以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の例では、被めっき体としての基板の表面に銅めっきを行うようにした例を示す。下記の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態のめっき装置を示す縦断正面図である。図1に示すように、めっき装置は、内部にめっき液Qを保持するめっき槽10を有し、めっき槽10の上方外周には、めっき槽10の縁から溢れ出ためっき液Qを受け止めるオーバーフロー槽12が備えられている。オーバーフロー槽12の底部には、ポンプ14を備えためっき液供給路16の一端が接続され、めっき液供給路16の他端は、めっき槽10の底部に設けられためっき液供給口18に接続されている。これにより、オーバーフロー槽12内に溜まっためっき液Qは、ポンプ14の駆動に伴ってめっき槽10内に還流される。めっき液供給路16には、ポンプ14の下流側に位置して、めっき液Qの温度を調節する恒温ユニット20と、めっき液内の異物をフィルタリングして除去するフィルタ22が介装されている。
めっき装置には、基板(被めっき体)Wを着脱自在に保持して、基板Wを鉛直状態でめっき槽10内のめっき液Qに浸漬させる基板ホルダ24が備えられている。めっき槽10内の基板ホルダ24で保持してめっき液Q中に浸漬させた基板Wに対向する位置には、アノード26がアノードホルダ28に保持されてめっき液Q中に浸漬されて配置されている。アノード26として、この例では、含リン銅が使用されている。基板Wとアノード26は、めっき電源30を介して電気的に接続され、基板Wとアノード26との間に電流を流すことにより基板Wの表面にめっき膜(銅膜)が形成される。
基板ホルダ24で保持してめっき液Q中に浸漬させて配置した基板Wとアノード26との間には、基板Wの表面と平行に往復運動してめっき液Qを攪拌するパドル32が配置されている。このように、めっき液Qをパドル32で攪拌することで、十分な銅イオンを基板Wの表面に均一に供給することができる。パドル32と基板Wとの距離は、好ましくは5mm〜11mmである。更に、パドル32とアノード26との間には、基板Wの全面に亘る電位分布をより均一にするための誘電体からなる調整板(レギュレーションプレート)34が配置されている。
パドル32は、図2及び図3に示すように、板厚tが3mm〜5mmの一定の厚みを有する矩形板状部材で構成され、内部に複数の長穴32aを平行に設けることで、鉛直方向に延びる複数の格子部32bを有するように構成されている。パドル32の材質は、例えばチタンにテフロン(登録商標)コートを施したものである。パドル32の垂直方向の長さL1及び長穴32aの長さ方向の寸法L2は、基板Wの垂直方向の寸法よりも十分に大きくなるように設定されている。また、パドル32の横方向の長さHは、パドル32の往復運動の振幅(ストロークSt)と合わせた長さが基板Wの横方向の寸法よりも十分に大きくなるように設定されている。
長穴32aの幅及び数は、長穴32aと長穴32aの間の格子部32bが効率良くめっき液を攪拌し、長穴32aをめっき液が効率良く通り抜けるように、格子部32bが必要な剛性を有する範囲で格子部32bが可能な限り細くなるように決めることが好ましい。また、パドル32の往復運動の両端付近でパドル32の移動速度が遅くなる、あるいは瞬間的な停止をする際に、基板W上に電場の影(電場の影響が及ばない、もしくは電場の影響が少ない箇所)を形成する影響を少なくするためにも、パドル32の格子部32bを細くすることは重要である。
この例では、図3に示すように、各格子部32bの横断面が長方形になるように長穴32aを垂直に開けている。図4(a)に示すように、格子部32bの横断面の四隅に面取りを施してもよく、また図4(b)に示すように、格子部32bの横断面が平行四辺形になるように格子部32bに角度を付けても良い。
パドル32の厚さ(板厚)tは、基板Wに調整板34を近づけることができるように、3mm〜5mmとすることが好ましく、この例では4mmに設定されている。パドル32の厚さ(板厚)tを1mmまたは2mmにすると、十分な強度を有しないことが確かめられている。また、パドル32の厚さを均一にすることで、めっき液の液はねやめっき液の大幅な液ゆれを防ぐことができる。
図5は、パドル32の駆動機構をめっき槽10と共に示す。パドル32は、パドル32の上端に固着したクランプ36によって、水平方向に延びるシャフト38に固定され、シャフト38は、シャフト保持部40に保持されつつ左右に摺動できるようになっている。シャフト38の端部は、パドル32を左右に直進往復運動させるパドル駆動部42に連結され、パドル駆動部42は、モータ44の回転をクランク機構(図示せず)によりシャフト38の直進往復運動に変換する。この例では、パドル駆動部42のモータ44の回転速度を制御することにより、パドル32の移動速度を制御する制御部46が備えられている。なお、パドル駆動部の機構は、クランク機構だけでなく、ボールねじによりサーボモータの回転をシャフトの直進往復運動に変換するようにしたものや、リニアモータによってシャフトを直進往復運動させるようにしたものでも良い。
