以下、この発明を実施するための形態(単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1から図3は、実施の形態1に係る送風装置を適用した画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置に使用されており、その送風装置より空気を吹き付けるべき対象構造物としての帯電装置を示し、図3はその送風装置の概要を示している。
画像形成装置1は、図1に示すように、支持フレーム、外装カバー等で構成される筐体10の内部空間に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して被記録材の一例としての用紙9に転写する作像ユニット20と、作像ユニット20に供給する用紙9を収容するとともに搬送する給紙装置30と、作像ユニット20で形成されたトナー像を用紙9に定着する定着装置35を設置している。実施の形態1では、作像ユニット20として1つのみで構成されるものを例示しているが、複数のもので構成される作像ユニットを使用しても差し支えない。
上記作像ユニット20は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものであり、矢印Aで示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム21と、感光体ドラム21の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置4と、帯電後の感光体ドラム21の表面に外部から入力される画像情報(信号)に基づく光(矢付き点線)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像装置24と、そのトナー像を用紙9に転写する転写装置25と、転写後の感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置26とで主に構成されている。
このうち帯電装置4としては、コロナ放電器が使用されている。このコロナ放電器からなる帯電装置4は、図2等に示すように、長方形状の天板40aとその天板40aの長手方向Bに沿って延びる長辺部から下方に垂れ下がった状態の側板40b,40cを有した外観形状からなるシールドケース(覆い部材)40と、シールドケース40の長手方向Bにおける両端部(短辺部)にそれぞれ取り付けられる図示しない2つの端部支持体と、この2つの端部支持体間に、シールドケース40の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で取り付けられる2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bと、シールドケース40の下部開口部に、その下部開口部を覆ってコロナ放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に存在した状態で取り付けられる格子状のグリッド電極(電界調整板)42とを備えている、いわゆるスコロトロン型のコロナ放電器で構成されている。図4等に示す符号40dは、2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bが配置される空間を仕切る隔壁(仕切り部材)である。
また、帯電装置4は、コロナ放電ワイヤ41A,41Bが、感光体ドラム21の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム21の回転軸の方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態になるよう配置される。また、帯電装置4は、画像形成時になると、図示しない電源装置からコロナ放電ワイヤ41A,41B(と感光体ドラム21との間)に帯電用の電圧が印加されるようになっている。なお、帯電装置4は、グリッド電極42に図示しない電源装置から感光体ドラム21の帯電電位を調節するための電圧が印加される。
さらに、帯電装置4は、その使用に伴ってコロナ放電ワイヤ41やグリッド電極42に、用紙9の紙粉、コロナ放電により生成される放電生成物、トナーの外添剤等の物質(不要物)が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなって帯電むら等の帯電不良が発生することがある。このため、帯電装置4には、コロナ放電ワイヤ41及びグリッド電極42に不要物が付着することを防止又は抑制するためコロナ放電ワイヤ41とグリッド電極42に対して空気を吹きつけるための送風装置5が併設されている。また、帯電装置4のシールドケース40の上面40aには、送風装置5からの空気を取り込むための開口部43が形成されている。開口部43は、その開口形状が長方形になるよう形成されている。なお、送風装置5の詳細については後述する。
