JP6270220B2 - 硬化剤ペーストの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化剤ペースト及びその製造方法、並びに歯科用アルジネート印象材キットに関する。
歯牙等を修復するために、鋳造歯冠修復処理又は欠損補綴処理等を必要とする際、先ず、支台歯等の型を採得する。次に、その採得された型を用いて、石膏製等の模型を作製する。そして、その模型を元に補綴物を作製し、作製された補綴物を支台歯等に装着する。この支台歯等の型を印象と称し、印象を採得するための硬化剤料を印象材と呼んでいる。この印象材として、アルジネート印象材、寒天印象材、シリコーンゴム印象材、ポリサルファイドゴム印象材、あるいは、ポリエーテルゴム印象材等が用いられる。その中でも、アルジネート印象材は、安価かつ取扱いが容易であるため、最も広く用いられる。
アルジネート印象材を用いて印象を採得する作業は、以下の手順で行う。先ず、歯列を模した印象用トレーに、アルジネート印象材を構成する各成分を混練したものを盛り付ける。次に、口腔内の歯牙を包み込むように、印象材を盛り付けたトレーを歯牙に押し付ける。そして、アルジネート印象材が硬化した後に、アルジネート印象材とトレーとを一体として歯牙から外して、口腔外に撤去する。
このアルジネート印象材は、使用に際して、アルギン酸塩、硫酸カルシウム等のゲル化反応剤や、水等の主成分を混練して使用される。そして、使用前の状態では、アルジネート印象材は、保存性を確保するために、水を除いた固形分を粉末状とした粉末タイプ、あるいは、アルギン酸塩と水とを主成分とするペースト(基材ペースト)と、ゲル化反応剤を主成分とするペースト(硬化剤ペースト)とを組み合わせて用いるペーストタイプがある。そして、使用に際して、粉末タイプでは、粉末と水とを混練し、ペーストタイプでは、2種類のペーストを混練する。
粉末タイプのアルジネート印象材では、混練作業に際して、手作業による熟練の技が要求される。これに対して、ペーストタイプのアルジネート印象材は、基材ペーストと硬化剤ペーストとを混練する専用の混練装置を用いることにより、容易に混練作業の自動化・省力化が図れる。このため、近年では、粉末タイプのアルジネート印象材を置きかえる形でペーストタイプのアルジネート印象材が普及しつつある。
従来のペーストタイプのアルジネート印象材の硬化剤に関しては、2価金属塩、反応遅延剤及び流動性可塑剤からなるペースト状の組成物(特許文献1)、石膏及びノニオン界面活性剤からなる硬化剤(特許文献2)、石膏及び難水溶性液状化合物、界面活性剤、アミノ酸系化合物からなる硬化剤(特許文献3)、石膏、難水溶性液状化合物、保湿剤からなる硬化剤(特許文献4)、硫酸カルシウム、界面活性剤、酸化マグネシウム、難水溶性液状化合物からなる硬化剤(特許文献5)等が知られている。
このようなペーストタイプのアルジネート印象材は、通常、基材ペーストおよび硬化剤ペーストの双方が、アルミパックなどの包装容器に密封保存された形態で、歯科医師や歯科衛生士などの利用者に提供される。ここで、混練作業に際しては、基材ペーストの包装容器の開口部を混練装置の基材ペースト注入口に連結し、かつ、硬化剤ペーストの包装容器の開口部を混練装置の硬化剤ペースト注入口に連結する。そして、この状態で各々の包装容器から混練装置内へと供給された2種類のペーストが、混練装置内で自動的に混練された後、混練物が混練装置外へと排出される。これにより、利用者は、混練物を得ることができる。それゆえ、このような混練処理を行う際に、包装容器内のペーストを、混練装置内へとスムーズに供給できるように、包装容器内のペーストは、適度な流動性を有している必要がある。このため、包装容器に密封保存されたペーストは、製造直後の段階では、適度な流動性を有するように粘度が調整されている。
しかしながら、硬化剤ペーストにおいては、時間の経過と共に流動性が低下し、自己硬化する。そして、硬化が発生した場合には、包装容器の開口部から硬化剤ペーストを吐出することができなくなるため、混練物を作製するための硬化剤ペーストが利用できなくなる。即ち、包装容器中に密封保存された状態の硬化剤ペーストの使用期限は、自己硬化の進行速度によって左右されることになる。そして、自己硬化の進行速度は、硬化剤ペーストの使用期限を決定することになる。
ここで、硬化剤ペーストが時間の経過と共に流動性が低下し、自己硬化する原因としては、硬化剤ペースト中に含まれる水分と、硫酸カルシウム(石膏)が経時的に反応するためであると考えられる。この問題を解決するためには、硬化剤ペースト中の水分を除去する必要がある。
特許文献4では、硬化剤ペースト中に保湿剤として塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどの乾燥剤を配合して硬化剤ペースト中の水分を除去することで、硬化剤ペーストの使用期限を向上することが提案されているが、その効果は必ずしも充分ではなかった。即ち、長期保存の目安として、硬化剤ペースト中に含まれる水分量を0.05質量%以下とする場合、乾燥剤の配合量を極めて多くせざるを得ず、乾燥剤の配合量が多くなると、印象採得直前に、アルギン酸塩と水を主成分とする基材ペーストと混練した際に、基材ペースト中の水分量が変化してしまうことや、ペースト中に乾燥剤から生じる気泡が混入してしまうことにより、ペーストの操作性や印象性能に悪影響を生じる問題がある。