この例では、図8に示すように、パドル32がストロークSt移動した左右のストロークエンドにおいて、パドル32の格子部32bの位置が互いに重ならないようにしている。これにより、パドル32が基板W上に電場の影を形成する影響を少なくできる。
図6は、パドル32の駆動機構の変形例を示す図である。図6に示す駆動機構が図5と異なる点は、パドル32をシャフト38に固定せず、パドル32がシャフト38に対してその軸方向に移動可能となっている点である。
図6に示すように、シャフト38には、パドル支持部材360が取り付けられている。シャフト38はパドル支持部材360を貫通して延びており、パドル支持部材360は、シャフト38に対してその軸方向に移動可能(摺動自在)となっている。パドル32はパドル支持部材360に固定されており、パドル32とパドル支持部材360は一体に移動可能となっている。パドル支持部材360を挟むように一対のフランジ370,370がシャフト38に固定されている。パドル支持部材360と一方のフランジ370との間、およびパドル支持部材360と他方のフランジ370との間には、弾性部材390,390がそれぞれ配置されている。このような配置により、パドル支持部材360は、弾性部材390,390によってシャフト38の軸方向に弾性的に支持される。弾性部材390としてはスプリングを用いることができる。
シャフト保持部40はめっき槽10に固定されているのに対し、フランジ370,370はシャフト38と共に直進往復運動する。各弾性部材390の端部は、パドル支持部材360および/またはフランジ370に固定されていてもよく、または固定されていなくてもよい。パドル32およびパドル支持部材360は、直進往復運動するフランジ370から弾性部材390を介して力を受けて水平方向に直進往復運動する。パドル32が往復運動すると、パドル32の慣性により弾性部材390が圧縮される。
図5に示した例では、パドル32の往復運動の折り返し点が常に同じ位置となり、折り返し点でのパドル32の格子部32b(図4(a)および図4(b)参照)が空間を占める割合が他の位置に比べて高まる。このため、パドル32の折り返し点における格子部32bが電場を遮って基板上に影を作り、めっきの面内均一性に影響を与える可能性がある。すなわち、パドル32の折り返し点において、格子部32bが局所的に電場を遮り、この格子部32bに対向する基板表面の膜厚が薄くなる。このパドル32がめっきの面内均一性に影響を与える度合いは、高電流密度条件になるとより顕著である。
それに対して図6に示した例では、弾性部材390,390の弾性力とめっき液Qの抵抗はパドル32に複雑に作用し、その結果、パドル32の往復運動の折り返し点は常に同じ位置とはならず、わずかに変動する。このようなパドル32のストロークの変動によって、パドル32の折り返し点での電場の遮蔽の影響を緩和することができる。弾性部材390の弾性係数および大きさは適宜選択される。弾性部材390をスプリングではなく空気袋とし、さらに空気袋の内圧を変化させるようにしてもよい。シャフト38自身が弾性的に伸縮するものを用いても良い。以上の構成により、シャフト38を単に往復運動させる単純なパドル駆動部42を用いながら、パドル32のストロークを複雑に変動させることができる。図6の例においては、シャフト38およびパドル支持部材360はパドル支持機構396を構成し、フランジ370および弾性部材390はストローク変動機構392を構成する。
図6に記載のパドル32の駆動機構において、シャフト38を丸棒形状とし、パドル支持部材360として円形ベアリングを使用した場合には、パドル32を鉛直姿勢に維持することができず、パドル32はめっき液Qの抵抗を受けて鉛直方向に対して傾いてしまうことがある。そこで、図7(a)に示すように、シャフト38の断面形状を矩形状とし、パドル支持部材360はシャフト38が貫通する矩形断面の貫通孔を有することが好ましい。また、図7(b)に示すように、シャフト38の断面形状を円形状とし、パドル支持部材360の前側および裏側に振れ止め部材400を配置してもよい。振れ止め部材400をパドル支持部材360に近接して配置することにより、パドル32を鉛直方向に維持することができる。
ここで、この例にあっては、パドル32を、絶対値の平均が70〜100cm/secとなるよう、従来よりも高速で往復運動させるようにしている。これは、発明者らが、電流密度を従来の5ASD(A/dm2)に比べて高い8ASDにした場合に、パドルによる攪拌を従来よりも高速度で行うことにより、平坦な先端形状のバンプを形成することができることを実験により確かめた事実に基づく。つまり、平坦な先端形状のバンプを形成できるパドル攪拌移動速度の絶対値の平均は、70〜100cm/secである。この例においては、モータ44の回転運動をクランク機構によりパドル32の直進往復運動に変換しており、モータ44が1回転すると、パドル32は10cmの振幅(ストロークSt)で1往復する。この例では、モータ44を250rpmで回転させた場合に最も良好なバンプを形成できたため、パドル32の最適な攪拌移動速度の絶対値の平均は83cm/secである。
