JP2014189929A - 意匠糸の製造方法及び意匠糸の製造装置 - Google Patents

意匠糸の製造方法及び意匠糸の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】糸の種類に関わらず均一な品質の起毛糸を得ることができる意匠糸の製造方法及び当該意匠糸の製造装置を提供する。
【解決手段】糸1を一定方向に送りながら、前記糸1の送り方向と交差する方向に回転する粗面体4に対して、前記糸1に張力が付与された状態で該糸1を接触させることによって前記糸の表面を起毛させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面が起毛加工された意匠糸の製造方法及び当該意匠糸の製造装置に関するものである。
従来から、糸表面に起毛加工を施して毛羽を付与した意匠糸が知られている。この意匠糸は、糸表面に形成された毛羽により嵩高となり、当該意匠糸を使用した生地はいわゆるピーチスキン状の柔らかな肌触りとなって保温性が増し、生地の地合いを厚くすることができる。
このような起毛加工を施した意匠糸を製造する方法として、針が突出した起毛機にループヤーンを通すことにより、当該ループの一部を引き出したり切断したりして糸表面に突出させる方法が知られている。しかし、この製造方法では、起毛機の針に引掛け可能なループを有する糸でないと起毛することができず糸の種類が限定されるといった問題があった。また、ループを引掛けて引き出しこれを切断して起毛することから、起毛された毛が長くなったり、引き出された長い毛が抜けやすくなったりして、このような糸を用いて得られる織物では、ピーチスキン状の柔らかな肌触りが得られないといった問題もあった。さらに、意匠糸の芯糸にポリウレタン繊維を使用する場合、ポリウレタン繊維が起毛機の針に引掛けられて切れ易いといった問題があった。
これらの問題に対して、特許文献1には、摩擦体としての環状型砥石により起毛加工を施す方法及び装置が開示されている。具体的には、チーズから引き出された糸を送り出しローラを介して中空スピンドルに導き、中空スピンドルと同速で回転するフライヤー装置で糸をバルーン形状とし、形成されたバルーンを環状型砥石の内面に接触させることで起毛加工を施すものである。この方法によれば、針に糸のループを引掛けるといった工程が存在しないため、ループヤーンに限らず多くの種類の糸を起毛することが可能である。
特開2001−049543号公報
しかしその一方で、特許文献1に記載の技術では、フライヤー装置でバルーン形状に形成された糸を環状型砥石の内面に接触させていることから、バルーン自体の形状が安定せず、バルーン部分と環状型砥石との接触状態を良好に保てない。その結果、環状型砥石に対する糸の当り方が一様とはならないため、糸を均一に起毛させることが難しく、均質な起毛糸を得ることが極めて難しいといった問題があった。
また、特許文献1に記載の技術では、固定された状態で配設された環状型砥石に対して、バルーン形状の糸を所定速度で送りながら接触させる構成となっている。したがって、環状型砥石に対するバルーン形状の糸の回転速度や、環状型砥石を通過する際の糸の送り速度によって、起毛度合いが決定されることになる。しかし、バルーン形状の糸では、糸の送り速度を調整することが難しく、環状型砥石に対する接圧調整も難しいため、これによっても起毛ムラが生じやすくなって均質な起毛糸が得られない原因となっていた。
本発明は、これら表面が起毛加工された従来の意匠糸の製造方法及びその製造装置における課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、糸の種類に関わらず均一な品質の起毛糸を得ることができる意匠糸の製造方法及び当該意匠糸の製造装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の意匠糸の製造方法に係る発明では、糸を一定方向に送りながら、前記糸の送り方向と交差する方向に回転する粗面体に対して、前記糸に張力が付与された状態で該糸を接触させることによって前記糸の表面を起毛させることを要旨とする。
この構成によれば、糸は粗面体に対して接触することでその表面が起毛することから、ループを有しない糸であっても起毛することが可能であり、糸の種類を問わず多種類の糸を起毛させることができる。
