ここで、近年の地球環境問題に対する関心の高まりから、自動販売機においても自然冷媒でオゾン破壊の危険性が無い二酸化炭素を使用することが期待されている。しかしながら、二酸化炭素を使用して一般的な自動販売機の商品(缶飲料やペットボトル飲料)加熱温度である+55℃を実現するためには、超臨界となった冷媒を活用しなければならず、この超臨界状態では前述のような潜熱を活用できないため、運転効率(COP)が悪化する問題がある。
一方で、冷温切換室内を加熱した後、室内熱交換器から出た冷媒は、未だ+60℃程の温度を有している。従って、外気温度が例えば+15℃であるものとすると、前述した高温でも凝縮する冷媒の場合には、図23のp−h線図にX1で示すように外気温度よりも高く、且つ、冷温切換室の加熱には使用していない熱量が残存している。
そして、二酸化炭素冷媒の場合は、図24にX2で示すように図23の場合よりも更に大量の熱量が残存している。冷温切換室を出た冷媒の温度は当該冷温切換室内を適温に維持できる程高くは無いが、外気温度よりは高い。この冷媒が有する熱量を利用できれば大幅な運転効率の改善が期待できる(尚、図23の理論COPは3.65、図24は1.83。図23、図24の室内熱交換器出口冷媒温度は+60℃、冷却専用室の室内熱交換器での冷媒蒸発温度は−5℃。図23の圧縮機入口冷媒過熱度は内部熱交換器により25Kに設定)。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、商品収納室内の加熱を行った後の冷媒が有する熱量を有効に利用して運転効率の改善を図ることができる自動販売機を提供することを目的とする。
本発明の自動販売機は、本体内に複数構成された商品収納室と、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を放熱させて商品収納室内を加熱する第1の室内熱交換器と、冷媒を蒸発させて商品収納室内を冷却する第2の室内熱交換器とを備えたものであって、蓄熱手段と、第1の室内熱交換器を出た冷媒と蓄熱手段とを熱交換させる蓄熱用熱交換器と、この蓄熱用熱交換器に流入する冷媒を膨張させる膨張手段と、制御装置とを備え、この制御装置は、膨張手段により冷媒を膨張させること無く第1の室内熱交換器を出た冷媒により蓄熱用熱交換器にて蓄熱手段に蓄熱する蓄熱モードと、膨張手段により蓄熱用熱交換器にて冷媒を蒸発させ、圧縮機により圧縮して第1の室内熱交換器に流入させる吸熱モードとを有することを特徴とする。
請求項2の発明の自動販売機は、上記発明において制御装置は、蓄熱モードにおける蓄熱手段への蓄熱が完了した場合、吸熱モードに移行し、この吸熱モードにおいて蓄熱手段から吸熱し切った場合、蓄熱モードに移行することを特徴とする。
請求項3の発明の自動販売機は、請求項1又は請求項2の発明において商品収納室の外部に設けられた室外熱交換器を備え、制御装置は、蓄熱モードにおいて第2の室内熱交換器、及び/又は、室外熱交換器にて冷媒を蒸発させ、第1の室内熱交換器を出た冷媒により蓄熱用熱交換器にて蓄熱手段に蓄熱することを特徴とする。
請求項4の発明の自動販売機は、上記発明において制御装置は、室外熱交換器にて冷媒を放熱させており、第2の室内熱交換器での冷媒の蒸発のみでは吸熱量が不足する場合、室外熱交換器にて冷媒を蒸発させることを特徴とする。
請求項5の発明の自動販売機は、上記発明において第1の室内熱交換器を出た冷媒と蓄熱用熱交換器を出た冷媒とを熱交換させる第1の内部熱交換器と、第2の室内熱交換器に向かう冷媒と当該第2の室内熱交換器を出た冷媒とを熱交換させる第2の内部熱交換器を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明の自動販売機は、請求項3乃至請求項5の発明において制御装置は、吸熱モードから蓄熱モードに移行する場合、室外熱交換器をバイパスするバイパスモードを実行した後、蓄熱モードに移行することを特徴とする。
請求項7の発明の自動販売機は、請求項3乃至請求項6の発明において室外熱交換器に外気を送風する送風手段を備え、制御装置は、室外熱交換器にて冷媒を蒸発させる蓄熱モードから吸熱モードに移行したとき、室外熱交換器の温度が所定値の低い値であり、且つ、外気温度が所定の高い値である場合、送風手段を運転することを特徴とする。
請求項8の発明の自動販売機は、請求項3乃至請求項7の発明において制御装置は、室外熱交換器にて冷媒を蒸発させる蓄熱モードから吸熱モードに移行したとき、室外熱交換器の温度が所定の低い値であり、且つ、外気温度も所定の低い値である場合、第1の室内熱交換器を出た冷媒を室外熱交換器に流した後、蓄熱用熱交換器にて蒸発させることを特徴とする。
請求項9の発明の自動販売機は、上記各発明において第1の室内熱交換器により加熱される商品収納室内を、蓄熱手段を用いて断熱することを特徴とする。
請求項10の発明の自動販売機は、上記発明において蓄熱手段と熱交換した2次媒体により商品収納室内を断熱することを特徴とする。
請求項11の発明の自動販売機は、請求項9又は請求項10の発明において蓄熱手段及び蓄熱用熱交換器を複数備え、何れかの蓄熱手段により商品収納室内を断熱すると共に、吸熱モードでは他の蓄熱手段の蓄熱用熱交換器にて冷媒を蒸発させることを特徴とする。
請求項12の発明の自動販売機は、上記各発明において制御装置は、夜間は蓄熱モードを実行し、吸熱モードは昼間に実行することを特徴とする。
請求項13の発明の自動販売機は、上記各発明において設置される他の機器の廃熱により蓄熱手段に蓄熱することを特徴とする。
請求項14の発明の自動販売機は、上記各発明において第1の室内熱交換器は、冷却及び加熱の切り換えが可能な商品収納室としての冷温切換室に設けられ、冷媒を放熱させて当該冷温切換室内を加熱し、冷媒を蒸発させて冷温切換室内を冷却すると共に、第2の室内熱交換器は、冷却専用の商品収納室としての冷却専用室に設けられて当該冷却専用室内を冷却することを特徴とする。
請求項15の発明の自動販売機は、上記各発明において冷媒として二酸化炭素を使用することを特徴とする。
本発明によれば、本体内に複数構成された商品収納室と、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を放熱させて商品収納室内を加熱する第1の室内熱交換器と、冷媒を蒸発させて商品収納室内を冷却する第2の室内熱交換器とを備えた自動販売機において、蓄熱手段と、第1の室内熱交換器を出た冷媒と蓄熱手段とを熱交換させる蓄熱用熱交換器とを備えているので、第1の室内熱交換器で放熱し、商品収納室内を加熱した後の冷媒が有する熱量を、蓄熱用熱交換器にて蓄熱手段に蓄えることができるようになる。
特に、蓄熱用熱交換器に流入する冷媒を膨張させる膨張手段と、制御装置を設け、この制御装置が、膨張手段により冷媒を膨張させること無く第1の室内熱交換器を出た冷媒により蓄熱用熱交換器にて蓄熱手段に蓄熱する蓄熱モードと、膨張手段により蓄熱用熱交換器にて冷媒を蒸発させ、圧縮機により圧縮して第1の室内熱交換器に流入させる吸熱モードとを実行するようにしたので、蓄熱モードにて第1の室内熱交換器を出た冷媒の熱量を蓄熱手段に蓄え、この蓄えた熱を吸熱モードにて蓄熱用熱交換器で冷媒を蒸発させることにより吸い上げ、第1の室内熱交換器による商品収納室内の加熱源として利用することができるようになる。
