JP5606022B2 - 静電噴霧装置 - Google Patents

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Description

本発明は、静電噴霧現象によりナノサイズの液滴を発生させる静電噴霧装置に関するものである。
従来より、液滴微粒化方法として、熱エネルギー、圧力エネルギー、遠心エネルギー、振動エネルギー及び電気エネルギー等を用いた方法が開発されている。その中でも電気エネルギーを用いた方法(静電噴霧方法)は、従来の液滴微粒化技術で成し得なかったナノサイズの液滴を発生させ得ることから、様々な分野で応用されている。
従来の静電噴霧技術としては、外部からの水を供給する水溜め部と、水溜め部の水を搬送して噴霧することができる中空金属電極(液滴噴霧電極)と、中空金属電極に対向して配置された対向電極と、中空金属電極と対向電極との間に電圧を印加する電圧印加部とを備えた静電噴霧装置が知られている。この静電噴霧装置では、中空金属電極と対向電極との間に高電圧を印加することにより、中空金属電極の先端部に搬送された水を帯電、分裂させる。そして、分裂した水は、レイリー分裂によってナノサイズまで微細化された帯電微粒子水となり、対向電極からのクーロン力によって引き寄せられ、空間中に噴霧排出される。しかしながら、この静電噴霧装置は、水の供給にポンプ等の駆動部を必要とするため、静電噴霧装置が複雑化及び大型化するという問題があった。
そこで、水の供給にポンプ等の駆動部を要しない静電噴霧装置として、外部からの水を供給する水溜め部と、水溜め部の水を毛細管現象によって搬送して噴霧することができる導電性の多孔質セラミック(液滴噴霧電極)と、多孔質セラミックに対向して配置された対向電極と、多孔質セラミックと対向電極との間に電圧を印加する電圧印加部とを備えた静電噴霧装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、ペルチェユニットの冷却部側に導電性金属から形成された放電極(液滴噴霧電極)を設けた静電噴霧装置も提案さている(例えば、特許文献3参照)。この静電噴霧装置では、放電極を露点以下の温度に冷却することによって放電極の表面に結露水を生成させ、この結露水を空間中に噴霧排出することができる。
特開2006−35170号公報 特開2006−35171号公報 特許第3952044号公報
特許文献1及び2の静電噴霧装置で使用される液滴噴霧電極は、例えば、アルミナ、コージェライト、チタニア、ムライト、ステアタイト及びジルコニア等の固体酸を主材料とする多孔質セラミックであり、強度が高く、加工性が良く、電極磨耗が少ないという利点がある。
しかしながら、多孔質セラミックは、平均気孔率が20〜40%程度と低く、また平均気孔径は0.05〜5μm程度と非常に小さいため、吸水性能が低く、水に含まれる不純物等によって気孔(細孔)の目詰りが生じ、時間が経つにつれて吸水性能がさらに低下するという問題がある。また、多孔質セラミック内では、水の拡散速度が遅く、水が液滴噴霧電極の先端部(噴霧部)に到達するまでに時間がかかる。そのため、静電噴霧装置の起動時間が遅くなると共に、液滴噴霧電極と対向電極との間に高電圧を常時印加するとコロナ放電が生じ、環境等に有害なオゾン等の放電生成物が生じるという問題もある。さらに、多孔質セラミックに導電性を付与するために、金属単体又は金属酸化物を導電性材料として配合しているが、固体酸が占める割合が90%程度であるため、多孔質セラミックの電気抵抗率が依然として高い。そのため、静電噴霧を行う際に、液滴噴霧電極での電力損失が大きくなり、効率的に液滴を噴霧できないという問題もある。
一方、特許文献3の静電噴霧装置で使用される液滴噴霧電極は、導電性金属から形成されているため、液滴噴霧電極自体での電力損失は小さく、効率的に水に自由電子を供給できるという利点がある。
しかしながら、導電性金属から形成される液滴噴霧電極(金属電極)は、気孔を有しておらず、吸水性能をほとんど有していないため、水供給手段として金属電極自身を冷却して金属電極表面で結露した水を噴霧する必要がある。また、この金属電極は、先端部に水を搬送する能力がないため、金属電極の先端部近傍で結露される結露水のみを噴霧しなければならず、充分な噴霧量が得られないという問題がある。