所要の間隔d1をあけた状態で配置されている。これにより、上流の抑制部61は、通路空間54aの遮断部材64の下方に、その横断方向D(出口53の長手方向Bとほぼ同じ。図5)に延びる細長いほぼ長方形状からなる隙間63が存在する構造になっている。上流の抑制部61における隙間63は、第1曲げ通路部54Bの通路空間54abの厚み方向(本例では座標軸Yで示す方向)の中央からずれた位置に配置されており、実施の形態1では曲げ通路部54Bの通路空間54abの最下端になる位置に存在するよう配置されている。ここで、各通路部54の通路空間54aにおける厚み方向とは、出口53の長手方向Bと空気を流す方向Rとに対してそれぞれ直交する方向を指すものとする(これ以降も同様である。)。隙間63が配置される通路空間54abの厚み方向の中央からずれた位置は、隙間63の間隔d1のなかに通路空間54aの厚み寸法の中心が存在しない状態になるときの位置をいう。
また、実施の形態1における遮断部材64は、図4、図5等に示されるように、上流の抑制部61の遮断部材64で形成される隙間63の横断方向Dにおける両端部63a,63bを結ぶ仮想直線(二点鎖線)VLが、入口52のうち第1曲げ通路部54Bに近い側の内側端部52aよりも第1曲げ通路部54Bの空気を流すべき方向R2の下流側の位置に存在するよう設けられている。このときの遮断部材64は、その上流側の端部(仮想直線VLとほぼ同じ部分)が、入口52の内側端部52aから第1曲げ通路部54Bの空気を流すべき方向R2の下流側に所要の距離Nだけずれた位置に存在するよう配置されている。
さらに、上流の抑制部61を構成する遮断部材64の配置される位置(空気の流れ方向R2の下流側にずれる距離N)や、その隙間65の間隔d1,経路長M及び幅(長手方向Bに沿う寸法)Wについては、導入通路部54Aから第1曲げ通路部54Bに流れ込んだ空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定される。また、それらの値は、ダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量(風量)等の条件も考慮して設定される。
最下流の抑制部62は、第2曲げ通路部54Cの外形を変更せずに、その曲げ通路部54Cの通路空間54acbに板状の遮断部材66を、その通路空間54aの厚み方向(座標軸Xで示す方向)の中央に隙間(65)をあけて横断する状態に配置することで構成されている。
最下流の抑制部62を構成する遮断部材66は、図4等に示されるように、第2曲げ通路部54Cの通路空間54acにおける断面形状の側面部分を横断した状態で遮断し、また、その遮断部材66の幅(出口の長手方向Bと交差する方向に沿う部分)の中央に所要の間隔d2をあけた状態の隙間67を存在させた状態で配置されている。これにより、最下流の抑制部62は、第2曲げ通路部54Cの通路空間54acの遮断部材66の中央に、その横断方向D(出口53の長手方向Bとほぼ同じ。)に平行して延びる細長いほぼ長方形状からなる隙間65が存在する構造になっている。抑制部62における隙間65は、第2曲げ通路部54Cの通路空間54acの厚み方向における中央の位置に配置される。隙間65が配置される通路空間54acの厚み方向の中央の位置とは、隙間65の間隔d2の中心が通路空間54acの厚み寸法の中心とほぼ一致する状態になるときの位置をいう。さらに、抑制部62は、第2曲げ通路部54Cの通路空間54acのうち第1曲げ通路部54Bの通路空間54abの底面54bから空気の流れ方向R3の下流側に所要の距離N2だけずれた位置に配置される。
この最下流の抑制部62を構成する遮断部材66における隙間65の間隔d2,経路長M2及び幅(長手方向Bに沿う寸法)Wについては、第1曲げ通路部54Bから第2曲げ通路部54Cに流れ込んだ空気の長手方向Bにおける風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定される。また、それらの値は、第1抑制部61の場合と同様に、ダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量等の条件も考慮して設定される。
送風ダクト51における2つの抑制部61、62をそれぞれ構成する遮断部材64,66については、送風ダクト51(の通路部54)と同じ材料を用いて一体的に形成したものとして構成するか、又は送風ダクト51と同じ材料若しくは異なる材料を用いて送風ダクト51とは別体のものとして構成される。
