JP2014167880A - 液中プラズマ用電極および液中プラズマ発生装置 - Google Patents

液中プラズマ用電極および液中プラズマ発生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い処理効率を実現し得る液中プラズマ用電極ならびに液中プラズマ発生装置を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る液中プラズマ用電極10Aは、液体中でプラズマを発生させる液中プラズマ用電極であって、導電線12と、導電線12の外周を覆う絶縁部材14とを備える。絶縁部材14は、該絶縁部材14の先端面14aが導電線12の先端面12aよりも先端側に突出するように形成されている。絶縁部材14の内周面14bと導電線12の外周面12bとの間には、導電線12が摺動可能な間隔dが設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体中に気体を発生させ、その気体内にプラズマを発生させる液中プラズマ発生装置および該液中プラズマ発生装置に用いられる液中プラズマ用電極に関する。
液中で発生されるプラズマ(以下、液中プラズマともいう。)は、典型的には、液体中に対向配置した2つの電極間にマイクロ波または電圧を印加することにより、液体中に発生させるプラズマである。かかる液中プラズマは、まず液中での放電により液体がジュール加熱により気化されて気相を形成し、さらにこの気相内においてプラズマが発生することで形成されている。かかる液中プラズマにおいては、プラズマという高エネルギー状態が液相中(すなわち凝縮相)に閉じ込められており、閉鎖系の物理が実現するとともに、開放されない高密度なプラズマ反応場が形成される。そのため、プラズマの周囲の気相、液相あるいはそれらの界面において種々の化学反応が促進される。
例えば、特許文献1には、液中プラズマを用いた金属微粒子担持体の製造方法が記載されている。具体的には、溶液中に配置された一対の放電電極間に、グロー放電によりプラズマを発生させることにより、放電電極を融解して放電電極を構成する金属からなる金属微粒子を形成するとともに、上記金属微粒子をカーボン材料に担持させて金属微粒子担持体が製造されている。また同公報には、放電電極を固定するために各放電電極をセラミックチューブで被覆することが記載されている。
特開2012−129201号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来の液中プラズマ発生装置では、電気力線が放電電極間から外側に膨んだ状態となりやすく、放電電極間で挟まれた領域からプラズマがはみ出しやすい。そのため、被処理物の処理に寄与しないプラズマが多く発生し、印加電力が無駄に消費されてしまう。また、被処理物上における電気力線の密度が低下するため、処理効率が低下しがちである。さらに、処理が進むと放電電極が融解して放電電極間距離が経時的に変化するため、長期間にわたるプラズマの安定形成が難しいという欠点があった。本発明は上記課題を解決するものである。
上記課題を解決するべく本発明によって液体中でプラズマを発生させる液中プラズマ用電極が提供される。この液中プラズマ用電極は、導電線(典型的には金属もしくは炭素からなる導電線)と、上記導電線の外周を覆う絶縁部材とを備える。上記絶縁部材は、該絶縁部材の先端面が上記導電線の先端面(典型的には上記液体と接する放電端面)よりも先端側に突出するように形成されている。そして、上記絶縁部材の内周面と上記導電線の外周面との間には、上記導電線が摺動可能な間隔が設けられている。
本発明の液中プラズマ用電極は、導電線と、導電線の外周を覆う絶縁部材とを備え、絶縁部材は、該絶縁部材の先端面が導電線の先端面よりも先端側に突出するように形成されている。かかる構成によると、導電線が絶縁部材の内部に配置されるため、プラズマが安定する。さらに、絶縁部材の内周面と導電線の外周面との間に導電線を摺動可能な間隔が設けられているので、導電線が融解して電極間距離が変動した場合でも、電極間距離を補正することができる。そのため、従来に比して、安定した液中プラズマを生成することができ、品質安定性に優れたプラズマ処理が可能になる。