さらに、金属電極の先端部に凝集した結露水がレイリー分裂を起す際に、液滴放出に伴うパルス状電流と共に電子放出に伴うパルス状電流が生じており、空間中の窒素や酸素を解離させてオゾン等の放電生成物が生じるという問題もある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、吸水性能及び導電性に優れた液滴噴霧電極を用いることにより、液滴噴霧電極の先端部(液滴噴霧部)に液体を効率良く搬送させて液体噴霧量の増大、起動時間の短縮及び放電生成物の生成抑制等の効果を与えると同時に液滴噴霧電極での電力損失を抑制し、噴霧性能に優れた静電噴霧装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、三次元網目構造を有する多孔質金属が吸水性能及び導電性に優れているという知見に基づき、この多孔質金属を液滴噴霧電極として用い、この液滴噴霧電極を所定の開口部を有する対向電極と組み合わせることにより、液滴噴霧電極の先端部(液滴噴霧部)に液体を効率良く搬送させて液体噴霧量の増大、起動時間の短縮及び放電生成物の生成抑制等の効果を与え得ると同時に液滴噴霧電極での電力損失を抑制し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、液滴噴霧電極と、前記液滴噴霧電極に液体を供給する液体供給部と、前記液滴噴霧電極と対向する位置に設けられた対向電極と、前記液滴噴霧電極と前記対向電極との間に電圧を印加する電圧印加部とを有する静電噴霧装置であって、前記液滴噴霧電極は、三次元網目構造を有する多孔質金属から成り、且つ前記対向電極は、前記液滴噴霧電極側から打ち抜くバーリング加工が施された開口部を有することを特徴とする静電噴霧装置である。
本発明によれば、吸水性能及び導電性に優れた液滴噴霧電極と、所定の開口部を有する対向電極とを組み合わせて用いることにより、液滴噴霧電極の先端部(液滴噴霧部)に液体を効率良く搬送させて液体噴霧量の増大、起動時間の短縮及び放電生成物の生成抑制等の効果を与えると同時に液滴噴霧電極での電力損失を抑制し、噴霧性能に優れた静電噴霧装置を提供することができる。
実施の形態1の静電噴霧装置の概略構成図である。 液滴噴霧電極の部分拡大断面図である。 多孔質金属及び多孔質セラミック(従来例)における平均気孔率と吸水性能との関係を示すグラフである。 多孔質金属及び多孔質セラミック(従来例)における平均気孔率及び平均気孔径と液体の拡散速度との関係を示すグラフである。 多孔質金属及び多孔質セラミック(従来例)の電気抵抗率を示すグラフである。 液滴噴霧電極の先端部の形状を示す図である。 静電噴霧装置において比較的低い電圧を印加した場合の電流波形を示すグラフである。 静電噴霧装置において高い電圧を印加した場合の電流波形を示すグラフである。 対向電極側から見た液滴噴霧電極の概略図である。 バーリング加工を施した開口部を有する対向電極の図である。 実施の形態2の静電噴霧装置の概略構成図である。 実施の形態3の静電噴霧装置の概略構成図である。 液体含有量とコロナ放電開始電圧との関係を示すグラフである。 実施例1及び比較例1の静電噴霧装置の噴霧量を示すグラフである。 実施例1及び比較例1の静電噴霧装置のオゾン発生量を示すグラフである。 実施例2の静電噴霧装置の噴霧量を示すグラフである。 実施例2の静電噴霧装置のオゾン発生量を示すグラフである。 実施例3の静電噴霧装置の噴霧量、オゾン発生量及び放電電流を示すグラフである。
実施の形態1.
本発明の静電噴霧装置は、所定の液滴噴霧電極と、前記液滴噴霧電極に液体を供給する液体供給部と、前記液噴霧電極と対向する位置に設けられた対向電極と、前記液滴噴霧電極と前記対向電極との間に電圧を印加する電圧印加部とを有する。
以下、本発明の静電噴霧装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の静電噴霧装置の概略構成図である。図1において、静電噴霧装置は、三次元網目構造を有する多孔質金属から構成された液滴噴霧電極1と、液滴噴霧電極1に液体Lを供給する液体供給部2と、液滴噴霧電極1と所定の距離を空けて対向する位置に設けられた対向電極3と、液滴噴霧電極1と対向電極3との間に電圧を印加する電圧印加部4とから構成されている。ここで、電圧印加部4は、液滴噴霧電極1に設けられた給電端子5及び対向電極3にリード線を介して接続されている。なお、実際の使用態様においては、液滴噴霧電極1、液体供給部2、対向電極3及び電圧印加部4は、所定の支持体によって固定することができる(図示していない)。支持体としては、特に限定されず、用途にあわせて適宜選択すればよい。
本実施の形態の静電噴霧装置において、液体供給部2から液体L(例えば、水道水や純水等)を液滴噴霧電極1に供給すると、液体Lは、液滴噴霧電極1中で効率良く内部拡散し、液滴噴霧電極1中で均一且つ迅速に拡散する。この状態で液滴噴霧電極1と対向電極3との間に電圧印加部4から電圧を供給すると、液滴噴霧電極1の先端部(液滴噴霧部)に自由電子が移動し、両電極間に電界が形成される。そして、液滴噴霧電極1の先端部に移動した自由電子には電界の影響によってクーロン力が働く。液滴噴霧電極1中の液体Lには、液体Lの表面張力がクーロン力と反対の方向に働くが、電界強度が増大してクーロン力が液体Lの表面張力を上回ると、液滴噴霧電極1の先端部において液体Lがレイリー分裂を起こして破砕され、ナノサイズ(一般的に5nm〜20nm)の微小液滴が空間中に噴霧排出される。なお、液滴噴霧電極1の先端部では、レイリー分裂しつつ溜まった液体Lは噴霧排出されるため、瞬間的に液体Lが枯渇するが、内部拡散によって液滴噴霧電極1の先端部に液体Lが連続的に供給されるため、ナノサイズの微小液滴を連続的に空間中に噴霧排出することができる。