対向部材7は、図4や図6等に示すように、その全体の形状が最下流の抑制部62の隙間65(長手方向B)と平行して延びる棒状の形状からなり、しかも、その長手方向と直交する面で切断した断面の形状が、その隙間65と向き合う側の部分(対向部分)7aが湾曲線であってその隙間65と向き合わない側の部分(非対向部分)7bが隙間65から離れるにつれて近づいて合流する線で構成される形状からなる部材である。この対向部材7は、最下流の抑制部62と出口53との間になる部位の通路空間54ac内において、隙間65と平行して向き合う状態であって、しかも出口53よりも隙間65に接近した状態で設けられる。
実施の形態1における対向部材7は、図7等に示すように、その断面形状が半径r(直径2r)の円形からなり、全体が円柱形状からなる丸棒の部材である。この丸棒の対向部材7の場合、図7bに示すように、上記対向部分7aが円弧線であって上記非対向部7bも円弧線で構成される断面形状を有するものになる。また、丸棒の対向部材7は、最下流の抑制部62における隙間65に対して所定の距離gだけ離間した位置に配置されている。さらに、丸棒の対向部材7は、最下流の抑制部62における隙間65と向き合う真正面の位置と一致する位置に配置されている。隙間65と向き合う真正面の位置とは、対向部材7の断面における中心点Oが、隙間65の間隔d2の中心位置(隙間65の長手方向と直交する短手方向の中央)をその隙間65の経路の方向と平行して通る中心線CL(図7中の一点鎖線)上に存在するときの位置である。このときの対向部材7の配置される位置は、隙間65の真下の位置とも言える。
この丸棒の対向部材7における半径r、隙間65との離間距離g,配置位置(隙間65の中心位置からのずれ量:α)については、最下流の抑制部62における隙間65から第2曲げ通路部54Cの出口側に流れ込んだ空気の長手方向B及びその短手方向Cにおける風速のむらを可能な限り少なくするという観点から選択設定される。また、それらの値は、抑制部61、62の場合と同様に、ダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量等の条件も考慮して設定される。さらに、棒状の部材7は、送風ダクト51(通路部54)と同じ材料若しくは異なる材料を用いて送風ダクト51とは別体のものとして構成されるが、可能であれば送風ダクト51と同じ材料を用いて一体的に形成したものとして構成してもよい。
以下、この送風装置5の動作について説明する。
送風装置5は、画像形成動作時などの駆動設定時期になると、まず送風機50が回転駆動して所要の風量の空気を送り出す。始動した送風機50から送られる空気(E)は、図8に示すように、接続ダクト55を通して送風ダクト51の入口52から通路空間54aa内に取り入れられる。
送風ダクト51の入口52から取り入れられる空気(E)は、図8に示すように、導入通路部54Aの通過空間54aa内をその空気を流すべき方向R1にほぼ沿って流れるように進み(E1)、その途中から及び最終的に導入通路部54Aからほぼ水平方向において直角に曲がって延びる第1曲げ通路部54Bの通路空間54abに移動するよう向きを変えて流れる(E1a,E1b)。
続いて、第1曲げ通路部54Bに移動するよう流れる空気(E1a,E1b)は、図9に示すように、第1曲げ通路部54Bの上流側端部に存在する上流の抑制部61における遮断部材64により遮断される一方で、最終的に抑制部61における隙間63を通過して流れる。
この際、上流の抑制部61における隙間63を通過して第1曲げ通路部54Bの通路空間54abに流れ込むときの空気(E2)は、その流れが抑制部61により抑制された状態(圧力が上昇した状態)になって隙間63を通過する。また、このときの空気(E2)は、抑制部61における隙間63から流れ出るときの向きが、第1曲げ通路部54Bの通路空間54abにおける空気を流すべき方向R2(この方向R2は、出口53の長手方向Bとほぼ直交する方向でもある。図8)にほぼ沿う方向に変更される。
続いて、上流の抑制部61における隙間63を通過して第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込んだ空気(E2)は、第1曲げ通路部54Bから下方にむけてほぼ直角の方向に曲げられた状態で連続して延びる第2曲げ通路部54Cの上流側の通路空間54ac1(最下流の抑制部62よりも空気の流れる方向R3の上流側に位置する空間部分)へ移動する。
この第2曲げ通路部54Cにおける上流側の通路空間54ab1に流れ込んだ空気(E2)は、図9に示すように、導入通路部54Aの通路空間54aaや上流の抑制部61における隙間63の空間よりも容積の広い第2曲げ通路部54Cの上流側の通路空間54ab1で拡散されるような状態(E2a,E2b)で流れ込むことにより、その第2曲げ通路部54Cの通路空間54ab1内で一時的に循環するよう滞留して特に長手方向Bにおける風速のむらが低減される。
次いで、第2曲げ通路部54Cの上流側の通路空間54ac1に流れ込んだ空気(E2)は、その通路空間54acにおける空気を流すべき方向R3にほぼ沿う状態で流れるように進み、その第2曲げ通路部54Cの上流側に存在する最下流の抑制部62における遮断部材66により遮断される一方で、最終的に抑制部62における隙間65を通過して流れる。
