JP2014177550A - 感熱性粘着シート、積層シートおよびシートロール - Google Patents

感熱性粘着シート、積層シートおよびシートロール Download PDF

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義治 錦織
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Abstract

【課題】本発明は、インクジェット記録媒体を基材として含有する感熱性粘着シートであって、耐ブロッキング性が改善された感熱性粘着シートを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、インクジェット記録媒体と、前記インクジェット記録媒体の少なくとも一方の面に感熱性粘着剤層が形成されている感熱性粘着シートであって、前記感熱性粘着剤層は、固定可塑剤と、粘着付与剤と、熱可塑性樹脂とを含み、前記固定可塑剤の融点が70℃以上であり、前記粘着付与剤の軟化点が150〜180℃である感熱性粘着シートに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、感熱性粘着シート、積層シートおよびシートロールに関する。具体的には、本発明は、インクジェット記録媒体と感熱性粘着剤層を有する感熱性粘着シートであって、特定の感熱性粘着剤を用いた感熱性粘着シートに関する。また、本発明は、該感熱性粘着シートを積層した積層シート、および、該感熱性粘着シートをロール状に巻き取った感熱性粘着シートロールに関する。
従来、瓶、ペットボトル等の被着物には、商品名や注意表記が記載されたラベルが貼付されている。近年、ラベル表示は多様化してきており、ラベルには優れたデザイン性や視認性が要求されている。このため、ラベルはフルカラー印刷によって印刷され、文字や図柄等は精細に表現されることが好ましいとされている。
また、従来のラベルは被記録材/感圧粘着材/剥離紙の構成であり、ラベルを貼付する際には、剥離紙を剥がし粘着剤を被着物に付着していた。しかし、近年は、剥離紙がゴミとなることから剥離紙を用いないライナーレス化が注目されるようになってきている。ライナーレス化の1つの方法として、被記録材上にシリコーンなどの剥離層、該被記録材の裏面に感圧粘着剤層を設けライナーレスラベルとする方法がある。この方法ではシリコーンなどの剥離層上にはフルカラー印刷ができないため、剥離層を設ける前にフルカラー印刷をする必要があり、ラベル貼付時にフルカラーの可変情報を記載することが出来なかった。
可変情報をフルカラー印刷するためには被記録材をインクジェット記録媒体とすることが好ましい。上記、剥離層を設けライナーレス化する方法の問題を解決する粘着剤として、常温では非粘着性であるが、一定温度以上に加熱することで粘着性を示す感熱性粘着剤(ディレードタック粘着剤)が知られている(例えば、特許文献1および2)。このような感熱性粘着剤は、40〜50℃程度に加熱されることによって粘着性を発現するが、常温では非粘着性であるため、粘着剤層の上に剥離紙等を設ける必要がないという利点を有する。
特開平7−278521号公報 特開2011−52100号公報
特許文献1および2に開示されているような感熱性粘着剤を用いて、インクジェット記録媒体の上に感熱性粘着剤層を形成することで、インクジェット記録媒体を有する感熱性粘着シートを得ることができる。このような感熱性粘着シートにおいては、感熱性粘着剤層は加熱されることによって粘着性を発現するため、粘着剤層の上に剥離紙等を設ける必要はなくなる。
しかしながら、特許文献1および2に開示されているような感熱性粘着剤層とインクジェット記録媒体と有する感熱性粘着シートを積層したり、ロール状に巻き取った場合、時間経過とともに、重なったシート同士が互いに付着してしまうという問題が生じることが本願発明者らの検討により明らかとなった。このようなシート同士の付着はブロッキングと呼ばれており、ブロッキングが生じると、感熱性粘着シートを積層した際に、層間で剥離不良が生じたり、粘着剤が剥げ残る等の不具合が生じるため深刻な問題となる。
一方で、粘着シートに記載された情報の重要性が高い場合は、貼り替えによる誤記や悪用を防止する必要があるため、貼り替えが認識できる必要がある。例えば、被記録材破壊は被着物破壊を起こし、痕跡を残す方法などがある。このような場合、強粘性粘着剤を用いる方法があり、感熱性粘着シートが強粘性であることが求められている。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、インクジェット記録媒体を基材として含有する感熱性粘着シートであって、耐ブロッキング性が改善された感熱性粘着シートであって、熱活性化後の粘着性に優れた感熱性粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、インクジェット記録媒体と、特定の感熱性粘着剤を用いた感熱性粘着剤層を組み合わせて感熱性粘着シートを形成することにより、優れた耐ブロッキング性が得られることを見出した。具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]インクジェット記録媒体と、前記インクジェット記録媒体の少なくとも一方の面に感熱性粘着剤層が形成されている感熱性粘着シートであって、前記感熱性粘着剤層は、固定可塑剤と、粘着付与剤と、熱可塑性樹脂とを含み、前記固定可塑剤の融点が70℃以上であり、前記粘着付与剤の軟化点が150〜180℃である感熱性粘着シート。
[2]前記インクジェット記録媒体のJIS B 0601によって測定される表面粗さRaは、0.5〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載の感熱性粘着シート。
[3]前記固定可塑剤は、(i)ヒドロキシ化合物と多塩基酸との多エステル化合物、(ii)ポリヒドロキシ化合物と有機一塩基酸とのエステル化合物及び(iii)リン化合物から選択された少なくとも1種の成分である[1]または[2]に記載の感熱性粘着シート。
[4]前記固定可塑剤は、脂環式炭素環を有するアルコールと多塩基酸との多エステル化合物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の感熱性粘着シート。
[5]前記固定可塑剤は、ビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレートであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の感熱性粘着シート。
[6]前記粘着付与剤は軟化点が150〜180℃のロジン誘導体であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の感熱性粘着シート。
[7]前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は−10〜25℃であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の感熱性粘着シート。
[8]前記固定可塑剤の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して、350〜800質量部であり、前記粘着付与剤の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して、100〜500重量部であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の感熱性粘着シート。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の感熱性粘着シートが積層されたことを特徴とする積層シート。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の感熱性粘着シートがロール状に巻き取られて形成されるシートロール。
[11]前記感熱性粘着シートの感熱性粘着剤層側を内側にしてロール状に巻き取られることを特徴とする[10]に記載のシートロール。
本発明によれば、インクジェット記録媒体を有する感熱性粘着シートであって、耐ブロッキング性を有するとともに、熱活性化後に優れた粘着性を発現する感熱性粘着シートを得ることができる。
