JP6063940B2 - 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット - Google Patents

硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット Download PDF

Info

Publication number
JP6063940B2
JP6063940B2 JP2014526875A JP2014526875A JP6063940B2 JP 6063940 B2 JP6063940 B2 JP 6063940B2 JP 2014526875 A JP2014526875 A JP 2014526875A JP 2014526875 A JP2014526875 A JP 2014526875A JP 6063940 B2 JP6063940 B2 JP 6063940B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paste
alginate
material paste
curable composition
acid ester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014526875A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014017360A1 (ja
Inventor
浩司 松重
浩司 松重
友康 永沢
友康 永沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Original Assignee
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKUYMA DENTAL CORPORATION filed Critical TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Publication of JPWO2014017360A1 publication Critical patent/JPWO2014017360A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6063940B2 publication Critical patent/JP6063940B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/80Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth
    • A61K6/849Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising inorganic cements
    • A61K6/858Calcium sulfates, e.g, gypsum

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Plastic & Reconstructive Surgery (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)

Description

本発明は、硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キットに関するものであり、より詳細には、歯科用アルジネート印象材や家畜用乳頭パックなどの用途に使用されるアルジネート硬化性組成物を調製するために使用される硬化材ペースト、及び該硬化材ペーストが使用されているアルジネート硬化性組成物調製用キットに関するものである。
歯牙等を修復するために、鋳造歯冠修復処理または欠損補綴処理等を必要とする際には、まず、支台歯等の型を取る。次に、その採得された型を用いて、石膏製等の模型を作製する。そして、その模型を元に補綴物を作製し、作製された補綴物を支台歯等に装着する。
この支台歯等の型を印象と称し、印象を採得するための硬化材料を印象材(impression material)と呼んでいる。この印象材として、アルジネート印象材、寒天印象材、シリコーンゴム印象材、ポリサルファイドゴム印象材、あるいは、ポリエーテルゴム印象材等が用いられる。その中でも、アルジネート印象材は、安価かつ取扱いが容易であるため、最も広く用いられる。
アルジネート印象材を用いて印象を採得する作業は、以下の手順で行う。まず、歯列を模した印象用トレーに、アルジネート印象材を構成する各成分を混練した印象材(即ち、アルジネート硬化性組成物)を盛り付ける。次に、口腔内の歯牙を包み込むように、印象材を盛り付けたトレーを歯牙に押し付ける。そして、アルジネート印象材が硬化した後に、アルジネート印象材とトレーとを一体として歯牙から外して、口腔外に撤去する。
アルジネート印象材は、使用に際して、アルギン酸塩、硫酸カルシウム等のゲル化反応剤や水を混練して使用される。このようなアルジネート印象材は、その保存形態によって、2つに分類される。
一つは、水を除いた固形分を粉末状として保存しておき、使用時に水を混練する粉末タイプである。もう一つは、アルギン酸塩と水とを主成分とするペースト(基材ペースト)とゲル化反応剤を主成分とするペースト(硬化材ペースト)とに分けて保存しておき、使用時に、これら2種のペーストを混練するペーストタイプである。
粉末タイプのアルジネート印象材では、混練作業に際して、手作業による熟練の技が要求される。
これに対して、ペーストタイプのアルジネート印象材は、基材ペーストと硬化材ペーストとを混練する専用の混練装置を用いることにより、容易に混練作業の自動化・省力化が図れる。このため、近年では、粉末タイプのアルジネート印象材に代わってペーストタイプのアルジネート印象材が普及しつつある。
このようなペーストタイプのアルジネート印象材は、通常、基材ペーストおよび硬化材ペーストの双方が、アルミパックなどの包装容器に密封保存された形態で、歯科医師や歯科衛生士などの利用者に提供される。ここで、混練作業に際しては、基材ペーストの包装容器の開口部を混練装置の基材ペースト注入口に連結し、かつ、硬化材ペーストの包装容器の開口部を混練装置の硬化材ペースト注入口に連結する。そしてこの状態で、各々の包装容器から混練装置内へと供給された2種類のペーストが、混練装置内で自動的に混練された後、混練物が、混練装置外へと排出される。これにより、利用者は、混練物(硬化性組成物)を得ることができる(例えば、特許文献1〜特許文献3)。それゆえ、このような混練処理を行う際に、包装容器内のペーストを、混練装置内へとスムーズに供給できるように、包装容器内のペーストは、均一に分散され、且つ、適度な流動性を有している必要がある。
特に、硬化材ペーストは、石膏(硫酸カルシウム)などの大量の粉末成分を溶剤に分散させてペースト化したものであり、粉末成分の分散性が重要である。分散性が不十分だと、粉材と液材の分離を生じ、印象性能への悪影響を生じてしまう。また、製造直後の段階では粉成分が十分分散されていても、ペーストの粘度が低い場合には、保管中に粉成分が沈降分離を生じてしまい、保存安定性上の問題を生じてしまう。粉成分の沈降分離を抑制する為には、ペーストの粘度を高くする事が対策として考えられるが、ペーストの粘度を高くすると、混練装置からペーストを吐出する事ができなくなってしまう。このように、従来技術では、ペーストの保存安定性(粉成分の沈降分離抑制)と、ペーストの流動性(混練装置からの吐出性)の両立はなされておらず、粘度が高い状態においても、流動性が確保された硬化材ペーストの開発が強く求められていた。
界面活性剤を硬化材ペーストに配合する技術は公知であり、例えば、特許文献4及び5では基材ペーストとの混和性を良好にする観点から、硬化材ペーストに界面活性剤、具体的にはデカグリセリントリオレイン酸エステル等を配合する技術が実施例として開示されている。しかしながら、この文献には、上記したペーストの保存安定性(粉成分の沈降分離抑制)とペーストの流動性を両立させる目的は記載も示唆もされておらず、実際、上記具体的に示される界面活性剤はHLBが7.0のものであり、これらを用いたのでは該物性の改善効果は十分ではなかった。
また、アルジネート印象材のような硬化性組成物(アルジネート硬化性組成物)は、家畜用乳頭パックの用途にも適用されている(特許文献6参照)。
このような家畜用乳頭パックは、家畜の乳房炎の感染予防に使用されるものであり、上記のような硬化性組成物を牛等の家畜の乳頭に塗布し硬化皮膜を形成することにより、乳房炎に感染し易い乾乳期(dry period)の一定期間、乳頭を保護するというものである。これにより、乳頭からの菌の侵入を防止し、乳房炎への感染を予防できる。
かかる乳頭パックに使用されるペーストタイプのアルジネート硬化性組成物においても、印象材として使用する場合と同様、硬化材ペーストの保存安定性や流動性(硬化材ペーストと基材ペーストとの混和性)についての改善が求められている。
特開2001−112785号公報 特開2001−200778号公報 特開2002−263119号公報 特開2008−222672号公報 特開2012−106937号公報 特開2006−50911号公報
本発明は、アルジネート硬化性組成物の調製に用いる硬化材ペーストにおいて、従来困難であった、保存安定性(粉成分の沈降分離抑制)とペーストの流動性を両立させることを目的とする。
本発明者らは上記課題を克服すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、硬化材ペーストに特定の界面活性剤を配合することで、上記課題が解決できることを見出した。
本発明によれば、
(A)硫酸カルシウム、
(B)HLBが2.0〜6.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル、