また、糸は張力が付与された状態で粗面体に接触するため、粗面体に対する接触状態が安定し、糸に付与される起毛ムラを抑制することができる。さらに、粗面体自身も回転しているため、糸と粗面体との接触状態を安定させることができる。これにより、均一な品質の起毛糸を得ることができる。そして、糸の起毛度合いが糸の送り出し速度のみならず、粗面体の回転速度にも依存していることから、これら両速度を調整することで糸の起毛度合いを多様なものとすることができ、多種多様な起毛糸を得ることができる。
好ましくは、前記回転する粗面体に対して前記糸を線接触させる。
この構成によれば、粗面体に対する糸の接触状態をより安定させることができる。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の意匠糸の製造装置に係る発明では、糸を送る上流側ガイドローラと、前記糸の送り方向と交差する方向に回転して、前記上流側ガイドローラから送り出された糸と接触する粗面体と、前記粗面体に接触した糸を送る下流側ガイドローラと、前記下流側ガイドローラから送り出された糸を巻き取る巻取ローラを備えたことを要旨とする。
この構成によれば、上流側ガイドローラ及び下流側ガイドローラによって送られる糸の送出速度を制御することにより、粗面体表面を通過する糸に適度な張力を付与することができる。これにより、上流側ガイドローラと下流側ガイドローラとの間に配設された粗面体と糸との接触状態を安定させることができる。したがって、粗面体を通過した糸には均一な起毛が付与されて、均一な品質の起毛糸を得ることができる。
本発明によれば、糸の種類に関わらず均一な品質の起毛糸を得ることができる。
意匠糸の製造装置の概略図。 粗面体に糸を接触させる状態の斜視図。
(起毛糸の製造装置について)
以下、表面が起毛加工された起毛糸としての意匠糸の製造方法及び当該意匠糸の製造装置についての一実施形態について説明する。まず、本実施形態の起毛糸の製造装置について説明する。
図1に示すように、起毛糸の製造装置は、起毛前の原糸1が巻きつけられたコーンから原糸1を引き出す駆動ローラ2、粗面体4の上流側に配置されて駆動ローラ2からの原糸1をガイドする上流側ガイドローラ3、原糸1を起毛して起毛糸10とする粗面体4、粗面体4を回転駆動する中空軸7、中空軸7の下流側に配置されて粗面体4からの起毛糸10をガイドする下流側ガイドローラ8、及び起毛糸10を巻取り芯に巻き取る巻取りローラ9から構成されている。以下、これらの構成要素について順次説明する。なお、ここで言う上流、下流とは、原糸1(起毛糸10)の送出方向(図1の矢印A方向)における相対的な関係を言う。
原糸1として用いられるものは、素材、繊維の長短、撚り等について特に限定されるものではない。フィラメント糸であっても紡績糸であってもよく、綿糸や麻糸等の植物性繊維、絹糸や毛糸等の動物性繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、或いはこれらの素材を複数組み合わせた混紡糸であってもよい。さらに紡績糸としては、単糸、双糸、或いは3本以上の単糸を撚り合わせた糸であってもよく、その撚り方向についても特に限定されない。また、ループヤーン、スラブヤーン、ネップヤーン、リングヤーン、ノットヤーン等の意匠糸であってもよい。
原糸1が巻きつけられたコーンの下流側には、図示しない駆動源により駆動される駆動ローラ2及び上流側ガイドローラ3を介して、原糸1が送り込まれる粗面体4が配設されている。
図1及び図2に示すように、粗面体4は、金属製の台座6上に円環状の環状砥石5が積層されて形成されている。環状砥石5の大きさ、すなわち上面51の外径、内径及び側面52の高さは、原糸1の性状、起毛糸10の起毛度合いに応じて適宜決定することができる。また、環状砥石5の上面51の両側縁53は、原糸1が接触する際に切れ難いようにR形状となっている。環状砥石5の粒度についても同様に原糸1の性状、起毛糸10の起毛度合いに応じて適宜決定することができるが、通常、粒度JIS表示で80番〜800番のものを使用することが好ましい。
台座6は略円板状の平板部61と、平板部61の中央から下方に向けて突出形成される円筒状の筒部62とから形成されている。平板部61の中央には、孔63が形成されるとともに、筒部62内には中空部64が形成され、孔63と連通している。中空部64は、筒部62の上へ行くほどその内径が徐々に小さくなるように形成されている。台座6は環状砥石5を中空軸7と一体回転するための部材である。
