以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る湯水混合栓10の斜視図である。図2は、湯水混合栓10の上部の正面図である。図3は、湯水混合栓10の上部の側面図である。湯水混合栓10は、本体12、ハンドル14、吐出部16、湯導入管18、水導入管20及び吐出管22を有する。吐出部16は、ヘッド24を有する。ヘッド24では、シャワー吐出と通常吐出との切り替えが可能である。湯水混合栓10は、例えば、流し台、洗面台等に取り付けられ、水栓装置として使用される。湯水混合栓10を含む水栓装置は、流し台等に湯水混合栓10を固定するための固定部23と、湯供給管に接続される接続部25と、水供給管に接続される接続部27とを有している。
ハンドル14の上下回動(前後回動)により、吐出量が調節される(図3の矢印M参照)。本実施形態では、ハンドル14を上側に動かすほど、吐出量が増加する。逆に、ハンドル14を下側に動かすほど吐出量が増加してもよい。また、ハンドル14の左右回動(旋回)により、湯と水との混合割合が変化する。ハンドル14の左右回動により、吐水温度の調節が可能である。
湯水混合栓10は、その内部に、バルブ組立体40(後述)を有する。バルブ組立体40は、外カバー13の内部に配置されている。ハンドル14は、ネジ(図示されず)によって、レバー46(後述)に固定されている。なお、バルブ組立体40は、単独で取り扱い可能である。湯水混合栓10において、バルブ組立体40は交換可能である。
図4(a)はバルブ組立体40の平面図であり、図4(b)はバルブ組立体40の側面図である。図4(a)及び図4(b)では、バルブ組立体40は止水状態にある。図5(a)はバルブ組立体40の平面図であり、図5(b)はバルブ組立体40の側面図である。図5(a)及び図5(b)では、バルブ組立体40は吐出状態にある。
このバルブ組立体40は、湯水混合栓10の内部に配置されている。バルブ組立体40は、外カバー13の内部に配置されている。バルブ組立体40は、単独で取り扱い可能である。湯水混合栓10において、バルブ組立体40は交換可能である。
図6は、バルブ組立体40の分解斜視図である。バルブ組立体40は、ハウジング42、回動体44、レバー46及びレバー軸48を有する。
更に、バルブ組立体40は、左右クリック用のクリック部材50、及び、前後クリック用のクリック部材52を有する。クリック部材52は、本体54、弾性部材56及び当接部材58を有する。本体54は、クリック部材当接面a1を有する。
更に、バルブ組立体40は、可動弁体60、固定弁体62、パッキン64、Oリング66、Oリング67及びベース体68を有する。
レバー46には、ネジ(図示されない)によって、前述のハンドル14が固定されている。レバー46は、ハンドル14と一体で動く。
ベース体68は、湯導入口70、水導入口72及び吐出口74を有する。ベース体68の下部には、これら湯導入口70、水導入口72及び吐出口74のそれぞれに対応した開口が設けられている。これらの開口のそれぞれに、湯導入管18、水導入管20及び吐出管22が接続されている。
固定弁体62は、ベース体68の上側に固定される。ベース体68には、固定弁体62を固定するための係合凸部76と、ハウジング42を固定するための係合凸部77とが設けられている。固定弁体62には、係合凸部76と係合する係合凹部78が設けられている。
固定弁体62は、湯用弁孔80、水用弁孔82及び混合水用弁孔84を有する。湯用弁孔80は、ベース体68の湯導入口70に接続されている。パッキン64により、この接続の水密状態が保持されている。水用弁孔82は、ベース体68の水導入口72に接続されている。パッキン64により、この接続の水密状態が保持されている。混合水用弁孔84は、ベース体68の吐出口74に接続されている。パッキン64により、この接続の水密状態が保持されている。
可動弁体60は、上側部材86と、下側部材88とを有する。上側部材86は、下側部材88に固定されている。この固定は、凸部90と凹部92との係合によって達成されている。本実施形態では、上側部材86と下側部材88とが互いに別部材である。別部材とすることで、上側部材86と下側部材88とのそれぞれにおいて、最適な材質及び製法が選択されうる。可動弁体60は全体として一体成形されていてもよい。可動弁体60は、3つ以上の部材の組み合わせであってもよい。
更に可動弁体60は、Oリング89を有している。Oリング89は、上側部材86と下側部材88との間に配置されている。
下側部材88は、貫通孔94を有する。この貫通孔94の上側開口は、上側部材86によって閉塞されている。この閉塞により、貫通孔94は、流路形成凹部96を形成している。この流路形成凹部96は、下方に開放されている。この流路形成凹部96は、固定弁体62側に開放されている。
なお、本願では、流路形成凹部96を有する部材及びこの部材に固定された部材が、可動弁体60であると見なされる。
固定弁体62の上面には、平滑面PL1が設けられている。上記孔80、82及び84が存在していない部分が、平滑面PL1を構成している。一方、下側部材88(可動弁体60)の下面には、平滑面PL2が設けられている。流路形成凹部96が形成されていない部分に、平滑面PL2が設けられている。平滑面PL1と平滑面PL2との面接触により、水密状態が確保されている。
上側部材86(可動弁体60)の上面には、レバー46の下端部95と係合するレバー係合穴98が設けられている。レバー46の下端部95は、このレバー係合穴98に挿入されている。レバー46の動きに連動して、可動弁体60が固定弁体62の上を摺動する。
本実施形態では、レバー係合穴98は凹部である。ただし、レバー係合穴98の形態は限定されない。レバー係合穴98は、レバー46の下端部95と係合していればよい。レバー係合穴98は、レバー46の下端部95の動きを可動弁体60に伝達する。
レバー46とレバー係合穴98との係合は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。例えば、レバー46とレバー係合穴98との間に他の部材が介在していてもよい。
上側部材86は、上面97を有する。この上面97に、係合凸部99が設けられている。係合凸部99は、回動体44の裏面と係合しうる。この係合凸部99の役割については、後述される。
レバー46は、軸孔100を有する。この軸孔100に、レバー軸48が挿通されている。レバー46は、レバー軸48回りに回動しうる。この回動は、前後回動とも称される。
ハウジング42は、小径円筒部120と、大径円筒部122と、連結部124とを有する。連結部124は、ハウジング42の半径方向に延在している。小径円筒部120は、上方開口126を有する。大径円筒部122は、下方開口128を有する。
大径円筒部122は、係合孔130を有する。この係合孔130が、ベース体68の係合凸部77と係合している(図4(b)参照)。この係合により、ハウジング42は、ベース体68に固定されている。
図7(a)は、回動体44の斜視図である。図7(a)は斜め上方から見た斜視図である。図7(b)は、回動体44の斜視図である。図7(b)は斜め下方から見た斜視図である。
回動体44は、基部102と上部104とを有する。上部104は、レバー挿入孔106と、軸孔108とを有する。基部102は、可動弁体60(上側部材86)に、スライド可能に取り付けられている。レバー挿入孔106は、回動体44を貫通している。
レバー46がレバー挿入孔106に挿入されている。レバー46の軸孔100と、回動体44の軸孔108とが同軸で配置される。これら軸孔100及び軸孔108に、レバー軸48が挿入される。レバー軸48の挿入により、レバー46が、回動可能な状態で、回動体44に取り付けられる。レバー挿入孔106の寸法は、レバー46の前後回動を許容しうるように設定されている。