(C)難水溶性分散媒、
を含むことを特徴とする硬化材ペーストが提供される。
本発明の硬化材ペーストにおいては、
(1)前記難水溶性分散媒が、20℃の水100gに対する溶解度が5g以下のものであること、
(2)ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を、硫酸カルシウム(A)100質量部当り1〜50質量部の量で含んでいること、
(3)難水溶性分散媒(C)を、硫酸カルシウム(A)100質量部当り10〜200質量部の量で含んでいること、
(4)ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステルから選ばれる少なくとも1種であること、
(5)下記式(1);
TI=η/η (1)
式中、ηは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度0.1/s
で測定した粘度(25℃)であり、
ηは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度1.0/s
で測定した粘度(25℃)である、
で定義されるチキソトロピー指数TIが1.5以上であること、
が好適である。
本発明によれば、また、(D)アルギン酸塩及び(E)水を含む基材ペーストと上記硬化材ペーストとからなるアルジネート硬化性組成物調製用キットが提供される。
かかるアルジネート硬化性組成物調製用キットにおいては、前記硬化材ペーストまたは前記基材ペーストの少なくとも何れか一方にトレハロースが配合されていることが好ましい。
上記のアルジネート硬化性組成物調製用キットは、歯科用アルジネート印象材或いは家畜用乳頭パックの形成に使用される。
本発明の硬化材ペーストは、(A)硫酸カルシウム及び(C)難水溶性分散媒に加えて、(B)HLBが2.0〜6.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含んでおり、この結果、高いチキソトロピー性を有している。例えば、前記式(1)で定義されるチキソトロピー指数TIは1.5以上である。従って、この硬化材ペーストは、静置時には1000ポイズを超える高い粘度を有する。このため、包装容器中に密封保存された状態でのペースト中の固形分(硫酸カルシウム)の沈降分離を長期間に渡って抑制できる。また、この硬化材ペーストに高い負荷がかかった時には、粘度が大きく減少し、高い流動性を示し、押し出しなどにより混練装置からスムーズに安定に吐出せしめることができ、基材ペーストとの混和性も良好である。
従って、本発明の硬化材ペーストは、この硬化材ペーストが包装された容器と、(D)アルギン酸塩及び(E)水を含む基材ペーストが包装された容器とからなるアルジネート硬化性組成物調製用キットとして使用に供される。
即ち、このキットに含まれる硬化材ペーストと基材ペーストとを混練装置等を用いて調製される硬化性組成物は、一定時間経過後に硬化するため、調製後、直ちに所定の部位に施し、硬化せしめることにより、硬化物表面に所定の部位の表面を反映させることができる。従って、このようなアルジネート硬化性組成物調製用キットは、印象材としての用途に好適に使用され、特に歯科用印象材としての使用に最適である。
また、上記のアルジネート硬化性組成物は、家畜用乳頭パックの用途にも好適に適用される。即ち、家畜乳頭パックの用途に適用される硬化性組成物には、
(i)皮膜形成力が高いこと、
(ii)乳頭表面に対する密着性が大きいこと、
(iii)被膜形成後、乳頭口から滲出してくる乳液中に含まれているカルシウムイオンにより過硬化を発生しないこと(過硬化を発生すると皮膜にしわやクラックが発生し、乳頭の保護効果が損なわれてしまう)、
(iv)使用後は容易に剥がせること、
等の特性が望まれているが、上記のアルジネート硬化性組成物は、これらの特性にも優れている。
特に、家畜用乳頭パックにおいては、1回の皮膜形成に使用される硬化性組成物の使用量は、前述した歯科印象材における1回の型取りに使用される量に比して著しく少ない。しかるに、前述した本発明の硬化性ペーストは、チキソトロピー性が高く、高負荷時には高い流動性を示し、低負荷時には流動性が著しく低いため、1回の使用時の使用量が多い場合及び少ない場合の何れにおいても容易に且つ精度よく量調整を行うことができる。即ち、本発明の硬化材ペーストは、歯科用印象材及び家畜用乳頭パックの何れの用途にも使用することが可能であり、これは、本発明の大きな利点である。
<硬化材ペースト>
本発明の硬化材ペーストは、アルギン酸(D)及び水を含む基材ペーストと混練することにより、例えば印象材(特に歯科用)や家畜用乳頭パックなどの用途に適用されるアルジネート硬化性組成物を形成するものである。
このような硬化材ペーストは、硫酸カルシウム(A)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)及び難水溶性分散媒(C)を必須成分として含み、さらに必要に応じて配合される他の配合剤を含む。
以下、硬化材ペーストに配合される各成分について説明する。
(A)硫酸カルシウム;
硫酸カルシウムは、硬化材ペースト中の主成分であり、ゲル化反応剤とも呼ばれる成分である。即ち、この成分は、後述する基材ペースト中のアルギン酸塩と水の存在下で反応して硬化物を形成する。
硫酸カルシウムとしては、2水塩、半水塩、無水塩等が知られているが、本発明においては、これらの何れも使用することができ、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
硬化材ペースト中の硫酸カルシウムの配合量は、特に制限されないが、後述する基材ペーストと混練する際には、例えば、基材ペースト中のアルギン酸塩(A)100質量部当り、無水塩換算での硫酸カルシウムが10〜2000質量部、特に100〜1000質量部の量となるように、硬化材ペーストが使用される。
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル;
本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、この硬化材ペーストにチキソトロピー性を付与するためのノニオン系界面活性剤であり、特にHLB(親水親油バランス)が2.0〜6.0の範囲にあるものが選択的に使用される。例えば、アニオン系やカチオン系の界面活性剤、或いはHLBが、上記範囲外のノニオン系界面活性剤を使用した場合には、目的とする高いチキソトロピー性は発現しない。
また、上記の範囲のHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が使用された硬化材ペーストでは、基材ペーストとの混練物から得られる硬化物の過硬化を抑制し、皮膜形成能を高めることができるという利点も有している。即ち、硬化材ペーストと後述する基材ペースト(アルギン酸塩の水性ペースト)との混練物中での難水溶性分散媒(C)の流動が円滑になるために、硫酸カルシウム(A)とアルギン酸塩(D)との硬化が、混練物全体にわたって均一に進行するために、局部的な硬化が防止され、結果として過硬化が抑制されるものと思われる。
本発明において、HLB値は下記の数式で表わされるGriffin法(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmists.,Chemists.,1,311(1949))により計算した値である。
HLB=20×(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの1又は2以上の水酸基を脂肪酸でエステル化したものである。ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、グリセリンの量体数、エステル化された水酸基の数、構成脂肪酸の種類により総合的に決まるものである。一般的には、グリセリンの量体数が多くなるほど、HLBは大きくなり、エステル化された水酸基の数が多いほど、また、構成脂肪酸の炭素数が多いほどHLBは小さくなる傾向がある。
本発明では、HLBが2.0〜6.0であれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸としては特に限定されるものではなく、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であっても良い。一般に、構成脂肪酸は炭素数15〜22のもの、具体的には、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、エイカ酸、ベヘン酸等が好ましく、このうち硬化材ペーストへの分散性の観点から、炭素数16〜20のものがより好ましく、さらには炭素数18のステアリン酸、オレイン酸が最も好ましい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、HLBが上記範囲内である限りにおいて、2量体〜12量体のもの、すなわちジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、ウンデカグリセリン、ドデカグリセリンが好ましく、中でも、硬化材ペーストへの分散性の観点から、8量体〜10量体のオクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリンがより好ましい。
また、ポリグリセリン中のエステル化された水酸基の数については、グリセリンの量体数にもよるが、所望のHLBにするために適宜選択され、一般的には、1置換〜8置換体が用いられる。
HLBが2.0〜6.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、これに限定されるものではないが、以下のものを挙げることができ、これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ペンタグリセリンモノペンタデシル酸エステル