即ち、第1の室内熱交換器を出た商品収納室内を適温に加熱できる程高くは無いが、外気温度よりは高い冷媒が有する熱量を利用して商品収納室内を加熱することが可能となるので、自動販売機の運転効率(COP)を大幅に改善することができるものである。特に、請求項15の如く二酸化炭素を冷媒として使用する場合には、大量の熱を蓄熱手段の蓄熱に利用することができるようになり、極めて有効である。
この場合、請求項2の発明の如く制御装置が、蓄熱モードにおける蓄熱手段への蓄熱が完了した場合、吸熱モードに移行し、この吸熱モードにおいて蓄熱手段から吸熱し切った場合、蓄熱モードに移行するようにすれば、蓄熱手段に効率よく蓄熱し、この蓄えた熱量を効率よく吸い上げて利用することができるようになる。
また、請求項3の発明の如く商品収納室の外部に室外熱交換器を設け、制御装置が、蓄熱モードにおいて第2の室内熱交換器、及び/又は、室外熱交換器にて冷媒を蒸発させ、第1の室内熱交換器を出た冷媒により蓄熱用熱交換器にて蓄熱手段に蓄熱するようにすれば、請求項4の発明の如く室外熱交換器にて冷媒を放熱させており、第2の室内熱交換器での冷媒の蒸発のみでは吸熱量が不足する場合、室外熱交換器にて冷媒を蒸発さ、第2の室内熱交換器にて冷却される商品収納室内からの吸熱に加えて外気からも吸熱し、或いは、それらによる吸熱を切り換えて行い、第1の室内熱交換器による商品収納室内の加熱と蓄熱手段への蓄熱に供することができるようになるので、第2の室内熱交換器による商品収納室からの吸熱だけでは不足する場合や、当該商品収納室内を冷却していない場合にも、支障無く第1の室内熱交換器による商品収納室内の加熱と蓄熱手段への蓄熱を行うことが可能となる。
また、請求項5の発明の如く第1の室内熱交換器を出た冷媒と蓄熱用熱交換器を出た冷媒とを熱交換させる第1の内部熱交換器と、第2の室内熱交換器に向かう冷媒と当該第2の室内熱交換器を出た冷媒とを熱交換させる第2の内部熱交換器とを設ければ、第1の内部熱交換器で行う蓄熱用熱交換器を出た冷媒の加熱と、第2の内部熱交換器において行う第2の室内熱交換器に向かう冷媒の過冷却の各熱交換量をそれぞれ好適に設定することができるようになる。
この場合、吸熱モード終了近くでは蓄熱用熱交換器の温度は低く、その状態で蓄熱モードに移行し、室外熱交換器に冷媒が流れると、外気温度の方が高く、冷媒は放熱すること無く逆に外気によって暖められてしまうことになるが、請求項6の発明の如く制御装置が、吸熱モードから蓄熱モードに移行する場合、室外熱交換器をバイパスするバイパスモードを実行した後、蓄熱モードに移行するようにすれば係る不都合を解消し、省エネルギーに寄与することができるようになる。
また、室外熱交換器にて冷媒を蒸発させる蓄熱モードでは外気中の湿気が霜となって室外熱交換器に成長し、熱交換が阻害されるようになるが、請求項7の発明の如く制御装置が、室外熱交換器にて冷媒を蒸発させる蓄熱モードから吸熱モードに移行したとき、室外熱交換器の温度が所定値の低い値であり、且つ、外気温度が所定の高い値である場合、室外熱交換器に外気を送風する送風手段を運転するようにすれば、送風によって室外熱交換器の霜取を行うことができるようになる。
更に、請求項8の発明の如く制御装置が、室外熱交換器にて冷媒を蒸発させる蓄熱モードから吸熱モードに移行したとき、室外熱交換器の温度が所定の低い値であり、且つ、外気温度も所定の低い値である場合、第1の室内熱交換器を出た冷媒を室外熱交換器に流した後、蓄熱用熱交換器で蒸発させるようにすれば、第1の室内熱交換器を出た冷媒の熱により室外熱交換器の霜取を行うことができるようになる。
また、請求項9の発明の如く第1の室内熱交換器により加熱される商品収納室内を、蓄熱手段を用いて、或いは、請求項10の発明の如く蓄熱手段と熱交換した2次媒体により断熱するようにすれば、第1の室内熱交換器により加熱される商品収納室の断熱に蓄熱手段を用いることができるようになり、商品収納室内を効率よく加熱して運転効率の更なる改善を図ることが可能となる。特に2次媒体を用いる場合には、蓄熱用熱交換器の位置を商品収納室の断熱のために変更する必要がなくなり、生産性が向上する。
この場合、請求項11の発明の如く蓄熱手段及び蓄熱用熱交換器を複数設け、何れかの蓄熱手段により商品収納室内を断熱すると共に、吸熱モードでは他の蓄熱手段の蓄熱用熱交換器にて冷媒を蒸発させることにより、第1の室内熱交換器により加熱される商品収納室内の断熱と、蓄熱手段への第1の室内熱交換器を出た冷媒による蓄熱/吸熱利用の双方を実行することができるようになる。
また、請求項12の発明の如く制御装置によって夜間は蓄熱モードを実行し、吸熱モードは昼間に実行することにより、電気料金の安価な深夜電力を用いて蓄熱手段に蓄熱しておき、昼間その蓄えた熱量を利用して第1の室内熱交換器により商品収納室内を加熱することができるようになるので、電力の平準化とランニングコストの低減を図ることが可能となる。
また、請求項13の発明の如く設置される他の機器の廃熱により蓄熱手段に蓄熱することにより、自動販売機に設けられるインバータ等の他の発熱部品からの廃熱を利用して蓄熱手段に蓄熱することが可能となり、更なる運転効率の改善を図ることが可能となる。
そして、請求項14の発明の如く第1の室内熱交換器を冷却及び加熱の切り換えが可能な商品収納室としての冷温切換室に設け、冷媒を放熱させて当該冷温切換室内を加熱し、冷媒を蒸発させて冷温切換室内を冷却すると共に、第2の室内熱交換器を冷却専用の商品収納室としての冷却専用室に設け、当該冷却専用室内を冷却することにより、自動販売機における商品の加熱及び冷却販売に極めて有効なものとなる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。図1及び図2において、実施例の自動販売機1は、鋼板製の外面材2Aとその内側に設けられた断熱材(図示せず)から構成された前面が開口する断熱箱体である本体2と、この本体2の前面を開閉自在に閉塞するよう一側(実施例では向かって左側)が本体2に回動自在に枢支された外扉3を備えている。
この外扉3の前面上部には商品サンプル室4が構成されており、この商品サンプル室4内に陳列された複数の各商品サンプルに対応して複数の商品選択スイッチ6が配置されている。また、商品サンプル室4の下側の外扉3前面には、広告パネル5が構成されており、この広告パネル5の下側の外扉3前面下部には商品取出口7が構成されている。
更に、外扉3前面の向かって右側(非枢支側)中央部には化粧パネル8が取り付けられており、この化粧パネル8内に位置して硬貨投入口9、返却レバー11が設けられている。また、この化粧パネル8の向かって左側の外扉3前面には、金額表示器12が取り付けられている。更に、この金額表示器12の下側の外扉3前面には紙幣識別装置(ビルバリ)14が取り付けられており、商品取出口7の向かって右側の外扉3前面には硬貨返却口13が構成されている。