この際、最下流の抑制部62における隙間65を通過して第2曲げ通路部54Cの下流側の通路空間54ac2(最下流の抑制部62よりも空気の流れる方向R3の下流側に位置する空間部分)流れ込むときの空気(E3)は、その流れが抑制部62により抑制された状態(圧力が上昇した状態)になって隙間65を通過する。また、この最下流の抑制部62における隙間65を通過して流れ出るときの空気(E3)は、その進行方向が第2曲げ通路部54Cの下流側の通路空間54ac2における空気を流すべき方向R3にほぼ揃えられて送り出されるとともに、その隙間65の横断方向Dに相当する長手方向Bにおける風速がほぼ揃った状態で送り出される。
さらに、最下流の抑制部62における隙間65を通過して流れ出るときの空気(E3)は、図9に示すように、その隙間65の空間よりも容積の広い第2曲げ通路部54Cの下流側の通路空間54ac2に拡散されるような状態で流れ込むとともに、その隙間65と向き合う位置に配置された棒状(丸棒)の部材7に突き当たるように流れ込む(E3a、E3b)。これにより、空気(E3)は、図10に拡大して示すように、丸棒の部材7(の対向部7aの面)により分けられた後(長手方向Bと直交する方向の短手方向Cに2分されるように剥離された後)、その一部が丸棒の部材7(の非対向部7bの面)で内側にむけて周期的に渦を巻くようにして進む。このときの周期的な渦は、いわゆるカルマン渦に相当すると推測される。
最後に、最下流の抑制部62における隙間65を通過して第2曲げ通路部54Cの通路空間54acの下流部内に流れ込んだ空気(E3)は、図9に示すように、その丸棒の部材7を通過した後、通路空間54acの下流末端に形成された長手方向Bの一方向に長い長方形状の出口53から吹き出される。
この際、出口53から吹き出される空気(E4a,E4b)は、丸棒の部材7を通過した後においても最下流の抑制部62における隙間65を通過した後の状態とほぼ同様に長手方向Bにおいてその風速がほぼ揃った状態でもって送り出されるとともに、その長手方向Bと直交する短手方向Cにおいて丸棒の部材7で拡散されるようように進んで局所に集中するような風速のむらが抑制された状態になって送り出される。
以上により、送風ダクト51の出口53から最終的に排出される空気(E4a,E4b)は、図9に示すように、帯電装置4の長手方向Bに沿う部分(開口部43)にむけて流れるよう排出される。このときの空気(E4a,E4b)は、前述したように出口53の長手方向Bにおける風速がほぼ揃えられてその風速のむらが抑制されるとともに、出口53A,53Bどうし間における風速も局所的に集中したむらが低減されてその風速のむらが抑制される。
そして、この送風装置5における送風ダクト51の出口53から排出された空気(E4a,E4b)は、帯電装置4のシールドケース40の上面40aにおける開口部43を通過してシールドケース40の仕切り板40dで区分された内部空間(S1,S2)にそれぞれむけて流れるよう吹き込まれる。
この際、空気(E4a,E4b)は、前述した通り出口53の長手方向Bにおける風速のむらとその短手方向Cにおける風速のむらが抑制された状態で、シールドケース40の放電ワイヤ41A,41Bがそれぞれ存在する内部空間(S1,S2)を通過するように吹き込まれた後、グリッド電極42の開口を通り抜けるか或いはシールドケース40の側板40b,40cの下端部とグリッド電極42との間の隙間を通り抜けるように進み、最終的に、シールドケース40の外部に排出されるように移動する。
この結果、送風ダクト51から最終的に排出された空気(E4a,E4b)は、シールドケース40の内部空間(S1,S2)内を通過するように移動してシールドケース40の外部に排出されるので、シールドケース40内に存在する放電生成物(オゾンなど)、紙粉、トナーの外添剤などの不要物をおいて2本の放電ワイヤ41A,41Bをはじめにグリッド電極42から遠ざけてシールドケース40の外部に排出させることができる。また、このような送風ダクト51は、前述した提案の送風ダクトのように出口に通気性部材を配置した抑制部を設ける必要がなく、1つの隙間65が存在する遮蔽部材66を配置した最下流の抑制部62を設けるとともにその隙間65に接近した状態で丸棒の対向部材7を設けることで済むため、製造コストの大幅な増加を招くおそれがなく比較的廉価に提供することができる。しかも、このような送風ダクト51は、2つの抑制部61,62が細長い1つの隙間63,65を存在させて遮断する構成であって、その最下流側の隙間65に丸棒の部材7を接近させた状態で配置するだけの構成であるため、送風上の圧力損失を高めるおそれがないという利点もある。
