JP5774034B2 - 湯水混合栓 - Google Patents

Description

本発明は、湯水混合栓に関する。

ハンドル操作により吐出量及び湯水の混合割合を調節できる水栓が知られている。シングルレバー式の湯水混合栓では、レバーハンドルの左右操作（旋回操作）により湯と水との切り替え及び混合比の調節が可能であり、レバーハンドルの前後操作（上下操作）により吐出量の調節が可能である。

特開２００３−１２９５３５号公報は、レバーハンドルの位置が使用者に正対する位置で水を吐出するシングルレバー湯水混合栓を開示する。この発明の目的は、使用者が無意識に混合水を使用することを防止し、省資源化を図ることにある。

一方、この湯水混合栓において、クリック機構を有するものがある。特開２００４−０１９７１４号公報は、操作レバーの上下回動操作の際に所定位置でクリック感を発生するクリック機構を開示する。このクリック機構は、可動弁体の駆動部と回転ガイドとの間に設けられている。

特開２００３−１２９５３５号公報 特開２００４−０１９７１４号公報

長期間の使用により、繰り返しハンドル操作がなされる。よって、クリック機構も繰り返し発現する。クリック機構の耐久性に優れた湯水混合栓が求められている。また、クリック機構は、バルブ等の設計自由度を阻害しうる。バルブ等の設計自由度を阻害しにくいクリック機構が好ましい。

本発明の目的は、機能性、耐久性又は信頼性に優れたクリック機構を有する湯水混合栓を提供することにある。

本発明に係る湯水混合栓の好ましい態様は、吐水温度及び吐出量を調節しうるバルブユニットを有するバルブ本体と、上記バルブユニットを動作させて上記調節を達成しうるレバーと、上記バルブ本体と当接し、上記レバーの前後回動に連動して、上記バルブ本体に対して上下方向に相対移動しうるクリック部材とを備えている。上記バルブ本体は、外周面部を有している。この外周面部は、前後クリック用第一係合部を有している。上記クリック部材は、内周面部を有している。この内周面部は、前後クリック用第二係合部を有している。上記相対移動における少なくとも一部の領域で、上記前後クリック用第一係合部と上記前後クリック用第二係合部との係合が生じる。この係合により、前後クリック感が生じる。上記バルブ本体は、上下方向に延在する第一規制面を有している。上記クリック部材は、上下方向に延在する第二規制面を有している。上記レバーの上記前後回動の際に、上記第一規制面と上記第二規制面とが摺動する。これら第一規制面及び第二規制面が、上記上下方向以外の方向における上記クリック部材の移動を規制している。

好ましくは、上記レバー又は上記クリック部材の一方に軸体が設けられている。好ましくは、上記レバー又は上記クリック部材の他方に長孔が設けられている。好ましくは、上記レバーの上記前後回動に連動して、上記軸体が上記長孔内を移動する。この移動により、上記クリック部材の上下方向における上記相対移動が許容されている。

好ましくは、上記外周面部が上記第一規制面を有している。好ましくは、上記内周面部が上記第二規制面を有している。

好ましくは、上記バルブ本体が、上記レバーの左右回動に連動して回動する回動体を更に有している。好ましくは、上記回動体又は上記クリック部材の一方が、上下方向に延びるガイド用突起を有している。好ましくは、上記回動体又は上記クリック部材の他方が、上下方向に延びるガイド用受け部を有している。好ましくは、上記ガイド用受け部に上記ガイド用突起が挿入されている。

好ましくは、上記クリック部材が、上記レバーの左右回動に連動して、上記バルブ本体に対して相対回転するように構成されている。好ましくは、上記バルブ本体の上記外周面部が、左右クリック用第一係合部を有している。好ましくは、上記クリック部材の上記内周面部が、左右クリック用第二係合部を有している。好ましくは、上記相対回転における少なくとも一部の領域で、上記左右クリック用第一係合部と上記左右クリック用第二係合部との係合が生じる。好ましくは、この係合により、左右クリック感が生じる。

本発明の他の態様に係る好ましい湯水混合栓は、吐水温度及び吐出量を調節しうるバルブユニットを有するバルブ本体と、 上記バルブユニットを動作させて上記調節を達成しうるレバーと、上記バルブ本体と当接し、上記レバーの左右回動に連動して、上記バルブ本体に対して相対回転しうるクリック部材とを備えている。上記バルブ本体が外周面部を有しており、この外周面部が、左右クリック用第一係合部を有している。上記クリック部材が内周面部を有しており、この内周面部が、左右クリック用第二係合部を有している。上記相対回転における少なくとも一部の領域で、上記左右クリック用第一係合部と上記左右クリック用第二係合部との係合が生じる。この係合により、左右クリック感が生じる。

本発明に係る好ましい水栓器具は、上記いずれかの湯水混合栓を備える。

機能性、耐久性又は信頼性に優れたクリック機構を有する湯水混合栓が提供されうる。

図１は、本発明の一実施形態に係る湯水混合栓の斜視図である。 図２は、図１の湯水混合栓の一部が示された正面図である。 図３は、図１の湯水混合栓の一部が示された側面図である。 図４は、バルブ組立体の分解斜視図である。 図５は、バルブ組立体のより詳細な分解斜視図である。 図６は、回動体の斜視図である。 図７は、回動体の斜視図である。図７は、図６とは異なる視点から見た斜視図である。 図８（ａ）はクリック部材の平面図であり、図８（ｂ）、図８（ｃ）及び図８（ｄ）はクリック部材の側面図であり、図８（ｅ）はクリック部材の底面図である。 図９（ａ）は、図８（ｅ）のＡ−Ａ線に沿った断面図であり、図９（ｂ）は、図８（ｅ）のＢ−Ｂ線に沿った断面図である。 図１０は、クリック部材の斜視図である。 図１１は、バルブ組立体の斜視図である。 図１２は、バルブ組立体の斜視図である。図１２におけるレバー周位置は、図１１におけるレバー周位置とは異なる。 図１３は、バルブ組立体の断面図である。 図１４は、図１１のＣ−Ｃ線の位置における、バルブ組立体の断面図である。図１４は、前後クリック非係合状態における断面図である。 図１５は、図１１のＣ−Ｃ線の位置における、バルブ組立体の断面図である。図１５は、前後クリック非係合状態から前後クリック係合状態に移行する直前における断面図である。 図１６は、図１１のＣ−Ｃ線の位置における、バルブ組立体の断面図である。図１６は、前後クリック係合状態における断面図である。 図１７は、バルブ本体の斜視図である。 図１８は、レバー周位置に係る説明のための図である。 図１９は、他の実施形態に係るバルブ組立体の斜視図である。

以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。

［上下方向］
本願では、「上下方向」との文言が用いられる。後述される実施形態では、この上下方向は、鉛直方向に一致している。この上下方向は、鉛直方向に一致していなくてもよい。この上下方向は、後述されるハウジングの軸方向である。

図１は、本発明の一実施形態に係る湯水混合栓１０の斜視図である。図２は、湯水混合栓１０の上部の正面図である。図３は、湯水混合栓１０の上部の側面図である。湯水混合栓１０は、本体１２、ハンドル１４、吐出部１６、湯導入管１８、水導入管２０及び吐出管２２を有する。吐出部１６は、ヘッド２４を有する。ヘッド２４では、シャワー吐出と通常吐出との切り替えが可能である。湯水混合栓１０は、例えば、流し台、洗面台等に取り付けられ、水栓器具として使用される。湯水混合栓１０を含む水栓器具は、流し台等に湯水混合栓１０を固定するための固定部２３と、湯供給管に接続される接続部２５と、水供給管に接続される接続部２７とを有している。

ハンドル１４の上下回動（前後回動）により、吐出量が調節される（図３の矢印Ｍ参照）。本実施形態では、ハンドル１４を上側に動かすほど、吐出量が増加する。逆に、ハンドル１４を下側に動かすほど吐出量が増加してもよい。また、ハンドル１４の左右回動（旋回）により、湯と水との混合割合が変化する。ハンドル１４の左右回動により、吐水温度の調節が可能である。

湯水混合栓１０は、その内部に、バルブ組立体４０を有する。バルブ組立体４０は、外カバー１３の内部に配置されている。ハンドル１４は、ネジ（図示されず）によって、レバー４６（後述）に固定されている。なお、バルブ組立体４０は、単独で取り扱い可能である。湯水混合栓１０において、バルブ組立体４０は交換可能である。

図４は、バルブ組立体４０の分解斜視図である。図５は、より詳細なバルブ組立体４０の分解斜視図である。

図４及び図５が示すように、バルブ組立体４０は、バルブ本体ｖ１と、クリック部材ｃ１とを有する。

バルブ本体ｖ１は、ハウジング４２、回動体４４、レバー４６、レバー軸４８、軸体５０、可動弁体５２、固定弁体５４、パッキン６０及びベース体６２を有する。バルブ本体ｖ１は、バルブユニットｙ１を有する。バルブユニットｙ１は、可動弁体５２及び固定弁体５４によって構成されている。

