JP2014183962A - 消臭剤の製造方法、消臭剤、及び消臭機能付き繊維製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二酸化ケイ素及び酸化亜鉛を主成分として含有する消臭剤の製造方法であって、消臭剤の製造中に、弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液を用いて水素イオン濃度(pH)の調整を行う調整工程を行う。調整工程は、二酸化ケイ素の原料となるケイ酸塩水溶液、酸化亜鉛の原料となる亜鉛塩水溶液、及び弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液を混合することにより実行される。
【選択図】図1
Description
二酸化ケイ素及び酸化亜鉛を主成分として含有する消臭剤の製造方法であって、
前記消臭剤の製造中に、弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液を用いて水素イオン濃度(pH)の調整を行う調整工程を行うことにある。
前記調整工程は、前記二酸化ケイ素の原料となるケイ酸塩水溶液、前記酸化亜鉛の原料となる亜鉛塩水溶液、及び前記弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液を混合することにより実行されることが好ましい。
前記調整工程は、前記二酸化ケイ素と前記酸化亜鉛との混合物を水に分散させてスラリーとし、当該スラリーに前記弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液を混合することにより実行されることが好ましい。
前記調整工程は、生成した消臭剤を水に分散させて5重量%スラリーとしたとき、当該スラリーの水素イオン濃度(pH)が5〜7の範囲となるように実行されることが好ましい。
前記弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液は、水素イオン濃度(pH)が5〜7の範囲で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液であることが好ましい。
前記弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液は、生成した消臭剤中の金属水酸化物又は金属酸化物の含有量が金属酸化物換算で1〜15重量%となるように調整されることが好ましい。
前記金属塩水溶液に含まれる金属は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
主成分である二酸化ケイ素及び酸化亜鉛と、亜鉛成分溶出防止剤として作用する金属水酸化物又は金属酸化物とを含有することにある。
なお、二酸化ケイ素及び酸化亜鉛を主成分として含有する本構成の消臭剤は、汗臭の他、硫化水素、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、フェノール、NOx等の悪臭にも効果があり、さらに白色の粉体又は粒状体として得られるため、使用対象製品の外観やデザインを損なうことなく、適用範囲が広い消臭剤として使用することができる。
前記金属水酸化物又は前記金属酸化物に含まれる金属は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
上記記載の消臭剤を繊維に添加、塗布、又は含浸してなることにある。
本発明の消臭剤は、二酸化ケイ素及び酸化亜鉛を主成分として含有する無定形の白色消臭剤である。二酸化ケイ素及び酸化亜鉛は、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物(以下、単に「混合物」と称する場合がある。)の形態で消臭剤中に存在する。混合物は、ケイ酸塩と亜鉛塩とを水溶液の状態で混合することにより形成され、その結果、二酸化ケイ素と酸化亜鉛とが緻密に混合された状態となる。なお、生成した混合物には、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合酸化物が含まれていても構わない。ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。これらのうち、ケイ酸ナトリウムが好適に使用される。ケイ酸ナトリウムは、その水溶液である水ガラスの形態で使用される。亜鉛塩としては、例えば、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。これらのうち、硫酸亜鉛が好適に使用される。硫酸亜鉛は、硫酸亜鉛水溶液の形態で使用される。