ペンタグリセリンモノパルミチン酸エステル
トリグリセリンモノマルガリン酸エステル
ジグリセリンモノステアリン酸エステル
ジグリセリンモノオレイン酸エステル
ジグリセリンモノイソステアリン酸エステル
テトラグリセリンモノステアリン酸エステル
テトラグリセリンモノオレイン酸エステル
ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル
デカグリセリンペンタステアリン酸エステル
デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル
デカグリセリンペンタオレイン酸エステル
デカグリセリンペンタノナデカン酸エステル
デカグリセリン酸トリエイカ酸エステル
デカグリセリルトリベヘン酸エステル
上記したポリグリセリン脂肪酸エステルの中でも、硬化材ペースト中の固形分(粉成分)の分散性の観点から、HLB=3.0〜4.0の範囲にあるもの、例えば、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル(HLB=3.5)、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル(HLB=3.5)、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル(HLB=3.5)が好適である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、特に限定されないが、特に高いチキソトロピー性を発現させるためには、(A)硫酸カルシウム(無水塩換算)100質量部当り、1〜50質量部、特に5〜20質量部の範囲が好ましい。
(C)難水溶性有機分散媒;
本発明に用いられる難水溶性分散媒は、硫酸カルシウム(A)を含む固形分(粉材)のペースト化に用いられる。この場合、硫酸カルシウム(A)は水と反応して硬化(ゲル化)する。したがって、保存中での硫酸カルシウムの硬化を防止し、長期にわたっての保存安定性を高めるために、この分散媒は含水し難い難水溶性のもの、例えば、20℃の水100gに対する溶解度が5g以下であることが必要である。この溶解度は、0.4mg以下が好ましい。
このような難水溶性の有機分散媒としては、水の存在下での硫酸カルシウムとアルギン酸塩との反応による硬化を阻害せずに硫酸カルシウム粉末をペースト化し得るような流動性を有するものであれば特に制限されないが、一般的には、炭化水素化合物、脂肪族アルコール、環式アルコール、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸塩エステル、疎水性重合体等が好適に使用される。これらの難水溶性有機分散媒は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
以下、これら各種の難水溶性分散媒の好適な例を示す。
炭化水素化合物としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ケロシン、2,7−ジメチルオクタン、1−オクテン等の脂肪族鎖状炭化水素、シクロヘプタン、シクロノナン等の脂環式炭化水素化合物、液状飽和炭化水素の混合物である流動パラフィン等が挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、1−ヘキサノール、1−オクタノール等の飽和脂肪族アルコール、シトロネロール、オレイルアルコール等の不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。
環式アルコールとしては、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール等が挙げられる。
脂肪酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を挙げることができる。
脂肪酸エステルとしては、オクタン酸エチル、フタル酸ブチル、オレイン酸グリセリド;オリーブ油、ごま油等の植物油;肝油、鯨油等の動物脂;などが挙げられる。
疎水性重合体としては、ポリシロキサン(いわゆるシリコーンオイル)等が挙げられる。このようなポリシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリフェニルハイドロジェンシロキサン等が代表的である。
本発明において、上述した難水溶性分散媒として特に好適なものは、用途によって多少異なる。
例えば印象材、特に歯科用印象材としての用途に硬化材ペーストを用いる場合には、製造コスト、生体に対する為害性、歯牙の印象を採取する際の味覚への影響等の観点から、上記で列挙した難水溶性分散媒の中でも、炭化水素化合物または疎水性重合体を用いることが好ましく、流動パラフィンまたはシリコーンオイルを用いることが最も好適である。
また、家畜用乳頭パックなどの用途に硬化材ペーストを用いる場合には、前述した過硬化の抑制効果をより長期間発揮させる観点から、上記で列挙した分散媒の中でも沸点が高いものが好ましく、1気圧での沸点が100℃以上、特に150〜600℃のもの、例えば、オクタン、ノナン、デカン、1−ヘキサノール、オレイン酸グリセリド、流動パラフィン、シリコーンオイル等が好ましく、さらに、製造コスト、家畜に対する安全性等を考慮すれば、炭化水素化合物及び疎水性重合体が好ましく、流動パラフィン及びシリコーンオイルが最も好ましい。
難水溶性分散媒の配合量は特に制限されるものではないが、一般的に、硫酸カルシウム(無水塩)100質量部当り、10〜200質量部、特に20〜100質量部の範囲内が好ましい。
上記の(A)〜(C)の各成分を含む本発明の硬化材ペーストは、高いチキソトロピー性を示し、例えば静置時には1000ポイズを超える高い粘度を有しており、包装容器中に長期にわたって密封保存された場合においてもペースト中の固形分(硫酸カルシウム)の沈降分離を有効に抑制でき、また、この硬化材ペーストに高い負荷がかかった時には、粘度が大きく減少し、高い流動性を示す。
例えば、上述した各成分の種類や配合量等を適宜選択することにより、本発明の硬化材ペーストは、下記式(1);
TI=η/η (1)
式中、ηは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度0.1/s
で測定した粘度(25℃)であり、
ηは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度1.0/s
で測定した粘度(25℃)である、
で定義されるチキソトロピー指数TIを1.5以上、特に、1.8以上、最も好ましくは2.0以上に調整できる。
<基材ペースト>
上述した硬化材ペーストと混練されて硬化性組成物を形成する基材ペーストは、アルギン酸塩(D)及び水(E)を必須成分として含む。
(D)アルギン酸塩;
既に述べたように、アルギン酸塩は、前述した硬化材ペースト中の硫酸カルシウム(A)と水の存在下で反応して硬化物を形成する成分であり、それ自体公知のもの、例えば、
i)アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等のアルギン酸アルカリ金属塩、
ii)アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン等のアルギン酸アンモニウム塩、
などを使用することができる。
これらのアルギン酸塩の中でも、入手容易性、取扱い容易性、硬化物の物性等の観点から、アルギン酸アルカリ金属塩を用いることが好ましい。また、アルギン酸塩は、2種類以上を混合して用いることもできる。
また、アルギン酸塩の分子量は特に限定されないが、一般的には、アルギン酸塩を1重量%含む水溶液の粘度が50cps〜100cps(23℃)の範囲内となる分子量が好ましい。
(E)水;
水は、硫酸カルシウム(A)とアルギン酸塩(D)との硬化反応(ゲル化)に必要な成分であり、水道水、イオン交換水、蒸留水等が使用される。
水の使用量は、アルギン酸塩100質量部当り、100〜4000質量部、特に500〜2000質量部の範囲内とするのがよい。
尚、この水は、その一部の量(例えば1000質量部以下)を基材ペーストと硬化材ペーストとの混練時に配合することもできる。
このような基材ペーストは、硬化材ペースト中の硫酸カルシウム(A)と基材ペースト中のアルギン酸塩(D)との無水塩換算での質量比(A/D)が、10/100乃至2000/100、特に100/100乃至1000/100の範囲となるように、硬化材ペーストと混練されて使用される。
<その他の配合剤>
本発明においては、前述した高いチキソトロピー性を損なわない範囲で、硬化材ペースト及び基材ペーストの何れにも、その用途や要求特性に応じて、種々の添加剤を配合することができる。
このような添加剤として代表的なものとしてマスキング剤がある。
マスキング剤は、特に上述した硬化材ペーストと基材ペーストとの混練物からなるアルジネート硬化性組成物を歯科用印象材に適用する場合に使用されるものであり、この印象材(アルジネート硬化性組成物)を患者の口腔内に挿入したとき、患者に与える不快感を抑制するために使用されるものである。
即ち、口腔内に挿入される印象材には、前述したポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が含有されている為、これが口腔内に挿入されると、患者が独特の味(苦味、渋み)を感じる場合がある。このような独特の味をマスキング剤によって緩和することにより、患者に与える不快感を抑制するわけである。