本発明によれば、耐ブロッキング性に優れた感熱性粘着シートを得ることができるため、感熱性粘着シートを積層して積層シートとしたり、ロール状に巻き取って感熱性粘着シートロールとすることができる。
また、本発明によれば、熱活性化、被着物に貼付後に、長期間に亘って優れた粘着性を保持できる感熱性粘着シートを得ることができるため、感熱性粘着シートが被着物から剥がれ落ちることを防ぐ、あるいは剥がれ落ちたとしても被着物破壊や被記録材破壊を起こし、粘着シートの貼り替えを認識することができる。
さらに、本発明の感熱性粘着シートは、基材にはインクジェット記録媒体を用いているため、可変情報のフルカラー印刷が容易となり、多種多様な文字や図柄を自在に印刷することができる。これにより、感熱性粘着シートの視認性を高めることができる。
図1は、本発明の感熱性粘着シートの一例を表す断面概略図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(感熱性粘着シート)
本発明の感熱性粘着シートは、インクジェット記録媒体と、インクジェット記録媒体の少なくとも一方の面に感熱性粘着剤層を有する。感熱性粘着剤層は、常温では、粘着性を有さず、加熱によって粘着性を発現する粘着剤層である。感熱性粘着剤層は、固定可塑剤と、粘着付与剤と、熱可塑性樹脂とを含み、固定可塑剤の融点は70℃以上であり、粘着付与剤の軟化点は150〜180℃である。
図1は、本発明の感熱性粘着シート10の一例を示す断面概略図を示している。図1に示されているように、感熱性粘着シート10は、インクジェット記録媒体1と感熱性粘着剤層2を有する。インクジェット記録媒体1は、基材3とインク受容層4を有する。ここで、インク受容層4は、感熱性粘着シート10の表面に設けられることが好ましい。これにより、インクジェット印刷に適した感熱性粘着シート10を得ることができる。
感熱性粘着剤層2には、固定可塑剤と、粘着付与剤と、熱可塑性樹脂が含有される。感熱性粘着剤層2が加熱される前には、固定可塑剤が溶融せずに存在する。このため、粘着性の発現は抑えられている。
一方、感熱性粘着剤層2が一定温度以上に加熱されることにより、固定可塑剤は溶解する。これにより粘着付与剤や熱可塑性樹脂が可塑化する。このように、粘着付与剤や熱可塑性樹脂の可塑化が進行することによって、感熱性粘着剤層2の粘着性が発現することとなる。
本発明では、固定可塑剤の融点は70℃以上であるため、感熱性粘着剤層は70℃以上に加熱されることによって粘着性を発現し、70℃未満では非粘着性を示す。すなわち、室温条件などの通常保管条件下では、粘着性を示さないため、粘着剤層の上に剥離紙を設ける必要がない。なお、剥離紙を設けず積層シートとする場合であっても、インクジェット記録媒体の上に剥離層を設ける必要がない。これにより、剥離紙がゴミとして発生することがなくなるため、環境への負荷を減らすことができる。また、インクジェット記録媒体の上に剥離層を設ける必要がなくなるため、インクジェット記録媒体の記録特性を向上させ、インクジェット記録媒体のインク保持力を高めることができる。
また、本発明に用いられる感熱性粘着剤は、ホットメルト接着剤とは異なり、ある程度の温度持続性を有するため、感熱性粘着シートの貼付作業を、余裕を持って行うことができる。さらに、固定可塑剤の融点は70℃以上と高温であるため、乾燥工程を冷却条件で行う必要がなく、感熱性粘着シートを冷所保管する必要がないという利点を有する。これにより、管理工程費用や輸送コストを削減することができる。
さらに、本発明では、感熱性粘着剤層を塗工により形成することができる。感熱性粘着剤層は、感熱性粘着剤層形成用の水性組成物を塗布し、乾燥することによって形成される。塗工方法としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等の各種塗工方法を採用することができる。
通常、塗工時には感熱性粘着剤層形成用の水性組成物は、粘着性が発現しないように温度が40℃程度となるよう殆ど加熱せずに乾燥しシート化する。低温で乾燥させるため塗工機のライン速度を遅くする必要があり生産性が一般のラベルより低い。しかし、本発明で用いる固定可塑剤の融点は70℃以上と高温であるため、通常の塗工条件を採用した場合であっても、粘着剤の粘性を発現させることなく塗工することができる。これにより、塗工機のライン速度を通常の剥離紙付きのラベルと同様にできるため生産性が高い。このように、本発明では感熱性粘着剤層を塗工という簡便な方法を用いて形成することができる。このため、感熱性粘着シートの製造コストを抑制することができ、高品質な感熱性粘着シートを得ることができる。
本発明で用いる固定可塑剤の融点は70℃以上と高温であるため、感熱性粘着シートにアイマーク等の印字をすることもできる。アイマークとは、感熱性粘着シートの裏面、すなわち感熱性粘着剤層側に黒いマークを印字したものである。このアイマークは、ラベルの印刷開始位置を特定したり、ラベルのカット位置を示すものであり、適切な印刷等を行うための指標となる。アイマークの印字には、UV照射によって瞬時に硬化するUVインクを用いる場合があり、この場合、感熱性粘着剤層に一定温度以上の温度が付与されることとなる。本発明の感熱性粘着シートは、粘性の発現温度が高い感熱性粘着剤層を有するため、感熱性粘着剤層に一定温度以上の温度が付与された場合であっても感熱性粘着剤層の可塑化を引き起こすことなく、アイマーク等の印字を行うことができる。
本発明では、融点が70℃以上である固定可塑剤と、軟化点が150〜180℃である粘着付与剤と、熱可塑性樹脂とを含む感熱性粘着剤層とインクジェット記録媒体を組み合わせて感熱性粘着シートとしているため、感熱性粘着シートがブロッキングすることを防ぐことができる。これにより、感熱性粘着シートを積層して積層シートとしたり、ロール状に巻き取って感熱性粘着シートロールとして場合であっても、層間の剥離力を一定以下とすることができる。これにより、層間の剥離不良や、意図しない粘着剤の剥げ残り等を防ぐことができる。
本発明の感熱性粘着シートは、被記録材としてインクジェット記録媒体を用いているため、フルカラー印刷が容易となり、多種多様な文字や図柄を自在に印刷することができる。このため、感熱性粘着シートの視認性やデザイン性を高めることができる。また、高速記録が可能となるため、感熱性粘着シートの製造コストを抑制することができる。
本発明の感熱性粘着シートは、感熱性粘着剤層を介して、瓶、ペットボトル等の被着物に貼付される。貼付する際には、感熱性粘着剤層を熱活性化し、感熱性粘着剤層の粘性を発現させる。熱活性化方法としては、熱風による熱活性化方法、熱ロールによる熱活性化方法、遠赤外線による熱活性化方法、サーマルヘッドによる熱活性化方法を例示できるが、中でも、サーマルヘッドを用いた活性化手段を好ましい方法として例示できる。例えば、サーマルヘッドは一般に150〜200℃程度に加熱することができ、このサーマルヘッドを感熱性粘着剤層に近接(押接)させることによって感熱性粘着剤層を熱活性化することができる。その後、熱活性化した感熱性粘着剤層を有する感熱性粘着シートを被着物に押接することによって、感熱性粘着シートを被着物に貼付することができる。
押接する方法は、手による貼付、オートラベラーによる貼付、または熱活性とオートラベラーを一体化したディレードラベラー等の公知の方法を使用することができる。
本発明の感熱性粘着シートは、熱活性化後に、長期間に亘って優れた粘着性を保持できるため、感熱性粘着シートが被着物から剥がれ落ちることを防ぐことができる。また、感熱性粘着シートが剥がれ落ちたとしても、粘着力が強いため被記録材破壊や被着物破壊が起こり、貼り替えの痕跡を残すことができる。
(インクジェット記録媒体)
本発明で用いるインクジェット記録媒体は、基材と、インク受容層を有する。インクジェット記録媒体は、基材とインク受容層の他に他の層を有していてもよい。また、インクジェット記録媒体の表層であって、インクが供給される側に配置されることが好ましい。
本発明で用いるインクジェット記録媒のJIS B 0601によって測定される表面粗さRaは、0.5〜30μmであることが好ましい。より好ましくはRaが1〜20μmである。これにより、より効果的に感熱性粘着シートのブロッキングを抑制することができる。インクジェット記録媒体の表面粗さRaを上記範囲内とするためには、例えば、インクジェット記録媒体のインク受容層に添加する顔料の量を後述するように調節することができる。また、顔料の平均粒子径や比表面積を後述するように調節する方法によってもインクジェット記録媒体の表面粗さRaを上記範囲内とすることができる。