したがって、帯電装置4は、上記送風装置5を装備していることにより、その放電ワイヤ41A,41Bやグリッド電極42に不要物が疎らに付着することが原因となってその帯電性能が全体的に又は部分的に劣化することが抑制されるようになり、感光ドラム21の周面をより均一に帯電することが可能になる。また、この帯電装置4を備えた作像ユニット20で形成されるトナー像ひいては用紙9に最終的に形成される画像は、帯電むら、帯電性能の劣化等の帯電不良に起因した画質不良(濃度むら等)の発生が抑制された良好な画像として得られるようになる。
<試験>
図11は、送風装置5の性能特性(送風ダクト51から排出される空気の風速分布)を調べた試験の条件及び結果を示す。
試験は、シミュレーションにより、送風機50から平均風量が0.33m3/分になる比較的多めの空気を導入したときに、図11(a)に要部のみの構成を示す送風ダクト51Aの出口53から排出される空気の短手方向Cにおける風速の状態を調べることで行った。
送風ダクト51としては、その全体の形状が図3〜図6に示すようなものであり、その入口52が18mm×18mmのほぼ正方形の開口形状からなるものであり、出口53が34mm×250mmの長方形の開口形状からなるものを使用した。また、送風ダクト51は、その第1曲げ通路部54Aの通路空間54abにおける厚み方向(座標軸Yに沿う方向)における寸法が約20mmである。さらに、その第2曲げ通路部54Bの通路空間54acは、図11(a)に示すように、その厚み方向(座標軸Xに沿う方向)における寸法(短手方向Cの内寸法i)が約34mmからなるものであり、また、その最下流の抑制部62と出口53との間の寸法(空間高さh)が約16mmからなるものである。
また、送風ダクト51は、第1曲げ通路部54Aの通路空間54abに設ける上流の抑制部61について、通路空間54abの入口の一端部52aから下流側にずれる距離Nが約5mmとなる位置に、その間隔d1が1.5mm、経路長M1が8mm、幅Wが250mmとなる隙間63が通路空間54abの下端部に存在するようにほぼ平板の仕切り部材64を配置することで構成した。また、第2曲げ通路部54Cの通路空間54acの上流側に設ける最下流の抑制部62については、通路空間54abの底面部54bから下流側にずれる距離N2が約4mmとなる位置に、その間隔d2が約2mm、経路長M2が4mm、幅Wが250mmとなる隙間65が通路空間54abの厚み方向の中央部に存在するようにほぼ平板の仕切り部材64を配置することで構成した。さらに、棒状の対向部材7としては、半径rが2.0mm、長さが約250mmの円柱形状からなる丸棒の対向部材7Aを適用し、最下流の抑制部62における隙間65からの離間距離gが2.0mmとなる隙間65の真下の位置に配置した。ちなみに、このときの対向部材7Aは、隙間65からのずれ量αが0mmとなる位置に配置したものである。
この試験の結果を図11(b)に示す。同図の横軸に示される短手方向の位置とは、帯電装置4のシールドケース40における一方の側板40b(感光ドラム21の回転方向Aの上流側に存在する側板)の内壁面からの離間距離である。また、同図の縦軸に示される風速は、出口53における風速として算出している。なお、帯電装置4としては、2本の放電ワイヤ41A,41が図11(b)の横軸の短手方向の位置において約14mm、約20mmとなる位置に配置され、仕切り板40dが同じく横軸の短手方向の位置において約17mmとなる位置に配置されているものを想定している。また、図11(b)には、比較するために、棒状の部材7を配置しない構成からなる比較例の送風ダクト(「なしの場合」)の風速を調べた結果についても点線で併せて示している。
図11(b)に示される結果から、この送風ダクト51では、その出口53の短手方向Cにおける風速のむらが、点線で示す比較例(なしの場合)の結果のような局所的なむらが存在せずに抑制されることがわかる。また、この結果は、その入口52から取り入れて出口53から排出させる空気の風量を増大させた場合であっても得られることもわかる。ちなみに、本発明者は、このときの送風ダクト51の出口53の長手方向Bにおける風速の状態についても上記シミュレーションにより調べた。その結果を図26に示す。図26に示される結果から、送風ダクト51の出口53の長手方向Bにおける風速がその長手方向Bの全域にわたって目標値の平均風速である約4.2〜5.4m/秒に近い値になり、その長手方向Bにおける風速のむらも抑制されていることがわかる。また、本発明者によれば、これ以降の各試験で用いた各送風ダクトの送風ダクトの長手方向Bにおける風速の結果は、この試験で用いた送風ダクト51において得られた結果(図26)とほぼ同様の結果になることが確認されている。
