以下、本発明の実施形態を図1〜図8を用いて説明する。以下の説明では、プリンター100(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概要)
まず、図1、図2を用いて、実施形態に係るプリンター100の概要を説明する。図1はプリンター100の構造を示す図である。図2は画像形成ユニット40Bk〜40Mを示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンター100は、側方に取り付けられた操作パネル1(操作部に相当)を有する。又、プリンター100は、内部に給紙部2、第1搬送部3a(搬送部に相当)、画像形成部4、中間転写部5、2次転写部6、定着部7、第2搬送部3b(搬送部に相当)などを含む。
図1に示すように、操作パネル1は、プリンター100の上部右側に設けられたアーム11の先に設けられる。そして、操作パネル1は、プリンター100の状態や各種メッセージや設定用画面を表示する表示部12を備える。表示部12は、タッチパネル式の液晶のような表示パネルである。操作パネル1は、使用者による印刷条件などの設定を受け付けたり、エラー状態やその表示の解除を受け付けたりするための操作部としての役割を果たす。また、操作パネル1は装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示部12に表示し、使用者に対して報知する。
図1に示すように、給紙部2は、プリンター100の内部下方に配される。給紙部2はカセット21を含む。カセット21は、用紙Pを収容する。給紙部2には、給紙モーター2m(図4参照)やギアのような駆動伝達機構(不図示)により回転し、用紙Pを送り出して搬送する給紙ローラー22が設けられる。給紙ローラー22は、回転し、第1搬送部3aに用紙Pを送り出す。
そして、第1搬送部3aは、プリンター100内で用紙Pを搬送する。第1搬送部3aは、給紙部2から供給された用紙Pを画像形成部4(2次転写部6)まで導く。第1搬送部3aには、搬送ローラー対31や、レジストローラー対32等が設けられる。レジストローラー対32は、搬送されてくる用紙Pを2次転写ローラー61(中間転写ベルト52)の手前で待機させ、トナー像の用紙Pへの2次転写のタイミングにあわせて送り出す。
画像形成部4は、形成すべき画像の画像データに基づきトナー像を形成する。画像形成部4は、4色分の画像形成ユニット40(40Bk、40Y、40C、40M)と露光装置41を含む。具体的に、画像形成部4は、ブラックの画像を形成する画像形成ユニット40Bkと、イエローの画像を形成する画像形成ユニット40Yと、シアンの画像を形成する画像形成ユニット40Cと、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット40M、を含む。
そこで、図2に基づき、各画像形成ユニット40Bk〜40Mを詳述する。尚、各画像形成ユニット40Bk〜40Mは、形成するトナー像の色が異なるが、いずれも基本的に同様の構成である。そこで、以下では、画像形成ユニット40Bkを例に挙げて説明するが、以下の説明では、色を示すBk、Y、C、Mの符号は特に必要な場合を除き省略する。又、共通する部材には、画像形成ユニット40Bk〜40Mで共通の符号を付して説明する。
まず、画像形成ユニット40は、感光体ドラム42、帯電装置43、現像装置44、ドラムクリーニング装置45を含む。感光体ドラム42は、回転可能に支持される。感光体ドラム42はメインモーター4m(図4参照)の駆動力を受け、所定の周速度で回転駆動される。そして、感光体ドラム42は、帯電、露光、現像のプロセスを経て周面にトナー像を担持する(像担持体)。
帯電装置43は感光体ドラム42の表面を一定の電位で帯電させる。露光装置41は、感光体ドラム42に向けてレーザー光を出力する。露光装置41は、内部に、半導体レーザー装置(レーザーダイオード)、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、fθレンズ、ミラー(不図示)などの光学系部材を含む。露光装置41は、これらの光学系部材を用い、画像データをカラー色分解した画像信号に基づいた光信号(レーザー光、破線で図示)を帯電した感光体ドラム42に照射し、感光体ドラム42の周面に静電潜像を形成する。
現像装置44は、トナーと磁性体からなるキャリアを含む現像剤(いわゆる2成分現像剤)を収納する。現像装置44は、感光体ドラム42に向けてトナーを飛翔させ、トナーで静電潜像を現像する。
ドラムクリーニング装置45は、感光体ドラム42の清掃を行う。又、ドラムクリーニング装置45の上方には、感光体ドラム42に対し光を照射して除電を行う除電装置46が設けられる。
図1に戻り説明を続ける。感光体ドラム42で形成されたトナー像を用紙Pに転写するため、中間転写部5と2次転写部6が設けられる。中間転写部5は、感光体ドラム42からトナー像の1次転写を受ける。又、2次転写部6は、1次転写されたトナー像を用紙Pに2次転写する。
中間転写部5は、複数の1次転写ローラー51(51Bk、51Y、51C、51M)、中間転写ベルト52(中間転写体に相当)、駆動ローラー53、従動ローラー54、55、ベルトクリーニング装置56(クリーニング装置に相当)を含む。又、2次転写部6は、2次転写ローラー61を含む。