一方、本体2内の上部には上面、左右面及び後面が前記断熱材で囲繞され、前面が開口した商品収納部16が構成されている。この商品収納部16は断熱性の収納部仕切板17によって左右方向三つの商品収納室に仕切られており、向かって右側から二つが冷温切換室15(商品収納室)とされ、向かって左側が冷却専用室20(商品収納室)とされている。尚、この冷却専用室20は各冷温切換室15よりも容積が大きい。これは冷却して販売する商品のほうが、加熱して販売する商品よりも一般的に多いからである。この仕切板17で仕切られた冷温切換室15、15、及び、冷却専用室20には、販売する商品が蛇行状の商品通路に収納されるサーペンタイン式の商品収納コラム18が前後方向及び左右方向にそれぞれ設けられている。
商品収納部16の前面には、それぞれ断熱性を有し、商品収納部16の前面開口の上部側を開閉するための上部側内扉21と、商品収納部16の前面開口の下部側を開閉するための下部側内扉22が設けられている。この下部側内扉22は本体2に回動自在に枢支されている。
また、下部側内扉22の下部には商品収納部16の各冷温切換室15及び冷却専用室20側と外扉3側とを連通する商品搬出口23が左右方向に並設されている。各商品搬出口23には開閉自在の搬出扉24が上縁を中心して回動自在に取り付けられており、前方に案内される商品に押されて回転し、商品搬出口23を開放して商品を商品取出口7に搬出する構成とされている。
他方、上部側内扉21は外扉3の商品サンプル室4の後側に対応して当該外扉3に取り付けられており、外扉3を開閉することにより、上部側内扉21によって商品収納部16の前面開口の上部側が開閉される構成とされている。更に、上部側内扉21は外扉3を開放した状態で、当該外扉3から独立して後方に開閉自在とされ、上部側内扉21を外扉3から後方に開いた状態で、商品サンプル室4内に陳列される商品サンプルを交換できるように構成されている。また、本体2内の下部には機械室26が形成されている。
次に、図3は自動販売機1の一実施例の冷媒回路を示している。この図において、27は冷媒を圧縮する圧縮機であり、機械室26内に設置されている。圧縮機27の吐出側の配管28は配管29と30に分岐し、分岐した一方の配管29は更に配管31と32に分岐し、配管31は電磁弁33を介して中央の冷温切換室15内に設けられた第1の室内熱交換器としての中央の切換室熱交換器34の入口に接続され、配管32は電磁弁36を介して右端の冷温切換室15内に設けられた第1の室内熱交換器としての右端の切換室熱交換器37の入口に接続されている。
切換室熱交換器37の出口は配管38と39に分岐している。切換室熱交換器34の出口は配管41と42に分岐し、一方の配管41は逆止弁43を介して前記切換室熱交換器37の出口から分岐した一方の配管38に合流している。両配管38、41の合流点は更に配管44と46に分岐し、一方の配管44は第1の内部熱交換器47を経て膨張手段としての膨張弁48の入口に接続され、他方の配管46は電磁弁49の入口接続されている(逆止弁43は膨張弁48方向が順方向)。
膨張弁48と電磁弁49の出口は配管51にて合流し、この配管51は蓄熱用熱交換器52に接続されている。この蓄熱用熱交換器52には蓄熱手段としての蓄熱材53が熱交換関係に設けられており、自動販売機1の本体2の前記断熱材内や機械室26内に設置される。実施例の場合、蓄熱材53は+30℃で潜熱を蓄熱できる相変化物質(PCM)を採用する。尚、蓄熱材としては係る相変化を伴うものに限らず、熱を蓄えられる材料であれば、本願の蓄熱材として採用可能である。
蓄熱用熱交換器52の出口側の配管55は配管54と56に分岐し、一方の配管54は更に配管57と58に分岐し、配管57は電磁弁59を介して室外熱交換器61の一端に接続されている。この室外熱交換器61は機械室26内に設置されると共に、機械室26内には更にこの室外熱交換器61に外気を送風するための送風手段とし送風機62が設置されている。尚、圧縮機27の吐出側の配管28から分岐した配管30は、電磁弁60を介して室外熱交換器61の一端に接続されている。
室外熱交換器61の他端の配管63は、逆止弁64、第2の内部熱交換器66を経て膨張手段としての膨張弁67の入口に接続されている。尚、逆止弁64は内部熱交換器66方向が順方向とされており、前記配管58は電磁弁68を介してこの逆止弁64と内部熱交換器66の間の配管63に接続されている。また、内部熱交換器66と膨張弁67の間の配管63は、配管69により膨張手段としての膨張弁71を介して電磁弁59と室外熱交換器61の間の配管57に接続されている。
内部熱交換器66と膨張弁67の間の配管63は更に配管74、76に分岐し、配管74は膨張手段としての膨張弁77を介して前記冷却専用室20内に設けられた第2の室内熱交換器としての専用室用熱交換器78の入口に接続されており、配管76は膨張手段としての膨張弁79を介して前記切換室用熱交換器37の入口に接続されている。
切換室用熱交換器34及び37の出口から分岐した配管42及び39はそれぞれ電磁弁81、82を介して専用室用熱交換器78の出口の配管83と合流しており、この合流点は配管84に接続され、この配管84は内部熱交換器66を介して圧縮機27の吸込側に接続されている。蓄熱用熱交換器52の出口側の配管55から分岐した一方の配管56は、電磁弁72及び内部熱交換器47を経て内部熱交換器66と前記合流点の間(内部熱交換器66の上流側)の配管84に接続されている。また、室外熱交換器61の他端も配管86により電磁弁74を介して内部熱交換器66と前記合流点の間の配管84に接続されている。
尚、前記内部熱交換器(第1の内部熱交換器)47は切換室熱交換器34、37を出て配管44を流れる冷媒と蓄熱用熱交換器52を出て配管56を流れる冷媒とを熱交換させるものであり、内部熱交換器(第2の内部熱交換器)66は配管63を流れて最終的に専用室熱交換器78に向かう冷媒と当該専用室熱交換器78を出て配管84を流れる冷媒とを熱交換させるものである。そして、この冷媒回路内には冷媒として二酸化炭素が所定量封入されている。
また、図3においてCは汎用マイクロコンピュータから構成された制御装置であり、前記各冷温切換室15、冷却専用室20内の温度を検出する図示しない温度センサ等や、蓄熱用熱交換器52の出口側の配管55の温度を検出する温度センサ87、室外熱交換器61の温度を検出する温度センサ101、外気温度を検出する外気温度センサ102の出力に基づき、圧縮機27や送風機62の運転を制御すると共に、各膨張弁48、67、71、77、79の弁開度を制御し、各電磁弁33、36、49、59、60、68、72、73、81、82を開閉制御する。特に、制御装置Cはインバータを用いて圧縮機27の回転数を制御する。
(1)室内吸熱蓄熱モード
以上の構成で、次に図4乃至図11を参照しながらこの実施例の動作を説明する。尚、各図において、塗りつぶしで示す電磁弁や膨張弁は閉又は全閉状態であり、白抜きで示す電磁弁や膨張弁は開又は弁開度制御状態である。今、両冷温切換室15、15を加熱する使用状態であるものとすると、制御装置Cは図4に示す室内吸熱蓄熱モードを実行する。この室内吸熱蓄熱モードでは、制御装置Cは膨張弁67、71、79の弁開度を全閉とし、電磁弁60、68、72、73、82、81を閉じる。また、電磁弁33、36、49、59を開き、膨張弁77を開いてその弁開度を制御する。尚、膨張弁48は全閉でも開いていてもよい。
