JP2014172891A - アルジネート印象採得用前処理材 - Google Patents

アルジネート印象採得用前処理材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、歯科用アルジネート印象材を用いた印象採得を行う際に使用する前処理材に関するものであり、アルジネート印象材を用いた連合印象において、各印象材の硬化タイミングを合わせる必要性がなく、且つ、精密な印象を採得することを可能にするアルジネート印象採得用前処理材を提案する。
【解決手段】(A)アルギン酸塩、(B)界面活性剤、(C)水を含み、その粘度が23℃で5〜80 Pa・sの範囲にあることを特徴とするアルジネート印象採得用前処理材とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用アルジネート印象材を用いた印象採得を行う際に使用する前処理材に関するものである。
歯牙等を修復するために、鋳造歯冠修復処理または欠損補綴処理等を必要とする際には、まず、支台歯等の型を取る。次に、その採得された型を用いて、石膏製等の模型を作製する。そして、その模型を元に補綴物を作製し、作製された補綴物を支台歯等に装着する。この支台歯等の型を印象と称し、印象を採得するための硬化材料を印象材と呼んでいる。この印象材として、アルジネート印象材、寒天印象材、シリコーンゴム印象材、ポリサルファイドゴム印象材、あるいは、ポリエーテルゴム印象材等が用いられる。その中でも、アルジネート印象材は、安価かつ取扱いが容易であるため、最も広く用いられている。
アルジネート印象材は、硬化後の硬化体が比較的柔らかく、印象採得後に印象物を口腔内から撤去する段階で生じる応力などによって変形し易いという特性を有しており、シリコーン印象材や、ポリエーテルゴム印象材等と比較して、印象精度が低いという欠点を有していた。その為、従来から、アルジネート印象材を用いて精密な印象採得を行う場合には、予め寒天印象材を、精密採得を行う歯牙周辺に塗布した後に、アルジネート印象を行う手法(寒天、アルジネート連合印象)を用いることが一般的である。
寒天印象材は、室温(20℃〜30℃)では、弾力のあるゴム様の固体であり、使用する際には予め、100℃に加熱する事によって、液状(ペースト状)化した後で、適温(50℃〜60℃)に保温した状態のものを使用する。寒天印象材を口腔内の歯牙周辺(30℃〜35℃)にセットすると、僅か数分程度で固化してしまう為、寒天印象材をセットしてから、アルジネート印象材による印象採得を行う時のタイミングが重要となる。アルジネート印象採得時に寒天が固化してしまうと、精密な印象を採得する事ができず、その場合には、最初からやり直すことになり、術者だけでなく、患者への負担も大きなものであった。また、寒天印象材の固化のタイミングと、アルジネート印象材の硬化のタイミングが僅かにずれた場合であっても、アルジネート印象材と寒天印象材との間で接着不良を生じ、印象硬化物を口腔内から撤去する際に、寒天印象材硬化物の浮き上がり等を生じてしまう場合がある。この場合、採得直後に失敗に気づく事は困難であり、採得した印象硬化体を用いて石膏模型を作製し、クラウン等の補綴物を作製した後、患者にセットする段階で、補綴物が適合しないといったトラブルが発生し、術者および患者に対して多大な損害を引き起こしてしまう可能性も有していた。
このように、連合印象は、未硬化の2種の材料(寒天印象材とアルジネート印象材)を重ね合わせる方法である為、両者が十分な流動性を有する時期に圧接することが必要である。しかしながら、前述したように、印象採得する領域が広範囲になる場合には、術者が、各印象材の硬化タイミングを適切な領域に合わせて印象採得をすることは非常に困難であると言える。
このような課題を克服するべく、寒天印象材の温度が目視確認できる寒天印象材用カートリッジを使用する事で、印象採得作業が容易かつ適確に失敗なく実施できるとして既に提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に示されている方法では、寒天印象材を歯牙にセットする際の寒天の温度を確認することはできるものの、歯牙にセット後においては、やはり、硬化のタイミングに注意する必要があり、根本的な解決手段と言えるものではなかった。
一方、少量のシリコーン印象材(或いは、寒天印象材)を歯牙に押圧し、その硬化物の上にシリコーン印象材とアルジネート印象材との間で接着能を有するポリエチレンフィルムと、ポリエチレン・ポリエステルフィルムを乗せてから、アルジネート印象材を用いて2回目の印象採得を行う方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、一回目に歯牙に塗布する印象材は、それ自体、放置しておくと短時間の内に硬化する材料であり、複雑な形状を有する歯牙の隅々まで少量の印象材が行き届くように塗布する為には、やはり、印象材の硬化タイミングに注意が必要であり、根本的な解決手段と言えるものでは無かった。また、硬化した1度目の印象材硬化体上に、フィルムを隙間やしわなどを生じないよう適切にセットする為には、術者に熟練を要し、操作性の観点からも、更なる改良が求められていた。