図1は、本発明の第一実施形態に係る消臭剤の製造方法を示したフローチャートである。本実施形態では、初めに、消臭剤の主成分である二酸化ケイ素の原材料としての(a)ケイ酸塩水溶液と、同じく消臭剤の主成分である酸化亜鉛の原材料としての(b)亜鉛塩水溶液と、(c)弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液(以下、単に「金属塩水溶液」とする)とを混合する(S1)。この混合工程では、(a)ケイ酸塩水溶液、(b)亜鉛塩水溶液、及び(c)金属塩水溶液を同時に混合することが好ましいが、各原材料の投入タイミングに多少の時間差をつけて混合しても構わない。また、ビーカー等の容器に水を入れて母液とし、この母液の中に各水溶液を同時に又は時間差をつけて添加する混合方法としても構わない。混合工程は攪拌しながら行ってもよく、さらに攪拌後に混合液を熟成させるための熟成期間を設けても構わない。ステップ1は、原材料の混合工程であると同時に、混合液の水素イオン濃度(pH)を調整する調整工程も兼ねている。混合液の水素イオン濃度(pH)は、例えばpH4.5〜6.8に調整される。調整工程における混合液のpHの範囲は、最終製品である本発明の消臭剤を水に分散させてスラリー化したときの水素イオン濃度(pH5〜7)よりも低く設定することが好ましい。混合工程(調整工程)を行うと、(a)ケイ酸塩水溶液と、(b)亜鉛塩水溶液とが反応して二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物が生成し、さらに(c)金属塩水溶液から金属水酸化物が生成する。そして、金属水酸化物は混合物中に取り込まれる。その結果、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、及び金属水酸化物を含有するスラリーが生成する(S2)。次いで、スラリーからケーキ(固形分)を濾過し(S3)、濾別したケーキを水洗し(S4)、乾燥させる(S5)。ステップ5の乾燥工程は、例えば、加熱乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法により行うことができる。加熱乾燥を行う場合は、乾燥温度は300℃以下とすることが好ましい。ケーキの乾燥が完了したら、これを粉砕し、分級する(S6)。これにより、本実施形態の消臭剤が完成する(S7)。消臭剤は白色の外観を呈した無定形物として得られる。以上までの工程が、本発明の第一実施形態に係る消臭剤の製造方法に関する工程である。消臭剤を使用するにあたっては、消臭剤を水等の溶媒に分散させてスラリー化する(S8)。このとき、消臭剤は上記調整工程を行っていることから、スラリー液は、例えば、消臭剤の含有量が5重量%においてpH5〜7の範囲に調整されたものとなる。消臭剤を繊維製品に適用する場合、スラリー液を繊維製品に吹き付けたり、スラリー液に繊維製品を浸漬させる(S9)。これにより、消臭機能付き繊維製品が完成する。
図2は、本発明の第二実施形態に係る消臭剤の製造方法を示したフローチャートである。本実施形態では、初めに、消臭剤の主成分である二酸化ケイ素の原材料としての(a)ケイ酸塩水溶液と、同じく消臭剤の主成分である酸化亜鉛の原材料としての(b)亜鉛塩水溶液とを混合する(S11)。この混合工程では、(a)ケイ酸塩水溶液、及び(b)亜鉛塩水溶液を同時に混合することが好ましいが、例えば、(a)ケイ酸塩水溶液中に(b)亜鉛塩水溶液を添加するなど、一方の水溶液に他方の水溶液を添加する混合方法でも構わない。また、ビーカー等の容器に水を入れて母液とし、この母液の中に各水溶液を同時に又は時間差をつけて添加する混合方法としても構わない。混合工程は攪拌しながら行ってもよく、さらに攪拌後に混合液を熟成させるための熟成期間を設けても構わない。混合工程を行うと、(a)ケイ酸塩水溶液と、(b)亜鉛塩水溶液とが反応して二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物が生成する。この混合液に(c)金属塩水溶液を添加し、混合液の水素イオン濃度(pH)を調整する。混合液の水素イオン濃度(pH)は、例えばpH4.5〜6.8に調整される。調整工程における混合液のpHの範囲は、最終製品である本発明の消臭剤を水に分散させてスラリー化したときの水素イオン濃度(pH5〜7)よりも低く設定することが好ましい。調整工程を行うと、(c)金属塩水溶液から金属水酸化物が生成する。そして、金属水酸化物は混合物中に取り込まれる。その結果、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、及び金属水酸化物を含有するスラリーが生成する(S12)。次いで、スラリーからケーキ(固形分)を濾過し(S13)、濾別したケーキを水洗し(S14)、乾燥させる(S15)。ステップ15の乾燥工程は、第一実施形態と同様に行うことができる。ケーキの乾燥が完了したら、これを粉砕し、分級する(S16)。これにより、本実施形態の消臭剤が完成する(S17)。消臭剤は白色の外観を呈した無定形物として得られる。以上までの工程が、本発明の第二実施形態に係る消臭剤の製造方法に関する工程である。