JP2014188980A - サーマルプリントヘッド - Google Patents

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隆司 古川
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Abstract

【課題】主走査方向の精細度を高める。
【解決手段】サーマルプリントヘッドにおいて、長方形の絶縁基板22と配線層と保護膜29とを備える。配線層は、絶縁基板22の表面に積層された第1抵抗体層61と第1電極層62と絶縁層63と第2抵抗体層64と第2電極層65とを有する。第1抵抗体層61には、絶縁基板22の長手方向に間隔を置いて配列された第1発熱抵抗体60が形成されている。第1発熱抵抗体60は、第1電極層62に形成された第1電極に接続する。第2抵抗体層64には、第1発熱抵抗体60に重なる位置に、第2発熱抵抗体26が形成されている。第1電極層62および第2電極層65に形成された電極は、積層方向に延びる折返電極71,72で接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、サーマルプリントヘッドに関する。
近年、サーマルプリントヘッドは、ビデオプリンターやイメージャー、シールプリンターなどの出力用デバイスとして注目されている。サーマルプリントヘッドは、保温層を有する支持基体上に配列された発熱抵抗体を発熱させることによって、感熱紙や、製版フィルム印画紙、メディアなどに記録を行うものである。サーマルプリントヘッドに関して、低騒音、低ランニングコストなどの利点から、様々な開発が行われている。
サーマルプリントヘッドの支持基体は、たとえばアルミナなどのセラミック基板上に、保温層としてグレーズ層を形成したものである。この支持基体の表面に抵抗体層および導電層をスパッタ法などの薄膜形成法によって積層形成し、パターニングプロセスを通すことによって、対となる発熱抵抗体と個別電極とが一線上に形成される。さらに、抵抗体層および導電層の必要部位に保護被膜層をスパッタ法などの薄膜形成法で形成することによって、サーマルプリントヘッドのヘッド基板が形成される。
このヘッド基板と別途製造された回路基板とが放熱板で合体される。ヘッド基板の放熱板への接着には、接着剤による固定、両面テープによる固定などの方法が一般的に用いられる。ヘッド基板、回路基板および放熱板の合体の後、電極に駆動IC(Integrated Circuit)を介して回路基板とボンディングワイヤーで接続される。このボンディングワイヤーを樹脂封止するなどして、サーマルプリントヘッドが完成する。
特開2012−66476公報
サーマルプリントヘッドでは、精細度が高くなるにつれ、発熱抵抗体の面積が小さくなる。発熱抵抗体の面積が小さくても、発熱量を大きくする、すなわち、抵抗値を高めるには、抵抗体材料を変える方法がある。しかし、抵抗体材料の変更に伴い、別の問題が生じる場合がある。あるいは、主走査方向に並んだ2つの抵抗体を電気的に直列に接続する方法がある。主走査方向に並んだ2つの抵抗体を1つの画点として用いると、主走査方向の精細度を高めにくい。
そこで、本発明は、サーマルプリントヘッドの主走査方向の精細度を高めることを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明は、サーマルプリントヘッドにおいて、長方形の絶縁基板と、前記絶縁基板の表面に積層された第1抵抗体層と第1電極層と絶縁層と第2抵抗体層と第2電極層とを有し、前記絶縁基板の長手方向に間隔を置いて配列されて前記第1電極層に形成された第1電極に接続する複数の第1発熱抵抗体が前記第1抵抗体層に形成されていて、前記絶縁基板の長手方向に間隔を置いて配列されて前記第2電極層に形成された第2電極に接続する複数の第2発熱抵抗体が前記第2抵抗体層に形成されていて、前記長手方向の同じ位置に形成された前記第1発熱抵抗体と前記第2発熱抵抗体とが積層方向に延びる折返電極で接続されている配線層と、前記配線層を覆う保護膜と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、サーマルプリントヘッドの主走査方向の精細度を高めることができる。
本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態のヘッド基板の断面を示す図2のI−I矢視断面図である。 図1のII−II矢視断面図である。 本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の一部切欠き上面図である。 本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態を用いたサーマルプリンタの一部の断面図である。
