ここで、近年の地球環境問題に対する関心の高まりから、自動販売機においても自然冷媒でオゾン破壊の危険性が無い二酸化炭素を使用することが期待されている。しかしながら、二酸化炭素を使用して一般的な自動販売機の商品(缶飲料やペットボトル飲料)加熱温度である+55℃を実現するためには、超臨界となった冷媒を活用しなければならず、この超臨界状態では前述のような潜熱を活用できないため、運転効率(COP)が悪化する問題がある。
一方で、冷温切換室内を加熱した後、室内熱交換器から出た冷媒は、未だ+60℃程の温度を有している。従って、外気温度が例えば+15℃であるものとすると、前述した高温でも凝縮する冷媒の場合には、図26のp−h線図にX1で示すように外気温度よりも高く、且つ、冷温切換室の加熱には使用していない熱量が残存している。
そして、二酸化炭素冷媒の場合は、図27にX2で示すように図26の場合よりも更に大量の熱量が残存している。冷温切換室を出た冷媒の温度は当該冷温切換室内を適温に維持できる程高くは無いが、外気温度よりは高い。この冷媒が有する熱量を利用できれば大幅な運転効率の改善が期待できる(尚、図26の理論COPは3.65、図27は1.83。図26、図27の室内熱交換器出口冷媒温度は+60℃、冷却専用室の室内熱交換器での冷媒蒸発温度は−5℃。図26の圧縮機入口冷媒過熱度は内部熱交換器により25Kに設定)。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、商品収納室内の加熱を行った後の冷媒が有する熱量を有効に利用して運転効率の改善を図ることができる自動販売機を提供することを目的とする。
本発明の自動販売機は、本体内に複数構成された商品収納室と、冷媒を放熱させて商品収納室内を加熱する第1の室内熱交換器と、冷媒を蒸発させて商品収納室内を冷却する第2の室内熱交換器とを備えたものであって、冷媒を圧縮する低元側圧縮機、第1の室内熱交換器、及び、第2の室内熱交換器を備えた低元側冷媒回路と、冷媒を圧縮する高元側圧縮機、冷媒を放熱させて商品収納室内を加熱する放熱用熱交換器、及び、第1の室内熱交換器を出た冷媒から吸熱する吸熱用熱交換器を備えた高元側冷媒回路とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明の自動販売機は、上記発明において低元側冷媒回路に設けられた室外熱交換器と、各冷媒回路の運転を制御する制御装置とを備え、この制御装置は、低元側冷媒回路の冷媒を第2の室内熱交換器にて蒸発させるモードと、低元側冷媒回路の冷媒を室外熱交換器で蒸発させるモードとを有することを特徴とする。
請求項3の発明の自動販売機は、上記発明において室外熱交換器をバイパスするバイパス回路を備え、制御装置は、バイパス回路に冷媒を流すと共に、低元側冷媒回路の冷媒を第2の室内熱交換器と室外熱交換器の双方で蒸発させるモードを有することを特徴とする。
請求項4の発明の自動販売機は、上記各発明において第1の室内熱交換器及び放熱用熱交換器が設けられた少なくとも一つの商品収納室と、各冷媒回路の運転を制御する制御装置とを備え、この制御装置は、第1の室内熱交換器及び放熱用熱交換器の双方により商品収納室内を加熱するモードを有することを特徴とする。
請求項5の発明の自動販売機は、上記各発明において各冷媒回路の運転を制御する制御装置を備え、この制御装置は、第1の室内熱交換器と放熱用熱交換器により異なる商品収納室内をそれぞれ加熱するモードを有することを特徴とする。
請求項6の発明の自動販売機は、請求項1乃至請求項3の発明において第1の室内熱交換器のみが設けられた少なくとも一つの第1の商品収納室と、第1の室内熱交換器及び放熱用熱交換器が設けられた少なくとも一つの第2の商品収納室と、低元側冷媒回路に設けられ、第2の商品収納室の第1の室内熱交換器への冷媒流量を制限する弁装置とを備え、吸熱用熱交換器は、各第1の室内熱交換器から出た冷媒から吸熱することを特徴とする。
請求項7の発明の自動販売機は、第1の室内熱交換器をバイパスするバイパス回路と、各冷媒回路の運転を制御する制御装置とを備え、この制御装置は、冷媒を第1の室内熱交換器とバイパス回路の双方に流すと共に、高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器が、第1の室内熱交換器を経た冷媒とバイパス回路を経た冷媒の双方から吸熱するモードと、冷媒を第1の室内熱交換器には流さず、バイパス回路に流すと共に、高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器が、バイパス回路を経た冷媒から吸熱するモードとを有することを特徴とする。
請求項8の発明の自動販売機は、上記各発明において高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器に流入する冷媒を膨張させる高元側膨張手段と、低元側冷媒回路の第2の室内熱交換器及び/又は室外熱交換器に流入する冷媒を膨張させる低元側膨張手段とを備え、制御装置は、高元側圧縮機及び低元側圧縮機の吐出圧力が設計上限値より低いことを条件として、それらの吐出温度が所定の高温値となるように高元側膨張手段及び低元側膨張手段をそれぞれ制御することを特徴とする。
請求項9の発明の自動販売機は、上記各発明において室外熱交換器に外気を送風する送風手段を備え、制御装置は、低元側冷媒回路の冷媒を第2の室内熱交換器にて蒸発させ、室外熱交換器にて放熱させるモードにおいて、第2の室内熱交換器により冷却される商品収納室内の温度と所定の商品冷却温度設定値との差に基づき、その差が大きい程室外熱交換器への送風量が増大するように送風手段の運転を制御することを特徴とする。
請求項10の発明の自動販売機は、上記各発明において制御装置は、商品収納室内を加熱する第1の室内熱交換器及び放熱用熱交換器を出た冷媒の温度が、商品収納室内における所定の商品加熱温度よりも高い所定の商品加熱冷媒出口温度となるように高元側圧縮機及び低元側圧縮機の運転を制御することを特徴とする。
請求項11の発明の自動販売機は、請求項4の発明において制御装置は、高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器に入る冷媒温度と、当該吸熱用熱交換器と熱交換した後の低元側冷媒回路の冷媒温度との差に基づき、その差が規定値以上となるよう低元側圧縮機の運転を制御することを特徴とする。
請求項12の発明の自動販売機は、上記各発明において第1の室内熱交換器は、冷却及び加熱の切り換えが可能な商品収納室としての冷温切換室に設けられ、冷媒を放熱させて当該冷温切換室内を加熱し、冷媒を蒸発させて該冷温切換室内を冷却すると共に、第2の室内熱交換器は、冷却専用の商品収納室としての冷却専用室に設けられて当該冷却専用室内を冷却することを特徴とする。
請求項13の発明の自動販売機は、上記各発明において各冷媒回路の冷媒として二酸化炭素を使用することを特徴とする。
本発明によれば、本体内に複数構成された商品収納室と、冷媒を放熱させて商品収納室内を加熱する第1の室内熱交換器と、冷媒を蒸発させて商品収納室内を冷却する第2の室内熱交換器とを備えた自動販売機において、冷媒を圧縮する低元側圧縮機、第1の室内熱交換器、及び、第2の室内熱交換器を備えた低元側冷媒回路と、冷媒を圧縮する高元側圧縮機、冷媒を放熱させて商品収納室内を加熱する放熱用熱交換器、及び、第1の室内熱交換器を出た冷媒から吸熱する吸熱用熱交換器を備えた高元側冷媒回路とを備えているので、第1の室内熱交換器で放熱し、商品収納室内を加熱した後の冷媒が有する熱量を、高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器により汲み上げ、放熱用熱交換器に搬送してそこで放出し、商品収納室内を加熱することができるようになる。
即ち、第1の室内熱交換器を出た商品収納室内を適温に加熱できる程高くは無いが、外気温度よりは高い冷媒が有する熱量を利用して商品収納室内を加熱することが可能となるので、自動販売機の運転効率(COP)を大幅に改善することができるようになる。特に、請求項13の如く二酸化炭素を冷媒として使用する場合には、大量の熱を吸熱用熱交換器により吸い上げることができるようになり、極めて有効である。
この場合、請求項2の発明の如く低元側冷媒回路に設けられた室外熱交換器と、各冷媒回路の運転を制御する制御装置とを備え、この制御装置が、低元側冷媒回路の冷媒を第2の室内熱交換器にて蒸発させるモードと、低元側冷媒回路の冷媒を室外熱交換器で蒸発させるモードを有するようにすれば、低元側冷媒回路の冷媒を室外熱交換器で蒸発させるモードでは、低元冷媒回路の低圧圧力を高くすることができるので、低元側冷媒回路の運転効率を改善することができるようになる。また、第2の室内熱交換器により商品収納室内を冷却していない場合にも、室外熱交換器にて外気から吸熱することができるので、第1の室内熱交換器や高元側冷媒回路の放熱用熱交換器による商品収納室内の加熱にも支障が生じない。
一方、低元側冷媒回路に室外熱交換器を設けたことで、例えば第2の室内熱交換器で蒸発させるモードにおいて、低元側冷媒回路の冷媒を室外熱交換器で放熱させれば、第2の室内熱交換器により冷却される商品収納室内を迅速に冷やし込み、早期に室外熱交換器で蒸発させるモードに切り換えることができるようになるものである。
また、請求項3の発明の如く室外熱交換器をバイパスするバイパス回路を備え、制御装置が、バイパス回路に冷媒を流すと共に、低元側冷媒回路の冷媒を第2の室内熱交換器と室外熱交換器の双方で蒸発させるモードを有するようにすれば、第2の室内熱交換器による商品収納室からの吸熱だけでは不足する場合に、室外熱交換器にて外気からも吸熱することができるようになり、第1の室内熱交換器や高元側冷媒回路の放熱用熱交換器により商品収納室内を支障無く加熱することができるようになるものである。