図12は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、同図(a)に示すように丸棒の対向部材7Aの設置位置を隙間65とのずれ量αが0.5mmになるよう変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。このときの試験の結果を図12(b)に示す。
図12(b)に示される結果から、この試験における図12(a)の送風ダクト51では、図11の試験における送風ダクトの場合に比べて、短手方向Cにおける風速のピーク部分を中心位置(帯電装置4のシールドケース40の短手方向において仕切り板40dが配置されている位置)に接近した位置に調整することができることがわかる。また、このように対向部材7Aをずらして配置した場合には、抑制部62の隙間65から排出される空気の風速のピークを隙間65の短手方向における中心から短手方向に対して対称的に分散させることができることがわかる。これにより、この図12の試験における送風ダクト51は、(他の送風ダクトの構成例と比較しても)短手方向Cにおける風速のむらを最も理想的に抑制できることがわかった。
これは、送風ダクト51の通路部54が第2曲げ通路部54Cの空気の流れる方向R3の最下流の抑制部62よりも上流側の部位で出口53の長手方向Bと直交する所定の角度の一方向に曲げた第1曲げ通路部54Aを有する形状のものである場合に、丸棒の対向部材7Aの配置位置をその第1曲げ通路54Aの曲げられた方向(座標軸Xの上流側)と反対側の方向にずらした位置にする構成を採用していることが有効になっているものと推測される。
つまり、上記第1曲げ通路部54Aを有する形状の送風ダクト51では、例えば、図9に示すように、第1曲げ通路部54A(の上流側の抑制部61における隙間63)を通過した空気E2が第1曲げ通路部54Aの曲げられる方向と反対側の方向にむけて流れるように進むため、その後の最下流の抑制部62における隙間65を通過した後も上記反対側の方向に相対的に速い(強い)流速で片寄って流れるようになるが、このような状態で流れる空気が、隙間65の真下の位置から所定の量(α)だけずらした位置に配置した対向部材7Aによって短手方向Cにおいて良好に分配されるものと推測される。
図13は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、同図(a)に示すように丸棒の対向部材7Aの設置位置を隙間65との離間距離gが0.5mmになる(狭くなる)ように変更したものを適用変更した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。このときの試験の結果を図13(b)に示す。
また、図14は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、同図(a)に示すように丸棒の対向部材7Aの設置位置を隙間65との離間距離gが8.0mmになる(広くなる)ように変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。このときの試験の結果を図14(b)に示す。
図13(b)及び図14(b)に示される結果から、丸棒の対向部材7の隙間65との離間距離gについては、以下のことがわかる。まず、その離間距離gを(g=4mmよりも)狭くした場合(図13a)には、出口53の短手方向Cの局所的な風速むらが比較例に比べて抑制されるが、出口53の短手方向Cにおいて感光ドラム21の回転方向下流側に相当する半分領域(図13bにおける右半分の領域)に小さい風速むらが発生することがわかる。一方、その離間距離gを(g=4mmよりも)広くした場合(図14a)には、出口53の短手方向Cにおける風速のむらが比較例に比べて抑制されるが、出口53の短手方向Cにおいて感光ドラム21の回転方向下流側に相当する半分領域(図14bにおける右半分の領域)に、相対的に速い風速の空気が偏って排出される傾向になることがわかる。
図15は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、同図(a)に示すように丸棒の対向部材7Aの半径rを4.0mmに(大きくなるように)した丸棒の対応部材7Bに変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。このときの試験の結果を図15(b)に示す。
また、図16は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、同図(a)に示すように丸棒の対向部材7Aの半径rを5.0mmに(更に大きくなるように)にした丸棒の対応部材7Cに変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。このときの試験の結果を図16(b)に示す。