無端状の中間転写ベルト52は、1次転写ローラー51Bk〜51M、駆動ローラー53、従動ローラー54、55に張架される。そして、中間転写モーター5mから駆動力を受ける駆動ローラー53の回転駆動により、中間転写ベルト52は、図1の紙面反時計方向に周回する。又、各1次転写ローラー51Bk〜51Mと対応する感光体ドラム42は無端状の中間転写ベルト52を挟み込む。各1次転写ローラー51Bk〜51Mには、1次転写を行うための電圧が印加される。画像形成ユニット40で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、ずれなく順次重畳されつつ中間転写ベルト52に1次転写される。
又、駆動ローラー53と2次転写ローラー61は、中間転写ベルト52を挟み、中間転写ベルト52と2次転写ローラー61は用紙Pが通過するニップを形成する。2次転写ローラー61には、所定の電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト52上のトナー像は、用紙Pに2次転写される。中間転写ベルト52上の残トナー等は、ベルトクリーニング装置56で除去されて回収される。
ベルトクリーニング装置56は、ブレード56aや摺擦ローラー56bを含む。ブレード56aは、中間転写ベルト52の周回方向に対して垂直な方向に延びる。又、ブレード56aは、中間転写ベルト52上の残トナーを掻き取るように中間転写ベルト52に接して、残トナーや汚れを除去する。摺擦ローラー56bは、中間転写ベルト52に接する。そして、摺擦ローラー56bは、回転して中間転写ベルト52表面を擦って残トナーや汚れを除去する。
定着部7は、画像形成部4よりも用紙搬送方向の下流側に配される。定着部7は、用紙Pに転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。そして、定着部7は、主として、ヒーター71(図3参照)により熱せられる加熱回転体としての加熱ローラー72と、これに圧接される加圧回転体としての加圧ローラー73とで構成される。そして、トナー像の転写された用紙Pは、加熱ローラー72と加圧ローラー73との間のニップを通過する際に、加熱ローラー72からの熱と加圧ローラー73からの圧力により加熱・加圧される。その結果、トナー像が用紙Pに定着する。定着後の用紙Pは、定着部7の上方に設けられた第2搬送部3bに向かう。
定着部7を通過した用紙Pは、分岐部33からプリンター100の左側面に向かって略水平に延びる第2搬送部3bを通して搬送される。そして、用紙Pは、排出ローラー対34によってプリンター100の左側面上部外側に設けられた排出トレイ35に排出される。これにより、1ページの印刷が完了する。
両面印刷のとき、定着部7から排出された片面印刷済みの用紙Pは、分岐部33から排出トレイ35方向に一旦送り出された後、プリンター100の右側面方向に向かって用紙搬送方向がスイッチバックされる。そして、用紙Pは分岐部33を通過し、両面印刷用搬送部3cを通して下方に送られ、再度第1搬送部3aを経てレジストローラー対32に再度送られる。
(プリンター100のハードウェア構成)
次に、図3に基づき、実施形態に係るプリンター100のハードウェア構成を説明する。図3は、プリンター100のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、プリンター100は、内部に主制御部8を有する。主制御部8は、各種の演算処理や信号処理を行うCPU81や、画像データに対し画像処理を行う画像処理部82などを含む。主制御部8は、CPU81や画像処理部82に各種処理を行わせ、プリンター100の各部を制御する。
CPU81は、中央演算処理装置であり、記憶部83に記憶される制御プログラム、制御データ、設定データのような各種データに基づきプリンター100の各部の制御や演算を行う。記憶部83は、ROM、フラッシュROM、HDDのような不揮発性とRAMのような揮発性の記憶装置の組み合わせで構成される。記憶部83はプリンター100の制御プログラム、制御データ等を記憶する。
又、主制御部8は、操作パネル1と接続され操作パネル1になされた設定を認識する。又、主制御部8は、エラー、異常の発生等、プリンター100の状態を示す情報を操作パネル1の表示部12に表示させる。
又、主制御部8は、通信部84と接続される。通信部84は、印刷する内容を示す画像データや、印刷における設定データを含む印刷データの送信元となるコンピューター200とネットワークやケーブルや公衆回線を介して通信を行うための通信インターフェイスである。コンピューター200は、パーソナルコンピューターやサーバーなどである。通信部84は、コンピューター200から印刷用データを受信する。
画像処理部82は、コンピューター200から受信した画像データに対し、設定に合わせて、拡大、縮小、回転、濃度変換、データ形式変換のような各種画像処理を施す。そして、印刷ジョブ実行時、画像処理部82は、露光装置41に画像処理後の画像データを送る。露光装置41は、この画像データを受けて 感光体ドラム42の走査、露光を行う。
プリンター100内には、給紙部2、第1搬送部3a、画像形成部4、中間転写部5、2次転写部6、定着部7、第2搬送部3b、両面印刷用搬送部3cを含み、用紙Pを搬送し、トナー像を形成して印刷を行う部分である印刷エンジン部10が設けられる。そして、印刷エンジン部10の動作を制御するエンジン制御部9(制御部に相当)が設けられる。主制御部8とエンジン制御部9は、通信可能に接続される。印刷をおこなうとき、主制御部8は、印刷の実行指示や、エンジン制御部9にページ数や用いる機能などのような印刷内容を示すデータを与え、印刷を行わせる。