<基材>
基材としては、紙、布、セロファン、プラスチックフィルム、金属板、木板、ガラス板等平面性を有する材料を利用することができる。中でも紙を用いることが好ましい。これは、紙基材自体が多孔質構造を有するため吸水性に優れ、本発明によるインク受容層を形成した時、より少ないコート量で記録適性に優れたインクジェット記録媒体を得ることができるからである。また、紙基材は経済性にも優れているため、好ましく用いられる。
なお、後述するインク受容層を基材上への塗工し易くするために、基材の表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、化学洗浄処理等の一般的な表面処理を施してもよい。また、基材の表層に、ゼラチン、ニトロセルロース、ポリエステル等の樹脂処理層及び/又はコロイダルシリカ、金属系カップリング剤、イソシアネート類等の助剤処理層等、公知のアンカーコート層を設けてもよい。
また、必要により基材の表面及び/又は裏面に帯電防止処理や筆記適性(印刷適性)付与処理等の表面処理を行ってもよい。さらに、基材の任意の位置に紫外線吸収剤、酸化防止剤等の助剤類を含有させ、記録像の保存性を更に改良を行うことも可能である。
基材として紙を用いる場合、紙は一般的には木材パルプを主体とするが、必要に応じて合成繊維、化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ、無機繊維等、各種繊維状物質も適宜利用することができる。これらのパルプは紙力、抄紙適性を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF;JIS P−8121)程度であることが好ましい。
基材には、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で顔料(填料)を配合することができる。顔料としては、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等を例示することができる。
この場合、顔料の配合率は基材の全質量に対して、1〜20質量%程度が好ましい。顔料の配合率を上記範囲内とすることにより、紙力を適切な範囲とすることができる。
基材にはさらに、添加剤を含有させてもよい。添加剤としてはロジン、アルキルケテンダイマー、アルケニルコハク酸等に代表されるサイズ剤、硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等に代表される定着剤、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、無定形シリカ、尿素−ホルマリン樹脂粒子等に代表される填料類、ポリアクリルアミド系ポリマー、澱粉等に代表される紙力増強剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂等に代表される湿潤紙力増強剤、その他、濾水剤、青み付けなどの色調調整用の染料、顔料、蛍光染料など各種助剤類を挙げることができる。基材は、常法により各種抄紙機により抄紙され、且つ更に必要により澱粉、ポリビニルアルコール、ゼラチン、填料等より成る水性液による表面サイズプレス処理マシンキャレンダー等による平滑化処理等、常法による処理工程を経て製造されることが好ましい。
またこれらの紙は、パルプ組成、叩解条件、填料、紙力増強剤、内添サイズ剤、pH調整剤、表面サイズ剤、表面処理剤等、各種助剤類の種類と添加量のコントロール、乾燥条件、加圧条件等、個々の抄紙機に合わせた操業条件のコントロール等を適宜選択して行い、インクジェット記録媒体としての基材適性をコントロールして用いられる。
基材の厚みは、50μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがより好ましい。また、基材の厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。基材の厚みを上記範囲内とすることにより、適度な強度を有することができ、インクジェットプリンターの走行適性を高めることができる。
<インク受容層>
本発明では、インク受容層は、バインダーと顔料を含む。顔料は、インクを十分に受容できるように、多孔性であって、かつ微粒子状であることが好ましい。多孔性顔料としては、BET法での比表面積(窒素法)が150m2/g以上であり、且つインク受容層用塗液中、分散粒子状で0.2〜50μm(コールタカウンター:AP=50μmでの測定値)の平均粒子径を有するものが好ましく用いられる。好ましくは比表面積が200m2/g以上で、且つ平均粒子径が0.5〜20μmの多孔性顔料、より好ましくは比表面積が250m2/g以上で、且つ平均粒子径が2〜15μmの多孔性顔料が用いられる。これらの多孔性顔料は、水性インク媒体の基材への効率的な移行及び着色成分の保持にも効果的に寄与する。なお、比表面積が小さいと、インク受容性が不足し、滲んだり、汚れが発生する場合もあり、平均粒子径が0.5μm以下になると記録像の鮮明性が失われてしまい、くすんだ記録像となる場合がある。また、平均粒子径が15μmを越えるとインクドットの横方向への拡がりが不均一になったり、記録像の鮮明性が失われる恐れもある。
なお、比表面積が小さいと、インク受容性が不足し、滲んだり、汚れが発生する場合もあり、平均粒子径が0.5μm以下になると記録像の鮮明性が失われてしまい、くすんだ記録像となる場合がある。また、平均粒子径が15μmを越えるとインクドットの横方向への拡がりが不均一になったり、記録像の鮮明性が失われる恐れもある。
顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、無定形シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン等の無機系顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、マイクロカプセル系顔料、尿素樹脂顔料、メラミン樹脂顔料等の有機系または有機/無機複合系顔料等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料を例示することができ、単独で、若しくは併用で使用できる。特に好ましくは、無定形シリカ、水酸化アルミニウムである。
顔料の含有率は、インク受容層固形分に対して0.5〜99.5質量%である。顔料の含有率は30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。顔料の含有率を上記範囲内とすることにより、インクジェット記録媒体を用いた場合であっても、ブロッキングが起こることを防ぐことができる。これにより、感熱性粘着シートを積層して積層シートとしたり、ロール状に巻き取って感熱性粘着シートロールとして場合であっても、層間の剥離力を一定以下とすることができる。これにより、層間の剥離不良や、意図しない粘着剤の剥げ残り等を防ぐことができる。
また、顔料の含有率を上記範囲内とすることにより、インクジェット記録媒体のJIS B 0601によって測定される表面粗さRaを0.5〜30μmとすることができる。インクジェット記録媒の表面に所望の範囲内で凹凸を持たせることにより、より効果的にブロッキングが起こることを抑制することができる。
バインダーとしては、例えば酸化デンプン、エーテル化デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク等の天然または半合成高分子類、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸またはその共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、(不飽和)ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の合成水溶性樹脂類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス類、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス類、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス類、あるいはこれらの各種重合体にアニオン性基及び/またはカチオン性基を付与した官能基含有変性重合体ラテックス類等に代表される当該技術分野で公知の樹脂類が例示され、単独あるいは併用して用いられる。