回動体44の上部104の外周面105の外径は、ハウジング42の小径円筒部120の内径に略等しい。回動体44の上部104は、小径円筒部120に回転可能な状態で保持されている。この回転では、上部104の外周面105と、小径円筒部120の内周面121(図6参照)とが摺動する。
ハウジング42は、回動体44を収容している。ハウジング42は、クリック部材52、可動弁体60及び固定弁体62を収容している。ハウジング42の大径円筒部122は、回動体44の基部102、クリック部材52、可動弁体60及び固定弁体62を収容している。
図8(a)は、固定弁体62の斜視図である。図8(b)は、固定弁体62の平面図である。図8(c)は、固定弁体62の底面図である。
図8(b)が示すように、湯用弁孔80は、上面開口線80Lを有している。上面開口線80Lは、平滑面PL1における湯用弁孔80の開口形状である。水用弁孔82は、上面開口線82Lを有している。上面開口線82Lは、平滑面PL1における水用弁孔82の開口形状である。混合水用弁孔84は、上面開口線84Lを有している。上面開口線84Lは、平滑面PL1における混合水用弁孔84の開口形状である。
図8(c)が示すように、湯用弁孔80は、下面開口線80sを有している。水用弁孔82は、下面開口線82sを有している。混合水用弁孔84は、下面開口線84sを有している。
図8(a)等が示すように、湯用弁孔80は、曲がった長穴である。水用弁孔82も、曲がった長穴である。温度調節及び吐出量の調節を考慮して、これら湯用弁孔80及び水用弁孔82の形状が決定されている。
図9(a)は、可動弁体60の下側部材88の斜視図である。図9(b)は、下側部材88の平面図である。図9(c)は、下側部材88の底面図である。
図9(c)が示すように、流路形成凹部96は、下面開口線96Lを有する。下面開口線96Lは、平滑面PL2における流路形成凹部96の開口形状である。温度調節及び吐出量の調節を考慮して、流路形成凹部96の形状が決定されている。
なお、下面開口線96Lには、凸状部m1が設けられている。この凸状部m1は、止水状態から吐出状態に移行する際に、湯又は水の流路形成凹部96への急激な流入を緩和しうる。よって、これらの凸状部m1は、ウォーターハンマーの抑制に寄与する。本実施形態では、複数の凸状部m1が設けられている。
図10は、可動弁体60の上側部材86の平面図である。図11は、上側部材86の斜視図である。図11は、上側部材86を斜め上方から見た斜視図である。図12(a)は、上側部材86を斜め下方から見た斜視図である。図12(b)は、上側部材86の底面図である。図12(c)は、上側部材86の側面図である。図13(a)は、図10のa−a線に沿った断面図である。図13(b)は、図10のb−b線に沿った断面図である。
前述の通り、上側部材86は、係合凸部99を有している。この係合凸部99は、上側部材86の上面に設けられている。係合凸部99は、上方に突出している。レバー係合穴98は、係合凸部99内に配置されている。係合凸部99は、上側部材86の上面のうちの一部の領域に設けられている。よって可動弁体60の重量の増加が抑制されている。係合凸部99により、レバー係合穴98が深くされている。よって、レバー46の下端部95から可動弁体60への力の伝達が確実とされている。
図11が示すように、係合凸部99には、突出部140が設けられている。突出部140は、上方に向かって突出している。係合凸部99のうちの一部の領域に、突出部140が設けられている。よって可動弁体60の重量の増加が抑制されている。レバー係合穴98は、この突出部140内に設けられている。突出部140により、レバー係合穴98が深くされている。よって、レバー46の下端部95から可動弁体60への力の伝達がより一層確実とされている。
突出部140の側面には、クリック係合部142が設けられている。このクリック係合部142は、凹凸である。クリック係合部142の形態は凹凸に限定されない。クリック係合部142は、前後クリック感を生じさせるような形態であればよい。例えば、クリック係合部142は、凸でもよい。例えば、クリック係合部142は、凹でもよい。このクリック係合部142は、前後クリック機構を構成している。この前後クリック機構により、前後クリック感が発現しうる。前後クリック感とは、レバー46の前後回動に伴い生じるクリック感である。前後クリック機構の詳細については、後述される。
図7(a)及び図7(b)が示すように、回動体44は、係合凹部146を有している。係合凹部146は、回動体44の下面に設けられている。この係合凹部146は、上側部材86の係合凸部99と係合している。この係合凹部146は、スライド溝の役割を果たしている。係合凹部146において、係合凸部99がスライド移動する。
図10及び図11が示すように、係合凸部99は、スライド面sf1を有している。スライド面sf1は、第一スライド面sf11と、第二スライド面sf12とを有する。第一スライド面sf11と第二スライド面sf12とは、互いに平行である。図7(a)及び図7(b)が示すように、回動体44の係合凹部146は、スライド面sf2を有している。係合凸部99のスライド移動では、スライド面sf1がスライド面sf2に対して摺動する。可動弁体60の移動方向は、係合凸部99と係合凹部146との間のスライド機構によって規制されている。可動弁体60の移動方向は、スライド方向D1に規制される(図7(b)及び図10参照)。このように、湯水混合栓10は、可動弁体60の移動方向を方向D1に規制する移動方向規制機構(第一移動方向規制機構)を有している。この移動方向規制機構は、可動弁体60と回動体44との間に設けられている。この移動方向規制機構は、スライド機構である。
なお、このスライド機構は、レバー46の左右回動を可動弁体60に伝達する回転伝達機構でもある。レバー46の左右回動は、回動体44に伝達される。この結果、回動体44が回転する。上記回転伝達機構により、この回動体44の回転が、可動弁体60に伝達される。よって、レバー46の左右回動により、可動弁体60が回転する。
図14(a)はレバー46の側面図である。図14(b)はレバー46の正面図である。図14(c)は図14(b)のc−c線に沿った断面図である。
本願では、レバー46の下端部95のうち、レバー係合穴98と当接しうる部分が、レバー当接部ts1とも称される。レバー当接部ts1の決定では、レバー46の前後回動の全範囲が考慮される。いかなるレバー位置においてもレバー係合穴98に当接し得ない部分は、レバー当接部ts1ではない。
本実施形態では、レバー当接部ts1では、点接触が生じる。レバー46の前後回動に伴い、この接点が、レバー46の下端部95の表面を移動する。よって、レバー当接部ts1は、一点ではない。レバー46を全範囲で前後回動させることにより、レバー当接部ts1は、線又は面となる。
言うまでもなく、レバー当接部ts1とレバー係合穴98との接触は、点接触でなくてもよい。この接触は、線接触であってもよいし、面接触であってもよい。
このように、レバー46の下端部95は、レバー当接部ts1を有している。このレバー当接部ts1が、可動弁体60のレバー係合穴98に当接している。この当接により、レバー46の下端部95の動きが可動弁体60に伝達される。よって、レバー46の前後回動に伴い、可動弁体60が移動する。
本実施形態では、レバー46の下端部95が凸曲面rs1を有している。レバー当接部ts1は、この凸曲面rs1に位置している。レバー当接部ts1の全体が、凸曲面rs1に位置している。本実施形態において、凸曲面rs1は三次元曲面である。本実施形態において、凸曲面rs1は球面である。
この凸曲面rs1は、外側に向かって凸である。すなわち、凸曲面rs1は、レバー下端部95の外側に向かって凸である。レバー下端部95の長手方向中心軸に沿った断面において、凸曲面rs1の断面線は、外側に凸のラインである。上記長手方向中心軸に対して垂直な方向が下端部垂直方向とされるとき、凸曲面rs1の上記断面線は、上記下端部垂直方向の外側に向かう凸形状である。
