JP5876832B2 - 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト - Google Patents

歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト Download PDF

Info

Publication number
JP5876832B2
JP5876832B2 JP2012542857A JP2012542857A JP5876832B2 JP 5876832 B2 JP5876832 B2 JP 5876832B2 JP 2012542857 A JP2012542857 A JP 2012542857A JP 2012542857 A JP2012542857 A JP 2012542857A JP 5876832 B2 JP5876832 B2 JP 5876832B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paste
alginate
impression material
curing agent
alginate impression
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012542857A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012063618A1 (ja
Inventor
友康 永沢
友康 永沢
浩司 松重
浩司 松重
英利 瘧師
英利 瘧師
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Original Assignee
TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKUYMA DENTAL CORPORATION filed Critical TOKUYMA DENTAL CORPORATION
Priority to JP2012542857A priority Critical patent/JP5876832B2/ja
Publication of JPWO2012063618A1 publication Critical patent/JPWO2012063618A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5876832B2 publication Critical patent/JP5876832B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/90Compositions for taking dental impressions

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)

Description

本発明は、歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペーストに関するものである。
歯牙等を修復するために、鋳造歯冠修復処理または欠損補綴処理等を必要とする際には、まず、支台歯等の型を取る。次に、その採得された型を用いて、石膏製等の模型を作製する。そして、その模型を元に補綴物を作製し、作製された補綴物を支台歯等に装着する。この支台歯等の型を印象と称し、印象を採得するための硬化材料を印象材と呼んでいる。この印象材として、アルジネート印象材、寒天印象材、シリコーンゴム印象材、ポリサルファイドゴム印象材、あるいは、ポリエーテルゴム印象材等が用いられる。その中でも、アルジネート印象材は、安価かつ取扱いが容易であるため、最も広く用いられる。
アルジネート印象材としては様々なものが提案されており、たとえば、印象材性状の改善等を目的として、分子量を分子内のヒドロキシル基数で割った値が40未満、かつ、1分子中のヒドロキシ基数が3個以上の有機ヒドロキシ化合物を含むアルジネート印象材が本出願人により提案されている(特許文献1、2)。また、硬化物からの水分蒸発を防ぐために、キシリットなどの糖アルコールや、ショ糖脂肪酸エステルなどを配合したアルジネート印象材が提案されている(特許文献3,4)。
アルジネート印象材を用いて印象を採得する作業は、以下の手順で行う。まず、歯列を模した印象用トレーに、アルジネート印象材を構成する各成分を混練したものを盛り付ける。次に、口腔内の歯牙を包み込むように、印象材を盛り付けたトレーを歯牙に押し付ける。そして、アルジネート印象材が硬化した後に、アルジネート印象材とトレーとを一体として歯牙から外して、口腔外に撤去する。
アルジネート印象材は、使用に際して、アルギン酸塩、硫酸カルシウム等のゲル化反応剤や、水等の主成分を混練して使用される。そして、使用前の状態では、アルジネート印象材は、保存性を確保するために、水を除いた固形分を粉末状とした粉末タイプ、あるいは、アルギン酸塩と水とを主成分とするペースト(基材ペースト)と、ゲル化反応剤を主成分とするペースト(硬化剤ペースト)とを組み合わせて用いるペーストタイプ、がある。そして、使用に際して、粉末タイプでは、粉末と水とを混練し、ペーストタイプでは、2種類のペーストを混練する。
粉末タイプのアルジネート印象材では、混練作業に際して、手作業による熟練の技が要求される。これに対して、ペーストタイプのアルジネート印象材は、基材ペーストと硬化剤ペーストとを混練する専用の混練装置を用いることにより、容易に混練作業の自動化・省力化が図れる。このため、近年では、粉末タイプのアルジネート印象材を置きかえる形でペーストタイプのアルジネート印象材が普及しつつある。
特開2003−171219号公報 特開2004−269385号公報 特開平10−139615号公報(請求項1、段落番号0014、表1等) 特開平10−139616号公報(請求項1、段落番号0016、表1等)
このようなペーストタイプのアルジネート印象材は、通常、基材ペーストおよび硬化剤ペーストの双方が、アルミパックなどの包装容器に密封保存された形態で、歯科医師や歯科衛生士などの利用者に提供される。ここで、混練作業に際しては、基材ペーストの包装容器の開口部を混練装置の基材ペースト注入口に連結し、かつ、硬化剤ペーストの包装容器の開口部を混練装置の硬化剤ペースト注入口に連結する。そしてこの状態で、各々の包装容器から混練装置内へと供給された2種類のペーストが、混練装置内で自動的に混練された後、混練物が、混練装置外へと排出される。これにより、利用者は、混練物を得ることができる。それゆえ、このような混練処理を行う際に、包装容器内のペーストを、混練装置内へとスムーズに供給できるように、包装容器内のペーストは、適度な流動性を有している必要がある。このため、包装容器に密封保存されたペーストは、製造直後の段階では、適度な流動性を有するように粘度が調整されている。