ここで開示される液中プラズマ用電極の好ましい一態様では、上記導電線の断面は円形である。そして、上記導電線の断面における短径の長さL1と、上記導電線の先端面から上記絶縁部材の先端面までの長さL2とのサイズ比(L2/L1)が、0<(L2/L1)≦2の関係を満足する。かかる構成によると、電気力線の湾曲を抑える効果がさらに高まるので、プラズマが一層安定する。
ここで開示される液中プラズマ用電極の好ましい一態様では、上記導電線は、金または金を含む合金からなる。このような導電線の採用により、液中プラズマをより安定して生成することができる。
また、本発明によると、ここで開示される液中プラズマ用電極を用いた液中プラズマ発生装置が提供される。この液中プラズマ発生装置は、ここで開示される何れか一つの液中プラズマ用電極と、上記液中プラズマ用電極の導電線の先端面と対向するように配置された対向電極と、上記導電線と上記対向電極との間に電圧を印加する電源と、上記導電線を上記対向電極に向かって摺動させるアクチュエータと、上記アクチュエータを駆動制御する制御部とを備える。
かかる構成の液中プラズマ発生装置によると、処理が進むにつれて導電線が融解して電極間距離が経時的に変動した場合でも、アクチュエータを駆動して導電線を対向電極の側に摺動させることで、電極間距離を自動で補正することができる。そのため、安定した液中プラズマを長期間にわたって形成し得る。
好ましくは、上記導電線の先端面と上記対向電極との間の電極間距離L3と、上記導電線の先端面から上記絶縁部材の先端面までの長さL2とのサイズ比(L3/L2)が、2<(L3/L2)≦30の関係を満足する。かかる構成によると、より安定した液中プラズマを長期間にわたって形成し得る。
本発明の一実施形態に係る液中プラズマ発生装置を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る液中プラズマ用電極の要部を模式的に示す断面図である。 液体中に配置された液中プラズマ用電極および対向電極の要部を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る液中プラズマ発生装置の制御フローを示す図である。
以下、本発明の液中プラズマ用電極および液中プラズマ発生装置について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書および図面に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
以下、グロー放電によりプラズマを発生させるソリューションプラズマ発生装置を例として、本発明の液中プラズマ発生装置を具体的に説明するが、本発明の適用対象を限定する意図ではない。図1は本実施形態に係る液中プラズマ発生装置を概略的に示す構成図であり、図2は液中プラズマ用電極の要部(導電線の先端面の周辺)を拡大した断面図である。
<液中プラズマ発生装置100>
図1に示した液中プラズマ発生装置100は、ソリューションプラズマ発生装置であり、液体22を入れる容器20と、容器20の液体の22中に配置された液中プラズマ用電極10Aと、液中プラズマ用電極10Aに対向するように配置された対向電極10Bと、液中プラズマ用電極10Aおよび対向電極10Bに接続された高周波電源30と、高周波電源30に接続されたアース32と、検出器60と、アクチュエータ40A、40Bと、制御部50とを備えている。
<液中プラズマ用電極10A>
液中プラズマ用電極10Aは、液体22中でソリューションプラズマを発生させる電極であり、図2に示すように、導電線12と、導電線12の外周を覆う管状の絶縁部材14とを備えている。導電線12は、液体22と接する先端面(放電端面)12aを有している。絶縁部材14は、該絶縁部材14の先端面14aが導電線12の先端面12aよりも先端側に突出するように形成されている。また、絶縁部材14の内周面14bと導電線12の外周面12bとの間には、導電線12が摺動可能な間隔dが設けられている。
<導電線12>