レバー当接部ts1が凸曲面rs1とされることにより、レバー下端部95とレバー係合穴98との当接の自由度が高まる。このため、レバー46の下端部95とレバー係合穴98との当接が円滑となる。
本実施形態では、下端部95の周方向の全体に亘って、凸曲面rs1が設けられている。本実施形態では、下端部95の周方向の全体に亘って、球面である凸曲面rs1が設けられている。このため、レバー下端部95とレバー係合穴98との当接の自由度がより一層高まる。この自由度の向上により、レバー46の取り付け誤差が効果的に吸収されうる。更に、レバー46の汎用性が高まる。
いうまでもなく、レバー当接部ts1は平面であってもよい。レバー当接部ts1は、円筒面であってもよい。
図15は、止水状態におけるバルブ組立体40の側面図である。図15と図4(b)とでは、視点が90度相違する。図16は、図15のA−A線に沿った断面図である。図17(a)は、図15のB−B線に沿った断面図である。図17(b)は、図17(a)と同じ位置の断面図である。図17(a)が止水状態を示しているのに対して、図17(b)は最大吐出状態を示している。レバー46を最大限に前後回動させると、止水状態と最大吐出状態との相互移行が達成される。
図17(a)及び図17(b)が示すように、レバー46の前後回動により、可動弁体60が移動する。可動弁体60の移動に関して、本願では、次の方向D1、D2及びD3が定義される。
・方向D1:可動弁体60の移動方向
・方向D2:レバー46の前後回動方向
・方向D3:レバー係合穴98の長手方向
上記方向D1、D2及びD3は、いずれも、上側から見た平面視における方向である。
上述の通り、可動弁体60の移動方向は、方向D1に制約されている。この方向D1は、直線に沿った方向である。図17(a)及び図17(b)に示されるように、レバー46の前後回動方向D2は、方向D1に対して傾斜している。図17(a)及び図17(b)において両矢印θxで示されるのは、方向D1と前後方向D2との成す角度である。この角度θxは鋭角である。角度θxの単位は度(degree)である。
従来の湯水混合栓では、この方向D2と方向D1とが平行である。換言すれば、従来の湯水混合栓では、θxが0°である。これに対して、湯水混合栓10では、前後方向D2が方向D1に対して平行ではない。
このように、湯水混合栓10では、上記方向D2が、上記方向D1に対して傾斜している。この傾斜が、本願において、傾斜Xとも称される。この傾斜Xにより、湯用弁孔80及び水用弁孔82と流路形成凹部96との重なりの設計自由度が高まる。よって、吐出仕様の設計自由度が向上しうる。本願では、この傾斜Xが、「可動弁体斜め移動」とも称される。
図18は、レバー係合穴98の平面図である。レバー係合穴98は、長手方向D3を有している。レバー46が前後回動されると、レバー46の下端部95は、レバー係合穴98の内部を、長手方向D3に沿って移動する。レバー係合穴98が長穴とされることで、可動弁体斜め移動が許容するスペースが確保されている。
図19(a)及び図19(b)は、クリック部材52の本体54の斜視図である。図19(a)は斜め上方から見た斜視図である。図19(b)は斜め下方から見た斜視図である。
本体54は、第一基部150と第二基部152と連結部154とを有する。第一基部150と第二基部152とは互いに離れている。連結部154は、第一基部150と第二基部152とを連結している。2つの連結部154が設けられている。第一の連結部154は、第一基部150の一方側と第二基部152の一方側とを連結している。第二の連結部154は、第一基部150の他方側と第二基部152の他方側とを連結している。
クリック部材52は、中央開口k1を有する。中央開口k1は、第一基部150と第二基部152との間に位置する。中央開口k1は、第一の連結部154と第二の連結部154との間に位置する。中央開口k1は、クリック部材52(本体54)を貫通している。
第一の連結部154は真っ直ぐに延びている。第二の連結部154は真っ直ぐに延びている。第一の連結部154と第二の連結部154とは互いに離れている。第一の連結部154と第二の連結部154とは互いに平行である。本体54の中央部分は空間である。
図19(b)が示すように、第一基部150は、当接部材収容部156と、弾性部材支持部158とを有する。当接部材収容部156は、当接部材58を収容しうる。当接部材収容部156は、本体54の中心側に開放された開放部k2を有する。当接部材収容部156は、当接部材58をスライド可能に支持しうる。当接部材58のスライドでは、当接部材収容部156の両側面157が、当接部材58の側面と摺動する。当接部材58は、弾性部材56の付勢方向にスライドしうる。弾性部材支持部158は、板バネである弾性部材56の両端部を支持しうる。当接部材58のスライド移動は、出退移動の一例である。
なお、当接部材収容部156は下方にも開放されている。当接部材58は、下方から当接部材収容部156に配置されうる。弾性部材支持部158も下方に開放されている。弾性部材56は、下方から弾性部材支持部158に配置されうる。
本体54の上面160は、一つの平面である。第一基部150の上面と、第二基部152の上面と、2つの連結部154の上面とは、同一平面である。
本体54の下面162は、一つの平面である。すなわち、第一基部150の下面と第二基部152の下面とは同一平面である。
本体54は、第一規制面164と第二規制面166とを有する。第一規制面164は、第一基部150の内側面である。第二規制面166は、第二基部152の内側面である。第一規制面164は平面である。第二規制面166は平面である。第一規制面164と第二規制面166とは互いに対向している。第一規制面164と第二規制面166とは互いに平行である。
連結部154は、外側面154aを有する。2つの連結部154のそれぞれが、外側面154aを有する。2つの外側面154aのそれぞれは、平面である。
本体54は、その両側に、側面54aを有する。2つの側面54aは、それぞれ、平面である。2つの側面54aは、互いに平行である。側面54aは、外側面154aを含む。換言すれば、外側面154aは、側面54aの一部である。
図20は、組立状態におけるクリック部材52及び上側部材86を示す斜視図である。
クリック部材52は、移動しうる。クリック部材52は、可動弁体60に対して移動しうる。図20において両矢印D4で示されるのは、可動弁体60に対するクリック部材52の移動方向である。本願において、この方向D4におけるクリック部材52の移動が、相対移動とも称される。この相対移動では、本体54の下面162が、上面97の上を摺動する。この相対移動において、上面97と下面162との面接触は維持されている。
クリック部材52の相対移動は、レバー46の回転と連動して発生する。レバー46を回転させない限り、この相対移動は生じない。
このクリック部材52の相対移動により、クリック係合部142と当接部材58との相対距離が変化する。このクリック部材52の相対移動により、前後クリック係合の大きさ(度合)が変化する。
本実施形態では、回動体44が、このクリック部材52の相対移動方向を方向D4に規制している。回動体44は、係合凹部168を有する(図7(b)参照)。回動体44は、スライド面sf3を有している。スライド面sf3は平面である。2つのスライド面sf3は互いに対向している。2つのスライド面sf3は互いに平行である。スライド面sf3のそれぞれは、方向D4に沿って延びている。これらのスライド面sf3により、係合凹部168が形成されている。これらのスライド面sf3のそれぞれに、本体54の外側面154aが摺動する。これらのスライド面sf3のそれぞれに、本体54の側面54aが摺動する。このように、本体54(クリック部材52)は、係合凹部168をスライド移動する。このスライド移動により、上記相対移動が達成されている。このように、湯水混合栓10は、クリック部材52の移動方向を方向D4に規制する移動方向規制機構(第二移動方向規制機構))を有している。この移動方向規制機構は、クリック部材52と回動体44との間に設けられている。この移動方向規制機構は、スライド機構である。