消臭剤を使用するに際しての処理(S18及びS19)は、第一実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図3は、本発明の第三実施形態に係る消臭剤の製造方法を示したフローチャートである。本実施形態では、初めに、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物を水に分散させてスラリー化させておく(S21)。上記混合物は、製品として販売されているものを使用することができる。例えば、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」を好適に使用することができる。混合物のスラリーに(c)金属塩水溶液を添加し、混合液の水素イオン濃度(pH)を調整する。混合液の水素イオン濃度(pH)は、例えばpH4.5〜6.8に調整される。調整工程における混合液のpHの範囲は、最終製品である本発明の消臭剤を水に分散させてスラリー化したときの水素イオン濃度(pH5〜7)よりも低く設定することが好ましい。調整工程を行うと、(c)金属塩水溶液から金属水酸化物が生成する。そして、金属水酸化物は混合物に結合する。次いで、スラリーからケーキ(固形分)を濾過し(S22)、濾別したケーキを水洗し(S23)、乾燥させる(S24)。ステップ24の乾燥工程は、第一実施形態と同様に行うことができる。ケーキの乾燥が完了したら、これを粉砕し、分級する(S25)。これにより、本実施形態の消臭剤が完成する(S26)。消臭剤は白色の外観を呈した無定形物として得られる。以上までの工程が、本発明の第三実施形態に係る消臭剤の製造方法に関する工程である。消臭剤を使用するに際しての処理(S27及びS28)は、第一実施形態及び第二実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
実施例1は、上記第一実施形態の製造方法に準じて行った製造試験である。(a)ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(Na2O/SiO2=1/3.2)46.3gを水80gで希釈したものを使用した。(b)亜鉛塩水溶液として、試薬として市販されている酸化亜鉛4.85gを5.2%硫酸118.54gに溶解したものを使用した。(c)金属塩水溶液として、Al2O310%のポリ塩化アルミニウム水溶液(PAC)10.8gを使用した。
(b)亜鉛塩水溶液に(c)金属塩水溶液を添加し、亜鉛塩/金属塩混合液とした。(a)ケイ酸塩水溶液、及び亜鉛塩/金属塩混合液を、水100gを入れたビーカーに夫々約6ml/分の添加速度で攪拌しながら同時に添加し、反応させた。液の添加終了後、生成したスラリー液を常温で60分間攪拌しながら熟成させた。熟成後のスラリー液のpHは6.3であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、ケーキとして回収した。ケーキを水洗し、120℃で7時間乾燥させた。乾燥したケーキを適宜粉砕・分級し、白色消臭剤を得た。白色消臭剤の組成は、ZnO:21.1%、SiO2:61.9%、Al2O3:5.1%、水分:7.3%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4のX線回折スペクトルに示すように、特定の回折パターンではなくブロードなピークが測定されたことから、無定形であることが確認された。
実施例2は、上記第一実施形態の製造方法に準じて行った製造試験である。(a)ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(Na2O/SiO2=1/3.2)46.3gを水80gで希釈したものを使用した。(b)亜鉛塩水溶液として、試薬として市販されている酸化亜鉛4.85gを5.2%硫酸118.54gに溶解したものを使用した。(c)金属塩水溶液として、Al2O36.4%の塩化アルミニウム水溶液28.0gを使用した。
(a)ケイ酸塩水溶液、(b)亜鉛塩水溶液、及び(c)金属塩水溶液の混合手順、並びに最終の白色消臭剤を得るまでの工程は、実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。熟成後のスラリー液のpHは6.1であった。白色消臭剤の組成は、ZnO:14.0%、SiO2:63.5%、Al2O3:6.5%、水分:10.4%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
実施例3は、上記第二実施形態の製造方法に準じて行った製造試験である。(a)ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(Na2O/SiO2=1/3.2)46.3gを水80gで希釈したものを使用した。(b)亜鉛塩水溶液として、試薬として市販されている酸化亜鉛4.85gを5.2%硫酸118.54gに溶解したものを使用した。(c)金属塩水溶液として、Al2O310%のポリ塩化アルミニウム水溶液(PAC)10.8gを使用した。