特開昭58−35105号公報 特開昭59−101410号公報 特開平 6−32709号公報 国際公開第2012/063618号 特開平 9−315924号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、包装容器中で密封保存された状態の硬化剤ペーストの自己硬化を長期間に渡って抑制できる硬化剤ペースト及びその製造方法、並びに、保存時の自己硬化を長時間抑制できると同時に、使用時の操作性、印象性能が良好な歯科用アルジネート印象材キットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)硫酸カルシウム二水塩を含む硫酸カルシウムと、(B)難水溶性液状化合物と、(C)界面活性剤とを主成分として含み、含水率が0.05質量%以下である
硬化剤ペースト。
<2> 上記硫酸カルシウムが硫酸カルシウム二水塩を5質量%以上含む
上記<1>に記載の硬化剤ペースト。
<3> (A)硫酸カルシウム二水塩を含む硫酸カルシウムと、(B)難水溶性液状化合物と、(C)界面活性剤とを用意し、
上記硫酸カルシウムと上記難水溶性液状化合物と上記界面活性剤とを、60℃を超えない温度条件下で真空混練する
硬化剤ペーストの製造方法。
<4> (A)硫酸カルシウム二水塩を含む硫酸カルシウムと、(B)難水溶性液状化合物と、(C)界面活性剤とを主成分として含み、含水率が0.05質量%以下である硬化剤ペーストと、
(D)アルギン酸塩と、(E)水とを主成分として含む基材ペーストと、を有する
歯科用アルジネート印象材キット。
<5> 上記硫酸カルシウムが硫酸カルシウム二水塩を5質量%以上含む
上記<4>に記載の歯科用アルジネート印象材キット。
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、包装容器中で密封保存された状態の硬化剤ペーストの自己硬化を長期間に渡って抑制できる硬化剤ペースト及びその製造方法、並びに保存時の自己硬化を長時間抑制できると同時に、使用時の操作性、印象性能が良好な歯科用アルジネート印象材キットを提供することができる。
本発明によれば、印象材の操作性、印象性能を維持しつつ、包装容器中で密封保存された状態の硬化剤ペーストの自己硬化を長期間に渡って抑制できる硬化剤ペースト及びその製造方法、並びに歯科用アルジネート印象材キットを提供することができる。本発明の硬化剤ペーストは、歯科用途に限らず、例えば特開2006−50911号公報に開示されているような、乳頭を保護する為のパック材としても好適に使用することができる。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討し、以下の知見を得た。
硬化剤ペーストには、基材ペースト中のアルギン酸塩と反応して印象材を徐々に硬化させ、印象材の操作性、印象性能を付与する観点から、硫酸カルシウム二水塩が好適に用いられる(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、硫酸カルシウム二水塩の結晶格子は、熱によって破壊され、硫酸カルシウム二水塩由来の結晶水が硬化剤ペースト中に遊離してしまうものと考えられる。逆に、このことを換言すれば、最も混練物に熱が加わる真空混練時の摩擦熱を放熱して一定温度以下に制御することで、硫酸カルシウム二水塩の結晶格子の破壊を抑制でき、結晶水が硬化剤ペースト中に遊離拡散することを防止することができるものと考えられる。
このような観点から、真空混練時の温度条件を制御して、硬化剤ペースト製造を試行したところ、各成分を真空混練して硬化剤ペーストを製造する際、真空混練の温度条件を60℃を超えないように制御することで、製造される硬化剤ペーストの含水率を0.05質量%以下に抑制することができることの知見を得た。
なお、特許文献5では、硬化剤ペースト製造における温度条件として、硬化剤ペーストを長期保存後に使用する際の硬化時間の遅延を解消する観点から、酸化マグネシウムと界面活性剤との混合物を40℃〜150℃の温度で加熱することとされるが、高温側で硫酸カルシウム二水塩由来の結晶水が生じることに加え、真空混練の温度条件を60℃を超えないように制御することについては、検討されていない。前記知見に基づき、硫酸カルシウム二水塩を含む状態のペースト試料に対しては、真空混練以外の処理についても60℃を超えないように制御することが求められる。
(硬化剤ペースト及びその製造方法)
本発明の硬化剤ペーストは、(A)硫酸カルシウム二水塩を含む硫酸カルシウムと、(B)難水溶性液状化合物と、(C)界面活性剤とを主成分として含み、前記硬化剤ペースト中の含水率が0.05質量%以下であることを特徴とする。
また、前記硬化剤ペーストの製造方法は、少なくとも前記(A)硫酸カルシウムと、前記(B)難水溶性液状化合物と、前記(C)界面活性剤とを、60℃を超えない温度条件下で真空混練することを特徴とする。
<製法>
以下、前記硬化剤ペーストの製造方法について、より具体的に説明する。
前記硬化剤ペーストは、混練時に、混練物を冷却できる機能、例えば、ジャケット付き混練容器に冷水を循環できるようにした装置などを有していれば、ペースト製造に利用できる公知の攪拌混合機を用いて製造することができる。
ここで、前記攪拌混合機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールミルのような回転容器型混合混練機、リボンミキサー、コニーダー、インターナルミキサー、スクリューニーダー、ヘンシェルミキサー、万能ミキサー、レーディゲミキサー、バタフライミキサー等の水平軸または垂直軸を有する固定容器型の混合混練機などが挙げられる。中でも、放熱の効率性の観点から、攪拌翼の内側に冷却水を循環できる機能を有する混練器を用いることが好ましい。