バインダーの配合量は特に限定しないが、顔料100重量部に対し、1〜200重量部、より好ましくは5〜50重量部の範囲で調節される。ここでバインダーの量が少ないと、インクジェット記録媒体の強度が弱くなり表面が傷つきやすくなったり、粉落ちが発生する場合がある。逆にバインダーの量が多いと、インク吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなる場合がある。
インク受容層には、更に必要に応じ、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、発泡剤、離型剤、浸透剤、湿潤剤、熱ゲル化剤、滑剤、青味付け等の色調調整用の染料、顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、クエンチャー剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、バインダー類の耐水化剤、架橋剤等、当該技術分野で公知の各種助剤類を添加してもよい。
インク受容層の平滑度は、1〜500秒であることが好ましい。平滑度は5秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましい。また、平滑度は、300秒以下であることが好ましく、200秒以下であることがより好ましい。ここで、平滑度は、「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.5−2に基づく王研式平滑度」で規定する。顔料の含有率を上記範囲内とすることにより、感熱性粘着シートをロール状に巻き取った際の層間の剥離力を適度な範囲内とすることができる。なお、平滑度が上記上限値よりも高いとインクジェット記録媒体と感熱性粘着剤層の剥離が重くなり、平滑度が上記下限値よりも低いと表面が粗すぎてインクジェット記録適性が不足する。
インク受容層の塗工量は、1g/m2以上であることが好ましく、2g/m2以上であることがより好ましい。また、インク受容層の塗工量は、30g/m2以下であることが好ましく、15g/m2以下であることがより好ましい。インク受容層の塗工量を上記範囲内とすることにより、インクの吸収力および保持力を適切な範囲とすることができるとともに、インクジェットプリンターの走行適性を高めることができる。
(感熱性粘着剤層(ディレードタック粘着剤層))
本発明で用いる感熱性粘着剤層は、固定可塑剤と、粘着付与剤と、熱可塑性樹脂を含む。ここで、固定可塑剤の融点は70℃以上であり、粘着付与剤の軟化点は150〜180℃である。
本発明で用いる固定可塑剤の融点は70℃以上であるため、室温条件などの通常保管条件下では、粘着性を示さず、70℃以上の高温条件下で粘着性を示す。このため、粘着剤層の上に剥離紙等を設ける必要がない。また、固定可塑剤の融点は70℃以上と高温であるため、乾燥工程を冷却条件で行う必要がなく、感熱性粘着シートを冷所保管する必要がないという利点を有する。
感熱性粘着剤層の塗工量は、1g/m2以上であることが好ましく、2g/m2以上であることがより好ましい。また、感熱性粘着剤層の塗工量は、50g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以下であることがより好ましい。感熱性粘着剤層の塗工量を上記範囲内とすることにより、適切な接着力を保持することができる。また、感熱粘着シートをロール状に巻き取った場合においても優れた耐ブロッキング性を有することができる。
<固定可塑剤>
本発明では、固定可塑剤として融点が70℃以上のものを用いる。固定可塑剤の融点は70℃以上であればよく、75℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。また、固定可塑剤の融点の上限は、溶融させる際の操作性等を考慮して適宜設定でき、支持体の材質等によっても異なるが、一般には180℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。なお、固定可塑剤は単独で用いてもよく、異なる融点を有する2種以上の固定可塑剤を組み合わせて使用してもよい。
固定可塑剤の種類としては、上記の融点の条件を充足していれば特に限定されず、例えば、(i)ヒドロキシ化合物と多塩基酸との多エステル化合物、(ii)ポリヒドロキシ化合物と有機一塩基酸とのエステル化合物及び(iii)リン化合物から選択された少なくとも1種の成分等が挙げられる。
中でも、(i)のヒドロキシ化合物は、特に、モノヒドロキシ化合物であることが好ましく、多塩基酸は二塩基酸を含むものが好ましい。
また、(ii)のポリヒドロキシ化合物は、ジヒドロキシ化合物を含むことが好ましく、有機一塩基酸としては、脂肪族、脂環式又は芳香族モノカルボン酸などを例示することができる。また、エステル化合物としては、モノエステル又は多エステル化合物を例示することができる。
(iii)リン化合物としては、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類、ホスフィン類を例示することができる。
(i)ヒドロキシ化合物と多塩基酸との多エステル化合物の代表的な例として、例えば、ジフェニルフタレート(融点:73℃)、ビス(ジメチルシクロヘキシル)フタレート(融点:94℃)、ジメントールフタレート(融点:134℃)、ジボルニルフタレート(融点:136℃)、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)フタレート(融点:103,150℃)、ビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート(融点:93℃)等のフタル酸エステル類;ビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)テレフタレート(融点:133℃)、ビス(トランス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)テレフタレート(融点:103℃)、ビス(ジメチルシクロヘキシル)テレフタレート(融点:89℃)等のテレフタル酸エステル類などが挙げられる。
(ii)ポリヒドロキシ化合物と有機一塩基酸とのエステル化合物の代表的な例として、例えば、安息香酸スクロース(融点:98℃)などの多価アルコールのカルボン酸エステル類;ハイドロキノンジアセテート(融点:123℃)、トリメチルハイドロキノンジアセテート(融点:109℃)、3,4,5−トリメチルカテコールジアセテート(融点:120℃)などの、ベンゼン環がアルキル基で置換されていてもよいハイドロキノン若しくはレゾルシノール又はベンゼン環がアルキル基で置換されたカテコールと有機一塩基酸とのジエステル化合物等が挙げられる。
(iii)リン化合物の代表的な例として、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールビス(ジフェニルホスフェート)(融点:97℃)、レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート](融点:95℃)、トリ(4−メチルフェニル)ホスフェート(融点:78℃)、トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスファイト(融点:75℃)、トリフェニルホスフィン(融点:80℃)、トリ(3−メチルフェニル)ホスフィン(融点:100℃)などが挙げられる。
上記の固定可塑剤の中でも、(i)ヒドロキシ化合物と多塩基酸との多エステル化合物が好ましく、特に、脂環式炭素環(シクロアルカン環、シクロアルケン環、橋かけ環など)を有するアルコールと、芳香族多価カルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など)等の多塩基酸との多エステル化合物が好ましい。このような多エステル化合物は、前記アルコールと前記多塩基酸又はその反応性誘導体(例えば、酸無水物、酸ハライド、活性エステルなど)から、公知乃至慣用のエステル化法を利用することにより製造できる。例えば、上記アルコールと多塩基酸とをプロトン酸触媒の存在下、トルエン溶媒中で所定の温度で反応させ、生成する水を除去することにより、目的とする多エステル化合物を得ることができる。