そして、制御装置Cは圧縮機27及び送風機62を運転する。圧縮機27は運転されて二酸化炭素冷媒を超臨界状態まで圧縮し、配管28に吐出する。この圧縮機27から吐出された+100℃以上の高温高圧の冷媒(ガス)は、図4に矢印で示す如く配管29、電磁弁33、36を経て配管31、32から両切換室熱交換器34、37に流入し、そこで放熱する。これにより、各冷温切換室15、15内の商品は+55℃程に加熱される。各切換室熱交換器34、37で放熱し+60℃程の温度まで低下した冷媒ガスは、それらから流出し、配管38、41を経て電磁弁49を通過し、蓄熱用熱交換器52に流入する。
この蓄熱用熱交換器52に流入した+60℃程の温度の冷媒は、それに設けられた蓄熱材53と熱交換することにより、その熱が蓄熱材53に蓄えられていく。尚、蓄熱材53は前述したように+30℃で潜熱を蓄えるものであるので、蓄熱材53の蓄熱が完了するまでは、蓄熱材用熱交換器52で蓄熱材53と熱交換した冷媒の温度は+35℃程の温度まで低下して出て行く。この蓄熱用熱交換器52を出た冷媒は配管55、54を経て電磁弁59を通過し、配管57から室外熱交換器61に流入する。室外熱交換器61には送風機62により外気が送風されているので、冷媒はここで更に冷却される。そして、配管63に流出し、逆止弁64、内部熱交換器66を通過した後、配管74から膨張弁77に至る。
ここで冷媒は減圧されて膨張する。減圧される過程で冷媒は気液混合状態となって専用室熱交換器78に流入する。専用室熱交換器78に流入して冷媒は蒸発する。このときの吸熱作用で冷却専用室20内を冷却する。専用室熱交換器78内で蒸発して冷却専用室20内から吸熱した冷媒は配管83から84に流入し、内部熱交換器66を経て圧縮機27に吸い込まれる循環を繰り返す。内部熱交換器(第2の内部熱交換器)66では配管84を通過する低温冷媒により配管63を通過して膨張弁77に向かう冷媒(専用室熱交換器78に向かい、最終的にそこで蒸発する冷媒)が過冷却されるので効率の改善が図られる。
(2)室内外気吸熱蓄熱モード
このような室内吸熱蓄熱モードで冷温切換室15、15の加熱のために専用室熱交換器78で冷却専用室20から吸い上げられる熱量が不足するようになり、圧縮機27の回転数が最大値まで上昇した場合、制御装置Cは図5の室内外気吸熱蓄熱モードに遷移する。この室内外気吸熱蓄熱モードでは、制御装置Cは図4の状態から電磁弁59を閉じ、電磁弁68、73を開く。また、膨張弁71を開いてその弁開度を制御する(送風機62は運転)。
これにより、配管54を流れる冷媒は図5中矢印で示すように配管58に向かい、電磁弁68、内部熱交換器66を経てその一部が配管69から膨張弁71に流入するようになる。膨張弁71では冷媒が減圧されて膨張し、その過程で冷媒は気液混合状態となって室外熱交換器61に流入する。室外熱交換器61に流入して冷媒は蒸発するので、送風機62により送風されている外気中から吸熱を行うようになる。尚、室外熱交換器61から出た冷媒は電磁弁73を経て配管86から配管84に合流し、圧縮機27に吸い込まれる。
即ち、この室内吸熱蓄熱モードでは専用室熱交換器78による冷却専用室20内からの吸熱に加えて、室外熱交換器61による外気からの吸熱も行われるようになるので、切換室熱交換器34、37による冷温切換室15、15内の加熱能力が確保される。また、この室内外気吸熱蓄熱モードにおいても、各切換室熱交換器34、37から出た冷媒の温度により、蓄熱用熱交換器52にて蓄熱材53に蓄熱が行われていく。
(3)外気吸熱蓄熱モード
また、図4の室内吸熱蓄熱モードにおいて、冷却専用室20の温度が所定の下限値まで低下した場合、制御装置Cは図6の外気吸熱蓄熱モードに遷移する。この外気吸熱蓄熱モードでは、制御装置Cは図4の状態から電磁弁59を閉じ、電磁弁68、73を開く。また、膨張弁77を全閉とし、膨張弁71を開いてその弁開度を制御する(送風機62は運転)。
これにより、配管54を流れる冷媒は図6中矢印で示すように配管58に向かい、電磁弁68、内部熱交換器66を経て全てが配管69から膨張弁71に流入するようになる。膨張弁71では冷媒が減圧されて膨張し、その過程で冷媒は気液混合状態となって室外熱交換器61に流入する。室外熱交換器61に流入して冷媒は蒸発するので、送風機62により送風されている外気中から吸熱を行うようになる。尚、室外熱交換器61から出た冷媒は電磁弁73を経て配管86から配管84に合流し、圧縮機27に吸い込まれる。また、膨張弁77は閉じているので、専用室熱交換器78への冷媒の流入は阻止され、冷却専用室20内の冷却は停止される。
即ち、この外気吸熱蓄熱モードでは専用室熱交換器78による冷却専用室20内からの吸熱に代えて、室外熱交換器61による外気からの吸熱が行われるようになるので、冷却専用室20からの吸熱が行われない場合にも、支障無く切換室熱交換器34、37による冷温切換室15、15内の加熱を行うことができる。また、この外気吸熱蓄熱モードにおいても、各切換室熱交換器34、37から出た冷媒の温度により、蓄熱用熱交換器52にて蓄熱材53に蓄熱が行われていく。
(4)蓄熱材吸熱モード
尚、上記室内外気吸熱蓄熱モード(図5)において圧縮機27の回転数が所定値に低下した場合、また、上記外気吸熱蓄熱モード(図6)において冷却専用室20の温度が所定の上限値まで上昇した場合、制御装置Cは室内吸熱蓄熱モード(図4)に復帰するものであるが、このような各蓄熱モードを実行している間、温度センサ87が検出する蓄熱材53から出る冷媒の温度は前述したように+35℃程まで低下する。そして、係る各蓄熱モードを実行することで蓄熱材53への蓄熱が完了し、蓄熱材53の相変化が終了してそれ以上の蓄熱はできなくなると、例えば図6の状態で温度センサ87が検出する蓄熱用熱交換器52を出た冷媒の温度は高くなっていく。
制御装置Cは温度センサ87が検出する冷媒の温度が+35℃より高い所定の蓄熱完了値になった場合、蓄熱材53への蓄熱が完了したものと判断して図7の蓄熱材吸熱モードに遷移する。この蓄熱材吸熱モードでは、制御装置Cは図6の状態から電磁弁49、68を閉じ、電磁弁72を開く(送風機62は停止するが、詳細は後述する)。
これにより、配管38、41を流れる冷媒は図7中矢印で示すように配管44から内部熱交換器47に向かい、次に、膨張弁48に流入するようになる。膨張弁48では冷媒が減圧されて膨張し、その過程で冷媒は気液混合状態となって蓄熱用熱交換器52に流入する。蓄熱用熱交換器52に流入して冷媒は蒸発するので、それと熱交換関係に設けられている蓄熱材53に蓄えられた熱を吸い上げるようになる。
蓄熱用熱交換器52で蓄熱材53から吸熱した冷媒は、配管55から電磁弁72を通過し、内部熱交換器47を経て配管84に流入し、圧縮機27に吸い込まれて圧縮され、再び高温高圧のガス冷媒となって配管28、29、電磁弁33、36、配管31、32を通過し、切換室熱交換器15に流入することになる。即ち、蓄熱材53に蓄えられた熱が各切換室熱交換器15に搬送されて冷温切換室15の加熱に利用されることになるので、運転効率(COP)が大幅に向上する。