特開平7−116177号公報 特開2009−106672号公報
本発明は、アルジネート印象材を用いた連合印象において、各印象材の硬化タイミングを合わせる必要性がなく、且つ、精密な印象を採得することができる印象採得方法を提案する。
本発明者らは上記課題を克服すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、アルギン酸塩、界面活性剤、および、水を含み、その粘度が特定の範囲にある前処理材と、アルジネート印象材を用いて連合印象を行う事で、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明のアルジネート印象採得用前処理材は、(A)アルギン酸塩、(B)界面活性剤、(C)水を含み、粘度が23℃で5〜80 Pa・sの範囲にあることを特徴とする。
本発明のアルジネート印象採得用前処理材の一実施態様は、前記(A)アルギン酸塩が、β−Dマンヌロン酸及びα−Lグルロン酸を単位構造として含み、かつ、α−Lグルロン酸に対するβ−Dマンヌロン酸のモル比率であるM/G比率(β−Dマンヌロン酸のモル数/α−Lグルロン酸のモル数)が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の割合が、(A)アルギン酸塩全体の90質量%を超えて配合されることが好ましい。
本発明のアルジネート印象採得用前処理材の一実施態様は、前記(B)界面活性剤が、親水・親油バランス(HLB)が2.0〜6.0のポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
本発明のその他の実施態様は、前記アルジネート印象採得用前処理材と、アルジネート印象材とから構成されることを特徴とする印象キットである。
本発明のアルジネート印象採得用前処理材を用いてアルジネート連合印象を行う事で、歯冠部や歯頸部などの複雑な形状を有する部位においても精密な印象を容易に採得する事が可能となる。また、本発明のアルジネート印象採得用前処理材は、単体では硬化する事が無く、その後に圧接されるアルジネート印象材と接触した時に硬化が開始する為、2種の印象材の硬化タイミングを合わせる必要が無い。その為、印象対象物が広範囲に及ぶ多数歯の印象採得時においても、失敗する事無く、容易に精密な印象を採得する事が可能となり、極めて有望である。
β−D−マンヌロン酸(M)が連続的に結合して構成されるMMブロックの分子構造を示す図である。 α−L−グルロン酸(G)が連続的に結合して構成されるGGブロックの分子構造を示す図である。 アルギン酸分子中のGGブロック鎖同士が、カルシウムイオンを抱き込むように会合した会合部(Egg Box Junction)の一例を説明する模式図である。 印象精度の評価に用いた一対の金型について示す模式図である。 印象精度の評価方法を説明する模式図である。
本発明のアルジネート印象採得用前処理材は、(A)アルギン酸塩、(B)界面活性剤、(C)水を含み、その粘度が23℃で5〜80 Pa・sの範囲にあることを特徴とする。
本発明のアルジネート印象採得用前処理材の最大の特徴は、特定の範囲にある粘度を有し、且つ、アルギン酸塩がゲル化反応により硬化する為に必要なゲル化反応剤(カルシウムイオンを放出する硫酸カルシウムなど)を配合していないペースト状組成物を、アルジネート印象材採得用前処理材として使用することにある。
前処理材単独では硬化する事が無い為、印象を採得する歯牙に前処理材を塗布した後も、適切な粘度が維持される為、複雑な形状を有する歯冠部や歯頸部の隅々にまで前処理材が流れ込み、印象精度を大幅に向上させることが可能となる。
また、本発明の前処理材は、後のアルジネート印象材と接触する事で、アルジネート印象材中のカルシウムイオンが前処理材に移行し、硬化が開始する為、歯牙に塗布後、両者の硬化タイミングを合わせる必要性が無い。故に、前処理材を歯牙にセットしてから後のアルジネート印象採得を十分な余裕を持って行うことが可能となる。
また、アルギン酸塩として、特定のM/G比率を有するアルギン酸塩と、界面活性剤として、特定のHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する事で、硬化後の前処理材の強度が向上し、より精度の高い連合印象採得を行うことができる。
この理由は、定かでは無いが、特定のHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、連合印象の際に前処理材と接触するアルジネート印象材中のゲル化反応剤(硫酸カルシウムなど)から放出されるカルシウムイオンを速やかに、より親水性の高い前処理材中に移行、拡散し、更に、特定のM/G比率を有するアルギン酸塩を配合することで、前処理材中に供給されたカルシウムイオンとのゲル化反応が効率良く進行して、強固なゲルを早期に形成する為であると考えられる。