図1に示す調整板34の外形図を図9に示す。調整板34は、筒状部50と矩形状のフランジ部52からなり、材質として、誘電体である塩化ビニールを用いている。調整板34は、筒状部50の先端が基板側、フランジ部52がアノード側になるように、めっき槽10内に設置される。筒状部50は、電場の拡がりを十分制限できるような開口の大きさ、及び軸心に沿った長さを有している。この例において、筒状部50の軸心に沿った長さは20mmである。フランジ部52は、アノード26と基板Wとの間に形成される電場を遮蔽するように、めっき槽10内に設置される。図1において、調整板34の筒状部50と基板Wとの距離は、8mm〜25mmであることが好ましく、12mm〜18mmであることが更に好ましい。
なお、この例では、図9に示すように、調整板34として、筒状部50の端部にフランジ部52を取付けたものを使用しているが、図10に示すように、アノード側にも筒状部50を延伸させて、筒状部50の一部50aがアノード側に突出するようにしてもよい。
図1に示すように、基板Wは、基板ホルダ24によって保持される。基板ホルダ24は、例えば銅スパッタ膜などの下地導通膜付きの基板Wに該基板Wの周辺部から給電を与えるように構成されている。基板ホルダ24の導通接点は、多接点構造であり、接触幅の合計が、接点をとることが可能な基板上の周長に対して60%以上になるようにしている。また、接点は、各々の接点間が等距離に配列され等分配されている。
この例においては、パドル32を、例えば絶対値の平均が70〜100cm/secとなるように、高速で移動させるため、めっき液の流動により、基板ホルダ24が後ろ向きの圧力を受け、基板ホルダ24が揺れたり、基板ホルダ24が本来の角度よりも傾いた状態になるという問題が新たに生じる。基板ホルダ24が揺れたり傾いたりすると、電位の分布が均一でなくなり、めっき膜の均一性に影響が出てしまう。
基板ホルダ24は、図11に示すように、めっき槽10内に設置される際に、図示しないトランスポータにより、ホルダ把持部60を把持されて上方から吊るされ、めっき槽10に固定されたホルダ支持部62に、外方に突出するホルダアーム64が引っ掛けられて吊下げ保持される。
図12は、ホルダアーム64の周辺拡大図、図13は、ホルダアーム64とホルダ支持部62が接触した状態を示す断面図、図14は、図13の右側面図である。図12乃至図14に示すように、ホルダアーム64のホルダ支持部62に対向する面には、アーム側接点66が設けられており、このアーム側接点66は、図示しない電気配線によって、基板Wに給電するカソード接点と電気的につながっている。またホルダ支持部62のホルダアーム64と対向する面には、支持部側接点68が設けられており、この支持部側接点68は、図示しない外部電源と電気的につながっている。そして、基板ホルダ24をめっき槽10に吊下げ支持した時に、アーム側接点66と支持部側接点68が接触して接点が閉じることにより、外部電源とカソード接点が電気的に導通され、カソード接点にカソード電圧を印加することができる。通常、アーム側接点66と支持部側接点68は、左右のホルダアーム64と左右のホルダ支持部62のどちらか一方に設置される。
ホルダアーム64のホルダ支持部62に対向する面には、固定手段としてアーム側磁石70が設けられ、ホルダ支持部62のホルダアーム64と対向する面にも、固定手段としての支持部側磁石72が設けられている。磁石70,72としては、例えばネオジム磁石が用いられる。これにより、基板ホルダ24をめっき槽10に吊下げ支持した時に、アーム側磁石70と支持部側磁石72が互いに接触して引き合うことにより、ホルダ支持部62とホルダアーム64を介して、基板ホルダ24がより強固にめっき槽10に固定され、めっき液の流動により基板ホルダ24が揺れたり傾いたりすることを防ぐことができる。通常アーム側磁石70と支持部側磁石72はホルダアーム64とホルダ支持部62の左右両方に設置される。
なお、基板ホルダ24のめっき槽10に対する位置は、トランスポータの搬送によって決められるが、図15に示すように、ホルダ支持部62にチャンネル状で角部にテーパを有する開口部62aを設け、この開口部62aで基板ホルダ24のホルダアーム64をガイドするようにしても良い。このように、ホルダ支持部62に開口部(ガイド)62aを設けて基板ホルダ32のめっき槽10に対する位置決めしても、基板ホルダ24の位置決めや搬送のために、若干の寸法的“遊び”が必要である。その“遊び”の範囲内で、基板ホルダ24が揺れたり傾いたりすると、アーム側接点66と支持部側接点68の接触が離れたり断続的になる危険性があるが、接点66,68の近傍で、磁石70,72により、基板ホルダ24をめっき槽10に強固に支持することにより、アーム側接点66と支持部側接点68の接触を確実にすることができる。また接点66,68間の擦れによる接点66,68の磨耗も抑制することができ、接点66,68の耐久性が向上する。
アーム側磁石70と支持部側磁石72は、片方が磁石ではなく磁性体材料であっても良い。また、磁石の表面を磁性材料でカバーして接触による損傷を防ぐようにしてもよい。更に、磁石の周囲を、磁石の表面が露出するように磁性材料で囲み、磁性材料の一部が磁石の表面よりも突出するようにして、磁力を強めるようにしても良い。