図8は図7の場合の蓄熱材吸熱モードにおける冷媒回路のp−h線図を示している。図中X3で示す部分が蓄熱材53からの吸熱を示しており、X4で示す部分は切換室熱交換器34、37における放熱を示す。尚、内部熱交換で示す部分は内部熱交換器47における熱交換を示している。制御装置Cはこの蓄熱材吸熱モードにおいて、膨張弁48の弁開度を制御して蓄熱用熱交換器52における冷媒の蒸発温度を+25℃とするので、蓄熱材53からの吸熱は+25℃で行われる。このときの運転効率(COP)は3.69となり、図23の場合を凌駕した。
また、内部熱交換器47では切換室熱交換器34、37を出た冷媒により蓄熱用熱交換器52を出た冷媒が加熱されるので、圧縮機27の吐出冷媒温度が低くなり過ぎることが防止される。
(4−1)外気による室外熱交換器の霜取制御
尚、上記のように実施例の蓄熱材吸熱モードにおいては室外熱交換器61には冷媒は流れないので、前述の如く基本的に制御装置Cは送風機62を停止するものであるが、前記外気吸熱蓄熱モード(図6)や室内外気吸熱蓄熱モード(図5)では、室外熱交換器61で冷媒が蒸発して低温となるため、室外熱交換器61には外気中の水分が霜となって付着するようになる。着霜が成長すると室外熱交換器61を流れる冷媒と外気との熱交換が阻害されるようになる。
そこで、制御装置Cは温度センサ101が検出する室外熱交換器61の温度に基づき、室外熱交換器61の温度が所定の低い値、例えば、0℃以下である場合、室外熱交換器61に着霜が生じているものと判断する。次に、外気温度センサ102が検出する外気温度が所定の高い値、例えば0℃以上である場合、蓄熱材吸熱モードに移行した後も、引き続き送風機62を運転する。
即ち、室外熱交換器61の温度が所定の低い値であり、且つ、外気温度が所定の高い値である場合、外気吸熱蓄熱モードや室内外気吸熱蓄熱モードから蓄熱材吸熱モードに移行した後も、送風機62を引き続き運転する。これにより、比較的温度の高い外気が室外熱交換器61に送風されるので、それに成長した霜が融解除去される。尚、この送風機62の運転による霜取制御は、室外熱交換器61の温度が所定の高い値(0℃より高い値)に上昇した時点で終了され、送風機62は停止する。
(5)バイパスモード
尚、このような蓄熱材吸熱モードにより蓄熱材53から吸熱している間、蓄熱用熱交換器52から出る冷媒の温度は+25℃程となるが、蓄熱材53から吸熱し切った場合(蓄熱材53に蓄えられた熱が枯渇)、冷媒は蓄熱用熱交換器52においてそれ以上蒸発できなくなるので、当該蓄熱用熱交換器52から出る冷媒の温度が+25℃より低くなってくる。制御装置Cは温度センサ87が検出する冷媒の温度が+25℃より低い所定の吸熱終了値になった場合、蓄熱材53からこれ以上吸熱できないと判断し、蓄熱材吸熱モードを終了して図4〜図6の何れかの蓄熱モードに遷移するものであるが、図4の室内吸熱蓄熱モードに遷移する場合、その前に図9のバイパスモードを実行する。
このバイパスモードでは制御装置Cは、例えば図4の状態に対して電磁弁59を閉じ、電磁弁68を開く。これにより、配管54を流れる冷媒は図9中矢印で示す如く配管58に向かい、電磁弁68、内部熱交換器66を経て全て膨張弁77に向かうようになる。即ち、室外熱交換器61をバイパス(迂回)して冷媒は膨張弁77から専用室熱交換器78に流入することになる。
ここで、図7の蓄熱材吸熱モード終了時の蓄熱用熱交換器52の温度は+25℃より低い温度である。このような状態で図4の室内吸熱蓄熱モードに遷移すると、外気温度が+25℃より高い環境では、室内吸熱蓄熱モードで室外熱交換器61に蓄熱用熱交換器52を出た冷媒を流した場合、冷媒は逆に外気により暖められてしまうことになり、膨張弁77に流入する冷媒の温度を却って上げてしまうことになるが、図9のバイパスモードを実行することにより係る不都合が解消され、省エネルギーとなる。
制御装置Cは、例えば温度センサ87が検出する冷媒の温度が例えば+28℃等の所定のバイパス終了値まで上昇した場合、バイパスモードを終了して図4の室内吸熱蓄熱モードに遷移するものである。
尚、図10は中央の冷温切換室15を冷却する場合の図4に相当する室内吸熱蓄熱モードの冷媒の流れを示している。この場合、制御装置Cは図4の状態に対して電磁弁33を閉じ、電磁弁81を開く。また、膨張弁67を開き、その弁開度を制御する。これにより、圧縮機27から吐出された高温冷媒は図10中矢印で示す如く配管32から切換室熱交換器37のみに流入するようになり、配管63を流れる冷媒は膨張弁67と77に分流して流入し、専用室熱交換器78と切換室熱交換器34にて蒸発するようになる。
これにより、中央の冷温切換室15は冷却されるようになる。切換室熱交換器34を出た冷媒は電磁弁81を経て専用室熱交換器78から出た冷媒と合流し、配管84を経て圧縮機27に吸い込まれることになる。また、この場合にも蓄熱材53には蓄熱が行われる。
(6)全室冷却モード
また、図11は両冷温切換室15、15を冷却する場合、即ち、自動販売機1の全ての商品収納室を冷却する全室冷却モードの冷媒の流れを示している。この場合、制御装置Cは電磁弁60、72、81、82を開き、電磁弁33、36、49、59、68、73を閉じる。また、膨張弁48、71は全閉とし、膨張弁77、67、79を開いて弁開度を制御する。
これにより、圧縮機27から吐出された冷媒は図11中矢印の如く配管30を経て電磁弁60を通り、室外熱交換器61に流入して放熱するようになる。そして、冷媒は配管63から逆止弁64、内部熱交換器66を経て分流され、各膨張弁77、67、79で減圧された後、専用室熱交換器78、切換室熱交換器34、37に流入して蒸発する。そして、配管83、42、39を経て合流した後、配管84から圧縮機27に吸い込まれるようになる。
次に、図12は本発明の自動販売機1の他の実施例の冷媒回路図を示している。この図において、図3と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとして説明を省略する。この実施例の場合は、図3の実施例の冷媒回路から内部熱交換器66が削除されている。従って、配管63はそのまま膨張弁67に接続され、配管84もそのまま圧縮機27の吸込側に接続されている。
図3の内部熱交換器66を削除すると専用室熱交換器78や切換室熱交換器34、37、室外熱交換器61で冷媒を蒸発させる際に、配管84を通る冷媒によりそれら熱交換器に流入する冷媒の過冷却を行えなくなるが、蓄熱材53を利用した運転効率の改善については同様に達成することが可能であると共に、配管構成を簡素化できる利点がある。
以上のように本発明では蓄熱材53と、切換室熱交換器34、37を出た冷媒と蓄熱材53とを熱交換させる蓄熱用熱交換器52とを備えているので、切換室熱交換器34、37で放熱し、冷温切換室15内を加熱した後の冷媒が有する熱量を、蓄熱用熱交換器52にて蓄熱材53に蓄えることができるようになる。