上記の多エステル化合物(i)の中でも特に有効な固定可塑剤として、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール(特に、シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール)から得られる多エステル化合物、例えば、ビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート(融点:93℃)等が挙げられる。
なお、上記3,3,5−トリメチルシクロヘキサノールには、ヒドロキシル基と5位のメチル基との立体的な位置関係により、シス体とトランス体の2つの幾何異性体が存在する。本発明では、上記の融点の条件を充足していれば、これらの何れの異性体から得られる多エステル化合物を使用することもでき、またこれらの異性体の混合物から得られる多エステル化合物を使用することもできる。
本発明において、感熱性粘着剤層中の固定可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、一般には350〜800重量部であることが好ましく、400〜700重量部であることがより好ましい。固定可塑剤の量が少なすぎると、十分な耐ブロッキング性が得られなくなりやすく、また多すぎると、凝集力が低下し十分な接着強度が発現しないことがある。
本発明において、固定可塑剤の平均粒子径は、0.5〜20μmであることが好ましく、1〜15μmであることがより好ましい。平均粒子径が0.5μmより小さいと耐ブロッキング性が低下したり、粉砕に時間を要して生産性が低下するおそれがある。平均粒子径が20μmを超えると塗工面がざらつき、ラベルの品質が低下するおそれがある。
<粘着付与剤>
本発明では、粘着付与剤として軟化点が150〜180℃のものを用いる。軟化点が150℃未満の場合には、ブロッキングが極めて起こりやすく、軟化点が180℃を超えると、活性化温度が高くなり好ましくない。粘着付与剤の種類は、軟化点が上記の範囲にあれば特に限定されず、例えば、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)、キシレン樹脂等の樹脂類などを使用できる。軟化点の調整は、例えば、樹脂の分子量や分子量分布、低分子量成分と高分子量成分との比率などを適宜選択することにより行うことができる。中でも、軟化点が150〜180℃のロジン誘導体を用いることが好ましい。なお、これらの粘着付与剤は、2種以上併用してもよい。
感熱性粘着剤層中の粘着付与剤の含有量は、熱可塑性樹脂と固定可塑剤の組み合わせに応じて適宜決められるが、好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対して100〜500重量部程度、さらに好ましくは120〜400重量部程度である。粘着付与剤の含有量を上記範囲内とすることにより、感熱性粘着剤層を加熱した際に発現する粘着性を適切な範囲とすることができる。
<熱可塑性樹脂>
本発明において使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体などの(メタ)アクリル酸又はそのエステルを単量体として含むアクリル系重合体;酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニルを単量体として含む酢酸ビニル系重合体;スチレン−ブタジエン共重合体、イソブチレン樹脂、イソブチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの合成ゴム;天然ゴム;エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、塩素化プロピレン樹脂、ウレタン樹脂、エチルセルロースなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
これらの中でも、アクリル系重合体[例えば、(メタ)アクリル酸エステルを単量体として含むアクリル系重合体]、酢酸ビニル系重合体、合成ゴム、天然ゴムなどを用いることが好ましい。また、アクリル系重合体の中でも、特に、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体(例えば、アクリル酸C2−20アルキルエステル−メタクリル酸C1−4アルキルエステル共重合体)、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(例えば、アクリル酸C2−20アルキルエステル−メタクリル酸C1−4アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体)、アクリル酸エステル−スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(例えば、アクリル酸C2−20アルキルエステル−スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体)等のアクリル酸エステル(例えば、アクリル酸C2−20アルキルエステル)とメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸C1−4アルキルエステル)又はスチレンとをコモノマーとして含むアクリル系共重合体などを用いることが好ましい。また、合成ゴムとしてスチレン−ブタジエン共重合体を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、被着物の種類等を考慮し、粘着シートとした場合の接着性及び耐ブロッキング性を損なわない範囲で適宜選択でき、通常、−10〜70℃程度である。ガラス転移温度(Tg)は、−10℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)は、70℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、25℃以下であることがさらに好ましい。上記下限値よりもガラス転移温度が低いと耐ブロッキング性が低下しやすい。また、上記上限値よりも高いと、感熱性粘着剤層を形成する際の加熱乾燥時の製膜が不十分になりやすく、また接着性が低下しやすくなる。
<その他の添加剤>
感熱性粘着剤層には、特性を損なわない範囲で他の慣用の添加剤、例えば、製膜助剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、帯電防止剤、ブロッキング防止剤(無機粒子、有機粒子等)を添加してもよい。
製膜助剤としては、例えば、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートなどのグリコールエーテル類及びグリコールエステル類;フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチルなどのカルボン酸ジエステル類;ベンジルアルコール、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの有機溶媒等が挙げられる。これらの製膜助剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
(インクジェット記録媒体の製造方法)
本発明のインクジェット記録媒体は、基材の少なくとも一方の面にインク受容層用塗液を塗工してインク受容層を形成することにより製造することができる。
基材として紙基材を用いる場合、抄紙機を用いて湿紙を形成した後、乾燥させることにより、紙基材を得ることができる。
インク受容層用塗液は、常法により、バーコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、キャストコーター、スプレー装置等、公知の各種塗抹方式を利用して、基材の上に塗工される。
インク受容層用塗液の塗布量はインク受容性及び保存性等、記録特性を満足させる限り、不必要に多くする必要はなく、一般的には1〜30g/m2、好ましくは2〜15g/m2塗布される。このようにして得られたインクジェット記録媒体はそのままでも使用できるが、必要により例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダーなどで加圧及び/又は加熱ロールニップ間を通し、常法により表面を平滑化することも出来る。