図15(b)及び図16(b)に示される結果から、丸棒の対向部材7の半径rについては、以下のことがわかる。
まず、その半径rを抑制部62における隙間65の間隔d2の2倍の値を超える値にした対向部材7Cの場合(図16a)は、出口53の短手方向Cにおいて風速のピーク部分が2つに分離すること(図16b)がわかる。これは、抑制部62における隙間65を通過して排出された空気(E3)が、上記対向部材7Cにより分離されたまま第2曲げ通路部54Cの通路空間54ac2における内壁面に向かって進んだ後に再付着し、その対向部材7Cの隙間65との非対向部分(7b:図7b参照)側において周期的な渦を発生して進むことがほとんどないことが要因であると推測される。
また、その半径rを抑制部62における隙間65の間隔d2の2倍の値と同じ値にした対向部材7Bの場合(図15a)は、その出口53の短手方向Cにおける風速のむらが、前記比較例の結果のような局所的なむらが存在せずに抑制されている(図15b)。これは、対向部材7Bの非対向部分側において周期的な渦が発生していることが主な要因であると推測される。また、この対向部材7Bの場合、図15bに示すように風速分布のピークが2つのピークに分離されている(分離し始めている)。このことは、対向部材7の半径rが抑制部62における隙間65の間隔d2の2倍の値と同じ値になることが、対向部材7の非対向部分側で周期的な渦が有効に発生するときの限界値に相当することを示唆していると推測される。
さらに、その半径rを抑制部62における隙間65の間隔d2の2倍の値よりも小さい値にした対向部材7の場合(図11a〜図14a)とした場合は、出53の短手方向Cにおける局所的に集中する風速のむらが低減されること(特に図11b、図12bの結果を参照。なお図13b、図14bの結果も参照)がわかる。
図17は、図11から図16までに示す各対向部材7A〜7Cの試験結果(対向部材なしの場合の比較例の試験結果を含む)をピーク半値幅に置き換えて示したものである。図17の横軸における「対向部材に関する構成」は、前記した対向部材7の種類(7A,7B)と、横軸の下方の枠内に記載された基準構成に対して異なる構成内容(括弧書き)とを示している。また、ピーク半値幅とは、図18に示すように、各試験結果における短手方向Cにおける風速のピーク値の1/2の値になるときの短手方向Cにおける幅(寸法)を示すものである。このピーク半値幅からは、例えば、各送風ダクト51の対向部材7による短手方向Cにおける風速のピークを拡散することができる度合い(性能)がわかる。
また、この図17に示される結果から、対向部材7を設けることにより、出口53の短手方向Cにおける風速のピークを短手方向Cに拡散することができることがわかる。このような効果は、対向部材7の半径rが抑制部62における隙間65の間隔d2の2倍の値よりも小さい値である場合に十分に得られ、また、対向部材7の隙間65との離間距離gが0.5mm以上且つ0.8mm以下の範囲である場合に十分に得られることがわかる。また、このような効果は、対向部材7を隙間65の短手方向における中心からずらした位置に配置した場合(α=0.5mmの対向部材)でも十分に得られることがわかる。
図19は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、同図(a)に示すように丸棒の対向部材7Aを隙間65の非対向部分7bが隙間65から離れるにつれて近づいて最終的に合流する2つの線(V字になる線)で構成される断面形状にした対向部材7Dに変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。この対向部材7Dは、隙間65の対向部分7aが円弧線で構成されており、その対向部分7aの円弧線における半径を半径rとした。このときの試験の結果を同図(b)に示す。なお、同図(b)には後述する図20bの結果を点線で併せて示す。
また、図20は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、同図(a)に示すように丸棒の対向部材7Aを隙間65の非対向部分7bが1つの線(直線)で構成される半円の断面形状にした対向部材73に変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。この対向部材73は、隙間65の対向部分7aが円弧線で構成されており、その対向部分7aの円弧線における半径を半径rとした。このときの試験の結果を同図(b)に示す。なお、同図(b)には前述した図19bの結果を点線で併せて示す。