給紙装置30は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙9を積み重ねた状態で収容する、トレイ形式、カセット形式等の用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される用紙9を1枚ずつ搬送路に向けて送り出す送出装置32とを備え、給紙の時期が到来すると、用紙9を1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体31は、利用態様に応じて複数装備される。図1における矢付きの二点鎖線は、用紙9が主に搬送されて通過する搬送路を示す。この用紙9の搬送路は、複数の用紙搬送ロール対33a,33bや、図示しない搬送ガイド部材等で構成されている。
定着装置35は、用紙9が通過する導入口及び排出口が形成された筐体36の内部に、表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体37と、この加熱回転体37の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体38とを備えている。この定着装置35は、その加熱回転体37と加圧回転体38との間に形成される定着処理部にトナー像が転写された後の用紙9を導入して通過させることで定着を行う。
この画像形成装置1による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
画像形成装置1では、その制御装置等が画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット20において、回転始動する感光体ドラム21の周面が帯電装置4により所定の極性及び電位に帯電される。このとき、帯電装置4では、コロナ放電ワイヤ41に帯電用の電圧が印加されて放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生させ、これにより感光体ドラム21の周面を所要の電位に帯電させる。この際、感光体ドラム21の帯電電位はグリッド電極42により調整される。
続いて、帯電された感光体ドラム21の周面に対して、露光装置23から画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。しかる後、感光体ドラム21に形成された静電潜像は、現像装置24を通過する際に、その現像ロール24aから供給される所要の極性に帯電された状態のトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
次いで、感光体ドラム21上に形成されたトナー像は、感光体ドラム21の回転により転写装置25と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置30から搬送路を通して供給される用紙9に対して転写装置25により転写される。この転写後の感光体ドラム21の周面は、清掃装置26で清掃される。
続いて、作像ユニット20においてトナー像が転写された用紙9は、感光体ドラム21から剥離された後に定着装置35に導入されるように搬送され、定着装置35における加熱回転体37と加圧回転体38との間の定着処理部を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が溶融して用紙9に定着される。この定着が終了した後の用紙9は、定着装置35から排出されて筐体10の外部等に形成される図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
以上により、1枚の用紙9の片面に対して1色のトナーで形成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作の指示がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
次に、送風装置5について説明する。
送風装置5は、図1や図3等に示すように、空気を送る回転ファンを有する送風機50と、その送風機50から送られる空気を取り入れて送風対象の帯電装置4にまで導いて噴出させる送風管としての送風ダクト51とを備えている。
送風機50としては、例えば輻流型の送風ファンが使用され、所要の風量の空気を送るように駆動制御される。また、送風ダクト51は、図3〜図6に示すように、送風機50から送られる空気を取り入れる入口52と、その入口52から取り入れた空気を吹きつけるべき長尺な帯電装置4の長手方向Bの部分(シールドケース40の上面40a)と向き合う状態で配置されてその空気を長手方向Bと直交する方向に沿って流れるように出す出口53と、その入口52と出口53の間をつないで空気を流すための通路空間54aが形成された本体部54とを有した形状のものである。