(a)ケイ酸塩水溶液、及び(b)亜鉛塩水溶液を、水100gを入れたビーカーに夫々約6ml/分の添加速度で攪拌しながら同時に添加し、反応させた。次いで、(c)金属塩水溶液を添加し、生成したスラリー液を常温で60分間攪拌しながら熟成させた。熟成後のスラリー液のpHは5.8であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、ケーキとして回収した。ケーキを水洗し、120℃で7時間乾燥させた。乾燥したケーキを適宜粉砕・分級し、白色消臭剤を得た。白色消臭剤の組成は、ZnO:21.7%、SiO2:61.3%、Al2O3:5.1%、水分:7.0%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
実施例4は、上記第三実施形態の製造方法に準じて行った製造試験である。製品である二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物として、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」10.0gを使用した。(c)金属塩水溶液として、Al2O310%のポリ塩化アルミニウム水溶液(PAC)8.5gを使用した。
上記混合物を水190gに分散してスラリー液を調製し、スラリー液に(c)金属塩水溶液を添加した。スラリー液を常温で60分間攪拌しながら熟成させた。スラリー液のpHは、(c)金属塩水溶液の添加直後、及びスラリー液の熟成後で変化はなく、pH5.7であった。熟成後のスラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、ケーキとして回収した。ケーキを水洗し、120℃で7時間乾燥させた。乾燥したケーキを適宜粉砕・分級し、白色消臭剤を得た。白色消臭剤の組成は、ZnO:15.4%、SiO2:63.5%、Al2O3:8.1%、水分:10.3%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
実施例5は、上記第三実施形態の製造方法に準じて行った製造試験である。製品である二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物として、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」10.0gを使用した。(c)金属塩水溶液として、12.6%硫酸ジルコニウム水溶液18.0gを使用した。
上記混合物、及び(c)金属塩水溶液の混合手順、並びに最終の白色消臭剤を得るまでの工程は、実施例4と同様であるため、詳細な説明は省略する。スラリー液のpHは、(c)金属塩水溶液の添加直後でpH5.6、スラリー液の熟成後でpH5.7であった。白色消臭剤の組成は、ZnO:13.8%、SiO2:63.4%、Zr2O2:13.8%、水分:7.6%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
実施例6は、上記第三実施形態の製造方法に準じて行った製造試験である。製品である二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物として、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」10.0gを使用した。(c)金属塩水溶液として、6.6%オキシ塩化ジルコニウム水溶液35.4gを使用した。
上記混合物、及び(c)金属塩水溶液の混合手順、並びに最終の白色消臭剤を得るまでの工程は、実施例4と同様であるため、詳細な説明は省略する。スラリー液のpHは、(c)金属塩水溶液の添加直後でpH5.3、スラリー液の熟成後でpH5.4であった。白色消臭剤の組成は、ZnO:18.7%、SiO2:63.4%、Zr2O2:1.84%、水分:11.1%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
実施例7は、上記第三実施形態の製造方法に準じて行った製造試験である。製品である二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物として、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」10.0gを使用した。(c)金属塩水溶液として、6.8%硫酸亜鉛及び0.8%硫酸チタニルの混合水溶液35.47gを使用した。