この場合、請求項4の発明の如く第1の室内熱交換器及び放熱用熱交換器が設けられた少なくとも一つの商品収納室を設け、制御装置が、第1の室内熱交換器及び放熱用熱交換器の双方により商品収納室内を加熱するモードを有するようにすれば、高元側冷媒回路の放熱用熱交換器により、商品収納室内を適温に加熱できる程高くは無いが、外気温度よりは高い冷媒が有する熱量を汲み上げ、第1の室内熱交換器による商品収納室を加熱することができるようになるものである。
また、請求項5の発明の如く制御装置が、第1の室内熱交換器と放熱用熱交換器により異なる商品収納室内をそれぞれ加熱するモードを有するようにすれば、複数の商品収納室を加熱する際に、低元側冷媒回路の第1の室内熱交換器と高元側冷媒回路の放熱用熱交換器により各商品収納室内をそれぞれ加熱することができるようになるものである。
更に、請求項6の発明の如く第1の室内熱交換器のみが設けられた少なくとも一つの第1の商品収納室と、第1の室内熱交換器及び放熱用熱交換器が設けられた少なくとも一つの第2の商品収納室と、低元側冷媒回路に設けられ、第2の商品収納室の第1の室内熱交換器への冷媒流量を制限する弁装置とを設け、吸熱用熱交換器が、各第1の室内熱交換器から出た冷媒から吸熱するようにすれば、第1の商品収納室内を加熱する余りの熱で第2の商品収納室内を加熱し、更に、それらの余りの熱を吸熱用熱交換器で汲み上げて第2の商品収納室を加熱することができるようになるものである。
更にまた、請求項7の発明の如く第1の室内熱交換器をバイパスするバイパス回路を設け、制御装置が、冷媒を第1の室内熱交換器とバイパス回路の双方に流すと共に、高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器が、第1の室内熱交換器を経た冷媒とバイパス回路を経た冷媒の双方から吸熱するモードと、冷媒を第1の室内熱交換器には流さず、バイパス回路に流すと共に、高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器が、バイパス回路を経た冷媒から吸熱するモードとを有するようにすれば、前者のモードにおいては請求項1と同様に第1の室内熱交換器で放熱し、商品収納室内を加熱した後の冷媒が有する熱量に加え、バイパス回路を経た冷媒の熱量も高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器により汲み上げ、放熱用熱交換器に搬送してそこで放出し、商品収納室内を加熱することができるようになる。また、後者のモードでは、高元側冷媒回路と低元側冷媒回路を通常の二元冷媒回路として高元側冷媒回路の放熱用熱交換器により商品収納室内を加熱することもできるようになる。これにより後者のモードでは請求項13の発明の如く冷媒として二酸化炭素を使用する場合にも、低元側冷媒回路の高圧圧力を臨界内にとして相変化を利用した効率の良い運転を実現することができるようになるものである。
そして、請求項8の発明の如く高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器に流入する冷媒を膨張させる高元側膨張手段と、低元側冷媒回路の第2の室内熱交換器及び/又は室外熱交換器に流入する冷媒を膨張させる低元側膨張手段とがあり、制御装置が、高元側圧縮機及び低元側圧縮機の吐出圧力が設計上限値より低いことを条件として、それらの吐出温度が所定の高温値となるように高元側膨張手段及び低元側膨張手段をそれぞれ制御するようにすれば、低元側冷媒回路の第1の室内熱交換器と高元側冷媒回路の放熱用熱交換器により商品収納室内を効果的に加熱することができるようになる。
また、請求項9の発明の如く室外熱交換器に外気を送風する送風手段があり、制御装置が、低元側冷媒回路の冷媒を第2の室内熱交換器にて蒸発させ、室外熱交換器にて放熱させるモードにおいて、第2の室内熱交換器により冷却される商品収納室内の温度と所定の商品冷却温度設定値との差に基づき、その差が大きい程室外熱交換器への送風量が増大するように送風手段の運転を制御するようにすれば、低元側冷媒回路の冷媒から外気への放熱を的確に制御して第2の室内熱交換器により商品収納室内を効果的に冷却することができるようになる。
更に、請求項10の発明の如く制御装置が、商品収納室内を加熱する第1の室内熱交換器及び放熱用熱交換器を出た冷媒の温度が、商品収納室内における所定の商品加熱温度よりも高い所定の商品加熱冷媒出口温度となるように高元側圧縮機及び低元側圧縮機の運転を制御するようにすれば、低元側冷媒回路の第1の室内熱交換器と高元側冷媒回路の放熱用熱交換器により商品収納室内の商品を適温に加熱することができるようになる。
尚、前記請求項4の発明の如く高元側冷媒回路の放熱用熱交換器により商品収納室内を加熱する際には、請求項11の発明の如く制御装置が、高元側冷媒回路の吸熱用熱交換器に入る冷媒温度と、当該吸熱用熱交換器と熱交換した後の低元側冷媒回路の冷媒温度との差に基づき、その差が規定値以上となるよう低元側圧縮機の運転を制御するようにすれば、吸熱用熱交換器における低元側冷媒回路から高元側冷媒回路への熱の受け渡しを支障無く行いながら、圧縮比が比較的低い高元側圧縮機を有する高元側冷媒回路の熱搬送能力によりできるだけ商品収納室内を加熱するようにし、省エネ化を図ることが可能となる。
そして、請求項12の発明の如く第1の室内熱交換器を冷却及び加熱の切り換えが可能な商品収納室としての冷温切換室に設け、冷媒を放熱させて当該冷温切換室内を加熱し、冷媒を蒸発させて冷温切換室内を冷却すると共に、第2の室内熱交換器を冷却専用の商品収納室としての冷却専用室に設け、当該冷却専用室内を冷却することにより、自動販売機における商品の加熱及び冷却販売に極めて有効なものとなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。図1及び図2において、実施例の自動販売機1は、鋼板製の外面材2Aとその内側に設けられた断熱材(図示せず)から構成された前面が開口する断熱箱体である本体2と、この本体2の前面を開閉自在に閉塞するよう一側(実施例では向かって左側)が本体2に回動自在に枢支された外扉3を備えている。
この外扉3の前面上部には商品サンプル室4が構成されており、この商品サンプル室4内に陳列された複数の各商品サンプルに対応して複数の商品選択スイッチ6が配置されている。また、商品サンプル室4の下側の外扉3前面には、広告パネル5が構成されており、この広告パネル5の下側の外扉3前面下部には商品取出口7が構成されている。
更に、外扉3前面の向かって右側(非枢支側)中央部には化粧パネル8が取り付けられており、この化粧パネル8内に位置して硬貨投入口9、返却レバー11が設けられている。また、この化粧パネル8の向かって左側の外扉3前面には、金額表示器12が取り付けられている。更に、この金額表示器12の下側の外扉3前面には紙幣識別装置(ビルバリ)14が取り付けられており、商品取出口7の向かって右側の外扉3前面には硬貨返却口13が構成されている。
一方、本体2内の上部には上面、左右面及び後面が前記断熱材で囲繞され、前面が開口した商品収納部16が構成されている。この商品収納部16は断熱性の収納部仕切板17によって左右方向三つの商品収納室に仕切られており、向かって右側から二つが冷温切換室15、25(何れも商品収納室)とされ、向かって左側が冷却専用室20(商品収納室)とされている。
尚、この冷却専用室20は各冷温切換室15、25よりも容積が大きい。これは冷却して販売する商品のほうが、加熱して販売する商品よりも一般的に多いからである。この仕切板17で仕切られた冷温切換室15、25、及び、冷却専用室20には、販売する商品が蛇行状の商品通路に収納されるサーペンタイン式の商品収納コラム18が前後方向及び左右方向にそれぞれ複数設けられている。
商品収納部16の前面には、それぞれ断熱性を有し、商品収納部16の前面開口の上部側を開閉するための上部側内扉21と、商品収納部16の前面開口の下部側を開閉するための下部側内扉22が設けられている。この下部側内扉22は本体2に回動自在に枢支されている。
また、下部側内扉22の下部には商品収納部16の各冷温切換室15、25及び冷却専用室20側と外扉3側とを連通する商品搬出口23が左右方向に並設されている。各商品搬出口23には開閉自在の搬出扉24が上縁を中心して回動自在に取り付けられており、前方に案内される商品に押されて回転し、商品搬出口23を開放して商品を商品取出口7に搬出する構成とされている。
他方、上部側内扉21は外扉3の商品サンプル室4の後側に対応して当該外扉3に取り付けられており、外扉3を開閉することにより、上部側内扉21によって商品収納部16の前面開口の上部側が開閉される構成とされている。更に、上部側内扉21は外扉3を開放した状態で、当該外扉3から独立して後方に開閉自在とされ、上部側内扉21を外扉3から後方に開いた状態で、商品サンプル室4内に陳列される商品サンプルを交換できるように構成されている。また、本体2内の下部には機械室26が形成されている。