具体的には、混練槽に必要成分を添加し、混練槽内を放熱するため、ジャケットに循環冷却水(好適には10℃〜25℃の水)を循環させ、常圧にて混練を開始し、ある程度均一になった状態で、混練槽内を減圧し、真空混練を行う。
この時、混練時に最もペーストにせん断力がかかる部分、例えば、攪拌翼や高速チョッパーなどの設置個所の下方などのペースト温度を定期的に確認し、ペーストの温度が60℃以上にならないようにする必要がある。
ペースト温度の確認方法としては、混練を中断して、温度計などを用いて行ってもよいが、混練槽内に予め熱電対式温度センサーなどを設置して常時ペースト温度が確認できるようにしておくことが好ましい。
ペースト温度が上昇し、60℃以上となる可能性が生じた場合には、ペースト温度が低下するまで混練を中断するか、冷却水の温度を下げるなどの処置を施す。
攪拌翼及び高速チョッパーの回転速度としては、所望の硬化剤ペースト粘度が得られるように適宜決定すればよいが、通常、真空混練時間が30分〜120分の範囲になるように、具体的には攪拌翼回転速度が20〜500rpm、高速チョッパーが1,000〜5,000rpmの範囲で設定することが好ましい。
真空混練時の温度条件としては、60℃を超える温度上昇がない限り、特に制限はないが、硫酸カルシウム二水塩の結晶格子の破壊を十分に抑制する観点からは、42℃を超える温度上昇がないようにすることが好ましい。混練温度の下限は、あまり低いと(B)難水溶性液状化合物の粘度が上昇し混練性が低下するため、真空混練の開始5分後の安定的運転が開始されてからは30℃以上であるのが好ましい。
なお、本発明において、真空混練時に60℃を超えない温度条件にするとは、混練制御の突発的な変動等から、硫酸カルシウム二水塩の結晶格子の破壊に実質影響しない極僅かな期間、上記60℃を超えても許容される。具体的には、混練中に、60℃を超えても、それが継続して5秒を超えない短時間、より好適には2秒を超えない短時間であれば、60℃を超えない温度条件は維持されたものとして許容できる。
前記硬化剤ペーストの混練は、ペースト中への気泡混入を防ぐと共に、粉成分と液成分の分散効率を高め、均一なペーストを得るために、真空混練により実施する。真空混練の圧力条件は、3Torr〜60Torr(1Torrは、約133.32Pa)とする。前記圧力条件が3Torr未満であると、混練効率が低下することがあり、60Torrを超えると、混練効率が低下するだけでなく、ペースト中に、気泡が混入してしまうことがある。また、この圧力条件下であれば、温度条件を60℃を超えない条件とすることで、前記硬化剤ペースト中の含水率を0.05質量%以下に抑えることができる。
<各成分>
前記硬化剤ペーストは、前述の通り、前記硫酸カルシウム二水塩を含む硫酸カルシウム(A)と、前記難水溶性液状化合物(B)と、前記界面活性剤(C)とを主成分として含み、必要に応じて、任意成分を含んでいてもよい。
−(A)硫酸カルシウム−
前記硫酸カルシウム(A)の具体的な成分としては、水存在下において、アルギン酸塩のゲル化反応に使用されるカルシウムイオンを効率的に溶出できることから、硫酸カルシウム二水塩が必ず使用される。さらに、目的に応じて適宜選択して、前記硫酸カルシウム二水塩以外の前記硫酸カルシウム(A)成分として、硫酸カルシウム半水塩(半水石膏)、硫酸カルシウム無水塩(無水石膏)等を含有させることができる。
前記硫酸カルシウム(A)の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材ペーストに含まれるアルギン酸塩100質量部に対して、10質量部〜2,000質量部の範囲内が好ましく、100質量部〜1,000質量部の範囲内がより好ましい。なお、このような配合量として、通常、前記硬化剤ペースト中における前記硫酸カルシウム(A)の含有率は、5質量%〜80質量%が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
前記硫酸カルシウム(A)中の前記硫酸カルシウム二水塩の含有率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。前記含有率が5質量%に満たない場合には、アルギン酸塩のゲル強度が不足し、印象材の硬化強度が低くなり、前記印象材の操作性、印象性能が低下することがある。
−(B)難水溶性液状化合物−
前記難水溶性液状化合物(B)は、前記硬化剤ペーストをペースト化するために用いられる。「難水溶性」とは、20℃の水100gに対する溶解度が5g以下であることを示す。
このような前記難水溶性液状化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭化水素化合物、脂肪族アルコール、環式アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、これら脂肪酸、脂肪酸エステルの塩、疎水性重合体等が挙げられる。以下、これら各種の難水溶性液状化合物(B)の好適な例を示す。
前記炭化水素化合物としては、鎖式化合物及び環式化合物のいずれも使用でき、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ケロシン、2,7−ジメチルオクタン、1−オクテン等の脂肪族鎖状炭化水素化合物、シクロヘプタン、シクロノナン等の脂環式炭化水素化合物、液状飽和炭化水素の混合物である流動パラフィン等が挙げられる。