送風ダクト51の本体部54は、一端部が入口52を設けて開口され、帯電装置4の長手方向Bに沿った他端部が閉鎖されており、全体が帯電装置4の長手方向Bに沿って延びるように形成された角筒形状の導入通路部54Aと、導入通路部54Aの他端部寄りの部位から通路空間の幅を広げた状態でほぼ水平方向(座標軸Xとほぼ平行する方向)にほぼ直角に曲げられて延びるように形成された角筒形状の第1曲げ通路部54B(図4参照)と、第1曲げ通路部54Bの一端部から通路空間の幅が同じ状態のままで下方に向かう鉛直方向(座標軸Yとほぼ平行する方向)に曲げられて帯電装置4に向けて延びるように形成された第2曲げ通路部54Cとで構成されている。第2曲げ通路部54Cの終端部には、その終端部の通路空間の断面形状よりも少し狭い開口形状からなる出口53が形成されている(ただし長方形状の長手方向の長さはほぼ同じである。)。第1曲げ通路部54B及び第2曲げ通路部54Cの通路空間54aはいずれも、その幅(長手方向Bに沿う寸法)がほぼ同じ寸法に設定されている。
更に説明すると、送風ダクト51の本体部54は、図3に示すように、帯電装置4の長手方向Bに沿って角筒形状に形成された導入通路部54Aを備えており、導入通路部54Aには、入口52から他端部に向う方向で帯電装置4の長手方向Bに沿った一端部(入口側の端部)に対応した位置から他端部に対応した位置まで通路空間の幅を広げた状態でほぼ水平方向(座標軸Xとほぼ平行する方向)にほぼ直角に曲げられて延びるように形成された角筒形状の第1曲げ通路部54Bが連なって設けられている。第1曲げ通路部54Bは、帯電装置4の長手方向Bと直交する方向において、帯電装置4の上部に対応した位置まで設けられており、第1曲げ通路部54Bの先端部には、第1曲げ通路部54Bの一端部から通路空間の幅が同じ状態のままで下方に向かう鉛直方向(座標軸Yとほぼ平行する方向)に曲げられて帯電装置4に向けて延びるように形成された第2曲げ通路部54Cが設けられている。
送風ダクト51の入口52は、図3に示すように、開口形状がほぼ正方形になるよう形成されている。この入口52には、送風機50との間を接続して送風機50からの空気を送風ダクト51の入口52にまで送るための接続ダクト55が取り付けられている。また、送風ダクト51の出口53は、その開口形状が帯電装置4の長手方向Bの部分と平行する長尺な形状(例えば長方形)になるよう形成されている。このため、送風ダクト51は、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている関係になっている。なお、入口52と出口53が同じ形状である場合も、その開口面積が互いに異なるよう形成されているとき(相似形状であるとき)には、互いに異なる開口形状で形成されている関係に含まれる。
ここで、このように入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている送風ダクト51では、その入口52と出口53の間をつなぐ本体部54に通路空間54aの断面形状が途中で変更される部分が存在する。ちなみに、この送風ダクト51では、導入通路部54Aのほぼ正方形からなる通路空間54aの断面形状が、第1曲げ通路部54Bにおいて(高さがかわらず)水平方向のみに広がった長方形からなる通路空間54aの断面形状に変更されている。換言すれば、導入通路部54Aの通路空間54aの断面形状が、第1曲げ通路部54Bにおいて急激に広くなった通路空間54aの断面形状になっている。
また、このような通路空間54aの断面形状が変化する部分が存在する送風ダクト51の場合は、その断面形状が変化する部分において空気の流れに剥離や渦等の乱れが生じ、このため入口52から均一な風速の空気を取り入れても出口53から出る空気はその風速が不均一となってしまう傾向がある。なお、このように出口53から出る空気の風速が最終的に不均一になる傾向は、通路空間54aの断面形状の変化の有無にかかわらず、送風ダクト51における空気を流す(進行)方向が変化する場合も同様に発生する。
図15a〜cは、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている送風ダクトの代表例510A〜510Cを示すものであり、図中にはその各ダクト510における入口52に取り入れる空気の風速と出口53から出る空気の風速の各状態を矢印の長さでそれぞれ示している。図15においては、各送風ダクト510をその上面側から見た状態で示している。また、図中において矢印の長さが同じ場合は風速が同じであることを示し、その長さが異なる場合は風速が異なっていることを示している。さらに、図中の点線は各ダクトの通路空間(を形成する側壁部)を示している。ちなみに、送風ダクト510B,510Cは、その空気を流す方向が途中で変更されているとともに通路空間の断面形状及び断面面積の少なくとも一方が変更されている構成例でもある。この他、図15dに示す送風ダクト510Dは、入口52と出口53とが互いに同じ開口形状(かつ同じ開口面積)で形成されている構成例であり、その空気を流す方向のみが途中で変更されているダクトである。