本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
図1は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドのヘッド基板の断面を示す図2のI−I矢視断面図である。図2は、図1のII−II矢視断面図である。図3は、本実施の形態におけるサーマルプリントヘッドの一部切欠き上面図である。
本実施の形態のサーマルプリントヘッドは、ヘッド基板20、放熱板30および回路基板40を有している。ヘッド基板20は、長方形板状の絶縁基板22を有している。絶縁基板22は、たとえばアルミナなどのセラミック板21の表面にガラスのグレーズ層25を融着させた電気絶縁性の平板である。
絶縁基板22の表面には、第1抵抗体層61と第1電極層62と絶縁層63と第2抵抗体層64と第2電極層65とがこの順番で積層されている。第1抵抗体層61には、主走査方向すなわち絶縁基板22の長手方向に間隔を置いて配列された抵抗体パターンが形成されている。それぞれの抵抗体パターンは、副走査方向すなわち絶縁基板22の短手方向に延びている。それぞれの抵抗体パターンと同じ位置に電極のパターンが第1電極層62に形成されている。第1電極層62中の電極のパターンには、それぞれ副走査方向に空隙が形成されている。この空隙部分が、第1発熱抵抗体60となる。第1電極層62の電極のパターンの第1発熱抵抗体60に対して一方の側を第1折返電極71と呼ぶこととする。
第1電極層62、露出した第1抵抗体層61および露出したグレーズ層25は、絶縁層63で覆われている。ただし、第1折返電極71の一部は、絶縁層63で覆われずに露出している。第2抵抗体層64および第2電極層65には、第1抵抗体層61および第1電極層62に重なる位置に、それぞれ抵抗体パターンおよび電極パターンが形成されている。第2電極層65中の電極パターンにも副走査方向の空隙が形成されている。この空隙部分が、第2発熱抵抗体26となる。第2発熱抵抗体26は、第1発熱抵抗体60に重なる位置に形成されている。
主走査方向の同じ位置に形成された第1電極層62中の電極パターンと第2電極層65中の電極パターンとは、第1折返電極71および第2折返電極72で接続されている。つまり、これらの折返電極は、積層方向に延びていることとなる。
第1発熱抵抗体60および第2発熱抵抗体26は、主走査方向に配列されて、絶縁基板22の一方の表面に長辺に沿って帯状に延びる発熱領域24を形成している。第2電極層65、露出した第2抵抗体層64および露出したグレーズ層25は、保護膜29で被覆されている。保護膜29には、第2電極層65の一部を露出させる開口が形成されている。
また、第1電極層62に形成されたパターンは、発熱領域24から遠い方の端辺の近傍で主走査方向に延びる電極パターンに接続され、主走査方向の両端部近傍で第2電極層65中のパッド73に接続している。
第1発熱抵抗体60および第2発熱抵抗体26を発熱させる駆動回路は、たとえば回路基板40の上に駆動用IC42などによって形成されている。駆動用IC42と第2電極層65中の電極パターンおよびパッド73とは、保護膜29に形成された開口を通じて、たとえばボンディングワイヤー44によって電気的に接続されている。また、駆動用IC42と回路基板40に形成された配線パターンの間も、たとえばボンディングワイヤー44によって電気的に接続されている。駆動用IC42およびボンディングワイヤー44は、たとえば樹脂48によって封止されている。発熱領域24に所定の発熱パターンを形成するための制御信号や駆動電力は、たとえばコネクタを介して回路基板40に入力される。
放熱板30は、たとえばアルミニウムなどの金属で形成された板である。放熱板30の一方の面に、ヘッド基板20および回路基板40が固定される。
図4は、本実施の形態におけるサーマルプリンタの一部の断面図である。
本実施の形態のサーマルプリントヘッドを用いたサーマルプリンタは、所定の弾性を持つ材料で円筒状に形成されたプラテンローラ58を有している。このプラテンローラ58は、発熱領域24が延びる方向である主走査方向に平行な直線上に軸59を持つ。また、プラテンローラ58の側面が発熱領域24に接するように配置され、軸59を中心に回転可能に設けられる。
プラテンローラ58の回転によって、プラテンローラ58と発熱領域24との間に挿入された感熱紙などの被印刷体57は、主走査方向に垂直な副走査方向に移動する。プラテンローラ58によって被印刷体57を発熱領域24に押し付けつつ、その被印刷体57を副走査方向に移動させ、発熱領域24の発熱パターンを被印刷体57の移動とともに変化させることにより、所望の画像を媒体上に形成する。