前記脂肪族アルコールとしては、例えば、1−ヘキサノール、1−オクタノール等の飽和脂肪族アルコール、シトロネロール、オレイルアルコール等の不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。また、前記環式アルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール等が挙げられる。
前記脂肪酸としては、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を挙げることができる。また、前記脂肪酸エステルとしては、オクタン酸エチル、フタル酸ブチル、オレイン酸グリセリド、オリーブ油、ごま油等の植物油、肝油、鯨油等の動物脂等が挙げられる。
前記疎水性重合体としては、例えば、ポリシロキサン(いわゆるシリコーンオイル)等が挙げられ、より具体的には、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリフェニルハイドロジェンシロキサン等が挙げられる。
製造コスト、生体に対する為害性、歯牙の印象を採取する際の味覚への影響等を考慮した場合、以上に列挙した難水溶性液状化合物(B)の中でも、前記炭化水素化合物、前記疎水性重合体が好ましく、流動パラフィン、シリコーンオイルを用いることが特に好ましい。なお、前記難水溶性液状化合物(B)としては、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記難水溶性液状化合物(B)の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記硫酸カルシウム(A)100質量部に対して、10質量部〜200質量部の範囲内が好ましく、20質量部〜100質量部の範囲内がより好ましい。
−(C)界面活性剤−
前記界面活性剤(C)は、前記硬化剤ペーストをペースト化するために用いられる。
このような前記界面活性剤(C)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤のいずれをも使用することができる。以下、これら各種の界面活性剤(C)の好適な例を示す。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等を挙げることができる。
また、前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩等を挙げることができる。
また、両性界面活性剤としては、例えば、アミノカルボン酸塩等を挙げることができる。
また、非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ポリオキシジエチレンアルキルアミン、ポリシロキサン類とポリオキシエチレン類とのブロックポリマー等が挙げられる。
なお、前記界面活性剤(C)としては、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記界面活性剤(C)の配合量としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記硫酸カルシウム(A)100質量部に対して1質量部〜50質量部の範囲内であることが好ましく、5質量部〜20質量部の範囲内であることがより好ましい。
−任意成分−
前記任意成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル化調整剤、充填剤、無機フッ素化合物、金属酸化物、アミノ酸化合物、不飽和カルボン酸重合体、保湿剤、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、pH調整剤等が挙げられる。
なお、これら添加剤としては、前記硬化剤ペースト及び後述する基材ペーストのいずれか一方又は双方に適宜添加することができる。しかしながら、前記充填剤としては、前記基材ペースト、前記硬化剤ペーストの双方に添加することが好ましく、前記ゲル化調整剤としては、前記硬化剤ペーストに添加されることが好ましい。
前記ゲル化調整剤を用いる場合には、前記アルギン酸塩とゲル化反応剤(前記硫酸カルシウム(A))との反応速度を調節(遅延)させることができる。このため、前記印象材を構成する各成分を混合・練和してから口腔内での印象採取までに要する作業時間に対応させて、硬化時間を調整することが容易となる。
前記ゲル化調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、i)リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等のアルカリ金属を含むリン酸塩、ii)蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム等のアルカリ金属を含む蓚酸塩、iii)炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属を含む炭酸塩を挙げることができる。なお、前記ゲル化調整剤としては、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記ゲル化調整剤の配合量としては、他の成分や要求される硬化時間等に応じて適宜選択できるが、前記アルギン酸塩100質量部に対して1質量部〜30質量部の範囲内が好ましく、3質量部〜15質量部の範囲内がより好ましい。このような配合量であれば、作業時間に略対応させて硬化時間を調整することが容易となることに加えて、硬化物を十分に硬化させることができる。