エンジン制御部9は、印刷に関する演算や処理を行うエンジンCPU91を含む。又、エンジン制御部9は、印刷エンジン部10の動作に関するデータやプログラムを記憶するエンジンメモリー92を含む。エンジン制御部9は、主制御部8の指示に基づき、印刷エンジン部10の動作を実際に制御し、印刷エンジン部10に印刷を行わせる。
(用紙搬送とジャム検知)
次に、図1、図4を用いて、用紙搬送やジャムの検知を説明する。図4は、用紙搬送とジャムの検知を説明するための図である。
実施形態に係るプリンター100は、用紙搬送やトナー像形成に関する回転体を回転させるモーターとして、給紙モーター2m、第1搬送モーター3am、メインモーター4m、中間転写モーター5m、定着モーター7m、第2搬送モーター3bm、両面搬送モーター3cmを含む。
エンジン制御部9は、給紙モーター2mを回転させ、給紙ローラー22を回転させて、給紙部2に給紙と用紙搬送を行わせることができる。又、エンジン制御部9は、第1搬送モーター3amを回転させて搬送ローラー対31やレジストローラー対32を回転させ、第1搬送部3aに用紙搬送を行わせることができる。尚、レジストローラー対32への駆動伝達経路には電磁クラッチ(不図示)が設けられ、エンジン制御部9は、電磁クラッチを制御して、レジストローラー対32の回転、停止を制御できる。
又、エンジン制御部9は、中間転写モーター5mを回転させ、駆動ローラー53を回転させて中間転写ベルト52を周回させ、中間転写部5や2次転写部6にトナー像の移動や用紙搬送を行わせることができる。また、エンジン制御部9は、感光体ドラム42を回転させるメインモーター4mを回転させ、中間転写ベルト52の周回にあわせて感光体ドラム42を回転させることができる。
又、エンジン制御部9は、定着モーター7mを回転させ、加熱ローラー72や加圧ローラー73を回転させて、定着部7に用紙搬送を行わせることができる。又、エンジン制御部9は、第2搬送モーター3bmを回転させ、排出ローラー対34のような第2搬送部3b内の搬送用のローラーを回転させて、第2搬送部3bに用紙搬送を行わせることができる。又、エンジン制御部9は、両面搬送モーター3cmを回転させ、両面印刷用搬送部3c内の搬送用のローラーを回転させて、第2搬送部3bに用紙搬送を行わせることができる。
このように、エンジン制御部9は、各モーターの回転を制御し、プリンター100内の各部に用紙搬送を行わせる。具体的には、エンジン制御部9は、各モーターを制御し、印刷エンジン部10中、給紙部2、第1搬送部3a、中間転写部5、2次転写部6、定着部7、第2搬送部3b、両面印刷用搬送部3cに、用紙搬送を行わせる。
続いて、用紙搬送経路でのジャムの検知について説明する。本実施形態のプリンター100には、用紙Pの搬送経路に沿って、複数の用紙センサーS(用紙検知体に相当)が設けられる。
各用紙センサーSは、用紙Pの存在を検知しているときと、用紙Pの存在を検知していないときで出力が変化するセンサーである。用紙センサーSには、光センサーを用いることができる。しかし、超音波センサーのような光センサー以外のセンサーを用紙センサーSに用いてもよい。
図1に示すように、用紙搬送方向上流側から順に、用紙センサーSとして、第1用紙センサーS1、第2用紙センサーS2、第3用紙センサーS3、第4用紙センサーS4、第5用紙センサーS5が設けられる。
第1用紙センサーS1は、給紙部2の給紙ローラー22と、給紙部2からの給紙経路と第1搬送部3aへの合流部分の間に設けられる。第1用紙センサーS1は、給紙部2から適切に用紙Pが給紙されたか否かを検知するためのセンサーである。
第2用紙センサーS2は、第1搬送部3aにおいて搬送ローラー対31とレジストローラー対32との間に設けられる。言い換えると、第2用紙センサーS2は、レジストローラー対32の下流側近傍に設けられる。第2用紙センサーS2は、レジストローラー対32に用紙Pが到達し、レジストローラー対32を用紙Pが通過したか否かを検知するためのセンサーである。
第3用紙センサーS3は、2次転写部6、言い換えると、2次転写ローラー61と駆動ローラー53が中間転写ベルト52を挟む部分と定着部7との間に設けられる。第3用紙センサーS3は、2次転写部6に用紙Pが到達し、2次転写部6を用紙Pが通過したかを検知するためのセンサーである。
第4用紙センサーS4は、定着部7の下流側であって第5用紙センサーS5よりも上流側に設けられる。言い換えると、第4用紙センサーS4は、定着部7と第1搬送部3aから第2搬送部3b及び両面搬送部が分岐する位置の間に設けられる。第4用紙センサーS4は、定着部7に用紙Pが到達し、用紙Pが定着部7を通過したかを検知するためのセンサーである。
第5用紙センサーS5は、定着部7と排出ローラー対34の間に設けられる。言い換えると、第5用紙センサーS5は、排出ローラー対34の上流側近傍に設けられる。第5用紙センサーS5は、排出ローラー対34に用紙Pが到達し、排出トレイ35に用紙Pがきちんと排出されたかを検知するためのセンサーである。
図4に示すように、各用紙センサーS(第1用紙センサーS1〜第5用紙センサーS5)の出力は、エンジン制御部9に入力される。エンジン制御部9は、各用紙センサーSの出力を確認することで、各用紙センサーSの設置位置に用紙Pが存在しているか否かを認識することができる。