中空軸7は、従来の仮撚り加工装置に用いられる中空スピンドルを使用することができる。中空軸7は図示しないスピンドルテープにより回転される。本実施形態では、左右両方向(図2のB方向及びC方向)のいずれにも回転できるように構成されている。中空軸7の回転速度は、使用する環状砥石5の周速度を考慮するとともに、原糸1の性状及び起毛糸10の起毛度合いに応じて適宜決定することができる。また、中空軸7の外径は、台座6の筒部62の中空部64の内径に対応して形成されている。換言すれば、中空軸7を台座6の筒部62に挿入したとき、中空軸7の先端が筒部62の中空部64内部に保持されるようにその外径が形成されている。
図1に示すように、粗面体4及び中空軸7の上流側及び下流側には、上流側ガイドローラ3及び下流側ガイドローラ8からなる一対のガイドローラが配設されている。これら一対のガイドローラ3、8は、いずれも図示しない駆動源にて駆動される。上流側ガイドローラ3は、環状砥石5の側方に配置されて、上流側ガイドローラ3から送出される原糸1が環状砥石5の上面51と同じ高さ(上面51が水平であることが前提となる。)か、或いはわずかに下方から供給されるように配置される。上流側ガイドローラ3と環状砥石5とをこのような位置関係とすることにより、上流側ガイドローラ3から送出される原糸1が環状砥石5の上面51に対して確実に線接触する状態となる。また、上流側ガイドローラ3から送出される原糸1が環状砥石5の上面51よりわずかに下方から送出されるように配置することにより、原糸1の環状砥石5に対するあたりの深さを調整することができる。このようにして、起毛糸10の起毛度合いを適宜設定することができる。
一方、下流側ガイドローラ8は、中空軸7の直下方に配置されており、環状砥石5で起毛されて中空軸7から送出される起毛糸10が中空軸7の下端と接触しないようになっている。これは、環状砥石5の上面51に線接触して起毛された起毛糸10が中空軸7の下端によって損傷したり切断したりすることを回避するためである。
上流側ガイドローラ3と下流側ガイドローラ8とは通常、同速となるように駆動されている。これにより、原糸1及び起毛糸10に一定の張力が付与されてたるみが生じることがなく、また、過度の張力が作用することもないため、引張りによる原糸1或いは起毛糸10の切断といった事態が回避される。上流側ガイドローラ3と下流側ガイドローラ8による原糸1及び起毛糸10の送出速度は、原糸1の性状、起毛糸10の起毛度合いに応じて適宜決定することができる。また、原糸1及び起毛糸10の送出速度は、中空軸7の回転速度、すなわち環状砥石5の回転速度との関係においても適宜決定することができる。糸の送出速度及び環状砥石5の回転速度を適宜変更することにより、多種多様な起毛糸10を得ることができる。
下流側ガイドローラ8の下流には、図示しない駆動源で駆動する巻取りローラ9及び図示しないトラバーサが配設され、起毛糸10はトラバーサを経由して巻取りローラ9上の巻取り芯に順次均等に巻き取られていく。
(作用について)
以上詳述した本実施形態の起毛糸10の製造装置の作用について以下に説明する。
環状砥石5の上面51に原糸1を接触させていることから、環状砥石5の表面の凹凸が原糸1の表面を起毛させるように作用する。
粗面体4の上流側に配置された上流側ガイドローラ3と下流側に配置された下流側ガイドローラ8とを回転駆動することにより、原糸1及び起毛糸10に張力を付与している。そして、これら一対のガイドローラ3、8を同速で駆動させていることから、原糸1は張力が掛かった状態で環状砥石5に接触するように作用する。
上流側ガイドローラ3は環状砥石5の側方に配置されているため、上流側ガイドローラ3から送出される原糸1は、環状砥石5の上面51と同じ高さか、わずかに下方位置から供給される。したがって、上流側ガイドローラ3から送出される原糸1は、環状砥石5の上面51に対して線接触する状態となっている。
原糸1の送出方向(A方向)に対して、環状砥石5を回転させるとともに、その回転方向(B、C方向)が原糸1の送出方向に直交している。したがって、原糸1と環状砥石5との間には、2方向に移動するような力が作用する。
原糸1の送出速度と環状砥石5の回転速度を適宜変更することにより、原糸1に対する環状砥石5の接触態様を変化させることができる。
環状砥石5の上面51に形成されたR形状の両側縁53は、環状砥石5に接触した原糸1の損傷、切断を抑制するように作用する。