M/G比率が低い場合、β−D−マンヌロン酸(M)が連続的に結合して構成される平坦な形状のMMブロック(図1参照)の割合よりも、α−L−グルロン酸(G)が連続的に結合して構成される籠状のGGブロック(図2参照)の割合が相対的に大きくなる。このため、アルギン酸分子が、カルシウムイオンの存在下でゲル化した場合、図3に例示するように、アルギン酸分子中のGGブロック鎖同士が、カルシウムイオンを抱き込むように会合した会合部(Egg Box Junction)を形成し易くなる。このため、M/G比率の低いアルギン酸塩を用いた硬化物では、上述したように少量のカルシウムイオンの存在で強固なゲル強度を有する硬化物を得ることができると考えられる。なお、図3中、紐状の線として示されるアルギン酸分子において、符号GはGGブロック鎖を意味し、その他の部分はMMブロック鎖を意味する。また、黒丸印はカルシウムイオンを意味する。
以下、本実施形態のアルジネート印象採得用前処理材を構成する各成分について詳細に説明する。
(A)アルギン酸塩
本発明のアルジネート印象採得用前処理材に使用できるアルギン酸塩としては、従来のアルジネート印象材に利用されている公知のアルギン酸塩であれば特に制限無く利用できる。アルギン酸塩としては、たとえば、i)アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等のアルギン酸アルカリ金属塩、ii)アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン等のアルギン酸アンモニウム塩等が挙げられる。これらのアルギン酸塩の中でも、入手容易性、取扱い容易性、硬化物の物性等の観点から、アルギン酸アルカリ金属塩を用いることが好ましい。また、上記アルギン酸塩の中でも、β−Dマンヌロン酸及びα−Lグルロン酸を単位構造として含み、かつ、α−Lグルロン酸に対するβ−Dマンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内にあるアルギン酸塩を使用する事が、前述したように、前処理材硬化物の強度の観点から最も好ましい。
また、アルギン酸塩は、2種類以上を混合して用いることもできる。
ここで、アルギン酸塩のM/G比率の上限は一般に、2.5程度であり、上記M/G比率が0.4〜0.7の範囲内にあるアルギン酸塩と、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩を混合して用いる場合には、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩と、M/G比率が0.7を超えるアルギン酸塩との合計量に対して、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の含有量の割合が90質量%以上であることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
印象採得用前処理材の全量に対するアルギン酸塩の含有量は特に限定されないが、本発明のアルジネート印象採得用前処理材は、連合印象の際の操作性の観点から、23℃における粘度が5〜80 Pa・s、更に好ましくは、30〜60Pa・sの範囲に調整する必要がある。
本発明における前処理材の粘度は、以下のようにして求めることができる。
コーンプレート型粘度計(例えば、BOHLIN社製CSレオメーター CVO120HR)に前処理材を適量載せ、せん断速度0.1/sにて測定を開始し、測定開始から66秒後の粘度を読み取り、前処理材の粘度(η230.1/Pa・s(パスカルセック))とした。なお、粘度の測定条件は、コーン直径が2cm、コーンの傾斜角度は1°である。
粘度の調整は、使用するアルギン酸塩の配合量によって、適宜調整すれば良いが、一般的には、前処理材中におけるアルギン酸塩の含有量は1質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましい。混練物中におけるアルギン酸塩の含有量を1質量%以上とすることにより、硬化物のゲル強度を確保することが容易となる。また、前処理材中におけるアルギン酸塩の含有量を10質量%以下とすることにより、前処理材を歯牙に塗布する際の操作性を確保することが容易となる。
前処理材の粘度が5 Pa・sに満たない場合には、前処理材を歯牙に塗布した際に、前処理材が垂れ落ちてしまうなど、印象精度を低下させる原因となってしまう。また、前処理材の粘度が80 Pa・sを超えた場合には、前処理材を歯牙に塗布後、流動性が不足し、歯冠部や歯頸部などの複雑な形状を有する箇所の隅々にペーストが流れていかない為、印象精度が低下する原因となってしまう。
また、アルギン酸塩の分子量は特に限定されないが、ゲル強度及び操作性の観点からは、アルギン酸塩を1質量%含む水溶液の粘度が20mPa・s〜1000mPa・sの範囲内となる分子量が好ましく、状況によって適宜選択する事が好ましい。