又、エンジン制御部9は、印刷中、各用紙センサーSの出力を確認することで、用紙Pのジャム(詰まり)が発生したことを認識できる。具体的に、用紙搬送速度は予め決まっている。又、各用紙センサーSの設置位置は固定であり、給紙部2から各用紙センサーSまでの距離や、各用紙センサーS間の距離は決まっている。そのため、エンジン制御部9は、用紙搬送速度と、給紙部2に載置された用紙Pの先端から用紙センサーSまでの距離や各センサー間の距離に基づき、用紙Pの到達を検知すべき時間帯なのに用紙Pの到達(存在)を検知できない場合や、用紙通過を検知すべき時間帯なのに用紙通過を検知できず、用紙Pの存在を検知し続けているとき、ジャムが発生したと認識する。尚、時間帯は、用紙Pの理想的な到達時点や通過時点にマージンを持たせたもので、用紙搬送の進みと遅れの許容範囲を示す。
エンジン制御部9がジャムの発生を検知するためのジャム検知用データD1は、エンジンメモリー92に記憶されている。エンジン制御部9は、エンジンメモリー92に記憶されたデータに基づき、ジャムの発生を認識、検知する。
ジャム検知用データD1では、用紙サイズに応じて給紙開始から各用紙センサーSが用紙Pの到達を検知すべき時間帯や、用紙サイズに応じて給紙開始から各用紙センサーSが用紙通過を検知すべき時間帯を定義したデータが格納されている。例えば、ジャム検知用データD1では、用紙サイズに応じて、給紙開始から第1用紙センサーS1や第2センサーが用紙到達や通過を検知すべき時間帯が定められている。
又、上流側に位置する用紙センサーSの出力変化を起算点として、ジャムの発生を検知することもできる。この場合、ジャム検知用データD1では、ある用紙センサーSの出力変化や予め定められた時点を起点とし、ある用紙センサーSよりも下流側のそれぞれの用紙センサーSで用紙到達や通過を検知すべき時間帯を定義してもよい。例えば、レジストローラー対32近傍の第2用紙センサーS2への用紙到達や、レジストローラー対32の回転の開始から、第3用紙センサーS3や、第4用紙センサーS4や、第5用紙センサーS5が用紙到達や通過を検知すべき時間帯が定められている。
又、エンジン制御部9は、各用紙センサーSの出力を監視する。用紙到達を検知すべき時間帯に用紙到達による出力変化が起きなかった用紙センサーSや、用紙通過を検知すべき時間帯に用紙通過による出力変化が起きなかった用紙センサーSがあるとき、エンジン制御部9は、ジャムが発生したと判断する。言い換えると、エンジン制御部9は、ジャム発生を検知する。
また、エンジン制御部9は、用紙到達を検知すべき時間帯に用紙到達による出力変化が起きなかった用紙センサーSの設置位置や、用紙通過を検知すべき時間帯に用紙通過による出力変化が起きなかった用紙センサーSの設置位置に基づき、用紙搬送経路のうち、どの位置でジャムが発生したかも判断、検知してもよい。ある用紙センサーSの出力を用いて、用紙通過を検知すべき時間帯を経過しても用紙通過を検知できなかったとき、エンジン制御部9は、その用紙センサーSの設置箇所でジャムが発生したと判断してもよい。
(ジャム発生の検知の流れ)
次に、図4、図5を用いて、ジャム発生の検知の流れを説明する。図5は、ジャム発生の検知の流れの一例を示すフローチャートである。
図5のスタートは、コンピューター200から印刷用データを受信し、主制御部8がエンジン制御部9に印刷指示を与え、エンジン制御部9が印刷制御を開始する時点である。
尚、複数ページの印刷を行う印刷ジョブや、複数の印刷ジョブを連続して実行するとき、プリンター100の機内で複数枚の用紙Pが搬送される場合がある。言い換えると、給紙部2が一定の紙間を設けつつ、連続的に給紙を行い、プリンター100内の用紙Pの搬送を行う部分が複数枚の用紙Pを搬送する場合がある。このような連続印刷のとき、それぞれの用紙Pについて、図5のフローチャートに示すジャム検知が実行される。言い換えると、連続印刷のとき、図5のフローチャートの処理が各用紙Pに対し、並行して実行される。
まず、エンジン制御部9は、給紙部2に給紙を開始させる(ステップ♯11)。そして、エンジン制御部9は、用紙搬送を行う部分(印刷エンジン部10)に用紙Pを搬送させる(ステップ♯12)。言い換えると、エンジン制御部9は、印刷エンジン部10に含まれる各モーター(給紙モーター2m、第1搬送モーター3am、メインモーター4m、中間転写モーター5m、定着モーター7m、第2搬送モーター3bm、両面搬送モーター3cm)のうち、用紙搬送に必要なモーターを回転させる。
そして、エンジン制御部9は、各用紙センサーSの出力を確認し、給紙され、搬送中の用紙Pにジャムが発生したか否かを確認する(ステップ♯13)。このジャムが発生したか否かの確認、検知は、数十ミリ秒ごとのように、予め定められた周期で実行される。
もし、ジャム発生を検知しないとき(ステップ♯13のNo)、エンジン制御部9は、第5用紙センサーS5の出力に基づき、用紙Pが排出トレイ35に排出されたか否かを確認する(ステップ♯14)。言い換えると、エンジン制御部9は、目的とする用紙Pについて、ジャムの発生を検知する必要が無くなった否かを確認する。
用紙Pが排出トレイ35に排出されたとき(ステップ♯14のYes)、本フローは終了する。一方、用紙Pが排出トレイ35に排出されていないとき(ステップ♯14のNo)、フローは、ステップ♯12に戻る。