ベース体６２は、湯導入口７０、水導入口７２及び吐出口７４を有する。ベース体６２の下部には、これら湯導入口７０、水導入口７２及び吐出口７４のそれぞれに対応した開口が設けられており、これらの開口のそれぞれに、湯導入管１８、水導入管２０及び吐出管２２が接続されている。

固定弁体５４は、ベース体６２に固定される。固定弁体５４は、ベース体６２の上部にはめ込まれている。ベース体６２には、固定弁体５４を固定するための係合凸部７６と、ハウジング４２を固定するための係合凸部７７とが設けられている。固定弁体５４には、係合凸部７６と係合する係合凹部７８が設けられている。

固定弁体５４は、湯用弁孔８０、水用弁孔８２及び混合水用弁孔８４を有する。湯用弁孔８０は、ベース体６２の湯導入口７０に接続されている。パッキン６０により、この接続の水密状態が保持されている。水用弁孔８２は、ベース体６２の水導入口７２に接続されている。パッキン６０により、この接続の水密状態が保持されている。混合水用弁孔８４は、ベース体６２の吐出口７４に接続されている。パッキン６０により、この接続の水密状態が保持されている。

可動弁体５２は、上側部材８６と、Ｏリング８７と、下側部材８８とを有する。上側部材８６は、下側部材８８に固定されている。この固定は、凸部９０と凹部９２との係合によって達成されている。本実施形態では、上側部材８６と下側部材８８とが互いに別部材である。この場合、上側部材８６と下側部材８８とのそれぞれにおいて、最適な材質及び製法が選択されうる。可動弁体５２は全体として一体成形されていてもよい。

可動弁体５２は、流路形成凹部を有している。この流路形成凹部は、下側部材８８に設けられた貫通孔９４の上面開口が上側部材８６により塞がれることによって、形成されている。Ｏリング８７により、上側部材８６と下側部材８８との境界からの水漏れが防止されている。

固定弁体５４の上面には、平滑面ＰＬ１が設けられている（図５参照）。上記孔８２、８４及び８０が存在していない部分が、平滑面ＰＬ１である。一方、下側部材８８（可動弁体５２）の下面には、平滑面ＰＬ２が設けられている。貫通孔９４が形成されていない部分に、平滑面ＰＬ２が設けられている。平滑面ＰＬ１と平滑面ＰＬ２との面接触により、水密状態が確保されている。

上側部材８６の上面には、レバー４６の下端９５と係合するレバー係合凹部９８が設けられている。レバー４６の下端９５は、このレバー係合凹部９８に挿入されている。レバー４６の動きに連動して、可動弁体５２が固定弁体５４の上を摺動する。

なお、レバー４６とレバー係合凹部９８との係合は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。例えば、レバー４６とレバー係合凹部９８との間に他の部材が介在していてもよい。

レバー４６は、軸孔１００を有する。この軸孔１００に、レバー軸４８が挿通されている。レバー４６は、レバー軸４８を中心として前後回動する。より詳細には、レバー４６は、レバー軸４８の軸線を中心として前後回動する。

レバー４６は、軸体用孔１０１を有する。この軸体用孔１０１に、軸体５０が挿入されている。この軸体５０は、後述されるカム機構において、クリック部材ｃ１の上下移動に寄与する。

ハウジング４２は、小径円筒部１２０と、大径円筒部１２２と、連結部１２４とを有する。連結部１２４は、ハウジング４２の半径方向に延在している。小径円筒部１２０は、上方開口１２６を有する。大径円筒部１２２は、下方開口１２８を有する。

なお、特に説明しない限り、本願にいう半径方向とは、ハウジング４２の半径方向を意味する。

大径円筒部１２２は、係合孔１３０を有する。この係合孔１３０が、ベース体６２の係合凸部７７と係合している（図４参照）。この係合により、ハウジング４２は、ベース体６２に固定されている。

図６及び図７は、回動体４４の斜視図である。図６は、斜め上方からの斜視図である。図７は、斜め下方からの斜視図である。

回動体４４は、基部１０２と上部１０４とを有する。上部１０４は、レバー挿入孔１０６と、軸孔１０８と、柱部１１０とを有する。複数の柱部１１０が設けられている。本実施形態では、３つの柱部１１０が設けられている。柱部１１０は、上方に延びている。柱部１１０の上端は自由端である。

回動体４４の上部１０４は、外周面部１３２を有する。この外周面部１３２の外径は、小径円筒部１２０の内径に略等しい。

レバー４６がレバー挿入孔１０６に挿入されている。この挿入により、このレバー４６の軸孔１００と、回動体４４の軸孔１０８とが同軸で配置される。これら軸孔１００及び軸孔１０８に、レバー軸４８が挿入される。レバー軸４８の挿入により、レバー４６が、前後回動可能な状態で、回動体４４に取り付けられる。レバー挿入孔１０６の寸法は、レバー４６の前後回動を許容しうるように設定されている。レバー４６が左右回動されると、回動体４４が回動（自転）する。すなわち、レバー４６の左右回動に連動して、回動体４４が回動する。回動体４４の回動に連動して、可動弁体５２が回動する。

回動体４４は、ハウジング４２（小径円筒部１２０）に、回動可能な状態で保持されている。この回動体４４の回動では、上部１０４の外周面部１３２と、小径円筒部１２０の内周面１２１とが摺動する。大径円筒部１２２は、回動体４４の基部１０２、可動弁体５２及び固定弁体５４を収容している。

図８（ａ）は、クリック部材ｃ１の平面図である。図８（ｂ）、図８（ｃ）及び図８（ｄ）は、クリック部材ｃ１の側面図である。図８（ｂ）から（ｄ）では、視点が相違する。図８（ｅ）は、クリック部材ｃ１の底面図である。図９（ａ）は、図８（ｅ）のＡ−Ａ線に沿った断面図である。図９（ｂ）は、図８（ｅ）のＢ−Ｂ線に沿った断面図である。図１０は、クリック部材ｃ１の斜視図である。図１０は、斜め下方から見た斜視図である。なお、図４及び図５におけるクリック部材ｃ１は、斜め上方から見た斜視図である。

クリック部材ｃ１は、レバー挿通孔１３４、外周面部１３６、内周面部１３８、受け孔１４０及び受け溝１４２を有する。

図１１及び図１２は、バルブ組立体４０の斜視図である。図１１と図１２とでは、レバー４６及びクリック部材ｃ１の左右回動位置が相違する。この位置の相違の詳細については、後述される。

バルブ組立体４０において、クリック部材ｃ１のレバー挿通孔１３４には、レバー４６が挿通されている。レバー挿通孔１３４は、レバー４６の前後回動を阻害しない。レバー挿通孔１３４の内面１３４ａは、レバー４６の側面４６ａに面接触している。レバー４６の左右回動に連動して、クリック部材ｃ１は回動する。

ハウジング４２の小径円筒部１２０は、外周面部１４４を有する。この外周面部１４４は、バルブ本体ｖ１の外周面部の一例である。クリック部材ｃ１の内周面部１３８は、この外周面部１４４の一部を覆っている。

［前後クリック機構］
前後クリック機構は、レバー４６の前後回動に伴うクリック感を生じさせる。このクリック感が、前後クリック感とも称される。

クリック部材ｃ１は、レバー４６の前後回動に連動して、バルブ本体ｖ１に対して上下方向に相対移動しうる。この相対移動は、カム機構によって達成されている。このカム機構は、レバー４６の前後回動を、クリック部材ｃ１の上下移動に変換する。

このカム機構について、以下に説明がなされる。

図４、図８（ｂ）、図１０等が示すように、クリック部材ｃ１は、長孔１４６を有する。長孔１４６は貫通孔である。２つの長孔１４６が設けられている。互いに対向する一対の長孔１４６が設けられている。

軸体５０は、長孔１４６に挿通されている。軸体５０は、２つの長孔１４６の両方に挿通されている。上述の通り、軸体５０は、レバー４６の軸体用孔１０１にも挿通されている。

図１３は、バルブ組立体４０の断面図である。図１３の（ａ）は、止水状態を示す。図１３の（ｂ）は、吐出状態を示す。レバー４６が前後回動されると、軸体用孔１０１が、レバー軸４８を中心として回動する。この回動により、軸体用孔１０１の上下方向位置が変化し、軸体５０の上下方向位置も同様に変化する。この軸体５０の動きに連動して、クリック部材ｃ１の上下方向位置が変化する。本実施形態では、吐出量が多くなるほど、クリック部材ｃ１が下方に移動する。換言すれば、吐出量が少なくなるほど、クリック部材ｃ１が上方に移動する。逆に、吐出量が多くなるほど、クリック部材ｃ１が上方に移動してもよい。