そこで、この送風装置5の送風ダクト51には、図3〜図6等に示すように、本体部54の通路空間54aの空気を流す方向における異なる部位に空気の流れを抑制する2つの抑制部61,62を設けており、しかも、その2つの抑制部61,62のうち通路空間54aの空気を流す方向の最下流の部位(出口53を含む)に設ける最下流の抑制部62が、その最下流の部位における通路空間(出口53の開口を含む)を複数の通気部71を有する通気性部材70で塞いだ状態となるよう形成している。
第1の抑制部61は、最下流に位置する第2の抑制部62よりも空気を流す方向の上流側であって第1曲げ通路部54Bの通路空間54aのうち空気を流す方向(符号Eで示す矢印の方向)の上流側になる部位に設けられている。また、この第1の抑制部61は、出口53の開口形状の長手方向(帯電装置4の長手方向Bと同じ方向)と平行する方向に延びる形状の隙間63を有する形態で構成されている。
実施の形態1における第1の抑制部61は、図4に示すように、第1曲げ通路部54Bの外形を変更せずに、その曲げ通路部54Bの通路空間54a内に板状の仕切り部材64を存在させることで構成されている。具体的には、仕切り部材64は、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aにおける上方側部分を塞ぎ、その部材の下端部64aが通路空間54aの底部に対して所要の間隔Hをあけた状態になるよう配置され、これにより、通路空間54aの下部に隙間63が存在する構造を形成している。仕切り部材64は、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成したものか、あるいはダクト51とは別の材料で形成したものである。
隙間63の高さH、経路長M、及び幅(長手方向の長さ)Wは、導入通路部54Aから第1曲げ通路部54Bに流れ込んだ空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定され、またダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。例えば、隙間63の高さHは、その幅方向において同じ寸法である場合に限らず、上記観点などから一律に又は部分的に変更される寸法に設定することができる。
最下流の第2の抑制部62は、複数の通気部71を有する通気性部材70により、第2曲げ通路部43Cの終端部(出口53)における通路空間(開口)を塞いだ状態にすることで形成されている。
複数の通路部71はいずれも、図6に示すように、その各開口形状がほぼ円形で直線状に貫通するよう延びる貫通孔である。また、複数の通気部71は、例えば出口53の開口形状の長手方向Bに沿って等間隔で並べかつその長手方向と直交する短手方向Cにも前記等間隔と同じ間隔で4列存在するように並べている。これにより、複数の通気孔71は、第2曲げ通路部54Cの終端部の通路空間又は出口53の開口形状の全域に点在して存在するように形成されている。このため、実施の形態1における通気性部材70は、板状の部材に複数の通気部(孔)71が点在するように形成された多孔板になっている。さらに、複数の通気部71は、出口53の開口領域に対してほぼ均一に点在して(ほぼ一定の密度で)存在するように形成されていることが好ましいが、出口53から出る空気がむらになって出ない限りは、わずかな粗密の状態になって存在するように形成されていても構わない。
通気性部材70は、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成したものでも、あるいはダクト51とは別の材料で形成したものでもよい。通気部(孔)71の開口形状、開口寸法、孔長さ、及び孔の存在密度は、第2曲げ通路部54Cから出口53を通して流れ出る空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定され、またダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。
ところで、上記の如く構成される送風ダクト51では、図4に示すように、第1の抑制部61が、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aのうち最下流に位置する第2の抑制部62よりも空気を流す方向Eの上流側になる部位に設けられている。この第1の抑制部61は、第1曲げ通路部54Bの通路空間54a内に板状の仕切り部材64を存在させることで構成されており、仕切り部材64は、その部材の下端部64aが通路空間54aの底部に対して所要の間隔Hをあけた状態になるよう配置され、これにより、通路空間54aの下部に隙間63が存在する構造を形成している。
そのため、上記第1の抑制部61を通過した空気の流れは、隙間63を通過する間に速度を増し、流れに沿った方向の速度成分が相対的に大きくなり、第1の抑制部61と第2の抑制部62との間に位置する通路空間54a内に流入した後、出口53に対応した位置には多孔板からなる第2の抑制部62が設けられているため、通路空間54aの内部で圧力が高められるとともに、通路空間54aの内部を循環する状態で滞留し、速度分布が均一化される。