本実施形態で用いられる導電線12としては、高い導電性(例えば電気抵抗率1×10−3Ω・cm以下)を有するものであることが好ましい。また、グロー放電によって生じたプラズマによって融解し得る導電線であることが好ましい。さらに、液体中に界面活性剤などの薬品が添加されている場合には当該薬品に対する耐食性が高い導電線であることが好ましい。このような条件を満たす導電線を特に制限なく用いることができる。かかる導電線の材料としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)および鉄(Fe)などの単一金属またはこれらの2種以上の合金を主体とするものが好ましく用いられる。あるいは導電性炭素材料からなる導電線でもよい。これらの金属あるいは炭素は高い導電性を有し、かつグロー放電によって生じたプラズマによって融解する性質を示すため、本発明の目的に適した導電線の材料として好適に使用し得る。中でも、Au、PtおよびAgの使用が、プラズマによる融解が容易である観点から好適である(本実施形態ではAu)。導電線12の断面形状は特に限定されない。例えば、真円や楕円や長円などの円形であってもよく、正方形や長方形などの矩形であってもよい。あるいは六角形などの多角形でもよい。
<絶縁部材14>
本実施形態で用いられる絶縁部材14としては、高い絶縁性(例えば電気抵抗率1×10Ω・cm以上)を有するものであることが好ましい。また、プラズマにより発熱した気泡の温度に耐え得る絶縁部材であることが好ましい。さらに、液体中に界面活性剤などの薬品が添加されている場合には当該薬品に対する耐食性が高い絶縁部材であることが好ましい。このような条件を満たす絶縁部材を特に制限なく用いることができる。具体的には、アルミナ、ベーマイト、マグネシア、チタニア、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化インジウム、シリカ、ムライト、酸化スズおよび酸化カルシウムなどのセラミックス材料を用いてもよい。あるいは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、およびシリコーン樹脂等の合成樹脂材料を用いることができる。これらの絶縁材料は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの絶縁材料は、高い絶縁性を有し、かつプラズマにより発熱した気泡の温度に耐え得る耐熱性を示すため、本発明の目的に適した絶縁部材の材料として好適に使用し得る。
絶縁部材14の形状(外形)は、導電線12の外周を覆うことができる形状であれば、特に限定されない。機械的強度、製造容易性などの観点から、通常は、管状(チューブ状即ち中空の細長い構造)の絶縁部材14を好ましく使用し得る。絶縁部材14の厚みは、絶縁し得る厚みであれば特に限定されないが、例えば0.3mm〜5mmであることが好ましい。より好ましくは0.5mm〜3mmである。絶縁部材14の先端面14aは、導電線12の先端面12aよりも先端側に突出している。そのため、絶縁部材14の内周面14bと、導電線12の先端面12aとによって凹部18が形成されている。かかる構成によると、導電線12の先端面12aが凹部18(絶縁部材14)の内周面14bによって囲まれているため、先端面12aの近傍で電気力線が湾曲し難い。そのため、電気力線が効率的に対向電極10Bに向かうようになる。
ここで開示される液中プラズマ用電極10Aは、導電線12の断面が円形(例えば真円、楕円、長円など)の場合、導電線12の断面における短径(真円の場合は直径)の長さL1と、導電線12の先端面12aから絶縁部材14の先端面14aまでの長さL2とのサイズ比(L2/L1)が、0<(L2/L1)であることが適当である。上記サイズ比(L2/L1)を0<(L2/L1)にすることによって、電気力線の湾曲をより効果的に抑制することができる。ここで開示される液中プラズマ用電極としては、上記サイズ比(L2/L1)が0.5≦(L2/L1)を満足するものがより好ましく、1≦(L2/L1)を満足するものがさらに好ましく、1.5≦(L2/L1)を満足するものが特に好ましい。その一方、上記サイズ比(L2/L1)が2を上回ると、電極間距離L3(図3参照)が広がりすぎるため、放電が不十分になる場合がある。放電を確実に起こす観点からは、(L2/L1)≦2であり、特には(L2/L1)≦1.75を満足するものが好ましい。