レバー軸４８の前後回動により、軸体用孔１０１の半径方向位置も変化する。このため、軸体５０の半径方向位置も変化する。この位置の変化により、軸体５０は、長孔１４６内を移動する（図１３参照）。このように、軸体５０の半径方向での移動は、長孔１４６によって吸収され、クリック部材ｃ１の位置に影響しない。

結局、軸体５０の移動のうち、上下方向での移動のみが、クリック部材ｃ１の移動に反映される。

バルブ本体ｖ１は、上下方向に延在する第一規制面を有している。本実施形態において、外周面部１４４は、この第一規制面を有する。クリック部材ｃ１は、上下方向に延在する第二規制面を有している。本実施形態において、クリック部材ｃ１の内周面部１３８が、この第二規制面を有する。

上述の通り、外周面部１４４は、上記第一規制面を有している。この第一規制面は、バルブ本体ｖ１を構成する部材であるハウジング４２に、設けられている。ハウジング４２は、レバー４６の操作によって動かない固定部材である。この固定部材は、レバー４６の前後回動時に移動せず、且つ、レバー４６の左右回動時にも移動しない部材である。バルブ本体ｖ１は上記固定部材を有しており、上記第一規制面は、上記固定部材に設けられている。

なお、上記第一規制面は、外周面部１４４以外に設けられてもよい。上記第二規制面は、内周面部１３８以外に設けられてもよい。

レバー４６の前後回動の際に、上記第一規制面としての外周面部１４４と、上記第二規制面としての内周面部１３８とが摺動する。この摺動に起因して、上下方向以外の方向におけるクリック部材ｃ１の移動が規制されている。すなわち、クリック部材ｃ１の移動方向は、上下方向のみに規制されている。

本実施形態では、外周面部１４４と内周面部１３８との組み合わせが、当接機構Ａとも称される。この当接機構Ａが、クリック部材ｃ１の移動を上下方向のみに規制している。よって、クリック部材ｃ１の移動方向が確実に規制されている。このため、製造誤差又は部品の経時劣化による前後クリック感の変化が抑制されうる。

バルブ本体ｖ１は、他の上記第一規制面を更に有している。本実施形態において、柱部１１０（の外面）は、この第一規制面を有する。クリック部材ｃ１は、他の上記第二規制面を更に有している。本実施形態において、クリック部材ｃ１の受け孔１４０の内面が、この第二規制面を有する。更に、受け溝１４２の内面も、この第二規制面を有する。

レバー４６の前後回動の際に、上記第一規制面としての柱部１１０と、上記第二規制面としての受け孔１４０とが摺動する。また、上記第一規制面としての柱部１１０と、上記第二規制面としての受け溝１４２とが摺動する。これらの摺動に起因して、上下方向以外の方向におけるクリック部材ｃ１の移動が規制されている。

本実施形態では、柱部１１０と受け孔１４０との組み合わせが、当接機構Ｂとも称される。この当接機構Ｂと、上記当接機構Ａとにより、クリック部材ｃ１の移動がより確実に規制されている。このため、製造誤差又は部品の経時劣化による前後クリック感の変化が、より一層抑制されうる。

本実施形態では、柱部１１０と受け溝１４２との組み合わせが、当接機構Ｃとも称される。この当接機構Ｃと、上記当接機構Ａ及び上記当接機構Ｂとにより、クリック部材ｃ１の移動がより確実に規制されている。このため、製造誤差又は部品の経時劣化による前後クリック感の変化が、より一層抑制されうる。

このように、本実施形態では、クリック部材ｃ１の上下方向以外への移動を規制する機構が、簡易な構造で実現されている。また、上記カム機構により、簡易な構造で、クリック部材ｃ１を上下に移動させることができる。

柱部１１０は、クリック部材ｃ１の傾斜を抑制している。よって、前後クリック感及び左右クリック感が安定的に得られうる。本実施形態では、上下方向に延びるガイド用突起が３箇所に設けられており、このガイド用突起に対して摺動するガイド用受け部も３箇所に設けられている。よって、クリック部材ｃ１の傾斜が一層効果的に抑制されている。上記ガイド用突起の例は、上述の柱部１１０である。上記ガイド用受け部の例は、上述の受け孔１４０及び受け溝１４２である。クリック部材ｃ１の傾斜を抑制する観点から、上記ガイド用突起及び上記ガイド用受け部は、複数設けられるのが好ましく、３箇所以上設けられるのがより好ましい。構造の簡素化の観点から、上記ガイド用突起及び上記ガイド用受け部は、６箇所以下が好ましく、５箇所以下がより好ましい。

なお、ガイド用突起（柱部１１０）及びガイド用受け部（受け孔１４０、受け溝１４２）の構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、クリック部材ｃ１がガイド用突起を有しており、回動体４４がガイド用受け部を有していても良い。

バルブ本体ｖ１の外周面部１４４は、前後クリック用第一係合部ｚｋ１を有している（図４参照）。この第一係合部ｚｋ１は、凸及び／又は凹である。本実施形態の第一係合部ｚｋ１では、複数の凸が上下方向に複数並んでいる。

上述の通り、前後クリック用第一係合部ｚｋ１は、外周面部１４４に設けられている。この第一係合部ｚｋ１は、バルブ本体ｖ１を構成する部材であるハウジング４２に、設けられている。ハウジング４２は、レバー４６の操作によって動かない固定部材である。この固定部材は、レバー４６の前後回動時に移動せず、且つ、レバー４６の左右回動時にも移動しない部材である。バルブ本体ｖ１は上記固定部材を有しており、上記前後クリック用第一係合部ｚｋ１は、上記固定部材に設けられている。

クリック部材ｃ１の内周面部１３８は、前後クリック用第二係合部ｚｋ２を有している（図９及び図１０参照）。この第二係合部ｚｋ２は、凸及び／又は凹である。本実施形態の第二係合部ｚｋ２では、複数の凸が上下方向に複数並んでいる。

前後クリック感は、前後クリック用第一係合部ｚｋ１と前後クリック用第二係合部ｚｋ２との係合により生じる。前後クリック機構がバルブ本体ｖ１の外側に設けられているため、バルブ内の設計自由度が高い。バルブユニットｙ１の内部には、複数の弁体が精密に配置されており、これらの弁体が複雑に組み立てられている。バルブ内のスペースは限られており、このバルブの内部にクリック機構を設けると、バルブ内の設計自由度が低下する。本実施形態では、バルブ本体ｖ１の外側に前後クリック機構が設けられているため、バルブ内部の構造を変更する必要がない。よって、様々なバルブに前後クリック感が付与されうる。

上記カム機構により、クリック部材ｃ１とバルブ本体ｖ１（外周面部１４４）との相対移動が生じる。この相対移動における一部の領域で、第一係合部ｚｋ１と第二係合部ｚｋ２との係合が生じる。この係合により、前後クリック感が生じる。この相対移動における全ての領域で、第一係合部ｚｋ１と第二係合部ｚｋ２との係合が生じてもよい。

上述の通り、クリック部材ｃ１の上下方向以外における移動は規制されている。この規制状態において、軸体５０の半径方向における移動が許容されているため、上記カム機構が作動しうる。長孔１４６は、軸体５０の半径方向における移動を許容し、上記カム機構を機能させている。このように、レバー４６の上記前後回動に連動して、軸体５０が長孔１４６内を移動し、この移動により、クリック部材ｃ１の上下方向における上記相対移動が許容されている。

本実施形態において、長孔１４６は貫通孔である。長孔は、貫通孔でなくてもよい。例えば長孔は、溝であってもよい。

上記実施形態では、レバー４６に軸体５０が設けられているが、この形態に限定されない。例えば、クリック部材ｃ１に軸体５０が設けられていても良い。

上記実施形態では、クリック部材ｃ１に長孔１４６が設けられているが、この形態に限定されない。例えば、レバー４６に長孔１４６が設けられても良い。

上記実施形態では、バルブ本体ｖ１が、レバー４６の左右回動に連動して回動する回動体４４を有している。そして、この回動体は、上方に延びる柱部１１０を有している。一方、クリック部材ｃ１は、上下方向に延び且つ下側に開口した受け孔１４０を有する。この受け孔１４０に柱部１１０が挿入されている。よって、上下方向以外の動きを抑止しながら、クリック部材ｃ１を上下方向に移動させる規制機能が奏される。また、回動体４４の回動を確実にクリック部材ｃ１に伝達する回動伝達機能が奏される。すなわち、回動体４４とクリック部材ｃ１との一体的な回動が確実になされうる。柱部１１０及び受け孔１４０が複数とされることで、上記規制機能及び上記回動伝達機能が高められている。

本実施形態において、受け孔１４０は貫通孔である。受け孔１４０は、貫通孔でなくてもよい。例えば受け孔は、凹みであってもよい。受け孔１４０が、受け溝１４２に置換されてもよい。逆に、受け溝１４２が、受け孔１４０に置換されてもよい。