次に、このサーマルプリントヘッドの製造方法について説明する。
まず、たとえば厚さが約1mmのセラミック板21の表面に厚さが約40μmのグレーズ層25を融着させて、絶縁基板22を得る。セラミック板21は、たとえばアルミナ(Al)、シリカ(SiO)、マグネシア(MgO)などで形成される。グレーズ層25は、たとえば耐熱ガラスなどで形成される。グレーズ層25は、たとえばガラスペーストをセラミック板21の表面にスクリーン印刷などによって塗布し、その後、焼成することによって、形成される。
このようにして形成された絶縁基板22の表面に、タンタル(Ta)などがドーピングされたSiOの第1抵抗体層61がスパッタリング法などによって形成される。さらに、第1抵抗体層61の表面に第1電極層62をスパッタリング法などによって積層形成する。第1電極層62は、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、あるいはこれらを主成分とする合金、あるいはこれらの金属または合金の積層体である。第1抵抗体層61および第1電極層62を積層した厚さは、たとえば1μmである。
次に、第1抵抗体層61および第1電極層62をパターニングする。パターニングでは、まず第1電極層62の全面にフォトレジスト膜を塗布した後、そのフォトレジスト膜上に第1のマスクパターンを配置する。その状態で、フォトレジスト膜を露光し、現像することによって、第1のマスクパターンをフォトレジスト膜に転写する。第1のマスクパターンが転写されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして第1電極層62をリン酸などによってウェットエッチングしてパターニングする。これにより、第1電極層62が所定の形状にパターニングされる。
その後、残存した第1電極層62および第1抵抗体層61の表面に第2のマスクパターンを配置する。この第2のマスクパターンは、第1抵抗体層61中の第1発熱抵抗体60の形状を決めるためのパターンである。第2のマスクパターンには、第1発熱抵抗体60およびその両端部に接続された第1電極層62の電極間の空隙と、第1発熱抵抗体60間のスリットとに対応する形状が規定されている。
第2のマスクパターンを配置した状態でフォトレジスト膜を露光し、現像することによって、第2のマスクパターンがフォトレジスト膜に転写される。その後、第2のマスクパターンが転写されたフォトレジスト膜をエッチング膜として、第1抵抗体層61をドライエッチングする。これにより、第1抵抗体層61が所定の形状にパターニングされる。第1発熱抵抗体60およびその表面に積層された電極の幅は、たとえば10μm程度である。隣り合う第1発熱抵抗体60の間の距離は、たとえば10μm程度である。
このようにして、第1抵抗体層61および第1電極層62が所定の形状にパターニングされた後、第1抵抗体層61、第1電極層62および露出したグレーズ層25を覆うように絶縁層63を積層する。ただし、第1電極層62の第2電極層65と接続する部分、すなわち、第1折返電極71の一部は、絶縁層63で覆わずに、露出させておく。絶縁層63は、たとえばSiOやSiONで形成される。絶縁層63の厚さは、たとえば10μm程度である。
このようにして形成された絶縁層63の表面に、タンタル(Ta)などがドーピングされたSiOの第2抵抗体層64がスパッタリング法などによって形成される。さらに、第2抵抗体層64の表面に第2電極層65をスパッタリング法などによって積層形成する。第2電極層65は、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、あるいはこれらを主成分とする合金、あるいはこれらの金属または合金の積層体である。第2抵抗体層64および第2電極層65を積層した厚さは、たとえば1μmである。
次に、第2抵抗体層64および第2電極層65をパターニングする。パターニングでは、まず第2電極層65の全面にフォトレジスト膜を塗布した後、そのフォトレジスト膜上に第3のマスクパターンを配置する。その状態で、フォトレジスト膜を露光し、現像することによって、第3のマスクパターンをフォトレジスト膜に転写する。第3のマスクパターンが転写されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして第2電極層65をリン酸などによってウェットエッチングしてパターニングする。これにより、第2電極層65が所定の形状にパターニングされる。
その後、残存した第2電極層65および第2抵抗体層64の表面に第4のマスクパターンを配置する。この第4のマスクパターンは、第2抵抗体層64中の第2発熱抵抗体26の形状を決めるためのパターンである。第4のマスクパターンには、第2発熱抵抗体26およびその両端部に接続された第2電極層65の電極間の空隙と、第2発熱抵抗体26間のスリットとに対応する形状が規定されている。