導電線12の断面における短径(真円の場合は直径)の長さL1は特に限定されないが、例えば0.5mm〜3mmであることが好ましい。より好ましくは1mm〜2mmである。また、導電線12の先端面12aから絶縁部材14の先端面14aまでの長さL2は特に限定されないが、例えば0.1mm〜1.5mmであることが好ましい。より好ましくは0.1mm〜1mmであり、特に好ましくは0.5mm〜1mmである。なお、導電線12の断面は円形でなくてもよい。例えば、導電線12の断面は矩形(正方形や長方形)であってもよい。導電線12の断面が矩形の場合、導電線12の断面における短径の長さL1は、導電線12の断面における短辺の長さとして規定される。
絶縁部材14の内周面14bと導電線12の外周面12bとの間には、所定間隔dが設けられている。この所定間隔dは、絶縁部材14に対して導電線12が摺動可能な間隔であればよい。また、この所定間隔dは、絶縁部材14の内周面14bと導電線12の外周面12bとの間に液体22が入り込まない程度の狭さを有することが望ましい。例えば所定間隔dは、概ね0.1mm〜1mm程度に設定され得る。より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
液中プラズマ発生装置100は、上述した液中プラズマ用電極10Aを用いて構成されている。液中プラズマ発生装置100は、図1に示すように、液体22を入れる容器20と、液中プラズマ用電極10Aと、対向電極10Bと、双方の電極10A、10Bに連結された高周波電源30と、検出器60と、アクチュエータ40A、40Bと、制御部50とを含み得る。
液体22を入れる容器20の形状および容器20を構成する材質としては特に限定されない。容器20内には、液中プラズマ用電極10Aが配置されている。液中プラズマ用電極10Aは、少なくとも先端面12aが液体22と接するように容器20内に配置されているとよい。この実施形態では、液中プラズマ用電極10Aは、液体22中に浸漬された状態で、先端面12aが水平方向を向くように配置されている。また、容器20内には、対向電極10Bが配置されている。対向電極10Bは、液中プラズマ用電極10Aの導電線12の先端面12aと対向するように配置されている。対向電極10Bは、例えば、液中プラズマ用電極10Aと同じ構成のものであり得る(本実施形態)。対向電極10Bについては、先に説明した液中プラズマ用電極10Aと同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図3は、液体22中に配置された液中プラズマ用電極10Aおよび対向電極10Bの要部を示す断面図である。液体22中において、液中プラズマ用電極10Aの導電線12と、対向電極10Bの導電線12とは同一直線上に配置されている。また、液中プラズマ用電極10Aの導電線12の先端面12aと、対向電極10Bの導電線12の先端面12aとは、所定の間隔L3をあけて配置されている。この間隔L3を電極間距離L3とする。電極間距離L3は、例えば0.5mm〜3mmであることが好ましく、0.5mm〜2mmであることがより好ましく、1mm〜1.5mmであることが特に好ましい。また、電極間距離L3と、導電線12の先端面12aから絶縁部材14の先端面14aまでの距離L2とは、2<(L3/L2)≦30の関係を満足することが好ましく、5≦(L3/L2)≦20の関係を満足することがより好ましい。これにより、より安定した液中プラズマの生成を行うことができる。
<高周波電源30>
次に、高周波電源30、検出器60、アクチュエータ40A、40Bおよび制御部50について説明する。高周波電源30は、液中プラズマ用電極10Aの導電線12と、対向電極10Bとの間に高周波数の交流電圧を印加するものとして構成されている。高周波電源30としては、一般的な液中プラズマ装置において常套的に使用されているものからプラズマの用途に応じて任意に選択することができる。例えば、高周波電源30は、図示しない整合器や共振回路(並列共振、直列共振、線路共振、空洞共振など)を備えたものであり得る。電極10A、10Bに交流電圧が印加されると、電極10A、10Bの先端部の間でグロー放電が生じる。