前記充填材は、印象材硬化体の物性を調整するために、用いられる。
このような充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、珪藻土、タルク等の粘度鉱物が好ましく、シリカ、アルミナ等の金属又は半金属の酸化物も用いることができる。
前記充填剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記アルギン酸塩100質量部に対して50質量部〜2,000質量部の範囲内が好ましく、100質量部〜1,000質量部の範囲内がより好ましい。
前記無機フッ素化合物、前記金属酸化物、前記アミノ酸化合物は、印象材硬化体の強度調節、印象採取時及び石膏模型製造時の石膏模型の表面荒れを防ぐ観点から用いられる。
前記無機フッ素化合物としては、例えば、フッ化チタンカリウム、ケイフッ化カリウム等が挙げられる。前記金属酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。前記アミノ酸化合物としては、例えば、アミノ酸/ホルムアルデヒド縮合体等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸重合体は、前記印象材を構成する各成分を混合・練和した際、粘度の変化速度の制御を容易とするために用いられる。
前記保湿剤は、印象採得時の印象精度及び印象採得後の硬化体の耐乾燥性を向上するために用いられる。
このような前記保湿剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トレハロース、スクロース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース、スタキオース、シクロデキストリン類等のオリゴ糖類などの非還元糖が好ましい。
前記保湿剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記アルギン酸塩100質量部に対して、100質量部〜2,000質量部の範囲内であることが好ましく、400質量部〜1,200質量部の範囲内であることがより好ましい。
なお、前記硬化剤ペーストは、種々の目的で用いられる乾燥剤の添加を排除するものではない。ただし、前記硬化剤ペースト中の水分を制御するために前記乾燥剤を用いる場合、前記硫酸カルシウム100質量部当たり、50質量部以上の添加を必要とし、また、前記乾燥剤を多量に添加すると、前記基材ペーストと混練する際、前記基材ペースト中の水分量が変化すること及びその混練物に前記乾燥剤から生じる気泡が混入することにより、前記印象材の操作性及び印象性能に悪影響を及ぼすことから、水分制御を目的として多量に前記乾燥剤を添加する態様は、前記硬化剤ペーストから排除される。
なお、ここで言う乾燥剤とは、それ自身が水分を吸着するものを意味し、吸着された水分は、完全に系から除去され、遊離水としての機能が失われる。このような乾燥剤の具体例としては、尿素、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、などの潮解性を有する物質、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールのポリマー、メチルセルロースなどのセルロース系ポリマーなどが挙げられる。
<物性>
前記硬化剤ペーストは、前記硬化剤ペースト中の含水率が0.05質量%以下であり、0.01質量%以下が好ましく、理想的には0質量%である。
前記含水率が、0.05質量%を超えると、時間の経過と共に前記硬化剤ペーストの流動性が低下し、自己硬化してしまい、包装容器の開口部から硬化剤ペーストを吐出することができなくなるため、前記印象材を作製するために、前記硬化剤ペーストを利用することができなくなってしまう。
前記硬化剤ペースト中の含水率の測定方法としては、カールフィッシャー水分計などを用いた測定方法が挙げられる。
前記硬化剤ペーストに基づく前記印象材の操作性、印象性能を評価するものとして、前記硬化剤ペーストと前記基材ペーストを混練させて得られた前記印象材の硬化体における弾性歪は、特に制限はないが、20%以下であることが好ましく、17%以下であることがより好ましい。
また、前記印象材の硬化体における永久歪は、特に制限はないが、5%未満であることが好ましく、4%以下であることがより好ましい。
なお、これら弾性歪及び永久歪は、前記硬化物ペーストの製造直後(初期)に用いられた場合に対し、前記硬化物ペーストの製造から1年経過後に用いられた場合で、増加量が40%以内であることが好ましい。
また、これら弾性歪及び永久歪の測定方法としては、JIS T6513に準じて測定することができる。
(歯科用アルジネート印象材キット)
本発明の歯科用アルジネート印象材キットは、本発明の前記硬化剤ペーストと、基材ペーストとを有する。
<硬化剤ペースト>
前記硬化剤ペーストは、本発明の前記硬化剤ペーストで説明した事項と共通するため、説明を省略する。
<基材ペースト>
前記基材ペーストは、(D)アルギン酸塩と、(E)水とを主成分として含む基材ペーストとを含み、必要に応じて、任意成分を含んでいてもよい。
−(D)アルギン酸塩−