多孔質セラミックを液滴噴霧電極1として用いた従来の静電噴霧装置では、液滴噴霧電極1中での液体Lの拡散速度が遅く、液体Lが液滴噴霧電極1の先端部(噴霧部)に到達するまでに時間がかかるため、液滴噴霧電極1と対向電極3との間の電界強度が一定値を超えると、液滴噴霧電極1から空間中に自由電子が放出され、コロナ放電が生じる。空間中に自由電子が放出されると、空間中に多量に存在する窒素や酸素等の中性分子を原子に解離させ、窒素酸化物やオゾン等の放電生成物を生じさせる。特に、オゾンは、低濃度であればその殺菌力により殺菌効果等を示すが、高濃度であると異臭の原因となったり、樹脂等の物質を劣化させたりする。そのため、放電生成物の発生をできるだけ抑制しなければならない。
一方、多孔質金属を液滴噴霧電極1として用いた本実施の形態の静電噴霧装置では、液滴噴霧電極1中での液体Lの拡散速度が速く、液滴噴霧電極1中で均一且つ迅速に拡散し、液体Lが液滴噴霧電極1の先端部(噴霧部)に到達するのに時間を要しない。そのため、静電噴霧装置の起動時間が早くなると共に、上記のようなコロナ放電の発生を防止して放電生成物の発生を抑制することができる。
液滴噴霧電極1は、三次元網目構造を有する多孔質金属から構成される。三次元網目構造とは、スポンジ等の樹脂発泡体と同様の構造である。ここで、液滴噴霧電極1の部分拡大断面図を図2に示す。図2において、液滴噴霧電極1を構成する多孔質金属は、金属11中に気孔12を有する。この多孔質金属は、多孔質セラミックに比べて平均気孔率や平均気孔径が大きい。そのため、液体L中に含まれる不純物による目詰まりを抑制しつつ、ポンプ等の駆動部を要することなしに液体供給部2からの液体Lを液滴噴霧電極1の先端部(液滴噴霧部)に効率的に搬送することができる。また、この多孔質金属は導電性に優れているため、液滴噴霧電極1における電力損失も抑制することができる。
多孔質金属は、フィルター、触媒担持体及び燃料電池用ガス拡散層等の用途で一般的に使用されており、公知の方法に準じて製造することができる。例えば、多孔質金属の原料である金属粉末と、溶媒とを含むスラリーにバブル(泡)を導入した後、そのスラリーを所望の形状に成形した後、焼結させればよい。或いは、多孔質金属の原料である金属粉末と、高温焼成によって分解消失するバインダ樹脂と、溶媒とを含むスラリーを所望の形状に成形した後、脱脂及び焼結させればよい。
多孔質金属を構成する金属としては、特に限定されず、例えば、チタン、銅及びニッケル等の金属;金、銀及び白金等の貴金属;並びにニッケル合金及びコバルト合金等の合金が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、チタンは、触媒効果によってオゾン等の放電生成物の生成を抑制すると共に、電気腐食や電気磨耗に対する耐性が良好であり、長期にわたって液滴噴霧電極1の形状を保持して静電噴霧を安定して行なうことができるため最も好ましい。
多孔質金属の製造に用いられる溶媒としては、特に限定されず、例えば、水等が挙げられる。また、多孔質金属の製造に用いられるバインダ樹脂としては、特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。
焼結温度についても特に限定されず、使用する材料にあわせて適宜調整すればよい。
多孔質金属は、60%以上90%以下の平均気孔率、及び50μm以上600μm以下の平均気孔径を有することが好ましい。平均気孔率が60%未満であると、液体Lの十分な吸収性能が得られず、噴霧量が十分でないことがある。一方、平均気孔率が90%を超えると、電極としての強度が十分でないことがある。また、平均気孔径が50μm未満であると、液体Lに含まれる不純物等によって気孔中に目詰まりが生じることがある。一方、平均気孔径が600μmを超えると、電極としての強度が十分でないことがある。
ここで、多孔質金属及び多孔質セラミック(従来例)における平均気孔率と吸水性能との関係を示すグラフを図3に示す。図3は、多孔質金属として多孔質チタン(平均気孔率:90%)及びSUS316L(平均気孔率:82%)、多孔質セラミックとしてチタニア(平均気孔率:31%)及びムライト(平均気孔率:34%)を用いた結果である。