(感熱性粘着シートの製造方法)
感熱性粘着剤層を形成するための組成物は、水性組成物であることが好ましく、感熱性粘着剤層(ディレードタック粘着剤層)は、インクジェット記録媒体の基材側の面に、水系感熱性粘着剤組成物を塗工することで形成される。このようにして、感熱性粘着剤層とインクジェット記録媒体を有する感熱性粘着シートを得ることができる。
感熱性粘着剤層形成用の水系感熱性粘着剤組成物は、公知の各種の方法により調製できる。例えば、水系感熱性粘着剤組成物の調製法として、水系感熱性粘着剤組成物を構成する各成分を予め混合した後に水に分散させる方法、熱可塑性樹脂エマルジョン又は粘着付与剤エマルジョンに固定可塑剤を分散させた後にこれらのエマルジョンを混合する方法、固定可塑剤を水に分散させておき、この固定可塑剤水分散液に熱可塑性樹脂エマルジョン及び粘着付与剤エマルジョンを混合する方法等が挙げられる。固定可塑剤を上記エマルジョン又は水に分散させる方法としては、溶融させた固定可塑剤を分散させる方法、固定可塑剤を微粉末にしながら分散させる方法及び微粉末にした固定可塑剤を分散させる方法等を例示することができる。
熱可塑性樹脂エマルジョンは、乳化重合により調製してもよく、また、乳化重合以外の方法により重合体を得た後、必要に応じて添加剤を用いることによりエマルジョン化して調製してもよい。例えば、水溶性の有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコールなどのアルコールなど)の存在下で重合した重合体を含む有機溶液に添加剤(例えば、乳化剤、pH調整剤、酸など)を添加した後、水を添加してエマルジョン化し、その後、有機溶剤を除去することにより熱可塑性樹脂エマルジョンを調製することができる。
水系感熱性粘着剤組成物は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等、公知の各種塗工方式を利用して、これも常法により塗工される。本発明で用いる固定可塑剤の融点は70℃以上と高温であるため、感熱性粘着剤層を上記のような塗工方法により形成することができる。
塗工量には制限はないが、一般に1〜50g/m2であり、2〜20g/m2であることが好ましく、3〜15g/m2であることがより好ましい。塗工量が少ない場合は熱活性化後に粘着性が得られないことがあり、塗工量が多い場合は、ブロッキングを起こしやすくなる。
なお、水系感熱性粘着剤組成物を塗工した後は、乾燥工程を設けることが好ましい。
(積層シート)
本発明の積層シートは、感熱性粘着シートを積層することによって得ることができる。積層シートは、感熱性粘着シートを複数枚積層した積層体である。積層シートにおいては、感熱性粘着剤層を水平面に置いた時に下側となるように配置した構造であることが好ましい。また、感熱性粘着シートは、矩形であることが好ましく、感熱性粘着シートは、矩形の感熱性粘着シートが積み重なった立体構造を有することが好ましい。
なお、ここでいう積層シートとは、単に、感熱性粘着シートを積み重ねたものであって、シート間の接着はなく、積層シートとして一体不可分となっていない構造体である。このような積層シートにおいては各シートが離散しないように、例えば、ケースに収容したり、テープ等で括ってもよい。
(シートロール)
感熱性粘着シートは、ロール状に巻き取られ形成されるシートロールであることが好ましい。シートロールは、感熱性粘着剤層が内側または外側となるように巻き取られたものである。このように、ロール状に巻き取られたシートロールにおいては、インクジェット記録媒体の上に感熱性粘着剤層が積層されることとなる。本発明では、感熱性粘着剤層は、室温条件などの通常保管条件下では、粘着性を示さないため、ロール状に巻き取った場合であっても、インクジェット記録媒体の上に感熱性粘着剤層が付着することがない。さらに、本発明では、耐ブロッキング性に優れた感熱性粘着シートをロール状に巻き取っているため、40℃、相対湿度90%という過酷条件下においた場合であってもインクジェット記録媒体と感熱性粘着剤層の間にブロッキングが起こることがない。
シートロールは、インクジェットプリンターにサーマルヘッドを取り付けたプリンターに装填し、シートロールを巻き戻しながら、インクジェット記録媒体にインクジェット印刷を施し、その後、感熱性粘着剤層にサーマルヘッドにより所定の位置に加熱処理を施すことによって、感熱性粘着シートと被着物の貼付を行うことができる。
(感熱性粘着シート付き容器)
本発明の感熱性粘着シートをガラス瓶、ポリプロピレン製やポリスチレン製等のプラスティク瓶、ペットボトル等の被着物に貼付することで、感熱性粘着シート付き容器としてもよい。商品名や注意表記が記載されたラベルが貼付したものは、そのラベルに記載された情報は非常に重要であるため、ラベルが剥離することがないことが好ましい。また、情報誤認を防ぐために、一旦貼付されたラベルは他の容器等に貼り直されることがないことが好ましい。また貼り直した場合には、その痕跡が残ることが好ましく、被記録材が破れてその一部が残る被記録材破壊となることが好ましい。本発明の感熱性粘着シートは、上記のような容器と強力に接着することができるため、情報誤認の心配がない。また、一旦剥がした感熱性粘着シートを再び貼り直すことができないため、情報誤認等が生じる恐れがない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
(固定可塑剤水分散液の調製)
固定可塑剤として、ビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート(融点93℃)100重量部、分散剤としてアニオン系界面活性剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)15重量部及び水80重量部を混合し、ボールミルを用いて平均粒子径2.2μmになるまで粉砕することにより、ビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレートの水分散液を得た。
(感熱性粘着剤組成物の調製)
上記で調製したビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレートの水分散液中に、熱可塑性樹脂としてのアクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリレート−スチレン−アクリル酸共重合体、ガラス転移温度Tg:25℃)の水系エマルジョン、粘着付与剤としての軟化点が160℃であるロジン樹脂の水系分散液及び水を加えて均一になるまで撹拌し、固形分濃度50重量%の感熱性粘着剤組成物を得た。このときの配合比は、固定可塑剤[ビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレート]100重量部に対して熱可塑性樹脂17重量部、粘着付与剤26重量部であった。
(インクジェット記録媒体)
晒クラフトパルプ100kg、軽質炭酸カルシウム25kg、カチオン澱粉200g、紙力増強剤100g、アルキルケテンダイマー系サイズ剤100gと水5000kgを混合し、長網抄紙機で湿紙を形成した後、ヤンキードライヤーの表面に片面を密着させて水分75%から10%まで乾燥させて58g/m2 の片艶紙(支持体シート−1)を得た。生成した紙は片面の王研式平滑度135秒、反対面の平滑度18秒であった。
2次粒子径2〜5μのものが70%以上である微粒子珪酸(ファインシール:徳山曹達)100部に水を加えて、高速攪はんを行った後、シラノール化ポリビニルアルコール(R−1130:クラレ)20部、カチオン性酢酸ビニル共重合体(ヨドゾール1E503K−4:カネボウNSC)10部、ポリエチレンイミン10部を添加しインク受容層塗料−1(濃度15%)を製造した。
支持体シート−1の片面に塗料−1を固形分10g/m2 塗工、乾燥し被記録シートを製造した。記録面の平滑度は100秒、ステキヒトサイズ度は10秒であった。またJIS B 0601によって測定される表面粗さRaは1.2μmであった。
(感熱性粘着シート)
上記で調製した感熱性粘着剤組成物を上記のインクジェット記録媒体の上に、バーコーターを用いて乾燥後の塗工量が10g/m2となるように塗工し、40℃で2.5分間乾燥させて感熱性粘着シートを得た。
(実施例2)
(固定可塑剤水分散液の調製)
実施例1と同様にして固定可塑剤水分散液を調製した。
(感熱性粘着剤組成物の調製)