前後クリック用第一係合部ｚｋ１は、凸のみを有していても良いし、凹のみを有していても良いし、凹凸を有していても良い。前後クリック用第二係合部ｚｋ２は、凸のみを有していても良いし、凹のみを有していても良いし、凹凸を有していても良い。前後クリック感を生じさせる「係合」は、あらゆる態様を含む。何らかの前後クリック感を発生させれば、「係合」に該当する。この「係合」は、例えば、乗り越え等を含む。

［左右クリック機構］
左右クリック機構は、レバー４６の左右回動に伴うクリック感を生じさせる。このクリック感が、左右クリック感とも称される。

クリック部材ｃ１は、バルブ本体ｖ１の外周面部１４４と当接し、レバー４６の左右回動に連動して、外周面部１４４に対して相対回転しうる。図１１と図１２とでは、レバー周位置が相違している。図１１と図１２との比較から理解されるように、レバー４６の左右回動に連動して、クリック部材ｃ１とバルブ本体ｖ１（外周面部１４４）とが相対回転する。この相対回転において、外周面部１４４と、クリック部材ｃ１の内周面部１３８とが互いに摺動する。この相対回転により、左右クリック感が生じる。

図１４、図１５及び図１６は、図１１のＣ−Ｃ線に沿った断面図である。これら図１４、図１５及び図１６では、レバー周位置が相違する３つの断面図が図示されている。図１７は、バルブ本体ｖ１の斜視図である。バルブ本体ｖ１の外周面部１４４は、左右クリック用第一係合部ｓｋ１を有している（図１７参照）。クリック部材ｃ１の内周面部１３８は、左右クリック用第二係合部ｓｋ２を有している（図８（ｅ）及び図１０参照）。

第一係合部ｓｋ１と第二係合部ｓｋ２との係合により、左右クリック感が生じる。左右クリック機構がバルブ本体ｖ１の外側に設けられているため、バルブ内の設計自由度が高い。バルブユニットｙ１の内部には、複数の弁体が精密に配置されており、これらの弁体が複雑に組み立てられている。バルブ内のスペースは限られており、このバルブの内部にクリック機構を設けると、バルブ内の設計自由度が低下する。本実施形態では、バルブ本体ｖ１の外側に左右クリック機構が設けられているため、バルブ内部の構造を変更する必要がない。よって、様々なバルブに左右クリック感が付与されうる。

左右クリック用第一係合部ｓｋ１は、凸のみを有していても良いし、凹のみを有していても良いし、凹凸を有していても良い。左右クリック用第二係合部ｓｋ２は、凸のみを有していても良いし、凹のみを有していても良いし、凹凸を有していても良い。左右クリック感を生じさせる「係合」は、あらゆる態様を含む。何らかの左右クリック感を発生させれば、「係合」に該当する。この「係合」は、例えば、乗り越え等を含む。

図１４、図１５及び図１６では、レバー周位置が相違する。レバー周位置によって、前後クリック用第一係合部ｚｋ１と前後クリック用第二係合部ｚｋ２とが係合するか否かが定まる。

図１４では、前後クリック用第一係合部ｚｋ１と前後クリック用第二係合部ｚｋ２とが係合していない。すなわち、図１４は、前後クリック非係合状態ＺＨである。

図１６では、前後クリック用第一係合部ｚｋ１と前後クリック用第二係合部ｚｋ２とが係合している。すなわち、図１６は、前後クリック係合状態ＺＥである。

図１５は、前後クリック非係合状態ＺＨから前後クリック係合状態ＺＥへと移行する直前の状態を示している。

前後クリック用第一係合部ｚｋ１は、周方向の所定範囲に設けられている。本実施形態では、湯が混合するレバー周位置において、前後クリック係合状態ＺＥが生じている。湯が混合するレバー周位置は、湯が１００％のレバー周位置を含む。本実施形態では、湯が混合しないレバー周位置において、前後クリック非係合状態ＺＨが生じている。湯が混合しないレバー周位置では、水が１００％である。この実施形態では、前後クリック感が生じるか否かによって、湯が混合しているか否かが判断されうる。この実施形態は、省エネルギーに寄与する。

もちろん、前後クリック係合状態ＺＥが生じるレバー周位置は、様々に設定されうる。例えば、前後クリック用第一係合部ｚｋ１の周方向における設置範囲を変更することで、前後クリック係合状態ＺＥが生じるレバー周位置は自由に変更されうる。

図１５が示すように、本実施形態では、前後クリック係合状態ＺＥが開始されるレバー周位置において、左右クリック用第一係合部ｓｋ１と左右クリック用第二係合部ｓｋ２との係合が生じる。本実施形態では、左右クリック感によって、湯の混合の開始が使用者に告知される。この実施形態は、省エネルギーに寄与する。

もちろん、左右クリック感が生じるレバー周位置は、様々に設定されうる。例えば、第一係合部ｓｋ１又は第二係合部ｓｋ２の周方向位置を変更することで、左右クリック感がが生じるレバー周位置は自由に変更されうる。

このように、バルブ組立体４０は、左右クリック機構と、前後クリック機構とを有する。左右クリック機構と前後クリック機構とは、いずれも、ハウジング４２の外周面部１４４とクリック部材ｃ１との係合によって生ずる。本実施形態では、これら２つのクリック機構が、コンパクトに集約されている。

左右クリック用第一係合部ｓｋ１と左右クリック用第二係合部ｓｋ２との係合によって、レバー４６を左右回動する際の抵抗力が変化する。この抵抗力の変化に起因する感覚は、左右クリック感の一例である。また、第一係合部ｓｋ１と第二係合部ｓｋ２との係合が解除される瞬間に、振動が生じうる。この振動は、典型的な左右クリック感を生じさせる。また、この係合解除の瞬間に、音が生じうる。この音も、典型的な左右クリック感を生じさせる。第一係合部ｓｋ１と第二係合部ｓｋ２との係合に起因するあらゆる感覚が、左右クリック感に含まれる。

前後クリック用第一係合部ｚｋ１と前後クリック用第二係合部ｚｋ２との係合によって、レバー４６を前後回動する際の抵抗力が増加する。この抵抗力の増加に起因する感覚は、前後クリック感の一例である。また、第一係合部ｚｋ１と第二係合部ｚｋ２との係合が解除される瞬間に、振動が生じうる。この振動は、典型的な前後クリック感を生じさせる。また、この係合解除の瞬間に、音が生じうる。この音も、前後クリック感の一例である。第一係合部ｚｋ１と第二係合部ｚｋ２との係合に起因するあらゆる感覚が、前後クリック感に含まれる。

図９（ａ）が示すように、前後クリック用第二係合部ｚｋ２は、複数の凹凸を有する。このため、片道１回の前後回動により、複数のクリック感が生じる。片道１回の前後回動によって生じる前後クリック感の回数Ｎは、自由に設定されうる。また、レバー４６の前後回動範囲のうち、前後クリック感が生じる回動範囲は、自由に設定されうる。当然ながら、レバー４６の前後回動範囲のうちの一部で、前後クリック感が生じてもよい。

図１８は、ハンドル１４の左右回動について説明するための平面図である。実際に操作されるのは、レバー４６ではなくハンドル１４である。この点を考慮し、以下では、ハンドル１４について説明がなされる。ただし、レバー４６とハンドル１４とは一体である。以下のハンドル１４についての説明は、そのまま、レバー４６にも適用される。

ハンドル１４の左右回動可能範囲は、左限界ＭＬから右限界ＭＲまでである。本実施形態では、左右回動可能範囲ＲＦの角度がθｆである。範囲ＲＦの中心周位置Ｃ１において、ハンドル１４は正面を向く。本実施形態では、ハンドル１４の左右回動可能範囲ＲＦは、正面位置Ｓ１に対して左右対称である。

図１８が示すように、角度範囲ＲＴ１では、使用者から見て、右側に位置する。ハンドル１４の周位置が角度範囲ＲＴ１にあるとき、湯が混合されない。すなわち、ハンドル１４の周位置が角度範囲ＲＴ１にあるとき、水の割合が１００％である。範囲ＲＴ１は、水吐出位置である。

角度範囲ＲＴ１は、中心周位置Ｃ１を含む。ハンドル１４の周位置が中心周位置Ｃ１にあるとき、湯が混合されない。すなわち、ハンドル１４の周位置が中心周位置Ｃ１にあるとき、水の割合が１００％である。ハンドル１４が正面位置Ｓ１にあるとき、湯が混合されない。この構成は、省エネルギーに寄与する。

図１８が示すように、角度範囲ＲＴ２は、使用者から見て、角度範囲ＲＴ１よりも左側である。ハンドル１４の周位置が角度範囲ＲＴ２にあるとき、湯が混合される。すなわち、ハンドル１４の周位置が角度範囲ＲＴ２にあるとき、湯と水とが混合されるか、又は、水が無混合（湯が１００％）である。範囲ＲＴ２は、湯水混合吐出位置及び湯吐出位置である。