しかしながら、硬化剤ペーストは時間の経過と共に流動性が低下し、自己硬化する。そして、硬化が発生した場合には、包装容器の開口部から硬化剤ペーストを吐出することができなくなるため、混練物を作製するために、硬化剤ペーストが利用できなくなる。すなわち、包装容器中に密封保存された状態の硬化剤ペーストの使用期限は、自己硬化の進行速度によって左右されることになる。そして、自己硬化の進行速度は、硬化剤ペーストの使用期限を決定することになる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、包装容器中で密封保存された状態の硬化剤ペーストの自己硬化を長期間に渡って抑制できる歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペーストを提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
本発明の歯科用アルジネート印象材は、(A)アルギン酸塩と、(B)水と、を主成分として含む基材ペースト、および、(C)ゲル化反応剤と、(D)難水溶性有機溶媒と、(E)非還元糖と、を主成分として含む硬化剤ペースト、を有することを特徴とする。
本発明の歯科用アルジネート印象材の実施態様は、非還元糖が、グリコシド結合によって結合した2個〜10個の単糖分子から構成されることが好ましい。
本発明の歯科用アルジネート印象材の他の実施態様は、非還元糖が、二糖類であることが好ましい。
本発明の歯科用アルジネート印象材の他の実施態様は、非還元糖が、トレハロースであることが好ましい。
本発明の歯科用アルジネート印象材用の硬化剤ペーストは、(C)ゲル化反応剤と、(D)難水溶性有機溶媒と、(E)非還元糖と、を主成分として含むことを特徴とする。
本発明によれば、包装容器中で密封保存された状態の硬化剤ペーストの自己硬化を長期間に渡って抑制できる歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペーストを提供することができる。
適合歪の評価に用いた一対の金型について示す模式図である。 適合歪の評価方法を説明する模式図である。
本実施形態の歯科用アルジネート印象材(以下、「アルジネート印象材」と略す場合がある。)は、(A)アルギン酸塩と、(B)水と、を主成分として含む基材ペースト、および、(C)ゲル化反応剤と、(D)難水溶性有機溶媒と、(E)保湿剤である非還元糖と、を主成分として含む硬化剤ペースト、を有することを特徴とする。
本実施形態のアルジネート印象材では、硬化剤ペースト中に、(C)ゲル化反応剤および(D)難水溶性有機溶媒に加えて(E)保湿剤が含まれる。このため、包装容器中で密封保存された状態の硬化剤ペーストの自己硬化を長期間にわたって抑制できる。このような効果が得られる理由については、本発明者らは以下のように推定している。まず、包装容器中に密封保存された状態の硬化剤ペーストの粘度が、時間と共に増大し自己硬化が生じる原因としては、系中に存在する水分と、ゲル化反応剤とが徐々に反応し、ゲル化反応剤が硬化するためであると考えられる。ここで、系中に存在する水分の供給源としては、たとえば、混練作業に際して包装容器の開口部を封止するキャップを取り外した際に硬化剤ペーストに一時的に接触する外気中の水分、ゲル化反応剤として石膏を用いた場合には石膏の結晶水、あるいは、硬化剤ペースト中に含まれるゲル化反応剤以外のその他の成分中に含まれる水分、などが挙げられる。しかしながら、本実施形態のアルジネート印象材では、硬化剤ペースト中に含まれる(E)保湿剤が、系中に存在する水分を吸湿するため、系中に存在する水分と、ゲル化反応剤との反応を長期にわたって抑制できると考えられる。すなわち、包装容器中で密封保存された状態の硬化剤ペーストの自己硬化を長期間に渡って抑制できると考えられる。
なお、混練作業に際して、基材ペーストに対する硬化剤ペーストの混合比率Rm(硬化剤ペーストの使用量/基材ペーストの使用量〔質量部/質量部〕)は特に制限されるものではないが、通常は、0.25〜1の範囲内であることが好ましい。ここで、混合比率Rmについては、混合比率情報表示媒体に表示することができる。この混合比率情報表示媒体としては、i)段ボール箱等からなる製品パッケージ、ii)紙媒体および/または電子データとして提供される製品の使用説明書、iii)基材ペーストを密封状態で保管する収納部材(容器、包装袋等)、iv)硬化剤ペーストを密封状態で保管する収納部材(容器、包装袋等)、v)紙媒体および/または電子データとして提供される製品カタログ、vi)製品とは別に電子メールや郵便物等により製品利用者に送付される通信文が利用できる。また、混合比率Rmは、上記i)〜vi)に示す以外の態様により製品利用者が認知しうる態様で、製品利用者に提供されてもよい。ここで、基材ペーストを含む収納部材および硬化剤ペーストを含む収納部材のセット、あるいは、いずれか1種のペーストを含む収納部材を製品利用者に提供する場合、これら部材に対して、必要に応じて製品パッケージおよび/または紙媒体による使用説明書が付加される。また、硬化剤ペーストや基材ペーストには、必要に応じてその他の添加剤を添加することもできる。これらの添加剤については後述する。次に、本実施形態のアルジネート印象材を構成する各成分について説明する。
(A)アルギン酸塩
アルギン酸塩としては、従来のアルジネート印象材に利用されている公知のアルギン酸塩であれば特に制限無く利用できる。アルギン酸塩としては、たとえば、i)アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等のアルギン酸アルカリ金属塩、ii)アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン等のアルギン酸アンモニウム塩等が挙げられる。これらのアルギン酸塩の中でも、入手容易性、取扱い容易性、硬化物の物性等の観点から、アルギン酸アルカリ金属塩を用いることが好ましい。また、アルギン酸塩は、2種類以上を混合して用いることもできる。
アルギン酸塩は、通常、混練物中において2重量%〜10重量%の範囲内で含まれていることが好ましい。したがって、本実施形態のアルジネート印象材では、アルギン酸塩の含有量が、混練物中において上記範囲内となるように、基材ペーストに含まれるアルギン酸塩の量を調整する。また、アルギン酸塩の分子量は特に限定されないが、一般的には、アルギン酸塩を1重量%含む水溶液の粘度が50cps〜100cpsの範囲内となる分子量が好ましい。
(B)水