次に、図3は本発明の自動販売機1の一実施例の冷媒回路図である。この図において、本発明の自動販売機1はそれぞれ独立した冷媒閉回路である低元側冷媒回路RLと高元側冷媒回路RHを備えている。図中27は低元側冷媒回路RLを構成すると共に、冷媒を圧縮する低元側圧縮機であり、機械室26内に設置されている。低元側圧縮機27の吐出側の配管28は配管29と30に分岐し、分岐した一方の配管29は更に配管31と32に分岐し、配管31は電磁弁33を介して中央の冷温切換室25内に設けられた第1の室内熱交換器としての中央の切換室熱交換器34の入口に接続され、配管32は電磁弁36を介して右端の冷温切換室15内に設けられた第1の室内熱交換器としての右端の切換室熱交換器37の入口に接続されている。
切換室熱交換器37の出口は配管38と39に分岐している。切換室熱交換器34の出口は配管41と42に分岐し、一方の配管41は逆止弁43を介して前記切換室熱交換器37の出口から分岐した一方の配管38に合流している(逆止弁43は合流点方向が順方向)。両配管38、41の合流後の配管44は被吸熱用熱交換器46の入口に接続され、この被吸熱用熱交換器46の出口は配管47を経て低元側膨張手段としての膨張弁48の入口に接続されている。
そして、この膨張弁48の出口は機械室26内(商品収納室外)に設置された室外熱交換器49の入口に接続され、圧縮機27の吐出側の配管28から分岐した配管30は、電磁弁51を介して室外熱交換器49の入口に接続されている。室外熱交換器49の出口側の配管52は、低元側膨張手段としての膨張弁53を介して前記切換室熱交換器34の入口に接続されている。
室外熱交換器49の出口側の配管52は膨張弁53の手前で更に配管54、56に分岐し、配管54は低元側膨張手段としての膨張弁57を介して前記冷却専用室20内に設けられた第2の室内熱交換器としての専用室熱交換器58の入口に接続されており、配管56は低元側膨張手段としての膨張弁59を介して前記切換室熱交換器37の入口に接続されている。
切換室熱交換器34及び37の出口から分岐した配管42及び39はそれぞれ電磁弁61、62を介して専用室熱交換器58の出口の配管63と合流しており、この合流点は配管64に接続され、この配管64は低元側圧縮機27の吸込側に接続されている。また、室外熱交換器49の出口側の配管52は各膨張弁53、57、59の手前で更に配管66に分岐しており、この配管66は電磁弁67を介して低元側圧縮機27の吸込側に接続された配管64に接続されている。以上がこの実施例の低元側冷媒回路RLの構成である。また、機械室26内には室外熱交換器49に外気を送風するための送風手段としての送風機78が設置されている。
次に、図中68は高元側冷媒回路RHを構成すると共に、冷媒を圧縮する高元側圧縮機であり、同様に機械室26内に設置されている。高元側圧縮機68の吐出側の配管69は放熱用熱交換器71の入口に接続されている。この放熱用熱交換器71は実施例では切換室熱交換器37と共に右端の冷温切換室15内に設けられており、放熱用熱交換器71の出口側の配管72は高元側膨張手段としての膨張弁73を介して吸熱用熱交換器74の入口に接続されている。
この吸熱用熱交換器74は、低元側冷媒回路RLの前述した被吸熱用熱交換器46と熱交換関係に配設されてカスケード熱交換器76を構成する。そして、この吸熱用熱交換器74の出口は配管77を介して高元側圧縮機68の吸込側に接続されている。以上が高元側冷媒回路RHの構成である。そして、これら低元側冷媒回路RLと高元側冷媒回路RH内には冷媒として二酸化炭素がそれぞれ所定量封入されている。
また、図3においてCは汎用マイクロコンピュータから構成された制御装置であり、前記中央の冷温切換室25、及び、冷却専用室20内の温度を検出する温度センサ81、82や、配管44に取り付けられて各冷温切換室15、25内を加熱した後、各切換室熱交換器34、37から出た冷媒の温度を検出する温度センサ83、被吸熱用熱交換器46の出口の冷媒の温度を検出する温度センサ84、吸熱用熱交換器74の入口の冷媒の温度を検出する温度センサ86、右端の冷温切換室25内を加熱した後、放熱用熱交換器71を出た冷媒の温度を検出する温度センサ87、低元側圧縮機27及び高元側圧縮機68の吐出ガスの温度及び圧力をそれぞれ検出する温度/圧力センサ88、89の出力に基づき、低元側圧縮機27や送風機78、高元側圧縮機68の運転を制御すると共に、各膨張弁48、53、57、59、73の弁開度を制御し、各電磁弁33、36、51、67を開閉制御する。特に、制御装置Cはインバータを用いて低元側圧縮機27及び高元側圧縮機68、送風機78の回転数を制御する。
以上の構成で、次に図4乃至図12を参照しながらこの実施例の動作を説明する。尚、各図において、塗りつぶしで示す電磁弁や膨張弁は閉又は全閉状態であり、白抜きで示す電磁弁や膨張弁は開又は弁開度制御状態(全閉では無い状態)を示しているものとする。
(1)C−C−H室内吸熱モード
先ず、中央の冷温切換室25内を冷却(C)し、右端の冷温切換室15内を加熱(H)して使用する場合で、冷却専用室20(C)及び冷温切換室25を冷やしているモードについて説明する。この場合、制御装置Cは図4に示すC−C−H室内吸熱モードを実行する。このC−C−H室内吸熱モードは、冷却専用室20及び冷温切換室25内の温度は未だ後述する商品冷却温度設定値まで冷却されていない場合のモードであり、制御装置Cは膨張弁59の弁開度を全閉とし、膨張弁48の弁開度は全開とする。また、電磁弁33、51、62、67を閉じ、電磁弁36、61を開き、膨張弁53、57、73を開いてその弁開度を制御する。
そして、制御装置Cは低元側圧縮機27及び送風機78、高元側圧縮機68を運転する。この場合、制御装置Cは温度/圧力センサ88及び89の出力に基づき、低元側圧縮機27及び高元側圧縮機68の吐出温度(吐出ガス冷媒温度)が所定の高温値(例えば、+120℃)となるように、弁開度を制御している膨張弁(全開又は全閉のものを除く)、即ち、この場合は膨張弁53、57、73の弁開度を制御する。
この場合、制御装置Cは各圧縮機27、68の吐出温度が前記高温値より低くなれば膨張弁53、57、73の弁開度を縮小し、吐出圧力を上げて吐出温度を上げ、高温値より高くなれば弁開度を拡大する。これにより、圧縮機27、68から吐出される冷媒の温度を確保する。但し、低元側圧縮機27及び高元側圧縮機68の吐出圧力が使用制限である設計上限値(実施例では12Mpa)以上にはならないよう、即ち、設計上限値より低くなるように各膨張弁53、57、73を制御する。
また、制御装置Cは温度センサ83、87の出力に基づき、商品収納室内を加熱している第1の室内熱交換器、この場合は冷温切換室15内を加熱している切換室熱交換器37を出た冷媒の温度、及び、放熱器用熱交換器71を出た冷媒の温度が所定の商品加熱温度(例えば、+55℃)よりも高い所定の商品加熱冷媒出口温度(例えば、+60℃)となるように低元側圧縮機27及び高元側圧縮機68の運転周波数を制御する。この場合、制御装置Cは温度センサ83、87が検出する冷媒の温度が前記商品加熱冷媒出口温度よりも高くなれば各圧縮機27、68の運転周波数を低下させ、商品加熱冷媒出口温度より低くなれば運転周波数を上昇させる。これにより、冷温切換室15内を加熱する冷媒の温度を確保する。
また、制御装置Cは冷却されている商品収納室の温度、即ち、この場合は冷却専用室20と冷温切換室25の温度を検出する温度センサ82、81の出力に基づき、各室20、25の温度とそれらの所定の商品冷却温度設定値との差に基づき、送風機78の運転周波数(回転数)を制御する。この場合、制御装置Cは各室20、25内の温度が前記商品冷却温度設定値より高く、その差が大きい場合には送風機78の回転数を増大させ、室外熱交換器49への送風量を増大させる。これにより、外気への放熱量を増大させ、冷却専用室20及び冷温切換室25内が早く冷えるようにする。
尚、上記各膨張弁の弁開度制御、各圧縮機27、68の運転周波数制御、送風機78の回転数制御は他のモードにおいても共通するものである。
制御装置Cにより低元側圧縮機27が運転されると、低元側圧縮機27は二酸化炭素冷媒を超臨界状態まで圧縮し、配管28に吐出する。この低元側圧縮機27から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図4に矢印で示す如く配管29、電磁弁36を経て配管32から切換室熱交換器37に流入し、そこで放熱する。これにより、右端の冷温切換室15内の商品は+55℃程の温度(前記商品加熱温度)に加熱される。切換室熱交換器37で放熱し+60℃程の温度(前記商品加熱冷媒出口温度)まで低下した冷媒ガスは、それから流出し、配管38、44を経てカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に流入する。
この被吸熱用熱交換器46に流入した+60℃程の温度の冷媒は、カスケード熱交換器76に設けられた吸熱用熱交換器74と熱交換することにより、その内部を流れる高元側冷媒回路RHの冷媒により吸熱されて冷却される。この被吸熱用熱交換器46を出た低元側冷媒回路RLの冷媒は、配管47を経て膨張弁48(全開)を通過し、室外熱交換器49に流入する。
この室外熱交換器49には送風機78により外気が送風されているので、冷媒はここで外気中に放熱し、更に冷却される。そして、配管52、54に流出し、各膨張弁53、57に至る。ここで冷媒は減圧されてそれぞれ膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって切換室熱交換器34及び専用室熱交換器58に流入する。これら切換室熱交換器34及び専用室熱交換器58に流入した冷媒はそれぞれ蒸発する。このときの吸熱作用で冷温切換室25内及び冷却専用室20内を冷却し、各室25、20内から熱を汲み上げる。切換室熱交換器34及び専用室熱交換器58内で蒸発して冷温切換室25内及び冷却専用室20内から吸熱した冷媒は配管42及び電磁弁61や配管63を経て合流した後、配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