しかしながら、第2の抑制部62の上流側に位置する通路空間54aの内部における空気の圧力の上昇が不十分な場合には、第1の抑制部61と第2の抑制部62との間に位置する通路空間54a内において空気の循環並びに滞留が十分に行われず、図7に示すように、第1の抑制部61を通過した流れに沿った方向Eの速度成分が相対的に大きい空気の流れがそのまま第2の抑制部62を構成する多孔板へと進入し、第2の抑制部62を通過した空気の流れの速度分布が帯電装置4の長手方向Bと交差する短手方向Cに沿って均一とならない虞れを有していることが本発明者等の検討により判明した。更に説明すると、通路空間54aの内部における空気の圧力上昇が不十分な場合には、第2の抑制部62の短手方向Cに沿った下流側から吹きだされる空気の風速が、上流側から吹きだれる空気の風速よりも速くなり、帯電装置4の長手方向と交差する短手方向に沿って空気の風速が均一とならない虞れを有している。
また、第2の抑制部62を通過した空気の流れの速度分布を帯電装置4の長手方向Bと交差する短手方向Cに沿って均一化するためには、第2の抑制部62の上流側に位置する通路空間54a内の空気の圧力を上昇させることも考えられるが、この場合には、出口53から同じ風量の空気を吹き出すために必要とされる送風機50の負荷が増大することとなる。
そこで、この実施の形態では、図4に示すように、最下流の抑制部62の空気Eの流れに沿った上流側に位置する通路空間54aであって、第1の抑制部62と最下流の抑制部62との間に位置する通路空間54aに、当該通路空間54aを空気の流れに沿った上流側に位置する空間81Aと下流側に位置する空間81Bとに区画する衝立部材80を設けている。衝立部材80は、通路空間54aを上流側に位置する空間81Aと下流側に位置する空間81Bとに完全に仕切る部材ではなく、上流側の空間81Aと下流側の空間81Bとの間で空気の流通を許容しつつ2つの空間81A,81Bに区画するものである。また、衝立部材80は、第1の抑制部62を通過した空気の流れが突き当たることにより、最下流の抑制部62に直接流れ込むのを抑制する機能をも果たしている。ただし、衝立部材80としては、第1の抑制部62を通過した空気の流れが必ずしも直接突き当たるものである必要はなく、通路空間54aを上流側に位置する空間81Aと下流側に位置する空間81Bとに区画するものであれば良い。
この衝立部材80は、平板状に形成されており、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成したものでも、あるいはダクト51とは別の材料で形成したものでもよい。衝立部材80は、第2曲げ通路部54Bを形成する天井部のうち第2の抑制部62と対向する部位に、第2の抑制部62へ向けて下方に延設した状態で設けられている。また、衝立部材80は、例えば、第2の抑制部62を構成する通気性部材70の短手方向Cに沿った中央部に対応した位置に配置されている。さらに、衝立部材80は、図5に示すように、第2曲げ通路部54Bの長手方向Bに沿った全幅Wにわたり設けられている。衝立部材80の第2の抑制部62に向けた長さLは、所要の値に設定されており、衝立部材の下端と第2の抑制部62との間には、空気の流通を許容する所要の間隙Gが形成されている。また、衝立部材80の厚さTは、衝立部材80としての位置及び形状を維持できるものであれば良い。
衝立部材80の長さL、厚さT、及び幅(長手方向の長さ)Wは、第1の抑制部61から第2曲げ通路部54Cに流れ込んだ空気の風速を帯電装置4の短手方向Cに沿って可能な限り均一化するという観点から選択設定され、またダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。例えば、衝立部材80の長さLは、その幅方向(B方向)において同じ寸法である場合に限らず、上記観点などから一律に又は部分的に変更される寸法に設定することができる。
上記衝立部材80の長さLによって上流側の空間81Aと下流側の空間81Bとに流れ込み滞留する空気の量(容積比)が変化する。衝立部材80の長さが相対的に短い(間隙Gが大きい)場合には、上流側の空間81Aよりも下流側の空間81Bに流れ込み滞留する空気の量が増加することになる。また、衝立部材80の長さLが相対的に長い(間隙Gが小さい)場合には、下流側の空間81Bよりも上流側の空間81Aに流れ込み滞留する空気の量が増加することになる。
以下、この送風装置の動作について説明する。
送風装置5は、画像形成動作時などの駆動設定時期になると、まず送風機50が回転駆動して所要の風量の空気を送り出す。始動した送風機50から送られる空気(E)は、図5に示すように、接続ダクト55を通して送風ダクト51の入口52から本体部54の通路空間54a内に取り入れられる。