熱可塑性樹脂の水系エマルジョンとして、アクリル系重合体(2−エチルヘキシルアクリレート−スチレン−アクリル酸共重合体、ガラス転移温度Tg:15℃)の水系エマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着剤組成物を調製した。
(インクジェット記録媒体)
実施例1と同様のインクジェット記録媒体を用いた。
(感熱性粘着シートの作製)
実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
(実施例3)
(固定可塑剤水分散液の調製)
実施例1と同様にして固定可塑剤水分散液を調製した。
(感熱性粘着剤組成物の調製)
熱可塑性樹脂の水系エマルジョンとして、ゴム系樹脂であるSBR0589[日本合成ゴム株式会社製、ガラス転移温度Tg:8℃(実測値)]の水系エマルジョンを用いた以外は実施例1と同様にして感熱性粘着剤組成物を調製した。
(インクジェット記録媒体)
実施例1と同様のインクジェット記録媒体を用いた。
(感熱性粘着シートの作製)
実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
(実施例4)
(固定可塑剤水分散液の調製)
実施例1と同様にして固定可塑剤水分散液を調製した。
(感熱性粘着剤組成物の調製)
実施例1と同様にして感熱性粘着剤組成物を調製した。
(インクジェット記録媒体)
市販の合成シリカ(ミズカシルP−78D:比表面積365m2/g;細孔半径87Å;平均粒子径8.0μm;水沢化学工業(株)製)65部、及び市販の合成シリカ(サイロイド♯244:比表面積300m2/g;細孔半径107Å;平均粒子径1.8μm;富士デヴィソン(株)製)35部をポリアミド樹脂(ポリフィックス3000:昭和高分子(株)製)の1%水溶液500部中にコーレス分散機を用いて分散混合した。次いでポリビニルアルコール(PVA−110:クラレ(株)製)の10%水溶液250部からなるバインダー溶液を添加し、更に蛍光染料を及び消泡剤を加えてインク受容層用塗液とした。坪量84g/m2,ステキヒトサイズ度2秒の酸性紙から成る基材上に4.5g/m2になるようこの塗液を塗抹乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行いインクジェット記録用紙を得た。またJIS B 0601によって測定される表面粗さRaは5.5μmであった。
(感熱性粘着シートの作製)
実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
(実施例5)
(固定可塑剤水分散液の調製)
実施例1と同様にして固定可塑剤水分散液を調製した。
(感熱性粘着剤組成物の調製)
実施例2と同様にして感熱性粘着剤組成物を調製した。
(インクジェット記録媒体)
実施例4と同様のインクジェット記録媒体を用いた。
(感熱性粘着シートの作製)
実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
(実施例6)
(固定可塑剤水分散液の調製)
実施例1と同様にして固定可塑剤水分散液を調製した。
(感熱性粘着剤組成物の調製)
実施例3と同様にして感熱性粘着剤組成物を調製した。
(インクジェット記録媒体)
実施例4と同様のインクジェット記録媒体を用いた。
(感熱性粘着シートの作製)
実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
(実施例7)
(インクジェット記録媒体)
ろ水度500mlCSFの広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を100%配合し、填料として重質炭酸カルシウムを3wt%、内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸(ASA)0.1wt%、内添サイズ剤、定着剤及び紙力増強剤としてカチオン化でんぷん(ナショナル・アンド・ケミカル社製、ケートF)を0.2wt%を配合し、記録用紙表面のpHが7.7になるよう抄紙した。
さらに、ゲートロールサイズプレス処理により、表面サイズ処理用の酸化でんぷん(王子コーンスターチ社製、エースA))を4g/m2 、塩化ナトリウム0.1g/cm2となるように塗工し、厚さ100μmのインクジェット記録媒体を得た。この記録用紙の坪量は64g/m2 で、密度は0.50、平滑度はFS(フェルトサイド)で22秒、WS(ワイヤサイド)で21秒、JIS B 0601によって測定される表面粗さRaは14.1μmであった。
上記のインクジェット記録媒体を用いる以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
(実施例8)
(インクジェット記録媒体)
木材パルプ(LBKP:ろ水度440mlCSF)100部、填料(炭酸カルシウム3:タルク1の比率)5部、市販サイズ剤0.04部、硫酸バンド0.45部、澱粉1.00部、歩留向上剤少々よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量170g/m2の紙基材を得た後、ドライヤー、サイズプレス、100kg/cmの線圧でスーパーカレンダー処理を施した。上記サイズプレス工程にはカルボキシル変性ポリビニルアルコールとデンプン(商品名:エースA、王子コーンスターチ(株)製)を4:1で混合溶解させたもの6.5%、外添サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(商品名:SPK−287、荒川化学工業(株)製)0.5%を含むサイズプレス液を使用した。得られた紙基材の厚さは195μmであった。
「シリカゾルの調製」
市販気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、平均一次粒子径9nm、比表面積300m2/g、(株)トクヤマ製)をサンドグラインダーにより水分散粉砕した後、ナノマイザー(商品名:ナノマイザー、ナノマイザー社製)を用いて、粉砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径80nmからなる10%分散液を調製した。
該分散液にカチオン性化合物として、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(商品名:PAS−J−81、日東紡績(株)製)10部を添加し、顔料の凝集と、分散液の増粘を起こさせた後、再度ナノマイザーを用いて、粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmからなる8%分散液を調製しシリカゾルを得た。
「下塗り層の形成」
上記紙基材上に、下記下塗り層用塗工液を、乾燥質量で9g/m2となるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥した。
[下塗り層用塗工液]
下塗り層用塗工液の組成は下記の通りである。
合成非晶質シリカ 100部
(商品名:ファインシールX−30、(株)トクヤマ製、平均二次粒子径3.2μm)シリル変性ポリビニルアルコール 20部
(商品名:R1115、クラレ(株)製)
ポリビニルアルコール 5部
(商品名:PVA145、クラレ(株)製)
蛍光染料 2部
(商品名:WhitexBPSH、住友化学(株)製)
カチオン性化合物 3部
(商品名:ユニセンスCP104)
「裏面塗工層の形成」
次に、紙基材裏面(下塗り層を形成していない面)上に、下記裏面塗工液1を、乾燥質量で0.13g/m2となるように、ロールコーターで塗工、乾燥した後、下記裏面塗工液2を、乾燥質量で0.1g/m2となるように、ロールコーターで塗工(アルキルケテンダイマーとポリエチレンエマルジョンの絶乾付着量0.12g/m2)、乾燥した。
[裏面塗工液1]
裏面塗工液1の組成は下記の通りである。
ポリビニルアルコール 13.5部
(商品名:PVA117、クラレ(株))
ポリビニルアルコール 13.5部
(商品名:T−330H、日本合成化学工業(株)製)
デンプン 51部
(商品名:エースA、王子コーンスターチ(株)製)
塩化ナトリウム 22部
アルキルケテンダイマー 10部
(商品名:SPK−287、荒川化学工業(株))
[裏面塗工液2]
裏面塗工液2の組成は下記の通りである。
アルキルケテンダイマー 25部
(商品名:SPK−287、荒川化学工業(株))
ポリエチレンエマルジョン 75部