このようなマスキング剤としては、例えば、アスパルテーム、スクラロース、ソーマチン、ステビア、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、パラチノース、及びトレハロース等の甘味料や、ラフィノース、メレジトース、スタキオース、シクロデキストリン類(α-シクロデキストリン,β−シクロデキストリン,γ−シクロデキストリン等)等のオリゴ糖などが挙げられる。中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステルの苦味の緩和と抗齲蝕性との点で、ステビア、キシリトール、トレハロース等の糖類が好ましい。
また、上記の糖類の中でもトレハロース等の二糖類を使用した場合には、上記マスキング効果に加え、印象精度が向上し且つ印象採得後の硬化体の耐乾燥性も向上するという利点がある。即ち、トレハロースはアルギン酸と類似の骨格を有しており且つ親水性が高いため、印象材硬化物の分子鎖内空間に水を保有した状態で入り込む。この結果、分子鎖凝集による硬化体の収縮が抑制され、また、乾燥による水分の揮散もトレハロースにより有効に抑制され、耐乾燥性の向上がもたらされ、乾燥による硬化体の変形も有効に防止され、かくして高い印象精度を保持することができる。
マスキング剤の配合量は、特に限定されないが、マスキング効果(苦味や渋みを緩和する効果)を良好に発揮させるためには、ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)100質量部に対して、0.5質量部以上配合することが好ましい。また、マスキング剤は、一定量以上加えても特に問題にはならないが、マスキング効果は飽和する。そのため、マスキング剤はポリグリセリン脂肪酸エステル100質量部に対して、0.5〜500質量部の範囲で使用することが好ましく、1〜50質量部の範囲で使用することがより好ましい。
また、トレハロースを使用し、その印象精度向上効果や耐乾燥性向上硬化を重視する場合には、トレハロースの使用量は、アルギン酸塩100質量部当り、100〜2000質量部、特に400〜1200質量部の量で使用する範囲内であること好ましい。
さらに、上記で例示したマスキング剤の中に例示されている還元性を示さない糖類(非還元糖)は、水分を保有した状態で硬化体の分子鎖内空間に入り込むため、硬化物に弾性を付与し、しかも、水分の乾燥も抑制される為、硬化体の弾性を、例えば乳頭パックに要求される程度の期間にわたって維持することができる。従って、このような非還元糖の使用は、乳頭パックの用途にも極めて有効であり、感染予防すべき程度の期間、乳頭に良好に密着する乳頭パック(硬化皮膜)を形成することができる。
尚、還元性を示さない糖(非還元糖)とは、アルカリ性水溶液中で、銀や銅等の重金属イオンに対して還元作用を示さない性質を意味する。即ち、還元性を有する糖類は、重金属イオンに対する還元作用を利用したトレンス試薬、ベネジクト試薬あるいはフェーリング試薬によって検出されるが、非還元糖は、これら試薬で検出できない。例えば、前述したマスキング剤の中では、オリゴ糖や二糖類(例えばトレハロースやスクロース)などが該当する。特に、トレハロースは、乳頭パックの用途にも最適である。
このような乳頭パックの用途に好適な非還元糖の使用量は、アルギン酸塩100質量部当り、100〜2000質量部、特に400〜1200質量部の量で使用する範囲内であること好ましい。
上述したマスキング剤や非還元糖は、硬化材ペースト及び基材ペーストのどちらか一方、或いは双方に配合してもよいが、水に対する溶解性の観点から基材ペーストに配合する方が好ましい。
さらに、マスキング剤や非還元糖以外の他の添加剤としては、ゲル化調整剤や充填剤を挙げることができる。
これら添加剤は、基材ペーストおよび硬化材ペーストのいずれか一方、または、双方に適宜添加することができる。しかしながら、これらの中で充填剤は、基材ペーストおよび硬化材ペーストの双方に添加することが好ましく、ゲル化調整剤は、硬化材ペーストに添加されることが好ましい。
ゲル化調整剤は、アルギン酸塩とゲル化剤との反応速度(硬化速度)を調節(遅延)させることができる。このため、歯科用印象材の用途では、硬化材ペーストと基材ペーストとの混練物であるアルジネート硬化性組成物(印象材)を調製してから口腔内での印象採取までに要する作業時間を確保し得るように、硬化時間を調整することができる。また、乳頭パックの用途では、家畜の乳頭に塗布するまでの作業時間を確保し得るように、硬化時間を調整することができる。
ゲル化調整剤としては、公知のゲル化調整剤を制限なく使用することができる。例えば、代表的なゲル化調整剤は、
a)リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸ナトリウム、
トリポリリン酸ナトリウム等のアルカリ金属を含むリン酸塩、
b)蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム等のアルカリ金属を含む蓚酸塩、
c)炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属を含む炭酸塩、
などであり、これらは、1種単独或いは2種類以上の組み合わせで使用される。
ゲル化調整剤の配合量は、他の配合成分や要求される硬化時間等に応じて適宜選択できるが、一般的には、アルギン酸塩100質量部当り、1〜30質量部、特に3〜15質量部の範囲内がより好ましい。ゲル化調整剤の配合量を上記範囲内とすることにより、硬化体(印象型や乳頭パック)形成までの作業時間に略対応させて硬化時間を調整することが容易となり、しかも硬化不良を有効に防止することができる。
また、充填剤は、硬化物の物性を調整するために使用される。
このような充填剤としては、珪藻土、タルク等の粘度鉱物が代表的であるが、シリカ、アルミナ等の酸化物も用いることができる。充填剤の配合量は特に制限されるものではないが、アルギン酸塩100質量部当り50〜2000質量部の範囲内が好ましく、100〜1000質量部の範囲内がより好ましい。
また、印象材の用途において、硬化体の強度調節、印象採取時や石膏模型製造時の石膏模型の表面荒れを防ぐ観点からは、フッ化チタンカリウム、ケイフッ化カリウム等の無機フッ素化合物や、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、アミノ酸/ホルムアルデヒド縮合体等のアミノ酸化合物を使用することができる。また、これらの添加剤は、乳頭パックの用途においても、硬化体の強度調節のために使用することができる。
このような添加剤も、基材ペースト及び硬化材ペーストの何れにも配合することができる。
また、基材ペーストと硬化材ペーストとを混合・練和した際、粘度の変化速度の制御を容易とするために、不飽和カルボン酸重合体を配合することが好ましい。また、香料、着色料、pH調整剤、抗菌剤、防腐剤等から選択されるいずれか1種または複数種の添加剤を必要に応じて配合することができる。
さらに、上記の添加剤以外にも、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、pH調整剤等を適宜配合することができる。
これらの添加剤もまた、基材ペースト及び硬化材ペーストの何れにも配合することができる。
上述した硬化材ペースト及び基材ペーストは、それぞれ、ペースト製造に利用できる公知の攪拌混合機を用いて製造することができる。このような撹拌混合機としては、例えば、ボールミルのような回転容器型混合混練機;リボンミキサー、コニーダー、インターナルミキサー、スクリューニーダー、ヘンシェルミキサー、万能ミキサー、レーディゲミキサー、バタフライミキサー等の水平軸または垂直軸を有する固定容器型の混合混練機;を利用することができる。
<硬化性組成物調製用キット>
本発明の硬化材ペーストは、使用直前に基材ペーストと混練し、この混練物(アルジネート硬化性組成物)が印象材や乳頭パックの用途に適用され、混練時に、適宜の量の水(E)を補充することができる。
しかるに、一般的には、硬化材ペーストを収容した包装容器と基材ペーストを収容した包装容器とに分け、硬化性組成物調製用キットとして販売し、使用される。即ち、一般のユーザーは、用途に応じて、これらの包装容器から所定量の硬化材ペーストと基材ペーストとを取り出して混練し、用途に応じたアルジネート硬化性組成物を調製し、該組成物を所定の部位に施して用途に応じた硬化体を形成する。
このような硬化性組成物調製用キットにおいて、一般に、基材ペースト(X)と硬化材ペースト(Y)との混合比Rm(X/Y)は、一般に質量基準で1〜4の範囲に設定しておくことが好ましい。即ち、このような混合比Rmで基材ペーストと硬化材ペーストとを混練したとき、各成分の量比、例えば硫酸カルシウム(A)とアルギン酸塩(D)との量比が前述した所定の範囲内となるように、硬化材ペーストや基材ペーストの配合組成が設定されることとなる。
尚、当然のことながら、上記の混合比Rmは、製品パッケージや使用説明書などにより、使用者に情報表示しておかなければならない。
基本ペーストと硬化材ペーストとの混練は、それ自体公知の混合攪拌機を用いて行うこともできるが、一般的には、2ペーストを一定の量比で自動的に混練することができるペースト自動混練装置を用いることが好ましい。即ち、本発明の硬化材ペーストは、チキソトロピー性が高く、大きな負荷がかかったときには高い流動性を示すため、その吐出量等を精度よくコントロールすることができ、しかも、基材ペーストとの混練も容易に行うことができるからである。
上記のようなペースト自動混練装置は、株式会社トクヤマデンタルにより「トクヤマAPミキサー」の商品名で市販されているものが代表的であり、さらに、特開平4−250838号、特開平5−103967号、特開平8−24273号、特開平8−140998号、特開平9−276295号、特開2000−116675号、特開2001−112785号、実開平6−57422号、実開平6−61246号、実開平6−18684号、特開2000−140600号、特開2001−299778号等により提案されている自動混練装置も使用することができる。