水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等が利用できる。水の使用量は、混練物を作製した際に、当該混練物中において、アルギン酸塩100質量部に対して、100質量部〜4000質量部の範囲内で用いることが好ましく、500質量部〜2000質量部の範囲内で用いることがより好ましい。
(C)ゲル化反応剤
ゲル化反応剤としては、従来のアルジネート印象材に利用されている公知のゲル化反応剤であれば特に制限無く利用できる。ゲル化反応剤としては、一般的には2価以上の金属化合物が利用でき、たとえば、i)硫酸カルシウム2水塩、硫酸カルシウム半水塩、無水硫酸カルシウム等の硫酸カルシウム、ii)カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、チタン、ジルコニウム、スズ等の2価以上の金属を含む酸化物、iii)前記(ii)に示す2価以上の金属を含む水酸化物、などが挙げられる。酸化物および水酸化物の好適な具体例としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化鉄等が挙げられる。
これらのゲル化反応剤は、2種類以上を混合して用いることができる。また、混練物の硬化性や、硬化した硬化物の弾性等の物性を良好なものとする観点からは、ゲル化反応剤としては、硫酸カルシウム100質量部に対して、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛から選択される少なくとも一方の酸化物、または、両者の混合物を、2質量部〜40質量部の範囲内で配合したものを用いることが好ましい。
ゲル化反応剤の配合量としては特に限定されないが、混練物中において、アルギン酸塩100質量部に対して10質量部〜2000質量部の範囲内が好ましく、100質量部〜1000質量部の範囲内がより好ましい。
なお、ゲル化反応剤は、水の存在下で、ゲル化反応剤とアルギン酸塩とが反応してゲル化することで硬化物を形成する機能を有する。ここで、水は、カルシウムイオン等の多価金属イオンをゲル化反応剤から溶出させると共に、ゲル化反応剤とアルギン酸塩との反応を促進する機能を有し、硬化物をゲル状に保持する機能を有する。
(D)難水溶性有機溶媒
難水溶性有機溶媒は、ゲル化反応剤を含む硬化剤ペーストのペースト化に用いられる。すなわち、この難水溶性有機溶媒は、ゲル化反応剤と混合することで、ペーストを形成する機能を有する。ゲル化反応剤は、一般的に水と反応すると硬化する性質を有するため、ゲル化反応剤をペースト状態で長期にわたって安定的に保存するためには、ペースト化に用いる溶媒としては、含水し難い難水溶性の溶媒、すなわち、難水溶性有機溶媒を用いる。ここで、「難水溶性」とは、温度20℃の水100gに対する溶解度が5g以下であることを意味する。なお、難水溶性有機溶媒の溶解度は3g以下であることが好ましい。難水溶性有機溶媒としては、上記溶解度を示す液体であれば公知の液体が利用できる。このような液体としては、たとえば、炭化水素化合物、脂肪族アルコール、環式アルコール、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル、疎水性重合体等が挙げられる。以下、これら各種の難水溶性有機溶媒の好適な例を示す。
まず、炭化水素化合物としては、鎖式化合物または環式化合物のいずれも使用できる。炭化水素化合物としては、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ケロシン、2,7−ジメチルオクタン、1−オクテンの脂肪族鎖状炭化水素化合物、シクロヘプタン、シクロノナン等の脂環式炭化水素化合物、液状飽和炭化水素の混合物である流動パラフィン等が挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、たとえば、1−ヘキサノール、1−オクタノール等の飽和脂肪族アルコール、シトロネロール、オレイルアルコール等の不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。環式アルコールとしては、たとえば、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール等が挙げられる。
脂肪酸としては、たとえば、ヘキサン酸、オクタン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を挙げることができる。また、脂肪酸エステルとしては、オクタン酸エチル、フタル酸ブチル、オレイン酸グリセリド、オリーブ油、ごま油等の植物油、肝油、鯨油等の動物脂等が挙げられる。疎水性重合体としては、ポリシロキサン(いわゆるシリコーンオイル)等が挙げられ、具体的には、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリフェニルハイドロジェンシロキサン等を挙げることができる。
そして、製造コスト、生体に対する為害性、歯牙の印象を採取する際の味覚への影響等を考慮した場合、以上に列挙した難水溶性有機溶媒の中でも、炭化水素化合物または疎水性重合体を用いることがより好ましく、流動パラフィンまたはシリコーンオイルを用いることが特に好ましい。また、難水溶性有機溶媒は、2種類以上を混合して用いてもよい。
難水溶性有機溶媒の配合量は特に制限されるものではないが、一般的に、ゲル化反応剤100質量部に対して、10質量部〜200質量部の範囲内が好ましく、20質量部〜100質量部の範囲内がより好ましい。
(E)保湿剤
保湿剤としては、吸湿性や保湿性を有する公知の物質が制限なく利用できる。好適な保湿剤としては、25℃相対湿度90%の雰囲気下で、平衡水分8重量%以上の有機化合物や、25℃相対湿度50%の雰囲気下で18%〜37%の吸湿率を有する乾燥剤が挙げられる。なお、上述した平衡水分は10重量%以上がより好ましく、吸湿率は20%〜35%がより好ましい。具体的には、尿素、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、などの潮解性を有する無機化合物;グリセリン、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールとそのポリマー;メチルセルロースなどのセルロース系ポリマー;ポリアクリル酸ナトリウムなどの吸水性ポリマー;ヒアルロン酸;コラーゲン;非還元糖などを用いることができる。保湿剤の配合量としては系中の水分を長期にわたって十分に吸湿する観点から、ゲル化反応剤100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、50質量部以上がより好ましい。なお、保湿剤の配合量の上限値は特に制限されるものではないが、他の成分の配合量を確保するなど、実用上の観点からは、ゲル化反応剤100質量部に対して、500質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましい。なお、本実施形態のアルジネート印象材では上記に列挙した保湿剤の中でも非還元糖が用いられる