更に、湯水混合栓10は、クリック部材52の移動方向を方向D4に規制する他の移動方向規制機構(第三移動方向規制機構)を有している。図7(b)が示すように、回動体44は、スライド溝sv1を有する。2本のスライド溝sv1が設けられている。これらのスライド溝sv1は、方向D4に延びている。スライド溝sv1のそれぞれにおいて、一方の側面は、前述のスライド面sf3でもある。これらスライド溝sv1のそれぞれに、本体54の連結部154が配置されている。連結部154のそれぞれが、スライド溝sv1のそれぞれにおいてスライド移動しうる。このように、クリック部材52と回動体44との間に、移動方向規制機構(第三移動方向規制機構)が設けられている。2つの移動方向規制機構により、スライド移動の安定性が高められている。また、スライド溝sv1により連結部154が支持されているため、連結部154の変形が抑制される。よって、クリック部材52の耐久性が向上しうる。また、クリック部材52の変形が抑制されることで、前後クリック係合の精度が高まる。更に、連結部154を細くすることが可能となるため、設計自由度が向上する。
図20が示すように、上側部材86の係合凸部99は、第一規制面164と第二規制面166との間に位置する。
レバー係合穴98は、第一基部150と第二基部152との間に位置する。平面視において、レバー係合穴98は、第一の連結部154と第二の連結部154との間に位置する。図20には図示されていないが、レバー46は、中央開口k1(図19(a)参照)を通過して、レバー係合穴98に当接している。レバー46は、中央開口k1の内側で動く。中央開口k1に起因して、レバー46はクリック部材52に干渉しない。レバー46の位置に関わらず、レバー46はクリック部材52に当たらない。クリック部材52は、レバー46及び可動弁体60の動きを阻害しない。
図19(a)において両矢印W1で示されるのは、第一規制面164と第二規制面166との間の距離である。図10において両矢印W2で示されるのは、係合凸部99の幅である。距離W1は、幅W2よりも大きい。このため、クリック部材52の上記相対移動が可能とされている。第一規制面164が第一スライド面sf11に当接しているとき、第二規制面166は第二スライド面sf12から離れている。第二規制面166が第二スライド面sf12に当接しているとき、第一規制面164は第一スライド面sf11から離れている。
クリック部材52の相対移動により、前後クリック係合の度合が変化する。第一規制面164が第一スライド面sf11に当接しているとき、前後クリック係合の度合が最大である。一方、第二規制面166が第二スライド面sf12に当接しているとき、前後クリック係合の度合が最小である。本実施形態では第二規制面166が第二スライド面sf12に当接しているとき、前後クリック係合が解除されている(図20参照)。前後クリック係合が解除されると、前後クリック感が生じない。
差(W1−W2)は、クリック部材52の相対移動の最大距離である。第一規制面164及び第二規制面166は、クリック部材52の相対移動距離を規制している。
前述のとおり、本体54は、クリック部材当接面a1を有する。クリック部材当接面a1は、2箇所に設けられている。クリック部材当接面a1は、本体54の側面の一部である。クリック部材当接面a1は、本体54の一端面及び他端面を形成している。
図20が示すように、クリック部材当接面a1は、第一当接面a11と第二当接面a12とを有する。第一当接面a11は、本体54の一端面を形成している。第二当接面a12は、本体54の他端面を形成している。第一当接面a11は、クリック部材52の移動方向D4における一方側に位置している。第二当接面a12は、クリック部材52の移動方向D4における他方側に位置している。方向D4は、クリック部材52の相対移動方向である。
第一当接面a11は、第一基部150の側面である。第二当接面a12は、第二基部152の側面である。
第一当接面a11は、円周面の一部である。第二当接面a12は、円周面の一部である。第一当接面a11と第二当接面a12とは、同一の円周面の一部である。これらの形状は、円滑な摺動に寄与し、ハンドル14の操作性を高める。
クリック部材当接面a1がハウジング42の内面と当接することにより、クリック部材52の相対移動が生じる。この相対移動により、前後クリック係合の度合が変化する。
図21は、当接部材58の斜視図である。当接部材58は、係合部170、弾性部材当接部172及び側面174を有する。弾性部材当接部172は、当接面176と対向面178とを有する。対向面178は、当接面176に対向している。弾性部材56は、当接面176と対向面178との間に配置される。側面174は、前述の両側面157に当接している。この当接により、当接部材58のスライド移動が案内されている。当接部材58のスライド移動の方向は、上記方向D4に一致している。
係合部170の形態は凹凸に限定されない。係合部170は、クリック係合部142との係合により前後クリック感を生じさせるような形態であればよい。例えば、係合部170は、凸でもよい。例えば、係合部170は、凹でもよい。
前後クリック係合では、当接部材58がクリック係合部142に当接する。より詳細には、係合部170がクリック係合部142に当接する。弾性部材56は、当接部材58をクリック係合部142側に付勢しうる。弾性部材56の付勢力は、当接面176を押圧しうる。この付勢力により、前後クリック係合が維持されうる。この付勢力の大きさによって、前後クリック係合の度合が変化しうる。なお、当接部材58の底面179は、可動弁体60の上面97に載置されている。当接部材58は、上面97によって下方から支持されている。上面97は、当接部材58の脱落を防止している。
[用語の定義]
クリック感に関して、本願では、以下の用語が定義される。なお、好ましいクリック感は、触覚及び/又は聴覚によって感知されうる感覚である。
[前後クリック感]
前後クリック感とは、レバー46の前後回動に伴い生じうるクリック感である。前後クリック感として、振動、音、操作抵抗力の変化、等が挙げられる。
[前後クリック係合]
前後クリック係合とは、前後クリック感を生じさせる係合である。係合の態様は限定されない。本実施形態では、前後クリック係合は、クリック部材Aとクリック係合部Aとの係合である。
[左右クリック感]
左右クリック感とは、レバー46の左右回動に伴い生じうるクリック感である。左右クリック感として、振動、音、操作抵抗力の変化、等が挙げられる。
[左右クリック係合]
左右クリック係合とは、左右クリック感を生じさせる係合である。係合の態様は限定されない。本実施形態では、左右クリック係合は、クリック部材Bとクリック係合部Bとの係合である。
[クリック係合部A]
クリック係合部Aは、前後クリック係合を生じさせる。クリック係合部Aは、可動弁体60に設けられている。本実施形態では、前述したクリック係合部142が、クリック係合部Aである(図10及び図11参照)。なお、前述の通り、流路形成凹部96が設けられている部材に固定されている部材は、全て、可動弁体と見なされる。本実施形態では、流路形成凹部96が設けられている部材は、下側部材88である。
[クリック部材A]