図3のグラフからわかるように、多孔質セラミックであるチタニア及びムライトの単位体積当たりの吸水量は、それぞれ0.17cc/cm及び0.19cc/cmと少ないのに対し、多孔質金属である多孔質チタン及びSUS316Lの単位体積当たりの吸水量は、それぞれ0.38cc/cm及び0.5cc/cmと多い。つまり、平均気孔率が高いと吸水性能が増大すると言える。よって、多孔質金属を液噴霧電極1として使用することにより、液滴噴霧電極1中で多くの液体Lを保持することが可能となる。
次に、多孔質金属及び多孔質セラミック(従来例)における平均気孔率及び平均気孔径と液体Lの拡散速度との関係を示すグラフを図4に示す。液体Lの拡散速度は、液体供給の開始から微小液滴が噴霧排出されるまでに必要な時間(すなわち、静電噴霧装置の起動時間)と関連する。図4は、多孔質金属として多孔質チタンA(平均気孔率:86.4%、平均気孔径:50μm)及び多孔質チタンB(平均気孔率:81.2%、平均気孔径:30μm)、多孔質セラミックとしてチタニア(平均気孔率:31%、平均気孔径:0.4μm)及びムライト(平均気孔率:34%、平均気孔径:0.3μm)を用い、一方の端部に純水1ccをシリンジで供給した際の純水の移動距離を所定の時間ごとに測定した結果である。なお、これらの測定サンプルの形状は、直径5mm、長さ10cmの丸棒形状とした。
図4のグラフからわかるように、多孔質セラミックであるチタニア及びムライトにおける純水の移動距離は、60秒を経過しても20mm未満と短いのに対し、多孔質金属である多孔質チタンA及びBにおける純水の移動距離は、60秒を経過すると80〜90mmと長い。つまり、平均気孔率及び平均気孔径が大きい多孔質金属は、多孔質セラミックに比べて拡散速度が速いと言える。よって、多孔質金属を液噴霧電極1として使用することにより、静電噴霧装置の起動時間を短縮することが可能となる。
また、多孔質セラミックを液噴霧電極1として使用した場合、電圧印加直後には微小液滴が噴霧排出されず、液噴霧電極1と対向電極3との間にコロナ放電が生じること、又は液滴の噴霧速度が液体Lの拡散速度よりも速いことに起因して、オゾン等の放電生成物が生じる。しかし、多孔質金属を液噴霧電極1として使用した場合、液体Lの拡散速度が噴霧速度よりも速くなるため、オゾン等の放電生成物の発生を抑制することが可能となる。
また、多孔質金属は、金属から構成されているため、導電性に優れており、液滴噴霧電極1における電力損失を抑制することができる。
ここで、多孔質金属及び多孔質セラミック(従来例)の電気抵抗率を示すグラフを図5に示す。図5は、多孔質金属として多孔質チタン及びSUS316L、多孔質セラミックとしてチタニア及びムライトを用いた結果である。
図5のグラフからわかるように、多孔質セラミックであるチタニア及びムライトの電気抵抗率は、それぞれ1×1012Ω・m及び1×1014Ω・mと大きいのに対し、多孔質金属である多孔質チタン及びSUS316Lの電気抵抗率は、それぞれ8×10−7Ω・m及び5×10−6Ω・mと小さい。つまり、多孔質金属は、多孔質セラミックに比べて電気抵抗率が低い(すなわち、導電性に優れている)と言える。よって、多孔質金属を液噴霧電極1として使用することにより、液滴噴霧電極1における電力損失を抑制することが可能となる。
液滴噴霧電極1中の液体Lを微小液滴として空間中に効率良く噴霧排出させるためには、液体Lへ自由電子を供給し、液体Lの表面張力を上回る電界を液滴噴霧電極1の先端部(噴霧部)へ与える必要がある。液滴噴霧電極1の先端部の電界強度は、先端部の形状と密接に関係しているため、電界が集中し易い形状に液滴噴霧電極1の先端部を形成する必要がある。
液滴噴霧電極1の先端部の形状としては、特に限定されず、例えば、図6に示すような角柱(A)、角錐(B)、三角(C)、円柱(D)及び円錐(E)等が挙げられる。また、図6に示すような角柱(A)の先端部に四角突起を形成したもの(F)や、球状突起を形成したもの(G)も使用可能である。さらに、三角(C)の先端をR加工すれば、液噴霧電極1と対向電極3との間に高電圧が印加された場合でも、先端部での電界強度を緩和させることができ、オゾン等の放電生成物の発生を抑制しつつ、微小液滴を空間中に噴霧排出することができる。
また、液滴噴霧電極1の本体部(先端部以外の部分)の形状としては、特に限定されず、例えば、四角柱や円柱等が挙げられる。また、本体部の直径(或いは一辺の長さ)は、特に限定されず、製造する静電噴霧装置の大きさにあわせて適宜調整すればよい。
上記のような形状を有する液滴噴霧電極1は、特に限定されず、公知の方法に準じて製造することができる。例えば、厚さ0.5mm〜2mmmのシート状の多孔質金属を作製した後、所望の形状に切断して所望の形状に加工すればよい。加工方法としては、特に限定されず、例えば、ワイヤーカット、レーザーカット、プレス打ち抜き、削りだし、手切断、折り曲げ等の各種方法により行なえばよい。