一方、高元側圧縮機68も運転されて二酸化炭素冷媒を超臨界状態まで圧縮し、配管69に吐出する。この高元側圧縮機68から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図4に矢印で示す如く配管69を経て放熱用熱交換器71に流入し、そこで放熱する。これにより、右端の冷温切換室15内は低元側冷媒回路RLの切換室熱交換器37による加熱に加えて、高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71によっても加熱される。
この放熱用熱交換器71で放熱した冷媒ガスは、それから流出し、配管72を経て膨張弁73に至る。ここで高元側冷媒回路RHの冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は同じく気液混合状態となってカスケード熱交換器76の吸熱用熱交換器74に流入し、そこで蒸発する。このときの吸熱作用でカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46内を流れる低元側冷媒回路RLの冷媒(前述したように+60℃程の商品加熱冷媒出口温度に維持されている冷媒)から吸熱し、その熱を汲み上げた後、配管77を経て高元側圧縮機68に吸い込まれる循環を繰り返す。
図8はこのC−C−H室内吸熱モードにおける各冷媒回路RL、RHのP−H線図を示している。尚、図8は自動販売機1が設置された環境の外気温度が+15℃の場合を示している。図中MLは低元側冷媒回路RLのP−H線図、MHは高元側冷媒回路RHのP−H線図であり、冷媒として二酸化炭素を使用しているため、何れも高圧側は超臨界となっている。また、MLの高圧側の吐出温度(+120℃)から+60℃までの熱量X3が切換室熱交換器37から冷温切換室15内への放熱量であり、+60℃から+35℃程までの熱量X4が冷温切換室15を加熱した後の冷媒が有する熱量である。
本発明では高元側冷媒回路RHの吸熱用熱交換器74がカスケード熱交換器76において低元側冷媒回路RLの被吸熱用熱交換器46からこの熱量X4を汲み上げる(図8中に示す熱交換)。そして、放熱器用熱交換器71に搬送し、冷温切換室15内に放出する。この放熱量が図8のX5である。冷温切換室15内はこの切換室熱交換器37の放熱量X3と放熱用熱交換器71の放熱量X5の和により加熱されることになる。即ち、冷温切換室15内を加熱した後の低元側冷媒回路RLの冷媒が有する熱量を、高元側冷媒回路RHにより汲み上げ、冷温切換室15の加熱に利用することができるようになり、運転効率(COP)が著しく改善される。
また、図8において低元側冷媒回路RLのP−H線図MLの低圧側のX6が冷却専用室20と冷温切換室25から吸熱する熱量である。送風機78の回転数制御により、低元側冷媒回路RLの高圧側の最低温度は+25℃〜+35℃の範囲(図8に破線で示す)に変更可能であるので、この範囲で冷却専用室20及び冷温切換室25の冷却能力(室内吸熱)を変化させることができることが分かる(図8に破線で示す)。
(2)C−C−H外気吸熱モード
次に、図4のC−C−H室内吸熱モードで冷却専用室20及び冷温切換室25内の温度が前記商品冷却温度設定値まで冷却された場合、制御装置Cは図5のC−C−H外気吸熱モードに移行する。このC−C−H外気吸熱モードでは、制御装置Cは図4の状態から膨張弁53、57の弁開度を全閉とする。また、膨張弁48はその弁開度を制御する状態とし、電磁弁67は開く。
これにより、低元側冷媒回路RLでは被吸熱用熱交換器46を出た冷媒が膨張弁48で絞られた後、室外熱交換器49に流入するようになる。膨張弁48で冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって室外熱交換器49に流入し、冷媒は蒸発する。このときの吸熱作用で外気中から熱を汲み上げる。室外熱交換器49内で蒸発して外気中から吸熱した冷媒は配管52及び電磁弁67を経て配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
従って、冷却専用室20及び冷温切換室25の冷却は停止する。尚、高元側冷媒回路RHの動作は図4の場合と同様であるので、切換室熱交換器37及び放熱用熱交換器71により冷温切換室15内は加熱される。
図9はこのC−C−H外気吸熱モードにおける各冷媒回路RL、RHのP−H線図を示している。尚、図9中図8と同一符号で示すものや熱量は同一のものとする。この場合も高圧側は超臨界となっているが、この図に示されるように、このモードでは低元側冷媒回路RLのP−H線図MLの低圧側で室外熱交換器49により外気から吸熱が行われるので、冷却専用室20や冷温切換室25が商品冷却温度設定値まで冷えたことにより、それ以上冷却できなくなって各室20、25から吸熱できない場合にも、切換室熱交換器37及び放熱用熱交換器71の放熱量X3、X5を確保することができることが分かる。
尚、このC−C−H外気吸熱モードで冷却専用室20及び冷温切換室25内の温度が前記商品冷却温度設定値より高くなった場合には、制御装置Cは図4のC−C−H室内吸熱モードに復帰し、以後これを繰り返すことになる。
(3)C−H−H室内吸熱モード
次に、右端の冷温切換室15内と中央の冷温切換室25内の双方を加熱(H)して使用する場合で、冷却専用室20(C)を冷やしているモードについて説明する。この場合、制御装置Cは図6に示すC−H−H室内吸熱モードを実行する。このC−H−H室内吸熱モードは、冷却専用室20内の温度は未だ前記商品冷却温度設定値まで冷却されていない場合のモードであり、制御装置Cは膨張弁53、59の弁開度を全閉とし、膨張弁48の弁開度は全開とする。また、電磁弁36、51、61、62、67を閉じ、電磁弁33を開き、膨張弁57、73を開いてその弁開度を制御する。
これにより、低元側圧縮機27から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図6に矢印で示す如く配管29、電磁弁33を経て配管31から切換室熱交換器34に流入し、そこで放熱する。これにより、中央の冷温切換室25内の商品は+55℃程の温度(前記商品加熱温度)に加熱される。切換室熱交換器34で放熱し+60℃程の温度(前記商品加熱冷媒出口温度)まで低下した冷媒ガスは、それから流出し、配管41、44を経てカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に流入する。
この被吸熱用熱交換器46に流入した+60℃程の温度の冷媒は、前述同様にカスケード熱交換器76に設けられた吸熱用熱交換器74と熱交換することにより、その内部を流れる高元側冷媒回路RHの冷媒により吸熱されて冷却される。この被吸熱用熱交換器46を出た低元側冷媒回路RLの冷媒は、配管47を経て膨張弁48(全開)を通過し、室外熱交換器49に流入する。
この室外熱交換器49には送風機78により外気が送風されているので、冷媒はここで外気中に放熱し、更に冷却される。そして、配管52を経て配管54に入り、膨張弁57に至る。ここで冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって専用室熱交換器58に流入する。この専用室熱交換器58に流入した冷媒は蒸発する。このときの吸熱作用で冷却専用室20内を冷却し、そこから熱を汲み上げる。専用室熱交換器58内で蒸発して冷却専用室20内から吸熱した冷媒は配管63を経て配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
高元側圧縮機68も運転されて二酸化炭素冷媒を超臨界状態まで圧縮し、配管69に吐出する。この高元側圧縮機68から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図6に矢印で示す如く配管69を経て前述同様に放熱用熱交換器71に流入し、そこで放熱する。これにより、右端の冷温切換室15内は高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71によって加熱される。
この放熱用熱交換器71で放熱した冷媒ガスは、それから流出し、配管72を経て膨張弁73に至る。ここで高元側冷媒回路RHの冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は同じく気液混合状態となってカスケード熱交換器76の吸熱用熱交換器74に流入し、そこで蒸発する。このときの吸熱作用でカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46内を流れる低元側冷媒回路RLの冷媒(前述したように+60℃程の商品加熱冷媒出口温度に維持されている冷媒)から吸熱し、その熱を汲み上げた後、配管77を経て高元側圧縮機68に吸い込まれる循環を繰り返す。
図10はこのC−H−H室内吸熱モードにおける各冷媒回路RL、RHのP−H線図を示している。尚、図10は自動販売機1が設置された環境の外気温度が+5℃の場合を示している。同様に図中MLは低元側冷媒回路RLのP−H線図、MHは高元側冷媒回路RHのP−H線図であり、冷媒として二酸化炭素を使用しているため、何れも高圧側は超臨界となっている。また、MLの高圧側の吐出温度(+120℃)から+60℃までの熱量X3が切換室熱交換器34から冷温切換室25内への放熱量であり、+60℃から+45℃程までの熱量X4が冷温切換室25を加熱した後の冷媒が有する熱量である。