本実施形態では、ハンドル１４の左右回動可能範囲ＲＦが正面位置Ｓ１に対して左右対称とされたが、左右非対称とされてもよい。

角度範囲ＲＴ２が小さすぎると、湯水混合比率を調節できるハンドル１４の角度範囲が狭くなりすぎて、湯水混合比率の変化が急激になりすぎる場合がある。この観点から、範囲ＲＴ２の角度θ２は、４０度以上が好ましく、５０度以上がより好ましく、５５度以上が特に好ましい。角度範囲ＲＴ２が大きすぎると、湯水混合比率を調節できるハンドル１４の角度範囲が広くなりすぎて、操作性が低下する。この観点から、範囲ＲＴ２の角度θ２は、１００度以下が好ましく、９０度以下がより好ましく、７０度以下が特に好ましい。

省エネルギーの観点から、範囲ＲＴ１の角度θ１は、１０度以上が好ましく、２０度以上がより好ましく、３０度以上が特に好ましい。角度θ１が過大である場合、水の割合が１００％である範囲が広くなりすぎて、操作性が低下する。この観点から、範囲ＲＴ１の角度θ１は、１００度以下が好ましく、９０度以下がより好ましく、７０度以下が特に好ましい。

角度範囲ＲＴ１と角度範囲ＲＴ２との角度比（θ１／θ２）が小さすぎると、角度θ１が小さくなりすぎたり、角度θ２が大きくなりすぎたりして、前述の問題が生じやすくなる。この観点から、角度比（θ１／θ２）は、０．２以上が好ましく、０．４以上がより好ましく、０．６以上が特に好ましい。また、角度比（θ１／θ２）が大きすぎると、角度θ１が大きくなりすぎたり、角度θ２が小さくなりすぎたりして、前述の問題が生じやすくなる。この観点から、角度比（θ１／θ２）は、１．７以下が好ましく、１．６以下がより好ましく、１．５以下が特に好ましい。省エネルギーの観点を重視する場合、角度比（θ１／θ２）は、１．０を超えるのが好ましい。

ハンドル１４の周位置は、レバー４６の周位置（レバー左右位置）と同じである。角度範囲ＲＴ１は、湯が混合されないレバー周位置である。角度範囲ＲＴ２は、湯が混合されるレバー周位置である。「湯が混合される」とは、湯が１００％である場合を含む。

本実施形態では、レバー周位置が角度範囲ＲＴ２にあるとき、前後クリック用第一係合部ｚｋ１と前後クリック用第二係合部ｚｋ２との係合が生じる。本実施形態では、レバー周位置が角度範囲ＲＴ２にあるとき、前後クリック感が生じる。本実施形態では、レバー周位置が角度範囲ＲＴ１にあるとき、第一係合部ｚｋ１と第二係合部ｚｋ２との係合が生じない。本実施形態では、レバー周位置が角度範囲ＲＴ１にあるとき、前後クリック感が生じない。

従って、本実施形態では、湯が混合されないレバー周位置では、前後クリック感が発現しない。また、湯が混合されるレバー周位置において、前後クリック感が発現する。よって、前後回動操作を行えば、前後クリック感の有無によって、湯が混合されているか否かが判別される。ただし、前後クリック感の設定は多様であり、それぞれの設定に見合った効果が奏されうる。

湯が混合されているか否かの判別は、左右クリック感によっても達成されうる。好ましくは、レバー４６の左右回動動作において、水のみが吐出するレバー周位置と、湯が混合されるレバー周位置との境界Ｋ１又はこの境界Ｋ１の近傍において、左右クリック感が発現する。この左右クリック感は、第一係合部ｓｋ１と第二係合部ｓｋ２との係合によって生ずる。

このように、角度範囲ＲＴ１と角度範囲ＲＴ２との境界において、左右クリック感が発現するのが好ましい。この場合、前後クリック感と左右クリック感との相乗効果により、湯が混合されているか否かの判別がより一層確実になされうる。ただし、前後クリック感と左右クリック感との組み合わせの設定は多様であり、それぞれの設定に見合った効果が奏されうる。

本実施形態では、上記境界Ｋ１が、正面位置Ｓ１よりも左側に位置している。よって、レバー周位置が正面位置Ｓ１からずれている場合でも、水のみが吐出されうる。このため、意図しない湯の混合が抑制され、省エネルギー性が高められている。図１８において両矢印θｋで示されるのは、正面位置Ｓ１と境界Ｋ１との間の角度である。省エネルギーの観点から、角度θｋは、２度以上が好ましく、５度以上がより好ましく、７度以上が更に好ましい。角度範囲ＲＴ２が過度に狭くなると、吐水温度が調節しにくい場合がある。この観点から、角度θｋは、２０度以下が好ましく、１５度以下がより好ましく、１２度以下が更に好ましい。ただし、用途によって、あらゆる角度θｋが可能である。

図９（ａ）、図９（ｂ）及び図１０が示すように、前後クリック用第二係合部ｚｋ２の両側に、欠け部ｚ２が設けられている。この欠け部ｚ２は、切り欠き状である。第一係合部ｚｋ１と第二係合部ｚｋ２との係合により、クリック部材ｃ１は変形する。この変形を、以下において変形Ｘとする。欠け部ｚ２は、この変形Ｘに要する力の大きさを調整しうる。欠け部ｚ２により、前後クリック感の強さが調整されうる。また、欠け部ｚ２により、上記変形Ｘに要する力が過大となることが防止される。よって例えば、第一係合部ｚｋ１又は第二係合部ｚｋ２において、摩耗及び破壊が抑制される。欠け部ｚ２により、クリック部材ｃ１の耐久性が向上しうる。欠け部ｚ２により、前後クリック機構の耐久性が向上しうる。

上記変形Ｘは、弾性変形である。欠け部ｚ２により、クリック部材ｃ１の弾性変形が容易とされている。よって、前後クリック機構において、バネ等の弾性部材を設ける必要がなくなる。よって、部品点数及び組立コストが減少する。また、シンプルな構造により、信頼性の高い前後クリック機構が実現されうる。

図９（ｂ）において両矢印Ｌａで示されるのは、欠け部ｚ２の上下方向長さである。図９（ａ）において両矢印Ｌｂで示されるのは、前後クリック用第二係合部ｚｋ２の上下方向長さである。

前後クリック機構の耐久性の観点から、長さＬａは長さＬｂ以上であるのが好ましい。上記変形Ｘに起因する応力を緩和する観点から、差（Ｌａ−Ｌｂ）は、０ｍｍ以上が好ましく、１ｍｍ以上がより好ましく、１．５ｍｍ以上がより好ましい。前後クリック感が過小となることを防止する観点から、差（Ｌａ−Ｌｂ）は、１５ｍｍ以下が好ましく、１０ｍｍ以下がより好ましく、５ｍｍ以下がより好ましい。クリック部材ｃ１の小型化の観点からも、差（Ｌａ−Ｌｂ）は小さくされるのが好ましい。クリック部材ｃ１の小型化を重視する観点からは、例えば、差（Ｌａ−Ｌｂ）が１ｍｍ以下とされるのが好ましく、０ｍｍとされるのがより好ましい。

欠け部ｚ２により、上記変形Ｘに要する力が小さくなるため、レバー４６の前後回動操作が円滑となる。この円滑性により、前後クリック感の感受性が高まる。よって例えば、微小な前後クリック感が認識されやすくなる。このため、前後クリック感の設定の自由度が向上しうる。

欠け部ｚ２の仕様により、前後クリック感が調整されうる。例えば、欠け部ｚ２の幅、長さ、位置等が変更されうる。これらの変更により、前後クリック感の感触、音の大きさ、音の周波数等が調整されうる。欠け部ｚ２は、前後クリック感の設計自由度を高める。

図１０が示すように、左右クリック用第二係合部ｓｋ２の両側に、欠け部ｓ２が設けられている。この欠け部ｓ２は、切り欠き状である。第一係合部ｓｋ１と第二係合部ｓｋ２との係合により、クリック部材ｃ１は変形する。この変形を、以下において変形Ｙとも称される。欠け部ｓ２は、この変形Ｙに要する力の大きさを調整しうる。欠け部ｓ２により、左右クリック感の強さが調整されうる。また、欠け部ｓ２により、上記変形Ｙに要する力が過大となることが防止される。よって例えば、第一係合部ｓｋ１又は第二係合部ｓｋ２において、摩耗及び破壊が抑制される。欠け部ｓ２により、クリック部材ｃ１の耐久性が向上しうる。欠け部ｓ２により、左右クリック機構の耐久性が向上しうる。

欠け部ｓ２により、上記変形Ｙに要する力が小さくなるため、レバー４６の左右回動操作が円滑となる。この円滑性により、左右クリック感の感受性が高まる。よって例えば、微小な左右クリック感が認識されやすくなる。このため、左右クリック感の設定の自由度が向上しうる。