図19(b)に示される結果から、対向部材7の断面形状(特に非対向部分7bの構成)については、その非対向部分7bが図19aに例示するように隙間65から離れるにつれて近づいて合流するような線で構成されている場合(対向部材7D)であれば、短手方向Cにおける局所的な風速のむらがある程度抑制されることがわかる。一方、図20(b)に示される結果から、対向部材7の断面形状(特に非対向部分7bの構成)については、その対向部分7aが円弧線で構成されている場合であっても、その非対向部分7bが図20aに例示するように1つの線(平面)で構成されているときには、短手方向Cにおける局所的な風速のむらを抑制することができないことがわかる。
図21は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、丸棒の対向部材7Aを、同図(a)に示す隙間65の非対向部分7bが3つの線(平面)で構成される正方形状の断面形状からなる角棒の対向部材71に変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。この角棒の対向部材71は、隙間65の対向部分7aが直線(平面)で構成されており、その対向部分7aの長さ(正方形の1辺の長さに相当する)を対向幅jとした。このときの試験の結果を同図(b)に示す。
また、図22は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、丸棒の対向部材7Aを、同図(a)に示す隙間65の対向部分7aが一点から2方向に広がるように延びる2つの線(逆V字になる線)であり、その非対向部分7bが2つの線(V字になる線)で構成されるひし形の断面形状である対向部材72に変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。このひし形の角棒の部材7Aは、隙間65の対向部分7aが逆V字状の線(三角面)であり、その対向部分7aにおける最大の寸法を対向幅kとした。このときの試験の結果を同図(b)に示す。
図21(b)及び図22(b)に示される結果から、対向部材7の形状については、隙間65との対向部分7aを平面の面形状(図21a)又は切妻屋状(図22a)の面形状にした場合、出口53の短手方向Cにおける風速のピークが2つに分離する状態になることがわかる。これは、抑制部62の隙間65から排出された空気(E3)が当該対向部材71,72により剥離されたまま第2曲げ通路部54Cの通路空間54ac2の内壁面に向かって進んだ後に再付着し、その対向部材71,72の隙間65との非対向部分(7b:図7b参照)側において周期的な渦を発生して進むことがほとんどないことが要因であると推測される。
図23(a)は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、丸棒の対向部材7Aを、同図(a)に示す半径rが1.0mmの細い丸棒74を3本(74a〜74c)用いて束ねた複合型の対向部材74に変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。この複合型の対向部材74は、その3本の細い丸棒74aのうちの2本(74a,74b)を隙間65と対向する側に水平に並べた状態に配置したうえで、その残り1本(74c)をその水平に並べた2本の下側(隙間65と対向しない側)の中央に配置し、その全体の断面が逆三角形に似た形状からなる対向部材として構成したものである。複合型の対向部材74は、隙間65の対向部分(7b)が2本の並ぶ細い丸棒(74a,74b)の片側面を向き合わせた形態になり、その対向部分の幅kは2本の細い丸棒の各直径(2r)を合計した長さ(2・2r)の4.0mmになる。このときの試験の結果を図24に一点鎖線で示す。
図23(b)は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、丸棒の対向部材7Aを、同図(b)に示す半径rが1.0mmの細い丸棒75を3本(75a〜75c)用いて束ねた複合型の対向部材75に変更したものを適用した以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。この複合型の対向部材75は、その3本の細い丸棒75のうちの1本(75a)を隙間65と対向する側の真下の位置に配置したうえで、その残り2本(75b,75c)を上記1本の下側(隙間65と離れる側)に水平に並べた状態に配置し、その全体の断面が三角形に似た形状からなる対向部材として構成したものである。複合型の対向部材75は、隙間65の対向部分が1本の細い丸棒(75a)を先頭にして2本の丸棒(75b,75c)の一部を後方から向き合わせた形態になり、その対向部分の幅kは後方の2本の細い丸棒の各直径(2r)を合計した長さ(2・2r)の4.0mmになる。この対向部材75の隙間65に対する離間距離g及びずれ量αについては同図(a)に示す対向部材74と同じ条件である。このときの試験の結果を図24に実線で併せて示す。