前述同様に高元側冷媒回路RHの吸熱用熱交換器74がカスケード熱交換器76において低元側冷媒回路RLの被吸熱用熱交換器46からこの熱量X4を汲み上げる(図9中に示す熱交換)。そして、放熱器用熱交換器71に搬送し、冷温切換室15内に放出する。この放熱量が図10のX5である。冷温切換室15内はこの放熱用熱交換器71の放熱量X5により加熱されることになる。即ち、この場合も冷温切換室25内を加熱した後の低元側冷媒回路RLの冷媒が有する熱量を、高元側冷媒回路RHにより汲み上げ、冷温切換室15の加熱に利用することができるようになり、運転効率(COP)が著しく改善される。
また、図10において低元側冷媒回路RLのP−H線図MLの低圧側のX6が冷却専用室20から吸熱する熱量である。送風機78の回転数制御により、低元側冷媒回路RLの高圧側の最低温度は+15℃〜+45℃の範囲(図10に破線で示す)に変更可能であるので、この範囲で冷却専用室20の冷却能力(室内吸熱)を変化させることができることが分かる(図10に破線で示す)。
(4)C−H−H外気吸熱モード
次に、図6のC−H−H室内吸熱モードで冷却専用室20内の温度が前記商品冷却温度設定値まで冷却された場合、制御装置Cは図7のC−H−H外気吸熱モードに移行する。このC−H−H外気吸熱モードでは、制御装置Cは図6の状態から膨張弁57の弁開度を全閉とする。また、膨張弁48はその弁開度を制御する状態とし、電磁弁67は開く。
これにより、低元側冷媒回路RLでは被吸熱用熱交換器46を出た冷媒が前述同様に膨張弁48で絞られた後、室外熱交換器49に流入するようになる。膨張弁48で冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって室外熱交換器49に流入し、冷媒は蒸発する。このときの吸熱作用で外気中から熱を汲み上げる。室外熱交換器49内で蒸発して外気中から吸熱した冷媒は配管52及び電磁弁67を経て配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
従って、冷却専用室20の冷却は停止する。尚、冷温切換室25の切換室熱交換器34には図6と同様に低元側圧縮機27から吐出された冷媒が配管28、29、電磁弁33、配管31を経て流入するので、同様に加熱される。また、高元側冷媒回路RHの動作は図6の場合と同様であるので、放熱用熱交換器71により冷温切換室15内は加熱される。
図11はこのC−H−H外気吸熱モードにおける各冷媒回路RL、RHのP−H線図を示している。尚、図11中図10と同一符号で示すものや熱量は同一のものとする。この場合も高圧側は超臨界となっているが、この図に示されるように、このモードでは低元側冷媒回路RLのP−H線図MLの低圧側で室外熱交換器49により外気から吸熱が行われるので、冷却専用室20が商品冷却温度設定値まで冷えたことにより、それ以上冷却できなくなってそこから吸熱できない場合にも、切換室熱交換器34及び放熱用熱交換器71の放熱量X3、X5を確保することができることが分かる。
尚、このC−H−H外気吸熱モードで冷却専用室20内の温度が前記商品冷却温度設定値より高くなった場合には、制御装置Cは図6のC−H−H室内吸熱モードに復帰し、以後これを繰り返すことになる。
(5)C−C−Cモード
尚、冷却専用室20に加え、右端の冷温切換室15内と中央の冷温切換室25内の双方も冷却(C)して使用するモードについて説明する。この場合、制御装置Cは図12に示すC−C−Cモードを実行する。このC−C−Cモードでは、制御装置Cは膨張弁48の弁開度を全閉とする。また、電磁弁33、36、67を閉じ、電磁弁51、61、62を開き、膨張弁53、57、59を開いてその弁開度を制御する。尚、このモードでは高元側冷媒回路RHは使用しないので、高元側圧縮機68は停止する。
これにより、低元側圧縮機27から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図12に矢印で示す如く配管28から配管30に入り、電磁弁51を経て室外熱交換器49に流入する。この室外熱交換器49には送風機78により外気が送風されているので、冷媒はここで外気中に放熱し、冷却される。そして、配管52に入り、配管54、56に分流して、各膨張弁53、57、59に至る。ここで冷媒は減圧されてそれぞれ膨張する。
減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって切換室熱交換器34、専用室熱交換器58及び切換室熱交換器37に流入する。これら熱交換器34、58、37に流入した冷媒はそれぞれ蒸発する。このときの吸熱作用で冷温切換室25、冷却専用室20、冷温切換室15内をそれぞれ冷却する。切換室熱交換器34、専用室熱交換器58及び切換室熱交換器37内で蒸発した冷媒は配管42、63、39をそれぞれ経て合流した後、配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。これにより、各室25、20、15は冷却されることになる。
以上のように本発明の自動販売機1は、低元側圧縮機27、切換室熱交換器34、37、及び、専用室熱交換器58を備えた低元側冷媒回路RLと、高元側圧縮機68、冷媒を放熱させて冷温切換室15内を加熱する放熱用熱交換器71、及び、切換室熱交換器37や34を出た冷媒から吸熱する吸熱用熱交換器74を備えた高元側冷媒回路RHを備えているので、切換室熱交換器37や34で放熱し、冷温切換室15や25内を加熱した後の冷媒が有する熱量を、高元側冷媒回路RHの吸熱用熱交換器74により汲み上げ、放熱用熱交換器71に搬送してそこで放出し、冷温切換室15内を加熱することができるようになる。
即ち、切換室熱交換器37や34を出た冷温切換室15や25内を適温に加熱できる程高くは無いが、外気温度よりは高い冷媒が有する熱量を利用して冷温切換室15内を加熱することが可能となるので、自動販売機1の運転効率(COP)を大幅に改善することができるようになる。特に、実施例の如く各冷媒回路RL、RHの冷媒として二酸化炭素を使用する場合には、大量の熱を吸熱用熱交換器74により吸い上げることができるようになり、極めて有効である。
また、制御装置Cは、低元側冷媒回路RLの冷媒を専用室熱交換器58にて蒸発させ、室外熱交換器49にて放熱させるC−C−H室内吸熱モードやC−H−H室内吸熱モードと、低元側冷媒回路RLの冷媒を室外熱交換器49のみで蒸発させるC−C−H外気吸熱モードやC−H−H外気吸熱モードを実行するので、低元側冷媒回路RLの冷媒を室外熱交換器49で放熱させて専用室熱交換器58で蒸発させる各室内吸熱モードで当該専用室熱交換器58により冷却される冷却専用室20内を迅速に冷やし込み、早期に室外熱交換器49のみで蒸発させる各外気吸熱モードに切り換えることができるようになる。
この場合、低元側冷媒回路RLの冷媒を室外熱交換器49のみで蒸発させるC−C−H外気吸熱モードでは、低元冷媒回路の低圧側の圧力を図9に示すように図8に比して高くすることができるので、低元側冷媒回路RLの運転効率を改善することができるようになる。また、冷却専用室20内の温度が商品冷却温度設定値まで低下して専用室熱交換器58により冷却専用室20内を冷却しない場合にも、室外熱交換器49にて外気から吸熱することができるので、切換室熱交換器37、34や高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71による冷温切換室15や25内の加熱にも支障が生じない。
また、前記C−C−H室内吸熱モードやC−C−H外気吸熱モードでは、制御装置Cは切換室熱交換器37及び放熱用熱交換器71の双方により冷温切換室15内を加熱するので、高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71により、冷温切換室15内を適温に加熱できる程高くは無いが、外気温度よりは高い冷媒が有する熱量を汲み上げ、切換室熱交換器37による加熱に加えて、冷温切換室15を加熱することができるようになる。
また、前記C−H−H室内吸熱モードやC−H−H外気吸熱モードでは、制御装置Cは切換室熱交換器34により冷温切換室25内を加熱し、放熱用熱交換器71により冷温切換室15内をそれぞれ加熱するので、各冷温切換室25、15を加熱する際に、低元側冷媒回路RLの切換室熱交換器34と高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71により各冷温切換室25、15内をそれぞれ加熱することができるようになる。
そして、制御装置Cは高元側圧縮機68及び低元側圧縮機27の吐出圧力が設計上限値より低いことを条件として、それらの吐出温度が前述した所定の高温値となるように膨張弁73及び低元側冷媒回路RLの各膨張弁48や57、53をそれぞれ制御するので、低元側冷媒回路RLの切換室熱交換器37や34と、高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71により冷温切換室15や25内を効果的に加熱することができるようになる。
また、制御装置Cは低元側冷媒回路RLの冷媒を専用室熱交換器58にて蒸発させ、室外熱交換器49にて放熱させる前記各室内吸熱モードにおいて、専用室熱交換器58により冷却される冷却専用室20内の温度と前記所定の商品冷却温度設定値との差に基づき、その差が大きい程、室外熱交換器49への送風量が増大するように送風機78の回転数を制御するので、低元側冷媒回路RLの冷媒から外気への放熱を的確に制御して専用室熱交換器58により冷却専用室20内を効果的に冷却することができるようになる。