又、ジャム発生を検知したとき(ステップ♯13のNo)、エンジン制御部9は、印刷動作を停止させる(ステップ♯15)。具体的には、エンジン制御部9は、各モーターを停止させて用紙搬送を停止させ、画像形成部4を制御してトナー像形成を停止させる。又、エンジン制御部9は、画像形成部4や中間転写部5や2次転写ローラー61での電圧印加を停止させ、ヒーター71への通電を停止させる。
そして、エンジン制御部9は、ジャムが発生した旨を操作パネル1の表示部12に表示させる(ステップ♯16)。このとき、エンジン制御部9は、ジャムが発生したと判断した箇所を表示部12に表示させてもよい。言い換えると、エンジン制御部9は、ジャムが発生した可能性がある箇所を表示部12に表示させてもよい。また、エンジン制御部9は、用紙搬送が停止した状態での各用紙センサーSの出力を確認することにより、用紙Pが残留している箇所(用紙Pが存在している箇所)もあわせて表示部12に表示させてもよい。そして、使用者によるジャム処理作業に移行することになる。
尚、ジャム発生による停止によって搬送経路に残る用紙Pの全てが除去されたのち、エンジン制御部9は、印刷エンジン部10にジャムにより排出トレイ35に排出されなかったページからの印刷を行わせて、印刷エンジン部10に印刷を再開させる。
(ジャム処理作業)
次に、図1、図4を用いて、ジャムを発生させた用紙Pを除去するジャム処理作業を説明する。
ジャムが生じたとき、ジャムを発生させた用紙Pを除去する必要がある。ジャムを発生させた用紙Pを除去できるように、本実施形態のプリンター100では、正面カバーC1(図1に破線で図示)や、プリンター100の右側面に設けられた側面カバーC2を開けることができる。正面カバーC1や側面カバーC2を開け、プリンター100内の用紙搬送経路を露出させることができる。また、給紙部2のカセット21は、取り外し可能である。そのため、給紙部2近傍で用紙Pが詰まったとき、カセット21を取り外し、ジャムを発生させた用紙Pを除去することができる。
ジャムを発生させた用紙Pは、折れていたり、破れていたり、蛇腹状になっていたり、重送されていたりして、目視により確認できる。そこで、使用者は、プリンター100内に残留する用紙Pを目視したり、表示部12に表示された情報を確認したりして、ジャムを生じさせた用紙Pを除去する。
そして、ジャムを発生させた用紙Pを除去した後、使用者は、搬送経路に残る用紙Pを搬送して排出トレイ35に排出させる強制排出を印刷エンジン部10に行わせる。
ここで、本実施形態のプリンター100では、ジャムによる印刷動作停止により、搬送経路に残る用紙Pのうち、ジャムを生じさせていない用紙Pについては、ジャムを発生させた用紙Pの除去後、印刷エンジン部10に用紙搬送を行わせて、ジャム発生時に異常なく搬送されていた用紙Pを排出トレイ35に強制排出することができる(詳細は後述)。そのため、使用者がジャム処理で除去するのは、ジャムを発生させた用紙Pだけでよい。なお、各用紙センサーSの出力変化を確認することにより、エンジン制御部9は、搬送経路内で、どの位置の用紙Pがジャム処理により除去されたかを検知できる。
また、図4に示すように、正面カバーC1の開閉を検知するため、正面カバーセンサーS6が設けられる。エンジン制御部9は、正面カバーセンサーS6の出力に基づき、正面カバーC1の開閉状態を検知できる。また、側面カバーC2の開閉を検知するため、側面カバーセンサーS7が設けられる。エンジン制御部9は、側面カバーセンサーS7の出力に基づき、側面カバーC2の開閉状態を検知できる。又、カセット21が取り付けられているか否かを検知するため、カセットセンサーS8が設けられる。エンジン制御部9は、カセットセンサーS8の出力に基づき、カセット21が給紙可能な状態で取り付けられているか否かを検知できる。
そこで、エンジン制御部9は、これらのセンサーの出力に基づき、ジャムを検知し、各カバーが開けられたことやカセット21が取り外されたことを検知し、搬送経路内の一部の用紙Pが除去されたこと認識し、各カバーやカセット21が閉じられて搬送経路が露出していない状態になったか、などのような1又は複数の予め定められた条件が満たされると、強制排出の指示を受け付け、印刷エンジン部10に強制排出のための用紙搬送を実行させるようにしてもよい。
尚、ジャム処理では、ジャムを発生させた用紙P以外に用紙搬送経路に残留する用紙Pを使用者の手により除去することもできる。エンジン制御部9は、正面カバーC1と側面カバーC2が閉じられ、カセット21が取り付けられたとき、全ての用紙センサーSが「用紙無し」を検知している状態となったとき、ジャム処理で用紙搬送経路に残留する全ての用紙Pが除去されたと判断してもよい。このとき、エンジン制御部9は、強制排出の実行指示を受け付けず、強制排出を行うことなく、ジャムにより排出トレイ35に排出されなかったページからの印刷を印刷エンジン部10に行わせる。
(強制排出)
次に、図4、図6、図7を用いて、本実施形態のプリンター100でのジャム発生時の強制排出について説明する。図6、図7は、ジャム処理後に搬送経路に残る用紙Pの状態を説明するための図である。
上述のように、本実施形態のプリンター100では、ジャム処理後、用紙搬送経路に残る用紙Pを強制排出させることができる。言い換えると、複数枚の用紙Pを搬送中、ジャム発生により、用紙搬送や印刷が停止してから使用者によりジャムを生じさせた用紙Pを除去した後、ジャム発生により用紙搬送経路に残留し、搬送可能な用紙Pを印刷エンジン部10に排出トレイ35まで排出させる強制排出を行わせることができる。