上記のようにして得られる基材ペーストと硬化材ペーストとの混練物、即ちアルジネート硬化性組成物は、用途に応じて、所定の部位に施され、この状態で硬化が完了する。混練時から硬化完了までの時間(硬化時間)は、用途に応じて、前述したゲル化調整剤などの使用により適宜の時間に設定されるが、一般的には、1〜10分、特に2〜8分程度である。
例えば、混練物を印象材として用いる場合には、この混練物(アルジネート硬化性組成物)を専用のトレーに盛りつけ、トレーに盛りつけられた混練物を歯牙等の目的物に圧接することで該混練物に印象を採取する。その後、採取された印象を有する混練物が硬化し、この硬化物を基に石膏模型を作製する等の後工程が実施される。
混練物の盛り付けに使用されるトレーとしては、特に制限されないが、一般的には金属製またはレジン製のものが利用される。この金属としては、ステンレス、錫合金、アルミニウム、メッキ処理あるいは樹脂コーティングされた黄銅等が使用され、またレジンとしては、ポリメタクリル酸エステルが代表的である。
一方、上記混練物を乳頭パックに適用する場合には、この混練物を、浸漬法、刷毛塗り法、噴霧法などにより家畜の乳頭に塗布し、硬化させて硬化皮膜を形成すればよい。
これにより、牛やヤギ等の搾乳用家畜について、乳頭からの乳房炎などへの感染を有効に防止することができる。
本発明の優れた効果を、以下の実験例により説明する。
尚、以下の実験例において、実験Iは、歯科用印象材についての評価であり、実験IIは、家畜用乳頭パックについての評価である。
<原料の略称>
後述する実験例に使用されている各種原料の略称は以下の通りである。
1.アルギン酸塩;
Alg−K:
アルギン酸カリウム
(1%水溶液粘度(20℃) 600mPa・sec)
Alg−Na:
アルギン酸ナトリウム
(1%水溶液粘度(20℃) 120mPa・sec)
2.ポリグリセリン脂肪酸エステル;
HGSE:
ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル(HLB=2.5)
DGSE:
デカグリセリンペンタステアリン酸エステル(HLB=3.5)
DGISE:
デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル(HLB=3.5)
DGOE:
デカグリセリンペンタオレイン酸エステル(HLB=3.5)
DIGMOE:
ジグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=5.5)
DGMRE:(比較)
デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=15.5)
DGTOE:(比較)
デカグリセリントリオレイン酸エステル(HLB=7.0)
DGTSE:(比較)
デカグリセリントリステアリン酸エステル(HLB=7.5)
3.難水溶性分散媒;
流動パラフィン
粘度(20℃) 150mPa・sec
水への溶解度 < 0.001mg/L(殆ど溶解しない)
沸点 450℃(1気圧)
SO:
シリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン)
粘度(20℃) 300mPa・sec
水への溶解度 < 0.001mg/L(殆ど溶解しない)
沸点 250℃(1気圧)
4.非還元糖;
Cdex−α:
α−シクロデキストリン
Cdex−β:
β−シクロデキストリン
5.その他;
P3Na:
リン酸三ナトリウム
FTK:
フッ化チタンカリウム
MT−10:
粒径0.02μmの非晶質シリカ(メチルトリクロロシラン処理物)
SG:
ステアリン酸グリセリル(HLB=3.0)
MSPG:
モノステアリン酸プロピレングリコール(HLB=3.5)
<測定或いは評価方法>
以下の実験例で調製されたサンプルについての各種物性の測定或いは評価は、以下の方法により行った。
(1)硬化材ペースト粘度;
ガラス製ビーカー(容量:300ml)に、調製後の硬化材ペースト(約240ml)を投入した後、このビーカーを、温度を25℃に設定したインキュベーター内に1時間程度放置した。
その後、インキュベーター内にて回転式粘度計(RION社製 ビスコテスター VT−04F)を用いて硬化材ペーストの粘度(初期粘度V、Poise)を測定した。
次に、調製した硬化材ペーストをアルミ製のペーストパックに充填し、ペースト取り出し口を下方に向けて直立させた状態で、温度を25℃に設定したインキュベーター内に保管した。所定の期間(1年後、2年後)が経過した時に、ペースト取り出し口から、硬化材ペーストを取り出し(約240ml)、上記と同様の方法にて、硬化材ペーストの粘度(保管後の粘度V1、V2、Poise)を測定した。
(2)チキソトロピー指数TI;
コーンプレート型粘度計(BOHLIN社製CSレオメーター CVO120HR)に、調整後の硬化材ペーストを適量載せ、25℃で保持しながら粘度の測定を開始し、せん断速度0.1/sでの測定開始から60秒後の粘度(η)を測定した。次に、同様の方法で、せん断速度1.0/sでの測定開始から60秒後の粘度(η)を測定した。なお、粘度の測定条件は、コーンの直径が2cm、コーンの傾斜角度は1°とした。粘度を下記式(1)に代入し、チキソトロピー指数(TI)を算出した。
TI=η/η(1)
(3)硬化材ペースト10秒吐出量;
ペースト自動混練装置として、トクヤマデンタル社製「APミキサーII」を用意した。
この混練装置に、調製後の硬化材ペーストを充填したパック(ペーストパック)をセットし、しばらくポンプを稼働し、装置内のミキサー内部にペーストを充填した後、硬化材ポンプを10秒間起動し、その間に吐出される硬化材ペーストの重量(硬化材ペースト初期10秒吐出量)を測定した。
一方、上記ペーストパックを、ペースト取り出し口を下方に向けて直立させた状態で、温度を25℃に設定したインキュベーター内に保管した。所定の期間(1年後、2年後)が経過した時に、上記と同様の方法にて、保管後の硬化材ペースト10秒吐出量を測定した。
(4)印象精度(細線再現性);
上記のペースト自動混練装置に、調製後の硬化材ペースト或いは基材ペーストが充填された硬化材ペーストパック及び基材ペーストパックをそれぞれセットした。
この混練装置から得られた混練物(印象材ペースト)について、JIST6513に記載された方法に準拠して細線再現性試験を行った。
すなわち、幅50μm及び幅20μmの細線が施された細線再現性試験用金型に印象材ペーストを盛り付け、35℃水中に6分放置後、印象材硬化体を撤去し、印象面に石膏を盛り付け、100%湿度中に1時間保持し、硬化した石膏の印象面に、幅50μm及び幅20μmの細線が再現されているかどうか顕微鏡を用いて観察し、以下に示す評価基準により評価した。
細線再現性評価基準;
◎:幅20μmの細線が途切れる事無く、再現されている。
○:幅50μmの細線が途切れる事無く、再現されている。
△:幅50μmの細線が確認されるが、ところどころ途切れている。
×:幅50μmの細線が確認できない。
次に、硬化材ペーストパックを、ペースト取り出し口を下方に向けて直立させた状態で、温度を25℃に設定したインキュベーター内に保管した。
所定の期間(1年後、2年後)が経過した時に、硬化材ペーストを再びペースト自動混練装置にセットし、同様の方法にて、保管後の硬化材ペーストの印象精度(細線再現性)を評価した。
(5)苦味・渋みに対する緩和性の評価
上記のペースト自動混練装置に、硬化材ペーストパック及び基材ペーストパックをそれぞれセットした。
硬化材ペーストと基材ペーストとが混練されたペーストを、上顎印象採得用のメタルトレー上に吐出し、被験者10名の上顎の印象を通常の方法にて、採得した。印象採得処置の間、苦味・渋みの程度を下記判定基準により評価した。
苦味・渋み判定基準;
○:苦味・渋みが気になったと答えた被験者が1人も確認されなかった。
△:苦味・渋みが気になったと答えた被験者が1〜3名存在した。
×:苦味・渋みが気になったと答えた被験者が5名以上存在した。
<実験I>
(実施例1)
硫酸カルシウム(A)として、25gの硫酸カルシウム無水塩(無水石膏)及び10gの硫酸カルシウム二水塩(二水石膏)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)として、3.5gのHGSE、難水溶性分散媒(C)として、20gの流動パラフィンを量りとり、小型混練器(アイコー産業社製アイコーミキサー)を用いて1時間混練し、硬化材ペーストを調製した。
得られた硬化材ペーストに関して、粘度、チキソトロピー指数TIおよび10秒吐出量の評価を行った。
また、アルギン酸塩(D)として、10gのAlg−K、水(E)として、180gの蒸留水を量りとり、小型混練器を用いて1時間攪拌し、基材ペーストを調製した。
この基材ペースト及び上記硬化材ペーストの全量を、前述したペースト自動混練装置を用いて混練し、得られた混練物について、印象精度(細線再現性)の評価を行った。
また、調製後、25℃インキュベーター内に1年、及び2年保管した硬化材ペーストに関しても、それぞれ同様の評価を行った。
(実施例2〜11)
硬化材ペースト或いは基材ペーストの組成を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして硬化材ペースト、基材ペースト及び混練物を調製し、各種の測定を行った。
(比較例1〜6)
硬化材ペーストの組成を、表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして硬化材ペースト、基材ペースト及び混練物を調製し、各種の測定を行った。
実施例1〜11および比較例1〜6について、硬化材ペースト及び基材ペーストの組成、基材ペーストと硬化材ペーストとの混合比Rmについては表1或いは表2に示し、硬化材ペースト粘度、硬化材10秒吐出量、及び印象精度(細線再現性)の評価結果を表3、及び表4に示す。
また、各実施例及び比較例での硬化材ペーストのチキソトロピー指数TIは、以下のとおりであった。