更に、制御装置Cは冷温切換室15や25内を加熱している切換室熱交換器37や34、及び放熱用熱交換器71を出た冷媒の温度が、冷温切換室15や25内における前記所定の商品加熱温度(+55℃)よりも高い所定の商品加熱冷媒出口温度(+60℃)となるように高元側圧縮機68及び低元側圧縮機27の運転周波数を制御するので、低元側冷媒回路RLの切換室熱交換器37や34と高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71により冷温切換室15や25内の商品を適温に加熱することができるようになる。
そして、実施例のように切換室熱交換器37、34を冷却及び加熱の切り換えが可能な商品収納室としての冷温切換室15、25に設け、冷媒を放熱させて当該冷温切換室15、25内を加熱し、冷媒を蒸発させて冷温切換室15、25内を冷却すると共に、専用室熱交換器58を冷却専用の商品収納室としての冷却専用室20に設け、当該冷却専用室20内を冷却することにより、自動販売機1における商品の加熱及び冷却販売に極めて有効なものとなる。
次に、図13及び図14は本発明の自動販売機1の他の実施例の冷媒回路を示している。図13の冷媒回路図において、図3と同一符号で示すものは同一とする。この図13において、図3と異なる箇所は、電磁弁36が流量調整弁(冷媒流量を制限する弁装置)91に置き換わっているのみである。尚、これに加えて電磁弁33も流量調整弁に置き換えてもよい。流量調整弁91は切換室熱交換器37への冷媒流量を制限するものであり、この例におけるC−H−H外気吸熱モードでの冷媒の流れは図14の矢印の如きものとなる。
図14は冷却専用室20の温度が前記商品冷却温度設定値となっている状態であるので、制御装置Cは膨張弁57、53、59を全閉、電磁弁51、61、62を閉、電磁弁33を開とし、膨張弁48、73はその弁開度を制御する状態とする。また、制御装置Cは流量調整弁91を制御して切換室熱交換器37に流れる冷媒流量を所定の値に制限する。これにより、低元側圧縮機27から吐出された高温ガス冷媒は配管28から配管29に入り、そこで分流されて一部は電磁弁33を通り、冷温切換室25の切換室熱交換器34に流入して放熱する。他方、分流された残りの冷媒は流量調整弁91で制限された量で冷温切換室15の切換室熱交換器37に流入して放熱する。
各熱交換器34、37で各室25、15内を加熱した後の冷媒は、前述同様に配管44からカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に入り、膨張弁48で絞られた後、室内熱交換器49で外気から吸熱し、低元側圧縮機27に戻る。高元側冷媒回路RHでは前述同様に吸熱用熱交換器74で被吸熱用熱交換器46を流れる冷媒(+60℃)から吸熱し、その熱を高元側圧縮機68で放熱用熱交換器71に搬送し、この放熱用熱交換器71で放熱して冷温切換室15内を加熱する動作が行われる。
前述した如く切換室熱交換器37には流量調整弁91で制限された量の冷媒しか流入しないので、高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71による加熱は、切換室熱交換器37で不足する放熱量を補完するかたちとなる。このように、冷温切換室15の切換室熱交換器37への冷媒流量を制限する流量調整弁91を設け、吸熱用熱交換器74が、各切換室熱交換器34、37から出た冷媒から吸熱するようにすれば、冷温切換室25(第1の商品収納室)内を加熱する余りの熱で冷温切換室15(第2の商品収納室)内を加熱し、更に、それらの余りの熱を吸熱用熱交換器74で汲み上げて冷温切換室15の加熱に利用することができるようになる。
次に、図15〜図22は本発明の自動販売機1の更に他の実施例の冷媒回路を示している。図15の冷媒回路図において、図3と同一符号で示すものは同一とする。この図15において、図3と異なる箇所は、図3では切換室熱交換器37の入口に接続されていた配管32が配管44に接続されている点と、切換室熱交換器37の出口側の配管38及び電磁弁62が削除され、配管39がそのまま配管64に接続されている点である。即ち、配管32は冷温切換室25の切換室熱交換器34(第1の室内熱交換器)をバイパスするバイパス回路となる。また、温度センサ83はこの配管32が合流した後の配管44の温度を検出する位置に設けられる。尚、この実施例で電磁弁33が切換室熱交換器34への冷媒の流通を制御する弁装置となり、電磁弁36が係るバイパス回路への冷媒の流通を制御する弁装置となるが、この電磁弁36も(電磁弁33も)後述する如く実施例2と同様に流量調整弁91に置き換えても良い。
(6)C−C−H室内吸熱モード
先ず、この実施例において中央の冷温切換室25内を冷却(C)し、右端の冷温切換室15内を加熱(H)して使用する場合で、冷却専用室20(C)及び冷温切換室25を冷やしているモードについて説明する。この場合、制御装置Cは図16に示すC−C−H室内吸熱モードを実行する。このC−C−H室内吸熱モードは、前述同様に冷却専用室20及び冷温切換室25内の温度は未だ前記商品冷却温度設定値まで冷却されていない場合のモードであり、制御装置Cは膨張弁59の弁開度を全閉とし、膨張弁48の弁開度は全開とする。また、電磁弁33、51、67を閉じ、電磁弁36、61を開き、膨張弁53、57、73を開いてその弁開度を制御する。
制御装置Cにより低元側圧縮機27が運転されると、低元側圧縮機27から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図16に矢印で示す如く配管29、電磁弁36を経て配管32から配管44に至り、この配管44を経てカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に流入する。この実施例の場合、被吸熱用熱交換器46に流入する冷媒の温度は+70℃程となり、カスケード熱交換器76に設けられた吸熱用熱交換器74と熱交換することにより、その内部を流れる高元側冷媒回路RHの冷媒により吸熱されて冷却される。この被吸熱用熱交換器46を出た低元側冷媒回路RLの冷媒は、配管47を経て膨張弁48(全開)を通過し、室外熱交換器49に流入する。
この室外熱交換器49には送風機78により外気が送風されているので、冷媒はここで外気中に放熱し、更に冷却される。そして、配管52、54に流出し、各膨張弁53、57に至る。ここで冷媒は減圧されてそれぞれ膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって切換室熱交換器34及び専用室熱交換器58に流入する。これら切換室熱交換器34及び専用室熱交換器58に流入した冷媒はそれぞれ蒸発する。このときの吸熱作用で前述同様に冷温切換室25内及び冷却専用室20内を冷却し、各室25、20内から熱を汲み上げる。切換室熱交換器34及び専用室熱交換器58内で蒸発して冷温切換室25内及び冷却専用室20内から吸熱した冷媒は配管42及び電磁弁61や配管63を経て合流した後、配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
一方、高元側圧縮機68も運転されて二酸化炭素冷媒を超臨界状態まで圧縮し、+120℃程となって配管69に吐出する。この高元側圧縮機68から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図16に矢印で示す如く配管69を経て放熱用熱交換器71に流入し、そこで放熱する。これにより、右端の冷温切換室15内の商品は高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71によって+55℃程の温度(前記商品加熱温度)に加熱される。
この放熱用熱交換器71で放熱した冷媒ガスは、それから流出し、配管72を経て膨張弁73に至る。ここで高元側冷媒回路RHの冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は同じく気液混合状態となってカスケード熱交換器76の吸熱用熱交換器74に流入し、そこで蒸発する。このときの吸熱作用でカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46内を流れる低元側冷媒回路RLの冷媒(前述したように+70℃程の高温冷媒)から吸熱し、その熱を汲み上げた後、配管77を経て高元側圧縮機68に吸い込まれる循環を繰り返す。
図18はこのC−C−H室内吸熱モードにおける各冷媒回路RL、RHのP−H線図を示している。尚、図18は自動販売機1が設置された環境の外気温度が+15℃の場合を示している。図中MLは低元側冷媒回路RLのP−H線図、MHは高元側冷媒回路RHのP−H線図であり、高元側冷媒回路RHの高圧側は超臨界となるが、低元側冷媒回路RLはカスケード熱交換器76での熱交換の過程で臨界内となる。また、MLの高圧側の吐出温度(+70℃)から+25℃程までの熱量X3が被吸熱用熱交換器46から吸熱用熱交換器74に放出される熱量であり、超臨界から臨界内に入る相変化を伴う。また、MHの高圧側の+120℃から+60℃までの熱量X4が放熱用熱交換器71から冷温切換室15内への放熱量である。また、図18において低元側冷媒回路RLのP−H線図MLの低圧側のX6が冷却専用室20と冷温切換室25から吸熱する熱量である。