(B)界面活性剤
本発明のアルジネート印象採得用前処理材に使用できる界面活性剤としては、公知の界面活性剤であれば特に制限なく利用でき、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、および、非イオン界面活性剤、のいずれも使用できる。
陰イオン界面活性剤としては、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等を挙げることができる。陽イオン界面活性剤としては、たとえば、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩等を挙げることができる。両性界面活性剤としては、たとえば、アミノカルボン酸塩等を挙げることができる。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ポリオキシジエチレンアルキルアミン、ポリシロキサン類とポリオキシエチレン類とのブロックポリマー等が挙げられる。
これらの中でも、HLB(親水・親油バランス)が2.0〜6.0の範囲にあるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いると、前述したように、前処理材硬化物の強度の観点から最も好ましい。
ここで言う、HLB値は下記の数式で表わされるGriffin法(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmists.,Chemists.,1,311(1949))により計算した値である。
HLB=20×(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの1又は2以上の水酸基を脂肪酸でエステル化したものである。ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、グリセリンの量体数、エステル化された水酸基の数、構成脂肪酸の種類により総合的に決まるものである。一般的には、グリセリンの量体数が多くなるほど、またエステル化された水酸基の数が少ないほど、構成脂肪酸の炭素数が少ないほどHLBは大きくなる傾向がある。構成脂肪酸としては、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であっても良い。一般に、構成脂肪酸は炭素数15〜22のもの、具体的には、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、エイカ酸、ベヘン酸等が好ましく、このうち印象採得用前処理材への分散性の観点から、炭素数16〜20のものがより好ましく、さらには炭素数18のステアリン酸、オレイン酸が最も好ましい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、2量体〜12量体のもの、すなわちジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、ウンデカグリセリン、ドデカグリセリンが好ましく、中でも、印象採得用前処理材への分散性の観点から、8量体〜10量体のオクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリンがより好ましい。
また、ポリグリセリン中のエステル化された水酸基の数については、グリセリンの量体数にもよるが、所望のHLBにするために適宜選択され、一般には、1置換〜8置換体が用いられる。本発明において特に好適に使用されるHLBが2.0〜6.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルを具体的に例示すると、ペンタグリセリンモノペンタデシル酸エステル、ペンタグリセリンモノパルミチン酸エステル、トリグリセリンモノマルガリン酸エステル、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンモノイソステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル、デカグリセリンペンタノナデカン酸エステル、デカグリセリン酸トリエイカ酸エステル、デカグリセリルトリベヘン酸エステル等が挙げられる。
上記したポリグリセリン脂肪酸エステルの中でも、印象採得用前処理材の分散性の観点から、HLB=3.0〜4.0の範囲にある、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル(HLB=3.5)、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル(HLB=3.5)、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル(HLB=3.5)を使用することが特に好ましい。