中空軸7は、粗面体4を支持して回転させるとともに、その内部で起毛糸10を案内するように作用する。
(起毛糸の製造方法について)
次に、本実施形態の起毛糸の製造方法について説明する。
図1に示すように、まず、原糸1が巻きつけられたコーンを製造装置の所定位置に設置し、コーンから引き出した原糸1を、駆動ローラ2、上流側ガイドローラ3を介して粗面体4の孔63に挿入する。孔63から台座6及び中空軸7の内部を通って引き出された原糸1の先端を、下流側ガイドローラ8を介して巻取りローラ9の巻取り芯に巻きつける。製造装置をこのような初期状態に設定した後に、原糸1の性状及び要求される起毛糸10の起毛度合いに基づいて、原糸1をA方向に所定速度で送り出すとともに、粗面体4を中空軸7の回転によって所定速度で回転させる。このとき、原糸1及び起毛糸10には上流側ガイドローラ3と下流側ガイドローラ8での送り速度に基づいて所定の張力が付与されている。原糸1を送り出す上流側ガイドローラ3が環状砥石5の側方に配置されて、上流側ガイドローラ3から送出される原糸1が環状砥石5の上面51と同じ高さか、或いはわずかに下方から供給されるようになっていることから、原糸1の送出と粗面体4の回転によって、原糸1は環状砥石5の回転方向に対して直交するようにして、環状砥石5の上面51に対して線接触する。このようにして、環状砥石5に線接触した原糸1の表面が起毛されて起毛糸10が製造される。
原糸1から起毛糸10を製造する場合、原糸1の性状及び要求される起毛糸10の起毛度合いにより、製造に先立って予め次の事項を決定する。
(A)環状砥石5の粒度
(B)中空軸7の回転速度、すなわち環状砥石5の回転速度
(C)環状砥石5の上面51に対する上流側ガイドローラ3の位置、すなわち環状砥石5に対する原糸1のあたりの深さ
(D)環状砥石5の回転方向
(E)環状砥石5に対する原糸1の送出速度
(F)原糸1及び起毛糸10に掛かる張力の強さ
(A)で規定する環状砥石5の粒度は、上述のとおり、通常、粒度JIS表示で80番〜800番を使用することが好ましい。
(B)で規定する環状砥石5の回転速度は、中空軸7が1分間に回転する回転数として規定され、(E)で規定する原糸1の送出速度は、上流側ガイドローラ3及び下流側ガイドローラ8が1分間に原糸1及び起毛糸10を何メートル送出するかで規定している。本実施形態では、上流側ガイドローラ3と下流側ガイドローラ8のそれぞれの送出速度を同じく設定している。そして、環状砥石5の回転速度を、原糸1の送出速度と、原糸1が1メートル送出される間の環状砥石5の回転数とから決定するものとする。環状砥石5の回転速度は、使用する環状砥石5の周速度によってその上限値が制限されるものであるが、例えば、原糸1の送出速度が20m/minとなるようにし、原糸1が1メートル送出される間の環状砥石5の回転数を400回転となるように設定した場合では、環状砥石5の回転速度は、8000回転/minとなる。環状砥石5の回転速度を例えば8000rpm以下となるように設定した場合、原糸1及び起毛糸10の送出速度は、1〜100m/minに設定することが望ましい。
(C)で規定する環状砥石5の上面51に対する上流側ガイドローラ3の位置は、環状砥石5の上面51に対する原糸1のあたりの深さを決定する。起毛度合いを高くしたい場合には、上流側ガイドローラ3の位置を、当該上流側ガイドローラ3から送出される原糸1が環状砥石5の上面51よりやや下方から供給されるように配置する。逆に、起毛度合いを低くしたい場合には、上流側ガイドローラ3の位置を環状砥石5の上面51の側方に配置して、上流側ガイドローラ3から送出される原糸1が環状砥石5の上面51に対して水平状態で線接触するようにする。
(D)で規定する環状砥石5の回転方向は、原糸1の撚り方向に基づいて決定されることが好ましい。通常は、加撚された原糸1が解撚される方向に環状砥石5が回転するようにすると起毛が好適に付与されることから好ましい。例えば、S撚りの原糸1に対しては、環状砥石5を図1に示すC方向へ回転させる。逆に、Z撚りの原糸1に対しては、環状砥石5を図1に示すB方向へ回転させる。ただし、芯糸としてポリウレタン繊維が使用されている場合では、原糸1が解撚される方向へ環状砥石5を回転させると、ポリウレタン繊維が剥き出しになって切れやすいため好ましくない。この場合には、(E)で規定する環状砥石5に対する原糸1のA方向への送出速度に対し、(B)で規定する環状砥石5の回転速度を遅くするなどしてポリウレタン繊維の切断を回避するようにしてもよい。