図1に示すように、めっき槽10の底部には、分離板80と遮蔽板82が設置されている。めっき槽10の底に設けられためっき液供給口18から供給されためっき液Qが、基板Wの全面に均一な流れとなるように、めっき槽10の底には、めっき液が分散するように空間が設けられ、この空間に、内部に多数のめっき液通孔を有する分離板80が水平に配置され、これによって、めっき槽10の内部は、上方の基板処理室84と下方のめっき液分散室86に区画されている。
図16に分離板80の平面図を示す。分離板80はめっき槽10の内側の形状とほぼ同じ形状で、全面に複数の小孔からなるめっき液通孔80aが設けられている。分離板80でめっき槽10を基板処理室84とめっき液分散室86に分け、分離板80にめっき液が流通する複数のめっき液通孔80aを設けることによって、めっき液Qが基板Wに向かって均一な流れを形成するようにしている。分離板80に設けた複数のめっき液通孔80aは、径が大きいと、電場がアノード26からめっき液分散室86を通って基板W側に漏れ、基板Wに形成するめっき膜の均一性に影響を与えるため、この例では、めっき液通孔80aの径をΦ2.5mmとしている。
この例では、分離板80の全面にめっき液通孔80aを設けているが、分離板80の全面にめっき液通孔80aを設ける必要はなく、例えば図17に示すように、調整板34の配置位置Aを境に、基板側のみにめっき液通孔80aを分布させて設け、アノード26の配置位置Bを境に、反基板側(アノードの後方)のみにめっき液通孔80aを設けても良い。図17に示す分離板80を採用することにより、電場がアノード26からめっき液分散室86を通って基板W側に漏れるのをより効果的に防ぐとともに、アノード26の後方にもめっき液通孔80aを設けることで、特にめっき液Qをめっき槽10から排出した場合の液抜きを確実に行うことができる。
分離板80は、図18に示すように、めっき槽10の側板10aに設けた分離板支持部90の上に重ねるように水平に設置されるが、分離板80と分離板支持部90の間にパッキン92を設けることで、分離板80を分離板支持部90に密着させて設置することができる。
分離板80を設けても、電場がアノード26からめっき液分散室86を通って基板W側に漏れ、基板W上に形成されるめっき膜の均一性に影響を与えることがある。そのため、この例では、分離板80の下面に鉛直方向下方に延出する遮蔽板82を取付けている。このように、遮蔽板82を設けることで、電場がアノード26からめっき液分散室86を通って基板W側に漏れるのをより効果的に防ぐとともに、めっき液Qがめっき槽10内のめっき液分散室86で分散して、めっき槽10内の基板処理室84への均一な流れが確保できるようになっている。すなわち、図19に示すように、遮蔽板82は、めっき液供給口18の直上方に位置して、めっき槽10の底との間に隙間Sが生じるように、分離板80の下面に取付けられる。電場の漏れを防ぐため、この隙間Sは、極力小さいことが好ましい。
なお、図20に示すように、遮蔽板82をめっき槽10の底に接触させ、遮蔽板82に半円状の開口部82aを設けて、めっき液の流路を確保するようにしてもよい。この例にあっても、電場の漏れを防ぐため、開口部82aは、極力小さいことが好ましい。遮蔽板82は、分離板80のめっき液通孔80aが存在しない下面、例えば分離板80の調整板34のフランジ部52の直下に対応する下面に配置される。
なお、この例では、遮蔽板82をめっき液供給口18の直上に設置しているが、必ずしもめっき液供給口18の直上にある必要はなく、また遮蔽板82が複数枚あっても良い。
図1に示すめっき装置において、めっき槽10内の基板W、アノード26、調整板34、パドル32の位置関係は、基板Wに形成されるめっき膜の均一性に影響を与える。この例では、基板Wの中心、アノード26の中心、及び調整板34の筒状部50の軸心がほぼ一直線に並ぶように基板W、アノード26及び調整板34が配置されている。アノード26と基板Wの極間距離は、この例では90mmであるが、アノード26は、極間距離60〜95mmの範囲で設置できる。調整板34の筒状部50の基板W側先端と基板Wとの距離は、この例では15mmであり、筒状部50の長さが20mmであるため、調整板34のフランジ部52と基板Wとの間の距離は35mmである。
調整板34のフランジ部52のアノード側下端には、分離板80とフランジ部52の隙間から電場が漏れるのを防ぐため、図21に示すように、例えばゴムシートからなり、下端が分離板80と弾性的に接触する電場遮蔽部材94が設置されている。これにより、分離板80とフランジ部52の隙間から電場が漏れるのを防ぐことができる。なお、フランジ部52の下端面を分離板80の上面に密着させることで、フランジ部52自身が電場遮蔽部材を兼ねるようにしてもよい。
調整板34を基板Wとの距離が調整可能なように取付けるようにしてもよい。つまり、図22に示すように、めっき槽10の側板10aに、所定のピッチで垂直方向に延びる複数のスリット部96aを有する調整板固定用スリット板96を設けて、調整板34のフランジ部52の側端部を調整板固定用スリット板96の任意のスリット部96aに挿入するようにしてもよい。この場合、調整板固定用スリット板96を、長穴96bと固定用ねじ98によって、めっき槽側板10aに取付けるようにすることで、めっき装置で処理する基板の種類に応じて、調整板34の基板Wとの距離を最適な位置に微調整することができる。