続いて、送風ダクト51に取り入れられた空気(E)は、導入通路部54Aの通路空間54aを通して第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込むよう送られる(図5の矢印E1a,E1b等を参照)。第1曲げ通路部54Bに送り込まれる空気(E1)は、第1の抑制部61の隙間63を通過してその進行方向(空気の流れる方向)がほぼ直角の方向に変えられた状態になって(図5の矢印E2aの向きを参照)、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流入するように送られる(図8の矢印E2a,E2bの向き等を参照)。
その際、第1曲げ通路部54Bに設けられた第1の抑制部61は、所要の高さHを有する隙間63からなるため、導入通路部54Aから第1曲げ通路部54Bに設けられた第1の抑制部61を通過する空気は、第1の抑制部61の上流側で圧力が上昇された状態且つ帯電装置4の長手方向に沿って流速が均一化された状態で第1の抑制部61を通過する。
このように、第1の抑制部61の隙間63を通過して第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込むときの空気(E2)は、その流れが第1の抑制部61により抑制され(圧力が上昇した状態になり)、その隙間63から均一な状態になって流れ込む。しかも、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込むときの空気(E2)は、抑制部61の隙間63から流れ出るときの向きが出口53の長手方向(B)とほぼ直交する方向に揃えられる。
続いて、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込んだ空気(E2)は、第1曲げ通路部54Bから下方に向けてほぼ直角の方向に曲げられた状態で連続する第2曲げ通路部54Cの通路空間54aへ移動する。第2曲げ通路部54Cの通路空間54aに流れ込んだ空気(E2)は、導入通路部54Aの通路空間54aや隙間63の空間よりも容積の広い第2曲げ通路部54Cの通路空間54aに流れ込むことにより、その第2曲げ通路部54Cの通路空間54a内で残留して風速のむらが低減される。
このとき、第2曲げ通路部54Cの通路空間54aの内部には、図8に示すように、当該通路空間54aを空気の流れに沿った上流側の空間81Aと下流側の空間81Bとに区画する衝立部材80が設けられている。そのため、第2曲げ通路部54Cの通路空間54aに流れ込んだ空気(E2)は、その一部E2aが上流側の空間81A内で残留(滞留)して風速のむらが低減され、その残りの部分E2bが下流側の空間81B内で残留(滞留)して風速のむらが低減される。その結果、第2曲げ通路部54Cの通路空間54aの内部に流れ込んだ空気E2は、上流側の空間81Aと下流側の空間81Bとに分かれて風速のむらが低減され、空気E2a,E2bの流れに沿った上流側と下流側との間に存在する風速むらも上流側の空間81Aと下流側の空間81Bとの容積比に応じて低減され、帯電装置4の長手方向Bと直交する短手方向Cに沿った風速分布がほぼ均一化される。
最後に、第2曲げ通路部54Cに流れ込んで滞留した空気(E2)は、図8に示すように、その曲げ通路部54Cの終端部又は出口53に設けられた最下流の抑制部62を構成する通気性部材70における複数の通気部(孔)71を通過して出口53から進行方向が変えられた状態で吹き出される(図8の矢印E3の向きや長さ等を参照)。
この際、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の開口面積よりも相対的に狭い通気性部材70の複数の通気部71を通過することで流れが抑制された状態になって(このときも圧力が上昇した状態になり)送り出される。また、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の開口領域全体にわたって点在するとともに同じ条件で形成された複数の通気部71を通過することで出口53の開口形状にほぼ近い領域の面に相当するよう均一な状態になって出口53から送り出される。さらに、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の長手方向とほぼ直交する方向に進行方向を変えて送り出される。
以上により、通気性部材70の複数の通気部71からそれぞれ出る空気(E3)はいずれも、その進行方向が出口53の長手方向とほぼ直交する方向になって送り出されるとともに、その風速がほぼ揃った状態になる。また、出口53から出る空気(E3)の風速は、出口53の開口形状(長方形)の長手方向(B)においてほぼ揃った状態になることに加え、その短手方向Cにおいてもほぼ揃った状態になる。
このとき、第2曲げ通路部54Cの内部は、図8に示すように、衝立部材80を設けて空気の流れに沿った上流側の空間81Aと下流側の空間81Bとに区画することにより、第2曲げ通路部54Cの通路空間54aの内部の圧力を高めることで均一化を図ることを回避することができ、送風機50の負荷が増大することを抑制できる。