(F)で規定する原糸1及び起毛糸10に掛かる張力の強さは、上流側ガイドローラ3での原糸1の送出速度と下流側ガイドローラ8での起毛糸10の送出速度により決定される。通常、上流側ガイドローラ3と下流側ガイドローラ8とは同速で駆動されて、原糸1及び起毛糸10にたるみが生じることなく一定の張力が付与され、また、過度の張力が作用することもないように構成されている。
(効果)
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)環状砥石5の表面の凹凸が原糸1の表面を起毛させることから、従来の針が突出した起毛機とは異なり起毛させる糸の種類を問わない。ループを有しない糸であっても起毛させることが可能であり、各種のファンシーヤーンはもとより、通常の紡績単糸や撚糸された双糸等、糸の種類を問わず多種多様の糸を起毛させることができる。
(2)原糸1の表面を環状砥石5表面の凹凸で引っ掻くことで、原糸1表面の繊維を切断し産毛状の起毛を得ることができる。また、従来の針起毛機では引き切られ易かったポリウレタン繊維を切れないように調整することが容易である。
(3)従来の針起毛機ではループヤーンのループを引っ掛けて起毛していたため、糸内部の繊維が引き出されて切断され、起毛した部分は10mm以上の長い毛となっていた。しかし、本実施形態の環状砥石5での起毛によれば、原糸1の表面だけを分繊させることができるため5mm以下の短い毛とすることができる。このような短い毛を有する起毛糸では毛抜けが少なく、また、このような起毛糸10から得られる生地はピーチスキン状の柔らかな肌触りとなる。
(4)上流側ガイドローラ3と下流側ガイドローラ8とが同速で回転しているため、原糸1は張力を付与した状態で環状砥石5の上面51に線接触することができる。これにより、環状砥石5に対する原糸1の接触状態を安定させることができるため、原糸1の表面に均質な起毛を付与して均質な起毛糸10を得ることができる。また、同速で回転する上流側ガイドローラ3及び下流側ガイドローラ8間では過度の張力が原糸1及び起毛糸10に掛かることが回避されるため、原糸1及び起毛糸10の損傷を好適に抑制することができる。
(5)上流側ガイドローラ3は環状砥石5の側方に配置されて、環状砥石5の上面51と同じ高さか、わずかに下方の位置から原糸1を供給している。したがって、環状砥石5の上面51に対して原糸1を安定した状態で接触させることができる。
(6)環状砥石5が中空軸7により回転することから、原糸1と環状砥石5との間には、A方向の摩擦力と、B、C方向の摩擦力とが作用する。環状砥石5が回転されていない従来のものと比較して、より多様な起毛を生じさせることができる。
(7)環状砥石5を回転させるとともに、原糸1の送出方向と環状砥石5の回転方向とを直交させている。環状砥石5の回転により原糸1が周方向に回転するため、原糸1の全周に亘って起毛させることができ、表面の起毛度合いを多種多様なものとすることができる。
(8)原糸1の送出速度と環状砥石5の回転速度とを、原糸1の性状、起毛糸10の起毛度合いに応じて適宜決定することができる。したがって、これらの速度を適宜組み合わせることにより起毛糸10の表面状態がさらに多様なものを得ることができる。
(9)環状砥石5の上面51に形成されたR形状の両側縁53により、環状砥石5に接触した原糸1の損傷、切断を抑制することができるため、得られる起毛糸10の外観形状が良好となる。
(9)中空軸7は、粗面体4を支持して回転させるとともに、その内部で起毛糸10を案内する部材であり、本実施形態では、公知の中空スピンドルを使用している。したがって、既存の設備を使用して起毛糸10を製造することができ、コスト的に有利である。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよく、また、以下の変更例を組み合わせてもよい。
・ 本実施形態の製造装置では、粗面体4として環状砥石5を使用したが、表面に凹凸が形成されているものであればこれに限られない。表面に凹凸が形成された金属であってもよい。例えば、金属表面にダイヤモンドを付着させたり、ブラスト加工を施したりしたものであってもよく、フッ素処理を施したりしたものであってもよい。
・ 本実施形態の製造装置では、環状砥石5の上面51の両側縁53をR形状としたが、必ずしもこれに限られない。一方の側縁のみをR形状としてもよく、両側縁53ともR形状となっていなくてもよい。