また、フランジ部52の調整板固定用スリット板96近傍に、ゴムシールからなる電場遮蔽部材100を設けることが好ましく、これによって、電場がフランジ部52の外周の隙間を通ってアノード26から基板Wに向けて形成されるのを防ぐことができる。なお、この電場遮蔽部材100は、調整板固定用スリット板96のアノード側のみに設けるようにしてもよい。
本発明のめっき装置において、基板上に形成するバンプの代表的な寸法は、バンプ径が150μmであり、目標めっき膜厚は、110μmである。このようなバンプを形成するため、めっき液として、硫酸銅濃度が150g/L以上のめっき液を使用することが望ましい。めっき液としては、例えば、下記の示すような組成のベース液に、有機添加剤のポリマー成分(抑制剤)、キャリアー成分(促進剤)、レベラー成分(抑制剤)を含有するものが挙げられる。
ベース液の組成
硫酸銅五水塩(CuSO4・5H2O):200g/L
硫酸(H2SO4) :100g/L
塩素(Cl) :60mg/L
従来の一般的なバンプ形成のためのめっきにおける電流密度は3〜5ASDであるが、本発明の実施形態のめっきにおける電流密度は、例えば8ASDである。ただし本発明の実施形態におけるめっき装置及びめっき方法は、14ASDまで適用可能である。以下の例における電流密度の条件は、断らない限り8ASDである。
次に、バンプ形成における銅めっき処理工程を図23に示す。先ず、基板を純水に浸漬させて、例えば10分間の前水洗を行い、次に基板を5容積%(vol.%)の硫酸に浸漬させて、例えば1分間の前処理を行う。基板を純水で洗浄する水洗を、例えば30秒に亘って2回行う。そして、例えば、基板をめっき液に浸漬させた後、1分間は無通電状態を保持し、その後通電して、基板に対する銅めっき処理を行う。次に、基板を純水で水洗し、しかる後、例えば窒素ブローにより基板を乾燥させる。めっき処理工程後は、専用のレジスト剥離液でレジストを剥離し、しかる後、水洗、乾燥処理を行う。
図24及び図25は、パドルによるめっき液の攪拌の速度を変えた場合にめっきで形成されるバンプの形状の差を示す。電流密度は8ASDである。図24は、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均が従来の一般的な速度である20cm/secでめっきを行った場合、図25は、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を約83cm/secとしてめっきを行った場合を示している。図24に示すように、高電流密度が8ASDと高い場合に、従来の一般的な低いパドル攪拌移動速度で形成されたバンプにあっては、その先端の凸部の高さh1は30umであるが、図25に示すように、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を約83cm/secとするような高速のパドル攪拌移動速度で形成されたバンプにあっては、その先端の凸部の高さh2が15umに抑えられていることが判る。
図26乃至図30は、基本的に、図1に示すめっき装置を使用し、パドル及びパドル攪拌移動速度を変えた条件で、基板(ウェハ)の表面にバンプを形成した時におけるバンプの顕微鏡写真を示す。図26は、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を40cm/secに設定し、厚さ2mmのパドルを使用してめっきを行った場合であり、基板全面に形成されたバンプに欠陥が認められる。図27は、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を40cm/secに設定し、厚さ4mmのパドルを使用してめっきを行った場合で、基板全面のバンプに欠陥があり、バンプの形状がいびつになっている。この図26及び図27から、パドル厚さを厚くしただけでは不十分であることが分かる。
図28は、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を67cm/secに設定し、厚さ4mmのパドルを使用してめっきを行った場合で、基板全面に形成されたバンプに欠陥が認められる。図29は、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を83cm/secに設定し、厚さ4mmのパドルを使用してめっきを行った場合で、基板全面に欠陥のない良好なバンプが形成されていることが判る。これは、パドル攪拌移動速度が低い場合、高電流密度においては、銅イオンの供給が追いつかず、バンプの欠陥となり、パドル攪拌移動速度が速いと、銅イオンが十分に供給され、欠陥のないバンプを形成できると考えられる。なお、同じく高電流密度の条件で、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を83cm/secに設定し、厚み3mmのパドルを使用してめっきを行った場合、図30に示すように、基板全面においてバンプに欠陥は認められないが、パドルの厚みが4mmの場合に比べてバンプの角が丸くなっていることが分かる。