実施例1: 1.56
実施例2: 2.12
実施例3: 2.13
実施例4: 2.20
実施例5: 1.55
実施例6: 2.01
実施例7: 2.08
実施例8: 1.93
実施例9: 2.89
実施例10: 3.81
実施例11: 1.82
比較例1: 1.02
比較例2: 1.04
比較例3: 1.34
比較例4: 1.14
比較例5: 1.08
比較例6: 1.09
Figure 0006063940
Figure 0006063940
Figure 0006063940
Figure 0006063940
実施例1〜11の硬化材ペーストは、本発明の要件すべてを満足するものであるが、基材ペーストと混練することにより、良好な初期印象精度を得ることができた。
更に、これらの硬化材ペーストは粘度が非常に高いにもかかわらず、ペーストのチキソトロピー性が高く(チキソトロピー指数が1.5以上)、良好な流動性(10秒吐出量)を有している事がわかる。また、これらの硬化材ペーストを長期間保管した後も、粘度及び流動性(10秒吐出量)の大きな変動は認められず、初期の値が維持されており、良好な印象精度が得られている。
尚、実施例7では、トレハロースがアルギン酸塩100質量部当り550質量部配合されているが、印象精度が他の印象材と比較して更に良好な結果が得られている。また、苦味・渋みについては十分緩和されていた。
これに対して比較例1は、HLBが2.0〜6.0であるポリグリセリン脂肪酸エステルが配合されていない。このため、硬化材ペーストを長期間放置すると、硬化材ペースト中の粉成分が沈降分離することにより、硬化材ペーストの粘度が高くなるとともに流動性(10秒吐出量)が大きく減少し、印象精度が得られなくなっている。
また、比較例2〜4の硬化材ペーストにはポリグリセリンエステルが配合されているが、何れもHLBが2.0〜6.0の範囲外である。このため、何れの硬化材ペーストも十分なチキソトロピー性を得る事ができず、長期間放置した場合に、その粘度が高くなるとともに、流動性(10秒吐出量)が大きく減少し、印象精度が得られなくなっている。
比較例5及び6は、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の界面活性剤を用いた場合であるが、何れの場合においても、十分なチキソトロピー性を得る事ができず、硬化材ペーストを長期間放置した場合に、粘度が上昇し且つ流動性(10秒吐出量)が大きく減少し、印象精度が得られなくなっている。
(実施例12〜14及び参考例1、2)
硬化材ペースト或いは基材ペーストの組成を、表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして基材ペーストおよび硬化材ペーストを調整し、印象採得時の苦味・渋み評価を行った。印象材の組成及び結果を表5に示す。
Figure 0006063940
実施例12〜14は、基材ペーストに、マスキング剤(トレハロース或いはキシリトール)が配合されている例であるが、印象採得時に、苦味・渋みを感じることがなかった。
これに対し、参考例1、参考例2では、マスキング剤が全く配合されているため、印象採取時に、苦味・渋みを感じる人が見られた。
<実験II>
以下の実験は、本発明の硬化材ペーストから得られるアルジネート硬化性組成物を乳頭パックに適用したときの効果を示すために行われたものである。
この実験において、各種の測定及び評価は、以下の方法により行った。
(1)過硬化性評価(目視評価、寸法歪)
硬化材ペーストと基材ペーストとを練和用のカップに量りとり、ヘラを用いて、気泡が混入しないように練和して混合ペースト(硬化性組成物)を調製する。
この混合ペーストを、アクリル板上に載せたテフロン(登録商標)製モールドに充填し、さらに、充填された混合ペーストの上面にアクリル板を圧接し、クリップを用いて圧接したアクリル板を固定し、3分放置後、硬化物(ゲル化物)をモールドから撤去することにより、サンプル片(横:57mm、縦:19mm、高さ:3mm)を作製した。
サンプル片作製直後に、サンプル片の寸法(横、縦、高さ)を、測定顕微鏡(オリンパス社製
「STM6」)を用いて計測し、サンプル片の初期体積(V1/mm)を算出した。
次に、サンプル片を、乳液(搾りたての生牛乳)をしみ込ませた布で包みこみ、25℃インキュベーター内に保管後、1日経過後にサンプル片を取り出し、表面の状態を下記評価基準に従って目視評価した。
過硬化性目視評価基準;
○:しわやひび割れが全く見られず、初期の状態と見分けがつかない状
態。
△:しわが確認でき、初期の状態と異なっている。
×:無数のしわが確認でき、ひび割れも確認され、明らかに初期の状態
と異なっている。
また、サンプル片の寸法(横、縦、高さ)を初期と同様の方法にて計測し、1日経過後の体積(V2/mm)を算出した。下記式により、寸法歪を算出した。
寸法歪(%)=(V1−V2)/V1×100
サンプル片を再び、乳液(搾りたての生牛乳)をしみ込ませた布で包みこみ、25℃インキュベーター内に保管し、1日経過毎に、同様の方法にて、過硬化性(目視評価、寸法歪)評価を行った。
(2)硬化体弾性評価(弾性歪);
(2−1)初期弾性歪の測定
過硬化性評価の場合と同様にして、硬化材ペーストと基材ペーストとの混合ペースト(硬化性組成物)を調製する。
アクリル板(縦45mm×横45mm)の上面にプラスチックリングA(内径31mm、外径38mm、高さ16mm)を配置した後、プラスチックリングA内に、上記の混合ペーストを充填し、この充填と同時に時間の計測を開始した。
さらに、プラスチックリングA内に混合ペーストを充填した後、直ちに、このプラスチックリングAに、小さなプラスチックリングB(内径13mm、外径25mm、高さ20mm)をさらに挿入することにより、プラスチックリングB内部に、上記の混合ペーストを充填した。
次いで、プラスチックリングBの上面を別のアクリル板で圧接した後、プラスチックリングBとその両端に配置された2枚のアクリル板とを小型の万力で挟んで固定した。
そして時間の計測を開始してから30秒後に、万力によって両端がアクリル板により圧接固定されているプラスチックリングB(内部に混合ペーストが充填されている)を、25℃のインキュベーター内に入れ、インキュベーターに入れてから15分後(時間の計測開始から15分30秒後)に、プラスチックリングBを取り出した。これによりプラスチックリングB内において硬化した円柱状の硬化物サンプルを得た。
次いで、圧縮試験機(株式会社日本メック社製、印象材弾性比較試験機 A−002)を用意する。
上記で得られた円柱状の硬化物サンプルを、該サンプルの中心軸方向から荷重が加わるように圧縮試験機にセットし、時間の計測開始から16分経過後に、以下の手順で圧縮試験を実施した。
まず、硬化物サンプルに対して100gf/cmの荷重を加えると同時に、この時点(圧縮試験開始時)から時間の計測を開始する。
圧縮試験開始時から30秒を経過した後のダイヤルゲージの値A(mm)を読み取った。また、圧縮試験開始時から60秒〜70秒までの間に、硬化物サンプルに対して印加する荷重を100gf/cmから1000gf/cmへと増大させ、さらに、70秒〜100秒経過する間では、硬化物サンプルに対して印加する荷重を1000gf/cmに保持し続けた。
そして、圧縮試験開始から100秒経過した時点でのダイヤルゲージの値B(mm)を読み取った。
読み取ったダイヤルゲージの値A,Bから、下式により弾性歪(εe)を算出した。
弾性歪(εe)=(A−B)/20×100(%)
そして、同一の硬化物サンプルについて同様の評価を3回実施して得られた各々の弾性歪の平均値を硬化物の弾性歪(初期)とした。
(2−2)所定期間保管後の弾性歪の測定
初期弾性歪の測定方法と同様の方法により、硬化材ペーストと基材ペーストとの混合ペースト(硬化性組成物)から、円柱状の硬化物サンプルを得た。この硬化物サンプルを25℃インキュベーター内に所定の期間保管した。
所定期間経過後に、硬化物サンプルをインキュベーター内から取り出し、初期弾性歪と同様の測定方法により、所定期間経過後の弾性歪(εe)を求めた。そして、同一のゲル化物サンプルについて同様の評価を3回実施して得られた各々の弾性歪の平均値を硬化物の弾性歪(保管後)とした。
(実施例1)
アルギン酸塩(D)として100gのAlg−K、水(E)として1500gの蒸留水、非還元糖(F)として600gのトレハロース、その他成分として珪藻土295gを量りとり、小型混練器(アイコー産業社製アイコーミキサー)を用いて1時間練和し、基材ペーストを調製した。
一方、下記処方により各成分を、上記小型練和器を用いて1時間練和し、硬化材ペーストを調製した。
硬化材ペースト処方;
硫酸カルシウム(A):400gの無水石膏
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B):40gのDGSE
難水溶性分散媒(C):200gの流動P1
その他の成分:
60gのMgO
40gのFTiK
40gのZnO
8gのP3Na
55gの珪藻土
30gのMT−10
尚、得られた硬化材ペーストのチキソトロピー指数TIは2.14であった。
上記の基材ペースト及び硬化材ペーストを、混練比Rm=2.86で自動練和器(トクヤマデンタル社製「APミキサーIII」吐出レンジ3を使用)によって混練し、乳頭パック用硬化性組成物を調製し、この硬化性組成物について、過硬化性評価及び硬化体弾性評価を行った。
基材ペースト及び硬化材ペーストの組成については表6に示し、硬化組成物の評価結果は表7に示した。
(実施例2〜6)
硬化材ペースト及び基材ペーストの組成、或いは両ペーストの混練比を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、乳頭パック用硬化性組成物を調製し、過硬化性評価及び硬化体弾性評価を行い、その結果を表7に示した。
Figure 0006063940
Figure 0006063940
本発明の硬化材ペーストを基材ペーストと混練して得られるこれら実施例における乳頭パック用硬化性組成物では、カルシウムイオンを含む水溶液と接触した際の硬化体表面の過硬化が抑制されており、4日以上良好な状態が保たれた。また、硬化体の弾性も、5日以上良好な状態が保たれていた。