図4に示すように、操作パネル1には、強制排出の実行を受け付ける強制排出キーK1が設けられる。強制排出キーK1は、ハードキーとして設けられてもよいし、表示部12に表示されるソフトキーとして設けられてもよい。操作パネル1は、強制排出キーK1への操作が強制排出の実行指示として受け付ける。強制排出の実行指示を示す信号は、エンジン制御部9に通知される。この信号を受け、エンジン制御部9は、印刷エンジン部10に強制排出を行わせる。
そして、図6は、強制排出を開始しようとするとき、用紙Paと用紙Pbが搬送経路に存在している状態を示している。例えば、連続印刷のとき、ジャムを生じさせた定着部7を通過中の用紙Pを除去したとき、図6に示すような状態となる場合がある。
具体的に、用紙Paは、レジストローラー対32には到達しているが、2次転写部6に接していない、言い換えると、2次転写ローラー61と中間転写ベルト52のニップ部分に到達していない状態の用紙Pである。用紙Pbは、給紙部2から送り出されている途中の用紙Pである。
そして、図6の状態のとき、用紙Paは、2次転写部6に近づいているので、画像形成部4は、用紙Paに2次転写するためのトナー像の形成を開始しており、中間転写ベルト52には、用紙Paに2次転写するためのトナー像が1次転写されている。しかし、用紙Paに2次転写すべきトナー像を全て形成する前に、ジャム発生によりトナー像形成が停止している場合がある。このような場合、1ページ分全体の画像を用紙Paに印刷できない。
しかし、従来の画像形成装置では、強制排出のとき、中間転写ベルト52上に形成されたトナー像の用紙Pへの2次転写と、トナー像の用紙Pへの定着を経て、用紙Pが排出されていた。そのため、強制排出のとき、定着部7のヒーター71に通電を行わなくてはならない。また、強制排出のための用紙搬送は直ちに開始できるものの、定着部7の温度がトナー像の定着に適した温度にならないと強制排出を開始できない。そのため、従来の画像形成装置では、強制排出のとき、無駄な電力消費や、無駄な待ち時間が生ずる。
そこで、本実施形態のプリンター100では、図6に示すような、2次転写部6に接する用紙Pがない状態で強制排出を行うとき、エンジン制御部9は、ベルトクリーニング装置56に中間転写ベルト52上のトナー像を清掃させるための排出前クリーニング動作を中間転写部5に行わせる。これにより、用紙Pへの中間転写ベルト52のトナー像の2次転写を避け、ヒーター71への通電を省いて無駄な電力や用紙Pの消費を無くし、無駄な待ち時間を無くす。
排出前クリーニング動作では、エンジン制御部9は、中間転写モーター5mを回転させて中間転写ベルト52を回転(周回)させる。又、エンジン制御部9は、2次転写ローラー61に電圧を印加する2次転写電源部62(図4参照)に、2次転写ローラー61にトナーが付着しないような電圧を2次転写ローラー61に印加させる。具体的に、強制排出の前段階として実行する排出前クリーニング動作では、2次転写電源部62は、トナーの帯電極性と同極性であって、トナーが2次転写ローラー61に付着するのを妨げるような大きさの電圧(逆転写バイアス)を2次転写ローラー61に印加する。
また、ベルトクリーニング装置56には、トナーを吸いつけて漏れなく回収するため、ブレード56aや摺擦ローラー56bに電圧を印加するためのクリーニング電源部561が設けられる(図4参照)。エンジン制御部9は、排出前クリーニング動作を含め、中間転写ベルト52上のトナーを清掃させるとき、ブレード56aや摺擦ローラー56bへの電圧(クリーニングバイアス)印加をクリーニング電源部561に行わせる。具体的に、クリーニング電源部561は、トナーの帯電極性と逆極性の電圧をブレード56aや摺擦ローラー56bに印加する。
ここで、排出前クリーニング動作での中間転写ベルト52の回転量(周回数)は、適宜定めることができる。エンジン制御部9は、排出前クリーニング動作を短くすますため、排出前クリーニング動作の開始のときに2次転写部6から最も遠い位置のトナー像の部分が2次転写部6(2次転写ローラー61)を通過するまで、あるいは、排出前クリーニング動作の開始のときに2次転写部6から最も遠い位置のトナー像の部分がベルトクリーニング装置56に到達するまで、排出前クリーニング動作で中間転写ベルト52を回転させる。あるいは、エンジン制御部9は、排出前クリーニング動作で、中間転写ベルト52を1又は複数回、周回させてもよい。
そして、排出前クリーニング動作により、強制排出のための用紙搬送を開始する前の時点で、2次転写部6よりも用紙搬送方向上流側の用紙Pにトナーが2次転写されない状態とする。そして、エンジン制御部9は、用紙搬送経路に残る用紙Pの搬送を開始し、排出トレイ35に用紙Pを強制排出する。また、強制排出のとき、2次転写部6よりも用紙搬送方向上流側の用紙Pにはトナーは転写されないので、エンジン制御部9は、強制排出による用紙搬送中、定着部7のヒーター71の通電は停止したままとする。図6の例では、エンジン制御部9は、用紙Paと用紙Pbに対して、トナー像を2次転写せず、ヒーター71に通電せずに、排出トレイ35までの用紙搬送を印刷エンジン部10に行わせる。
次に、図7では、強制排出を開始しようとするとき、用紙Pcと用紙Pdと用紙Peが搬送経路に存在している状態を示している。例えば、連続印刷のとき、定着部7よりも用紙搬送方向下流側でジャムが生じ、ジャムを生じさせた用紙Pを除去したとき、図7に示すような状態となる場合がある。