図31及び図32は、めっき槽の分離板の下に遮蔽板を設置しないめっき槽を使用してめっきを行った場合(図31)と、めっき槽の分離板の下に遮蔽板を設置しためっき槽を使用してめっきを行った場合(図32)における、基板上に形成されるバンプ高さの分布示す。凡例の数値の単位は(μm)である。図31に示すように、遮蔽板がない場合は、基板のめっき槽底方向の基板エッジ近傍においてめっき膜厚が中心部に比べて厚くなっているが、図32に示すように、遮蔽板を入れることにより、めっき槽底方向の基板エッジ近傍においてめっき膜厚が中心部と同程度に抑えられていることが判る。
図33及び図34は、パドル攪拌移動速度と、調整板の形状および調整板と基板の距離の双方を変えた場合に、基板上に形成されたバンプの高さの面内均一性を示すグラフである。図33及び図34において、図35に示すように、平面上で互いに直交する軸をX軸、Y軸としている。図33は、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を20cm/secに設定し、筒状部のない、厚さ5mmの平板で、中央部に1つの開口を有する調整板を用い、基板との距離を35mmとしてめっきを行った場合であり、バンプ(めっき膜)の高さは、W型の傾向になっていることが判る。図34は、パドル攪拌移動速度の絶対値の平均を83cm/secに設定し、図9に示す調整板を使用し、基板と筒状部の先端との距離を15mmとしてめっきを行った場合である。この場合、バンプ(めっき膜)の高さは、図33に比べ平坦になっており、面内の均一性が改善されていることが分かる。
図36は、本発明の他の実施形態のめっき装置を示す。この例のめっき装置は、遮蔽板82として、分離板80の下面から下方に垂直に延びて下端面がめっき槽10の底壁に達するものが使用され、これによって、分離板80の下方に形成されるめっき液分離室86は、遮蔽板82によって、アノード側液分散室110とカソード側液分散室112に完全に分離されている。この遮蔽板82の下端面は、例えば溶接等によって、めっき槽10の底壁に固着されている。
めっき液供給路16には、恒温ユニット20とフィルタ22との間に位置して、元バルブ114及び流量計116が設置されている。めっき液供給路16は、フィルタ22の下流側で2つの分岐経路16a,16bに分岐し、この各分岐経路16a,16bは、アノード側液分離室110及びカソード側液分離室112にそれぞれ接続されている。各分岐経路16a,16bには、バルブ118a,118bがそれぞれ設置されている。
このように、めっき液分離室86を遮蔽板82によってアノード側液分散室110とカソード側液分散室112に完全に分離することで、アノード26から発生した電位線がめっき液分離室86内のめっき液を通してカソード(基板)側へ漏れることを確実に防止し、しかもめっき液供給路16を通して、アノード側液分散室110とカソード側液分散室112にめっき液を個別に供給することができる。
図37及び図38は、パドル32の他の駆動機構をめっき槽10と共に示す。この例において、パドル32は、その上端部において、パドル押え120に取付けられている。パドル駆動部42から延びるシャフト38は、シャフト支持部40でそれぞれ支持される左右の端部シャフト38a,38bと、この端部シャフト38a,38bの間に位置する中間シャフト38cの3つの分割され、この中間シャフト38cがパドル押え120の内部を挿通して両端で外部に露出している。そして、中間シャフト38cの一端と端部シャフト38a、及び中間シャフト38cの他端と端部シャフト38bは、カップリング122a,122bでそれぞれ接続されている。この例では、カップリング122a、122bとして、ねじ式カップリングを使用しているが、例えばいわゆるクイックカップリング等、任意のカップリングを使用しても良い。
これにより、例えばパドル32を交換する必要が生じた時に、シャフト保持部40をめっき装置から取外すことなく、カップリング122a,122bを介して、パドル32、パドル押え120及び中間シャフト38cを一式でめっき装置から取外ことができ、これによって、パドル32の交換を容易かつ迅速に行うことができる。しかも、パドル32をめっき装置に再度取付ける時にも、所定の位置に再現性よく取付けることができる。更に、調整板34をめっき装置から取外す際も、パドル32を一旦めっき装置から取外すことで、この調整板34の取外し及び再度取付け操作を容易に行うことができる。
図39は、調整板移動機構を備えた他の調整板と他のめっき槽を示す。この例のめっき槽10は、内槽130と該内槽130の周囲を包囲する外槽132とを有している。調整板134は、筒状部136を有する矩形平板状の本体部138の上部に該本体部138より幅広の把持部140を一体に連接して構成されている。この例では、把持部140を介して、調整板移動機構142で調整板134の基板Wと平行な左右(水平)方向の位置決めを行う。