前記アルギン酸塩(D)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、i)アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等のアルギン酸アルカリ金属塩、ii)アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン等のアルギン酸アンモニウム塩等が挙げられる。これらのアルギン酸塩の中でも、入手容易性、取扱い容易性、硬化物の物性等の観点から、アルギン酸アルカリ金属塩を用いることが好ましい。また、前記アルギン酸塩としては、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルギン酸塩の含有量としては、通常、前記硬化物ペーストと前記基材ペーストの混練物中において2質量%〜10質量%の範囲内で含まれていることが好ましい。したがって、前記歯科用アルジネート印象材キット全体でみた時では、前記アルギン酸塩の含有量が、前記混練物中において前記範囲内となるように、前記基材ペーストに含まれる前記アルギン酸塩の量を調整する。
また、前記アルギン酸塩の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記アルギン酸塩を1質量%含む水溶液の粘度が50cps〜100cps(1cpsは、0.001Pa・s)の範囲内となる分子量であることが好ましい。
(E)水
前記水(E)としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等が利用できる。前記水の配合量は、前記混練物を作製した際に、該混練物中において、前記アルギン酸塩100質量部に対して、100質量部〜4,000質量部の範囲内で用いることが好ましく、500質量部〜2,000質量部の範囲内で用いることがより好ましい。
−任意成分−
前記任意成分としては、本発明の前記硬化物ペーストについて説明した事項と共通するため、説明を省略する。
−製法−
前記基材ペーストの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペースト製造に利用できる公知の攪拌混合機を用いて製造することができる。
前記攪拌混合機としては、例えば、ボールミルのような回転容器型混合混練機、リボンミキサー、コニーダー、インターナルミキサー、スクリューニーダー、ヘンシェルミキサー、万能ミキサー、レーディゲミキサー、バタフライミキサー等の水平軸又は垂直軸を有する固定容器型の混合混練機を利用することができる。
また、前記基材ペーストの製造に際して、前記水に対して相対的に溶解性の高い成分を溶解させる最初の工程を実施した後、続いて、前記アルギン酸塩などのような水に対して相対的に溶解性の低い成分を順次または一括して溶解させる後工程を実施する場合、最初の工程の実施に際して、溶解対象となる成分や、この成分が溶解した溶液に強いせん断力が加わらない攪拌装置を利用することもできる。
このような攪拌装置としては、各種攪拌翼を備えた可搬型攪拌機、同堅型攪拌機、同側面攪拌機、管路攪拌機等を用いることができる。更に、前記基材ペーストの製造に際しては、前記混合混練機を1種単独で利用してもよく、2種以上組み合わせて利用することもできる。
<使用態様>
先ず、前記歯科用アルジネート印象材キットは、前記硬化剤ペーストと、前記基材ペーストを印象採得直前に、自動混練器などを用いて混練してから使用する。
混練作業に際して、前記硬化剤ペーストに対する前記基材ペーストの混合比率Rm(硬化剤ペーストの使用量/基材ペーストの使用量〔質量部/質量部〕)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.25〜1の範囲内であることが好ましい。
なお、前記混合比率Rmについては、混合比率情報表示媒体に表示することができる。この混合比率情報表示媒体としては、i)段ボール箱等からなる製品パッケージ、ii)紙媒体及び電子データの少なくともいずれかの態様で提供される製品の使用説明書、iii)前記基材ペーストを密封状態で保管する収納部材(容器、包装袋等)、iv)前記硬化剤ペーストを密封状態で保管する収納部材(容器、包装袋等)、v)紙媒体及び電子データの少なくともいずれかの態様で提供される製品カタログ、vi)製品とは別に電子メールや郵便物等により製品利用者に送付される通信文が利用できる。また、前記混合比率Rmは、上記i)〜vi)に示す以外の態様により製品利用者が認知し得る態様で、製品利用者に提供されてもよい。ここで、前記基材ペーストを含む収納部材及び前記硬化剤ペーストを含む収納部材のセット、或いは、いずれか1種のペーストを含む収納部材を製品利用者に提供する場合、これら部材に対して、必要に応じて製品パッケージ及び紙媒体の少なくともいずれかの態様による使用説明書が付加される。
次いで、前記歯科アルジネート印象材キットを用いて混練物を作製した後、この混練物を専用のトレーに盛りつける。そして、該トレーに盛りつけられた前記混練物を歯牙等の目的物に圧接することで印象を採取する。その後、印象が採取された前記混練物が硬化して硬化物となった後、この硬化物を基に石膏模型を作製する等の後工程がさらに実施される。ここで、前記トレーとしては、公知のトレーが制限なく利用できるが、一般的には金属製トレー又はレジン製トレーが利用される。前記金属製トレーの材質としては、例えば、ステンレス、錫合金、アルミニウム、メッキ処理又は樹脂コーティングされた黄銅等が挙げられる。なお、前記歯科用アルジネート印象材キットを用いた場合、前記混練物は、いずれの前記金属製トレーにもよく保持される。また、前記レジン製トレーの材質としてはポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。
以下に本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