この例では、高元側冷媒回路RHの吸熱用熱交換器74がカスケード熱交換器76において低元側冷媒回路RLの被吸熱用熱交換器46から相変化を伴う熱量X3を汲み上げる(図18中に示す熱交換)。そして、放熱器用熱交換器71に搬送し、冷温切換室15内に放出する。この放熱量が図18のX5である。冷温切換室15内はこの放熱用熱交換器71の放熱量X5により加熱されることになる。即ち、低元側冷媒回路RLの高圧側の冷媒が有する熱量を高元側冷媒回路RHにより汲み上げ、低元側冷媒回路RLの高圧側の冷媒を冷却すると共に、この汲み上げた高元側冷媒回路RHの冷媒の熱量で冷温切換室15の加熱を行うことができるようになり、運転効率(COP)が改善される。
(7)C−C−H外気吸熱モード
次に、図16のC−C−H室内吸熱モードで冷却専用室20及び冷温切換室25内の温度が前記商品冷却温度設定値まで冷却された場合、制御装置Cは図17のC−C−H外気吸熱モードに移行する。このC−C−H外気吸熱モードでは、制御装置Cは図16の状態から膨張弁53、57の弁開度を全閉とする。また、膨張弁48はその弁開度を制御する状態とし、電磁弁67は開く。
これにより、低元側冷媒回路RLでは被吸熱用熱交換器46を出た冷媒が膨張弁48で絞られた後、室外熱交換器49に流入するようになる。膨張弁48で冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって室外熱交換器49に流入し、冷媒は蒸発する。このときの吸熱作用で外気中から熱を汲み上げる。室外熱交換器49内で蒸発して外気中から吸熱した冷媒は配管52及び電磁弁67を経て配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
従って、冷却専用室20及び冷温切換室25の冷却は停止する。尚、高元側冷媒回路RHの動作は図16の場合と同様であるので、放熱用熱交換器71により冷温切換室15内は加熱される。
図19はこのC−C−H外気吸熱モードにおける各冷媒回路RL、RHのP−H線図を示している。尚、図19中図18と同一符号で示すものや熱量は同一のものとする。この図に示されるように、このモードでは低元側冷媒回路RLのP−H線図MLの低圧側で室外熱交換器49により外気から吸熱が行われるので、冷却専用室20や冷温切換室25が商品冷却温度設定値まで冷えたことにより、それ以上冷却できなくなって各室20、25から吸熱できない場合にも、放熱用熱交換器71の放熱量X5を確保することができることが分かる。
尚、この例の場合も図19のMLの低元側冷媒回路RLの高圧側の圧力は臨界内となり、熱量X3は相変化を伴うものとなるが、高圧側の圧力を臨界内で出来るだけ高い値とすることで、省エネルギーとなる。また、このC−C−H外気吸熱モードで冷却専用室20及び冷温切換室25内の温度が前記商品冷却温度設定値より高くなった場合には、制御装置Cは図16のC−C−H室内吸熱モードに復帰し、以後これを繰り返すことになる。
(8)C−H−H室内吸熱モード
次に、この実施例において右端の冷温切換室15内と中央の冷温切換室25内の双方を加熱(H)して使用する場合で、冷却専用室20(C)を冷やしているモードについて説明する。この場合、制御装置Cは図20に示すC−H−H室内吸熱モードを実行する。このC−H−H室内吸熱モードは、冷却専用室20内の温度は未だ前記商品冷却温度設定値まで冷却されていない場合のモードであり、制御装置Cは膨張弁53、59の弁開度を全閉とし、膨張弁48の弁開度は全開とする。また、電磁弁36、51、61、67を閉じ、電磁弁33を開き、膨張弁57、73を開いてその弁開度を制御する。
これにより、低元側圧縮機27から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図20に矢印で示す如く配管29、電磁弁33を経て配管31から切換室熱交換器34に流入し、そこで放熱する。これにより、中央の冷温切換室25内の商品は+55℃程の温度(前記商品加熱温度)に加熱される。切換室熱交換器34で放熱し+60℃程の温度(前記商品加熱冷媒出口温度)まで低下した冷媒ガスは、それから流出し、配管41、44を経てカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に流入する。
この被吸熱用熱交換器46に流入した+60℃程の温度の冷媒は、前述同様にカスケード熱交換器76に設けられた吸熱用熱交換器74と熱交換することにより、その内部を流れる高元側冷媒回路RHの冷媒により吸熱されて冷却される。この被吸熱用熱交換器46を出た低元側冷媒回路RLの冷媒は、配管47を経て膨張弁48(全開)を通過し、室外熱交換器49に流入する。
この室外熱交換器49には送風機78により外気が送風されているので、冷媒はここで外気中に放熱し、更に冷却される。そして、配管52を経て配管54に入り、膨張弁57に至る。ここで冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって専用室熱交換器58に流入する。この専用室熱交換器58に流入した冷媒は蒸発する。このときの吸熱作用で冷却専用室20内を冷却し、そこから熱を汲み上げる。専用室熱交換器58内で蒸発して冷却専用室20内から吸熱した冷媒は配管63を経て配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
高元側圧縮機68も運転されて二酸化炭素冷媒を超臨界状態まで圧縮し、配管69に吐出する。この高元側圧縮機68から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図20に矢印で示す如く配管69を経て前述同様に放熱用熱交換器71に流入し、そこで放熱する。これにより、右端の冷温切換室15内は高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71によって加熱される。
この放熱用熱交換器71で放熱した冷媒ガスは、それから流出し、配管72を経て膨張弁73に至る。ここで高元側冷媒回路RHの冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は同じく気液混合状態となってカスケード熱交換器76の吸熱用熱交換器74に流入し、そこで蒸発する。このときの吸熱作用でカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46内を流れる低元側冷媒回路RLの冷媒(前述したように+60℃程の商品加熱冷媒出口温度に維持されている冷媒)から吸熱し、その熱を汲み上げた後、配管77を経て高元側圧縮機68に吸い込まれる循環を繰り返す。
即ち、この場合も冷温切換室25内を加熱した後の低元側冷媒回路RLの冷媒が有する熱量を、高元側冷媒回路RHにより汲み上げ、冷温切換室15の加熱に利用することができるようになり、運転効率(COP)が著しく改善される。
(9)C−H−H外気吸熱モード
次に、図20のC−H−H室内吸熱モードで冷却専用室20内の温度が前記商品冷却温度設定値まで冷却された場合、制御装置Cは図21のC−H−H外気吸熱モードに移行する。この実施例のC−H−H外気吸熱モードでも、制御装置Cは図20の状態から膨張弁57の弁開度を全閉とする。また、膨張弁48はその弁開度を制御する状態とし、電磁弁67は開く。
これにより、低元側冷媒回路RLでは被吸熱用熱交換器46を出た冷媒が前述同様に膨張弁48で絞られた後、室外熱交換器49に流入するようになる。膨張弁48で冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって室外熱交換器49に流入し、冷媒は蒸発する。このときの吸熱作用で外気中から熱を汲み上げる。室外熱交換器49内で蒸発して外気中から吸熱した冷媒は配管52及び電磁弁67を経て配管64に流入し、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
従って、冷却専用室20の冷却は停止する。尚、冷温切換室25の切換室熱交換器34には図20と同様に低元側圧縮機27から吐出された冷媒が配管28、29、電磁弁33、配管31を経て流入するので、同様に加熱される。また、高元側冷媒回路RHの動作は図20の場合と同様であるので、放熱用熱交換器71により冷温切換室15内は加熱される。
尚、このC−H−H外気吸熱モードで冷却専用室20内の温度が前記商品冷却温度設定値より高くなった場合には、制御装置Cは図20のC−H−H室内吸熱モードに復帰し、以後これを繰り返すことになる。
尚、図22はこの実施例(実施例3)で電磁弁36を前述したように流量調整弁91に置き換えた場合を示している。この図22は上記図21と同様のC−H−H外気吸熱モードである。図21では電磁弁36を閉じて配管32に流れる冷媒を阻止したが、図22では電磁弁36を流量調整弁91に置き換え、制御装置Cによりこの流量調整弁91を制御し、図22に破線矢印で示すように制限された量の低元側圧縮機27からの高温冷媒を配管32に流す。これにより、切換室用熱交換器34を経た冷媒に加えて、低元側圧縮機27から吐出された高温冷媒がカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に流れるようになり、このカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に流れる冷媒温度を高くすることができる。
従って、高元側冷媒回路RHの吸熱用熱交換器74で汲み上げられる熱量が増えるので、放熱用熱交換器71で冷温切換室15内に放出できる熱量も増大し、冷温切換室15内の加熱能力が向上する効果がある。