また、界面活性剤は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の配合量に関しては、特に限定されないが、(A)アルギン酸塩100質量部に対して、10質量部〜500質量部の範囲内が好ましく、50質量部〜100質量部の範囲内がより好ましい。
(C)水
本発明の印象採得用前処理材に使用される水は、アルジネート印象材と接触した際に、アルジネート印象材中のゲル化反応剤から溶出されるカルシウムイオンを前処理材中に移行させ、前処理材中のアルギン酸塩とカルシウムイオンによるゲル化反応を促進する機能と、前処理材の粘度を適度な範囲に調整させる機能を有する。
本発明の印象採得用前処理材に使用される水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等が利用できる。水の使用量は、印象採得用前処理材中において、アルギン酸塩100質量部に対して、100質量部〜10000質量部の範囲内で用いることが好ましく、500質量部〜3000質量部の範囲内で用いることがより好ましい。
[添加剤]
本実施形態のアルジネート印象採得用前処理材には、以上に説明した各成分以外にも、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、たとえば、香料、着色量、抗菌剤、防腐剤、pH調整剤等が挙げられ、これらから、選択されるいずれか1種または複数種の添加剤を必要に応じて配合することができる。
[印象採得用前処理材の使用態様]
本実施形態のアルジネート印象採得用前処理材の調整方法は、特に限定されるものではないが、例えば、下記のようにして調整することができる。すなわち、(A)アルギン酸塩、(B)界面活性剤、(C)水を量りとり、均一なペーストとなるまで混練すれば良い。
また、上記したアルジネート印象採得用前処理材の製造方法は、特に制限されるものではないが、ペースト製造に利用できる公知の攪拌混合機を用いて、製造することができる。ここで、攪拌混合機としては、たとえば、ボールミルのような回転容器型混合混練機、リボンミキサー、コニーダー、インターナルミキサー、スクリューニーダー、ヘンシェルミキサー、万能ミキサー、レーディゲミキサー、バタフライミキサー、等の水平軸または垂直軸を有する固定容器型の混合混練機を利用することができる。
本実施形態の印象採得用前処理材は予め大量に調整しておき、アルミパックなどの包装容器に密封保存された形態で保管しておくと、長期間保存が可能となるので好ましい。更に、先端からペーストを吐出することができるシリンジタイプの密封容器に1回の連合印象に使用する量の前処理材を密封充填しておけば、長期保存と共に、操作性も向上させることが可能である。
本実施形態のアルジネート印象採得用前処理材の使用方法は、特に限定されるものではないが、例えば、下記のようにして使用することができる。すなわち、アルジネート印象材を用いて印象採得する直前に、本実施形態の前処理材を印象採得する歯牙を包み込むように塗布した後、印象採得用のトレーにアルジネート印象材をとり、前処理材を塗布した印象採得部に圧接し、印象材が硬化するまで放置(通常は2分〜5分)した後、歯牙から印象物を撤去すれば良い。
[印象採得用前処理材の塗布量]
本発明の前処理材の塗布量(厚み)は、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、前処理材中のアルギン酸塩と、アルジネート印象材から移行されるカルシウムイオンとのゲル化反応の観点から、前処理材の塗布厚みが、1cm以内である事が好ましく、更に好ましくは、0.5cm 以内である。前処理材の塗布厚みが1cmを超えると、前処理材中のアルギン酸塩と、アルジネート印象材から移行されるカルシウムイオンとのゲル化反応効率が低下し、最下層部のゲル強度が不足する傾向にある。
[アルジネート印象材]
本発明のアルジネート印象採得用前処理材と合わせて使用することができるアルジネート印象材としては、市販されている公知のアルジネート印象材が何ら制限無く使用する事ができる。
アルジネート印象材は、その包装の状態から粉末タイプ及びペーストタイプの二種類に分類される。粉末タイプのアルジネート印象材は、アルギン酸カリウムやアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩;硫酸カルシウム2水塩や硫酸カルシウム半水塩、硫酸カルシウム無水塩などのゲル化反応剤;リン酸3ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどのゲル化調節剤;珪藻土などの充填材;酸化亜鉛、酸化マグネシウム、フッ化チタンカリウム等の無機化合物、を主成分とした粉末混合体であり、使用直前に必要分だけ歯科医師、或いは歯科衛生士らが規定量の印象材粉末と水とを練和してペースト化して印象採得に用いるものである。一方、ペーストタイプの印象材は、上記アルギン酸塩と充填材とを予め水を含む溶液均一なペースト状とした基材ペーストと、ゲル化反応材とゲル化調節剤、充填材、無機化合物、とを疎水性溶媒を用いてペースト化した硬化材ペーストとからなり、使用直前に両者を規定量量りとり、練和混合して均一なペーストとした後に印象採得に用いるものである。本実施形態のアルジネート印象採得用前処理材と合わせて連合印象をおこなうものとしては上記の粉末タイプとペーストタイプのいずれも使用する事ができる。