<原料の略称>
後述する実施例及び比較例に係る歯科用アルジネート印象材キットの製造に用いた各種原料は、下記表1に示す通りである。
Figure 0006270220
<評価方法>
後述する実施例及び比較例に係るサンプルについての「硬化剤ペースト中の含水率」の測定方法、「25℃保管時の硬化剤ペースト固化の有無」に関する評価方法、及び「印象材の弾性歪、永久歪」の評価方法は、それぞれ以下の通りである。
1.「硬化剤ペースト中の含水率」の測定方法:
調整した各硬化剤ペースト1gをサンプル瓶に量り取り、十分乾燥させた無水トルエン4gを加え、数時間攪拌した。次に溶液中に含まれる水分量を、カールフィッシャー電量滴定法を用いて定量した。
2.「25℃保管時の硬化剤ペースト固化の有無」の評価方法:
調整した各硬化剤ペーストをアルミ製のペーストパックに真空充填したものを25℃に設定したインキュベーター内に保管した。所定の期間(初期、半年後、1年後)が経過した時に、硬化剤ペーストパックを取り出し、パック内のペーストの固化の有無を下記に示す評価基準により評価した。
評価基準:
[1]:全く変化無し。流動性を有している。
[2]:少し硬くなっているが、流動性は残っており、ミキサーからの吐出は可能である。
[3]:固化しており、ミキサーからの吐出は不可能である。
3.「印象材の弾性歪、永久歪」の評価方法:
調整した印象材用硬化剤ペースト及び基材ペーストをそれぞれアルミ製のペーストパックに真空充填し、アルジネート印象材自動練和器(トクヤマデンタル社製「APミキサーII」)にセットした。所望の混合比(硬化剤ペースト/基材ペースト)になるようにミキサーのポンプ出量を調整し、ペーストを歪試験用型の中に吐出して印象材硬化体を得た。得られた硬化体について、JIS T6513に準じて弾性歪、永久歪を測定した。
また、硬化剤ペーストパックを25℃に設定したインキュベーター内に保管し、所定の期間(初期、半年後、1年後)が経過した時に、硬化剤ペーストパックを取り出し、同様の方法にて、保管後の弾性歪、永久歪を測定し、初期値と比較した。
<硬化剤ペースト製造方法>
実施例及び比較例に係る硬化剤ペーストの製造方法は、以下の通りである。
−製法a−
上記表1記載の各成分を所定の量量り取り、混練槽内の攪拌翼付近に温度センサーを取り付けたアイコー社製「アイコーミキサー」の混練槽に仕込み、混練槽内のペーストの温度を調節するため混練槽ジャケットに20℃の水を循環させた。30分間予備混練し、各成分がある程度混合された時点で、一度混練を中断し、混練槽の上部に付着したペーストを、ゴムベラを用いて掻き落とした。
次に、混練槽内を減圧(50torr)し、90分間真空混練を行い、硬化剤ペーストを製造した。この時、混練槽内のペーストの温度は、混練開始5分後の安定的運転が開始されてからは30℃以上で、且つ最大でも表3に示した温度以下であった。混練終了後、製造された硬化剤ペーストを回収し、これをアルミ製のペーストパックに真空充填し、各ペーストパックに硬化剤ペーストを小分けした。
−製法b−
上記表1記載の各成分を所定の量量り取り、混練槽内の攪拌翼付近に温度センサーを取り付けたアイコー社製「アイコーミキサー」の混練槽に仕込み、混練槽内のペーストの温度を調節するために混練槽ジャケットに20℃の水を循環させた。30分間予備混練し、各成分がある程度混合された時点で、一度混練を中断し、混練槽の上部に付着したペーストを、ゴムベラを用いて掻き落とした。
次に、混練槽内を減圧(50torr)し、90分間真空混練を行い、硬化剤ペーストを製造した。この時、混練槽内のペーストの温度が、混練開始5分後の安定的運転が開始されてからは常に42℃となるように循環水の温度を随時調節した。混練終了後、製造された硬化剤ペーストを回収し、これをアルミ製のペーストパックに真空充填し、各ペーストパックに硬化剤ペーストを小分けした。
−製法c−
上記表1記載の各成分を所定の量量り取り、混練槽内の攪拌翼付近に温度センサーを取り付けたアイコー社製「アイコーミキサー」の混練槽に仕込み、混練槽内のペーストの温度を調節するために混練槽ジャケットに20℃の水を循環させた。30分間予備混練し、各成分がある程度混合された時点で、一度混練を中断し、混練槽の上部に付着したペーストを、ゴムベラを用いて掻き落とした。
次に、混練槽内を減圧(50torr)し、90分間真空混練を行い、硬化剤ペーストを製造した。この時、混練槽内のペーストの温度が、混練開始5分後の安定的運転が開始されてからは常に58℃となるように循環水の温度を随時調節した。混練終了後、製造された硬化剤ペーストを回収し、これをアルミ製のペーストパックに真空充填し、各ペーストパックに硬化剤ペーストを小分けした。
−製法d−
上記表1記載の各成分を所定の量量り取り、混練槽内の攪拌翼付近に温度センサーを取り付けたアイコー社製「アイコーミキサー」の混練槽に仕込んだあと、30分間予備混練し、成分がある程度混合した時点で、一度混練を中断し、混練槽の上部に付着したペーストを、ゴムベラを用いて掻き落とした。
次に、混練槽内を減圧(50torr)し、90分間真空混練を行い、硬化剤ペーストを製造した。この時、混練槽内のペーストの温度制御を行わず、単に混練槽内のペーストの温度を記録することとした。混練終了後、製造された硬化剤ペーストを回収し、これをアルミ製のペーストパックに真空充填し、各ペーストパックに硬化剤ペーストを小分けした。
−製法e−