また、非還元糖を用いた場合、硬化物からの水分の蒸発が大幅に抑制される。このため、硬化物を長時間放置しても印象精度が低下し難くなる。それゆえ、硬化物を湿度が80%以上に維持された保湿箱中に入れて保管すれば、印象の採取から1日以上経過しても印象精度の低下を良好に抑制できる。これに加えて、従来のアルジネート印象材を用いて印象を採取した場合と比べて、硬化物表面が非常に滑らかとなり、長時間放置してもこの状態が維持される傾向にあるため、従来よりも印象精度を向上させることも容易である。
以上に説明した効果が得られる原因は、以下の通りであると推定される。まず、非還元糖は、水分子との親和性(水和力)が高い。このため、非還元糖を用いた本実施形態のアルジネート印象材を用いて印象を採取するために、基材ペーストおよび硬化剤ペーストを混練した際に、非還元糖は、水分子と共に分子集合体を構成すると考えられる。そして、この分子集合体が、アルギン酸塩の分子鎖間、および/または、アルギン酸塩の分子鎖内に入り込むことにより、水酸基やエーテル結合等を有するアルギン酸塩分子と分子集合体との間に水素結合が形成され、その結果、水分子が強固に固定されると考えられる。すなわち、多量の水分を含む硬化物中に、水分子が強固に固定される。このため、硬化物から水分が蒸発することが抑制され、上述した効果が得られるものと推定される。
非還元糖としては、還元性を示さない公知の糖類であれば特に制限無く利用できる。ここで、「還元性」とは、アルカリ性水溶液中で、銀や銅等の重金属イオンに対して還元作用を示す性質を意味する。還元性を有する糖類は、重金属イオンに対する還元作用を利用したトレンス試薬、ベネジクト試薬、あるいは、フェーリング試薬によって検出される。これに対して、本実施形態のアルジネート印象材に用いることができる非還元糖は、これら試薬で検出できない糖類を意味する。
上述した特性を示す非還元糖としては、トレハロースやスクロース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース、スタキオース、シクロデキストリン類などのオリゴ糖類など、公知の非還元糖が利用できる。しかし、非還元糖の分子量が大き過ぎる場合には、アルギン酸塩と非還元糖とが水素結合を形成して凝集してしまう可能性がある。したがって、この観点からは、非還元糖としてはグリコシド結合によって結合した2個〜10個の単糖分子から構成される糖を用いることが好ましく、二糖類を用いることがより好ましい。さらに、印象精度および保湿性の観点からは二糖類の中でも、トレハロースが特に好ましい。
非還元糖の配合量は、製品の使用説明書等を介して製品利用者に提供される混合比率Rmにしたがって、基材ペーストと硬化剤ペーストとを混練した混練物中において、アルギン酸塩1質量部に対して、1質量部〜20質量部の範囲内であることが好ましく、4質量部〜12質量部の範囲内であることがより好ましい。アルギン酸塩1質量部に対する非還元糖の配合量を1質量部以上とすることにより、印象採取後に硬化物をより長時間放置しても、十分な保湿性が得られ、かつ、印象精度の低下を抑制することができる。また、アルギン酸塩1質量部に対する非還元糖の配合量を20質量部以下とすることにより、印象採取に際して、非還元糖が、アルギン酸塩のゲル化反応を阻害するのを抑制することができる。
ここで、混合比率Rmで混合される混練物中において、アルギン酸塩1質量部に対して、非還元糖の配合量を1質量部〜20質量部の範囲内とするために、基材ペースト中におけるアルギン酸塩の含有割合X(重量%)、および、硬化剤ペースト中における非還元糖の含有割合Y(重量%)は、下式(1)を満たせばよい。
・式(1) X≦Y×Rm≦20×X
また、混合比率Rmで混合される混練物中において、アルギン酸塩1質量部に対して、非還元糖の配合量を4質量部〜12質量部の範囲内とするために、基材ペースト中におけるアルギン酸塩の含有割合X(重量%)、および、硬化剤ペースト中における非還元糖の含有割合Y(重量%)は、下式(2)を満たせばよい。
・式(2) 4×X≦Y×Rm≦12×X
−添加剤−
本実施形態のアルジネート印象材には、以上に説明した各成分以外にも、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、たとえば、ゲル化調整剤、充填剤、界面活性剤、無機フッ素化合物、アミノ酸化合物、不飽和カルボン酸重合体、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、pH調整剤等が挙げられる。
なお、これら添加剤は、基材ペーストおよび硬化剤ペーストのいずれか一方、または、双方に適宜添加することができる。しかしながら、充填剤は、基材ペーストおよび硬化剤ペーストの双方に添加することが好ましく、ゲル化調整剤、界面活性剤は硬化剤ペーストに添加されることが好ましい。
ゲル化調整剤を用いる場合には、アルギン酸塩とゲル化剤との反応速度を調節(遅延)させることができる。このため、ペーストタイプ等ではアルジネート印象材を構成する各成分を混合・練和してから口腔内での印象採取までに要する作業時間、あるいは、粉末タイプ等ではアルジネート印象材を構成する各成分と水とを混合・練和してから口腔内での印象採取までに要する作業時間に略対応させて、硬化時間を調整することが容易となる。
ゲル化調整剤としては、公知のゲル化調整剤を制限無く利用できる。ゲル化調整剤としては、一般的には、i)リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等のアルカリ金属を含むリン酸塩、ii)蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム等のアルカリ金属を含む蓚酸塩、iii)炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属を含む炭酸塩を挙げることができる。ゲル化調整剤は2種類以上を混合して用いることもできる。
ゲル化調整剤の配合量は、他の配合成分や要求される硬化時間等に応じて適宜選択できるが、アルギン酸塩100質量部に対して1質量部〜30質量部の範囲内が好ましく、3質量部〜15質量部の範囲内がより好ましい。ゲル化調整剤の配合量を上記範囲内とすることにより、作業時間に略対応させて硬化時間を調整することが容易となることに加えて、硬化物を十分に硬化させることができる。
また、硬化物の物性を調整するために、充填剤を用いることが好ましい。充填剤としては、珪藻土、タルク等の粘土鉱物を用いることが好ましく、シリカ、アルミナ等の金属または半金属の酸化物も用いることができる。充填剤の配合量は特に制限されるものではないが、アルギン酸塩100質量部に対して50質量部〜2000質量部の範囲内が好ましく、100質量部〜1000質量部の範囲内がより好ましい。