クリック部材Aは、クリック係合部Aとの係合により、前後クリック係合を生じさせる。クリック部材Aは、可動弁体60と共に移動しない。一方、クリック部材Aは、可動弁体60と共に回転する。レバー46が左右回動されると、クリック部材Aはレバー46と共に回動する。クリック部材Aは、回動体44と共に左右回動する。本実施形態では、クリック部材Aは、可動弁体60の上部とスライド可能に係合している。クリック部材Aは、可動弁体60の上部においてスライド移動しうる。このスライド移動の詳細については、後述される。
本実施形態において、クリック部材Aは、クリック部材52である。
[本体A、当接部材A、弾性部材A]
用語の区別を明確とする目的で、本願では、本体A、当接部材A及び弾性部材Aとの用語が用いられる。これらは、上記クリック部材Aを構成している部材である。即ち、上記クリック部材Aが、本体A、当接部材A及び弾性部材Aを有している。
[本体A]
本体Aは、クリック部材Aの本体である。本体Aは、クリック部材当接面Aを有する。上記実施形態において、本体Aは、本体54である。
[クリック部材当接面A]
クリック部材当接面Aは、本体Aに設けられている。クリック部材当接面Aは、ハウジング42の内面に摺動可能に当接しうる。上記実施形態において、クリック部材当接面Aは、クリック部材当接面a1である。
クリック部材当接面Aは、本体A以外に設けられても良い。たとえば、クリック部材当接面Aは、当接部材Aに設けられても良い。
[当接部材A]
当接部材Aは、上記クリック部材Aに当接しうる。この当接により、前後クリック係合が生じる。上記実施形態において、当接部材Aは、当接部材58である。
[弾性部材A]
弾性部材Aは、当接部材Aを、クリック係合部A側に付勢しうる。この付勢により、当接部材Aは、クリック係合部Aに押し当てられうる。上記実施形態において、弾性部材Aは、弾性部材56である。この弾性部材56は板バネである。上記実施形態では、2枚の板バネが重ねて用いられている。
[クリック係合部B、クリック部材B]
用語の区別を明確とする目的で、本願では、クリック係合部B及びクリック部材Bとの用語が用いられる。これらは、左右クリック係合に関与する。
[クリック係合部B]
クリック係合部Bは、左右クリック係合を生じさせる。クリック係合部Bは、クリック部材Bに当接しうる。クリック係合部Bは、レバー46の左右回動に連動しない。クリック係合部Bは、レバー46の左右回動及び前後回動に関わらず、固定されている。クリック係合部Bは、ハウジング42の内面に設けられている。本実施形態では、図4(a)が示されている突起t1が、クリック係合部Bである。この突起t1は、小径円筒部120の内面に設けられている。クリック係合部Bは、ハウジング42と一体であってもよい。クリック係合部Bは、ハウジング42とは別体であってもよい。クリック係合部Bは、ハウジング42に取り付けられていても良い。クリック係合部Bは、ハウジング42以外の部材に設けられても良い。
[クリック部材B]
クリック部材Bは、クリック係合部Bとの係合により、左右クリック係合を生じさせる。クリック部材Bは、レバー46の前後回動に連動しない。クリック部材Bは、レバー46の左右回動に連動する。クリック部材Bは、回動体44と共に左右回動する。クリック部材Bは、回動体44に保持されているのが好ましい。
本実施形態において、クリック部材Bは、クリック部材50である。このクリック部材50は、弾性体である。本実施形態において、クリック部材50は、板バネである(図6参照)。この板バネは、基部50aと突出部50bとを有する。基部50aは平板状である。突出部50bはU字状である。平坦な板バネの中央部を曲げることにより、クリック部材50が成形されている。基部50aは、突出部50bの両側に配置されている。2つの基部50aは翼状に延びている。
このクリック部材50は、回動体44に固定されて用いられる。回動体44は、クリック部材用開口180を有している(図6及び図7(a)参照)。図示されないが、この開口180は2箇所に設けられている。2つの開口180の周方向位置は180度相違している。図示されないが、これらの開口180のそれぞれにおいて、突出部50bの先端が、外側に突出している。すなわちクリック部材50は、突出部50bの先端が開口180から外側に突出するように固定されている。基部50aは回動体44の内面に固定されている。クリック部材50の弾性変形により、この突出部50bは出退しうる。この突出部50bが、上記突起t1に係合する。この係合により、左右クリック感が生ずる。
もちろん、クリック部材Bの構造は限定されない。例えば、クリック部材Aに用いられている上記弾性部材56及び当接部材58が、クリック部材Bに用いられても良い。
上記実施形態では、前後クリック機構は、ハウジング42に収容されている。可動弁体60はハウジング42の内部に位置する。固定弁体62はハウジング42の内部に位置する。クリック部材A(クリック部材52)は、ハウジングの内部に位置する。クリック係合部A(クリック係合部142)は、ハウジングの内部に位置する。前後クリック機構は外部から視認されない。この前後クリック機構は外部に露出していない。バルブ組立体40の外形は、通常品と同様である。よってこのバルブ組立体40は、汎用の湯水混合栓に利用されうる。このバルブ組立体40は汎用性に優れる。
[前後クリック機構]
上述の通り、前後クリック機構は、クリック部材52(クリック部材A)とクリック係合部142(クリック係合部A)とを有している。
クリック部材Aは、可動弁体60と回動体44との間に設けられている。また、クリック係合部Aは、可動弁体60に設けられている。よって、前後クリック機構はコンパクトである。よって、前後クリック機構がハウジング42の内部に容易に収容されうる。また、部品点数が抑制され、組立コストも抑制されている。
[前後クリック機構の詳細]
好ましくは、前後クリック係合に起因する前後クリック感が、次の態様(x1)又は(x2)である。
(x1)上記前後クリック感が、上記レバーの左右回動における一部の角度範囲で発現し、他の角度範囲では発現しない。
(x2)上記レバーの左右回動において、一部の角度範囲での上記前後クリック感が、他の角度範囲での上記前後クリック感よりも大きい。
本実施形態では、態様(x1)が採用されている。態様(x2)が採用されてもよい。例えば、本実施形態において、クリック部材52の相対移動の距離を調整することにより、態様(x2)が達成されうる。また、例えば、クリック係合部142及び/又は当接部材58の凹凸の高さの調節により、態様(x2)が達成されうる。
クリック部材52の相対移動により、クリック係合部142と当接部材58との距離が変化する。この変化に起因して、上記前後クリック係合の度合が変化しうる。この度合は、例えば、係合部170の凹凸とクリック係合部142の凹凸との重なりの深さによって変化しうる。
なお、前後クリック係合の度合とは、前後クリック係合の有無を含む概念である。
クリック部材52の相対移動は、ハウジング42の内面とクリック部材52との当接に起因している。より詳細には、クリック部材52の相対移動は、ハウジング42の内面とクリック部材当接面a1との当接に起因している。
図22及び図23は、図15のC−C線の位置における断面図である。図15のC−C線の位置は、本体54の連結部154の下面に一致している。図22は、レバー左右位置が水側にあるときの断面図である。図22のレバー左右位置では、水のみが吐出され、湯が混合されない。図23のレバー左右位置では、水と湯とが混合される。
クリック部材当接面a1は、ハウジング42の内面に摺動可能に当接しうる。図22及び図23が示すように、ハウジング42の内面は、クリック部材当接面a1に摺動可能に当接しうるハウジング当接面Htを有している。このハウジング当接面Htは、クリック部材52の位置を制御しうる。
ハウジング当接面Htは、ハウジング42の内面に設けられている。ハウジング当接面Htは、大径円筒部122の内面に設けられている。