(商品名:PEM17、サンノプコ(株)製)
塩化ナトリウム 18部
「インク受容層および光沢層の形成」
次に、エアナイフコーター、乾燥装置を有するキャスト塗工装置を用い、先ず得られた下塗り層上に下記インク受容層用塗工液を、乾燥質量で4g/m2となるように、エアーナイフコーターで塗工して、乾燥装置で乾燥した。続いて、下記光沢層用塗工液の塗布し、湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げ、光沢インクジェット記録媒体を得た。このときの光沢層の塗工量は乾燥質量で、2g/m2であった。この光沢インクジェット記録媒体のJIS B 0601によって測定される表面粗さRaは0.2μmであった。
[インク受容層用塗工液]
上記シリカゾル100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ(株)製)10部。
[光沢層用塗工液]
光沢層用塗工液の組成は下記の通りである。
ガラス転移点100℃のアクリルエマルジョンとコロイダルシリカとの複合体エマルジョン 100部
(商品名:アクアブリッド906、ダイセル化学工業(株)製、アクリルエマルジョン とコロイダルシリカは質量比で20:80、エマルジョンの粒子径は40nm)
カゼイン 5部
増粘剤 6部
離型剤(ステアリン酸) 5部
上記のインクジェット記録媒体を用いる以外は、実施例1と同様にして感熱性粘着シートを作製した。
(比較例1)
固定可塑剤の融点が65℃のジシクロヘキシルフタレートを用いる以外、実施例1と同様に実験して、感熱性粘着シートを得た。
(比較例2)
粘着付与剤の軟化点が125℃のロジン樹脂を用いる以外、実施例4と同様に実験して、感熱性粘着シートを得た。
(評価項目)
<耐ブロッキング性>
感熱性粘着シートを4枚準備し、マット面(表面)と感熱性粘着剤層(裏面)が接するように重ね、400g/cm2の荷重をかけて60℃の雰囲気下に24時間放置した後、以下の基準で耐ブロッキング性の評価を行った。その結果を表1に示した。
A:剥離抵抗なく剥離した。
B:剥離時に音を発しながら剥離した。
C:ブロッキングにより、紙破れした。
<接着強度>
得られた感熱性粘着シートを幅25mm、長さ125mmの大きさに切断して試験片とした。得られた感熱性粘着シートの試験片を120℃で30秒間加熱して粘着性を発現させ、厚さ2mmのポリプロピレン製の板上に置き、ゴムロールで2kgの荷重をかけて2往復することにより貼付した。これを23℃、50%RHの雰囲気下に1日放置した後、引張リ試験機(オリエンテック社製、テンシロンUCT−5T)を使用して、引張り速度300mm/分、剥離角度180°で粘着力を測定した。
A:粘着力が10N/25mm以上または粘着力測定中に基材破壊を起こし、粘着力が強かった。
B:粘着力が3N/25mm以上10N/25mm未満であり、中程度の粘着力を示した。
C:粘着力が3N/25mm未満であり、粘着力が弱かった。
Figure 2014177550
実施例1〜8では、十分な粘着力を有しつつも、耐ブロッキング性にも優れていることがわかる。特に、実施例1〜7では、JIS B 0601によって測定される表面粗さRaが、0.5〜30μmの範囲内にあるため、優れた耐ブロッキング性を示している。一方、比較例1および2では、耐ブロッキング性が低下していることがわかる。また、比較例1および2では、耐ブロッキング性が低下することにより、感熱粘着剤の一部の機能が低下したため粘着力も低下している。
なお、比較例3として、感熱性粘着剤の代わりに粘着性微球体を主体とする粘着剤分散液(東洋インキ(株)製「オリバインBPW4960」)を乾燥重量で12g/m2となるようにロールコーターで塗布する以外、実施例3と同様に実験して、感熱性粘着シートを得る代わりに再剥離性粘着シートを得た。比較例3の再剥離粘着シートを幅25mm、長さ125mmの大きさに切断して試験片とし、厚さ2mmのポリプロピレン製の板上に置き、ゴムロールで2kgの荷重をかけて2往復することにより貼付した。また再剥離粘着シートは加熱することなく試験片を厚さ2mmのポリプロピレン製の板上に置き、ゴムロールで2kgの荷重をかけて2往復することにより貼付した。これを23℃、50%RHの雰囲気下に1日放置した後、引張リ試験機(オリエンテック社製、テンシロンUCT−5T)を使用して、引張り速度300mm/分、剥離角度180°で粘着力を測定したところ、1N/25mmであった。また得られた再剥離粘着シートのブロッキング評価を実施例1と同様にして行ったところ、ブロッキングのレベルはCであり、不良であった。
本発明によれば、インクジェット記録媒体を有する感熱性粘着シートであって、十分な粘着強度を有しつつも、耐ブロッキング性に優れた感熱性粘着シートを得ることができる。このため、本発明の感熱性粘着シートを積層して積層シートとしたり、ロール状に巻き取って感熱性粘着シートロールとした場合であっても、層間の剥離力を一定以下とすることができる。このため、本発明は、感熱性粘着シートの貼付作業をスムーズに行うことができるため、被着物にラベルを貼る工程を有する製造業等において有用性が高い。
1 インクジェット記録媒体
2 感熱性粘着剤層(ディレードタック粘着剤層)
3 基材
4 インク受容層
10 感熱性粘着シート

Claims (11)

  1. インクジェット記録媒体と、前記インクジェット記録媒体の少なくとも一方の面に感熱性粘着剤層が形成されている感熱性粘着シートであって、
    前記感熱性粘着剤層は、固定可塑剤と、粘着付与剤と、熱可塑性樹脂とを含み、
    前記固定可塑剤の融点が70℃以上であり、前記粘着付与剤の軟化点が150〜180℃である感熱性粘着シート。
  2. 前記インクジェット記録媒体のJIS B 0601によって測定される表面粗さRaは0.5〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載の感熱性粘着シート。
  3. 前記固定可塑剤は、(i)ヒドロキシ化合物と多塩基酸との多エステル化合物、(ii)ポリヒドロキシ化合物と有機一塩基酸とのエステル化合物及び(iii)リン化合物から選択された少なくとも1種の成分である請求項1または2に記載の感熱性粘着シート。
  4. 前記固定可塑剤は、脂環式炭素環を有するアルコールと多塩基酸との多エステル化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱性粘着シート。
  5. 前記固定可塑剤は、ビス(シス−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル)フタレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱性粘着シート。
  6. 前記粘着付与剤は軟化点が150〜180℃のロジン誘導体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱性粘着シート。
  7. 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は−10〜25℃であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱性粘着シート。
  8. 前記固定可塑剤の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して、350〜800質量部であり、前記粘着付与剤の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して、100〜500重量部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱性粘着シート。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の感熱性粘着シートが積層されたことを特徴とする積層シート。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の感熱性粘着シートがロール状に巻き取られて形成されるシートロール。
  11. 前記感熱性粘着シートの感熱性粘着剤層側を内側にしてロール状に巻き取られることを特徴とする請求項10に記載のシートロール。
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