第4のマスクパターンを配置した状態でフォトレジスト膜を露光し、現像することによって、第4のマスクパターンがフォトレジスト膜に転写される。その後、第4のマスクパターンが転写されたフォトレジスト膜をエッチング膜として、第2抵抗体層64をドライエッチングする。これにより、第2抵抗体層64が所定の形状にパターニングされる。第2発熱抵抗体26およびその表面に積層された電極の幅は、たとえば10μm程度である。隣り合う第2発熱抵抗体26の間の距離は、たとえば10μm程度である。
このようにして、第2抵抗体層64および第2電極層65が所定の形状にパターニングされた後、第2抵抗体層64、第2電極層65、露出した絶縁層63およびグレーズ層25を覆うように保護膜29を積層する。保護膜29は、高い耐酸化性および耐摩耗性を有する材料である、たとえばSiOやSiONで形成される。保護膜29の厚さは、たとえば10μm程度である。
このようにして、ヘッド基板20が完成する。このヘッド基板20および別途製造した回路基板40を別途製造した放熱板30上で合体する。その後、駆動用IC42を回路基板40上に配置し、駆動用IC42とヘッド基板20上の第1電極層62に形成された電極との間にボンディングワイヤー44を架け渡す。さらに、ボンディングワイヤー44などを樹脂48で封止することなどによってサーマルプリントヘッドが完成する。
このようなサーマルプリントヘッドでは、2つの発熱抵抗体26,60を厚さ方向に重ねて配置しているため、発熱抵抗体26,60の面積、特に副走査方向の長さが小さくなって抵抗値が小さくなっても、発熱量を高くすることができる。したがって、高精細化しても、印画品質を維持することができる。また、2つの発熱抵抗体が重なっているため、温度分布が鋭くなり、省電力化が図れる。
さらに、第1抵抗体層61は、ボンディングワイヤー44と接続されることがないため、ワイヤーボンディングの容易性を考慮して材料を選択する必要がない。つまり、第2電極層65よりも電気抵抗が小さい材料で第1電極層62を形成することにより、全体として抵抗値を小さくなり、消費電力を抑えることができる。たとえば第2電極層65にはワイヤーボンディングの容易性を考慮してアルミニウムあるいはアルミニウム合金を選択し、第1電極層62にはアルミニウムあるいはアルミニウム合金よりも電気抵抗が小さい銅あるいは銅合金を用いてもよい。
20…ヘッド基板、21…セラミック板、22…絶縁基板、24…発熱領域、25…グレーズ層、26…第2発熱抵抗体、29…保護膜、30…放熱板、40…回路基板、42…駆動用IC、44…ボンディングワイヤー、48…樹脂、57…被印刷体、58…プラテンローラ、59…軸、60…第1発熱抵抗体、61…第1抵抗体層、62…第1電極層、63…絶縁層、64…第2抵抗体層、65…第2電極層、71…第1折返電極、72…第2折返電極、73…パッド

Claims (4)

  1. 長方形の絶縁基板と、
    前記絶縁基板の表面に積層された第1抵抗体層と第1電極層と絶縁層と第2抵抗体層と第2電極層とを有し、前記絶縁基板の長手方向に間隔を置いて配列されて前記第1電極層に形成された第1電極に接続する複数の第1発熱抵抗体が前記第1抵抗体層に形成されていて、前記絶縁基板の長手方向に間隔を置いて配列されて前記第2電極層に形成された第2電極に接続する複数の第2発熱抵抗体が前記第2抵抗体層に形成されていて、前記長手方向の同じ位置に形成された前記第1発熱抵抗体と前記第2発熱抵抗体とが積層方向に延びる折返電極で接続されている配線層と、
    前記配線層を覆う保護膜と、
    を具備することを特徴とするサーマルプリントヘッド。
  2. 前記第1電極層は前記第2電極層よりも電気抵抗が小さい材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
  3. 前記第1電極層はアルミニウムを含有し、前記第2電極層は銅を含有することを特徴とする請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
  4. 前記第1発熱抵抗体および前記第2発熱抵抗体を駆動する駆動回路を搭載する回路基板と、
    前記第2電極層と前記回路基板との間に架け渡された金を含有するボンディングワイヤーと、
    をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載のサーマルプリントヘッド。

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