上記のように、液滴噴霧電極1の先端部の形状は、電界が集中し易い形状が好ましいが、例えば、先端形状が円錐の液滴噴霧電極1を用いた静電噴霧装置において、比較的低い電圧(4kV以上7kV以下)を印加すると、図7に示すようにマイクロ秒〜ミリ秒の周期でパルス状の電流波形が観測される。これは、液滴噴霧電極1の先端部において液体Lがレイリー分裂を起こし、帯電した微小液滴が対向電極3へ到達する際に流れる液滴電流であり、一定周期毎に上記の現象が生じることによりパルス状の電流が観測されているためであると考えられる。なお、この液滴電流の波形は、ベースラインから逸脱しているものの、この場合においてはオゾン等の放電生成物の発生は確認されない。
しかし、印加電圧を高く(7V超過)すると、図8に示すようにベースラインから大きく逸脱して液滴電流が観測される。この原因は、コロナ放電によるものであり、コロナ放電の電流波形に液滴電流が重なった波形となる。そして、この場合においてはオゾン等の放電生成物の発生が確認される。また、印加電圧を更に高くすると、パルス状の液滴電流の波形は消滅してコロナ放電の波形のみとなり、パルス状の液滴電流の後にオゾン等の放電生成物に起因するイオン電流がブロード状に多く観測される。そして、この場合においては多量のオゾン等の放電生成物の発生が確認される。
よって、以上の理由から、本実施の形態の静電噴霧装置では、4kV以上7kV以下の電圧を印加することが好ましい。
また、液滴噴霧電極1の先端部には、液体噴霧量を増大させる観点から、撥水化処理を施してもよい。
液滴噴霧電極1の先端部を撥水化処理した場合、多孔質金属の内部拡散によって液滴噴霧電極1の先端部に到達した液体Lが液滴噴霧電極1の先端部で球状の液滴となる。この時、液滴噴霧電極1と対向電極3との間に電圧を印加すると、対向電極3に近接した球状の液滴側に自由電子が集まり、対向電極3との間で電界が形成される。対向電極3との距離が液滴の直径分短くなるため、電界強度が大きくなって電界によるクーロン力が液体Lの表面張力を上回り易くなり、微小液滴が空間中に効率良く噴霧排出される。
撥水化処理の方法としては、特に限定されず、例えば、フッ素系樹脂等の撥水性樹脂でコーティングすればよい。また、撥水化処理は、液滴噴霧電極1の先端部のみ行なえばよく、その他の部分は行なう必要は特にない。
対向電極3としては、特に限定されないが、液滴噴霧電極1との間に電界を形成し、液滴噴霧電極1の先端部に溜まった液体Lを電界により空間中に噴霧排出させるものであるため、その材質は導電性を有する金属及び導電性樹脂等が好ましい。また、液体Lを効率良く噴霧排出させるためには電気抵抗が低い金属がより好ましい。さらに、対向電極3には、放出される液体Lが付着することがあるため、放出される液体Lに対する耐食性に優れたタングステン、モリブデン、ステンレス及びニッケル合金等が特に好ましい。
液滴噴霧電極1の先端部と対向電極3との間の距離は、両電極間に形成される電界強度に大きな影響を与え、短くなると液滴噴霧電極1への印加電圧を低減できると共に絶縁性を高めることができる反面、対向電極3に対してコロナ放電やアーク放電を誘発し易いという欠点がある。逆に、当該距離が長くなると、対向電極3に対するコロナ放電やアーク放電を誘発し難くなる反面、液滴噴霧電極1への印加電圧を増大させる必要があると共に絶縁性も低下する。従って、これらの相反する特性を最適化すべく、使用する液滴噴霧電極1及び対向電極3の種類に応じて適宜調整する必要がある。一般的には、液滴噴霧電極1の先端部と対向電極3との間の距離は、3mm以上5mm以下であることが好ましい。この範囲の距離であれば、コロナ放電やアーク放電を誘発し難いと共に、液滴噴霧電極1への印加電圧も低減することが可能となる。
対向電極3は、液滴噴霧電極1の先端部の電界強度を高めると共に、液滴噴霧電極1からの微小液滴が対向電極3に付着せずに空間中に噴霧排出されるように、開口部を有する。
また、対向電極3は、液滴噴霧電極1の先端部が対向電極3の開口部に対して均一な距離となるように配置することが好ましい。液滴噴霧電極1の先端部と対向電極3の開口部とを均一な距離で配置することにより、液滴噴霧電極1の先端部には電界の偏りが生じず、均一な電界が形成される。その結果、オゾン等の放電生成物の生成を抑制しつつ、微小液滴を空間中に安定に噴霧排出することができる。
対向電極3及び対向電極3に形成される開口部の形状としては、特に限定されず、何れの形状でも構わない。また、電界の偏りを防止する観点から、液滴噴霧電極1の先端部が対向電極3の開口部の中心となるように設けることが好ましい。