ハウジング当接面Htは内周面を形成している。クリック部材当接面a1は外周面を形成している。クリック部材当接面a1は、円筒面(の一部)である。ハウジング当接面Htの曲率半径は、クリック部材当接面a1の曲率半径に近い。ハウジング当接面Htとクリック部材当接面a1との摺動は円滑である。
本実施形態のように、クリック部材当接面a1は、曲面形状が好ましい。この曲面形状は、平面視において円弧状であるのが好ましい。角を有する形状では、ハウジング当接面Htとの当接時において引っ掛かりが生じる。円滑な摺動の観点から、平面視におけるクリック部材当接面a1の曲率半径R1は、平面視におけるハウジング当接面Htの曲率半径R2に近いのが好ましい。
上記曲率半径R1及び上記曲率半径R2に関して、より好ましくは、R1≦R2とされる。曲率半径R1が曲率半径R2より大きい場合、上記引っ掛かりが生じうる。引っ掛かりを抑制して円滑な摺動を可能とする観点から、曲率半径R1は曲率半径R2以下であるのが好ましい。
R1≦R2を充足させ、且つ、曲率半径R1と曲率半径R2とを近似させる観点から、比(R1/R2)は、0.9以上が好ましく、1.0以下が好ましい。
図22及び図23が示すように、ハウジング当接面Htは、第一ハウジング当接面Ht1と、第二ハウジング当接面Ht2とを有している。更に、ハウジング当接面Htは、移行面Ht3を有している。第一ハウジング当接面Ht1又は第二ハウジング当接面Ht2に隣接して、移行面Ht3が設けられている。移行面Ht3は傾斜面である。移行面Ht3は、他のハウジング当接面Htに滑らかに連続している。
ハウジング当接面Htは、周方向の全体に設けられていない。クリック部材52には2つのクリック部材当接面a1(第一当接面a11及び第二当接面a12)が設けられている。当接面a11又は当接面a12のいずれか一方がハウジング当接面Htに当接することで、クリック部材52の位置は制御されうる。2つの当接面a11及び当接面a12により、ハウジング当接面Htとの当接のみにより、クリック部材52は往復移動しうる。よって、クリック部材52の位置を復帰させるための付勢部材等は不要とされている。このため、クリック部材52を移動させるための機構は、シンプルであり、信頼性に優れる。
図22は、第二状態J2を示している。第二状態J2では、クリック部材当接面a1が第二ハウジング当接面Ht2に当接している。第二状態J2では、クリック係合部142が係合部170から離れている。第二状態J2では、前後クリック係合が達成されていない。第二状態J2では、前後クリック感が発現しない。
図23は、第一状態J1を示している。第一状態J1では、クリック部材当接面a1が第一ハウジング当接面Ht1に当接している。第一状態J1では、クリック係合部142が係合部170に係合している。第一状態J1では、前後クリック係合が達成されている。第一状態J1では、前後クリック感が発現する。
第一状態J1と第二状態J2との相互移行は、レバー46の左右回動によって達成される。
第二状態J2から第一状態J1への移行では、レバー46が水側から湯側へと左右回動される。この左右回動の過程において、クリック部材当接面a1(第一当接面a11)がハウジング当接面Ht(第一ハウジング当接面Ht1)に当接し、クリック部材52が移動する。
第二状態J2から第一状態J1への移行では、クリック部材当接面a1は、移行面Ht3に摺動し、第一状態J1に至る。移行面Ht3により、第二状態J2から第一状態J1への移行は円滑である。
第一状態J1から第二状態J2への移行では、レバー46が湯側から水側へと左右回動される。この左右回動の過程において、クリック部材当接面a1(第二当接面a12)がハウジング当接面Ht(第二ハウジング当接面Ht2)に当接し、クリック部材52が移動する。
第一状態J1から第二状態J2への移行では、クリック部材当接面a1は、移行面Ht3に摺動し、第二状態J2に至る。移行面Ht3により、第一状態J1から第二状態J2への移行は円滑である。
図示されないが、クリック部材当接面a1が移行面Ht3に当接している状態が、第三状態J3である。本実施形態では、第一状態J1と第二状態J2との相互移行の間に、上記第三状態J3が経由される。第一状態J1と第二状態J2との相互移行を円滑とし、レバー46の操作性を高める観点から、上記相互移行において、上記第三状態が経由されるのが好ましい。なお、第三状態J3は生じなくてもよい。
このように、第一状態J1と第二状態J2との相互移行により、前後クリック係合が生ずるか否かの切替が可能とされている。
前後クリック係合の切替は、上記第三状態の間に生ずる。この第三状態においては、前後クリック感の大きさが徐々に変化しうる。移行面Ht3の設定によって、前後クリック感の変化の大きさを調整することができる。例えば、移行面Ht3の範囲を広げ且つ移行面Ht3の傾斜を緩やかにすることで、前後クリック感の変化を緩やかにすることができる。ハウジング当接面Htによる前後クリック係合の調整は、自由度に優れる。
レバー46の左右回動によって、第一状態J1と第二状態J2との切替が生ずる。レバー46の左右方向位置(レバー周位置)によって、第一状態J1か第二状態J2かが定まる。よって、レバー周位置により、前後クリック係合が生ずるか否かが定まる。
なお、第二状態J2においても前後クリック係合が生じても良い。好ましくは、この第二状態J2における前後クリック感は、第一状態J1における前後クリック感よりも小さくされうる。この構成は、例えば、第一ハウジング当接面Ht1の位置を調整することにより、可能となる。
ハウジング当接面Ht及びクリック部材当接面a1の面積は限定されない。これらの当接面の面積は、必要最小限とされてもよい。
第二状態J2では、前後クリック係合が生じていない。一旦、第二状態J2に移行してしまえば、第二状態J2を維持するための力は不要とされうる。前後クリック係合が解除された状態が解除状態とされるとき、この解除状態は、上記第二状態J2と非当接状態とを含んでいてもよい。この非当接状態とは、第二ハウジング当接面Ht2が第二当接面a12に当接していない状態である。この場合、第二ハウジング当接面Ht2及び/又は第二当接面a12が小さくされうる。よって、クリック部材52及びハウジング当接面Htの設計自由度が高まる。もちろん、上記解除状態に対応したレバー周位置の全範囲において、上記第二状態J2が達成されていてもよい。
第一状態J1では、前後クリック係合が生じている。この係合は、クリック部材52を係合解除方向に移動させうる。前後クリック係合を確実とする観点から、この移動が防止されるのが好ましい。前後クリック係合が達成された状態が係合状態とされる。前後クリック係合を維持する観点から、上記係合状態に対応したレバー周位置の全範囲において、上記第一状態J1が達成されているのが好ましい。
好ましくは、湯水混合栓10では、次の態様(y1)又は(y2)が可能とされている。
(y1)上記第一状態J1では上記前後クリック感が発現し、上記第二状態J2では上記前後クリック感が発現しない。
(y2)上記第一状態J1における上記前後クリック感が、上記第二状態J2における上記前後クリック感よりも大きい。
クリック感の多様性の観点から、次の態様(z1)が可能とされていてもよい。
(z1)レバー46の角度範囲は、レバー46の左右回動に伴い前後クリック感の大きさが徐々に又は段階的に変化する範囲R3を有する。
省エネルギーの観点から、次の態様(z2)が可能とされていてもよい。
(z2)レバー46の角度範囲は、レバー46を高温側に左右回動するほど前後クリック感が徐々に又は段階的に大きくなる角度範囲R4を有する。
上述の通り、湯水混合栓10では、上記前後クリック係合に起因する前後クリック感が、次の態様(x1)又は(x2)であるのが好ましい。
(x1)上記前後クリック感が、上記レバーの左右回動における一部の角度範囲Rxで発現し、他の角度範囲Ryでは発現しない。
(x2)上記レバーの左右回動において、一部の角度範囲Raでの上記前後クリック感が、他の角度範囲Rbでの上記前後クリック感よりも大きい。