また、種々の目的、たとえば、硫酸カルシウム等を主成分とするゲル化剤成分をペースト化すること等を目的として、界面活性剤を用いることもできる。界面活性剤としては、公知の界面活性剤であれば特に制限なく利用でき、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、および、非イオン界面活性剤、のいずれも使用できる。
陰イオン界面活性剤としては、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等を挙げることができる。陽イオン界面活性剤としては、たとえば、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩等を挙げることができる。両性界面活性剤としては、たとえば、アミノカルボン酸塩等を挙げることができる。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ポリオキシジエチレンアルキルアミン、ポリシロキサン類とポリオキシエチレン類とのブロックポリマー等が挙げられる。
界面活性剤の配合量は特に制限されるものではないが、アルギン酸塩100質量部に対して0.1質量部〜300質量部の範囲内であることが好ましく、1質量部〜100質量部の範囲内であることがより好ましい。
また、印象採取時や石膏模型製造時の石膏模型の表面荒れを防ぐ観点からは、フッ化チタンカリウム、ケイフッ化カリウム等の無機フッ素化合物や、アミノ酸/ホルムアルデヒド縮合体等のアミノ酸化合物を配合することが好ましい。また、ペーストタイプ等ではアルジネート印象材を構成する各成分を混合・練和した際、あるいは、粉末タイプ等ではアルジネート印象材を構成する各成分と水とを混合・練和した際の混練物の経時的な粘度の変化速度の制御を容易とするために、不飽和カルボン酸重合体を配合することが好ましい。また、香料、着色料、pH調整剤、抗菌剤、防腐剤等から選択されるいずれか1種または複数種の添加剤を必要に応じて配合することができる。
−製造方法−
本実施形態のアルジネート印象材は、ペースト製造に利用できる公知の攪拌混合機を用いて、基材ペーストおよび硬化剤ペーストを製造することができる。ここで、攪拌混合機としては、たとえば、ボールミルのような回転容器型混合混練機、リボンミキサー、コニーダー、インターナルミキサー、スクリューニーダー、ヘンシェルミキサー、万能ミキサー、レーディゲミキサー、バタフライミキサー、等の水平軸または垂直軸を有する固定容器型の混合混練機を利用することができる。また、基材ペーストの製造に際して、非還元糖などのような水に対して相対的に溶解性の高い成分を溶解させる最初の工程を実施した後、続いて、アルギン酸塩などのような水に対して相対的に溶解性の低い成分を順次または一括して溶解させる後工程を実施する場合、最初の工程の実施に際して、溶解対象となる成分や、この成分が溶解した溶液に強いせん断力が加わらない攪拌装置を利用することもできる。このような攪拌装置としては、各種攪拌翼を備えた可搬型攪拌機、同堅型攪拌機、同側面攪拌機、管路攪拌機等を用いることができる。さらに、基材ペーストや硬化剤ペーストの製造に際しては、上述した各種の混合混練機を2種類以上組み合わせて利用することもできる。
−アルジネート印象材の使用態様−
本実施形態のアルジネート印象材の使用に際しては、一般的に、少なくとも本実施形態のアルジネート印象材から混練物を作製した後、この混練物を専用のトレーに盛りつける。そして、トレーに盛りつけられた混練物を歯牙等の目的物に圧接することで印象を採取する。その後、印象が採取された混練物が硬化して硬化物となった後、この硬化物を基に石膏模型を作製する等の後工程がさらに実施される。ここで、トレーとしては公知のトレーが制限なく利用できるが、一般的には金属製トレーまたはレジン製トレーが利用される。金属製トレーの材質としては、ステンレス、錫合金、アルミニウム、メッキ処理あるいは樹脂コーティングされた黄銅等が挙げられる。なお、本実施形態のアルジネート印象材を用いた場合、混練物は、いずれの金属製トレーにもよく保持される。また、レジン製トレーの材質としてはポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。
以下に本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
<<原料の略称>>
後述する実施例および比較例のアルジネート印象材の作製に用いた各種原料の略称は以下の通りである。
1.ゲル化反応剤
・ZnO:酸化亜鉛
・MgO:酸化マグネシウム
2.保湿剤
・P−Gly:ポリグリセリン
・CaCl2:塩化カルシウム
3.界面活性剤
・デカグリン:デカグリセリルトリオレエート
・ゲル化調節剤
・P3Na:リン酸3ナトリウム
4.充填材
・F1 :粒径0.02μmの非晶質シリカ(メチルトリクロロシラン処理物)
・F2 :粒径0.015μmの非晶質シリカ
5.無機フッ化物
・FTiK:フッ化チタンカリウム
<<評価方法および評価基準>>
後述する実施例および比較例のサンプルについての「吐出性」の評価方法および評価基準、ならびに、「適合歪」の評価方法は、以下の通りである。
(1)吐出性
吐出性の評価は、以下の手順で実施した。まず、作製直後の硬化剤ペーストを、開口部の内径が15mmのプラスチック製の吐出用チューブが取り付けられたアルミパックに充填し、その後、吐出用チューブをプラスチック製のキャップで密封した。次に、硬化剤ペーストが密封充填されたアルミパックを、高温高湿環境(温度50℃、湿度100%)下にて、10日間、30日間、および、60日間、放置した。そして、高温高湿環境下にて所定の期間放置した後のアルミパックを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)にセットして、所定の時間だけ自動錬和器を作動させることで、アルミパック内の硬化剤ペーストを吐出させ、この時の吐出量を測定した。この際、高温高湿環境下での保管期間が0日のアルミパックについても、高温高湿環境下で保管したアルミパックを用いた場合と同様の条件で自動錬和器を作動させることで、吐出量を測定した。また、吐出テストに用いたアルミパックについては、吐出テスト前に、アルミパックを手で押して、アルミパック内に充填された硬化剤ペーストの硬さを調べた。
そして、保管期間が0日のサンプルを基準として、保管期間10日、30日および60日のサンプルの吐出量および硬化剤ペーストの硬さを、下記に示す評価基準に基づいて評価した。なお、後述する表中に示す吐出性は下記評価基準に従って評価した。また、後述する表中の「吐出性」の欄に示す、「10日」、「30日」および「60日」は、各々、高温高湿環境下でのアルミパックの保管期間を意味する。