ここで、開口部を有する対向電極3の例を図9に示す。図9は、対向電極3側から見た液滴噴霧電極1の概略図である。図9に示されているように、対向電極3及び対向電極3に形成される開口部は、様々な形状とすることができ、複数の対向電極3を設けてもよい。対向電極3及び対向電極3に形成される開口部の形状としては、例えば、正方形、長方形、円及び楕円等が挙げられる。
対向電極3の開口部の大きさは、液滴噴霧電極1の大きさや、液滴噴霧電極1と対向電極3との間の距離と関係しており、これらの条件にあわせて適宜調整する必要がある。
先端部の直径(或いは一辺の長さ)が0.5mm以上2mm以下の液滴噴霧電極1を用いると共に、液滴噴霧電極1の先端部と対向電極3との間の距離が3mm以上5mm以下である場合、対向電極3の開口部の直径(或いは一辺の長さ)は、好ましくは5mm以上13mm以下、より好ましくは7mm以上9mm以下である。特に、直径(或いは一辺の長さ)が大きいほど、液体Lの噴霧量が多くなると共に、オゾン等の放電生成物の発生が少なくなる。開口部の直径(或いは一辺の長さ)が5mm未満であると、液滴噴霧電極1から噴霧排出された微小液滴が対向電極3に衝突する確率が増加し、空間中への液体Lの噴霧量が減少すると共に、オゾン等の放電生成物が多量に発生することがある。一方、開口部の直径(或いは一辺の長さ)が13mmを超えると、液滴噴霧電極1への印加電圧を大きくする必要があり、電圧印加部4に多大な負荷がかかると共に絶縁性が低下する。
対向電極3に開口部を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法に準じて行なえばよい。中でも、開口部の内面における微小突起の生成を抑制するため、液滴噴霧電極1側方向からの打ち抜き加工やレーザ加工を行なうことが好ましい。特に、対向電極3に対して図10に示すようなバーリング加工を施せば、開口部の内面における微小突起の生成を抑制することができる。開口部の内面において微小突起が存在すると、液滴噴霧電極1の先端部と微小突起との間で局所的な電界集中が起こり、液滴電流が発生し難くなると共に、コロナ放電が発生し易くなる。また、条件によってはアーク放電が発生することもあるため、液滴噴霧電極1の先端部に埃等が蓄積した際に発火する可能性もある。
液滴噴霧電極1と対向電極3との間に電圧を供給する電圧印加部4は、特に限定されず、公知の電圧印加手段を用いればよい。この電圧印加手段は、直流又は交流のいずれでもよいが、液滴噴霧電極1に直流の正電圧を印加した場合、電気腐食によって液滴噴霧電極1を劣化させる可能性がある。そのため、液滴噴霧電極1には直流の負電圧を印加することが好ましい。この場合、例えば、水を噴霧すると、レイリー分裂により破砕された微小液滴は負に帯電され、正に帯電されている皮膚に引き寄せられるため、皮膚に潤いを与えることが可能となる。
なお、液滴噴霧電極1に直流電圧を印加する場合、同一極の帯電した微小液滴が連続的に供給されることとなるため、静電噴霧装置の近傍では帯電した微小液滴によって空間電荷が生じ、液滴噴霧電極1の先端部の電界強度が緩和されて液体Lの噴霧量が低下することがある。そのため、液滴噴霧電極1に交流電圧を印加することで、両極性の微小液滴を生成させ、空間電荷の発生を抑制してもよい。
液滴噴霧電極1と対向電極3との間に印加する電圧としては、4kV以上7kV以下であることが好ましい。印加電圧が4kV未満であると、液滴噴霧電極1と対向電極3との間に形成される電界強度が弱く、液体Lの表面張力を超えることができない場合がある。一方、印加電圧が7kVを超えると、電圧印加部4の負荷が大きくなると共に絶縁性が低下する。加えて、液滴噴霧電極1と対向電極3との間に高い電界強度がかかるため、電子放出が生じ、オゾン等の放電生成物が生じる場合がある。
液滴噴霧電極1に液体Lを供給する液体供給部2としては、特に限定されず、公知の液体供給手段を用いればよい。例えば、液体供給部2は、液体Lを滴下する手段を備えた液体貯蔵部であることができ、液滴噴霧電極1と液体供給部2とを空間を介して非接触とすることができる。このような構成とすれば、滴噴霧電極1と液体供給部2とが空間を介して非接触としてあるので、組み込み設計の自由度が高まる。或いは、液体供給部2は、液体Lの搬送手段を介して液滴噴霧電極1と接続された液体貯蔵部としてもよい。
本実施の形態の静電噴霧装置に用いることが可能な液体Lとしては、特に限定されず、例えば、水道水、純水及び結露水が挙げられる。また、インクジェットや静電塗装等の静電噴霧現象を利用した装置として、本実施の形態の静電噴霧装置を用いることもできる。
上記のような構成を有する静電噴霧装置は、吸水性能及び導電性に優れた液滴噴霧電極1を用いることにより、液滴噴霧電極1の先端部(液滴噴霧部)に液体Lを効率良く搬送させて液体噴霧量の増大、起動時間の短縮及び放電生成物の生成抑制等の効果を与えると同時に、液滴噴霧電極1での電力損失を抑制することができる。
実施の形態2.