上記混合物、及び(c)金属塩水溶液の混合手順、並びに最終の白色消臭剤を得るまでの工程は、実施例4と同様であるため、詳細な説明は省略する。スラリー液のpHは、(c)金属塩水溶液の添加直後でpH5.3、スラリー液の熟成後でpH5.6であった。白色消臭剤の組成は、ZnO:14.8%、SiO2:63.5%、Zr2O2:12.6%、水分:7.3%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
実施例8は、上記第三実施形態の製造方法に準じて行った製造試験である。製品である二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物として、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」10.0gを使用した。(c)金属塩水溶液として、6.4%塩化アルミニウム水溶液20.0gを使用した。
上記混合物、及び(c)金属塩水溶液の混合手順、並びに最終の白色消臭剤を得るまでの工程は、実施例4と同様であるため、詳細な説明は省略する。スラリー液のpHは、(c)金属塩水溶液の添加直後でpH5.5、スラリー液の熟成後でpH5.6であった。白色消臭剤の組成は、ZnO:12.4%、SiO2:63.5%、Al2O3:8.1%、水分:11.0%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
比較例1は、上記第一実施形態の製造方法との比較のために行った製造試験である。(a)ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(Na2O/SiO2=1/3.2)46.3gを水80gで希釈したものを使用した。(b)亜鉛塩水溶液として、試薬として市販されている酸化亜鉛4.85gを5.2%硫酸118.54gに溶解したものを使用した。(c)金属塩水溶液は使用しなかった。
(a)ケイ酸塩水溶液、及び(b)亜鉛塩水溶液を、水100gを入れたビーカーに夫々約6ml/分の添加速度で攪拌しながら同時に添加し、反応させた。液の添加終了後、生成したスラリー液を常温で60分間攪拌しながら熟成させた。スラリー液のpHは、(a)ケイ酸塩水溶液、及び(b)亜鉛塩水溶液の添加直後でpH6.1、スラリー液の熟成後でpH6.4であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、ケーキとして回収した。ケーキを水洗し、120℃で7時間乾燥させた。乾燥したケーキを適宜粉砕・分級し、白色消臭剤を得た。白色消臭剤の組成は、ZnO:21.7%、SiO2:62.0%、Al2O3:0.2%、水分:11.1%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4のX線回折スペクトルに示すように、特定の回折パターンではなくブロードなピークが測定されたことから、無定形であることが確認された。
比較例2は、上記第三実施形態の製造方法との比較のために行った製造試験である。製品である二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物として、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」10.0gを使用した。(c)金属塩水溶液として、Al2O310%のポリ塩化アルミニウム水溶液(PAC)25.0gを使用した。
上記混合物を水190gに分散してスラリー液を調製し、スラリー液に(c)金属塩水溶液を添加した。スラリー液を常温で60分間攪拌しながら熟成させた。スラリー液のpHは、(c)金属塩水溶液の添加直後でpH4.5、スラリー液の熟成後でpH5.0であった。熟成後のスラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、ケーキとして回収した。ケーキを水洗し、120℃で7時間乾燥させた。乾燥したケーキを適宜粉砕・分級し、白色消臭剤を得た。白色消臭剤の組成は、ZnO:0.5%、SiO2:63.5%、Al2O3:23.8%、水分:7.2%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
比較例3は、上記第三実施形態の製造方法との比較のために行った製造試験である。製品である二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物として、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」10.0gを使用した。(c)金属塩水溶液として、12.6%硫酸ジルコニウム水溶液25.0gを使用した。
上記混合物、及び(c)金属塩水溶液の混合手順、並びに最終の白色消臭剤を得るまでの工程は、比較例2と同様であるため、詳細な説明は省略する。スラリー液のpHは、(c)金属塩水溶液の添加直後でpH1.6、スラリー液の熟成後でpH1.7であった。熟成後のスラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、ケーキとして回収した。ケーキを水洗し、120℃で7時間乾燥させた。乾燥したケーキを適宜粉砕・分級し、白色消臭剤を得た。白色消臭剤の組成は、ZnO:1.6%、SiO2:63.4%、Zr2O2:18.9%、水分:11.1%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