−吐出性の評価基準−
A:保管期間0日のサンプルに対して、吐出量および硬化剤ペーストの硬さ共に全く変化がない。
B:保管期間0日のサンプルに対して、硬化剤ペーストが若干硬くなり、また、吐出量も減少するが、自動錬和器を用いた混練作業には支障が無い。
C:保管期間0日のサンプルに対して、吐出量が大幅に減少するため、自動錬和器を用いた混練作業に支障が生じ、精密な印象採得ができない。
D:アルミパックから硬化剤ペーストを吐出させることができず、基材ペーストと混練できない。
(2)適合歪
適合歪の評価に際しては、図1に示す一対の金型を使用した。ここで、図1に示すように、適合歪の評価に用いた一対の金型は、第一の金型10および第二の金型20からなる。第一の金型10は2つの凹部12R、12Lを有し、第二の金型20は、2つの凸部22R、22Lを有する。また、第一の金型10および第二の金型20は、図1に示すように凹部12Rと凸部22R、および、凹部12Lと凸部22L、が一致するように第一の金型10と第二の金型20とを勘合させた場合、両者は実質的に隙間無く勘合できる寸法精度を有する。なお、凸部22R、22Lの形状および寸法は、ブリッジ冠の作製を想定したものであり、凸部22R、22Lの高さHは10mm、頂部の幅Wは8mmである。
次に、予め調整した基材ペーストおよび硬化剤ペーストを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーII(トクヤマデンタル社製)を用いて混錬し、混練物を得た。その後、第二の金型20を完全に収納できるサイズの樹脂製トレーに、混練物を流し込んだ後、表面をならした。そして、混練物の表面をならし終えた時点で、ストップウオッチのボタンを押して、時間の計測を開始した。続いて、20秒経過した時点で、第二の金型20を、凸部22R、22Lが設けられた面が下側を向くようにして、樹脂製トレー内に配置された混練物に圧接させた。この状態で、3分間放置して混練物を硬化させ、その後、第二の金型20を除去することで印象を採得した。
次に、印象を採得した後の硬化物を、底に水を張った密封容器からなる湿度80%以上に保たれた保湿箱内に24時間放置した。そして、保湿箱から取り出した硬化物の印象採得部に印象模型作製用の超硬石膏(GC社製ニューフジロック)を流し込んだ後、1時間放置し、石膏を硬化させた。また、印象を採得した後の硬化物をそのまま用いて超硬石膏を流し込んだ後、1時間放置し、石膏を硬化させた。これにより、保湿箱内での放置時間を0時間および24時間とした2種類の第二の金型20の石膏模型を得た。
その後、図2に示すように、石膏模型30の凸部32R、32Lが設けられた側の面と、第一の金型10の凹部12R、12Lが設けられた側の面とを勘合させた状態で、石膏模型30と第一の金型10との間に形成される隙間長さを顕微鏡(KEYENCE社製レーザー顕微鏡VK−8700)を用いて測定した。なお、隙間長さの測定は、図2に示すように、(1)凹部12Lの底面と、この底面に対向する凸部32Lの頂面との間において、その両端近傍の2点(図2中の符号A,Bで示す位置)、(2)凸部32Rと凸部32Lとの間の領域において、第一の金型10の表面と、この表面に対向する石膏模型30の表面との間において、その両端近傍の2点(図2中の符号C,Dで示す位置)、および、(3)凹部12Rの底面と、この底面に対向する凸部32Rの頂面との間において、その両端近傍の2点(図2中の符号E,Fで示す位置)、について各々測定した。そして、A点〜F点で測定した6つの隙間長さの平均値を「適合歪」として求めた。なお、図2において、石膏模型30の代わりに第二の金型20を用いた場合に、上述した場合と同様にして求めた「適合歪」は、5μmである。
また、後述する表中の「適合歪」の欄に示す「直後」は、硬化直後の硬化物(保湿箱での保管時間0分の硬化物)を用いて石膏模型30を作製した場合の結果を示す。また、後述する表中の「適合歪」の欄に示す「24時間後」は、得られた硬化物を保湿箱に、24時間保管した後の硬化物を用いて石膏模型30を作製した場合の結果を示すものである。
比較例6
(a)ゲル化反応剤として、10gの二水石膏、(b)難水溶性有機溶剤として、5gのヘキサン、(c)保湿剤として、10gのCaCl2を量りとり、小型混錬器を用いて1時間混錬し、硬化剤ペーストを調整した。さらに、アルギン酸塩として、25gのアルギン酸カリウム、水として、375gの蒸留水、充填剤として珪藻土を、88g量りとり、小型混錬器を用いて1時間混錬し、基材ペーストを調整した。そして、得られた硬化剤ペーストについては、吐出性を評価した。また、硬化剤ペーストと基材ペーストとを、アルジネート印象材自動錬和器APミキサーIIを用いて混錬した混練物を用いて、適合歪を評価した。なお、混練物を作製する際の基材ペーストに対する硬化剤ペーストの混合比率Rmは、0.36とした。
(実施例3〜10、12〜14、16〜18および比較例1〜5、6〜9
硬化剤ペーストの組成を、表1に示す内容に変更した以外は、比較例6と同様にして基材ペーストおよび硬化剤ペーストを調整し、混練物を得た。そして、比較例6と同様にして、吐出性および適合歪について評価した。
(評価結果)
実施例10、12〜14、16〜18および比較例1〜比較例の硬化剤ペーストの組成を表1に示す。また、実施例3〜10、12〜14、16〜18および比較例1〜比較例のサンプルの吐出性および適合歪の評価結果を表2に示す。
Figure 0005876832
Figure 0005876832
実施例3〜10、12〜14、16〜18、比較例6〜9では、保湿剤を配合しなかった比較例1〜5と比較して、何れの場合においても、硬化剤ペーストの経時的な粘度上昇(硬化進行)が抑制された。これに加えて、実施例3〜10、12〜14、16〜18、比較例6〜9では、何れの場合においても、湿度100%、温度50℃の環境下で10日間保管した後でも問題なく使用する事ができた。
さらに、実施例4〜実施例10、実施例12〜実施例14、実施例16〜実施例18のように、保湿剤として特にトレハロースを使用した場合、硬化剤ペーストの経時的な粘度上昇(硬化進行)が抑制されるだけでなく、印象採得直後の適合歪、および、24時間放置した後の適合歪みについても良好な結果を有することがわかった。
これに対して、保湿剤を配合しなかった比較例1〜比較例5では、何れの場合においても、湿度100%、温度50℃の環境下で10日間保管した後において、硬化剤ペーストの経時的な粘度上昇(硬化進行)が著しいため、自動錬和器を用いて、アルミパックから硬化剤ペーストを吐出させることができなかった。
10 第一の金型
12R、12L 凹部
20 第二の金型
22R、22L 凸部
30 石膏模型
32R、32L 凸部