そして、送風ダクト51の出口53から送り出された空気(E3)は、図8に示すように、帯電装置4のシールドケース40の上面40aに形成された開口部43を通してケース40内に吹き込まれ、そのケース40の内部中央に存在する隔壁40dを境に区分される空間内に配置された2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bとそのケース40の下部開口部に存在するよう取り付けられたグリッド電極42に吹き付けられる。このときコロナ放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42に吹き付けられる空気は、送風ダクト51の出口53の長手方向B及び短手方向Cの両方向においてほぼ揃った風速で出口53から出るため、その2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にもほぼ等しい状態で吹き付けられる。
これにより、2本の放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にそれぞれ付着しようとする紙粉、トナーの外添剤、放電生成物などの不要物を遠ざけることができる。この結果、帯電装置4における放電ワイヤ41A,41Bやグリッド電極42に不要物がまばらに付着することが原因で帯電性能にむら等の劣化が発生することが防止され、感光体ドラム21の周面をより均一(その軸方向と回転方向Aに沿う周方向との双方に対して均一)に帯電することが可能になる。また、帯電装置4を備えた作像ユニット20で形成されるトナー像ひいては用紙9に最終的に形成される画像は、帯電むら等の帯電不良に起因した画質不良(濃度むら等)の発生が低減された良好な画像として得られるようになる。
図9は、送風装置5の性能特性(送風ダクトの出口での風速分布)を調べた評価試験の結果を示す。
試験は、送風ダクトの出口からの平均流速が約1.0m/秒になる風量の空気を送風機50から導入し、その出口53の長手方向Bにおける風速を測定した。測定は、風速計(ケンブリッジアキュセンス社製:F900)を使用し、図8に示すように出口53の感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)とその回転方向A下流側に位置する端部位置P2(post位置)との2箇所において風速計を長手方向Bに移動させることで行った。
送風ダクト51としては、その全体の形状が図3〜図6に示すようなものであり、その入口52が22mm×23mmのほぼ正方形の開口形状であり、出口53が17.5mm×350mmの長方形の開口形状であるものを使用した。また、抑制部61は、隙間63の高さHが1〜2mmの範囲内で傾斜する寸法で、経路長Mが8mm、幅Wが345mmとなるように構成した。さらに、最下流の抑制部62は、孔径が1mm、長さが3mmの通気孔71を密度が0.42個/mm2(=42個/cm2)となる条件で設けた多孔部材70を用いて構成した。
また、衝立部材80の下端部と第2の抑制部62との間隙Gは、6mm、厚さTは2mmであるものを使用し、第2の抑制部62の短手方向Cに沿った中央部に対応した位置に配置した。
図9及び図10に示すように、衝立部材80を設けた場合と設けない場合のいずれでもコロナ放電ワイヤ41上の平均風速は、ほぼ1m/秒で違いはなかったが、出口53の感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)とその回転方向A下流側に位置する端部位置P2(post位置)とにおける風速の比が、衝立部材80を設けた場合には、0.97とほぼ均一であったが、衝立部材80を設けない場合には、0.84と感光体ドラム21の回転方向A下流側に位置する端部位置P2(post位置)の風速が大きくばらつきが存在することが判った。
[実施の形態2]
図11はこの発明の実施の形態2に係る送風装置を示すものであり、その送風装置における送風ダクトを示している。
この送風装置5は、構成の一部が異なる送風ダクト51を使用するように変更した以外は実施の形態1に係る送風装置5と同じ構成となっている。その送風ダクト51は、図11に示すように、実施の形態1における衝立部材80の長さLが実施の形態1よりも長く設定されており、衝立部材80の端部と第2の抑制部62との間隙Gが相対的に小さく設定されている。
この送風装置5では、図11に示すように、衝立部材80の端部と第2の抑制部62との間隙Gが相対的に小さく設定されているため、上流側の空間81A内で残留(滞留)する空気の流量が相対的に増加し、下流側の空間81B内で残留(滞留)する空気の流量が相対的に減少する。そのため、出口53の感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速が上昇し、その回転方向A下流側に位置する端部位置P2(post位置)から吹きだされる風速が低下する傾向となる。