具体的に、用紙Pcは、定着部7を通過中、言い換えると、用紙Pが加熱ローラー72と加圧ローラー73のニップに挟まれている状態の用紙Pである。用紙Pdは、2次転写部6を通過中、言い換えると、2次転写ローラー61と中間転写ベルト52のニップに挟まれている状態の用紙Pである。用紙Peは給紙部2から送り出されている途中である。
そして、図7の状態のとき、定着部7を通過中なので、未定着のトナー像が用紙Pcに残っている。また、用紙Pdは、2次転写部6を通過中であって2次転写部6に接している。そのため、ジャム発生によりトナー像形成が停止したとき、用紙Pdには、2次転写された未定着のトナー像が担持されている。
このように、強制排出により用紙搬送を行うとき、未定着のトナー像が2次転写されている用紙Pに対してトナー像の用紙Pへの定着を行わないと、未定着のトナーが加熱ローラー72や排出ローラー対34のような2次転写部6よりも用紙搬送方向下流にある回転体や、搬送を案内するガイドをトナーで汚す恐れがある。
そこで、本実施形態のプリンター100では、図7に示すように、強制排出による用紙搬送を開始する時点で2次転写部6に接する用紙Pや定着部7にある用紙P(定着部7を通過中の用紙P)については、エンジン制御部9は、強制排出のとき、ヒーター71に通電している状態で、定着部7を通過させる。
また、強制排出による用紙搬送を開始する時点で2次転写部6に用紙Pが接している状態で排出前クリーニング動作を行うと、2次転写部6を通過中の用紙Pが搬送されてしまう。そこで、強制排出による用紙搬送を開始する時点で2次転写部6に接し、通過中の用紙Pがある状態では、エンジン制御部9は、中間転写部5に排出前クリーニング動作を行わせない。
尚、強制排出を開始しようとするときに、2次転写部6よりも用紙搬送方向上流側に存在する用紙Pに対しては、ヒーター71に通電しつつ定着部7を通過させる必要はない。そのため、エンジン制御部9は、第4用紙センサーS4の出力に基づき、強制排出による用紙搬送を開始する時点で2次転写部6に接していた用紙Pが定着部7を抜けると、ヒーター71への通電を停止してもよい。
但し、場合によって、強制排出を開始しようとするときに、2次転写部6よりも用紙搬送方向上流側に存在する用紙Pに転写するトナー像の中間転写ベルト52への1次転写が既に開始されている可能性がある。そのような場合、エンジン制御部9は、2次転写部6よりも用紙搬送方向上流側に存在する用紙Pに対し、2次転写部6に2次転写を行わせ、2次転写されたトナー像が定着部7を通過するまでヒーター71に通電を行ってもよい。
尚、強制排出による用紙搬送のとき、用紙Pにトナー像の2次転写を行う場合、2次転写電源部62は、2次転写ローラー61に転写バイアスを印加する。また、強制排出による用紙搬送のとき、2次転写やヒーター71への通電を行うときにも、エンジン制御部9は、ブレード56aや摺擦ローラー56bへの電圧(クリーニングバイアス)印加をクリーニング電源部561に行わせる。
図7の例では、エンジン制御部9は、用紙Pcと用紙Pdと場合により用紙Pdに対して、トナー像を2次転写し、定着部7の通過時に加熱ローラー72の温度が定着に適した温度となるようにヒーター71に通電しつつ、排出トレイ35までの用紙搬送を印刷エンジン部10に行わせる。
(強制排出を行うときの処理の流れ)
次に、図8に基づき、強制排出を行うときの処理の流れを説明する。図8は、強制排出を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
図8のスタートは、強制排出に関する処理を開始する時点である。具体的には、強制排出の処理を開始する予め定められた条件が満たされた時点である。上述のように、予め定められた条件は、強制排出キーK1を操作することにより強制排出の実行が指示されたことだけでもよいし、ジャム発生により用紙搬送のような印刷動作が停止した後、各カバーの開閉がなされたことや、各用紙センサーSの出力を確認し、搬送経路の何れかの箇所に用紙Pが存在していることの検知を条件としてもよい。
強制排出による用紙搬送を開始する前に、エンジン制御部9は、定着部7に用紙Pがあるか否かを確認する(ステップ♯21)。言い換えると、エンジン制御部9は、定着部7に用紙Pが通過中であったか否かを確認する(ステップ♯21)。
もし、定着部7に用紙Pがあるとき(ステップ♯21のYes)、エンジン制御部9は、定着部7通過中に停止した用紙Pの定着を行うため、ヒーター71に通電を行い、定着部7を定着に適した温度にまで温める(ステップ♯22)。そして、エンジン制御部9は、搬送経路に残る用紙Pの搬送を開始させ、印刷エンジン部10に強制排出による用紙搬送を行わせる(ステップ♯23)。そして、本フローは終了する(エンド)。
一方、定着部7に用紙Pが無いとき(ステップ♯21のNo)、エンジン制御部9は、中間転写ベルト52上にまだ2次転写していないトナー像があるか否かを確認する(ステップ♯24)。もし、中間転写ベルト52にトナー像がないとき(ステップ♯24のNo)、フローはステップ♯23に移行する。その結果、エンジン制御部9は、ヒーター71に通電することや、排出前クリーニング動作を行わせることなく強制排出による用紙搬送を印刷エンジン部10に行わせる。
また、中間転写ベルト52にトナー像があるとき(ステップ♯24のYes)、エンジン制御部9は、中間転写ベルト52に接する用紙Pがあるか否かを確認する(ステップ♯25)。言い換えると、エンジン制御部9は、2次転写部6を通過中であった用紙Pが存在するか否かを確認する。