図23(c)は、他の試験の条件及び結果を示すものである。この試験では、送風ダクト51として、丸棒の対向部材7Aを、同図(c)に示す半径rが1.0mmの細い丸棒76を2本(76a,76b)用いて束ねた複合型の対向部材76に変更したものを適用以外は図11に示す試験の送風ダクト51と同じ構成のものを使用した。この複合型の対向部材76は、その2本の細い丸棒76を水平に並べた状態に配置し、その全体の断面が楕円形に似た形状からなる対向部材として構成したものである。複合型の棒状部材76は、隙間65の対向部分が2本の並んだ丸棒(76a,76b)の片側面を向き合わせた形態になり、その対向部分の幅kは2本の細い丸棒の各直径(2r)を合計した長さ(2・2r)の4.0mmになる。この対向部材76の隙間65に対する離間距離g及びずれ量αについては同図(a)に示す対向部材74と同じ条件である。このときの試験の結果を図24に点線で併せて示す。
図24に示される結果から、複合型の対向部材74〜76では、そのいずれも短手方向Cにおける局所的な風速のむらを良好な状態で抑制することができないことがわかる。なお、図23(a)に示す対向部材75の結果(一点鎖線(a))と図23(c)に示す対向部材76の結果(点線(c))は、ほぼ同じ結果であったため、図24においてほぼ重なり合った状態の線になっており、このため図24では図23(c)に示す対向部材76の結果(点線(c))だけを代表として表している。
本発明者の考察によれば、図23(a)に示す複合型の対向部材74及び図23(c)に示す複合型の対向部材74、76の結果は、最下流の抑制部62における隙間65から排出された空気(E3)がその各対向部材74,76により2つに剥離(分離)されたままとなり、その隙間65と向き合わない後方側(非対向部7b側)で周期的な渦も発生していないことが要因であると推測されている。また、図23(b)に示す複合型の対向部材75の結果は、隙間65から排出された空気(E4)がその棒状部材75により2つに剥離(分離)された後、その隙間65と向き合わない後方側で周期的な渦にならず単に再付着してしまったことが要因であると推測されている。
図25は、図19、図20及び図23(b)に示す各対向部材7D、73、75の試験結果(対向部材なしの比較例の場合の試験結果を含む)をピーク半値幅に置き換えて示したものである。
この図25に示される結果から、図19(a)に示す対向部材7Dの場合は、図20及び図23(b)に示す対向部材73,75の場合に比べて、出口53の風速のピークを出口53の短手方向Cに対して最も拡散させていることがわかる。これは、図19(a)に示す対向部材7Dでは、隙間65から排出される空気(E3)が対向部材7Dの隙間65との対向部分(7a)で剥離された後、その剥離された空気の一部が対向部材7Dの逆三角形である隙間65の非対向部分(7b)に近づくように進んで付着し、しかる後に渦を形成して進むことが要因であると推測される。
以上の試験結果からは、棒状の対向部材7としては、断面形状が円形の線で構成される丸棒の対向部材(7A〜7B)と、対向部分7aが円弧線を含む湾曲線で構成されかつ非対向部分7bがV字状の線等に代表される隙間65から離れるにつれて近づいて最後に合流する線で構成される対向部材(7D)が好ましいことがわかった。
[他の実施の形態]
実施の形態1では、送風ダクト51の抑制部として2つの抑制部61,62を設ける構成例を示したが、上流の抑制部61を設けずに最下流の抑制部62のみを設ける構成としてもよい。また、その抑制部は、必要であれば最下流の抑制部62以外の抑制部として2つ以上の抑制部を設けるようにしても構わないが、例えば通路部を流れる空気の圧力損失を少なくする観点からは、最下流の抑制部62以外の抑制部の数は少ない方(特に1つ)が好ましい。
この他、送風ダクト51としては、その全体の形状が実施の形態1で例示した形状のものに限らず、他の形状のものを適用することができ、例えば、図27に例示したような全体形状からなる送風ダクト510(510A〜510C)を適用してもよい。
また、送風装置5を適用する帯電装置4については、グリッド電極24を設置しない形式の帯電装置、いわゆるコロトロン型の帯電装置であってよい。帯電装置4については、コロナ放電ワイヤ41として1本使用するものや3本以上使用するものであってもよい。また、送風装置5を適用する長尺な対象構造物としては、感光ドラム21等の除電を行うコロナ放電器や、感光ドラム以外の被帯電体を帯電又は除電させるコロナ放電器であってもよい他、コロナ放電器以外の空気の吹きつける部分が長手方向に沿って複数存在する長尺な構造物であっても構わない。
さらに、画像形成装置1については、送風装置5を適用して空気を吹きつける必要がある長尺な対象構造物を装備するものであれば、その画像形成方式等の構成については特に限定されない。必要であれば、現像剤以外の材料で構成される画像を形成する画像形成装置であっても構わない。