上記変形Ｙは、弾性変形である。欠け部ｓ２により、クリック部材ｃ１の弾性変形が容易とされている。よって、左右クリック機構において、バネ等の弾性部材を設ける必要がなくなる。よって、部品点数及び組立コストが減少する。また、シンプルで信頼性の高い左右クリック機構が実現しうる。

欠け部ｓ２の仕様により、左右クリック感が調整されうる。例えば、欠け部ｓ２の幅、長さ、位置等が変更されうる。これらの変更により、左右クリック感の感触、音の大きさ、音の周波数等が調整されうる。欠け部ｓ２は、左右クリック感の設計自由度を高める。

湯が混合されているか否かは、吐水の温度のみからは判別しにくいことがある。例えば、湯の混合割合が少ない場合、水が１００％の場合と比較して、温度がそれほど高くならない。よってこの場合、吐水の温度のみからは湯の混合に気がつかないことがある。また、湯の混合割合が高い場合であっても、給湯器等からの加熱装置で加温された湯が蛇口に至るまでの間、吐水の温度が上がらない場合がある。この場合も、吐水の温度のみからは、湯の混合に気がつかないことがある。また、ハンドル１４の周位置によって、湯が混合されているか否かが正確に判別できない場合がある。これらの場合において、使用者の意図に反して、湯が混合されることがある。この場合、エネルギーが無駄となる。上記実施形態では、前後クリック感の有無によって、湯が混合されているか否かが容易に判別される。更に、上記実施形態では、左右クリック感によって、湯が混合されるレバー周位置が判別される。よって、エネルギーの無駄が抑制される。

本実施形態では、例えば、前後クリック用第一係合部ｚｋ１の設置範囲を変えることによって、前後クリック感が生じる角度範囲は自由に設定されうる。よって、前後クリック感の設計自由度は高い。また、例えば、第一係合部ｓｋ１又は第二係合部ｓｋ２の位置を変えることによって、左右クリック感が生じる周位置は自由に設定されうる。よって、左右クリック感の設計自由度は高い。

第一係合部ｚｋ１及び／又は第二係合部ｚｋ２の形状を変更することにより、前後クリック感の仕様は自由に設計されうる。第一係合部ｓｋ１及び／又は第二係合部ｓｋ２の形状を変更することにより、左右クリック感の仕様は自由に設計されうる。本実施形態では、前後クリック感及び左右クリック感の設計自由度は高い。

第一係合部ｚｋ１及び第二係合部ｚｋ２は、バルブ本体ｖ１の外側に配置されている。このため、バルブ内の構造に影響を与えることなく、前後クリック感の設定を行うことができる。第一係合部ｓｋ１及び第二係合部ｓｋ２は、バルブ本体ｖ１の外側に配置されている。このため、バルブ内の構造に影響を与えることなく、左右クリック感の設定を行うことができる。

クリック感は、人間によって感知される。クリック感は、視覚では得られない様々な情報を使用者に提供しうる。好ましくは、クリック感は、聴覚及び／又は触覚によって感知される。感知性を高める観点から、聴覚と触覚とが併用されてもよい。聴覚により感知されるクリック感として、音が挙げられる。触覚によって感知されるクリック感として、レバー操作時における抵抗感の変化及び振動が例示される。クリック感の継続時間は限定されない。典型的なクリック感として、比較的短時間の抵抗変化及び音が挙げられるが、比較的長時間のクリック感も可能である。

上述の如く、本実施形態では、前後クリック感及び左右クリック感の設計自由度が高い。これらのクリック感により得られうる情報は、多様である。この情報として、以下が例示される。
［情報１］：吐水温度に関する情報
［情報２］：吐出量に関する情報
［情報３］：湯の混合の有無に関する情報
［情報４］：レバー前後位置に関する情報
［情報５］：レバー周位置に関する情報

上記情報１に係るクリック感として、以下が例示される。
［１ａ］：吐水温度が高温になることを知らせる左右クリック感
［１ｂ］：水のみの吐出であることを知らせる左右クリック感
［１ｃ］：吐水温度の変化を段階的に知らせる複数の左右クリック感
［１ｄ］：吐水温度が高温であることを知らせる前後クリック感
［１ｅ］：水のみの吐出であることを知らせる前後クリック感

左右クリック感１ａは、例えば、意図しない高温の吐水を抑制するのに寄与しうる。上記左右クリック感１ｂは、例えば、省エネルギーに寄与しうる。上記左右クリック感１ｃは、例えば、好みの温度への設定を容易としうる。前後クリック感１ｄは、例えば、過度に温度が高い吐水を避けるのに寄与しうる。前後クリック感１ｅは、例えば、省エネルギーに寄与しうる。

上記情報２に係るクリック感として、以下が例示される。
［２ａ］：給湯器が作動する吐出量に達することを知らせる前後クリック感
［２ｂ］：吐出量の変化を段階的に知らせる複数の前後クリック感

前後クリック感２ａは、例えば、省エネルギーに寄与しうる。前後クリック感２ｂは、例えば、意図しない吐出量を避けるのに寄与しうる。

上記情報３に係るクリック感として、以下が例示される。
［３ａ］：上記境界Ｋ１で発現する左右クリック感
［３ｂ］：上記境界Ｋ１の近傍で発現する左右クリック感

左右クリック感３ａは、例えば、省エネルギーに寄与しうる。左右クリック感３ｂは、例えば、省エネルギーに寄与しうる。

上記３ｂにおける境界Ｋ１の近傍として、境界Ｋ１の±１０度以内、境界Ｋ１の±７度以内、境界Ｋ１の±５度以内、境界Ｋ１の±３度以内等が例示される。

上記情報４に係る情報として、以下が例示される。
［４ａ］：レバー前後位置が最大吐出位置に近づいていることを知らせる前後クリック感
［４ｂ］：レバー前後位置が最大吐出位置であることを知らせる前後クリック感

上記前後クリック感４ａ及び４ｂは、例えば、レバーが限界位置に達するときの衝撃を緩和するのに寄与しうる。この衝撃の緩和は、繰り返しの使用に伴う劣化を抑制しうる。

上記情報５に係る情報として、以下が例示される。
［５ａ］：レバー周位置が右限界ＭＲに近づいていることを知らせる左右クリック感
［５ｂ］：レバー周位置が左限界ＭＬに近づいていることを知らせる左右クリック感
［５ｃ］：レバー周位置が右限界ＭＲであることを知らせる左右クリック感
［５ｄ］：レバー周位置が左限界ＭＬであることを知らせる左右クリック感

上記前後クリック感５ａ、５ｂ、５ｃ及び５ｄは、例えば、レバーが限界位置に達するときの衝撃を緩和するのに寄与しうる。この衝撃の緩和は、繰り返しの使用に伴う劣化を抑制しうる。

レバー前後位置及び／又はレバー周位置によってクリック感が相違していてもよい。この相違により、より多くの情報を使用者に伝達することができる。この相違により、例えば、上記情報１から５からなる群から選ばれる１又は２以上が、効果的に使用者に伝達される。よって、利便性の高い湯水混合栓が実現しうる。

このクリック感の相違として、以下の（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）及び（Ｄ）が例示される。
（Ａ）レバー周位置によって、前後クリック感が相違する。
（Ｂ）レバー前後位置によって、前後クリック感が相違する。
（Ｃ）レバー周位置によって、左右クリック感が相違する。
（Ｄ）レバー前後位置によって、左右クリック感が相違する。

クリック感の相違は、（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）からなる群から選択される少なくとも１つか、又は、２つ以上の組み合わせであってもよい。

上記態様（Ａ）は、様々な効果を奏しうる。この態様（Ａ）は、吐水温度に関する情報を使用者に与えうる。例えば、湯の混合割合が多くなるほど前後クリック感を顕著とすれば、エネルギーの節約に役立つ。レバー周位置を変えずにレバーを前後回動させる動作は実使用において頻度が高い。態様（Ａ）は、この高頻度の動作において省エネルギー効果を奏しうる。

上記態様（Ｂ）は、様々な効果を奏しうる。この態様（Ｂ）は、吐出量に関する情報を使用者に与えうる。例えば、吐出量が多くなるほど前後クリック感を顕著とすれば、水資源及び／又はエネルギーの節約に役立つ。また、吐水量の調節が容易とされうる。

上記態様（Ｃ）は、様々な効果を奏しうる。この態様（Ｃ）は、吐水温度に関する情報を使用者に与えうる。例えば、湯の混合割合が多くなるほど左右クリック感を顕著とすれば、エネルギーの節約に役立つ。また、吐水温度の調節が容易とされうる。