[印象採得キット]
本実施形態の印象キットは、本発明のアルジネート印象採得用前処理材及び、上記に示した粉末タイプもしくはペーストタイプ何れかのアルジネート印象材とを組み合わせたキットである。
以下に本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
[原料の略称]
後述する実施例および比較例のアルジネート印象用前処理材の作製に用いた各種原料の略称は以下の通りである。
1.アルギン酸塩
Alg−1:アルギン酸カリウム
M/G比率=1.6、1質量%水溶液粘度500mPa・s
Alg−2:アルギン酸ナトリウム
M/G比率=1.6、1質量%水溶液粘度500mPa・s
Alg−3:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.4、1質量%水溶液粘度500mPa・s
Alg−4:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5、1質量%水溶液粘度500mPa・s
Alg−5:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.7、1質量%水溶液粘度500mPa・s
Alg−6:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5、1質量%水溶液粘度950mPa・s
Alg−7:アルギン酸カリウム
M/G比率=0.5、1質量%水溶液粘度30mPa・s
2.界面活性剤
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
POEMPE:ポリエチレンメチルフェニルエーテル
DGMRE:デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=15.5)
DGTOE:デカグリセリントリオレイン酸エステル(HLB=7.0)
HGSE:ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル(HLB=2.5)
DGSE:デカグリセリンペンタステアリン酸エステル(HLB=3.5)
DGOE:デカグリセリンペンタオレイン酸エステル(HLB=3.5)
DIGMOE:ジグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=5.5)
3.アルジネート印象材
製品A:硬化材、基材共に「トクヤマAP−1ペースト」を使用したペーストタイプアルジネート印象材(トクヤマデンタル社製)
製品B:粉末タイプアルジネート印象材(トクヤマデンタル社製)
製品C:粉末タイプアルジネート印象材の他社品
製品D:粉末タイプアルジネート印象材の他社品
4.寒天印象材
製品E:市販されている寒天印象材
製品F:市販されている寒天印象材
製品G:市販されている寒天印象材
[評価方法]
後述する実施例および比較例のサンプルについての「粘度」、「印象精度」、ならびに、「印象面評価」の評価方法は、以下の通りである。
(1)粘度の測定
コーンプレート型粘度計(BOHLIN社製CSレオメーター CVO120HR)に前処理材を適量載せ、23℃で保持しながら粘度の測定を開始し、せん断速度0.1/sでの測定開始から66秒後の粘度をη230.1/Pa・s(パスカルセック)とした。なお、粘度の測定条件は、コーン直径が2cm、コーンの傾斜角度は1°とした。
(2)印象精度
印象精度の評価に際しては、図4に示す一対の金型を使用した。ここで、図4に示すように、印象精度の評価に用いた一対の金型は、第一の金型10および第二の金型20からなる。第一の金型10は2つの凹部12R,12Lを有し、第二の金型20は、2つの凸部22R、22Lを有する。また、第一の金型10および第二の金型20は、図4に示すように凹部12Rと凸部22R、および、凹部12Lと凸部22L、が一致するように第一の金型10と第二の金型20とを勘合させた場含、両者は実質的に隙間無く勘合できる寸法精度を有する。なお、凸部22R、22Lの形状および寸法は、ブリッジ冠の作製を想定したものであり、凸部22R、22Lの高さHは10mm、頂部の幅Wは8mmである。
調整した各本発明のアルジネート印象用前処理材を、上記第二の金型20の凸部22Rおよび22Lを包み込むように、塗布厚みが1mm〜5mmの範囲に収まるように塗布したあとで、ストッブウオッチのボタンを押して、時間の計測を開始した。