図11は、本実施の形態の静電噴霧装置の概略構成図である。図11において、放電電流制御手段6を設けたこと以外は実施の形態1の静電噴霧装置と同様である。
静電噴霧装置における静電噴霧現象は、電界によるクーロン力が液体Lの表面張力を上回った時点でレイリー分裂を起こし、微小液滴を噴霧排出する現象である。しかし、液滴噴霧電極1の先端部における電界強度が高くなると、液滴噴霧電極1から自由電子が対向電極3に向けて放出され、オゾン等の放電生成物を生成する。上記でも述べたようにオゾン等の放電生成物は有害な物質であるため、その排出を抑制する必要がある。
図7に示すように比較的低い電圧を印加して電界強度をある程度抑えた場合には、オゾン等の放電生成物の発生はなく、微小液滴による電流波形が観測されるのに対して、図8に示すように印加電圧を高くして電界強度を上げた場合には、ベースラインから逸脱した位置から微小液滴の電流波形が観測される。これは、コロナ放電の波形に微小液滴による電流波形が重なったことに起因しており、約−20μAの放電電流が測定され、オゾンの生成が確認される。そこで、本実施の形態の静電噴霧装置では、電圧印加部4の出力電流を制御する放電電流制御手段6を設けることにより、放電電流を減少させてコロナ放電を抑制し、オゾン等の放電生成物の発生を低減することが可能となる。
ここで、微小液滴の噴霧量は、電界強度によって主に決定されることから、大きな放電電流は要求されない。そのため、放電電流は−15μA以上0μA未満に抑えることが好ましい。この範囲の放電電流であれば、オゾン等の放電生成物の生成を十分に低減することができる。放電電流が−15μAを超えると、オゾン等の放電生成物の生成を十分に低減することができない。
放電電流制御手段6としては、放電電流を制御可能な手段であれば特に限定されず、公知の手段を用いることができる。例えば、放電電流制御手段6として、電圧印加部4のインピーダンスを制御する手段等が挙げられる。また、放電電流値を検知して印加電圧にフィードバックすることにより、印加電圧を可変して放電電流を制御する方法もある。
このような構成を有する静電噴霧装置は、オゾン等の放電生成物の生成をより一層低減させることができる。
実施の形態3.
図12は、本実施の形態の静電噴霧装置の概略構成図である。図12において、液体供給部2に液体供給量制御手段7を設けたこと以外は実施の形態1の静電噴霧装置と同様である。
液滴噴霧電極1の先端部から微小液滴を空間中に噴霧排出するためには、液滴噴霧電極1と対向電極3との間の電界強度をある程度高める必要があるが、電界強度が高すぎるとオゾン等の放電生成物の発生の原因となるコロナ放電が生じる。液体供給部2に液体供給量制御手段7を設けることにより、液体供給量を制御してコロナ放電開始電圧を調整することができるため、コロナ放電の発生を抑制することが可能となる。
ここで、液体(純水)含有量とコロナ放電開始電圧及び放電電流との関係を示すグラフを図13に示す。図13では、先端部が三角形状の液滴噴霧電極1と、直径8mmの開口部を有する対向電極3とを備え、液滴噴霧電極1の先端部と対向電極3との間の垂線距離を3mmとした静電噴霧装置を作製し、液体含有量を変化させた場合のコロナ放電開始電圧を測定した。
図13のグラフからわかるように、液体含有量が0ccの場合にはコロナ放電開始電圧が−4.9kV、放電電流が−12.8μAであったのに対し、液体含有量が0.2ccの場合にはコロナ放電開始電圧が−6.1kV、放電電流が−20.4μAであった。つまり、液噴霧電極1の液体含有量により、コロナ放電が生じる電圧値が異なると言える。よって、液体供給部2に液体供給量制御手段7を設けることで液噴霧電極1の液体含有量を制御することにより、コロナ放電を抑制してオゾン等の放電生成物の発生を防止することが可能となる。
以下、実施例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
液滴噴霧電極1として、直径4mmの丸棒の先端部を三角形状(先端角度30°)に加工した多孔質金属からなる液滴噴霧電極1と、直径10mmの開口部を有する対向電極3とを備え、液滴噴霧電極1の先端部と対向電極3との間の垂線距離を3mmとした静電噴霧装置を作製した。ここで、金属多孔質体としては、多孔質チタン(平均気孔率:90%、平均気孔径:50μm)及びSUS316L(平均気孔率:82%、平均気孔径:300μm)を用いた。
(比較例1)
比較例として、多孔質金属の代わりに多孔質セラミックを用いて、実施例1と同様にして静電噴霧装置を作製した。ここで、多孔質セラミックとしては、チタニア(平均気孔率:31%、平均気孔径:0.4μm)及びムライト(平均気孔率:34%、平均気孔径:0.3μm)を用いた。
上記の実施例1及び比較例1で得られた静電噴霧装置について、単位時間当たりに噴霧排出される微小液滴の重量を測定することによって噴霧量を求めた。具体的には、静電噴霧装置を42Lのアクリルチャンバー内に設置した後、液滴噴霧電極1に−6kVの負の直流電圧を印加し、当該電圧印加前のアクリルチャンバー内の絶対湿度の変化から噴霧量を算出した。その結果を図14に示す。
図14のグラフからわかるように、液滴噴霧電極1に多孔質金属(多孔質チタン及びSUS316L)を用いた実施例1の静電噴霧装置は、液滴噴霧電極1に多孔質セラミック(チタニア及びムライト)を用いた比較例1の静電噴霧装置に比べて、噴霧量が約2倍と多かった。