<検出器60>
検出器60は、例えば電流−電圧センサであり得る。電流−電圧センサ60は、高周波電源30と液中プラズマ用電極10Aとの間に設けられ、電極10A、10B間に流れる電流および電圧の電流電圧曲線(IV曲線)を検出する。そして、該電流−電圧センサ60で検出された検出結果は制御部50に送信され、アクチュエータ40A、40Bの駆動制御に利用される。
<アクチュエータ40A、40B>
アクチュエータ40Aは、液中プラズマ用電極10Aの導電線12を対向電極10Bに向かって摺動させるものである。また、アクチュエータ40Bは、対向電極10Bの導電線12を液中プラズマ用電極10Aに向かって摺動させるものである。アクチュエータ40A、40Bは、例えば、電動モータであり得る。ただし、電動モータに代えて、他のアクチュエータを用いてもよい。アクチュエータ40A、40Bは、それぞれ制御部50に電気的に接続されている。
<制御部50>
制御部50は、電極10A、10Bに連結された高周波電源30の作動をコントロールするものとして構成されており、所定の情報に基づいて、電極10A、10Bの先端部の間でグロー放電が生じるように、高周波電源30(典型的には高周波電源30の電圧、パルス幅および周波数のうちの少なくとも一つ、好ましくは全部)をフィードバック制御する。制御部50の典型的な構成には、少なくとも、かかる制御を行うためのプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)と、そのプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)と、入出力ポートとが含まれる。制御部50には、前述した検出器(電流−電圧センサ)60等からの各種信号などが入力ポートを介して入力される。また、制御部50からは、高周波電源30への作動信号などが出力ポートを介して出力される。
また、制御部50は、アクチュエータ制御部52を備えている。アクチュエータ制御部52は、検出器(電流−電圧センサ)60の検出結果に基づき、電極10A、10Bの先端部の間でグロー放電が生じるように、アクチュエータ40A、40Bを駆動制御する。具体的には、アクチュエータ制御部52は、検出器60で検出した電流電圧曲線が、グロー放電が生じるような適正な電流電圧曲線となるように、アクチュエータ40A、40Bに対して駆動信号を出力する。該信号を受信したアクチュエータ40Aは、アクチュエータ制御部52から出力された駆動信号に応じて、液中プラズマ用電極10Aの導電線12を対向電極10Bに向かって摺動させる。一方、アクチュエータ40Bは、アクチュエータ制御部52から出力された駆動信号に応じて、対向電極10Bの導電線12を液中プラズマ用電極10Aに向かって摺動させる。
このように構成された液中プラズマ発生装置100の動作について説明する。図4は、本実施形態に係る液中プラズマ発生装置100により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
液中プラズマ発生装置100を稼働して高周波電源30から交流電圧を電極10A、10B間に印加すると、電極10A、10B間にグロー放電プラズマが発生する。その際、電極10A、10B間に流れる電流のジュール熱により、液体22が気化されて気相が形成される。この気相が上記プラズマの周囲を取り囲み、さらにこの気相の周囲を液相が取り囲むことで、開放されていない高密度なプラズマ反応場が形成される。このような高密度なプラズマ反応場を形成することによって、電極10A、10Bを構成する導電線12の融解が促進され、液体22中に金属が溶出する。その結果、電極間距離L3が増大し、グロー放電プラズマが消失する。
図4に示すように、先ず、ステップS10では、上記電極間距離L3の変動に起因するグロー放電プラズマの発生の有無を把握するために、制御部50は検出器(電流−電圧センサ)60により、電流電圧曲線を検出する。