そして、制御装置Cが膨張弁48により冷媒を膨張させること無く切換室熱交換器34、37を出た冷媒により蓄熱用熱交換器52にて蓄熱材53に蓄熱する室内吸熱蓄熱モード、室内外気吸熱蓄熱モード、外気吸熱蓄熱モード(本発明における蓄熱モード)と、膨張弁48により蓄熱用熱交換器52にて冷媒を蒸発させ、圧縮機27により圧縮して切換室熱交換器34、37に流入させる蓄熱材吸熱モード(本発明における吸熱モード)とを実行するので、各蓄熱モードにて切換室熱交換器34、37を出た冷媒の熱量を蓄熱材53に蓄え、この蓄えた熱を蓄熱材吸熱モードにて蓄熱用熱交換器52で冷媒を蒸発させることにより吸い上げ、切換室熱交換器34、37による冷温切換室15内の加熱源として利用することができるようになる。
即ち、切換室熱交換器34、37を出た冷温切換室15内を適温に加熱できる程高くは無いが、外気温度よりは高い冷媒が有する熱量を利用して冷温切換室15内を加熱することが可能となるので、自動販売機1の運転効率(COP)を大幅に改善することができるようになる。特に、二酸化炭素を冷媒として使用する場合には、大量の熱を蓄熱材53の蓄熱に利用することができるようになり、極めて有効である。
この場合、制御装置Cは各蓄熱モードにおける蓄熱材53への蓄熱が完了した場合、蓄熱材吸熱モードに移行し、この蓄熱材吸熱モードにおいて蓄熱材53から吸熱し切った場合、各蓄熱モードに移行するので、蓄熱材53に効率よく蓄熱し、この蓄えた熱量を効率よく吸い上げて利用することができるようになる。
また、各室15、20外の機械室26に室外熱交換器61を設け、制御装置Cが各蓄熱モードにおいて専用室熱交換器78、及び/又は、室外熱交換器61にて冷媒を蒸発させ、切換室熱交換器34、37を出た冷媒により蓄熱用熱交換器52にて蓄熱材53に蓄熱すると共に、室外熱交換器61にて冷媒を放熱させており(室内吸熱蓄熱モード)、専用室熱交換器78での冷媒の蒸発のみでは吸熱量が不足する場合、室外熱交換器61にて冷媒を蒸発させ、専用室熱交換器78にて冷却される冷却専用室20内からの吸熱に加えて外気からも吸熱し(室内外気吸熱蓄熱モード)、或いは、それらによる吸熱を切り換えて行い(外気吸熱蓄熱モード)、切換室熱交換器34、37による冷温切換室15内の加熱と蓄熱材53への蓄熱に供することができるようになるので、専用室熱交換器78による冷却専用室20からの吸熱だけでは不足する場合や、当該冷却専用室20内を冷却していない場合にも、支障無く切換室熱交換器34、37による冷温切換室15内の加熱と蓄熱材53への蓄熱を行うことが可能となる。
この場合、蓄熱材吸熱モード終了近くでは蓄熱用熱交換器52の温度は低く、その状態で室内吸熱蓄熱モードに移行し、室外熱交換器61に冷媒が流れると、外気温度の方が高く、冷媒は放熱すること無く逆に外気によって暖められてしまうことになるが、制御装置Cが蓄熱材吸熱モードから室内吸熱蓄熱モードに移行する場合、室外熱交換器61をバイパスするバイパスモードを実行した後に移行するので、係る不都合を解消して省エネルギーに寄与することができるようになる。
また、室外熱交換器61にて冷媒を蒸発させる室内外気吸熱蓄熱モードや外気吸熱蓄熱モードから蓄熱材吸熱モードに移行したとき、室外熱交換器61の温度が所定値の低い値であり、且つ、外気温度が所定の高い値である場合、制御装置Cは室外熱交換器61に外気を送風する送風機62を運転するので、送風によって室外熱交換器61の霜取を行うことができる。
次に、図13〜図17は本発明の自動販売機1の更に他の実施例の冷媒回路図を示している。尚、各図において図3〜図11中と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この実施例は前述した室内外気吸熱蓄熱モード、即ち、室外熱交換器61と専用室熱交換器78の双方において同時に冷媒を蒸発させ、外気と冷却専用室20から同時に吸熱する機能を削除している。それにより、図3の実施例から配管57、58、69、電磁弁59、68、逆止弁64、内部熱交換器66を削除することができ、構成が簡素化される。
この場合、配管54は直接膨張弁71を介して室外熱交換器61の一端に接続され、室外熱交換器61の他端の配管63はそのまま膨張弁67に接続されている。また、配管86は配管63から分岐し、電磁弁73を介して配管84に接続された構成とされている。その他は図3の実施例と同様である。
図13の場合の実施例における室内吸熱蓄熱モード、外気吸熱蓄熱モード、蓄熱材吸熱モード、及び、全室冷却モードの冷媒の流れを図14〜図17にそれぞれ示す。図3の実施例と異なる点のみを説明すると、図14の室内吸熱蓄熱モードでは、制御装置Cは配管54を流れる冷媒をそのまま室外熱交換器61に流入させるために、膨張弁71の弁開度を全開とする。また、室外熱交換器61で放熱した冷媒は配管63から配管74を経て膨張弁77に至り、減圧されて膨張し、専用室熱交換器78に流入して蒸発することになる。蓄熱用熱交換器52では前述(図4)同様に蓄熱材53に蓄熱が行われる(図14では電磁弁33、36、49は開、膨張弁71は全開、膨張弁77は開いて弁開度制御、電磁弁60、72、73、81、82は閉、膨張弁67、79は全閉)。
また、図15の外気吸熱蓄熱モードでは、制御装置Cは膨張弁71の弁開度を制御して配管54を流れる冷媒を減圧し、膨張させる。減圧された冷媒は室外熱交換器61に流入して蒸発し、外気から吸熱する。その後、配管63、電磁弁73を経て配管84から圧縮機27に吸い込まれ、圧縮されて配管28、29、31、32から電磁弁33、36を経て各切換室熱交換器34、37に流入し、各冷温切換室15を加熱することになる。この場合も蓄熱用熱交換器52では前述(図6)同様に蓄熱材53に蓄熱が行われる(図15では電磁弁33、36、49、73は開、膨張弁71は開いて弁開度制御、電磁弁60、72、81、82は閉、膨張弁67、77、79は全閉)。
また、図16の蓄熱材吸熱モードは前述(図7)と変わりなく、蓄熱材53に蓄えられた熱が各切換室熱交換器34、37に搬送され、同様に蓄熱材53の熱を利用して各室の加熱が行われることになる(図16では電磁弁33、36、72は開、膨張弁48は開いて弁開度制御、電磁弁49、60、73、81、82は閉、膨張弁67、77、79は全閉)。また、全室冷却モードも内部熱交換器66を通過しないこと以外、前述(図11)と同様である(図17では電磁弁60、72、81、82は開、膨張弁67、77、79は開いて弁開度制御、電磁弁33、36、49、73は閉、膨張弁48、71は全閉)。
また、室内吸熱蓄熱モード(図14)及び外気吸熱蓄熱モード(図15)の各蓄熱モードから蓄熱材吸熱モード(図16)への遷移、及び、蓄熱材吸熱モードから各蓄熱モードへの遷移も制御装置Cにより前記図3の実施例の場合と同様に実行される。
このように室外熱交換器61と専用室熱交換器78を同時に用いて外気及び冷却専用室20から吸熱する室内外気吸熱蓄熱モードは行えないものの、この場合の実施例においても前述した実施例同様に切換室熱交換器34、37で放熱し、冷温切換室15内を加熱した後の冷媒が有する熱量を、蓄熱用熱交換器52にて蓄熱材53に蓄えることができるようになる。