次に、上記の実施例1及び比較例1で得られた静電噴霧装置について、単位時間当たり発生するオゾンの重量を測定した。具体的には、液噴霧電極1の近傍にオゾン吸引部を設け、液滴噴霧電極1に−6kVの負の直流電圧を印加した際のオゾン濃度及び吸引ガス流量からオゾン発生量を算出した。その結果を図15に示す。
図15のグラフからわかるように、液滴噴霧電極1にチタニアを用いた静電噴霧装置のオゾン発生量は0.06mg/hであったのに対し、液滴噴霧電極1にチタニアを用いた静電噴霧装置のオゾン発生量は0.025mg/hであった。これは、図5に示すように、チタニアの電気抵抗率がムライトの電気抵抗率に比べて2桁程度低いためであると考えられる。
一方、液滴噴霧電極1に多孔質金属を用いた静電噴霧装置では、図5に示すように、多孔質金属の電気抵抗率が多孔質セラミックの電気抵抗率よりも10桁以上低いにも関らず、オゾン発生量は同程度であった。また、液滴噴霧電極1に多孔質チタンを用いた静電噴霧装置は、液滴噴霧電極1にSUS316Lを用いた静電噴霧装置に比べて、オゾン発生量が顕著に少なかった。これは、チタン自身の触媒硬化によってオゾンを分解したためであると考えられる。
(実施例2)
実施例2では、液滴噴霧電極1の形状を種々変えたこと以外は実施例1と同様にして静電噴霧装置を作製した。ここで、液滴噴霧電極1には、直径5mmの丸棒の先端部を円錐形状(頂角30°)、円筒形状、半球形状に加工したものを用いた。また、液滴噴霧電極1を構成する多孔質金属には、多孔質チタン(平均気孔率:82%、平均気孔径:300μm)を用いた。
次に、得られた静電噴霧装置について、上記と同様の方法を用いて噴霧量及びオゾン発生量を求めた。噴霧量の結果を図16、オゾン発生量の結果を図17に示す。
図16及び17の結果からわかるように、液滴噴霧電極1の先端部形状が円錐形状であるものが、噴霧量及びオゾン発生量が最も多く、続いて円筒形状、半球形状の順で噴霧量及びオゾン発生量が多かった。これは、本実施例のような構成の対向電極3に対しては、円錐形状、円筒形状、半球形状の順で電界強度が高いためであると考えられる。
(実施例3)
実施例3では、対向電極3の開口部の大きさを種々変えた静電噴霧装置を作製し、噴霧量及びオゾン発生量を求めた。
直径4mmの丸棒の先端部を三角形状(先端角度30°)に加工した多孔質チタン(平均気孔率:82%、平均気孔径:300μm)からなる液滴噴霧電極1と、各直径の開口部を有する対向電極3とを備え、液滴噴霧電極1の先端部と対向電極3との間の垂線距離を4.6mmとした静電噴霧装置を作製した。
次に、得られた静電噴霧装置について、−5.7kVの負の直流電圧を印加し、上記と同様の方法を用いて噴霧量及びオゾン発生量を求めると共に、放電電流も測定した。その結果を図18に示す。
図18の結果からわかるように、対向電極3の開口部の直径が大きくなるほど、噴霧量が多く、オゾン発生量が少なくなった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、吸水性能及び導電性に優れた液滴噴霧電極1を用いることにより、液滴噴霧電極1の先端部(液滴噴霧部)に液体Lを効率良く搬送させて液体噴霧量の増大、起動時間の短縮及び放電生成物の生成抑制等の効果を与えると同時に液滴噴霧電極1での電力損失を抑制し、噴霧性能に優れた静電噴霧装置を提供することができる。
1 液滴噴霧電極、2 液体供給部、3 対向電極、4 電圧印加部、5 給電端子、 6 放電電流制御手段、7 液体供給量制御手段、11 金属、12 気孔、L 液体。

Claims (7)

  1. 液滴噴霧電極と、前記液滴噴霧電極に液体を供給する液体供給部と、前記液滴噴霧電極と対向する位置に設けられた対向電極と、前記液滴噴霧電極と前記対向電極との間に電圧を印加する電圧印加部とを有する静電噴霧装置であって、
    前記液滴噴霧電極は、三次元網目構造を有する多孔質金属から成り、且つ前記対向電極は、前記液滴噴霧電極側から打ち抜くバーリング加工が施された開口部を有することを特徴とする静電噴霧装置。
  2. 前記液滴噴霧電極の先端形状が三角形状であり、且つ前記三角形状の先端がR加工されていることを特徴とする請求項に記載の静電噴霧装置。
  3. 前記液滴噴霧電極の先端部の直径又は一辺の長さは0.5mm以上2mm以下であり、前記液滴噴霧電極の先端部と前記対向電極との距離は3mm以上5mm以下であり、前記開口部の直径又は一辺の長さは5mm以上13mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電噴霧装置。
  4. 前記多孔質金属は、60%以上90%以下の平均気孔率、及び50μm以上600μm以下の平均気孔径を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の静電噴霧装置。
  5. 前記多孔質金属を構成する金属はチタンであることを特徴する請求項1〜のいずれか一項に記載の静電噴霧装置。
  6. 前記電圧印加部の出力電流を制御する放電電流制御手段をさらに有し、前記液滴噴霧電極と前記対向電極との間の放電電流を−15μA以上0μA未満に制御することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の静電噴霧装置。
  7. 前記液滴噴霧電極の先端部には撥水化処理が施されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の静電噴霧装置。
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