ステップS20では、上記ステップS20により得られた電流電圧曲線に基づいて、グロー放電プラズマが発生しているか否かを判定する。かかる判定は、例えば電流電圧曲線の電流値(ある区間の平均値)に対して、グロー放電プラズマが発生するような基準範囲(上限閾値および下限閾値)を設定して行うとよい。例えば、上記検出器60で検出した電流電圧曲線の電流値が所定の基準範囲内である(例えば上限閾値以下かつ下限閾値以上である)場合には、グロー放電プラズマが発生していると判定し(YES)、検出器60による監視(モニタリング)を続ける。一方、上記検出器60で検出した電流電圧曲線の電流値が所定の基準範囲外である(例えば上限閾値を上回る若しくは下限閾値を下回る)場合には、グロー放電プラズマが発生していないと判定し(NO)、次にステップS30を実行する。
上記グロー放電プラズマの発生の有無の判定結果がNOになると、制御部50(アクチュエータ制御部52)は、検出器60の検出結果に応じて駆動信号を作成し、該信号をアクチュエータ40A、40Bに出力する。駆動信号を受信したアクチュエータ40Aは、制御部50から出力された駆動信号に応じて、液中プラズマ用電極10Aの導電線12を対向電極10Bに向かって摺動させる。また、アクチュエータ40Bは、制御部50から出力された駆動信号に応じて、対向電極10Bの導電線12を液中プラズマ用電極10Aに向かって摺動させる。これにより、液中プラズマ用電極10Aの導電線12と対向電極10Bの導電線12とが相互に接近し、その結果、電極10A、10Bの先端部の間でグロー放電が生じるように、電極間距離L3が補正される。そして、該電極間距離L3が適正に補正された状態で、引き続き液中プラズマ処理が行われる。
このように、ここで開示される液中プラズマ発生装置100によれば、装置稼働中に検出器60で電流電圧曲線を常にモニタリングしながら、液中プラズマ処理を実行する。そして、装置稼働中に導電線12の融解に起因して電極間距離L3が変動し、グロー放電プラズマが発生しなくなるようなことがあっても、液中プラズマ用電極10Aの導電線12を対向電極10Bに向かって摺動させることで、グロー放電プラズマが発生するように(適正な電流電圧曲線となるように)、電極間距離L3を自動で補正することができる。従って、本装置100によれば、装置稼働中に電極間距離L3が変動するようなことがあっても、安定した液中プラズマを生成することができる。
以上説明したように、ここで開示される液中プラズマ発生装置100では、図1および図2に示すように、液中プラズマ用電極10Aは、絶縁部材14の先端面14aが導電線12の先端面12aよりも先端側に突出するように形成されている。かかる構成によると、導電線12が絶縁部材14の内部に配置されるため、プラズマが安定する。即ち、導電線12の先端面12aが絶縁部材14の内周面14bによって囲まれているので、当該先端面12aの近傍で電気力線が湾曲し難い。そのため、従来のように電気力線が電極10A、10B間で囲まれた領域から外側に膨むような事態が緩和され、電極10A、10B間の被処理物に対し、プラズマが安定的に供給され得る。また、電気力線が効率的に対向電極10Bに向かうため、被処理物上における電気力線の密度が増大し、かつその分布も均一になる。そのため、処理効率が向上する。さらに、絶縁部材14の内周面14bと導電線12の外周面12bとの間に導電線12を摺動可能な間隔dが設けられているので、処理が進むにつれて導電線12が融解して電極間距離L3が変動するような場合でも、導電線12を対向電極10Bに向かって摺動させることで、電極間距離L3を自動で補正することができる(すなわち電極間距離L3をフィードバック制御することができる)。そのため、従来に比して、安定した液中プラズマを生成することができ、品質安定性に優れたプラズマ処理を実現し得る。
上記実施形態では、導電線12の断面は円形である。そして、導電線12の断面における短径の長さをL1とし、導電線12の先端面12aから絶縁部材14の先端面14aまでの長さをL2とした場合に、0<(L2/L1)≦2の関係が成立する。このようなサイズ比(L2/L1)の範囲内とすることで、電気力線の湾曲を抑える効果がさらに高まり、処理効率が一層向上する。