上記態様(x1)は、例えば、次の態様(x10)を含む。
(x10)上記前後クリック感が、上記レバーの左右回動における一部の角度範囲Rxで発現し、他の角度範囲Ryでは発現しない。更に、上記角度範囲Rxが角度範囲Ra及び角度範囲Rbを含んでおり、上記範囲Raでの上記前後クリック感が、上記範囲Rbでの上記前後クリック感よりも大きい。
上記態様(x2)は、例えば、次の態様(x20)及び(x21)を含む。
(x20)上記レバーの左右回動範囲が、第一の角度範囲Ra、第二の角度範囲Rb及び第三の角度範囲Rcを有しており、上記範囲Raでの上記前後クリック感が、上記範囲Rbでの上記前後クリック感よりも大きく、上記範囲Rcでは、上記前後クリック感が生じない。
(x21)レバー周位置により、前後クリック感の大きさが変化する。
なお、クリック感の大きさは、音の大きさ、振動の大きさ、レバー操作における抵抗力の大きさ等によって判断されうる。クリック係合の度合が大きいほど、クリック感は大きくなりやすい。
図24は、各レバー周位置におけるバルブ組立体40の状態を示している。図24では、レバーの前後位置は、止水位置にある。
図24において、(a)は、レバー周位置が左限界MLにあるときの、バルブ組立体40の平面図である。(b)は、レバー周位置が左限界MLにあるときの断面図である。この(b)は、図15のC−C線の位置における断面図である。(c)は、レバー周位置が左限界MLにあるときの断面図である。この(c)は、図15のB−B線の位置における断面図である。(d)は、レバー周位置が正面位置S1にあるときの、バルブ組立体40の平面図である。(e)は、レバー周位置が正面位置S1にあるときの断面図である。この(e)は、図15のC−C線の位置における断面図である。(f)は、レバー周位置が正面位置S1にあるときの断面図である。この(f)は、図15のB−B線の位置における断面図である。(g)は、レバー周位置が右限界MRにあるときの、バルブ組立体40の平面図である。(h)は、レバー周位置が右限界MRにあるときの断面図である。この(h)は、図15のC−C線の位置における断面図である。(i)は、レバー周位置が右限界MRにあるときの断面図である。この(i)は、図15のB−B線の位置における断面図である。なお、図24の断面図では、ハッチングの記載が省略されている。(c)、(f)及び(i)では、隠れ線が実線で示されている。
図24の(b)が示すように、レバー周位置が左限界MLにあるとき、バルブ組立体40は第一状態J1にある。一方、図24の(e)が示すように、レバー周位置が正面位置S1にあるとき、バルブ組立体40は第二状態J2にある。図24の(h)が示すように、レバー周位置が右限界MRにあるとき、バルブ組立体40は第二状態J2にある。
図24の(e)において示されている直線L1は、クリック係合部142の凸の先端同士を結ぶ直線である。平面視において、この直線L1は、可動弁体60の移動方向D1に平行である。あらゆるレバー周位置において、レバー46が前後回動されても、クリック係合部142とクリック部材52との相対関係は変化しない。レバー前後位置に関わらず、係合部142とクリック部材52との相対関係は一定である。前後クリック係合は、レバー左右位置のみに依存する。このため、レバー左右位置に基づく前後クリック感の変化が精度よく達成されている。
本実施形態では、回動体44が、可動弁体60の移動方向を方向D1に規制し、且つ、クリック部材52の移動方向を方向D4に規制している。単一の部材である回動体44が2つの規制を達成しているため、部品点数が削減されており、且つ、構造が簡素化されている。また、単一の部材である回動体44が2つの規制を達成しているため、方向D1と方向D4との相対関係が一定である。このため、レバー左右位置のみに依存する前後クリック感の変化が精度よく達成されている。上記実施形態では、クリック部材52の移動方向D4は方向D1に対して直角である。
上述の通り、クリック部材52において、第一当接面a11は方向D4における一方側に位置しており、第二当接面a12は方向D4における他方側に位置している。クリック部材52が一方側から他方側に移動するときは、第一当接面a11がハウジング当接面Htに押される。逆に、クリック部材52が他方側から一方側に移動するときは、第二当接面a12がハウジング当接面Htに押される。これら2つの当接面a11及びa12により、クリック部材52の往復移動が高精度に達成される。これら2つの当接面a11及びa12により、クリック部材52の位置が高精度に制御されている。よって、前後クリック係合とレバー左右位置との関係が精度よく設定されうる。
図25は、ハンドル14の左右回動について説明するための平面図である。実際に操作されるのは、レバー46ではなくハンドル14である。ただし、レバー46とハンドル14とは一体である。よって以下では、ハンドル14をレバー46に置き換えて、説明がなされる。
レバー46の左右回動全範囲は、左限界MLから右限界MRまでである。本実施形態では、左右回動全範囲RFの角度がθfである。本実施形態では、レバー46の左右回動全範囲RFは、正面位置S1に対して左右非対称である。本実施形態では、右限界MRと正面位置S1との角度は25°であり、左限界MLと正面位置S1との角度が75°である。なお、レバー46の左右回動全範囲RFは、正面位置S1に対して左右対称であってもよい。
角度範囲RT1では、使用者から見て、右側に位置する。本実施形態における水側は、使用者から見て右側である。レバー46の周位置が角度範囲RT1にあるとき、湯が混合されない。すなわち、レバー46の周位置が角度範囲RT1にあるとき、水の割合が100%である。範囲RT1は、水吐出位置である。
角度範囲RT1は、正面位置S1を含む。レバー46の周位置が正面位置S1にあるとき、湯が混合されない。すなわち、レバー46の周位置が正面位置S1にあるとき、水ののみが吐出される。換言すれば、レバー46の周位置が正面位置S1にあるとき、水の割合が100%である。この構成は、省エネルギーに寄与する。
角度範囲RT2は、使用者から見て、角度範囲RT1よりも左側である。本実施形態における湯側は、使用者から見て左側である。レバー46の周位置が角度範囲RT2にあるとき、湯が混合される。すなわち、レバー46の周位置が角度範囲RT2にあるとき、湯と水とが混合されるか、又は、水が無混合(湯が100%)である。範囲RT2は、湯水混合吐出位置及び湯吐出位置である。
角度範囲RT2が小さすぎると、湯水混合比率を調節できるレバー46の角度範囲が狭くなりすぎて、湯水混合比率の変化が急激になりすぎる場合がある。この観点から、範囲RT2の角度θ2は、40度以上が好ましく、50度以上がより好ましく、55度以上が特に好ましい。角度範囲RT2が大きすぎると、湯水混合比率を調節できるレバー46の角度範囲が広くなりすぎて、操作性が低下する。この観点から、範囲RT2の角度θ2は、100度以下が好ましく、90度以下がより好ましく、70度以下が特に好ましい。
省エネルギーの観点から、範囲RT1の角度θ1は、10度以上が好ましく、15度以上がより好ましく、20度以上がより好ましい。角度θ1が過大である場合、水の割合が100%である範囲が広くなりすぎて、操作性が低下する。この観点から、範囲RT1の角度θ1は、60度以下が好ましく、50度以下がより好ましく、40度以下が特に好ましい。
図25において符号K1で示されるのは、湯を吐出しうる範囲と水のみを吐出しうる範囲との境界である。本実施形態では、この境界K1が、レバー正面位置S1よりも湯側に位置している。よって、レバー周位置が正面位置S1から少しズレた場合でも、湯が吐出しない。よって省エネルギー性が更に高められている。