上記表1記載の各成分を所定の量量り取り、混練槽内の攪拌翼付近に温度センサーを取り付けたアイコー社製「アイコーミキサー」の混練槽に仕込み、混練槽内のペーストの温度を調節するために混練槽ジャケットに20℃の水を循環させた。30分間予備混練し、成分がある程度混合した時点で、一度混練を中断し、混練槽の上部に付着したペーストを、ゴムベラを用いて掻き落とした。
次に、混練槽内を減圧(50torr)し、90分間真空混練を行い、硬化剤ペーストを製造した。この時、混練槽内のペーストの温度が、混練開始5分後の安定的運転が開始されてからは常に65℃となるように循環水の温度を随時調節した。混練終了後、製造された硬化剤ペーストを回収し、これをアルミ製のペーストパックに真空充填し、各ペーストパックに硬化剤ペーストを小分けした。
(実施例1)
(A)硫酸カルシウムとして、3.5kgの二水石膏、(B)難水溶性有機溶剤として、2.0kgの流動パラフィン、(C)界面活性剤として、350gのDec−3O、任意成分として、100gのP3Na、440gのFTK、600gのMgO、400gのZnO、2.92kgの珪藻土、300gの非晶質シリカを量り取り、「製法a」により、硬化剤ペーストを製造した。製造された硬化剤ペーストを回収し、これをアルミ製のペーストパックに真空充填し、各ペーストパックに硬化剤ペーストを小分けした。
次に、(D)アルギン酸塩として、1kgのアルギン酸カリウム、(E)水として、18kgの蒸留水、任意成分として、580gの珪藻土を量り取り、アイコー社製「アイコーミキサー」を用いて1時間減圧混練し、基材ペーストを調整した。混練終了後、基材ペーストを回収し、これをアルミ製のペーストパックに真空充填し、各ペーストパックに基材ペーストを小分けした。
得られた硬化剤ペーストを用いて、「1.硬化剤ペースト中の含水率」及び「2.25℃保管時の硬化剤ペースト固化の有無」の評価を行った。
また、調整した硬化剤ペースト及び基材ペーストを充填した各ペーストパック(歯科用アルジネート印象材キット)をアルジネート印象材自動練和器(トクヤマデンタル社製「APミキサーII」)にそれぞれセットした。混合比(混合比率Rm)が0.54(硬化剤ペースト/基材ペースト=1,061/1,958〔質量部/質量部〕)となるように、硬化剤ペースト及び基材ペーストの送出ポンプ電圧を調整し、両ぺーストを吐出して硬化体を得た。得られた硬化体を用いて「3.印象材の弾性歪、永久歪」の評価を行った。
(実施例2〜実施例8、比較例1〜比較例4、参考例1,2)
硬化剤ペーストの組成及び製法を、下記表2及び表3に示す内容に変更したこと以外は、実施例1と同様にして硬化剤ペースト及び基材ペーストを調整し、得られた硬化剤ペーストを用いて、「1.硬化剤ペースト中の含水率」及び「2.25℃保管時の硬化剤ペースト固化の有無」の評価を行った。また、硬化剤ペースト/基材ペーストの混合比を下記表4に示した内容に変更したこと以外は、実施例1と同様にして「3.印象材の弾性歪、永久歪」の評価を行った。
(評価結果)
実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例4及び参考例1,2に係る各硬化剤ペーストの組成を、下記表2に示す。また、実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例4及び参考例1,2に係る硬化剤ペーストにおける「1.硬化剤ペースト中の含水率」及び「2.25℃保管時の硬化剤ペースト固化の有無」及び「3.印象材の弾性歪、永久歪」の評価結果を下記表3、表4に示す。
Figure 0006270220
※二水石膏含有率:A成分全体100%に対する二水石膏の含有比率
Figure 0006270220
Figure 0006270220
実施例1〜実施例7に係る硬化剤ペーストは、25℃で1年保管した後においても硬化することがなく、良好な歪物性(弾性歪、永久歪)を維持している。
これに対して、比較例1〜比較例3に係る硬化剤ペーストは、真空混練時のペースト温度が60℃を超えて製造されたものであるが、いずれの場合においても、硬化剤ペースト中の含水量が、0.05質量%を超えており、25℃で1年間保管しておくと、硬化剤ペーストが固化した。
比較例4に係る硬化剤ペーストは、硫酸カルシウム二水塩が配合されない場合であるが、基材ペーストと混合させても、アルギン酸塩のゲル強度が大きく低下して硬化しなかった。
実施例8に係る硬化剤ペーストは、硫酸カルシウム中の硫酸カルシウム二水塩の配合量を少なくした場合であるが、基材ペーストと混合させて硬化体を得ることができるものの、アルギン酸塩のゲル強度が不足して歪物性が低下している。
参考例1及び参考例2に係る硬化剤ペーストは、硬化剤ペースト中に含まれる水分を、乾燥剤を用いて除去しようとした場合であるが、硬化剤ペースト中の含水量を0.05質量%以下にするためには、硫酸カルシウム100質量部に対し、50質量部以上の乾燥剤の配合が必要となることがわかる。乾燥剤が大量に配合された参考例1及び参考例2に係る硬化剤ペーストでは、アルギン酸塩のゲル強度が不足して、歪物性が大きく低下している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

Claims (1)

  1. (A)硫酸カルシウム二水塩を含む硫酸カルシウムと、(B)難水溶性液状化合物と、(C)界面活性剤とを用意し、前記硫酸カルシウムと前記難水溶性液状化合物と前記界面活性剤とを60℃を超えない温度条件下で真空混練する
    硬化剤ペーストの製造方法。
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