比較例4は、上記第三実施形態の製造方法との比較のために行った製造試験である。製品である二酸化ケイ素と酸化亜鉛との混合物として、ラサ工業株式会社から市販されている四大悪臭用消臭剤「シュークレンズ(登録商標)KD−211」10.0gを使用した。(c)金属塩水溶液は使用しなかった。
すなわち、比較例4は、上記混合物を二次加工することなく、そのまま白色消臭剤として使用したものである。白色消臭剤の組成は、ZnO:20.5%、SiO2:63.5%、Al2O3:0.8%、水分:9.7%であった。また、白色消臭剤の構造は、図4と同様のX線回折スペクトルであったため省略するが、無定形であることが確認された。
次に、上記実施例及び比較例の白色消臭剤の性能を確認するため、主に汗臭を想定した悪臭成分(アンモニア、酢酸ガス、硫化水素ガス)に対する消臭性能試験を実施した。消臭性能試験は、ガス検知管法により実施した。各消臭性能試験の試験条件は以下のとおりである。
実施例1〜8、及び比較例1〜4の白色消臭剤0.5gを3Lの樹脂製の臭い袋に入れ、1000ppmのアンモニアガスを封入し、30分経過後、検知管を用いてアンモニア濃度を測定した。
(2)酢酸ガス消臭試験
実施例1〜8、及び比較例1〜4の白色消臭剤0.1gを3Lの樹脂製の臭い袋に入れ、100ppmの酢酸ガスを封入し、10分経過後、検知管を用いて酢酸濃度を測定した。
(3)硫化水素ガス消臭試験
実施例1〜8、及び比較例1〜4の白色消臭剤0.1gを3Lの樹脂製の臭い袋に入れ、100ppmの硫化水素ガスを封入し、30分経過後、検知管を用いて硫化水素ガス濃度を測定した。
硫化水素ガスの何れの悪臭成分に対しても高い消臭性能を示すことが確認された。比較例の白色消臭剤については、比較例1及び4の白色消臭剤は消臭性能が十分であったが、比較例2及び3の白色消臭剤は消臭性能が不十分であり、特に硫化水素に対しては殆ど効果が見られなかった。
Claims (10)
- 二酸化ケイ素及び酸化亜鉛を主成分として含有する消臭剤の製造方法であって、
前記消臭剤の製造中に、弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液を用いて水素イオン濃度(pH)の調整を行う調整工程を行う消臭剤の製造方法。 - 前記調整工程は、前記二酸化ケイ素の原料となるケイ酸塩水溶液、前記酸化亜鉛の原料となる亜鉛塩水溶液、及び前記弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液を混合することにより実行される請求項1に記載の消臭剤の製造方法。
- 前記調整工程は、前記二酸化ケイ素と前記酸化亜鉛との混合物を水に分散させてスラリーとし、当該スラリーに前記弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液を混合することにより実行される請求項1に記載の消臭剤の製造方法。
- 前記調整工程は、生成した消臭剤を水に分散させて5重量%スラリーとしたとき、当該スラリーの水素イオン濃度(pH)が5〜7の範囲となるように実行される請求項1〜3の何れか一項に記載の消臭剤の製造方法。
- 前記弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液は、水素イオン濃度(pH)が5〜7の範囲で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液である請求項1〜4の何れか一項に記載の消臭剤の製造方法。
- 前記弱酸性〜中性領域で金属水酸化物を生じる金属塩水溶液は、生成した消臭剤中の金属水酸化物又は金属酸化物の含有量が金属酸化物換算で1〜15重量%となるように調整される請求項1〜5の何れか一項に記載の消臭剤の製造方法。
- 前記金属塩水溶液に含まれる金属は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜6の何れか一項に記載の消臭剤の製造方法。
- 主成分である二酸化ケイ素及び酸化亜鉛と、亜鉛成分溶出防止剤として作用する金属水酸化物又は金属酸化物とを含有する消臭剤。
- 前記金属水酸化物又は前記金属酸化物に含まれる金属は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種である請求項8に記載の消臭剤。
- 請求項8又は9に記載の消臭剤を繊維に添加、塗布、又は含浸してなる消臭機能付き繊維製品。
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