Claims (10)

  1. (A)硫酸カルシウム;
    (B)HLBが2.0〜6.0であるポリグリセリン脂肪酸エステ
    ル;
    及び
    (C)難水溶性分散媒;
    を含むことを特徴とする硬化材ペースト。
  2. 前記難水溶性分散媒が、20℃の水100gに対する溶解度が5g以下のものである請求項1に記載の硬化材ペースト。
  3. ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を、硫酸カルシウム(A)100質量部当り1〜50質量部の量で含んでいる請求項1に記載の硬化材ペースト。
  4. 難水溶性分散媒(C)を、硫酸カルシウム(A)100質量部当り10〜200質量部の量で含んでいる請求項1に記載の硬化材ペースト。
  5. ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の硬化材ペースト。
  6. 下記式(1);
    TI=η/η (1)
    式中、ηは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度
    0.1/sで測定した粘度(25℃)であり、
    ηは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度
    1.0/sで測定した粘度(25℃)である、
    で定義されるチキソトロピー指数TIが1.5以上である請求項1に記載の硬化材ペースト。
  7. (D)アルギン酸塩;
    及び
    (E)水;
    を含む基材ペーストと、請求項1に記載の硬化材ペーストとからなるアルジネート硬化性組成物調製用キット。
  8. 前記硬化材ペーストまたは前記基材ペーストの少なくとも何れか一方にトレハロースが配合されている請求項7に記載のアルジネート硬化性組成物調製用キット。
  9. 歯科用アルジネート印象材の形成に使用される請求項7に記載のアルジネート硬化性組成物調製用キット。
  10. 家畜用乳頭パックの形成に使用される請求項7に記載のアルジネート硬化性組成物調製用キット。
JP2014526875A 2012-07-25 2013-07-17 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット Active JP6063940B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012164602 2012-07-25
JP2012164602 2012-07-25
JP2013056588 2013-03-19
JP2013056588 2013-03-19
PCT/JP2013/069429 WO2014017360A1 (ja) 2012-07-25 2013-07-17 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014017360A1 JPWO2014017360A1 (ja) 2016-07-11
JP6063940B2 true JP6063940B2 (ja) 2017-01-18