図25において角度θkで示されているのは、正面位置S1と境界K1との間の回動角度である。省エネルギーの観点から、角度θkは、3°以上が好ましく、5°以上がより好ましい。温度調節性の観点からは、角度θ2が大きいほうがよい。この観点から、角度θkは、10°以下が好ましく、8°以下がより好ましい。
湯水混合栓10では、レバー46の左右回動範囲RFにおいて、一部の角度範囲で、前後クリック感が生じ、他の角度範囲で、前後クリック感が生じない。本実施形態では、角度範囲RT2で、前後クリック感が生じる。角度範囲RT2では、第一状態J1が達成されている。本実施形態では、角度範囲RT1で、前後クリック感が生じない。角度範囲RT1では、第二状態J2が達成されている。よって、前後クリック感により、湯の使用が容易に判別されうる。もちろん、第一状態J1及び第二状態J2の角度範囲は、自由に設定することができる。
図26は、第二実施形態に係るバルブ組立体200の断面図である。この実施形態では、クリック部材52に代えて、クリック部材202が用いられている。このクリック部材202は、本体204、弾性部材56及び当接部材58を有する。弾性部材56及び当接部材58は、第一実施形態と同じである。このクリック部材202も、クリック部材52と同じ方向にスライド移動しうる。前述したクリック部材52と同様に、このクリック部材202は、スライド移動によって、係合と係合解除との切替が可能とされている。クリック部材202は、連結部154を有していない。クリック部材202では、クリック部材当接面a1は1箇所のみである。
本体204は、当接部材収容部156と、弾性部材支持部158とを有する。本体204の形状は、前述した本体54の第一基部150と同じである。当接部材収容部156及び弾性部材支持部158は、前述の通りである。
本体204は、クリック部材当接面a1を有する。このクリック部材当接面a1の形状は、前述した第二当接面a12と同じである。本実施形態においては、このクリック部材当接面a1が、ハウジング当接面Htに当接する。ハウジング当接面Htは、第一ハウジング当接面Ht1と移行面Ht3とを有する。
バルブ組立体200の回動体440は、スライド面sf4を有している。クリック部材202の両側には、側面206が設けられている。スライド面sf4が側面206と摺動する。側面206により、クリック部材202のスライド方向が規制されている。
クリック部材202のスライド移動は、クリック部材当接面a1とハウジング当接面Htとの当接によって達成される。本実施形態では、係合状態から解除状態への移行は、係合部170とクリック係合部142との当接による。ハウジング当接面Htとクリック部材当接面a1との間に空間があれば、係合部170とクリック係合部142の係合により、クリック部材202が後退する。この後退により、前後クリック係合が解除されうる。
図27は、第三実施形態に係るバルブ組立体300の断面図である。この実施形態では、クリック部材52に代えて、クリック部材302が用いられている。このクリック部材302は、本体304、弾性部材56及び当接部材58を有する。弾性部材56及び当接部材58は、第一実施形態と同じである。このクリック部材302は、スライド移動しない。このクリック部材302は回動しうる。この回動によって係合と係合解除との切替が可能とされている。
本体304は、当接部材収容部156と、弾性部材支持部158とを有する。本体304の形状は、前述した本体204に似ている。当接部材収容部156及び弾性部材支持部158は、前述の通りである。
本体304は、クリック部材当接面a1を有する。このクリック部材当接面a1の形状は、前述した第二当接面a12と同じである。本実施形態においては、このクリック部材当接面a1が、ハウジング当接面Htに当接する。ハウジング当接面Htは、第一ハウジング当接面Ht1と移行面Ht3とを有する。
バルブ組立体300の回動体442は、回動連結部444を有する。この回動連結部444により、クリック部材302と回動体442とが連結されている。クリック部材302は回動体442に回動可能に連結されている。クリック部材302は、回動連結部444の回転軸を中心として回動しうる。
クリック部材302の回動は、クリック部材当接面a1とハウジング当接面Htとの当接によって達成される。解除状態から係合状態への移行は、クリック部材当接面a1とハウジング当接面Htとの当接によって達成される。係合状態から解除状態への移行は、上記第二実施形態と同様に、係合部170とクリック係合部142との当接による。係合状態から解除状態への移行は、クリック部材当接面a1とハウジング当接面Htとの当接によって達成されてもよい。また、この係合解除を促進する解除部材が設けられても良い。この解除部材として、クリック部材302を係合解除方向に回転するように付勢する弾性部材が例示される。この弾性部材として、ねじりバネが例示される。他の解除部材として、クリック部材302を係合解除方向に回転させうるピンが例示される。
クリック部材A(本体54)の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。強度の観点からは金属が好ましいが、他部材の摩耗抑制及び耐水性の観点からは樹脂が好ましい。好ましい樹脂として、PA樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、PPS樹脂、PC樹脂及びこれらの繊維強化材が例示される。PA樹脂とは、ポリアミド樹脂である。ABS樹脂とは、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体樹脂である。POM樹脂とは、ポリアセタール樹脂である。PPS樹脂とはポリフェニレンスルフィド樹脂である。PC樹脂とは、ポリカーボネート樹脂である。上記実施形態では、POM樹脂が用いられた。本実施形態では、本体54の材質は、ハウジング42と同じとされた。
上記当接部材A(当接部材58)の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。クリック感の感触及び耐久性の観点からは金属が好ましいが、他部材の摩耗抑制及び耐水性の観点からは樹脂が好ましい。好ましい樹脂として、PA樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、PPS樹脂、PC樹脂及びこれらの繊維強化材が例示される。PC樹脂とは、ポリカーボネート樹脂である。上記実施形態では、POM樹脂が用いられた。上記実施形態では、当接部材58の材質は、上側部材86と同じとされた。
上記弾性部材A(弾性部材56)として、コイルバネ、板バネ及び樹脂バネが例示される。耐久性及び弾性の観点から、コイルバネ及び板バネが好ましい。クリック部材52の小型化の観点から、板バネが好ましい。板バネの場合、複数枚を重ねて使用することができるため、弾性の調整が容易である。上記実施形態では、2枚の板バネが重ねて用いられた。
クリック部材Bの形状は、上述したクリック部材50と同様とされるのが好ましい。好ましい形状のクリック部材Bは、突出部50bと、その両側のそれぞれに延びる基部50aとを有する。両側での撓みを均等とする観点から、左右の基部50の長さは同じであるのが好ましい。耐久性の観点から、突出部50bと2つの基部50aとは一体成形されているのが好ましい。耐久性及び弾性の観点から、クリック部材Bは、バネ材を曲げることにより成形されているのが好ましい。このようなクリック部材Bは、出退可能で且つコンパクトである。好ましいクリック係合部Bは、突起である。この突起の材質として、金属及び樹脂が例示される。耐久性の観点からは、この突起は、ハウジング42と一体成形されるのが好ましい。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成及びそれらの組み合わせは、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。