Claims (5)

  1. (A)アルギン酸塩と、(B)水と、を主成分として含む基材ペースト、および、
    (C)ゲル化反応剤と、(D)難水溶性有機溶媒と、(E)非還元糖と、を主成分として含む硬化剤ペースト、を有することを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
  2. 請求項に記載の歯科用アルジネート印象材において、
    前記非還元糖が、グリコシド結合によって結合した2個〜10個の単糖分子から構成されることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
  3. 請求項1または2に記載の歯科用アルジネート印象材において、
    前記非還元糖が、二糖類であることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の歯科用アルジネート印象材において、
    前記非還元糖が、トレハロースであることを特徴とする歯科用アルジネート印象材。
  5. (C)ゲル化反応剤と、(D)難水溶性有機溶媒と、(E)非還元糖と、を主成分として含むことを特徴とする歯科用アルジネート印象材用の硬化剤ペースト。
JP2012542857A 2010-11-10 2011-10-21 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト Active JP5876832B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012542857A JP5876832B2 (ja) 2010-11-10 2011-10-21 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010252232 2010-11-10
JP2010252232 2010-11-10
JP2012542857A JP5876832B2 (ja) 2010-11-10 2011-10-21 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト
PCT/JP2011/074256 WO2012063618A1 (ja) 2010-11-10 2011-10-21 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012063618A1 JPWO2012063618A1 (ja) 2014-05-12
JP5876832B2 true JP5876832B2 (ja) 2016-03-02