上記態様（Ａ）として、以下が例示される。
（Ａ１）水吐出位置（水１００％）と、湯混合吐出位置（湯１００％を含む）との間で、前後クリック感が相違する。
（Ａ２）水吐出位置（水１００％）と、水の割合が高い湯混合吐出位置と、水の割合が低い湯混合吐出位置（湯１００％を含む）との間で、前後クリック感が相違する。
（Ａ３）水吐出位置（水１００％）と、湯混合吐出位置（湯１００％を含まない）と、湯吐出位置（湯１００％）との間で、前後クリック感が相違する。
（Ａ４）水吐出位置（水１００％）と、水の割合が高い湯混合吐出位置と、水の割合が低い湯混合吐出位置と、湯吐出位置（湯１００％）との間で、前後クリック感が相違する。
（Ａ５）水吐出位置（水１００％）と、使用頻度が高い湯混合吐出位置と、使用頻度が高くない湯混合吐出位置（湯１００％を含む）との間で、前後クリック感が相違する。
（Ａ６）水吐出位置（水１００％）と、使用頻度が高い湯混合吐出位置と、使用頻度が高くない湯混合吐出位置（湯１００％を含まない）と、湯吐出位置（湯１００％）との間で、前後クリック感が相違する。

汎用性の観点からは、例えば、（Ａ１）、（Ａ２）及び（Ａ３）が採用されうる。湯の節約の観点からは、湯が使用されているか否かが分かりやすくシンプルな（Ａ１）が好ましい。また、操作性を重視する場合、（Ａ２）、（Ａ３）、（Ａ４）、（Ａ５）及び（Ａ６）が好ましい。これら（Ａ２）から（Ａ６）では、クリック感の相違により得られる情報量が多く、吐水の状況が分かりやすい。

上記態様（Ｃ）として、以下が例示される。
（Ｃ１）水吐出位置（水１００％）と、湯混合吐出位置（湯１００％を含む）との間で、左右クリック感が相違する。
（Ｃ２）水吐出位置（水１００％）と、水の割合が高い湯混合吐出位置と、水の割合が低い湯混合吐出位置（湯１００％を含む）との間で、左右クリック感が相違する。
（Ｃ３）水吐出位置（水１００％）と、湯混合吐出位置（湯１００％を含まない）と、湯吐出位置（湯１００％）との間で、左右クリック感が相違する。
（Ｃ４）水吐出位置（水１００％）と、水の割合が高い湯混合吐出位置と、水の割合が低い湯混合吐出位置と、湯吐出位置（湯１００％）との間で、左右クリック感が相違する。
（Ｃ５）水吐出位置（水１００％）と、使用頻度が高い湯混合吐出位置と、使用頻度が高くない湯混合吐出位置（湯１００％を含む）との間で、左右クリック感が相違する。
（Ｃ６）水吐出位置（水１００％）と、使用頻度が高い湯混合吐出位置と、使用頻度が高くない湯混合吐出位置（湯１００％を含まない）と、湯吐出位置（湯１００％）との間で、左右クリック感が相違する。

汎用性の観点からは、例えば、（Ｃ１）、（Ｃ２）及び（Ｃ３）が採用されうる。湯の節約の観点からは、湯が使用されているか否かが分かりやすくシンプルな（Ｃ１）が好ましい。また、操作性を重視する場合、（Ｃ２）、（Ｃ３）、（Ｃ４）、（Ｃ５）及び（Ｃ６）が好ましい。これら（Ｃ２）から（Ｃ６）では、クリック感の相違により得られる情報量が多く、吐水の状況が分かりやすい。

上記（Ｃ１）に、次の（Ｃ１１）が組み合わされても良い。
（Ｃ１１）水吐出範囲と湯混合吐出位置との境界で、左右クリック感が発現する。

上記（Ｃ２）に、次の（Ｃ２１）が組み合わされても良い。
（Ｃ２１）水吐出範囲と水の割合が高い湯混合吐出範囲との境界で左右クリック感ｋｃ１が発現し、水の割合が高い湯混合吐出範囲と水の割合が低い湯混合吐出範囲との境界で左右クリック感ｋｃ２が発現する。

この（Ｃ２１）において、左右クリック感ｋｃ１と左右クリック感ｋｃ２とが相違していてもよい。

上記（Ｃ３）に、次の（Ｃ３１）が組み合わされても良い。
（Ｃ３１）水吐出範囲と湯混合吐出範囲との境界で左右クリック感ｋｃ３が発現し、湯混合吐出範囲と湯吐出範囲との境界で左右クリック感ｋｃ４が発現する。

この（Ｃ３１）において、左右クリック感ｋｃ３と左右クリック感ｋｃ４とが相違していてもよい。

上記（Ｃ４）に、次の（Ｃ４１）が組み合わされても良い。
（Ｃ４１）水吐出範囲と水の割合が高い湯混合吐出範囲の境界で左右クリック感ｋｃ５が発現し、水の割合が高い湯混合吐出範囲と水の割合が低い湯混合吐出範囲との間で左右クリック感ｋｃ６が発現し、水の割合が低い湯混合吐出範囲と湯吐出範囲との間で左右クリック感ｋｃ７が発現する。

この（Ｃ４１）において、左右クリック感ｋｃ５、左右クリック感ｋｃ６及び左右クリック感ｋｃ７から選ばれる少なくとも２つ又は３つ全てが相違していてもよい。

上記（Ｃ５）に、次の（Ｃ５１）が組み合わされても良い。
（Ｃ５１）水吐出範囲と使用頻度が高い湯混合吐出範囲との境界で左右クリック感ｋｃ８が発現し、使用頻度が高い湯混合吐出範囲と使用頻度が高くない湯混合吐出範囲との境界で左右クリック感ｋｃ９が発現する。

この（Ｃ５１）において、左右クリック感ｋｃ８と左右クリック感ｋｃ９とが相違していてもよい。

上記（Ｃ６）に、次の（Ｃ６１）が組み合わされても良い。
（Ｃ６１）水吐出範囲と使用頻度が高い湯混合吐出範囲との境界で左右クリック感ｋｃ１０が発現し、使用頻度が高い湯混合吐出範囲と使用頻度が高くない湯混合吐出範囲との境界で左右クリック感ｋｃ１１が発現し、使用頻度が高くない湯混合吐出範囲と湯吐出範囲との間で左右クリック感ｋｃ１２が発現する。

この（Ｃ６１）において、左右クリック感ｋｃ１０、左右クリック感ｋｃ１１及び左右クリック感ｋｃ１２から選ばれる少なくとも２つ又は３つ全てが相違していてもよい。

上記態様（Ａ）では、レバー周位置を複数の範囲に区分し、これらの範囲ごとに前後クリック感を相違させるのが好ましい。また、上記（Ｃ）では、レバー周位置を複数の範囲に区分し、これらの範囲ごとに左右クリック感を相違させるのが好ましい。また、上記（Ｃ１１）、（Ｃ２１）、（Ｃ３１）、（Ｃ４１）、（Ｃ５１）及び（Ｃ６１）に示されるように、区分された複数の範囲の境界で、左右クリック感を発現させてもよい。この境界における左右クリック感は、本願記載のあらゆる態様と組み合わせることが可能である。

上記態様（Ａ）及び（Ｂ）における、前後クリック感の相違として、以下が例示される。
（Ｘ１）前後クリック感の有無
（Ｘ２）前後クリック感の感覚の相違
（Ｘ３）前後クリック感の回数の相違
（Ｘ４）前後クリック感の間隔の相違
（Ｘ５）上記（Ｘ１）から（Ｘ４）から選ばれる２以上の組み合わせ

湯の節約を重視する観点からは、感覚の差が顕著な相違（Ｘ１）が好ましい。また、レバー周位置における複数の範囲を認識させたい場合、上記（Ｘ５）により、前後クリック感の相違により得られる情報を増やすのが好ましく、例えば相違（Ｘ１）と相違（Ｘ３）との組み合わせが好ましい。

前後クリック感の感覚としては、触覚による感覚（抵抗感、振動等）及び聴覚による感覚（音）が例示される。上記相違（Ｘ２）として、抵抗感の相違及び音の相違が例示される。音の相違として、音の周波数の相違が例示される。

上記相違（Ｘ２）は、例えば、凹部の深さ及び／又は凸部の高さを相違させることによって実現しうる。上記相違（Ｘ３）は、例えば、凹部及び／又は凸部の数を相違させることによって実現しうる。上記相違（Ｘ４）は、例えば、凹部及び／又は凸部の間隔を相違させることによって実現しうる。上記相違（Ｘ３）における回数とは、例えば、前後回動の全範囲における前後クリック感の発生回数（上記回数Ｎ）である。