また上記実施形態では、液中プラズマ用電極10Aの導電線12の先端面12aと対向電極10Bとの間の電極間距離をL3とし、導電線12の先端面12aから絶縁部材14の先端面14aまでの長さをL2とした場合に、2≦(L3/L2)≦30の関係が成立する。このようなサイズ比(L3/L2)の範囲内とすることで、より安定した液中プラズマを長期間にわたって維持し得る。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
例えば、上述した実施形態では、液中プラズマ用電極10Aは、先端面12aが水平方向を向くように配置されているが、これに限定されない。例えば、液中プラズマ用電極10Aは、先端面12aが上方または下方を向くように配置されてもよい。また、容器20内に配置される液中プラズマ用電極10Aの数は一つに限らず複数個であってもよい。
また、対向電極10Bは、液中プラズマ用電極10Aと同じ構成の電極が用いられているが、これに限定されない。例えば、平板状の対向電極10Bを採用することもできる。この場合、電極間距離L3は、液中プラズマ用電極10Aの導電線12の先端面12aから対向電極10Bの平板の平坦面までの距離とするとよい。
さらに、液中プラズマ用電極10Aを構成する導電線12および絶縁部材14の材質は、上記実施形態の如き金属および樹脂製に何ら限定されるものではなく、適宜変更が可能であることは言う迄もない。その他、導電線12、絶縁部材14、容器20の形状等の具体的な構成も、全て本発明の意図する範囲内に於いて任意に設計変更自在である。
なお、ここまでは液体中で発生されるプラズマがグロー放電プラズマ(ソリューションプラズマ)である場合について説明した。しかし、ここで開示される技術の好適な適用対象は、上述したソリューションプラズマ発生装置に限定されない。本発明の液中プラズマ発生装置を用いて液中で発生されるプラズマは、グロー放電プラズマ以外の形態、例えば、火花放電、コロナ放電、グロー放電、アーク放電の形態でもよい。
10A 液中プラズマ用電極
10B 対向電極
12 導電線
12a 導電線の先端面
12b 導電線の外周面
14 絶縁部材
14a 絶縁部材の先端面
14b 絶縁部材の内周面
20 容器
22 液体
30 高周波電源
32 アース
40A アクチュエータ
40B アクチュエータ
50 制御部
52 アクチュエータ制御部
60 検出器
100 液中プラズマ発生装置

Claims (6)

  1. 液体中でプラズマを発生させる液中プラズマ用電極であって、
    導電線と、
    前記導電線の外周を覆う絶縁部材と
    を備え、
    前記絶縁部材は、該絶縁部材の先端面が前記導電線の先端面よりも先端側に突出するように形成されており、
    前記絶縁部材の内周面と前記導電線の外周面との間には、前記導電線が摺動可能な間隔が設けられている、液中プラズマ用電極。
  2. 前記導電線の断面は円形であり、
    前記導電線の断面における短径の長さL1と、前記導電線の先端面から前記絶縁部材の先端面までの長さL2とのサイズ比(L2/L1)が、0<(L2/L1)≦2の関係を満足する、請求項1に記載の液中プラズマ用電極。
  3. 前記導電線は、金または金を含む合金からなる、請求項1または2に記載の液中プラズマ用電極。
  4. 請求項1〜3の何れか一つに記載の液中プラズマ用電極と、
    前記液中プラズマ用電極の導電線の先端面と対向するように配置された対向電極と、
    前記導電線と前記対向電極との間に電圧を印加する電源と、
    前記導電線を前記対向電極に向かって摺動させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータを駆動制御する制御部と
    を備えた、液中プラズマ発生装置。
  5. 前記導電線の先端面と前記対向電極との間の電極間距離L3と、前記導電線の先端面から前記絶縁部材の先端面までの長さL2とのサイズ比(L3/L2)が、2<(L3/L2)≦30の関係を満足する、請求項4に記載の液中プラズマ発生装置。
  6. 前記対向電極として、請求項1〜3の何れか一つに記載の液中プラズマ用電極を備える、請求項4または5に記載の液中プラズマ発生装置。
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