Family

ID=46050770

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012542857A Active JP5876832B2 (ja) 2010-11-10 2011-10-21 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9125818B2 (ja)
EP (1) EP2638893B1 (ja)
JP (1) JP5876832B2 (ja)
CN (1) CN103179942A (ja)
WO (1) WO2012063618A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013187415A1 (ja) * 2012-06-12 2013-12-19 株式会社トクヤマデンタル 歯科用印象材練和装置
WO2014017360A1 (ja) * 2012-07-25 2014-01-30 株式会社トクヤマデンタル 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット
WO2014050028A1 (ja) * 2012-09-25 2014-04-03 株式会社トクヤマデンタル 硬化剤ペースト及びその製造方法並びに歯科用アルジネート印象材キット
CN103551494B (zh) * 2013-10-22 2015-09-09 贵阳新洋诚义齿有限公司 用于磷酸盐包埋材料熔模铸型的脱气剂及铸型制作方法
EP3434253B1 (en) * 2016-03-22 2022-02-02 GC Corporation Dental alginate impression material
CN106038323B (zh) * 2016-07-11 2019-02-22 山西师范大学 纳米精细型藻酸盐印模材料
JP7007098B2 (ja) 2017-03-28 2022-01-24 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー アルギン酸塩系歯科印象材用の硬化材、及び歯科印象材
CN114555032A (zh) * 2019-10-17 2022-05-27 株式会社Gc 固化材浆料及牙科用藻酸盐印模材
EP4082512A4 (en) * 2019-12-26 2023-12-06 GC Corporation DENTAL IMPRESSION MATERIAL AND COMBINED IMPRESSION MATERIAL
EP3977959A1 (de) * 2020-09-30 2022-04-06 Ivoclar Vivadent AG Verfahren zur herstellung eines dentalen formkörpers
JP2023051604A (ja) 2021-09-30 2023-04-11 株式会社ジーシー 主材ペースト、及び歯科用アルギン酸塩印象材

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5835105A (ja) * 1981-08-26 1983-03-01 ラクリ−ド・プロフエツシヨナル・プロダクツ・インコ−ポレ−テツド 歯科印象剤調製用の2液組成物、それらを用いる印象剤の製造法およびそれによりえられる印象剤
JP2003171219A (ja) * 2001-11-30 2003-06-17 Tokuyama Corp 印象材
JP2006273720A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Gc Corp ペースト状歯科用アルギン酸塩印象材組成物

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0048123A1 (en) 1980-09-12 1982-03-24 Merck & Co. Inc. Gelled algin emulsions
GB2090272B (en) * 1980-12-29 1984-05-02 Laclede Professional Prod Settable alginate compositions
JPS62265210A (ja) * 1986-05-13 1987-11-18 Tokuyama Soda Co Ltd 印象材の硬化剤
JP3168550B2 (ja) 1992-12-02 2001-05-21 株式会社林原生物化学研究所 脱水剤およびそれを用いる含水物の脱水方法並びにその方法で得られる脱水物品
JP3884114B2 (ja) 1996-11-15 2007-02-21 株式会社ニッシン アルジネート印象材
JPH10139615A (ja) 1996-11-15 1998-05-26 Mitsubishi Chem Corp アルジネート印象材
JP4322025B2 (ja) 2003-03-06 2009-08-26 株式会社トクヤマ 印象材組成物
US7037367B2 (en) * 2003-10-20 2006-05-02 W.R. Grace & Co.-Conn. Concrete surface retarders
CN102811696A (zh) * 2010-04-22 2012-12-05 德山齿科株式会社 含藻酸类的水性组合物、齿科用藻酸盐印模材料及齿科用藻酸盐印模材料用的基体材料

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5835105A (ja) * 1981-08-26 1983-03-01 ラクリ−ド・プロフエツシヨナル・プロダクツ・インコ−ポレ−テツド 歯科印象剤調製用の2液組成物、それらを用いる印象剤の製造法およびそれによりえられる印象剤
JP2003171219A (ja) * 2001-11-30 2003-06-17 Tokuyama Corp 印象材
JP2006273720A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Gc Corp ペースト状歯科用アルギン酸塩印象材組成物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2012063618A1 (ja) 2012-05-18
EP2638893A4 (en) 2014-08-20
EP2638893B1 (en) 2021-09-22
US20130220172A1 (en) 2013-08-29
EP2638893A1 (en) 2013-09-18
CN103179942A (zh) 2013-06-26
JPWO2012063618A1 (ja) 2014-05-12
US9125818B2 (en) 2015-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5876832B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる硬化剤ペースト
JP4823547B2 (ja) ペースト状歯科用アルギン酸塩印象材組成物
WO2011132699A1 (ja) アルギン酸類含有水性組成物、歯科用アルジネート印象材および歯科用アルジネート印象材用の基材
JP6270220B2 (ja) 硬化剤ペーストの製造方法
JP5721401B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材およびこれに用いる基材ペースト
JP6113025B2 (ja) アルジネート硬化性組成物の調製方法
JP6063940B2 (ja) 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット
JP6112919B2 (ja) アルジネート印象採得用前処理材
JP6099425B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材
JP7461972B2 (ja) 歯科用印象材及び連合印象材
JP2003171219A (ja) 印象材
JP6080810B2 (ja) 二酸化炭素外用剤調製用組成物、その製造方法及び評価方法、並びに二酸化炭素外用剤
JP6062719B2 (ja) 歯科用アルジネート印象材
JP2793744B2 (ja) 印象材用硬化剤
JP4322025B2 (ja) 印象材組成物
JPH0632709A (ja) 印象材用硬化剤
JP2016002072A (ja) 家畜用乳頭パック材料、家畜用乳頭パック組成物、及び家畜の乳頭を保護するための方法
JP7007098B2 (ja) アルギン酸塩系歯科印象材用の硬化材、及び歯科印象材
JP4306831B2 (ja) 歯科用アルギン酸塩印象材
JP2013095665A (ja) 歯科用アルジネート印象材組成物
JP6680530B2 (ja) 印象材
JP5832107B2 (ja) アルジネート印象材硬化体用保存液
JPH10316522A (ja) アルジネート印象材
JP2002104915A (ja) 粉末状アルギン酸塩印象材組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150721

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5876832

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250