［各部材の材質］

上記クリック部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。摺動性及び耐摩耗性の観点から、クリック部材の材質として、ＰＯＭ樹脂、ＰＡ樹脂、ＰＰＯ樹脂、ＰＰＳ樹脂及びそれらの繊維強化材が好ましい。ＰＯＭ樹脂とは、ポリアセタール樹脂である。ＰＡ樹脂とは、ポリアミド樹脂である。ＰＰＯ樹脂とは、ポリフェニレンオキシド樹脂である。ＰＰＳ樹脂とはポリフェニレンスルフィド樹脂である。上記実施形態では、繊維強化ＰＯＭ樹脂が用いられた。

上記軸体の材質としては、金属が好ましい。この金属として、ステンレス鋼等の鋼が例示される。耐久性の観点から、ばね用鋼及びばね用ステンレス鋼が好ましく、耐蝕性の観点から、ばね用ステンレス鋼がより好ましい。軸体として、市販されているスプリングピン及び並行ピンが用いられ得る。上記実施形態では、ばね用ステンレス鋼製のスプリングピンが用いられた。

上記ハウジングの材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。クリック機構が発現する際に発生する音は、心地よく且つ聞き取りやすいのが好ましい。ハウジングの材質は、この音に影響する。良好な音を得る観点、耐久性、耐錆性、及び衛生面を考慮すると、ハウジングの材質として、ステンレス合金及び繊維強化樹脂が好ましい。上記実施形態では、ガラス繊維強化ＰＰＳ樹脂が用いられた。

上記回動体の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。レバー操作時に金属同士が摺動すると、不快な音が発生する場合がある。また摺動面の材質は摩擦力を変動させるため、レバーの操作性に影響する。操作性及び不快音回避の観点から、回動体の材質としては、樹脂が好ましく、強化繊維を含まない樹脂がより好ましい。上記実施形態では、強化繊維を含まないＰＯＭ樹脂が用いられた。

上記レバー軸の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。水による腐食を抑制する観点から、ステンレス合金及び樹脂が好ましい。上記実施形態では、ステンレス合金が用いられた。

上記カム機構に用いられている上記軸体の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。水による腐食を抑制する観点から、ステンレス合金及び樹脂が好ましい。上記実施形態では、ステンレス合金が用いられた。

上記可動弁体の上側部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。レバー操作時に金属同士が摺動すると、不快な音が発生する場合がある。不快音回避の観点から、上側部材の材質としては、樹脂が好ましい。また、この上側部材を樹脂とすることで、可動弁体全体としての製造コストが抑制される。上記実施形態では、強化繊維を含まないＰＯＭ樹脂が用いられた。

上記可動弁体の下側部材の材質として、樹脂（繊維強化樹脂を含む）、金属及びセラミックが例示される。固定弁体との摺動における耐摩耗性の観点から、セラミックが好ましい。このセラミックは、水に対する腐食性、強度及び耐久性の観点からも好ましい。上記実施形態では、セラミックが用いられた。

上記固定弁体の材質として、樹脂（繊維強化樹脂を含む）、金属及びセラミックが例示される。可動弁体（下側部材）との摺動における耐摩耗性の観点から、セラミックが好ましい。このセラミックは、水に対する腐食性、強度及び耐久性の観点からも好ましい。上記実施形態では、セラミックが用いられた。

上記パッキン及び上記Ｏリングの材質として、樹脂及びゴム材（加硫ゴム）が例示される。伸縮性により、組立性を向上し、製造誤差（寸法誤差等）が緩和されうる。これらの観点から、ゴム材が好ましい。上記実施形態では、ゴム材が用いられた。

上記ベース体の材質として、樹脂（繊維強化樹脂を含む）及び金属が例示される。不快音回避及び強度の観点から、繊維強化樹脂が好ましく、ガラス繊維強化樹脂がより好ましい。上記実施形態では、ガラス繊維強化ＰＰＳ樹脂が用いられた。

図１９は、他の実施形態に係るバルブ組立体４００の斜視図である。バルブ組立体４００は、バルブ本体ｖ１０とクリック部材ｃ１０とを有する。

バルブ本体ｖ１は、ハウジング４２、回動体４４、レバー４６０、レバー軸４８、可動弁体５２、固定弁体５４、パッキン６０及びベース体６２を有する。ハウジング４２は、上述したバルブ組立体４０のハウジングと同じである。図１９では図示されていないが、回動体４４、レバー軸４８、可動弁体５２、固定弁体５４、パッキン６０及びベース体６２は、上述したバルブ組立体４０のこれらと同じである。

レバー４６０は、前述したレバー４６とは相違する。このレバー４６０は、軸体５００を有している。この軸体５００は、前述した軸体５０と同じ機能を奏する。

クリック部材ｃ１０は、前述したクリック部材ｃ１とは相違する。このクリック部材ｃ１０は、上記レバー４６０の軸体５００と係合しうる長孔形成部ｃ１２を有する。この長孔形成部ｃ１２に、長孔ｃ１４が形成されている。この長孔ｃ１４は、前述した長孔１４６と同じ機能を奏する。

本実施形態では、軸体５００と長孔ｃ１４との係合により、カム機構が構成されている。このカム機構の原理は、前述したバルブ組立体４０のそれと同じである。このように、カム機構の軸体は、レバー４６０と一体化されてもよい。

本願には、請求項（独立形式請求項を含む）に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成及びそれらの組み合わせは、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。

上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。

本発明は、あらゆる用途の湯水混合栓に適用されうる。

１０・・・湯水混合栓
１２・・・混合栓本体
１４・・・ハンドル
１６・・・吐出部
１８・・・湯導入管
２０・・・水導入管
２２・・・吐出管
４０・・・バルブ組立体
４２・・・ハウジング
４４・・・回動体
４６・・・レバー
４８・・・レバー軸
５０・・・軸体
５２・・・可動弁体
５４・・・固定弁体
６０・・・パッキン
６２・・・ベース体
１１０・・・柱部
１３８・・・クリック部材の内周面部（第二規制面）
１４０・・・受け孔
１４２・・・受け溝
１４４・・・バルブ本体の外周面部（第一規制面）
１４６・・・長孔
ｖ１・・・バルブ本体
ｙ１・・・バルブユニット
ｃ１・・・クリック部材
ｓｋ１・・・左右クリック用第一係合部
ｓｋ２・・・左右クリック用第二係合部
ｚｋ１・・・前後クリック用第一係合部
ｚｋ２・・・前後クリック用第二係合部

Claims (6)

1. 吐水温度及び吐出量を調節しうるバルブユニットを有するバルブ本体と、
   上記バルブユニットを動作させて上記調節を達成しうるレバーと、
   上記バルブ本体と当接し、上記レバーの前後回動に連動して、上記バルブ本体に対して上下方向に相対移動しうるクリック部材とを備えており、
   上記バルブ本体がハウジングを有しており、
   上記ハウジングが外周面部を有しており、この外周面部が、前後クリック用第一係合部を有しており、
   上記クリック部材が内周面部を有しており、この内周面部が、前後クリック用第二係合部を有しており、
   上記相対移動における少なくとも一部の領域で、上記前後クリック用第一係合部と上記前後クリック用第二係合部との係合が生じ、この係合により、前後クリック感が生じ、
   上記ハウジングが、上下方向に延在する第一規制面を有しており、
   上記クリック部材が、上下方向に延在する第二規制面を有しており、
   上記レバーの上記前後回動の際に、上記第一規制面と上記第二規制面とが摺動し、これら第一規制面及び第二規制面が、上記上下方向以外の方向における上記クリック部材の移動を規制しており、
   上記レバー又は上記クリック部材の一方に軸体が設けられており、
   上記レバー又は上記クリック部材の他方に長孔が設けられており、
   上記レバーの上記前後回動に連動して、上記軸体が上記長孔内を移動し、この移動により、上記クリック部材の上下方向における上記相対移動が許容されている湯水混合栓。
2. 上記外周面部が上記第一規制面を有しており、
   上記内周面部が上記第二規制面を有している請求項１に記載の湯水混合栓。
3. 上記バルブ本体が、上記レバーの左右回動に連動して回動する回動体を更に有しており、
   上記回動体又は上記クリック部材の一方が、上下方向に延びるガイド用突起を有しており、
   上記回動体又は上記クリック部材の他方が、上下方向に延びるガイド用受け部を有しており、
   上記ガイド用受け部に上記ガイド用突起が挿入されている請求項１又は２に記載の湯水混合栓。
4. 上記クリック部材が、上記レバーの左右回動に連動して上記バルブ本体に対して相対回転するように構成されており、
   上記バルブ本体の上記外周面部が、左右クリック用第一係合部を有しており、
   上記クリック部材の上記内周面部が、左右クリック用第二係合部を有しており、
   上記相対回転における少なくとも一部の領域で、上記左右クリック用第一係合部と上記左右クリック用第二係合部との係合が生じ、この係合により、左右クリック感が生じる請求項１から３のいずれかに記載の湯水混合栓。
5. 上記上下方向が鉛直方向である請求項１から４のいずれかに記載の湯水混合栓。
6. 請求項１から５のいずれかに記載の湯水混合栓を備える水栓器具。

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