調整板移動機構142は、めっき槽10の上端開口部に跨って設置される調整板支持部144と、この調整板支持部144の外周端部に立設した一対のブラケット146と、この各ブラケット146に設けた雌ねじに螺合して水平方向に移動する左右押付けボルト148と、各ブラケット146に設けたばか穴を貫通して水平に延びる左右固定ボルト150を有している。左右押付けボルト148及び左右固定ボルト150は、調整板支持部144に調整板134の把持部140を載置して調整板134を所定位置に設置した時に、把持部140の外周端面に対向する位置に配置される。そして、把持部140の外周端面の左右固定ボルト150と対向する位置には該左右固定ボルト150と螺合する雌ねじが形成され、左右押付けボルト148は、把持部140の外周端面に当接し該左右押付けボルト148の締付けに伴って調整板134を内方に押付けるようになっている。
これにより、調整板支持部142に調整板134の把持部140を載置して調整板134を所定位置に設置した後、左右押付けボルト148を用いて、調整板134の基板Wと平行な左右方向の調整を行い、左右固定ボルト150で調整板134を固定することができる。左右押付けボルト148及び左右固定ボルト150を用いて調整板134を位置決めする位置は、把持部140でなくてもよく、調整板134の他の部分でも良い。なお、所定のピッチを有する左右押付けボルト148の回転数を管理することで、調整板134の左右(水平)方向の移動量を容易に調整することができる。左右固定ボルト150は、左右押付けボルト148が把持部140の外周端面に当接せずに調整板134を押付けていない状態で、使えば引きボルトとして作用する。
調整板134を基板Wと平行な左右方向に移動させるため、調整板134の本体部138の外周端面とめっき槽10の内槽130の内周面との間に隙間が設けられている。この例では、内槽130の調整板134の本体部138の外周端面と対向する位置に、内方に開放したチャンネル状の凹部152aを有する案内部152を設け、この案内部152の凹部152a内に調整板134の本体部138の外周端部を差し込むようにしている。これにより、調整板134と基板Wとの距離を一定にした状態で、案内部152を案内として、調整板134を基板Wと平行に左右(水平)方向に移動させることができる。しかも、案内部152の凹部152a内に調整板134の本体部138の外周端部を差し込むことで、調整板134の外周から電場が漏れるのを防ぐことができる。
案内部152の凹部152aの底部と調整板134の本体部138の外周端面との間には、図40に示すように、移動隙間t1が設けられている。この移動隙間t1は、例えば1〜5mmで、好ましくは1〜2mmである。施工の都合上、案内部152と内槽130の内周面との間には、一般に隙間t2が存在する。この例では、この隙間t2から電位線が漏れることを防ぐ為、シール押え154及び固定ボルト156を用いて、例えばゴムシールからなる電場遮蔽部材158を該電場遮蔽部材158の自由端を内槽130の内周面に圧接させて案内部152に固定している。この例では、電場遮蔽部材158を案内部152のアノード側に設置しているが、案内部152のカソード(基板)側に設置しても良く、また案内部152の両側に設置しても良い。
なお、上記の例では、調整板移動機構142によって、調整板134を基板Wと並行に左右方向に移動させるようにしているが、調整板134を基板Wと並行に左右及び上下(鉛直)方向に移動させるようにしてよい。図41は、調整板134を基板Wと並行に左右及び上下方向に移動させるようにした調整板移動機構160を示す。この調整板移動機構160の図39に示す調整板移動機構142と異なる点は、調整板の把持部140の外方への突出部に上下に貫通しヘリサート加工を施した雌ねじを設け、この雌ねじに上下押付けボルト162を螺合させて、この上下押付けボルト162の下端面を調整板支持部144の上端面に当接させ、更に把持部140の外方への突出端部にめっき槽10の幅方向に延びる長穴を設け、この長穴内に上下固定用ボルト164を挿通させ、この上下固定ボルト164の下部を調整板支持部144に設けた雌ねじに螺合させた点にある。この例では、左右固定ボルトを省略している。
この例によれば、上下押付けボルト162を締付ける方向に回転させると、上下押付けボルト162の先端が調整板支持部144の上端面に当接し該上端面を押す反力で調整板134が上方に移動する。逆に、上下押付けボルト162を緩める方向に回すと調整板134は下方に移動する。調整板134の基板Wに対する上下及び左右方向が決まったら、上下固定ボルト164の下部を調整板支持部144に設けた雌ねじに螺合させて調整板134を固定する。
なお、押付けボルト148,162の代りに、エアシリンダやサーボモータ等を使用しても良い。また、図39に示す調整板移動機構142と図41に示す調整板移動機構160を組合わせて、調整板134の上下及び左右方向の位置を調整できる構造にしても良い。その場合、ブラケット146に左右固定ボルト150が通る上下方向に延びる長穴を設けることで、調整板134の位置が上下方向にずれても左右固定ボルト150で調整板134を固定することができる。図41に示す調整板移動機構160において、左右押えボルト148を省略して、調整板134の基板Wに対する上下(鉛直)方向の位置決めのみを行うようにしてもよい。