したがって、帯電装置4の長手方向Bに沿って出口53の感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速が遅い領域においては、衝立部材80の長さLを長く設定し、衝立部材80の端部と第2の抑制部62との間隙Gを小さくすることにより、感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速を増加させることができ、結果的に、帯電装置4の長手方向Bに沿ったいずれの位置においても短手方向Cに沿った風速むらを揃えることが可能となる。
[実施の形態3]
図12はこの発明の実施の形態3に係る送風装置を示すものであり、その送風装置における送風ダクトを示している。
この送風装置5は、構成の一部が異なる送風ダクト51を使用するように変更した以外は実施の形態1に係る送風装置5と同じ構成となっている。その送風ダクト51は、図12に示すように、衝立部材80の先端部(下端部)を空気の流れに沿った方向に対して上流側に向けて傾斜して配置したものである。なお、衝立部材80の基端部(上端部)の位置は実施の形態1と同じ位置に設定している。
この送風装置5では、図12に示すように、感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速が速い位置においては、衝立部材80を上流側に向けて傾斜させることで上流側の空間81Aの容積を減少させるとともに下流側の空間81Bの容積を増加させ、感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速を低下させることで、回転方向A下流側に位置する端部位置P2(post位置)から吹きだされる風速との比率をほぼ等しくすることが可能となる。
また、この送風装置5では、感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速が遅い位置においては、衝立部材80を下流側に向けて傾斜させることで上流側の空間81Aの容積を増加させるとともに下流側の空間81Bの容積を減少させ、感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速を増加させることで、回転方向A下流側に位置する端部位置P2(post位置)から吹きだされる風速との比率をほぼ等しくすることが可能となる。なお、衝立部材80を傾斜させる方向は、空気の流れに沿った方向の上流側に限らず、下流側に向けて傾斜させても良いことは勿論である。
[実施の形態4]
図13はこの発明の実施の形態4に係る送風装置を示すものであり、その送風装置における送風ダクトを示している。
この送風装置は、構成の一部が異なる送風ダクトを使用するように変更した以外は実施の形態1に係る送風装置と同じ構成となっている。その送風ダクト51は、図14に示すように、実施の形態1における衝立部材80の位置を空気の流れに沿った方向の上流側に移動させて配置したものである。
この送風装置5では、図13に示すように、感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速が速い位置においては、衝立部材80を上流側に配置して上流側の空間81Aの容積を相対的に小さくし、遅い位置においては衝立部材80を下流側に配置して上流側の空間81Aの容積を相対的に大きくすることで、感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる風速と下流側に位置する端部位置P2(post位置)から吹きだされる風速との比率をほぼ等しくすることが可能となる。
図14は、送風装置5の性能特性(送風ダクトの出口での風速分布)を調べた評価試験の結果を示す。なお、試験は、実施の形態1の評価試験と同様の条件において行った。
図14(a)に示すように、衝立部材80の長さを変化させた場合と衝立部材80の傾斜角度を変化させた場合とで、いずれも平均風速の値は実施の形態1の衝立部材80を用いた場合とで、出口53からコロナ放電ワイヤ41の位置に吹きだされる平均風速はほとんど変化がないことが判明した。
一方、図14(b)に示すように、衝立部材80の長さを長く設定した場合には、感光衝立部材80を上流側に向けて傾斜させることで上流側の空間81Aの容積を減少させる体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる空気の風速が増加し、衝立部材80を感光体ドラム21の回転方向A下流側に向けて傾斜させた場合には、感光体ドラム21の回転方向A下流側に位置する端部位置P2(post位置)から吹きだされる空気の風速が増加することがわかる。
このように、前記実施の形態においては、衝立部材80の長さや設置角度を変化させることで、風速の平均値(風量)をほとんど変化させることなく、感光体ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)から吹きだされる空気の風速と、下流側に位置する端部位置P2(post位置)から吹きだされる空気の風速との比率を調整し、出口53の短手方向Cに沿った風速をほぼ揃えることが可能となる。