このように、この実施例では切換室熱交換器37と放熱用熱交換器71の双方が設けられた冷温切換室15の切換室熱交換器37をバイパスする配管32と電磁弁36や流量調整弁91(何れも弁装置)を設け、制御装置Cが、電磁弁36により冷媒を配管32に流すと共に、高元側冷媒回路RHの吸熱用熱交換器74が、配管32を経た冷媒から吸熱するC−C−H室内吸熱モードやC−C−H外気吸熱モードを実行するので、高元側冷媒回路RHと低元側冷媒回路RLを通常の二元冷媒回路として高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71により冷温切換室15内を加熱することができるようになる。これにより冷媒として二酸化炭素を使用する場合にも、図18や図19に示した如く低元側冷媒回路RLの高圧側の圧力を臨界内にとして相変化を利用した効率の良い運転を実現することができるようになる。
次に、図23、図24は本発明の自動販売機1の更に他の実施例の冷媒回路を示している。図23の冷媒回路図において、図3と同一符号で示すものは同一とする。この図23において、図3と異なる箇所は、低元側冷媒回路RLの被吸熱用熱交換器46の下流側の配管47の膨張弁48より上流側と、室外熱交換器49の出口側の配管52(各膨張弁53、57、59の入口側)との間にバイパス回路92が接続され、このバイパス回路92に取り付けられて冷媒流通を制御する弁装置としての電磁弁93が取り付けられている点と、室外熱交換器49の出口とバイパス回路92の配管52側の接続点との間の配管52に逆止弁94が接続されている点と、配管38にも逆止弁96が接続されている点である。
これにより、バイパス回路92は被吸熱用熱交換器46と各膨張弁53、57、59との間の室外熱交換器49や膨張弁48をバイパスするかたちとなる。また、逆止弁94は膨張弁53、57、59側が順方向とされ、逆止弁96は配管44側が順方向とされている。
(10)C−H−H室内外気吸熱モード
この構成で、右端の冷温切換室15内と中央の冷温切換室25内の双方を加熱(H)して使用する場合で、冷却専用室20(C)を冷やす場合、制御装置Cは図24に示すC−H−H室内外気吸熱モードを実行する。このC−H−H室内外気吸熱モードは、冷却専用室20内の温度は未だ前記商品冷却温度設定値まで冷却されていない場合のモードであり、制御装置Cは膨張弁53、59の弁開度を全閉とし、電磁弁36、51、61を閉じ、電磁弁33、62、67を開き、膨張弁57、73を開いてその弁開度を制御する。また、バイパス回路92の電磁弁93も開き、膨張弁48も開いてその弁開度を制御する。
これにより、低元側圧縮機27から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図24に矢印で示す如く配管29、電磁弁33を経て配管31から切換室熱交換器34に流入し、そこで放熱する。これにより、中央の冷温切換室25内の商品は+55℃程の温度(前記商品加熱温度)に加熱される。切換室熱交換器34で放熱し+60℃程の温度(前記商品加熱冷媒出口温度)まで低下した冷媒ガスは、それから流出し、配管41、逆止弁43、配管44を経てカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に流入する。
この被吸熱用熱交換器46に流入した+60℃程の温度の冷媒は、前述同様にカスケード熱交換器76に設けられた吸熱用熱交換器74と熱交換することにより、その内部を流れる高元側冷媒回路RHの冷媒により吸熱されて冷却される。この被吸熱用熱交換器46を出た低元側冷媒回路RLの冷媒は、配管47を経て二手に分流され、一方はバイパス回路92に流入し、電磁弁93、配管54等を経て膨張弁57に至る。
ここで冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって専用室熱交換器58に流入する。この専用室熱交換器58に流入した冷媒は蒸発する。このときの吸熱作用で冷却専用室20内を冷却し、そこから熱を汲み上げる。専用室熱交換器58内で蒸発して冷却専用室20内から吸熱した冷媒は、配管63を経て配管64に流入する。
他方、バイパス回路92に向かった冷媒の残りは、図24に破線矢印で示すように膨張弁48に至る。ここで冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって室外熱交換器49に流入する。この室外熱交換器49には送風機78により外気が送風されているので冷媒は蒸発し、そのときの吸熱作用で外気中から熱を汲み上げる。この室外熱交換器49内で蒸発して外気中から吸熱した冷媒は、配管52から配管66、電磁弁67を経て配管64に流入し、配管63を経て来た冷媒と合流した後、低元側圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。
高元側圧縮機68も運転されて二酸化炭素冷媒を超臨界状態まで圧縮し、配管69に吐出する。この高元側圧縮機68から吐出された高温高圧の冷媒(ガス)は、図24に矢印で示す如く配管69を経て前述同様に放熱用熱交換器71に流入し、そこで放熱する。これにより、右端の冷温切換室15内は高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71によって加熱される。
この放熱用熱交換器71で放熱した冷媒ガスは、それから流出し、配管72を経て膨張弁73に至る。ここで高元側冷媒回路RHの冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は同じく気液混合状態となってカスケード熱交換器76の吸熱用熱交換器74に流入し、そこで蒸発する。このときの吸熱作用でカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46内を流れる低元側冷媒回路RLの冷媒(前述したように+60℃程の商品加熱冷媒出口温度に維持されている冷媒)から吸熱し、その熱を汲み上げた後、配管77を経て高元側圧縮機68に吸い込まれる循環を繰り返す。
即ち、この実施例の場合、室外熱交換器49等をバイパスするバイパス回路92と、このバイパス回路92への冷媒の流通を制御する電磁弁93を設け、制御装置Cが、バイパス回路92に冷媒を流すと共に、低元側冷媒回路RLの冷媒を専用室熱交換器58と室外熱交換器49の双方で蒸発させるC−H−H室内外気吸熱モードを実行するようにしたので、専用室熱交換器58による冷却専用室20からの吸熱に加えて、室外熱交換器49により外気からも吸熱することが可能となる。
これにより、特に両冷温切換室15、25を加熱して使用するC−H−Hモードにおいて、専用室熱交換器58による冷却専用室20からの吸熱だけでは各冷温切換室15、25を加熱する熱量に不足が生じる場合に、室外熱交換器49にて外気からも吸熱して切換室熱交換器34や高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71により各冷温切換室15、25内を支障無く加熱することができるようになる。
ここで、図25は本発明の自動販売機1の更に他の実施例の冷媒回路を示している。図25の冷媒回路図において、図3と同一符号で示すものは同一とする。この図25において、図3と異なる箇所は、配管29と配管44とを結ぶバイパス回路97を更に設け、そこに弁装置としての電磁弁98(流量調整弁でもよい)を取り付けている点である。これにより、バイパス回路97は各切換室熱交換器34、37をバイパスするかたちとなる。
このような構成によっても、膨張弁53又は膨張弁59を全閉として電磁弁33又は電磁弁36を開き、或いは、各膨張弁53、59を全閉として各電磁弁33及び36を開き、且つ、電磁弁98を開くことにより、前記実施例3の場合と同様に、切換室熱交換器34や切換室熱交換器37を経た冷媒に加えて、低元側圧縮機27からの高温冷媒をカスケード熱交換器76の被吸熱用熱交換器46に流し、高元側冷媒回路RHの吸熱用熱交換器74により吸熱させることができるようになる。
尚、上記各実施例では制御装置Cは、温度センサ83と87が検出する冷温切換室15や25内を加熱している切換室熱交換器37や34、放熱用熱交換器71を出た冷媒の温度が前記商品加熱冷媒出口温度となるように低元側圧縮機27及び高元側圧縮機68の運転周波数を制御するようにしたが、図3や図4の場合の如く低元側冷媒回路RLの切換室熱交換器37により冷温切換室15内の加熱を行う際には、制御装置Cが、温度センサ86と84の出力に基づき、高元側冷媒回路RHの吸熱用熱交換器74に入る冷媒温度と、当該吸熱用熱交換器74と熱交換した後の低元側冷媒回路RLの冷媒温度、即ち、被吸熱用熱交換器46を出た冷媒温度との差に基づき、その差が規定値(例えば10K)以上となるよう低元側圧縮機27の運転周波数を制御するようにしてもよい。
係る制御によっても、吸熱用熱交換器74における低元側冷媒回路RLから高元側冷媒回路RHへの熱の受け渡しを支障無く行いながら、圧縮比が比較的低くて済む高元側圧縮機68を有する高元側冷媒回路RHの熱搬送能力によりできるだけ冷温切換室15内の加熱を行うようにし、省エネ化を図ることが可能となる。
また、実施例では右端の冷温切換室15に高元側冷媒回路RHの放熱用熱交換器71を設けたが、中央の冷温切換室25に設けても良く、また、高元側圧縮機68を出た配管69を分岐させることにより、吸熱用熱交換器71を二つ並列に接続して、両冷温切換室15、25にそれぞれ設けても良い。
また、実施例では切換室熱交換器37とは別個に放熱用熱交換器71を設けたが、それに限らず、切換室熱交換器37と放熱用熱交換器71を一体化した熱交換器を冷温切換室15内に設けても良い。更に、実施例では冷却専用室20を設けたが、冷温切換室15、25のみの自動販売機にも本発明は有効である。