つぎに、連合印象に使用するアルジネート印象材がペーストタイプである場合には、予め調整した基材ペーストおよび硬化剤ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル杜製)を用いて混錬した。また、紛末タイプのアルジネート印象材である場合には、予め、粉末成分を均一な粉末状になるまで混ぜ合わせたものを、使用直前に、液成分と混合し、手練和により、均一なペースト状になるまで混錬した。
その後、第二の金型20を完全に収納できるサイズの樹脂製トレーに、アルジネート混練物を流し込んだ後、表面をならした。そして、アルジネート印象用前処理材を第二の金型20に塗布してからの時間が所望の時間(15秒後、30秒後、1分後、2分後、5分後)になった時点で、第二の金型20を、凸部22R、22Lが設けられた面が下側を向くようにして、樹脂製トレー内に配置された混練物に圧接させた。この状態で、3分間放置して混練物を硬化させ、その後、第二の金型20を除去することで印象を採得した。
次に、印象を採得した後の硬化物の印象採得部に印象槙型作製用の超硬石膏(GC杜製ニューフジロック)を流し込んだ後、底に水を張った密封容器からなる湿度80%以上に保たれた保湿箱内に、1時間放置し、石膏を硬化させた。
その後、図5に示すように、石膏模型30の凸部32R、32Lが設けられた側の面と、第一の金型10の凹部12R、12Lが設けられた側の面とを勘合させた状態で、石膏模型30と第一の金型10との間に形成される隙間長さを顕微鏡(KEYENCE杜製レーザー顕微鎧VK‐8700)を用いて測定した。なお、隙間長さの測定は、図2に示すように、(1)凹部12Lの底面と、この底面に対向する凸部32Lの頂面との間において、その両端近傍の2点(図2中の符号A、Bで示す位置)、 (2)凸部32Rと凸部32Lとの問の領域において、第一の金型10の表面と、この表面に対向する石膏模型30の表面との間において、その両端近傍の2点(図2中の符号C、Dで示す位置)、および、(3)凹部12Rの底面と、この底面に対向する凸部32Rの頂面との間においてその両端近傍の2点(図2中の符号E、Fで示す位置)について各々測定した。そして、A点〜F点で測定した6つの隙間長さの平均値を「印象精度」として求めた。なお、図5において、石膏模型30の代わりに第二の金型20を用いた場合に、上述した場合と同様にして求めた「印象精度」は、5.0μmである。
後述する表中の「印象精度」の欄に示す「15秒後」、「30秒後」、「1分後」、「2分後」、「5分後」は、本発明のアルジネート印象用前処理材を塗布してから、アルジネート印象材を用いて連合印象を行うまでの時間を、15秒後、30秒後、1分後、2分後、及び5分後とした場合の結果を示すものである。
(3)印象面評価
調整した各本発明のアルジネート印象用前処理材を、上記第二の金型20の凸部22Rおよび22Lを包み込むように塗布したあとで、ストッブウオッチのボタンを押して、時間の計測を開始した。
つぎに、連合印象に使用するアルジネート印象材がペーストタイプである場合には、予め調整した基材ペーストおよび硬化剤ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル杜製)を用いて混錬した。また、紛末タイプのアルジネート印象材である場合には、予め、粉末成分を均一な粉末状になるまで混ぜ合わせたものを、使用直前に、液成分と混合し、手練和により、均一なペースト状になるまで混錬した。
その後、第二の金型20を完全に収納できるサイズの樹脂製トレーに、アルジネート混練物を流し込んだ後、表面をならした。そして、アルジネート印象用前処理材を第二の金型20に塗布してからの時間が所望の時間(15秒後、30秒後、1分後、2分後、5分後)になった時点で、第二の金型20を、凸部22R、22Lが設けられた面が下側を向くようにして、樹脂製トレー内に配置された混練物に圧接させた。この状態で、3分間放置して混練物を硬化させ、その後、第二の金型20を除去することで印象を採得した。
つぎに、印象を採得した後の硬化物の印象採得面および、第二の金型20の印象採得部を目視により、観察し、下記評価基準に従って、印象面の様子を評価した。
印象面評価基準:
○:第二の金型20の印象採得部に、前処理材或いはアルジネート印象材硬化体が全く残っておらず、印象採得後の硬化物の印象面は、光沢のある滑らかな状態である。
△:第二の金型20の印象採得部に、一部の前処理材硬化体が残っており、印象採得後の硬化物の印象面は、光沢のないザラザラとした状態(面荒れを生じている)である。
×:前処理材とアルジネート印象材が全く接着しておらず、第二の金型20の印象採得部に、前処理材硬化体のすべてが残ってしまう。
なお、後述する表中の「印象面評価」の欄に示す「15秒後」、「30秒後」、「1分後」、「2分後」、「5分後」は、本発明のアルジネート印象用前処理材を塗布してから、アルジネート印象材を用いて連合印象を行うまでの時間を、15秒後、30秒後、1分後、2分後、及び5分後とした場合の結果を示すものである。
実施例1