そして、制御装置Cが膨張弁48により冷媒を膨張させること無く切換室熱交換器34、37を出た冷媒により蓄熱用熱交換器52にて蓄熱材53に蓄熱する室内吸熱蓄熱モード、外気吸熱蓄熱モード(本発明における蓄熱モード)と、膨張弁48により蓄熱用熱交換器52にて冷媒を蒸発させ、圧縮機27により圧縮して切換室熱交換器34、37に流入させる蓄熱材吸熱モード(本発明における吸熱モード)とを実行するので、各蓄熱モードにて切換室熱交換器34、37を出た冷媒の熱量を蓄熱材53に蓄え、この蓄えた熱を蓄熱材吸熱モードにて蓄熱用熱交換器52で冷媒を蒸発させることにより吸い上げ、切換室熱交換器34、37による冷温切換室15内の加熱源として利用することができるようになる。
即ち、切換室熱交換器34、37を出た冷温切換室15内を適温に加熱できる程高くは無いが、外気温度よりは高い冷媒が有する熱量を利用して冷温切換室15内を加熱することが可能となるので、前述同様に自動販売機1の運転効率(COP)を大幅に改善することができるようになる。特に、二酸化炭素を冷媒として使用する場合には、大量の熱を蓄熱材53の蓄熱に利用することができるようになり、極めて有効である。
この場合も同様に制御装置Cは各蓄熱モードにおける蓄熱材53への蓄熱が完了した場合、蓄熱材吸熱モードに移行し、この蓄熱材吸熱モードにおいて蓄熱材53から吸熱し切った場合、各蓄熱モードに移行する。従って、この実施例でも同様に蓄熱材53に効率よく蓄熱し、この蓄えた熱量を効率よく吸い上げて利用することができるようになる。
また、各室15、20外の機械室26に室外熱交換器61を設け、制御装置Cが各蓄熱モードにおいて専用室熱交換器78、又は、室外熱交換器61にて冷媒を蒸発させ、切換室熱交換器34、37を出た冷媒により蓄熱用熱交換器52にて蓄熱材53に蓄熱すると共に、室外熱交換器61にて冷媒を放熱させており(室内吸熱蓄熱モード)、冷却専用室20の冷却を行わない場合には、室外熱交換器61による外気からの吸熱に切り換え(外気吸熱蓄熱モード)、切換室熱交換器34、37による冷温切換室15内の加熱と蓄熱材53への蓄熱に供することができるようになるので、冷却専用室20内を冷却していない場合にも、支障無く切換室熱交換器34、37による冷温切換室15内の加熱と蓄熱材53への蓄熱を行うことが可能となる。
そして、特にこの実施例の場合には図3の実施例に比して冷媒回路の構成が著しく簡素化される利点がある。
次に、図18は本発明の自動販売機1の更に他の実施例の冷媒回路図を示している。尚、この図において図3と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この実施例では配管44、内部熱交換器47、膨張弁48、配管56、電磁弁72は削除されている。従って、蓄熱材53から吸熱する蓄熱材吸熱モードは実行できないが、その代わり、蓄熱用熱交換器52により蓄熱材53に蓄えた熱を利用して、冷温切換室15を断熱することができるようにしている。
そのために、実施例ではヒートパイプ88を設ける。このヒートパイプ88中には液体等の2次媒体(作動流体)が封入されており、一端には蓄熱用熱交換器52と熱交換関係に設けられた吸熱部89を備え、他端には放熱部91を備えている。この放熱部91は冷温切換室15の外側に対応する位置の自動販売機1の本体2の外面材2Aの内側や断熱材中、若しくは、断熱材の外側や内側(冷温切換室15側)、又は、商品収納コラム18の外側における冷温切換室15内に配置される。
ヒートパイプ88内の2次媒体は、吸熱部89において蓄熱材53に蓄えられた熱を吸収して放熱部91に移動し、そこで熱を放出する。この熱により冷温切換室15は加熱され、外部から断熱されることになる。即ち、前述した各蓄熱モードで蓄熱材53に蓄えた熱を冷温切換室15の断熱に利用することができるようになり、運転効率(COP)の改善が図られる。特にこの場合は、2次媒体が封入されたヒートパイプ88を用いて蓄熱材53に蓄えた熱を冷温切換室15の断熱のために本体2の外面材2A等に搬送するので、冷媒回路に接続される蓄熱用熱交換器52を外面材2A等に設ける必要がなくなり、生産性が向上する。
尚、図18のヒートパイプ88の下側に示すヒートパイプ88Aはループ状のヒートパイプの例であり、その下側に示すヒートパイプ88Aの場合には、それに加えてポンプ92を追加した例である。最下部の例の場合は制御装置Cによりポンプ92は運転され、媒体をヒートパイプ88A内に循環させて冷温切換室15の断熱を行うものである。
次に、図19は本発明の自動販売機1の更に他の実施例の冷媒回路図を示している。尚、この図において図3と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この実施例では図3の蓄熱用熱交換器52及び蓄熱材53に代えて、高温蓄熱用熱交換器52A及びそれと熱交換関係に設けられた高温蓄熱材53Aと、低温蓄熱用熱交換器52B及びそれと熱交換関係に設けられた低温蓄熱材53Bが設けられる。
また、高温蓄熱材53Aとしては実施例では+40℃で潜熱を蓄熱できる相変化物質(PCM)が採用され、低温蓄熱材53Bとしては前述の蓄熱材53と同様の+30℃で潜熱を蓄熱できる相変化物質(PCM)が採用される。また、冷媒回路上の位置としては、図3の蓄熱用熱交換器52の位置に高温蓄熱用熱交換器52Aが接続され、低温蓄熱用熱交換器52Bは配管55の下流側で分岐した一方の配管54に介設されている。
そして、低温蓄熱用熱交換器52B及び低温蓄熱材53Bは、冷温切換室15に対応する本体2の外面材2Aや断熱材内、断熱材外面、或いは、断熱材内面に配置される。切換室熱交換器34、37を出た冷媒の温度は+60℃、高温蓄熱材53Aは+40℃、それを出る冷媒の温度は+45℃、低温蓄熱材53Bは30℃、それを出る冷媒の温度は+35℃になる。
そして、高温蓄熱用熱交換器52A及び高温蓄熱材53A、低温蓄熱用熱交換器52B及び低温蓄熱材53Bを用いて前述同様に各蓄熱モードを実行し(高温蓄熱材53Aでは+40℃)、高温蓄熱用熱交換器52A及び高温蓄熱材53Aを用いて蓄熱材吸熱モードを実行するが、低温蓄熱用熱交換器52B及び低温蓄熱材53Bを、冷温切換室15に対応する本体2の外面材2A等に配置することで、各蓄熱モードで低温蓄熱材53Bに蓄えた熱を冷温切換室15の断熱に利用することができるようになる。
即ち、高温蓄熱材53Aで蓄熱材吸熱モードを実行しながら、低温蓄熱材53Bにより冷温切換室15の断熱を行うことが可能となるので、自動販売機1の運転効率(COP)を効果的に改善することができるようになる。尚、この場合、低温蓄熱材53Bは相変化を伴う蓄熱材で無くてもよく、熱を蓄えられる材料であればよい。
次に、図20は本発明の自動販売機1の更に他の実施例の冷媒回路図を示している。尚、この図において図3と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この実施例でも図3の蓄熱用熱交換器52及び蓄熱材53に代えて、高温蓄熱用熱交換器52A及びそれと熱交換関係に設けられた高温蓄熱材53Aと、低温蓄熱用熱交換器52B及びそれと熱交換関係に設けられた低温蓄熱材53Bが設けられる。