Family

ID=49997174

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014526875A Active JP6063940B2 (ja) 2012-07-25 2013-07-17 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6063940B2 (ja)
WO (1) WO2014017360A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6204853B2 (ja) * 2014-03-03 2017-09-27 株式会社トクヤマデンタル 歯科用接着性組成物
CN105125639A (zh) * 2015-09-17 2015-12-09 成都乾坤动物药业有限公司 一种防治奶牛乳房炎的中药组合物
JP6957450B2 (ja) * 2016-03-22 2021-11-02 株式会社ジーシー 歯科用アルギン酸塩印象材

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59101410A (ja) * 1982-11-30 1984-06-12 Sankin Kogyo Kk アルジネ−ト印象材用ペ−スト状硬化剤
JPS59225104A (ja) * 1983-06-03 1984-12-18 G C Dental Ind Corp 低粉塵性粉末状歯科用アルギン酸塩印象材
JPS62265210A (ja) * 1986-05-13 1987-11-18 Tokuyama Soda Co Ltd 印象材の硬化剤
JPH10316520A (ja) * 1997-05-16 1998-12-02 Tokuyama Corp 印象材
JP4727028B2 (ja) * 2000-09-08 2011-07-20 株式会社ジーシー 歯科用アルギン酸塩印象材組成物
JP4159839B2 (ja) * 2002-09-25 2008-10-01 株式会社ジーシー 歯科用アルギン酸塩印象材粉末
JP2006050911A (ja) * 2004-08-10 2006-02-23 National Agriculture & Bio-Oriented Research Organization 乳頭パック、乳頭保護方法および乳頭パックの塗布方法。
EP2561852B1 (en) * 2010-04-22 2019-11-27 Tokuyama Dental Corporation Alginic acid-containing aqueous composition, alginate impression material for dental applications, and substrate for alginate impression material for dental applications
EP2638893B1 (en) * 2010-11-10 2021-09-22 Tokuyama Dental Corporation Alginate impression material for dental use and curing agent paste used therefor

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014017360A1 (ja) 2014-01-30
JPWO2014017360A1 (ja) 2016-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1372575B2 (de) Dentale abformmassen auf silikonbasis
EP2219585B1 (en) Dental impression material containing rheological modifiers and process of production
JP5876832B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト
JPH11228331A (ja) シリコーンを基剤とする印像材料
JP2006273720A (ja) ペースト状歯科用アルギン酸塩印象材組成物
EP2718373B1 (en) Siloxane compounds containing composition, method of production and use thereof
EP1165016B1 (de) Abformmassen auf silikonbasis mit verbessertem standvermögen
WO2011132699A1 (ja) アルギン酸類含有水性組成物、歯科用アルジネート印象材および歯科用アルジネート印象材用の基材
JP6063940B2 (ja) 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット
EP3302347B1 (en) Process for taking a dental impression and retraction process
JP6113025B2 (ja) アルジネート硬化性組成物の調製方法
JP5721401B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる基材ペースト
JP6112919B2 (ja) アルジネート印象採得用前処理材
JP2008063261A (ja) 歯科用アルギン酸塩印象材組成物
PL212073B1 (pl) Preparat adhezyjny do protez dentystycznych
JP4322025B2 (ja) 印象材組成物
JP6062719B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材
TW201121574A (en) Dental acid etching gel composition and method of use thereof
WO2011034705A1 (en) Methods and compositions for dental impressions

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6063940

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250