中間転写ベルト52に接する用紙Pがあるとき(ステップ♯25のYes)、トナー像の定着を行う必要がある。そのため、フローは、ステップ♯22に移行する。一方、中間転写ベルト52に接する用紙Pが無いとき、エンジン制御部9は、排出前クリーニング動作を中間転写部5に行わせる(ステップ♯26)。そして、フローはステップ♯23に移行する。この場合、排出前クリーニング動作がなされることにより、定着部7のヒーター71に通電がなされることなく、用紙Pが強制排出される。
このようにして、本実施形態に係る画像形成装置(プリンター100)は、用紙Pを供給する給紙部2と、トナー像を形成する画像形成部4と、画像形成部4で形成されたトナー像の1次転写を受ける中間転写体(中間転写ベルト52)と中間転写体に残るトナーを回収して清掃するクリーニング装置(ベルトクリーニング装置56)とを備える中間転写部5と、中間転写体(中間転写ベルト52)に転写されたトナー像を用紙Pに2次転写する2次転写部6と、給紙部2から供給された用紙Pを搬送する搬送部(第1搬送部3a、第2搬送部3b、両面印刷用搬送部3c)と、ヒーター71を備え用紙Pに2次転写されたトナー像を定着させる定着部7と、を含む印刷エンジン部10と、用紙Pの搬送経路に複数設けられる用紙検知体(第1〜第5用紙センサーS5)と、印刷エンジン部10を制御し、用紙検知体の出力に基づき搬送経路上での用紙Pの位置を認識するとともに用紙Pのジャムの発生を検知し、ジャム発生を検知すると印刷に関する動作を停止させたのち、搬送経路に残る用紙Pを搬送して排出トレイ35に排出する強制排出を印刷エンジン部10に行わせる制御部(エンジン制御部9)と、を含み、制御部は、強制排出を行おうとするときに2次転写部6に接する用紙Pが無い状態である場合、中間転写体を回転させて中間転写体上のトナー像をクリーニング装置に清掃させるための排出前クリーニング動作を行わせ、排出前クリーニング動作の後、ヒーター71への通電を停止させた状態で、2次転写部6よりも用紙搬送方向上流側に残る用紙Pの強制排出を印刷エンジン部10に行わせることとした。
これにより、ジャムが発生した後、機内に残留する用紙Pの強制排出を行うとき、用紙Pに対する中間転写体(中間転写ベルト52)上のトナー像の転写や定着は行われない。従って、ジャム発生後の強制排出のとき、中間転写体上のトナー像の定着のために、定着部7を定着に適した温度とするために、ヒーター71に対し無駄な電力を投入する必要がない。そのため、強制排出のときに画像形成装置(プリンター100)で無駄な電力や用紙Pの消費を無くすことができる。また、中間転写体上のトナー像の定着のために、定着部7を定着に適した温度となるまで強制排出の開始を待つ必要がない。
又、制御部(エンジン制御部9)は、強制排出を行おうとするときに2次転写部6に接する用紙P、及び、定着部7にある用紙Pについては、トナー像が用紙Pに定着するようにヒーター71に通電した状態で、印刷エンジン部10に強制排出を行わせる。これにより、ジャム発生のとき、一部でもトナー像が2次転写されている用紙Pに対しては、定着が行われる。従って、用紙Pに2次転写されたトナーの飛散を防ぐことができる。又、トナーは、温度が低下した定着部7の部材に付着しない。そのため、以後、印刷する用紙Pが定着部7の部材に付着したトナーで汚れない。
又、制御部(エンジン制御部9)は、強制排出を行おうとするとき、定着部7に用紙Pがなく、中間転写体(中間転写ベルト52)に形成されたトナー像が無い状態である場合、中間転写部5に排出前クリーニング動作を行わせず、ヒーター71への通電を停止させた状態で、印刷エンジン部10に強制排出を行わせる。これにより、中間転写体上のクリーニングが不要なとき、排出前クリーニング動作はスキップされ、行われない。従って、強制排出を行うときの電力の消費を更に削減することができる。又、排出前クリーニング動作が完了するまで、強制排出による用紙搬送を待たずに済み、強制排出完了までの使用者の待ち時間を減らすことができる。
又、本実施形態の画像形成装置(プリンター100)は、強制排出を実行する指示を受け付ける操作部(操作パネル1)を含み、制御部(エンジン制御部9)は、強制排出を実行する指示を操作部が受け付けたとき、印刷エンジン部10に強制排出を行わせる。これにより、使用者は、強制排出の実行指示用のキーを押すというような一定の操作により、使用者の所望するときに、画像形成装置に強制排出による用紙搬送を実行させることができる。
又、本実施形態の画像形成装置(プリンター100)での2次転写部6は、中間転写体(中間転写ベルト52)に接する2次転写ローラー61と、トナー像を用紙Pに2次転写するために2次転写ローラー61に電圧を印加する2次転写電源部62を含み、制御部(エンジン制御部9)は、排出前クリーニング動作を行っているとき、トナーの帯電極性と同じ極性であって、トナーが2次転写ローラー61に付着するのを妨げるような大きさの電圧を2次転写ローラー61に印加するように、2次転写電源部62を制御する。これにより、中間転写体(中間転写ベルト52)上のトナー像が2次転写ローラー61に付着することを防ぐことができる。従って、以後、2次転写ローラー61に付着したトナーによって、印刷する用紙P汚れない。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。