また、高温蓄熱材53Aとしては実施例では+40℃で潜熱を蓄熱できる相変化物質(PCM)が採用され、低温蓄熱材53Bとしては前述の蓄熱材53と同様の+30℃で潜熱を蓄熱できる相変化物質(PCM)が採用される。また、冷媒回路上の位置としては、図3の蓄熱用熱交換器52の位置に低温蓄熱用熱交換器52Bが接続され、高温蓄熱用熱交換器52Aは配管41が合流した後で、配管44、46に分岐する前の配管38に介設されている。
そして、高温蓄熱用熱交換器52A及び高温蓄熱材53Aは、冷温切換室15に対応する本体2の外面材2Aや断熱材内、断熱材外面、或いは、断熱材内面に配置される。切換室熱交換器34、37を出た冷媒の温度は+60℃、高温蓄熱材53Aは+40℃、それを出る冷媒の温度は+45℃、低温蓄熱材53Bは30℃、それを出る冷媒の温度は+35℃になる。
そして、高温蓄熱用熱交換器52A及び高温蓄熱材53A、低温蓄熱用熱交換器52B及び低温蓄熱材53Bを用いて前述同様に各蓄熱モードを実行し(高温蓄熱材53Aでは+40℃)、低温蓄熱用熱交換器52B及び低温蓄熱材53Bを用いて蓄熱材吸熱モードを実行するが、高温蓄熱用熱交換器52A及び高温蓄熱材53Aを、冷温切換室15に対応する本体2の外面材2A等に配置することで、各蓄熱モードで高温蓄熱材53Aに蓄えた熱を冷温切換室15の断熱に利用することができるようになり、運転効率(COP)の改善が図られる。
即ち、低温蓄熱材53Bで蓄熱材吸熱モードを実行しながら、高温蓄熱材53Aにより冷温切換室15の断熱を行うことが可能となるので、自動販売機1の運転効率(COP)を効果的に改善することができるようになる。尚、この場合、高温蓄熱材53Aは相変化を伴う蓄熱材で無くてもよく、熱を蓄えられる材料であればよい。
次に、図21は本発明の自動販売機1の更に他の実施例の冷媒回路図を示している。尚、この図において図3と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものとする。この実施例では、図3の内部熱交換器47を経た配管44は、配管92と配管98に分岐している。そして、配管92には電磁弁93が介設され、その下流側は更に配管94と配管97に分岐し、配管94に前記膨張弁48が接続され、その下流側で配管46と共に配管51に接続されている。また、配管98には電磁弁99が介設された後、室外熱交換器61の一端に連通接続されている。更に、配管96には電磁弁97が介設された後、室外熱交換器61の他端に連通接続されている。
前述したように外気吸熱蓄熱モード(図21の場合は電磁弁97、電磁弁99は閉)や室内外気吸熱蓄熱モード(同様)では、室外熱交換器61で冷媒が蒸発して低温となるため、室外熱交換器61には外気中の水分が霜となって付着するようになる。着霜が成長すると室外熱交換器61を流れる冷媒と外気との熱交換が阻害されるようになる。
しかしながら、前述した外気による室外熱交換器61の霜取は、外気温度が0℃より低い場合には実行できない。そこで、制御装置Cは外気吸熱蓄熱モードから蓄熱材吸熱モードに遷移した際、温度センサ101が検出する室外熱交換器61の温度に基づき、室外熱交換器61の温度が所定の低い値、例えば、0℃以下である場合、室外熱交換器61に着霜が生じているものと判断する。次に、外気温度センサ102が検出する外気温度が所定の低い値、例えば0℃より低い場合、図21の電磁弁73を閉じ、それに加えて電磁弁93も閉じ、電磁弁99及び電磁弁97を開く。
これにより、図21中矢印の如く、切換室熱交換器34、37から出た冷媒は、内部熱交換器47を経た後、電磁弁99を通って配管98から室内熱交換器61に流入し、室内熱交換器61を加熱した後、配管96を通って電磁弁97を通り、膨張弁48に流入して膨張され、蓄熱用熱交換器52で蒸発するようになる。即ち、室外熱交換器61の温度が所定の低い値であり、且つ、外気温度も所定の低い値である場合、外気吸熱蓄熱モードや室内外気吸熱蓄熱モードから蓄熱材吸熱モードに移行した後に、切換室熱交換器34、37を経た未だ温度の比較的高い冷媒を室外熱交換器61に流入させ、それに成長した霜を融解除去する。即ち、外気温度が低い環境下でも、比較的温度の高い冷媒で室外熱交換器61を霜取することが可能となる。
尚、係る室外熱交換器61の霜取制御は、室外熱交換器61の温度が所定の高い値(0℃より高い値)に上昇した時点で終了され、電磁弁97、99は閉じられ、電磁弁93は開放される。これにより、切換室熱交換器34、37を出た冷媒は電磁弁93を経て膨張弁48に流入するようになる。
また、前記実施例では蓄熱材53の蓄熱完了と吸熱終了を温度センサ87が検出する冷媒の温度で判断し、各蓄熱モードと蓄熱材吸熱モードとを切り換えたが、時間帯で各モードを切り換えても良い。例えば、蓄熱材53の容量を十分大なるものとし、夜間の深夜電力割引時間帯に各蓄熱モードを実行し、蓄熱用熱交換器52により蓄熱材53に蓄熱しておく。そして、昼間の時間帯に前記蓄熱材吸熱モードを実行する。
このように電気料金の安価な夜間の時間帯に蓄熱材53への蓄熱を行い、昼間に蓄熱材53に蓄えた熱量を利用して冷温切換室15の加熱を行うことで、ランニングコストを低減することができるようになると共に、電力消費の平準化にも寄与することができるようになる。
また、圧縮機27の回転数を制御する前記インバータ等、自動販売機1に設置される冷媒回路以外の他の部品(機器)から生じる熱を、例えば前述したヒートパイプ等で蓄熱材53に搬送し、蓄熱してもよい。これにより、自動販売機1に設けられる他の発熱部品からの廃熱を利用して蓄熱材53に蓄熱することが可能となり、更なる運転効率の改善を図ることが可能となる。
また、前述した如く図3等の内部熱交換器47は、蓄熱材吸熱モードにおいて圧縮機27の吐出冷媒温度が低くなり過ぎることを防止するために有効なものであるが、図22に示すように、もう一方の内部熱交換器66と兼用する構成としてもよい。係る構成にすることで、冷媒回路をより簡素化し、小型化も図ることが可能となる。
即ち、図22では配管44を内部熱交換器66の上流側の配管63に連通し(図22のA)、内部熱交換器66の下流側の配管63を膨張弁48の入口に連通させている(図22のB)。また、配管56は内部熱交換器66の上流側の配管84に連通している。これにより、蓄熱材吸熱モードでは配管44を流れる冷媒が内部熱交換器66に流れた後、膨張弁48に入り、配管56を経た冷媒は配管84に流れてこの内部熱交換器66において配管44を流れる冷媒と熱交換することになる。
但し、図3等に示すように内部熱交換器47と内部熱交換器66を別々に設けておけば、各内部熱交換器47、66における冷媒の熱交換量をそれぞれ設定することができる利点がある。例えば、図3の冷媒回路において各蓄熱モードや全室冷却モードで膨張弁77に向かう冷媒を過冷却する内部熱交換器66の熱交換量は大きい方が過冷却が大きくなって好適である。しかしながら、熱交換量が大きい内部熱交換器66を兼用した場合、今度は外気温度が低いとき等に圧縮機27の吐出冷媒温度が上がり過ぎてしまう危険性があるが、内部熱交換器66と内部熱交換器47を別々に設けておけば係る不都合も解消することができる。