このように、調整板移動機構148を介して、調整板134の基板Wに対する水平方向の位置を微調整したり、調整板移動機構160を介して、調整板134の基板Wに対する水平及び垂直方向の位置を微調整したりすることで、基板Wの表面に形成されるめっき膜の膜厚の面内均一性を向上させることができる。特に、調整板134は、基板Wに近接した位置に配置されるため、調整板134の基板Wに対する垂直または水平方向の位置を微調整することが、基板Wの表面に形成されるめっき膜の膜厚の面内均一性を向上させる上で重要となる。
図42及び図43は、調整板の更に他の例を示すもので、これは、図39に示す調整板134に以下の構成を付加している。つまり、調整板134の本体部136のアノード側表面には、補助調整板170を取付けるための補助調整板取付け部が設けられている。この補助調整板取付け部は、補助調整板170の周囲の側部及び下端隅部に対応する位置に固定された、断面鉤状の各一対の側部フック172aと底部フック172bから構成されている。これにより、調整板134の側部フック172a及び底部フック172bからなる補助調整板取付け部に助調整板170を差し込むことで、補助調整板170を調整板134に対する所定の位置に設置できるようになっている。
この例では、調整板134として、8インチウェハ用開口部134aを有する調整板(8インチウェハ用調整板)を使用し、補助調整板170として、6インチウェハ用開口部170aを有する調整板(6インチウェハ用調整板)を使用している。これにより、基板Wを8インチウェハから6インチウェハに変更した時、調整板自体を交換することなく、補助調整板(6インチウェハ用調整板)170を調整板(8インチウェハ用調整板)134に設置するだけで対処できる。補助調整板170の上部には、把持用の開口部170bが設けられている。
調整板134と補助調整板170の水平方向重なり寸法t3,t4及び鉛直方向下部重なる寸法t5は、一般には5mm以上で、10mm以上であることが好ましい。これにより、調整板134に補助調整板170を設置した時に、アノード26から発生した電位線が補助調整板170の開口部170aを通ることなく、補助調整板170の外側から調整板134と補助調整板170との間の隙間を通って、調整板134の開口部134aから抜けてしまうことを防止することができる。
なお、上記の例では8インチ用調整板と6インチウェハ用調整板を組合せる例を示したが、任意の2つの調整板(第1の調整板と第2の調整板)を組合せることができる構造とすることにより、通常は第1の調整板のみを使用してめっきを行い、基板(被めっき体)の種類に応じて電場分布を微調整する必要が生じた際に、第1の調整板に第2の調整板を組合せて使用するといった運転ができるようになる。
図44及び図45は、本発明の更に他の実施形態のめっき装置の要部を示す。この例の図1に示すめっき装置と異なる点は、図45に示す、上部に幅広の把持部180を有するアノードホルダ28を、前述の図39等に示す、幅広の把持部140を有する調整板134をそれぞれ使用し、めっき槽10の上端開口部に跨って設置される単一の位置決め保持部182上に、把持部180を介してアノードホルダ28を、把持部140を介して調整板134を、ホルダアーム64(図11参照)を介して基板ホルダ24を、それぞれ設置するようにしている。つまり、アノードホルダ28の把持部180、調整板134の把持部140及び基板ホルダ24のホルダアーム64は、同一部材である位置決め保持部182上に載置されて設置される。これにより、アノードホルダ28で保持されるアノード26、調整板134の筒状部136及び基板ホルダ24で保持される基板Wの各中心軸を確実に一致させることができる。
この例では、アノードホルダ28の把持部180、調整板134の把持部140及び基板ホルダ24のホルダアーム64が同一部材である位置決め保持部182上に載置されるようにしているが、アノードホルダ28、調整板134、基板ホルダ24の他の部分が位置決め保持部182上にそれぞれ載置されるようにしてもよい。要するに、同一部材である位置決め保持部182を基準として、アノードホルダ28、調整板134及び基板ホルダ24の垂直方向の位置決めがなされるようになっていれば良い。
図46及び図47に調整板の更に他の例を示す。この例は、図9等に示す調整板134に以下の構成を付加している。つまり。調整板134のアノード側の本体部138の表面には、固定板184及び固定ボルト186を介して、隔壁188が中央の開口部134a全体を覆うように固定されている。この隔膜188は、金属イオンを通して添加剤を通さない陽イオン交換体、または機能膜(中性ろ過膜)から構成されている、このように、調整板134の開口部134aを隔壁188で覆うことで、アノード26の表面でめっき液に含まれる添加剤が分解され消耗するのを抑えることができる。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。