・ 本実施形態の製造装置では、駆動ローラ2、上流側ガイドローラ3、及び下流側ガイドローラ8をともに図示しない駆動源にて駆動する構成としたが、これに限定されない。下流側ガイドローラ8のみを駆動源にて駆動させ、駆動ローラ2及び上流側ガイドローラ3に代えて、駆動源にて駆動されないテンション装置を配置してもよい。この場合、原糸1が環状砥石5に接触する際に好適な張力が付与されていればよく、テンション装置として従来公知のものを使用することができる。例えば、原糸1に対する張力を調整可能なテンションリングを用いることもできる。
・ 本実施形態の製造方法では、原糸1を直線状に送出するとともに、環状砥石5を回転させたが、原糸1を直線状に送出させるのみならず、環状砥石5とともに回転させてもよい。
・ 本実施形態の製造方法では、原糸1の送出方向に対して環状砥石5の回転方向が直交するように構成したが、必ずしも直交していなくてもよい。これらの方向が交差していれば、環状砥石5の回転に伴って原糸1が回転することができるため、原糸1の全周に亘って起毛を付与することができる。
・ 本実施形態の製造方法では、上流側ガイドローラ3を環状砥石5の側方に配置して、当該上流側ガイドローラ3から送出される原糸1が環状砥石5の上面51に対して水平状態で線接触するか、或いは、環状砥石5の上面51よりやや下方から供給されるようにしている。しかし、環状砥石5に対する上流側ガイドローラ3の配置は、これに限定されるものではなく、当該上流側ガイドローラ3から送出される原糸1が環状砥石5の上面51よりやや上方から供給されるように配置してもよい。このようにすれば、起毛糸10の起毛度合いを適宜調整することができる。
・ 原糸1を環状砥石5に線接触させる場合、環状砥石5の接触面は直線状に限られず円弧状であってもよい。
・ 本実施形態の製造方法では、環状砥石5の回転方向を撚糸の解撚方向に設定したが、これと逆方向であってもよい。
さらに、本実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)糸の送り方向と直交する方向に回転する粗面体に対して、該糸を接触させる請求項1又は2記載の意匠糸の製造方法。
(ロ)前記粗面体は環状砥石である請求項3記載の意匠糸の製造装置。
(実施例1)
原糸1としてポリウレタン繊維を芯糸とし、アクリル繊維を浮糸とし、ナイロンを押え糸としたループヤーンを用いた。環状砥石5は、粒度150番、上面51の外径寸法75mm、内径寸法50mmであり、側面の高さ13mmのものを使用した。原糸1の送出速度は20m/minに設定するとともに、中空軸7を原糸1が1m送出される間に350回転するように設定した。したがって、中空軸7の回転速度は、7000rpmである。また、巻取りローラ9の巻取り速度は、原糸1の送出速度と同速である20m/minに設定した。
(実施例2)
原糸1としてウール100%の紡績糸を用いた。環状砥石5は、実施例1と同じものを使用した。原糸1の送出速度及び巻取りローラ9の巻取り速度は実施例1と同じ20m/minに設定した。また、中空軸7を原糸1が1m送出される間に360回転するように設定した。したがって、中空軸7の回転速度は、7200rpmである。
(起毛糸の評価方法)
実施例1、2で得られた起毛糸の感触を手触りで判断した。これによれば、実施例1、2とも起毛加工することにより、嵩高の柔らかい感触となった。
1…原糸(糸)、3…上流側ガイドローラ、4…粗面体、8…下流側ガイドローラ、9…巻取りローラ、10…起毛糸(意匠糸)。

Claims (3)

  1. 糸を一定方向に送りながら、前記糸の送り方向と交差する方向に回転する粗面体に対して、前記糸に張力が付与された状態で該糸を接触させることによって前記糸の表面を起毛させる意匠糸の製造方法。
  2. 前記回転する粗面体に対して前記糸を線接触させる請求項1記載の意匠糸の製造方法。
  3. 糸を送る上流側ガイドローラと、
    前記糸の送り方向と交差する方向に回転して、前記上流側ガイドローラから送り出された糸と接触する粗面体と、
    前記粗面体に接触した糸を送る下流側ガイドローラと、
    前記下流側ガイドローラから送り出された糸を巻き取る巻取りローラを備えた意匠糸の製造装置。
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