(A)アルギン酸塩として、100gのAlg−1、(B)界面活性剤として、80gのDGOE、(C)水として、1820gの蒸留水を量りとり、小型混練器(アイコー産業社製アイコーミキサー)を用いて1時間混練し、前処理材1を調整した。
調整した前処理材1の粘度を測定した後、前処理材1と、アルジネート印象材「製品A」を用いて、印象面評価、及び印象精度の評価を行った。
実施例2〜実施例28
前処理材、およびアルジネート印象材を、表3に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、前処理材の粘度の測定、印象面評価、及び印象精度の評価を行った。
比較例1〜比較例8
前処理材、およびアルジネート印象材を、表4に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、前処理材の粘度の測定、印象面評価、及び印象精度の評価を行った。
実施例1〜実施例28および比較例1〜比較例8の前処理材の組成及び粘度を、表1、及び表2に示す。また、実施例1〜実施例28および比較例1〜比較例8の印象面評価、及び印象精度の評価結果を表3、及び表4に示す。
Figure 2014172891
Figure 2014172891
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実施例1〜実施例28は、本発明の要件すべてを満足するように実施したものであるが、何れの場合においても、前処理材塗布後の放置時間に影響される事無く、前処理材とアルジネート印象材とが十分に接着し、良好な印象採得面が得られている。また、印象精度においても、良好な結果が得られている。また、(A)アルギン酸塩として、M/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩、(B)界面活性剤として、HLBが2.0〜6.0のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた場合、アルジネート印象材中のカルシウムイオンの前処理材中への移行が速やかに行われ、且つ、アルギン酸塩との反応効率が向上し、強固なゲルが形成される為、より高い印象精度が得られている。
これに対して、比較例1〜比較例3は、本発明のアルジネート印象用前処理材を使用しない代わりに、市販の寒天印象材を用いて連合印象を行った場合であるが、寒天印象材塗布後15〜30秒後においては良好な印象採得面が得られるものの、1分以上経過した場合においては、アルジネート印象材を用いて連合印象を行う前に寒天印象材が既に硬化してしまう為、十分な印象採得面を得ることができない。また、寒天印象材塗布後15秒〜30秒後に連合印象を行った場合においても、本発明の前処理材を使用した場合と比較すると、印象精度が低下している。
比較例4〜比較例7は、本発明のアルジネート印象用前処理材の必須成分すべて配合されているものの、前処理材の粘度が本発明の要件を満たさない場合であるが、粘度が80 Pa・sを超える場合には、前処理材が模型の細部(歯台の角部)などに流れ込む事ができず、気泡痕などを生じる為、印象精度が大幅に低下している。また、粘度が5 Pa・sに満たない場合には、塗布後に、前処理材が模型から流れ落ちてしまう為、前処理材を模型上に適切に盛り付けることができず、印象精度が大幅に低下している。
比較例8は、本発明の必須成分である(B)界面活性剤を配合していない前処理材を用いて連合印象を行った場合であるが、前処理材とアルジネート印象材との馴染みが不十分な為、アルジネート印象材と接触した際に、十分な量のカルシウムイオンが前処理材中に供給されず、前処理材硬化物のゲル強度が不足した結果、印象精度が大きく低下している。

Claims (4)

  1. (A)アルギン酸塩、(B)界面活性剤、(C)水を含み、粘度が23℃で5〜80 Pa・sの範囲にあることを特徴とするアルジネート印象採得用前処理材。
  2. 前記(A)アルギン酸塩が、β−Dマンヌロン酸及びα−Lグルロン酸を単位構造として含み、かつ、α−Lグルロン酸に対するβ−Dマンヌロン酸のモル比率であるM/G比率が0.4〜0.7の範囲内であるアルギン酸塩の割合が、(A)アルギン酸塩全体の90質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルジネート印象採得用前処理材。
  3. 前記(B)界面活性剤が、親水・親油バランス(HLB)が2.0〜6.0のポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルジネート印象採得用前処理材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルジネート印象採得用前処理材と、アルジネート印象材とから構成されることを特徴とする印象キット。
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